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平成28年度 卒業論文

スポーツ経験の質による忍耐力の違い

環境マネジメント学科

学籍番号

1362043

北 貴一

東京都市大学 環境学部

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目次 表紙 概論 目次 第1 章 始めに 1. 研究理由 2. 先行研究レビュー 3. 仮説 第2 章 調査 1. 調査方法 2. データ 第3 章 研究結果 1. 調査結果からわかること 2. 結果から考察 第4 章 提案 第5章 最後に 第6章 参考文献

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第1 章 始めに 1.研究理由 私は、中学校までサッカー部、高校生は陸上部と、運動部に所属をしていた。 この学生時代の部活動での経験は、私の人生において肉体、精神など様々な成 長に繋がったと思う。2013年には2020年の東京オリンピック開催も決 定し、国際的なスポーツの祭典が日本で行われることによりスポーツへの関心 や期待も高まると思う。近年日本人アスリートも多く活躍していることから、 憧れを持つ人も増加し、スポーツをやりたい、子供にやらせたいという人も増 えるのではないかと思う。私は好きな運動を経験するということの有意義さを 多くの人に伝えたい。なぜなら、私は、これからの子供にはより意味のある充 実した運動に取り組んでもらいたいと思う。その願いから今回の研究に至った。 スポーツは健康や成長のためにいいということは、世間一般に常識として根 付いているのではないかと思う。それと同じぐらいに、子供には運動させたほ うがいいという話をよく聞く。しかし、実際にはスポーツを行なってきた人で も、どういった効果がスポーツにあるのかについては、その認識は曖昧なので はないだろうか。 今回、研究を行なうに当たり、私は、自分も含めた運動経験者と一緒に、ス ポーツにより一番成長した側面は何かを一緒に考える機会を持った。具体的に は、中学生時代のサッカー部の仲間と、自分のアルバイト先のスポーツショッ プで働いている従業員と一緒に考える機会を持った。その中で、コミュニケー ション能力や単純な運動能力の向上、忍耐力などといった意見が出た。その中 で、一番多くの人が挙げたのが「忍耐力」(物事に粘り続けていく気力)だった。 そこで、スポーツが忍耐力に対して与える影響に焦点を絞って研究すること にした。 2.先行研究レビュー:『スポーツクラブ経験が日常生活の心理的対処能力に及 ぼす影響』 「運動」「忍耐力」という自分が持つ問題意識を共有する先行研究を調べたと ころ、徳永幹雄の『スポーツクラブ経験が日常生活の心理的対処能力に及ぼす 影響』という論文を見つけた。徳永の論文と自分の問題関心は非常に近かった が、読み進めるうちにある一部分に違和感が生じた。それは、運動を始めた時 期と、忍耐力の関係についての部分である。

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徳永の論文の概要を紹介する。この論文は、スポーツクラブに所属している かいないかで、心理的対処能力が変わるという内容であった。自分が研究した いことと同じであり賛同するところが多かった。心理的対処能力とはこの論文 によると「自己の能力を十分に発揮するのに必要な能力。忍耐力、闘争心、集 中力、自信、予測力、協調性などのこと」である。 しかし、結果の一部に自分の経験とは一致しない部分があった。それは、「男 子では小学校および大学の各時期におけるスポーツクラブ経験者には優れた心 理的対処能力がみられた。しかし、中学校、高校での所属には顕著な差は見ら れなかった。このことは、小学生という早い時期での経験者と現在の経験者に スポーツクラブの影響がみられることを示している。」という記述だ。この文を 要約すると、早い段階で運動経験をした人と、今現在経験しているのは心理的 対処能力が高いということだ。 しかし自分の経験では、運動を始めた時期の早い遅いは、忍耐力の成長に関 係ない。そして、いつ運動に一番熱心に取り組んだのかが、忍耐力の成長に関 係している。熱心とは「あることをいちずにしようとするさま」である。つま りスポーツに一途に取り組んでいた時期が忍耐力の成長には関係あるという仮 説だ。自分の経験では、高校生の時にスポーツを熱心に行なうことで、忍耐力 が成長した。この自分の経験は他の人にも共通するのではないか、つまり高校 生の時に、スポーツに力を入れて取り組んでいる人ほど、忍耐力が身に付いて いるのではないだろうか。本研究では、この問題意識に基づき仮説をたて、調 査を行った。 なお、徳永幹雄の論文では調査項目になってはいなかったが、私は、一番熱 心に取り組んだスポーツが個人競技、団体競技なのか、というところも忍耐力 の成長に関係があるのではないかと思い、それも加えて研究をすることにした。 3.仮説 以上のことから、私の仮説は以下の通りである。(1)忍耐力については、運 動を始めた時期との関係性はない。(2)いつ運動に一番力を入れて取り組んだ のかが忍耐力に関係している。その中でも、特に高校生の頃に一番熱心に運動 に取り組んでいる人は、一番忍耐力を鍛えることができる。 最後に、(3)運動の種類で忍耐力に差が出る。個人競技と団体競技では、個 人競技の方がすべて自分自身で行い、責任も全て自分のものになるため、忍耐

