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現代 日本の金融改革 と地域金融機 関

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三重大学法経論叢

2 7

2

号 ・

ト1 7 2 0 1 0

3

現代 日本の金融改革 と地域金融機 関

野 崎

《目 次≫

Ⅰ. は じめに

Ⅱ.現代 日本 の金融改革の進展 と地域金融機 関へ の影響 1.金融再生」か ら 「金融改革」へ

2.

リレバ ンの提起 と経緯

3.

現在 の リレバ ンの取組 み内容 とその問題点

4.

金融危機後の中小企業 ・地域金融の実像

Ⅲ.地域金融機 関をめ ぐる現状 と課題

1.

地域金融機 関の現状

2.

地域金融機 関に求め られる役割 と何 か

3.

真 の リレバ ンの機能強化 はいか にあるべ きか

Ⅳ.おわ りに

Ⅰ.

は じめ に

2 0 0 8

年秋以 降の世界 的 な金融危機 は実体 経済に波及 し,急速な景気悪化 を招いた。た だ し,各国政府 による積極的な財政出動等の 政策支援が進め られた結果,

1

年後の

0 9

秋段 階では当初懸念 された

「 1 0 0

年 に1度の 危機」 を回避で きたかに思われている 日本 経済に限定 して見て も,

0 8

年度末に向けて急 速に落ち込んだ景気 も春先 を底 に上向いてい ると見 られてお り,鉱工業生産や機械受注等 の各種統計が増加 に転 じ,

0 9

7 ‑ 9

月期の実 GDP も 1次速報 において

1. 2%

(年率換 算で

4. 8%)

増加 していることな どがその根 拠 として示 されている(1)

しか しなが ら,雇用情勢 は全 く改善 してお

らず,欧米 の失業率 はほぼ

1 0%

の水準 に達 し, 日本で も失業率は過去最悪の水準 に高止 ま りし,有効求人倍率は過去最低水準 を更新 し続 けている 雇用不安への十分 な対処 も成 し得 ない まま物価下落が続 き,政府 は

1 1

の月例経済報告で 「緩やかなデフレ状況にあ る」 として正式 にデフレ宣言 を行 った(2) 部の大企業 を中心 に,中国をは じめ とする新 興国の経済成長に依存 した外需主導の業績回 復 を再び実現 した として も,将来不安 に起 因 する買い控 えなどが続 けば,政策支援が途切 れた段階で実体経済は再 び急速 な悪化へ と逆 戻 りして しまうことは必至である もうすで に中小零細企業 を中心 に企業倒産は増加 し始 めてお り,地域経済は疲弊の度合いを一層強 めている

(2)

 

 

 

 

 

 

さらに,金融市場 には投機マネーが再び流

入 し始めてお り,マネーゲームの再燃 を危倶 す る声 も上がっている 急激 な ドル安円高の 進行や株式市場の乱高下, さらに各種商品市 場で も不安定な値動 きが続いてお り,今次の 金融危機 ・経済危機の直接的な原因 ともいえ る証券化 商 品市場 も再 び活況 を示 しつつ あ

そ もそ も今回の金融危機 ・経済危機 は,

9 0

年代後半以降,世界的に進め られて きた新 自 由主義的経済政策の帰結 として もた らされた ものである 競争政策 を基礎 に,資本 にとっ て蓄積制限 となる規制 を緩和 ・撤廃 し, さら に民営化 を推 し進めるとともに,経済の 「 融化」 を軸 としてマネーゲームを進めて きた のであ り,サブプライムロー ンを組み込んだ 複雑 な証券化商品な どを新たに生み出 しなが ら,世界規模でバ ブル経済 を醸成 し,それが 崩壊 したのであった。 こうした現状認識 に立 ち,今何 よりも求め られているのは,新 自由 主義的経済政策か らの抜本的転換である 弊する地域経済や苦境が続 く中小零細企業 な どの事情 を考慮 に入れた経済構造の真の改革 が求め られているのであ り,そのために有効 な競争制限的な規制の再構築が必要 とされて いる 日本 に即 して言 えば, ここ

1 0

年 にわ たって進め られて きた構造改革路線,規制緩 和 ・民営化推進の経済政策の抜本的な見直 し

こそが求め られているのであ り,地域経済, 中小企業,国民生活 を護 る経済ルールの再構 築が必要 とされていると言えよう

本稿 では,以上の ような問題意識 に立ち, 金融分野における新 自由主義改革の批判的検 討 に際 し,中小企業 ・地域金融分野 に焦点 を あてることとす る(3)。 とい うの も,中小企業 ・

地域金融 の担 い手 であ る地域金融機 関(4) リレーシ ョンシップ ・バ ンキ ング (以下, リ レバ ン)や地域密着型金融 と称する取組みに よって,十分 な 「成果」 をあげているとされ る一方で,中小企業金融の苦境,地域経済の 疲弊は増すばか りであ り,本当に中小企業 ・ 地域金融 とって地域金融機関は十分 な役割 を 果た しきれているのか, とい う疑念が解消 さ れないか らである リレバ ン ・地域密着型金 融 (以下,総称 して リレバ ン)下の地域金融 機関の実像 を示す ことによって,新 自由主義 改革の問題点 を示す とともに,今後の 日本の 地域金融機関の課題 を明 らかにすることとし たい。

以下,

では現代 日本 における新 自由主義 的金融改革の進展が地域金融機関にどのよう な影響 を与 えて きたかを考察す る その際, 競争的な金融環境の創 出の一方で, リレバ ン の名称で地域金融のあ り方に大 きな影響 を与 えて きたことを指摘するとともに,金融危機 後の現在,中小企業 ・地域金融が どの ような 状 況 に陥 ってい るのか につ いて考察 を加 え 続いてⅢでは,地域金融機関をめ ぐる現 状 と課題 について考察する まず地域金融機 関の現状 について詳 しく検討 し,地域経済 に おける地域金融機関の果たすべ き役割 を確認 するとともに,求め られる真の リレバ ンの機 能強化の方策について も触れることとする

最後 にでは,今後の課題 を明 らかに して結 び とす る

(3)

現代 日本の金融改革 と地域金融機関 ⑳

Ⅱ.

