• 検索結果がありません。

MS の新しい治療法 :MS の経口治療の科学と影響 対象者このアクティビティは 全世界の神経科医およびプライマリーケア医を対象としています 目的このアクティビティの目的は 多発性硬化症 (MS) の新しい病態修飾療法について

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "MS の新しい治療法 :MS の経口治療の科学と影響 対象者このアクティビティは 全世界の神経科医およびプライマリーケア医を対象としています 目的このアクティビティの目的は 多発性硬化症 (MS) の新しい病態修飾療法について"

Copied!
12
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

MSの経口治療の科学と影響

(2)

www.medscape.org/viewarticle/823890

対象者 このアクティビティは、全世界の神経科医およびプライマリーケア医を対象としています。 目的 このアクティビティの目的は、多発性硬化症(MS)の新しい病態修飾療法について、再発率、疾患の進行、動作機序、 効能および安全性プロフィールに関して、最新の臨床データおよびプロフィールを検討することです。 学習目標 このアクティビティの終了時に参加者は以下のことができるようになります: MS治療の作用機序を比較し、対比する 効能、安全性、忍容性に関する新しい病態修飾療法の最近の臨床データについて考察する 注射可能または経口のMS薬剤についてのデータを比較し、対比する 個々の患者に薬剤を選択する際の、注射可能および経口の薬剤の利点と危険性を検討する エディター情報および開示説明書 Ron Schaumburg, MA

Scientific Director, Medscape, LLC

開示:Ron Schaumburgは関連する財政上の利益相反関係がないことを開示します。

Andrew N. Wilner, MD

Neurohospitalist, Department of Neurology, Lawrence and Memorial Hospital, New London, Connecticut 開示:Andrew N. Wilnerは関連する財政上の利益相反関係がないことを開示します。

著者/所属情報および開示申請

Mathias Buttmann, MD、ヴュルツブルク大学(ドイツ、ヴュルツブルク)多発性硬化症クリニカルリサーチグルー

プ副長、MS外来クリニック医院長、シニアコンサルタント神経学者

Mathias Buttmannは、以下の財政上の利益相反関係があることを開示しました。

アドバイザーまたはコンサルタントとして務めた会社名:Bayer HealthCare Pharmaceuticals、Biogen Idec, Inc. 、Genzyme Corporation、Merck Serono、Novartis Pharmaceuticals Corporation、Ocatapharma

臨床研究の助成金を受け取った会社名:Merck Serono、Novartis Pharmaceuticals

Buttmann医学博士は、米国内での使用がFDAによって承認された薬剤、機械的デバイス、生物製剤、または診断法の認 可外の使用について考察する意図はあります。

Buttmann医学博士は、米国内での使用がFDAによって承認されていない、試験中の薬剤、機械的デバイス、生物製剤、 または診断法について考察する意図があります。

(3)

はじめに

多発性硬化症(MS)は、遺伝的感受性および環境暴露の組み合わせによって引き起こされる、慢性炎症性脱髄疾患で す。[1,2]大部分の患者が共有する単一のMS特異的な自己抗原はまだ確認されていませんが、T細胞が仲介するミエリン成 分に対する自己免疫の攻撃が、その病因の中心である可能性があります。[2]米国内で約400,000人、欧州内で600,000 人以上が多発性硬化症にかかっています。全世界の患者数は230万人であると推定されています。[3,4]この疾患は、男性 よりも女性で少なくとも2倍多く見られ、ほとんどの症例において 20~40歳の年齢で診断されています。 最初の臨床経過は通常、「再発寛解型」多発性硬化症(RRMS)であり、最新の病態修飾療法(DMT)の治療を受け なかったRRMS患者の約3分の2が最終的には、身体障害の累積によって特徴づけられる二次性進行型多発性硬化症 (SPMS)に移行します。[5,6] MS全患者の10~15%で、一次性進行型多発性硬化症(PPMS)が認められています。 発 病後15年目には、治療を受けていない患者の50%が歩行で支援が必要になります。[7] 世界の異なる場所からの観察研究 で、最近の数年間にわたって、全般的な臨床経過がより良性になっていることが示され、これは部分的には、RRMS患者 にとって最新のDMTが利用可能になったことが貢献している可能性があります。[8] 現在のDMTの最初の目的は、再発、 永久的な身体障害の新しい累積、磁気共鳴映像法(MRI)で検出される疾患の活動の予防を意図しています。これらの薬 剤は、注射、点滴、または経口で投与できます。残念ながら、PPMSの患者に承認されたDMTはまだありません。標準治 療として、急速な再発は、3~5日間にわたる高投与量のコルチコステロイドの静脈内投与によって治療されています。 歩行を向上させ、痙性および疲労などの症状を軽減するための対症薬 は、慢性進行性疾患の患者に薬物治療を提供して います。最近発売された3種類の経口DMTが、RRMS患者の治療オプション数を大幅に増加させました。新しいモノクロ ーナル抗体など、その他の治療法が近い将来、利用可能になるでしょう。[9] 注射治療 RRMSの最新の効果的な治療は、最初の注射可能なインターフェロンβ-1bが米国食品医薬局(FDA)に承認され1993 年に利用可能になり、その後にインターフェロンβ-1a製剤とグラチラマーアセテート(GA)が承認されました。[10] れらのすべての薬剤は、現在世界の大部分で承認されています。更に、一部のインターフェロンβ製剤が、一部の国で SPMSおよび混合型の再発のある患者に対して承認されています。[11] 2年間のピボタル臨床試験では、これらの非経口 治療は、プラセボと比較して約30%、新しい再発寛解の出現の頻度を減少させました。また、それらの治療のほとんど は新しい恒久的な身体障害のリスクを中程度に減少させました。[12] 皮膚の副作用(痛み、炎症、硬結、皮下脂肪萎縮な ど)や全身性の副作用(インフルエンザ様症状、肝機能障害、血球減少症など)によって、注射治療を続けることが困難 な場合があります。[13,14] 注射治療は、MSで最も一般的に処方される治療法であり、効能は大きくなく、また有害事象プ ロファイルがほとんど良性であっても最適下であるため、患者の順守が限定的でした。その結果、より効果的でより忍容 性のある治療法が追求されています。[15,16] 注入治療 現在、MSに関してFDAおよび欧州医薬品庁(EMA)が承認済みの注入治療には、ナタリズマブおよびミトキサントロン があります。欧州では2013年9月にアレムツズマブが承認されましたが、2013年12月に米国のFDAは承認を却下しま した。これら3種類の薬剤は再発率の低下で非常に効果的であり、潜在的な重大な有害事象のために、一般に第2または 第3選択薬に限定されています。ナタリズマブは、2014年1月の時点で290人の治療患者中1人で進行性多巣性白質脳症 (PML)との関連性が示されており[17] 、ミトキサンロンは患者の12%に収縮機能障害、0.4%に鬱血性心不全、0.8% に二次性急性白血病の原因となる可能性が示されました。[18] アレムツズマブ治療では、生命を脅かすが治療可能な自己 免疫有害事象(1%に免疫性血小板減少性紫斑病、0.3%にグッドパスチャー症候群など)が起こる可能性があります。 更に、注入治療後3年以内に約1/3の患者で自己免疫性甲状腺機能障害が発生しました。一部の症例では、これらの合併 症は最後の注入後から数年経過するまで発現しない場合があります。[19]