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力を鍛えることができる。 第2章 調査 1.調査方法 本研究はインターネットサービスのグーグルフォームを使い、アンケート調 査を行なった。アンケートの回答期間は2016年1月9日から11月24日 まで。対象は現在の大学1年生から4年生の男女。アンケート内容は『スポー ツクラブ経験が日常生活の心理的対処能力に及ぼす影響』の論文で使われてい た心理的競技能力診断検査(DIPCA.1)を参考に、独自で忍耐力の測定に関連 する項目を作成、次の4問を使用して忍耐力を測定した(具体的な質問は下の アンケート調査票に記した。(1)苦しい状況で忍耐力を発揮できるか(2)身 体的な苦痛に耐えることができるか(3)辛い状況に耐えることができるか(4) 自分は忍耐力があるか)。この4問の得点を合計し、忍耐力のある人は4点、な い人は16点で測定した。(忍耐力があればあるほど点数は小さくなる。) その他に「運動経験の種類」で部活だったのか学校外での活動だったのかを質 問し、「運動を始めた時期」、「自分が一番運動に一番熱心だった時期」、そして 「その運動の種類」で個人競技なのか団体競技なのかを質問し集計した。 アンケート問題は以下のようになる。 1.あなたが今まで経験したスポーツについて教えてください(当てはまるも のすべてにチェックしてください) (選択肢)・部活(90人 85.7%) ・学外での習い事やスポーツ団体(82 人 78.1%) ・ない(3人 2.9%) ・その他(0人 0%) 2.あなたはスポーツをいつから始めましたか(体育やサークル、娯楽を除く) なお、今回の調査での運動には、大学生のサークル活動は含まれないものとし ている。それはサークルというものは強制力がなく、娯楽に近いものだと考え たからである。 (選択肢)・小学生[それ以前も含める](87人 84.5%) ・中学生(13人 12.6%) ・高校生(3人 2.9%) ・大学生(0人 0%)

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3.あなたがスポーツを一番熱心にしていたのはいつですか 一番熱心だった時期について自身の経験のイメージに従ってもらった。 (選択肢)・小学生(19人 18.4%) ・中学生(34人 33%) ・高校生 (46人 44.7%) ・大学生(4人 3.9%) 4.一番熱心にしたスポーツの種類はなんですか (選択肢)・個人競技(52人 50.5%) ・団体競技(49人 47.6%) ・その他(ダンスが2人 1.9%) ここから先の4問が忍耐力を測定するための質問である。 5.あなたは苦しい状況でも目的のために耐えることができますか(4段階評 価) ・1点の人が24人(22.9%) ・2点の人が56人(53.3%) ・3点の人が 16人(15.2%) ・4点の人が9人(8.6%) 6.あなたは身体的な疲労に耐えることができますか(4段階評価) ・1点の人が人36(34.3%) ・2点の人が36人(34.3%) ・3点の人が 26人(24.8%) ・4点の人が7人(6.7%) 7.あなたは辛い状況で忍耐力を発揮できますか(4段階評価) ・1点の人が28人(26.7%) ・2点の人が55人(52.4%) ・3点の人が 17人(16.2%) ・4点の人が5人(4.8%) 8.自分には忍耐力があると思いますか(4段階評価) ・1点の人が22人(21%) ・2点の人が47人(44.8%) ・3点の人が2 5人(23.8%) ・4点の人が11人(10.5%) ここからは回答者の情報を聞く質問になる。 9.性別 (選択肢)・男(56人 55.3%) ・女(49人 46.7%) 10.学年(選択肢)・一年生(5人 4.8%) ・二年生(10人 9.5%)