現代 日本の金融改革の進展 と地域 金融機 関への影響

1.

金融再生」 か ら 「金融改革」へ 日本 における新 自由主義的金融改革は,漸 進的 ・段 階的 に進め られて きた。 まず

9 0

代後半 には 日本版 ビ ッグバ ンの提起 (96

1 1

月)によって,金融分野の規制媛和が進め られ,銀行での投信窓版や株式売買委託手数 料の 自由化,証券業の登録制‑の移行,金融 持株 会社 の解 禁 な どが矢継 ぎ早 に進 め られ た。 フリー ・フェア ・グローバルのスローガ ンを掲 げ,

2 0 01

年 まで に東京 をニュー ヨー ク, ロン ドンに並ぶ国際金融市場 とするとい う壮大 な目標 を持 って改革が進め られた もの の,現実 には全 ての金融機関がバブル崩壊後 の不良債権問題 とい う負の遺産に対処せねば な らず,十分 なビッグバ ン対応 を成 し得た と は言 えなかった。 とりわけ大手金融機関にお い て は,

9 0

年 代 に グ ロ ー バ ル な 再 編 劇

( M&A)

を行 った欧米金融機関への対抗上, メガ再編 を選択せ ざるを得 ない状況へ と追い 込 まれてい くこととな り,不良債権問題 にも 十分 な 目途がたたない下での対応 を余儀 な く された。

こうした流れの中で,米国か らの強い要請 の下 に進め られたのが「金融再生 プログラム」

である

0 2

1 0

月 に打 ち出された 「金融再 生プログラム」 は,不良債権処理の早期最終 処理 を掲 げ,主要行 の不 良債権比率 を

0 4

度末 までに半減 させ ることを目的 とした もの であった。 こうして,大手金融機関の不良債 権問題 に決着 をつけた上で

(

金融再生

」 )

,本 格的な新 自由主義的な 「金融改革」を推進 し てい くことが方向づけ られたのである

この 「金融再生 プログラム」は日本の金融 システムをアメ リカン ・ス タンダ⊥ ドにす り 合 わせてい くものであ り,資産査定の厳格化 や 自己資本の充実など,従来の 日本的な貸出 慣行 は大 きく修正 され,収益性 ・効率性重視 の銀行経営‑の転換が余儀 な くされるもので あった。一方で,不良債権処理促進 を目的 と し,貸 出債権の厳格査定が進め られるため, 当然予想 されたのが新たなる貸 し渋 りや貸 し 剥が しの横行であった。中小企業 ・地域金融 への悪影響が懸念 される中, ここで初めて リ レバ ンの提起がなされたのである (

1

次 リ レバ ン)。後述す るように, この段 階での リ レバ ンの提起 は,中小企業団体や地域金融の 活性化 を願 う運動 を反映 した面 もあ り,評価

しうる部分 も内包 した ものであった(5) 実際の 「金融再生プログラム」は,その初 期 には不良債権が逆 に増加 し,戦後最悪の中 小企業倒産 を招来するなど大 きな問題点 を露 呈 した(6)。ただ し,痛みを中小企業や地域経 済 に押 し付 ける一方で,主要行の不良債権比 率の半減 を実現 し,大企業中心の景気 回復へ と導いたことをもって,小泉政権下では高 く

評価」 されるとともに,その後の金融分野 における本格的な新 自由主義改革導入‑の道 を切 り開 くもの となった。

続いて

0 4

1 2

月に打 ち出されたのが 「 融改革プログラム」である これは平時の対 応 として,わが国を 「金融サービス立国」 と す ることを 目指 し,「貯蓄か ら投資へ」のス ローガンの下,金融改革が推進 されてい くこ ととなった。 この改革下では,後 にライブ ド ア事件や村上 ファン ド事件 などが引 き起 こさ れ,国内で一時的にマネーゲーム礼賛の現象 も生 じることとなるのであるが, ともあれ こ

(3)

(4)

の 「金融改革」 は リス クマネーの取 り扱 い を 家計 にまで広 げる とともに,経済 の 「金融化」

をよ り一層推 し進 め る ものであった。市場主 義 に基づ く競争政策の浸透 は,格差社会 をよ

り顕在化 させ てい くこととなった。

一方, この 「金融改革 プログラム」 におい て も, 中小企業や地域経済の悪化への対処策 として,「金融再生 プログラム」に引 き続 いて リレバ ンが提起 (2次 リレバ ン) されてい くことなった。 ただ し,後述 の ようにここで の リレバ ンは,新 自由主義改革の色彩 を強 く 帯 びた もの として,第

1

次 リレバ ンか ら大 き

く変質 した もの となってい ったのである 以上の ように,金融分野 における新 自由主 義改革 は リレバ ンとともに推進 されていった のであ り,現在 の 「金融 ・資本市場競争力強 化 プラン」下で は,地域密着型金融 とい う名 称で恒久化措置 とされてい る ただ し

,0 7

夏以 降のサ ブプライム問題 の顕在化,

0 8

年秋

の リーマ ンシ ョック以 降の金 融危機 に よっ て, 日本 にお ける新 自由主義的金融改革 は一 時的停滞 を余儀 な くされている さ らに,金 融 危 機 が実体 経 済 に波 及 す る中で,中小 企 業 ・地域経済が急速 に窮地 に追い込 まれは じ め,新 自由主義改革の問題点が顕在化 してい くこ ととな り, リレバ ンの 「現実」 も明 らか にされてい くこととなった。

2.リレバ ンの提起 と経緯

リ レバ ンの経 緯 を示 した のが 図表

1

で あ リ レバ ンの全体像 は, 「金融再生 プログ ラム」で提起 された リレバ ン (1次 リレバ ン)の2年 間に 「金融改革 プログラム」で提 起 された リレバ ン (