(4)

経口治療

2010年以来、3種類の経口治療が利用可能になっています。各治療法には異なる作用機序と特有な有害事象プロフィー ルがあります。これらの新しい薬剤および開発中の複数の他の経口治療を以下に検討します。

フィンゴリモド

歴史:フィンゴリモドは昆虫性病原菌のIsaria sinclairii の代謝物であるミリオシン/ISP-1に由来しています。[15] 最初 は、腎臓移植拒絶反応を防止するための免疫抑制剤として研究されましたが、第3相臨床試験でフィンゴリモドはシクロ スポリンの効果 を高めませんでした。[15] フィンゴリモドは in vivoでリン酸化されて活性型になり、Gタンパク質共役 型のスフィンゴシン1-リン酸(S1P)受容体に結合することが、追加の研究によって明らかになりました。フィンゴリモ ドは、CD4+ T細胞、CD8+ T細胞、B細胞を含む、末梢血リンパ球を減少します。[20] 細胞遊走および細胞内輸送への効 果は、フィンゴリモドは、MSなどの自己免疫病への治療への適用の可能性を示唆していました。[20] 作用機序:フィンゴリモドは、5つのS1P受容体の4つ(S1P1、S1P3、S1P 4、S1P5)に結合し、MS患者にとって有 益でありうる少なくとも2つの機序を有します。1つの機序では、フィンゴリモドはS1P1リンパ球受容体を機能的に拮抗 し、その結果、リンパ節内にケモカイン受容体7(CCR)陽性ナイーブおよび早期セントラルメモリーのT細胞を保持す ることになり、 炎症性障害を引き起こしうる中枢神経系(CNS)への浸潤を防ぎます。対照的に、外来抗原および癌細 胞への防御に必要な、CCR陰性後期エフェクターT細胞およびエフェクターメモリー細胞は、フィンゴリモドによってほ とんど影響を受けません。[20] フィンゴリモドの2番目の機序としては、血液脳関門を効果的に通過し、S1P受容体を発現する、アストロサイト、オ リゴデンドロサイト、ニューロン、小膠細胞、樹状細胞に直接影響する可能性があります。動物試験で示唆されるよう に、これらのCNSへの直接の影響は、神経防護作用があり、ミエリンの保護を促進し、神経変性を防ぐ可能性がありま す。[21] 第3相臨床試験:1272人のRRMS患者を対象とした、経口フィンゴリモドの無作為化二重盲検プラセボ対照、第3相臨床 試験(FREEDOMS)は、2年間にわたる年換算の再発率が、プラセボ群で0.40、0.5 mg/日のフィンゴリモド群で0.18 、1.25 mg/日のフィンゴリモド群で0.16を示し、両方のフィンゴリモド投与群で54%と60%の相対的減少を示しまし た(いずれの投与量でも、プラセボに対してP <0.001)。[22] 重要な副次的主要項目として、2年後の3ヶ月間の確認さ れた身体障害進行は、プラセボ群で24.1%、 0.5 mg/日のフィンゴリモド群で17.7%、1.25 mg/日のフィンゴリモド 群で16.6%を示し、プラセボ群と比較して、それぞれ30%および32%の相対的危険率(HR)の減少を示しました(い ずれかの投与群でも、プラセボに対してP <0.02)。 フィンゴリモドの両方の投与群は、24カ月目に報告されたすべて のMRI測定で、プラセボ群より優れており(P =0.03に対してP <0.001)、また、これには脳萎縮が含まれています( いずれかのフィンゴリモド群でも、プラセボ群に対してP <0.001)。FREEDOMS試験では、ベースラインでのガドリ ニウム増強病変部の存在で不均衡はありませんでした。有害事象には、最初の投与時の徐脈および房室ブロック、肝酵素 の上昇、高血圧、黄斑浮腫がありました。 主に米国内で実施された2番目の無作為化二重盲検、第3相臨床試験(FREEDOMS II)の結果が2012年の医学会で発表 されました。RRMSのある1083人の患者で、0.5または1.25 mg/日のフィンゴリモド投与群とプラセボ群が比較評価さ れました。[23] 2年目に、年換算の再発率が、プラセボ群で0.40、0.5 mg/日フィンゴリモド群で0.21、1.25 mg/日の フィンゴリモド群で0.20を示しました(いずれかの投与量でも、プラセボに対してP <0.001)。FREEDOMS Iとは対 照的に、確認された身体障害進行は、いずれの投与群でも有意な低減が認められませんでした。しかし、フィンゴリモド 群は、プラセボ群と比較して、脳容積の変化、炎症活動、MRI上の病変部を有意に低減しました。[24] プラセボ群と比較 してフィンゴリモド群でより頻繁に見られた有害事象には、基底細胞癌、帯状疱疹感染、高血圧、白血球減少症、アラニ ンアミノ基転移酵素レベルの増加、症候性徐脈、第2度心ブロックが含まれます。

(5)