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・三年生(21人 20%) ・四年生(%) これらのデータを元に、「スポーツを始めた時期と忍耐力の関係」「一番熱心に 取り組んだ時期と忍耐力の関係」と「競技の種類の違いと忍耐力の関係」を検 証した。その結果は第3 章に書いてある。 2.回答者の属性 今回集計したアンケート数は104件で、そのうち1件が無効であり、10 3件は有効な回答であった。男女比としては、54%が男性、残りの46%が 女性であった。バランスよく集計することができた。 運動経験に関しては「経験あり」という回答が98%、「経験なし」という回 答が2%と、ほぼ全員が「経験あり」と回答した。この偏りが生じた理由とし て、考えられるものは2つだ。1つ目は、私自身が運動経験者ということもあ り、アンケートへの協力を依頼した人の大半はスポーツを通じて出会ったため、 経験者が増えてしまったという理由だ。そして2つ目は、運動の範囲を「あな たはスポーツをいつから始めましたか(体育やサークル、娯楽を除く)」と、か なり広げてしまったという理由である。運動をした時間や、運動の質、運動量 など、もう少し範囲を絞ることで、運動経験がある人とない人を比べることが 出来るような、よりバランスの取れたデータを集められたのではないだろうか。 男性 54% 女性 46%

男女比

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部活動の経験の有無、習い事の経験の有無については、運動経験の有無よ りも「経験なし」との回答が多く得られたことからも、運動の経験についても、 もう少し範囲を広げれば、異なる回答傾向になったことが予想される。 あり 98% なし 2%

運動経験の有無

あり 86% なし 14%

部活動経験の有無

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例えば、運動の続けた期間や大会出場などの条件を少し加えるだけで今回の ような2%しか「運動経験がない」という回答が集まらないという偏りは生ま れなかったと思われる。しかし今回の研究目的は、「運動経験者の中での心理的 対処能力は条件によって変化はあるのか」なので、研究に支障は出ないと思わ れる 回答者の学年の割合はこのようになった。 66%と半数以上を大学四年生で集めることが出来た。四年生は大学生という 時期もきちんと経験しているので他の学生の頃と比べることができていると思 う。 あり 78% なし 22%

スポーツの習い事の有無

1年生 5% 2年生 10% 3年生 19% 4年生 66%

回答者の学年

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運動を始めた時期についてはこのようになった。 小学生以前から運動を始めた人の回答が85%と大半を占めた。中学校から運 動を始めた人も 13%いたが、高校から始めた人は 2%しかいなかった。これも 経験の有無の場合と同じように、「運動」の範囲をほとんど限定しなかったため、 「小学生以前」と始めた時期が早い人が多くなったことが予想される。よって この質問も、運動経験の有無と同じように条件を足しても、良かったのではな いだろうか。 運動に一番熱心に取り組んだ時期についてはこのようになった。 高校生と回答した人が45%、中学生と回答した人が33%、小学生と回答し 小学生以前か ら 85% 中学生から 13% 高校 生か ら 2%

運動を始めた時期

小学生 18% 中学生 33% 高校生 45% 大学生 4%

運動に一番熱心に取り組んだ時期

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た人が18%、最後に大学生と回答した人が4%だった。高校生という回答が 多かったが、小学生、中学生という回答もある程度の人数を集めることができ た。しかし、大学生の部活経験者が自分の身の回りにいなく、そこには偏りが 生まれてしまった。 競技の種類としてはこのようになった。 団体競技と回答した人が49%、個人競技と回答した人が51%だった。こち らは、バランスよいアンケート結果を収集することができた。その他でダンス という意見が2つあったがダンスは団体でするもの、個人でするものどちらも あるため、今回は反映させなかった。 なお、標準偏差は 2.696513461 であった。 第3章 研究結果 1.調査結果からわかる事 1-1 運動経験を始めた時期と忍耐力の関係についての結果 運動を小学生(それ以前も含める)から始めた人の忍耐力の点数の平均点は 8.33 点であり、中学生以上から始めた人(中学生と高校生)の忍耐力の点数の 平均点は 7.73 点だった。今回の調査では、点数が低いほど忍耐力が高いので、 中学生以上から運動を始めた人の方が、忍耐力が高いことがわかる。徳永幹雄 の論文では、運動を始めるのが早い方が忍耐力は高いとされていた。しかし、 私の研究では、一番運動を始めた時期が早い選択肢である「小学生以下」が、 団体競技 49% 個人競技 51%