2

次 リレバ ン)の

2

間 を加 えた4年 間を経 て,その後 も金融庁が 地域金融機 関の 自主的対応 を促す形で恒久化

されてい る (

3

次 リレバ ン)。

その当初 の4年 間は,金融庁 よ りアクシ ヨ

図表1 リレバ ンの経緯

ワーキンググループおよび報告書 (期間 .公表 日)

1

次リレバ ン

2*集中改善期間 金融審議会金融分科会秦二部会のリレーションシップバ ンキングの 金融再生プ003‑04年度 あ り方に関するワーキンググループ 〔03年1‑3月〕

「リレーションシップバ ンキングの機能強化 に向けて(金融審議

会金融分科会第二部会)〔03年

3

月27日〕 ログラム

「リレーションシップバ ンキングの機能強化に関するアクションプ ログラム(金融庁)〔03

3

月28日〕

2次 リレバ ン「リレーシ ョンシップバ ンキングの機能強化 に関するアクション 金融改革プログラム プログラム」の実績等の評価等に関する議論の整理 (座長メモ)」(

2005‑06年度 融庁)〔05年

3

月28日〕

*集中改善期間 地域密着型金融の機能強化の推進に関するアクシ ョンプログラ (金融庁)〔05

3

月29日〕

3

次 リレバ ン

2*恒久化措置007年度以降 金融審議会金融分科会第二部会のリレーションシップバ ンキングの 金融資本市場競争力強化プラン あ り方に関するワーキンググループ 〔07年2‑3月〕

地域密着型金融の取組みについての評価 と今後の対応について」

出所〕金融庁公表資料か ら筆者作成。

注〕備考欄 は各 リレバ ン期 における 「金融 システム改革」の基本政莱

(5)

現代 日本の金融改革 と地域金融機関 ⑳

ンプログラムが公表 され,地域金融機関は数 値 目標等 の達成 な ど,強制的対応が求め られ ていた。

ここで まず第

1

次 リレバ ンの際の リレバ ン の定義 を確認 してお こう 金融審議会金融分 科 会 第二 部会 が03

3

27日に公表 した

「リレーシ ョンシ ップバ ンキ ングの機能強化 に向けて」と題す る報告書 では,「金融機 関が 顧客 との間で親密 な関係 を長 く維持す ること によ り顧客 に関す る情報 を蓄積 し, この情報 を基 に貸 出等の金融サー ビスの提供 を行 うこ とで展 開す るビジネスモデル」 をリレバ ンと 定義 している この定義 に見 られるようなリ レバ ンの機能強化 であれば,それ 自体金融行 政の課題 として位置づけ られたことを評価す べ きであろ う なぜ な ら,貸 し渋 りや貸 し剥 が しが横行す る中で,金融的困難性 に直面す る中小企業が増加 してお り,そ うした事態へ の新 たな対応 こそが求め られていたか らであ

しか しなが ら,そ もそ もこの リレバ ンの機 能強化 には独 自の困難性 があ り,現場 では「 期的」 な対応 や 「高 コス ト負担」が求め られ ることとなるが,金融行政が地域金融機関に 求めたのは,本来であればこの リレバ ンの対 極 的な手法 である トランザ クシ ョン ・バ ンキ ング (以下, トラバ ン) をも取 り入れること であった。 この トラバ ンは,主 として財務情 報 に基 づ く定量 的信 用 リス ク評価 に基 づ い て,融資実行 の有無や与信額,金利等の融資 条件 を自動的に判定す る手法であ り,いわゆ る 「クレジ ッ ト ・ス コア リング」 な どを活用 して中小企業貸 出をシステム化 し, コス ト削 減 を図ろ うとす る ものである。明 らかに,本 来の リレバ ン遂行 に とっては異質 な対応が求

め られた ことは,地域金融機 関に新 たなる負 荷 をもた らした と言 える と同時 に,中小企 業が真 に求めている金融ニーズ とはかけ離れ た行動計画が地域金融機 関に義務付 け られる

こととなった。

こうした トラバ ンに親和 的なリレバ ンへ と 明示 的に内容変更 したのが第

2

次 リレバ ンで あ った。第

2

次 リレバ ンの報告書 で は

,

択 と集 中」,「自己責任」,「規律付 け」 な どの 表現 が盛 り込 まれることで, 自己責任 に基づ く 「短期 的」 な 「成果」の実現が地域金融機 関に求め られることとなったのである(7)

こうした方向性 は

,0 7

年以降の リレバ ンの 恒久化措置 において も貫かれるとともに, よ り強め られることとなった。一応,数値 目標 を強制せず, 自主的判断 を尊重す るとされて はい るが,実際 には 「強制的」 な もの として 地域 金 融機 関の行 動 を支 配 してい る と言 え そ こで,次節では現時点での リレバ ンの 取組 みの内容 と問題点 について検討す ること

に しよう

3.現在 の リレバ ンの取組 み内容 とその問 題点

金融庁 が0978日に公表 した 「平成

2 0

年 度 にお け る地域密着型金融 の取組 み状 況 について」 と題す る報告書 によれば, リレ バ ンへ の取組みは非常 に高 く 「評価」 される

もの となっている

前述 の ように,現在 の リレバ ンは恒久的措 置 として,数値 目標 な どを金融庁がチ ェック す るシステム とは していない とされている

地域 金 融機 関 に共通 して求 め る取組 み と し て,① ライフサイクルに応 じた取引先企業の 支援 の一層の強化,(参事業価値 を見極 める融

(6)

資手法 をは じめ中小企業 に適 した資金供給手 法の徹底,(彰地域の情報集積 を活用 した持続 可能な地域経済‑ の貢献,の

3

つの分野 とす ることとし,その具体 的な取組み方法 も各金 融機 関の 自主 的 な経営判 断 に委 ね るこ とと なっている なお, これ までの融資実績 をふ まえ,不動産担保 ・保証 に過度に依存 しない 融資の拡充 を図る とともに̀8),地域行政等 と の連携 によって地域経済再生の取組みをリー ドす る こ とも課題 とされ る こ ととなってい