1292人のRRMS患者を対象とした、無作為化二重盲検、12ヶ月間の第3相直接比較試験のTRANSFORMS試験では、ダ ブルダミー法で、0.5 mg/日および1.25 mg/日のフィンゴリモド投与群とインターフェロン β-1a(30 μg)の週一回 筋肉内注射投与群と比較評価されました。[25] 年換算の再発率は、インターフェロン群で0.33であり、0.5 mg/日群では 0.16.1.25 mg/日群では0.20でした(いずれのフィンゴリモド投与量でもP <0.001)。この1年間の試験で、身体障 害の進行に関して群間の有意な差は認められませんでした。1年間にわたる、新規または拡大したMRI T2病変部、ガド リニウム(Gd)増強T1病変部、脳萎縮は、インターフェロンβ-1aで治療された群と比較して、両方のフィンゴリモド群 で有意に低くなっていました。高投与量のフィンゴリモド群で、2例の致命的な播種性原発性水痘帯状疱疹および単純ヘ ルペスウイルス脳炎がありました。それ以外では、FREEDOMS IIと同様の有害事象が観察されました。 現在の研究:フィンゴリモドに関して進行中の臨床研究には、2014年9月に終了する予定の、PPMS患者を対象とする二 重盲検、プラセボ対照多施設臨床試験(INFORMS)、並びに、視神経炎、筋萎縮性側索硬化症、レット症候群、その他 の適応に関する試験があります。 さらに、世界的な妊娠レジストリ[26] を含め、MS患者でのいくつかの観察安全性試験 が進行中です。 適応: 本稿執筆の時点(2014年4月)では、再発型または再発寛解型MSの患者に対して、0.5 mgフィンゴリモドの1 日1回の経口投与は、(承認順に)ロシア、米国、アラブ首長国連邦(これら3国は2010年)、スイス、オーストラリ ア、その他の30の国で承認されています。カナダおよび欧州連合では、フィンゴリモドが2011年に疾患活動性の高い RRMS患者に対してのみ承認され、同じ決定が他の数カ国で行われています。2014年1月の時点で、臨床経験は84,500 人の以上の患者で118,500患者年以上に到達しました。[27] 禁忌:フィンゴリモドは、最近の心筋梗塞、不安定狭心症、脳卒中、一過性脳虚血発作、入院を必要とする非代償性心不 全、クラスIII/IV心不全、Mobitz II型第2度または第3度房室ブロックの既往歴または現存、洞不全症候群(ペースメー カーがある患者を除外)、ベースラインQTc時間 ≥500 m秒、クラスIaまたはクラスIII抗不整脈薬で治療中の患者には処 方できません。[28] 動物データは、奇形発生の危険性(FDAカテゴリーC)を示唆しているため、妊娠の可能性のある女 性にフィンゴリモドを投与できますが、その場合は、治療中および治療後2ヶ月間は効果的な避妊法を使用する必要があ ります。[29] テリフルノミド 歴史:FDA承認を得た2番目のRRMS用経口薬剤は、2012年に承認されたテリフルノミドです。テリフルノミドは、関 節リウマチ用のメトトレキサートに続く第2選択薬であるレフルノミドの活性代謝物です。[30] レフルノミドは、農薬 の殺虫剤の同定を目的とする大規模化合物プログラムで初めに発見されましたが、すぐにその抗炎症の性質が見つかり ました。[31] 欧州連合内では、1999年以来、関節リウマチの治療用として、2004年以来、乾癬用として使用されてお り、200万患者年以上の経験が累積されています。レフルノミドは副作用として重度の肝機能異常を起こし、また、ヒト では催奇形性への影響は実証されていませんが[31] 、動物実験では催奇形性が示されています。[30] 作用機序:テリフルノミドは、ミトコンドリアのピリミジンのde novo 合成における律速酵素であるジヒドロオロト酸 デヒドロゲナーゼを阻害します。[31] テリフルノミドは、多量のピリミジンを必要とする幼若リンパ球を標的とします が、別のサルベージ経路によって十分なピリミジンが得られる、静止リンパ球および恒常的増殖中のリンパ球を標的とし ません。[31] 高濃度では、テリフルノミドはin vitroで更にチロシンキナーゼおよびシクロオキシゲナーゼ2を阻害し、そ の結果、サイトカインおよび接着分子発現に変更が認められました。 これはin vivoで治療に関連性があるかどうかは不 明です。[31]

(6)

第3相臨床試験:1088人のRRMS患者を対象とした、テリフルノミドの無作為化二重盲検、プラセボ対照、第3相試験 (TEMSO)では、2年間にわたる年換算の再発率が、プラセボ群で0.54であるのに対し、7 mg/日のテリフルノミド群 で0.37、14 mg/日のテリフルノミド群で0.37を示し、両方のテリフルノミド投与群とプラセボ群との比較で、相対リ スクがそれぞれ31.2%および31.5%減少しました(いずれかの投与群でもP <0.001)。[32] 12週間の確認された身体障 害進行は、プラセボ群(27.3%の患者)と比較して、7 mg/日のテリフルノミド群(21.7%の患者)で減少の可能性に ついて統計的な傾向のみを示しました(P =0.08)が、14 mg/日のテリフルノミド投与群ではプラセボ群と比較して身 体障害が有意に減少しました(20.2%、P =0.03)。108週間後では、全T2病変部容積の変化の主要MRI転帰は、プラ セボよりも、 7-mg/日で39.4%低く(P =0.03)、14-mg/日で67.4%低くなっていました(P =0.003)。[33] Gd増 強T1病変部は、プラセボ群と比較して、両方のテリフルノミド投与群で有意に減少しました(両方の投与群でP <0.001 )が、脳萎縮はテリフルノミドによって有意な影響が見られませんでした(プラセボ群と比較して、7 mg投与群でP =0.19、14 mg投与群でP =0.35)。有害事象には、下痢、悪心、治療の中断にはほとんどの場合至らなかった髪が薄 くなること、アラニンアミノトランスフェラーゼの軽微な上昇が認められましたが、重度の肝機能異常の症例は認められ ませんでした。 1169人の再発性MS患者を対象とした、別の無作為化二重盲検、プラセボ対照、第3相試験(TOWER)では、年換算の 再発率は、プラセボ群(0.50)と比較して7 mg/日のテリフルノミド群(0.39、P =0.0183)、14 mg/日のテリフル ノミド群(0.32、P =0.001)で減少が実証されました。[5] TEMSO試験と同様に、14 mg/日のテリフルノミドは身体 障害の持続的な累積の危険性を有意に低減しました(相対的HRの減少32%、P =0.0442)が、7 mg/日のテリフルノ ミド群はプラセボ群と差がありませんでした。TOWERではMRI評価項目は含まれませんでした。最も一般的な有害事象 は、 TEMSOで見られた事象と同等でした。 TOPIC は、MSを示唆する最初の臨床症状(臨床分離症候群)の618人の患者を対象とした、プラセボ対照、2年間の第 3相試験でした。[34] 7 mg/日および14 mg/日の両方のテリフルノミド群では、臨床的に定義されているMSへの進行の リスクを有意に減少させました(プラセボ群(35.9%)、7 mg/日のテリフルノミド群(27.6%、P =0.0271)、14 mg/日のテリフルノミド群(24.0%、 P =0.0087)。両方の投与群は、新規の再発およびMRI T2病変部のリスクを有 意に低減しました。全体的に見て、副作用プロファイルはTEMSOおよびTOWERからの結果を確認しました。 324人の再発MS患者で実施された、第3相、評価者盲検化、比較試験(TENERE)では、副次的エンドポイントとしての 年換算の再発率は、14 mg/日のテリフルノミド群(0.26)およびインターフェロンβ-1a群(44 μg)(0.22、P =0.6) の間で有意な差がありませんでした。しかし、インターフェロンβ-1a群の患者と比較して、7 mg/日のテリフルノミド 群 (0.41)の患者では年換算の再発率が有意に高くなっていました(P =0.03)。[35] 確認された再発またはいかなる 理由であっても永久的な治療の中止の最初の発生によって定義される、主要複合エンドポイントは3つの治療群間で差が ありませんでした。 現在の研究:テリフルノミドに関する現在の臨床研究は引き続き、薬物動態、効能および安全性、免疫細胞への影響、脳 での病理学、その他の研究に関するMSに焦点が当てられています(clinicaltrials.gov)。さらに、観察安全性プログラ ムが進行中であり、EMAが要求する国際妊娠レジストリが2014年6月にデータ収集を開始する予定です。[36] 適応:テリフルノミドは、再発型多発性硬化症を治療するために毎日1回の投与でFDAによって承認されています。欧州 連合内では、テリフルノミドはRRMSの成人患者に承認されています。現在承認されているその他の国には、アルゼンチ ン、オーストラリア、コロンビア、カナダ、メキシコ、ベネズエラ、韓国があります。2014年4月までに、25,000人以 上のMS患者が本剤を服用しています。[37] 禁忌:テリフルノミドには、その親薬物であるレフルノミドでの経験に基づいて、肝不全についてのFDAブラックボック ス警告が付いています。[38] これまでのところ、テリフルノミドに関連して重度の肝不全の症例は報告されていません。 しかし、重度の肝障害をもつ患者では、禁忌となっています。テリフルノミドには、催奇形性に関してもブラックボック ス警告が付いており、妊娠中の女性には禁忌です(FDAカテゴリーX)。[38]本剤は動物で催奇形性を示していますが、ヒ トでの経験は非常に限定されているため、催奇形性がまだ明らかになっていません。テリフルノミドの半減期は長く、約 2週間であり、治療終了後2年間まで、血清内に測定可能なテリフルノミドが残る可能性があります。したがって、テリ フルノミド服用中に妊娠した女性は直ちに服用を停止し、カウンセリングを受け、確認された血漿内テリフルノミド濃度 が0.02 µg/mLより下がるまで、コレスチラミンまたは活性炭による加速的な除去を受ける必要があります。[38]