競技の種類

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一番忍耐力が高いわけではなかった。なお、学校別の忍耐力の平均点は、小学 生(それ以前も含める)が 8.33 点。中学生の平均点が 7.61 点。高校生の平均点 8.5 点だった。(忍耐力があればあるほど点数は小さくなる。) 運動を始めた 時期 小学生 中学生 高校生 忍耐力の点数 8.33 点 7.61 点 8.50 点 これらの点数の差から言えることは、小学生かそれ以前という早い段階で運動 を始めるかどうかは、忍耐力にはあまり関係がなく、中学生から運動を始めて も忍耐力は十分に鍛えることができるということだ。 徳永論文の中では、早い段階での運動経験を持つものは、心理的対象能力が 優れていると書かれていた。心理的対処能力とは様々な能力が含まれている。 しかし、上記の結果から、忍耐力については、当てはまらないことが明らかに なった。 1-2 一番熱心に運動に取り組んだ時期と忍耐力の関係についての結果 高校時代とそれ以外の忍耐力の点数を比較すると、運動を高校生時代に一番 熱心に取り組んだ人の忍耐力の平均点は 7.39 点であり、それ以外の時期に熱心 に取り組んだ人(小学生と中学生と大学生)の忍耐力の平均点は 8.95 点だった。 今回の調査では、点数が低いほど忍耐力が高いので、高校生時代に一番熱心に 取り組んだ人の方が、忍耐力が高いことがわかる。 一番熱心に取 り組んだ時期 小学生 中学生 高校生 大学生 忍耐力の点数 9.53 点 8.66 点 7.39 点 8.50 点 さらに、運動に一番熱心に取り組んだそれぞれの時期(小学生、中学生、高 校生、大学生)の忍耐力の平均点と比べると、高校生時代に運動に一番熱心に 取り組んだと回答した人の忍耐力がもっとも高いことがわかった。つまり、時 期別の忍耐力の平均点は、小学生時代に熱心だった人の平均点は 9.53 点。中学 生時代に熱心だった人の平均点は 8.66 点。高校生時代に熱心だった人の平均点 は 7.39 点。大学生時代に熱心だった人の平均点は 8.50 点だった。高校生時代

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の平均点は他の全ての時期の平均点と比べても、低い点数であり、忍耐力が高 いことがわかる。この結果から、忍耐力については、いつ一番熱心に運動した のかと関連性を持つことがわかる。つまり、高校生の時に一番熱心に運動を取 り組んだものは、もっとも忍耐力を鍛えることができる可能性があるのである。 1-3 競技の種類と忍耐力の関係についての結果 個人競技と団体競技とでは、忍耐力の形成に差があるのだろうか。「個人競 技が、自分の中で一番熱心に取り組んだ運動だった」人の忍耐力の平均点は 8.41 点。「団体競技が自分の中で一番熱心に取り組んだ運動だった」人の忍耐力の 平均点は 8.04 点だった。今回の調査では、点数が低いほど忍耐力が高いので、 団体競技経験者の方が、少し忍耐力が高い結果となったが、両者の差は0.37 点 しかなく、ほとんど差がないと考えることができるだろう。 運動の種類 個人競技 団体競技 点数 8.41 点 8.04 点 つまり、個人競技経験者と団体競技者の平均点には差はあまりなく、忍耐力 と運動の種類との関係性は低いと思われる。しかし、わずかに団体競技経験者 の方が、忍耐力が高いという結果になったものの、忍耐力を鍛える時には競技 の種類は大きな影響を与えない可能性があると思われる。 2.考察 2-1 運動の始める時期と忍耐力を鍛えることの関係 早い時期から運動させることは心理的対処能力の点で利点になることは徳永 幹雄の論文で説明されていた。しかし、早い時期から運動をさせることにより、 全ての心理的対処能力においてよい結果を出すというわけではないことが本研 究から明らかになった。その一つが、今回のテーマでもある忍耐力だ。研究の 結果から、運動を始めた時期が、早くても、遅くても、忍耐力にはほとんど関 係がないことが明らかになった。今回の調査では、運動を始めた時期ごとの忍 耐力の平均点では、一番忍耐力が高かったのが中学生で、次に小学生、そして、 高校生であった。ただし、今回の調査では、高校生から運動を始めた人のデー