ただ し, これまで通 り各金融機関の各取組 み を金融庁 が掌握 してい る点 につ いては変 わってお らず,例 えば,経営改善支援 につい ては図表2に示 されているように, リレバ ン 全期 間にわたってデー タを集計 し,結果 とし てその取組み を 「強制」す る構 図 となってい

また,経営改善支援 の取 り組みでのランク アップ率 については,それ 自体 をどう見 るか とい う問題 もある そ もそ も経営改善支援先 を絞 り込んだ上で,その うちの

1‑2

割の企 業の債務者 区分 をランクア ップさせた として 評価 されているのであるが,全体か ら見れば

わずか2%程度の企業‑の支援であ り,改善 可能 な企業 に限定 しているとすればこれは地 域金融機 関にとって当然の対応であ り,む し ろ残 された圧倒的多数‑の支援 こそが問題 に されるべ きである

ちなみに, こうした取組みが銀行経営 にど の ような影響 を与 えているのか とい う金融庁 か ら地域金融機 関へのヒアリングによれば,

不 良債権残 高 の減少 や与信 関係 費用 の抑 刺,信用 リスク管理の強化や審査能力の向上, 中小企業向け貸 出や非金利収入の増加,貸出 資産の小 口分散化や取引先の裾野拡大 などに よ り自らの財務の健全性や収益性 の向上 につ ながって きている」 との声が多 く聞かれた と されている(9)。

しか しなが ら, こうした金融庁 のコメ ン ト を額面通 り受け取 ることはで きず,全体 とし て疲弊す る地域経済 と地域金融機関の現況か ら再吟味 しなければな らない。 さらに,そ も そ もこうした リレバ ンの推進の際 に,ソフ ト 情報の提供 にかかる多大 なコス トとその負担

を,現在 の地域金融機関の 自己責任 ・自己努 力 にのみ委ねて もいいのか とい う根本的な問 題 もある(10'。す なわち,行政側が トラバ ンと

図表2 経営改善支援の取組み

単位 ;%,件〕

2 0 0 3 2 0 0 4 2 0 0 5 2 0 0 6 2 0 0 7 2 0 0 8

経営改善支援取組み

先のランクアップ率 地域金融機関地域銀行

1 1 6. 5. 0 2 1 1 8. 8. 4 2 1 1 6. 5. 5 9 1 1 3. 4. 7 2 l l l. l. 5 4 1 1 7. 8. 4 0

信金 .信組

1 7. 1 1 8. 8 1 7. 1 1 3. 2 l l. 6 1 6. 9

ビジネスマッチング

の成約件数 地域金融機関地銀 .第二地銀

6, 5, 2 7 2 41 8, 8 1 0, 4 9 2 9 8 1 7 1 3, 5, 9 1 5 5 4 2 2 1 4, 9, 0 5 4 0 0 2 2 21, 7, 4 3 9 6 6 2 2 2 9, 3, 5 7 31 2 9

資料〕金融庁

注〕経営改善支援取組み先 は正常先 を除 く。

(7)

現代 日本 の金融改革 と地域金融機 関 ◎

親和 的な リレバ ンの機 能強化 を求めているた めに,地域金融機 関の現場 では,店舗や人員 の削減 な どの リス トラ推進 に よるコス ト捻 出 や,小企業 を中心 とした貸 出先数の切捨 てな どの対応 を余儀 な くされてい るのである こで次節 で は,

0 8

年秋以降の金融危機 に伴 う 中小企業 ・地域金融 の実像 について もう少 し 詳 しく分析 す ることにす る

4.

金融危機 後 の中小企業 ・地域金融の実

0 8

年秋 以 降の世界 的 な金 融危機 の顕在化 は,外需 に依存 して きた 日本 の実体経済 を急 速 に悪化 させ た。 とりわけ, これ まで好調 を 維持 して きた輸 出関連 の製造業 を中心 に大打 撃 を与 える とともに,各種経済指標 は軒並 み 戦後最悪 の数字 を示 し続 けた。

こうした中で, 中小企業経営 は一層悪化 し 続 けてお り, 日銀短観 における企業の資金繰 り判断

DI

において中小 企業 が特 に落 ち込 ん でい る状 況 が示 されてい る (図表

3 ) 。

さ ら に 日本政策金融公庫 の

0 9

1 0

月調査 で も, 中小 企業 の資金繰 り判 断 は

26

ケ月連続 のマ イナス を記録 してお り, 中小企業 を中心 に企 業倒産が増加 し,不 良債権 問題 も再燃す る中

で,地域経済 も疲弊 の度合 い を強め る結果 と なってい る

そ こで, ここではまず企業倒産の現状 を確 認 してお こう

0 9

1 0

月の企業倒産 (負債 総額

1 0 0 0

万 円以上,任 意整理 を含 む)は前月 比 で

9. 1%

増 を記録 した (東京商工 リサ ーチ 調 査

) 。0 9

年 の 企 業 倒 産 は

ト1 0

月 計 で

1 3, 21 2

件 であ り,通年 では

0 8

年 の

1 5, 6 4 6

を上 回 る状況 で推移 している ちなみに,

0 0

年 以 降 で は

0 5

年 の

1 2, 9 9 8

件 を底 に,

0 6

1 3, 2 45

件,

0 7

1 4, 0 91

件 へ と企 業 倒 産 は 年 々増加 して きてい る(ll)

こ う した企 業倒 産 の約

9 8%

が資本 金

1

円未満 の中小企業である そ もそ も中小企業 数 の減少 は

8 0

年代 半 ばか ら進行 してお り, 中小 企業 数 の ピー クは

8 6

年 の

5 3 5

万社 に対 し,

0 6

年末 には

4 2 0

万社 にまで激減 した。実 にピーク時の

7 8%

であ り,実数 としては

1 1 5

万社 の減少 を記録 してい る 有効 な中小企業 支援策が講 じられていない現在, その減少傾 向に歯止 めがかか っていない。例 えば,前述 の東京 商工 リサ ーチ