(7)

フマル酸ジメチル(DMF) 歴史: BG-12として知られるフマル酸エステルのDMFは、2013年に初めてRRMSの経口治療薬として承認されました。 フマル酸エステルは1959年以来、乾癬の治療に使用されており、ドイツでは重度の乾癬の治療に最も頻繁に使用されて います。1994年には、ドイツでこの適用のために正式に承認されました。[39] ドイツで使用されたフマル酸エステルの 混合物の代わりに、DMFは単一のフマル酸誘導体です。[39] DMFは初回通過代謝を受けてフマル酸モノメチルになり、こ れも薬理学的に活性です。[40] DMFは過去に靴製品や家具の殺菌剤として使用されてきましたが、低濃度で接触皮膚炎を 起こす可能性があるため、欧州連合によってこの目的での使用が禁止されました。[41] 作用機序: DMFは核因子赤血球由来2関連因子2の抗酸化反応経路を活性化し、理論的にはそれが神経の炎症、神経変 性、毒性の酸化的ストレスに対抗します。[42] さらにDMFはNF-κB経路を阻害し、それによって炎症誘発効果を含めた、 腫瘍壊死因子αが誘発する細胞内機能をブロックします。[39] 第3相臨床試験:1237人のRRMS患者を対象とした、無作為化二重盲検、プラセボ対照、第3相試験(DEFINE)では、 試験の2年間中に再発した患者の推定比率が主要エンドポイントでしたが、それはプラセボ群(46%)と比較してDMF 240 mg 1日2回投与群(27%)および1日3回投与群(26%)で有意に低くなっていました(いずれの投与量に対して もP <0.001)。[42] 2年目の年換算再発率は、プラセボ群で 0.36であり、DMF 240 mg1日2回投与群で 0.17、1日3回 投与群で0.19であり、DMFによる相対的減少 53%および48%に対応します(いずれの投与量に対してもP <0.001) 。しかし、プラセボとDMFを服用した患者でのGd増強MRI病変部の存在に関してベースラインで強い不均衡が認められ ました。MRIスキャンを受けた患者(プラセボ群 n=180、DMF 1日2回投与群 n=176)の内、プラセボ群で30%より 多くの患者がベースラインでGd増強MRI病変部が認められました。そのような病変部の存在は、将来の再発の確立され た予測因子となります。さらに、以前のRRMS試験とは対照的に、12ヶ月以前に臨床的再発がないことがDEFINE試験へ の選択基準でした。したがって、プラセボを服用した患者は、DMFを服用した患者と比較して、ベースラインでの炎症 性疾患の活性が高く、そのため、おそらく結果がDMFに有利になると予想されます。DMFの両方の投与群において、12 週間の確認された身体障害進行を減少させました。これは、プラセボ群では 27%であったのに対し、1日2回投与群で 16%(P =0.005)、1日3回投与群で18%(P =0.01)であり、それぞれで相対的HRの減少率が38%および 34%でし た。対照的に、いずれのDMF投与量もプラセボと比較して、24週間の確認された身体障害進行に有意な影響を示しませ んでした。Gd増強病変部および、T2強調で高信号の新しいまたは拡大した部分の数が、プラセボと比較して両方のDMF 投与量で減少しました(いずれの投与量に対しても、P <0.001)。しかし、ベースラインでの造影病変部の数はプラセ ボ群で30%高く、それによって、DMF治療効果の過大評価に至った可能性があります。2年間にわたる脳萎縮に関して は、一貫性のない効果が注目されました。低い投与群で有意な減少があり(P =0.02)、高い投与量では有意な減少が認 められませんでした。[43] 健康関連QOLの評価では、Short Form-36(SF-36)の身体的側面のQOLサマリースコアが、 プラセボ群よりもDMF群で高い結果が示されました(いずれの投与群においても、P <0.001)。[44] DEFINE試験での有害事象には、顔面紅潮、下痢、悪心、上腹部痛、リンパ球数の減少、肝臓アミノトランフェラーゼレ ベルの上昇、タンパク尿がありました。顔面紅潮と胃腸の症状は試験の最初の1ヶ月内に減少しました。しかし、種々の 期間にわたる胃腸症状および顔面紅潮の発生は減少する一方、これらの副作用の有病率はそれほど強く減少しませんでし た。[41] 最初の1ヵ月間、顔面紅潮の全体的な有病率は31%であり、2ヶ月目にはその比率は24%であり、 それ以降の月 では、あったとしてもほんのわずかだけ低下しました。重度の顔面紅潮事象の3例では、入院と静注コルチコステロイド での治療を必要としました。1日2回DMFを服用する患者にとって、胃腸症状の全体的な有病率は、最初の月で22%であ り、2ヶ月目に17%、それ以降の月では6~12%でした。治療を停止した患者の全体的な比率は、プラセボ群およびDMF 群の間で同等であったのに対し、DMFを服用した患者の3倍が、顔面紅潮または胃腸症状のために治療を停止しまた。プ ラセボを服用した患者は、疾患の進行のために停止する可能性が高くなっていました。顔面紅潮および関連症状の発症率 は、プラセボで治療された患者およびGAで治療された患者と比較して、DMF群で5倍高くなっていました。これらの有

(8)