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タ数が3人(2.9%)と極端に少なかったため、「小学生以前から運動を始めた 人」と「中学生から運動を始めた人」とを比べることにする。その結果、中学 生から始めた人は、小学生以前から運動を始めた人に比べて、0.72 点ほど忍耐 力が高いという結果になった。それほど大きな差ではないが、わずかに忍耐力 が高いということができることは 1-1 で紹介した通りである。 それでは、なぜ運動を早く始めた方が心理的対処能力の多くの面で有利に作 用するのに対して、忍耐力については異なる結果になるのだろうか。私の考え は、忍耐力とは前に述べたように、「物事に粘り続けていける力のこと)であ る。しかし、小学生の頃の運動経験は、基礎的なスキルの習得(走る、止まる、 蹴る、投げる、跳ぶなど)が主な練習になる。それは、負荷の大きい練習によ って、成長を妨げられてしまう恐れもあるからだ。よって忍耐力を培うことが できるほど、精神と肉体に負荷をかけることは稀である。また、小学生の段階 では、先輩・後輩の間などの人間関係もそれほど難しくないことが予想され、 子どもたちは楽しく運動をしているのではないだろうか。つまり「辛い」「辞 めたい」という状況までなることが少ないということになる。だから、我慢し て続ける、などの精神的負荷を与えることが少ないから忍耐力を鍛えることに はあまり関係ないのではないだろうか。 しかし、日本では伝統的に中学生からは、先輩後輩という新たな厳しい人間 関係が始まる。そして、部活としての強制力が格段に強くもなる。そして、練 習時間が増え、練習内容もより本格的なものになり、肉体的にも負荷が大きく なる。これは、それまで経験したことがないような忍耐力を要するために、負 荷が大きいと感じるだろう。このように肉体的・精神的に耐えなければならな いことが中学校運動の運動では増えると思われる。こうして心理的負荷が様々 な形で存在するため、精神面で忍耐力が培われるのではないだろうか。これら の理由で、忍耐力を鍛えることが小学生の時期では難しく、中学生からの環境 では鍛えやすいのではないだろうかと考える。 2-2 運動に一番熱心だった時期と忍耐力を鍛えることの関係 次に、自分の仮説であった、「いつ一番熱心に運動をしていたのか」が忍耐力 に関係を与えるかどうかについては、今回の調査からは、忍耐力と一番熱心に 運動に取り組んだ時期との間には関係性があるという結果を得ることができた。 一番運動を熱心に行なった時期の、平均点の順位としては、高校生の時に一番

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熱心に運動を行なっていたと回答した人が、一番忍耐力があり7.39 点、次に 1.11 点離れて大学生、さらに0.11 点離れて中学生、最後に 0.87 点離れて小学生とな った。高校生の時に一番熱心に運動を行なっていた人の点数が、他の時期全て に比べ、一つ飛び抜けて高い点数だった。そして高校生の前後の中学生、大学 生も高校の点数に近い点数であった。逆に、小学生の時に一番熱心に運動を行 なっていたと回答した人の点数は、飛び抜けて低かった。 それでは、なぜ高校生の時期に運動を熱心にすると忍耐力を鍛えることが出 来るのだろうか。まず中学生と高校生という時期は一般的に思春期と言われる 時期である。思春期とは、11〜18歳頃まで続く、第二次性徴をきっかけと して始まる心身ともに不安定な時期のことを指す。その時期に運動に対して熱 心に取り組むことは、精神的な成長に繋がりやすいのではないだろうか。強制 力のある団体の中で、自分のしたいことを我慢してでも、何かを上達したいと いう気持ちを持ち続けることは、精神的にとても負荷になるだろう。だから、 思春期に運動に熱心に取り組むことは、忍耐力を鍛えることにつながるのでは ないだろうか。 では次に、中学生と高校生の違いというものを考える。中学生と高校生の違 いは、自分で選択できることの範囲が広がることだ。つまり、中学生までは学 校も義務教育ということもあり、決められたものに従っていくことが多くある。 しかし、高校生からは義務教育ではなく、学校選びから始まり様々な物事を自 分で選択できるようになる。たとえば、中学生までは部活動に入っていること が当たり前のような風潮があるが、高校生になると帰宅部という選択肢もでき る。つまりそれは部活動に参加するかどうかも選べるようにもなる。自分の将 来の夢に向けて、その運動の強い学校に進学することも選択する人も自分の周 りにもよくいた。 つまり高校生からは何事も自主性を持って選択していくことができる。そし て、そして、その責任は全て自分で背負うことになり、自分で決めたからこそ 耐えなければならないという意識を持つこともある。様々な選択ができる中で、 負荷が大きく、辛いことも多い「遊びではない運動」を選択し経験するという 挑戦心は、精神力の中の忍耐力を高めることにつながるのではないかと思う。 2-3 運動の種類と忍耐力の関係 最後に、団体競技と個人競技と忍耐力との間の関係性について考察をする。