1 0

月調査 で は,資本金

1 0 0

万 円以上

5 0 0

万 円未満 の小規模企業 の企 業倒産 も

7. 7%

増 とな り, 中小企業全体 とし て,精算型企業倒産の増加 が指摘 されている

図表3 企業の資金繰 り判断DI〔日銀短観〕

2 0 0 8

2 009

6

9

1 2

3

6

9

大企業

1 8 1 5 7

▲4

1 6

中堅企業

7 3 ▲2 ▲11 ▲7 ▲6

中小企業

▲8 ▲1 1 ▲1 5 ▲23 ▲20 ▲1 8

資料〕 日本銀行 ホームページ

楽 であ る」‑「苦 しい」。単位 %ポイ ン ト ▲ はマ イナス

(8)

一方, こうした中小企業 の苦境 に対 し,氏 間金融機 関は中小企業向け貸 出を減少 させ続 けてい る

01

3

月期 にそ の残 高 は約

2 9 3

兆 円あったが,

0 8

1 2

月 には約

2 3 6

兆 円‑

と約

5 7

兆 円 も減 らしてい る(12)。 0

9

3

月期 の中小企業向け貸 出残高 は,後述 の緊急保証 制度 な どの政策支援があったに も関わ らず, 全体 として減少 させ てお り,大手銀行お よび 第二地銀では過半数の金融機 関が減少 させて い る (東京 商工 リサ ーチ調べ)。中で もと り わけ大 きくその残 高 を減少 させたのが

3

大 メ ガバ ンクグルー プであ り,三菱UFJフィナ ンシ ャルグルー プが

1

4 5 8 9

億 円,̲みず ほ フィナ ンシャル グルー プが

1

42 3 4

億 円, 三井住友 フィナ ンシ ャルグルー プが

9 8 5 6

円,合計で4兆 円近 く減 らしている(13)

こうした中小企業 向け貸 出の減少 は,地域 金融機 関の預貸率の低下 として表れている

0 8

3

月 の預 貸 率 を

8 9

3

月 と比 較 す る と,地銀 は

7 7. 9%

か ら

7 3. 9%

へ,第二地銀 は

8 0. 8%

か ら

7 6. 2%

‑,信 金 は

7 0. 2%

か ら

5 5. 8%

へ,信 組 は

7 5. 2%

か ら

5 7. 5%

へ とそ れぞれ低下 してい る それに対 して,預証率 は同時期 に,地銀 は

2 3. 3%

か ら

2 8. 3%

へ,第 二地銀 は

1 9. 1%

か ら

2 3. 4%

,信金 は

1 5. 6%

か ら

2 8. 5%

‑,信組 は

9. 2%

か ら

1 9. 0%

へ と 大 きく上昇 している この点 については 「 来地元の中小企業 に回るべ き資金が,国債等 有価証券へ逃 げ,地域経済の疲弊化 を招 いた。

これが預証率上昇 の意味である」 との指摘 も ある(14)

以上の ように,現在 の民 間金融機 関は,地 域の中小企業へ の融資 も十分 に行 えない状況 下 にあ り,多 くの企業倒産 を誘発 している

ここに先 に検討 した リレバ ンの 「評価」 とは 相反す る実態が示 されてい る と言 えよう

ただ し,金融危機 ・経済危機が深 まる現在, 政府 ・日銀 は積極 的な金融支援策 を打 ち出 し ている そ こで続いて,政府 ・日銀 による企 業の資金繰 りに関す る直接 的 ・間接 的支援策

について述べ てお こう (図表4参照)。

まず 日銀 は

0 8

年秋 に

2

度 にわた って政策

図表4 政府 ・日銀による主な企業金融支援策

主な対象 支援策 実施主体 導入時期 実績 (兆円) 期限等 全般 企業金融支援特別オペ 日銀

0 8 /1 2 7. 3 0 9 / 1 2

大 .中堅企業 CP買現先オペ積極化 日銀

0 8 /1 0 2. 8

CP等買入 日銀

0 9 /1 0. 1 0 9 /1 2

社債買入 日銀

0 9 /. 2 0. 2 0 9 / 1 2

危機対応業務.(CP買取) 政投銀

0 9 /1 0. 4 1 0 /3

出資 (改正産業再生法) 政投銀

0 9 /4 0. 0 3 1 0 /3

中小企業 緊急保証制度セーフティネット貸出 信用保証協会日本政策金融公庫

0 0 8 8 /1 / 1 0 0 1 5. 5. 4 0 1 0

/3

出所〕ニ ッセイ基礎研究所 「経済 ・金融 フラッシュ 」

No . 0 9 ‑ 0 9 3

,

2 0 0 9

年1

0

1 3

日,

p. 2

より転載

注〕実績欄 は, 日銀,財務省, 中小企業庁, 日本政策金融公庫,商工 中金 よ り

0 9

年1

1

月末のデー タ

(9)

現代 日本の金融改革 と地域金融機関 ⑳

金利 を引 き下げることによって金融緩和策 を 継続 した。 さらに金融市場の安定確保のため の措置 として長期国債の買入れの増額や,国 債買現先オペの拡充や米 ドル資金供給オペの 導入 ・拡充 を実施 している この他 にも金融 機関保有株式買入れ も再開 し, さらに日銀 自 らが企業の保有す る株式や社債,CPを購入 す ることで流動性 を供給するとい う異例の取 組み も行 っている ちなみに, 日銀 によるこ うした異例の措置 については,行 き過 ぎた企 業支援 との見方 もある

政府 も緊急経済対策 を打 ち出す中で,企業 金融円滑化の支援のための措置 として,政策 投資銀行や商工中金, 日本政策金融公庫,宿 用保証協会 とともに図表4に示 されているよ うな支援策 を実施 している 緊急保証制度は 当初の資金枠 (6兆円) を 2度 にわたって拡 充 し