別の無作為化、プラセボ対照、第3相試験(CONFIRM)では、1430人のRRMS患者がDMF 240 mgを1日2回群、DMF 240 mg を1日3回群、プラセボ群、またはプラセボ群に対する有効基準対照群としてGA(20 mg)を毎日皮下注射投 与しました。[45] この試験はDMFとGAの優位性または非劣性を評価するようには計画されていません。年換算の再発率 は、プラセボ群で0.40であり、3つのアクティブな群すべてで低下を示しました(DMF 240 mgを1日2回群において 0.22(P <0.001)、DMF 240 mg 1日3回群では0.20、(P <0.001)、GA群では0.29(P <0.01))。CONFIRM試 験では、ベースラインでのGd増強MRI病変部で不均衡がなく、DFM 1日2回群ではプラセボと比較して、再発率が44% 減少しました。DEFINEとCONFIRMの両方のサブグループ分析によって、ベースラインで高いEDSSスコアの患者、治療 歴のある患者、および、40歳以上の患者において、再発へのDMFの影響がより低いことが観察されました。しかし、そ れにもかかわらず、以前に高い疾患活動性のある患者の限定された一部の患者で、再発率の一貫した低下が実証されまし た。12週間の確認された身体障害進行 で可能な相対的リスクの減少は、積極的治療のいずれでも統計的に有意なレベル に達しませんでした(DMF 1日2回群(-21%、P =0.25)、DMF 1日3回群(-24%、P =0.20)またはGA群(-7%、P =0.70))。3つのすべての積極的治療は、プラセボ群と比較して、MRI上の新規または拡大したT2強調高信号帯病変 部の数(すべてに対してP <0.001 )、並びに 新しいT1強調低信号帯病変部の数(DMFのいずれかの投与量に対してP <0.001、GAに対して P =0.002 )を低減しました。対象的に、脳萎縮(CONFIRMまたはDEFINE試験のいずれでも報 告されていません)は3種類の積極的治療群のいずれでもプラセボ群と比較して有意に低くありませんでした。[46] 有害 事象はDEFINEで観察された事象と同等でした。プラセボで治療を受けた患者はSF-36サブスケールスコアで低下する傾 向があったのに対し、DMFおよびGAで治療された患者は一般的に改善するか、安定した状態に留まっていました。[47] 現在の研究: 現在の臨床研究は、薬物動態学、特別の集団、忍容性、RRMSにおけるDMFの使用および乾癬に主に焦点 が当てられています。さらに、観察安全性試験および世界中の妊娠暴露レジストリが継続されています。 適応:DMFは、成人における再発型多発性硬化症の治療のために、米国およびオーストラリアで承認されています。欧 州連合およびカナダでは、DMFはRRMS患者の治療に承認されています。欧州では2014年3月の時点で、ドイツでのみ この薬剤が市販されています。2013年9月までに、世界で約35,000人の患者がDMFで治療を受け、その中には、市販後 調査、臨床試験、無料薬剤プログラムの患者も含まれていました。[48] フマル酸はPMLの原因になりうるか?:本稿執筆の時点で、フマル酸を含む製品に関連して、乾癬患者で4例のPMLが報 告されています。これらの患者の内、少なくとも3人はPMLが発生する前に長期的な重度のリンパ球減少症を患わってい ました。今日まで、DMFで治療されているMS患者でPMLの症例は報告されていません。第3相のDEFINEおよび CON-FIRM試験でのリンパ球レベルの減少は、第96週までプラトーを示しました。[42,45] これらのデータから、DMFで治療さ れ、PMLのリスクの可能性のあるMS患者の早期発見のために、注意深くリンパ球のモニタリングを継続することがおそ らく推奨されます。 禁忌:添付文書にはDMFの絶対禁忌は記載されていませんが、重度の感染のある患者にこの薬剤を処方しないことがお そらく賢明です。[53] DMFはリンパ球減少症を起こす可能性があるため、処方情報が指示するように、治療前に全血検査 を実施し、定期的に検査を継続する必要があります。重度のリンパ球減少症が治療時に起こるとすれば、治療開始から最 初の1ヶ月間に起こる可能性が高いと考えられます。ヒトでは催奇形効果は知られていませんが、動物では有害事象が見 られています(カテゴリーC)。 その他の第3相および第2相試験を実施した経口薬剤 アザチオプリン:プリンヌクレオシドの類似体であるアサチオプリンは、RRMS用の第2選択薬として2000年にドイツで 承認されましたが、現在の基準に従って徹底的にまだ試験されていません。米国では、アザチオプリンは、同種腎移植の 拒否反応の防止、および活動性関節リウマチ用に承認されました。[54] クラドリビン:クラドリビンの活性代謝物である2-クロロデオキシアデノシン三リン酸が細胞内に蓄積すると、細胞内 の代謝が乱され、DNAの合成と修復が阻害され、アポトーシスを導きます。[55] リンパ球の傾向のため、CD4+とCD8+ のT細胞、およびCD19+ B細胞の急速な減少が起こりますが、その他の免疫細胞の減少は比較的に少なくなっていま す。さらに、クラドリビンは炎症性サイトカイン、ケモカイン、接着分子発現、単核球の細胞遊走を減少させます。[55] 1326人のRRMS患者を対象とした、2つの投与量(3.5 mg/kgまたは 5.25 mg/kg)のクラドリビンの無作為化二重盲 検、プラセボ対照、第3相試験(CLARITY)では、再発率、身体障害進行、および疾患活動性のMRI測定値が有意に減少 しました。[55] 顕著な有害事象には、リンパ球減少症(低投与量で21.6%、高投与量で31.5%)、帯状疱疹(プラセボ で0人であったのに対し、低投与量群で8人、高投与量群で12人)が認められました。経口クラドリビンは、また、無作 為化二重盲検、第3相試験(ORACLE)で最初の臨床上の脱髄性イベントの患者においてMSの診断を有意に遅延させま した。[56]

(9)