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自分の仮説では、個人競技の方が忍耐力を鍛えることができるのではないかと 考えていた。それは自分自身、団体競技も個人競技も経験していて、自分の経 験では個人競技の方が忍耐力を鍛えることができたからだ。なぜなら、個人競 技では、常に1人で物事に向き合わなければならない。さらに、何が起きても 自分の責任でしかなく、何事も避けることができないという閉鎖的な環境だと 思っていたからだ。 しかし実際のアンケートではそこまで差が出なかったが団体競技の方が、忍 耐力が鍛えられるという結果になった。これは自分の仮説とは逆に、個人競技 は自分にしか関係がない、言い換えれば他人に迷惑をかけることがないので、 物事を避けることはできなくても、妥協することができる。逆に団体競技は、 自分1人の行動で、周りの何人にもの仲間に影響を及ぼしてしまうことがある。 よって、辛いことでもやり遂げなければならない。そういった環境で忍耐力を 鍛えることができるのではないかと思う。 第4章 提案 子供の頃の運動経験は、自分の研究でも、徳永幹雄の研究でも、精神的な成 長に繋がる可能性は高いことがわかった。是非とも子供には、積極的にやって もらいたい。忍耐力を鍛えたいのであれば、高校生の頃に本気で取り組むこと が大切になる。そこで、私の提案は本気で取り組めるスポーツを高校生までに 見つけて欲しい。そのために、自分の意思で様々なスポーツに挑戦してもらい たい。もちろん団体競技、個人競技など様々な競技を経験してもらいたい。そ して、自分の学生という貴重な時間に精一杯取り組めるスポーツを見つけても らいたい。そのためには小学生や中学生での体育の授業では選択できる運動の 種類を増やして欲しいと思う。もちろんメジャーなスポーツも選択肢に入れる のはいいが、あまり触れることのないスポーツなども選択肢に入れて欲しい。 そして子供達の未来の選択肢を増やして欲しいと思う。 謝辞 本研究に関して、様々なご指導を頂きました枝廣淳子教授に深謝いたします。 また、調査の際に時間を割いてアンケートにご協力してくださった皆様にも感 謝いたします。

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参考文献 goo 辞書「忍耐力」 http://dictionary.goo.ne.jp/thsrs/4238/meaning/m0u/ goo 辞書「熱心」 http://dictionary.goo.ne.jp/thsrs/4309/meaning/m0u/%E7%86%B1%E5%BF% 83/ 徳永幹雄著「スポーツクラブ経験が日常生活の心理的対処能力に及ぼす影響」 http://ci.nii.ac.jp/els/110000407318.pdf?id=ART0000532909&type=pdf&lang =jp&host=cinii&order_no=&ppv_type=0&lang_sw=&no=1483919403&cp= 今回のアンケートフォーム https://docs.google.com/forms/d/1vd0d8--gPvZ6MDaySQAivRzALX9fP5AKU sJ3PFH88HY/edit あきた子育て情報 いっしょにねっと 平成23 年 02 月 01 日 第4回◆子どもに望ましい運動の仕方 http://common3.pref.akita.lg.jp/kosodate/nurturing/course/detail.html?cours e_id=53

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