3 0

兆 円を準備す る とともに,対象業種

5 4 5

業種か ら

7 81

業種‑ と拡大 している また 日本政策金融公庫 を通 じて低利のセーフ ティネ ッ ト融資 も行 っている 緊急保証制度 お よびセーフティネッ ト融資の

0 9

1 1

月末 現在 の実績 は,合計 で

2 0

兆 円を突破 してい る (図表4参照)。

さらに,金融機関が融資 しやす くするため に,貸出条件の媛和措置 に関す る規制の緩和 も進め られて きた。金融庁 は

0 8

1 1

7

よ り,「中小企業向け融資の貸 出条件緩和 が 円滑 に行われるための措置」を講ず ることで, 融資条件 (貸出条件)の緩和 を行 って も,実 現可能性の高い抜本的な経営再建計画があれ ば貸出条件媛和債権 には該当 しない との取扱 いを行 うこととし,そのための監督指針の改 定お よび金融検査マニュアル別冊 〔中小企業 融資編〕の取扱いの緩和 を行 うこととなった。

こうした措置 によって,それ以前 に比べて貸 出条件媛和 を行 った債権 は

0 9

4 ‑ 6

月期 に 合計で

8 5 6 3

件,

4 7 8 4

億 円増加 し,不良債権 とな らなかった ものが

1 0 2 3

件か ら

1

4 3 6 0

件,

3 8 5

億 円か ら

8 3 3 9

億 円へ と大幅に増加す るとい う成果が表れている

こうした政策支援 によって一部に有効 な成 果が表れて きているものの,前述の ように中 小企業 をめ ぐる経営環境 は再 び悪化 しつつあ り,政府 は

0 9

1 1

1 9

日には,中小企業や 住宅 ローン利用者 を対象 に借入金の返済 を猶 予する 「中小企業等金融円滑化法案」 を衆院 で強行採決 した。 この法案の骨子は以下の通

りである

まず第

1

に,猶予期 間は

2 0 1 1

年 までの時 限措置す る ただ し,中小企業の状況が変わ らない場合 には自動延長することも含み とさ れている

2

に,貸 し手の対象 となる預金 取扱金融機関には中小企業 と住宅ロー ンを抱 えた個人等の借 り手か ら申込みがあった場合 にはで きるだけ条件変更に応 じる努力義務 を 課す。 この点についてはあ くまで努力義務で あって金融機関の姿勢 を変 えさせ ることがで きるか どうかが金融当局の対応 にかかってい

3

に,返済猶予 にとどまらず金利の減 免や返済期 限延長,債権放棄 など幅広い条件 変更 を促す。第4に,条件変更に応 じた金額 や件数 を金融機関に定期的に開示 させ る お,虚偽の報告 には

1

年以下の懲役か

3 0 0

円の罰金 を科す。第

5

に,不良債権の基準 を 緩和する この点については,先の経営再建 計画の作成 自体 を1年間猶予する緩和措置 を とり,不良債権 と分類 されない範囲を広 げる ための金融検査マニュアルが見直 されること となっている

6

に,既存貸出を国の信用

(10)

保証の対象 とす る新たな信用保証制度 を導入 す る。 これは公的融資や保証 を受 けていない 中小企業 の既存借入の一部 に保証 をつける仕 組みであ り,企業倒産の場合 には信用保証協 会が借入額 の

4 0%

を負担す る ものであ る

ただ し, この新たな制度 を利用で きるのはこ れまで保証 を使 っていない企業 に限 られる

こうした対応が果た して有効 に機能 し, こ れか らの中小企業の経営難の解決 に結びつ く か どうかは現時点では不 明であるが,資金繰

りに苦 しむ多 くの中小企業 にとっては緊急避 難措置 として必要 な措置である と言 える(15) この他,経済産業省 も年末の中小企業の資金 繰 り対策 を公表 し, この間の支援策の一層の 活用 を促す とともに,既存貸 出については返 済条件の変更に応 じることな どを民間金融機 関に強 く求めている。 また中小企業庁 も企業 実態が

1 0

年前 よ りも深刻 である として,宿 用保証協会への総額

7 0 0

億 円の貸付制度の創 設 を決定 し,年内に実施す るとしてい る̀16)。

以上の ように,様 々な政策支援措置が講 じ られてはいるものの(17),中小企業向け貸 出は 回復せず,地域経済の疲弊 とともに多 くの中 小企業が厳 しい経営状態 に追い込 まれつつあ 先 に見た高評価 を与 え られて きた リレバ ンの取組み とは矛盾す る事態が ここに示 され

ている 一部の地域金融機 関は,後述の新金 融機能強化法 に基づ く公的資金投入 によって 体力強化が図 られ ようとしているが,金融機 関間の業績格差 は大 きく広が りつつあ り,也 域金融の統廃合 も進め られ ようとしている

そ こで章 を改めて,地域金融機 関をめ ぐる現 状 と課題 について考察す ることとす る

Ⅲ.地域金融機 関 をめ ぐる現状 と課題

1

.地域金融機 関の現状

ここ

2 0

年 間の地域金融機 関数 を示 したの が図表

5

である 現在 までの ところ地銀数 に は変化 はない ものの,第二地銀,信金,信組 ともに大 き く数 を減 らしてい る こ とが わか (18)

さらにこの間の地域金融機関の店舗 の減少 が著 しい。デー タは若干古 いが

0 6

3

月段 階で

0 0

年か らの減少数 を見 た場合(19), 地銀

4 0 2

,第二地銀

1, 1 2 8,

信金

8 6 8,

信組

6 6 7

あ り,合計

3, 0 6 5

の地域金融機 関の店舗が失 わ れ た こ とに な る これ に都 銀

4 2 8

,農協

7 3 2

,郵 便 局

6 0

を加 え る と,全 国 で 実 に

4, 2 8 5

にも達す る こうした店舗 の減少 は人 員削減 と一体 として進め られ,地域 の雇用 に

も大 きな悪影響 を与 えて きた。

図表5 地域金融機 関数の推移

1 989 ( a ) 1 9 9 9 ( b) 2 0 0 輿 ) C a C‑b

地方銀行

6 4 6 4 6 4 ±0 ±0

第二地銀

6 8 6 0 4 4 ‑2 4 ‑1 6

信用金庫

45 4 3 8 6 2 7 9 ‑1 75. ‑1 07

資料〕 日銀 『金融経済統計月報』, 『預金保険年報』各年版等 よ り筆者作成。

注〕金融機 関数 は各年度当初 の数

(11)