クラドリビンは最初にロシアとオーストラリアで承認されましたが、日和見感染症および悪性腫瘍の増加に関して懸念 があったため、FDAとEMAによって承認が拒否されました。[56] 治験依頼者はその後、クラドリビンの開発を中止しまし た。 ラキニモド:ラキニモドは、ロキニメックスの経口用のキノリン-3-カルボキサミド誘導体であり、以前にMS用の治療 として第3相試験で評価されましたが、重度の免疫介在性の有害事象(漿膜炎、心膜炎、心筋梗塞など)のため取り下げ られました。[16,57] ラキニモドはロキニメックスより良好な安全性プロファイルを提供できるであろうという望みで開発 されました。ラキニモドは、炎症細胞のCNSへの浸潤を低減し、脱髄を低減し、軸索喪失を防ぐことが観察されていま す。その分子標的を含め正確な作用機序は不明であり、ラキニモドはリンパ球がCNSに遊走するのを抑制し、アストロ サイトの前炎症性反応を下方制御します。[16] この薬剤の脳萎縮を減らす能力は、神経保護的効果を示唆しています。 無作為化二重盲検、第3相試験(ALLEGRO)で、1106人のRRMS患者が2年間、経口ラキニモドを0.6 mg/日または プラセボを服用しました。[57] 年換算の再発率 はプラセボ群では0.39にあったのに対して、ラキニモド群ではより低い 0.30であり(ベースラインのばらつきを調整した後でP =0.002)、これは23%の相対的HR減少率に対応します。ラキ ニモド群はまたはプラセボ群(15.7%)と比較して、3ヶ月の確認された身体障害進行のリスクが低くなっていました (11.1%)(ベースラインのばらつきを調整した後でP =0.01)。MRIのT2強調画像におけるGd増強病変および新規ま たは拡大した部分の累積数は、プラセボ群と比較して、ラキニモド群で低くなっていました(調整後に両方でP <0.001 )。さらに、ラキニモド群の患者では脳萎縮が明白ではありませんでした(調整後にP <0.001)。ALLEGROの結果で は未調整の分析は報告されませんでした。[57,58] ラキニモドを服用した24人の患者(5%)で正常の上限の3倍以上のア ラニンアミノトランスフェラーゼレベルの一過性の上昇が認められましたが、プラセボ群では8人(2%)でした。正常 の上限の5倍以上の上昇は両方の群で同等に分布していました。有害事象は、少なくとも2人のラキニモドの患者に認め られ、プラセボ群に比してより頻繁に発生した有害事象には、下痢、悪心、腹痛、 尿路感染症、副鼻腔炎、虫垂炎(5人 のラキニモド患者、1人のプラセボ患者)、咳、背痛、関節痛、不眠症がありました。 1331人のRRMS患者を対象とした、ラキニモド0.6 mg/日の無作為化二重盲検、プラセボ対照第3相試験(BRAVO)に は、記述的比較のために、筋肉注射インターフェロン β-1a(毎週1回30 μg)の第3の評価者盲検化参照群が含まれてい ました。[59] 2011年のECTRIMS/ACTRIMS会議で最新のニュースとして発表された、BRAVOからの未調整データは、ラ キニモドおよびプラセボの間の年換算再発率(主要エンドポイント)の差について統計的 トレンドのみが示されました (ラキニモドによる相対的減少-18%、P = 0.075)。[60] しかし、T2病変部容積およびGd増強病変部のある患者パーセ ントに関して、治療群の間でベースラインの相違を調整した後、調整後の分析結果は、年換算再発率がプラセボの0.37 と比較して、ラキニモドでは0.29に有意に減少しました(P =0.026)。ベースラインでは、ラキニモド群と比較して、 プラセボ群では16%少ない患者がGd増強MRI病変部を有していました。同様に、身体障害進行の減少についても、ラキ ニモドは境界域の有意性しか示さず、10%のラキニモド患者と比べて、プラセボ群のわずか13%が確認された進行を経 験しました(HR減少率 -31%、P =0.063)。MRI上の脳萎縮は、プラセボと比較して-28%で、有意に減少しました (P <0.001)。有害事象はALLEGROで観察された事象と同等でした。生命を脅かす悪性腫瘍または日和見感染はあり ませんでした。[16] インターフェロン β-1a群では、年換算再発率はプラセボ群の0.37と比較して0.27まで有意に減少を 示しました(P =0.002)。身体障害進行または脳萎縮のリスクに関して、インターフェロン β-1a群ではプラセボ群と 比較して有意な効果を示しませんでした。現在、3番目の第3相試験(CONCERTO)が進行中です。この試験には最大 24ヶ月間で約1800人の患者が登録され、ラキニモド0.6 mg/日投与群およびプラセボ投与群に加えて、ラキニモド1.2 mg/日投与群が含まれます。500人のPPMS患者を対象とした 第2相試験であるARPEGGIOが現在、計画されています。 第2相で試験された薬剤

(10)

Siponimodは選択的にS1P1およびS1P5を標的にしますが、S1P2、S1P3、S1P4を標的にしません。S1P1とS1P5は、 特にアストログリオーシス、細胞生存、オリゴデンドロサイト突起の調整、T細胞のCNSへの遊走に関与しているた め、このプロファイルは非常に有益である可能性があります。SPMS患者でのSiponimodの効能および安全性が、第3相 EXPAND試験で現在試験されています。[61] ONO-4641もまた選択的S1P1およびS1P5受容体拮抗薬です。RRMSの第2相試験(DreaMS)で、ONO-4641はMRI上 の脳内病変を低減しました。[61] 選択的S1P受容体拮抗薬がフィンゴリモドより高い安全性の利点を提供できるかどうか は、更なる臨床試験を実施する必要があります。[62] さらに、経口のインテグリンα-4阻害薬であるフィラテグラストは、RRMS患者を対象とした無作為化二重盲検、プラセ ボ対照の第2相試験である程度の有望性を示しましたが、現時点では第3相試験はまだ開始されていません。[63] 新しい経口薬剤がMS治療に与える影響 3種類の新しい経口DMT(フィンゴリモド、テリフルノミド、DMF)が追加されたことにより、RRMS患者の治療オプシ ョンを拡大しました。個々の患者の治療の選択時にこれらの薬剤の相対的な利点とリスクを考慮する必要があります。 効能:MS患者で経口薬剤と非経口のDMTの間で直接比較はほとんどありませんが、これらの試験からの効能データは 有益です。1年間の直接比較のダブルダミー法のTRANSFORMS試験では、フィンゴリモド治療群の RRMS患者は、筋 肉内注射のインターフェロンβ-1a治療群の患者より有意に年換算の再発率が低く、また脳萎縮が低くなりました。[25] CONFIRM試験は、DMFとGAの効能を直接比較するよう計画されていませんでしたが、いくつかの測定値からDMFの 方が優れていると思われました。ただし、いくつかの重要な点において、DMF群がプラセボ群より優れていると判断さ れませんでした。[44] 評価者盲検化されたTENERE試験で、年換算再発率および治療成功期間に関してテリフルノミド 14 mg/日投与群は、インターフェロンβ-1a投与群と同等でした。一方、再発率はテリフルノミド7 mg/日を服用した 患者で有意に高くなっていました。[35]ラキニモドは、プラセボと比較して年換算再発率を有意に減少させませんでした が、BRAVO試験では、脳萎縮へ有意な治療効果を示しました。逆に、筋肉注射のインターフェロンβ-1aは、プラセボと 比較して、再発率を有意に減少させましたが、脳萎縮では有意に減少させませんでした。この試験は、インターフェロン β-1aに対してラキニモドの優位性または非劣性を判定するよう計画されていませんでした。経口薬剤と注入可能な薬剤 の相対的効能を明確に階層化するためには、より多くの比較データが必要です。 安全性および忍容性:注射可能なインターフェロンおよびGAには長期間の安全性記録が存在しますが、その中等度の治 療的有用性が順守の欠如によって低下する可能性があります。1日1回の経口薬剤(フィンゴリモド、テリフルノミド) または1日2回(DMF)投与は、頻繁な注入からの不快感を取り除くことによって、順守を改善する理論上の便益性が考 えられます。しかし、忍容性の問題は経口薬剤でも発生する可能性があります。例えば、フィンゴリモドでは帯状疱疹が 起こる可能性があり、DMFでは胃腸障害、テリフルノミドでは髪が薄くなることがあります。さらに、経口薬剤のそれ ぞれで潜在的に重篤な全身性の副作用が起こる可能性があります。すべての経口薬剤が少なくとも2回の第3相臨床試験 で試験されましたが、「現実の世界」での長期的経験はまだ限定的です。さらに、MS患者の多くは出産の可能性がある 女性であるため、催奇形性は重要事項です。フィンゴリモドおよびDMFは妊娠でFDAカテゴリーCであり、テリフルノミ ドはFDAカテゴリーXに分類されています。しかし、ヒトでこれらの薬剤の催奇形性の潜在性を実証した経験は非常に限 定的です。インターフェロンβは、ヒトでより低い平均出産時体重、より短い平均出産時身長、早産と関連付けられてお り、FDAの妊娠カテゴリーCです。 GAは、インターフェロンβと比較してヒトに関して利用できるデータが少数であり、 カテゴリーBに分類されています。[64] GAに関しては、動物またはヒトで 催奇形性効果がまだ記載されていません。GA は現在、200万以上のMS患者年の経験があります(Teva Pharmaceuticals、私信、2014年3月)。 結論 MS用の新しい経口薬剤が実証済みの方法である非経口のDMTに加わったことは非常に喜ばしいことです。新旧の両方の 薬剤は利点と不利点があります。新しい薬剤の長期的安全性データが存在しないため、患者にこれらの薬剤の使用を考慮 する際は、累積する効能および有害事象の臨床経験を監視することが賢明でしょう。 前向き観察安全性レジストリにで きるだけ多くの患者を含める必要があります。利用可能な治療選択肢が多数存在するため、治療判断を個々の患者に合わ せるのに役立つ予測バイオマーカーが、今、MS管理の分野で最も必要とされています。 謝辞:著者はRRMSを罹患する家族メンバーに本稿をささげたいと思います。この家族メンバーは、劇的な発病後、過去 15年間、注入可能な第1選択薬で良好にしています。