現代 日本の金融改革 と地域金融機関 ⑳

以上の ように,地域金融機 関数お よび店舗 の大幅 な減少 は中小企業 ・地域金融 に とって 大 きなダメージを与 えてお り,前述の ように 中小企業向け貸 出は激減 している ここで, こうした地域金融機 関数の激減の背景 につい て簡単 に述べてお こう

まず第

1

に地域金融機 関の経営状態が悪化 しているとい う問題が挙 げ られる バ ブル崩 壊後 の

9 0

年代半 ばにかけては乱脈融 資型の 不良債権が増加 し,多 くの地域金融機 関が債 務超過 に陥 り経営破綻す るか,統廃合 による 生 き残 りの道 を選択せ ざるを得 なかった。 さ らに

9 0

年代末か ら00年代初頭 にかけては, 一向に回復 しない地域経済の実情 を反映 し, 不況型の企業倒産増加 による不良債権 の増加 に よって も淘汰が進行 してい った。03年度 以降はペイオフ凍結解除 もあ り経営破綻 は回 避 させ られているが,統廃合 による減少 はさ

らに加速度的に進行 して きている

ここで地域金融機 関の現在 の経営状態 につ いて見 てお こう 地銀 ・第二地銀 の

09

3

月期決算 は,実質業務純益 は

1

1 43 2

億 円 の黒字 (前年比

3 6. 5%減益)であるが,不良

債 権 処 分 損 が

1

1 83 4

億 円 (前 年 比

6 6%

堰),株式等関係損益が

41 3 2

億 円の損失 とな り,当期純利益 は前年 の

6 401

億 円の黒字か ら一転 して

41 3 8

億 円の赤字 となった。個別 行 を見 て も約4割が赤字 に転落 している̀20) 信金 ・信組 も当期利益が大幅 に縮小 し,例 え ば信 金 で は

3

分 の

1

が 赤 字 に転 落 して い (2

1 ) 。09

年度

9

月期決算では,地銀 を中心 に 業績 回復 を果た して きた ところもあるが(22),

全体 として十分 な経営状況であるとは言い難

い 。

続いて地域金融機 関数激減の第

2

の背景 と

して,金融改革推進の影響が考 えられる 自由主義的金融改革 に基づ く激 しい競争政策 の結果,生 き残 りをかけた地域金融機 関間の 統合が進展す るとともに,メガバ ンクや外資 系投資 ファン ドが関与 した統合促進 も見 られ るようになって きている ここでは地域金融 機関の各業態毎 にその動 向を見 てお こう

まず地銀 についてであるが,合併戦略 を軸 に再編が 開始 された。長 らく6

4

行体制 を継 続 して きた ものの,メガバ ンクによる地域金 融機 関の囲い込み競争が全 国各地で激化 して いる下でその体制 も崩 されることとなった。

0 9

年度 中に経営統合 を発表 した荘 内銀行 と 北都銀行,池 田銀行 と泉州銀行の

2

つの経営 統合のケース を見 ると,それぞれみずほフィ ナ ンシャルグループ,三菱UFJフィナ ンシャ ルグループの全面的バ ックア ップの下で,統 合 を進展 させている 前者の荘 内銀行 と北都 銀行 は

0 9

1 0

1日に統合 し, フ イデ ア

ホールデ ィングス として営業 を開始 してい ちなみに,この

2

つの経営統合 は,

0 9

9月

1 8日に 「

産業活力 の再生及 び産業活動 の革新 に関す る特別措置法」 に基づ く事業再 構築の認定 を受 け,持 ち株会社設立 などの再 編 の 際 に登 録 税 免 除 等 の 支 援 を受 け て い

る(23)。

次に第二地銀 であるが, ここでは地銀 より も一足早 く再編が繰 り返 され,メガバ ンクの 関与 (‑系列化)も活発化 しているとともに, 外資系 の投資 ファン ドが経営 に関与す る事態

も進行 している(24)。第二地銀 は過少資本の傾 向が強いため,外資系投資 ファン ドによる買 収の標的 とされやす く,既 に東京ス ター銀行 や東和銀行では外資系 の投資 ファン ドが経営 に関与 している こうした外資攻勢への対抗

(12)

策 として,国内のメガバ ンクとの関係 を一層 深めるところも半数近 くに及んでお り, ます ます中小企業や地域経済 との関わ りが希薄化 せ ざるを得 ない状況 も進展 している

次 に協同組織金融機関をめ ぐる状況 につい てである 協 同組織金融機関の代表 としての 信用金庫,信用組合 は,そ もそ もそのあ り方 ・ 存在意義が問われる中,前述の ようにその数

を激減 させて きた。03年 には 「金融機関の組 織再編成の促進 に関す る特別措置法(金融 機関合併促進法)が

1

1

日に施行 され,「 域金融機関等の経営基盤の強化 を図るため」

に,主 として協 同組織金融機関の合併等 に関 す る規制 を除去 し,規模拡大のための再編が 促進 されて きた(25)。 また「信金株式会社化論」

または 「信金制度改廃論」がたびたび浮上す る中で,多 くの地域 において,信金 と地銀 ・ 第二地銀 との競争関係が俄烈 さを増 し,生 き 残 りをかけた信金の再編が実際に進め られて きた。ただ し

,0 9

6

1 9

日の金融審議会 金融分科会第二部会 「協 同組織金融機関のあ り方 に関するワーキ ンググループ」の中間論 点整理報告書では,「地域経済や中小企業 に 対する金融伸介機能の担い手 としてその重要 性 は益 々増 してきている」 として,協 同組織 金融機 関の重要性 が再認識 され るこ ととな り,現時点では,信金のあ り方 をめ ぐる議論 は沈静化 している̀26)。

以上のように,厳 しい経営環境の下で,激 しい競争関係 を強い られている地域金融機関 の中には,経営体力 を大 きく損 なっていると ころも出て きている そ うした地域金融機関 の救済 を目的 とした公的資金投入の枠組みが