(11)

参照文献

1. Compston A, Coles A. Multiple sclerosis. Lancet. 2008;372:1502-1517. 2. Nylander A, Hafler DH. Multiple sclerosis. J Clin Invest.

2012;122:1180-1188.

3. National MS Society. MS prevalence. http://www.nationalmssociety.org/ About-the-Society/MS-Prevalence. Accessed March 24, 2014.

4. World Health Organization. Mental health. Atlas: Multiple Sclerosis Resources in the World 2008. http://www.who.int/mental_health/ neurology/atlas_multiple_sclerosis_resources_2008/en/. Accessed March 24, 2014.

5. Confavreux C, O’Connor P, Comi G, et al. Oral teriflunomide for patients with relapsing multiple sclerosis (TOWER): a randomised, double-blind, placebo-controlled, phase 3 trial. Lancet Neurol. 2014;13:247-256. 6. Confavreux C, Vukusic S. Age at disability milestones in multiple sclerosis.

Brain. 2006;129:595-605.

7. Noseworthy JH, Lucchinetti C, Rodriguez M, Weinshenker BG. Multiple sclerosis. New Engl J Med. 2000;343:938-952.

8. Kister I, Chamot E, Cutter G, et al. Increasing age at disability milestones among MS patients in the MSBase Registry. J Neurol Sci. 2012;318:94-99. 9. Deiss A, Brecht I, Haarmann A, Buttmann M. Treating multiple

sclerosis with monoclonal antibodies: a 2013 update. Expert Rev

Neurother. 2013;13:313-335.

10. Buttmann M, Rieckmann P. Interferon-beta1b in multiple sclerosis. Expert

Rev Neurother. 2007;7:227-239.

11. La Mantia L, Vacchi L, Di Pietrantonj C, et al. Interferon beta for secondary progressive multiple sclerosis. Cochrane Database Syst Rev.

2012;1:CD005181.

12. Goodin DS. The use of interferon beta and glatiramer acetate in multiple sclerosis. Semin Neurol. 2013;33:13-25.

13. Galetta SL, Markowitz C. US FDA-approved disease-modifying treatments for multiple sclerosis: review of adverse effect profiles. CNS

Drugs. 2005;19:239-252.

14. Balak DM, Hengstman GJ, Çakmak A, et al. Cutaneous adverse events associated with disease-modifying treatment in multiple sclerosis: a systematic review. Mult Scler. 2012;18:1705-1717.

15. Chun J, Brinkmann V. A mechanistically novel, first oral therapy for multiple sclerosis: the development of fingolimod (FTY720, Gilenya).

Discov Med. 2011;12:213-228.

16. Haggiag S, Ruggiere S, Gasperini C, et al. Efficacy and safety of laquinimod in multiple sclerosis. Ther Adv Neurol Disorders. 2013;6:343-352.

17. Biogen Idec, Inc. Data on file. www.tysabri.de. Accessed March 7, 2014. 18. Marriott JJ, Miyasaki JM, Gronseth G, et al. Evidence Report: The efficacy

and safety of mitoxantrone (Novantrone) in the treatment of multiple sclerosis: report of the Therapeutics and Technology Assessment Subcommittee of the American Academy of Neurology. Neurology. 2010;74:1463-1470.

19. Costelloe L, Jones J, Coles A. Secondary autoimmune diseases following alemtuzumab therapy for multiple sclerosis. Expert Rev

Neurother. 2012;12:335-341.

20. Brinkmann V, Billich A, Baumruker T, et al. Fingolimod (FTY720): discovery and development of an oral drug to treat multiple sclerosis. Nature

23. Calabresi PA, Goodin D, Jeffery D. Efficacy and safety of fingolimod versus placebo: primary outcomes from the phase 3 FREEDOMS II study in patients with relapsing-remitting multiple sclerosis. Poster presented at: 28th Annual Meeting of the European Committee for Treatment and Research in Multiple Sclerosis; October 10-13, 2012; Lyon, France. Poster 491.

24. Radue EW, Goodin D, Jeffery D, et al. Fingolimod reduces magnetic resonance imaging inflammatory lesion activity versus placebo in patients with relapsing-remitting multiple sclerosis: results from the phase 3 FREEDOMS II study. Poster presented at: 28th Annual Meeting of the European Committee for Treatment and Research in Multiple Sclerosis; October 10-13, 2012; Lyon, France. Poster 724.

25. Cohen JA, Barkhof F, Comi G, et al. Oral fingolimod or intramuscular interferon for relapsing multiple sclerosis. New Engl J Med. 2010;362:402-415.

26. Gilenya® Pregnancy Registry. https://www.gilenyapregnancyregistry.com. Accessed on March 24, 2014.

27. Novartis Pharma GmbH. Personal communication.

28. Gilenya® [package insert]. East Hanover, NJ: Novartis Pharmaceuticals Corporation; 2012.

29. Karlsson G, Francis G, Koren G, et al. Pregnancy outcomes in the clinical development program of fingolimod in multiple sclerosis.

Neurology. 2014;82:1-7.

30. Behrens F, Koehm M, Burkhardt H. Update 2011: leflunomide in rheumatoid arthritis-strengths and weaknesses. Curr Opin Rheumatol. 2011;23:282-287.

31. Claussen MC, Korn T. Immune mechanisms of new therapeutic strategies in MS-teriflunomide. Clin Immunol. 2012;142:49-56.

31. Østensen M, Förger F. How safe are anti-rheumatic drugs during pregnancy? Curr Opin Pharmacol. 2013;13:470-475.