0 8

1 2

1 7

日に復活 した。いわゆる 「新金 融機能強化法」であ り,期限切れであった 「

融機能 の強化 のための特別措置 に関す る法 (金融機能強化法)を復活 させ,保証枠 を

1 2

兆 円まで拡大 し,

1 2

3

月末 までの時限 措置 とした。旧金融機能強化法 は048

1

日に施行 され,「国の資本参加 に よる金融 機能の強化で,地域経済の活性化,信用秩序 の維持 と国民経済の健全 な発展」を目的 とし,

0 8

3月 までの時限措置 として2兆 円の公 的資金 を準備 した。実際に投入 されたのは, 紀陽ホールディングス,紀陽銀行,お よび豊 和銀行のみであった。

そ もそ もこの 「新金融機能強化法」は,体 力の疲弊 している地域金融機関, とりわけ第 二地銀の申請 ・再編 を促すため,申請 しやす い措置 として,旧法 にあった 「経営責任お よ び株主責任」条件 を除外 している 明 らかに モラルハザー ドの懸念 を有する措置 と言 えよ また協 同組織金融機 関が 申請す る場合 は,中央機関 (信金 は信金中金,信組 は全信 組連) を通す もの とされている

0 9

1 1

月時点での 「新金融機能強化法」

に基づ く国の資本参加 は

,6

行 にとどまって いる まず,

0 9

3

1 3

日に,北洋銀行 ( 海道)に

1 0 0 0

億 円,福邦銀行 (福井県)に

6 0

億 円,南 日本銀行 (鹿児島県) に

1 5 0

億 円の 資本参加が決定 され,

0 9

9

1 1

日に,み ちの く銀行, さらやか銀行,第三銀行 にそれ ぞれ資本参加が決定 した。ちなみに, さらや か銀行 は

0 7

年 に山形 しあわせ銀行 と殖産銀 行が合併 した ものである

以上のように,地域金融機関は厳 しい経営 を余儀 な くされ,その多 くが淘汰の危機 にさ らされている 一方の大手銀行 は, この間の 証券投資の失敗 による損失や敦損 した資本の 穴埋めに多額の増資を実施 してお り,

0 9

9

(13)

現代 日本の金融改革 と地域金融機関 ⑳

月期決算で も大幅な黒字 を計上 している(27)。

地域金融機関の中にも増資を実施す るところ も出て きているが,明 らかに経営体力が異 な るゆえ,地域の中小企業‑の十分 な資金供給 す らで きない ところ も出始 めてい る そ こ で,次節では現在の 日本経済 において地域金 融機関に求め られる役割 について明 らかにす

2.地域金融機関に求 め られる役割 と何 か 地域金融機 関 とは何 か について は,約20 年前の金融制度調査会中間報告 「地域金融の 在 り方」の中で,次 の ように述べ られ てい る(28)。 地域金融 とは 「一定の地域 を主たる営 業基盤 として,主 として地域の住民,地元企 業お よび地方公共団体等 にたい して金融サー ビスを提供する」金融活動 を行 うものであ り,

「その地域 か ら離 れては営業が成 り立 た な い,いわば地域 と運命共同体的な金融機関や, 効率性,収益性 をある程度犠牲 に して も地域 住民等のニーズに応 じる性格 を有する金融機 関 とい う側面 を有 している」 として,地銀, 第二地銀,協 同組織金融機関を挙 げている

一定の地域」 とはどこを指すのか暖味なと ころもあるが,今 日において も,地域金融機 関は上記の ようなもの と考 えるのが妥当であ る(29)。 とりわけ,「地域 と運命共同体的」な性 格 を有 し,「効率性,収益性 をある程度犠牲」

にす ることもあ り得 るとしている点が今,莱 た して実行 されているのかが問われなければ ならない。

また 「地域金融の在 り方」の中で地域金融 機関に期待 される役割 としては,第

1

に地域 住民 ・企業等の資産形成 ・資産管理,第

2

地元企業等への育成 ・振興,第

3

に地域社会

の質的向上が期待 され,地域 間格差の拡大 に 対応 して地域 開発 プロジェク トに積極的に参 画 し,地域活性化 に貢献す ることが挙 げ られ ていた。資金決済 ・振替 などの地域の経済活 動のインフラ的側面 を担 っている点が明記 さ れてお らず,開発 による地域経済の活性化等 にその重点が置かれてい る ように思 われ る が, ここでの期待 される役割 も概 ね妥当なも の として把握 される 要す るに,20年前 も現 在 も,地域金融機 関に求め られる役割 とは, 伝統 的銀行業務 の担 い手 としての役 割 であ り,地域社会 における社会的共通資本 として の機能(30),言い換 えれば 「地域金融インフラ」

としての機能であると言 える

ただ し,前述の ような地域金融機 関自体の 破綻 ・統廃合や店舗減少等 は,明 らかにこう した求め られる役割 を果たす ことを困難にし ている リレバ ンとは相容れない トラバ ンも 強要 されるな らば地域金融機関に求め られる 役割 と現実は一層乗離す ることとな り, さら に地域金融機関が証券化商品を保有 し,巨額 の損失が発生する事態 も起 こっている 新 自 由主義的金融改革による市場主義,競争主義 が地域金融機関をも巻 き込み,その役割 を果 たす ことを阻害 してい る と言 わ ざるを得 な い。経済の 「金融化」が進め られる現在,市 場 に よる評価 を第一義 的 に考 えるのではな く,銀行 としての本業 に回帰することこそが 地域金融機関には求め られている 地域の中 小企業 の資金繰 りは厳 しい状態が続 いてお り,例 えば 「オーバーバ ンキング論」等 に基 づ く金融行政による再編促進ではな く,真 に 役割 を果た しうる地域金融 システムの構築が

なされなければな らない。

参照

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55 高槻 前掲 9 32-33 頁。宮本 前掲 32 200-201 頁。. 56 高槻 前掲 9

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