32. O’Connor P, Wolinsky JS, Confavreux C, et al. Randomized trial of oral teriflunomide for relapsing multiple sclerosis. New Engl J Med. 2011;365:1293-1303.

33. Wolinsky JS, Naravana PA, Nelson F, et al. Magnetic resonance imaging outcomes from a phase III trial of teriflunomide. Mult Scler.

2013;19:1310-1319.

34. Miller A, Wolinsky J, Kappos L, et al. TOPIC main outcomes: efficacy and safety of once-daily oral teriflunomide in patients with clinically isolated syndrome. Presented at: 29th Annual Meeting of the European

Committee for Treatment and Research in Multiple Sclerosis; October 2-5, 2013; Copenhagen, Denmark. Oral presentation 99.

35. Vermersch P, Czlonkowska A, Grimaldi LME, et al. Teriflunomide versus subcutaneous interferon beta-1a in patients with relapsing multiple sclerosis: a randomised, controlled phase 3 trial. Mult Scler. 2013. [Epub ahead of print]

36. European Network of Centres for Pharmacoepidemiology and Pharmaco vigilance. Study identification: an international pregnancy exposure registry of women with multiple sclerosis (MS) exposed to teriflunomide. http://www.encepp.eu/encepp/viewResource.htm?id=5603. Accessed on March 24, 2014.

37. Genzyme Sanofi. Personal communication.

(12)

42. Gold R, Kappos L, Arnold DL, et al. Placebo-controlled phase 3 study of oral BG-12 for relapsing multiple sclerosis. New Engl J Med.

2012;367:1098-1107.

43. Arnold DL, Gold R, Kappos L, et al. Effect of BG-12 on brain atrophy and lesions volume: MRI results from the DEFINE study during first and second year of treatment. Paper presented at: 64th American Academy of Neurology Annual Meeting; April 21-28, 2011; New Orleans, LA. Abstract IN3-2.002.

44. Kappos L, Gold R, Arnold DL, et al. Quality of life outcomes with BG-12 (dimethyl fumarate) in patients with relapsing-remitting multiple sclerosis: The DEFINE study. Mult Scler J. 2014;20:243-252.

45. Fox RJ, Miller DH, Phillips JT, et al. Placebo-controlled phase 3 study of oral BG-12 or glatiramer in multiple sclerosis. New Engl J Med.

2012;367:1087-1097.

46. Arnold D, Gold R, Kappos L, et al. Effect of BG-12 on brain atrophy and lesions volume: MRI results from the DEFINE study during first and second year of treatment. Paper presented at: 64th American Academy of Neurology Annual Meeting; April 21-28, 2011; New Orleans, LA. Abstract S11.003.

47. Kita M, Fox RJ, Phillips JT, et al. Effects of BG-12 (dimethyl fumarate) on health-related quality of life in patients with relapsing-remitting multiple sclerosis: findings from the CONFIRM study. Mult Scler J. 2014;20:253-257. 48. Biogen Idec, Inc. Personal communication.

49. Sweetser MT, Dawson KT, Bozic C. Manufacturer’s response to case reports of PML. New Engl J Med. 2013;368:1659-1660.

50. Buttmann M, Stoll G. Case reports of PML in patients treated for psoriasis.

New Engl J Med. 2013;369:1081.

51. Ermis U, Weis J, Schulz JB. PML in a patient treated with fumaric acid. New

Engl J Med. 2013;368:1657-1658.

52. van Oosten BW, Killestein J, Wattjes MP. Case reports of PML in patients treated for psoriasis. N Engl J Med. 2013;369:1081-1082.

53. Tecfidera® [package insert]. Cambridge, MA: Biogen Idec, Inc; 2013. 54. Imuran® [package insert]. San Diego, CA; Prometheus Laboratories;

May 2011.

55. Giovannoni G, Comi G, Cook S, et al. A placebo-controlled trial of oral cladribine for relapsing multiple sclerosis. New Engl J Med.

2010;362:416-426.

56. Leist TP, Comi G, Cree BAC, et al. Effect of oral cladribine on time to conversion to clinically definite multiple sclerosis in patients with a first demyelinating event (ORACLE MS): a phase 3 randomised trial. Lancet

Neurol. 2014. [Epub ahead of print]

57. Comi G, Jeffery D, Kappos L, et al. Placebo-controlled trial of oral laquinimod for multiple sclerosis. New Engl J Med. 2012;366:1000-1009. 58. Filippi M, Rocca MA, Pagani E, et al. Placebo-controlled trial of oral

laquinimod in multiple sclerosis: MRI evidence of an effect on brain tissue damage. J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2013. [Epub ahead of print]

59. Vollmer TL, Sorensen PS, Selmaj K, et al. A randomized placebo-controlled phase III trial of oral laquinimod for multiple sclerosis. J Neurol. 2014. [Epub ahead of print]

60. Vollmer TL, Soelberg Sorensen P, Arnold DL on behalf of the BRAVO Study Goup. A placebo-controlled and active comparator phase III trial (BRAVO) for relapsing-remitting multiple sclerosis. Paper presented at: 5th Joint Triennial Congress of the European and Americas Committees for Treatment and Research in Multiple Sclerosis; October 19-22; Amsterdam, The Netherlands. Late-breaking news abstract 148.

61. Bigaud M, Guerini D, Billich A, et al. Second generation S1P pathway modulators: research strategies and clinical developments. Biochimica et

Biophysica Acta. 2013. [Epub ahead of print]

62. Roberts E, Guerrero M, Urbano M, Rosen H. Sphingosine 1-phosphate receptor agonists: a patent review (2010-2012). Expert Opin Ther Patents. 2013;23:817-841.

63. Miller DH, Weber T, Grove R, et al. Firategrast for relapsing remitting multiple sclerosis: a phase 2, randomised, double-blind, placebo-controlled trial. Lancet Neurol. 2012;11:131-139.

64. Lu E, Wang BW, Guimond C, et al. Disease-modifying drugs for multiple sclerosis in pregnancy: a systematic review. Neurology.

参照

関連したドキュメント

 スルファミン剤や種々の抗生物質の治療界へ の出現は化学療法の分野に著しい発達を促して

或はBifidobacteriumとして3)1つのnew genus

(注妬)精神分裂病の特有の経過型で、病勢憎悪、病勢推進と訳されている。つまり多くの場合、分裂病の経過は病が完全に治癒せずして、病状が悪化するため、この用語が用いられている。(参考『新版精神医

医師の臨床研修については、医療法等の一部を改正する法律(平成 12 年法律第 141 号。以下 「改正法」という。 )による医師法(昭和 23

次に、第 2 部は、スキーマ療法による認知の修正を目指したプログラムとな

前項では脳梗塞の治療適応について学びましたが,本項では脳梗塞の初診時投薬治療に

いしかわ医療的 ケア 児支援 センターで たいせつにしていること.

健学科の基礎を築いた。医療短大部の4年制 大学への昇格は文部省の方針により,医学部