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労働時問短縮にともな う 地域 中小企業の生産性 向上対策

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(1)

労働時問短縮にともな う

地域 中小企業の生産性 向上対策

一青森県 内の小規模企業を中心 と して‑

〔1は じめに

〔2〕 若年労働者層 の労働 意識 の変化

〔3〕 若年労働者層 の定着 と経営戦力化対策

(1)若年労働者層が 「仕 事‑ のや りがい」 を感ず る人事管理対策 (2)若年労働者層 が 「仕 事‑のや りがい」 を感ず る労働条件

従業員一人 当 りの賃金 の絶対額引上 げ実施‑の考慮

労働時間 ・休 日に関す る労働条件 の改善

〔4労働 時間短縮 (時短 ) に ともな う地域 中小企業の生産性 向上対策 (1)地域 中小企 業 に とっての労働時間短縮 の意義

(2) 労働 時間短縮実施 に さい しての問題点

(3) 労働 時間短縮 (時短 )に と もな う地域 中小企業の生産性 向上対策

業務処理 の計 画化

従業員の能力 向上

従業員の意欲 開発 の促進

生産性 向上 と結 びつ く賃金 (給 与)体 系の確立

事務管理 の電算化

省力化 ・棟械 化

(2)

〔5〕 労働時間短縮方法

(1)青森県 内企業の労働時間短縮 実態 (2) 労働時間短縮方法

G) 週休1日制 に よ り週40時間労働制を実現す る方法

1ケ月 単位 の変形労働時間制 に よ り週40時間労働制 を実現す る方法

1年単位 の変形労働時間制 に よ り週40時間労働制 を実現す る方法

年間休 日カ レソダーの活用 に よ り週40時間労働制を実現す る方法 (9 フ レックスタイム制 に よ り週40時間労働制 を実現す る方法

〔6〕 むす びにかえて

〔1〕 は じめに

平成2年度の中小企業庁による 「経営改善普及 事業等の実施方針」に基づ き、

小規模企業における労働力の確保 ・定着 と福祉の 向上を図ることを 目的 と して、

小規模企業の労働環境 に関す る意識 の改革及 び労働環境 の改善のための調査研 究並びに小規模事業労働実態全国基 本調査 を、都道府県商工会連合会が平成2 年度か ら実施 している

上記の事業の一つで ある調査研究事業 (以下、事業 とい う)を実施す るに さ い して、青森県商工会連 合会 (以下、青森商工連 とい う)は、関係 団体 等 と十 分 に連携 して協力体制 を整備す るとともに、学識経験者及 び県 内商工会の小規 模事業者の代表等を委員 とす る小規模事業労働環境改善研究会を設置 し、事業 の基本的実施方針及び実行計 画の策定 を行 い、 これに基 づいて同事業を実施 し ている 同研究会‑の小生の参加 は、平成4年度 に同研究会の委員 と して委嘱 された時か ら始 ま り、他の委員諸氏の真筆 な研究姿勢 に触発 されなが ら、青森 県小規模事業労働環境改善研究 に取 り組んで いる昨今で ある

これ まで、青森商工連の支援 を受けて、同研究会が取 り組んで きた研究 テ‑

(3)

マは、以 下の とお りである

平成2年度・3年度は、 『若者が魅力を感ず る労働環境改善の方策について』

をテーマと して研究 した。平成4年度の主テーマは、平成2年度・3年度のテー マ と同 じであ ったが、 「活 力あるゆ と り創造 と労働時間短縮等の改善」をサブ テーマ と して研究 した。平成5年度 は、 『小規模事業者の労働環境改善の課題 と方策』 を主 テーマ と し、 「時短 に ともな う人材の有効活用等について」 をサ ブテーマ と して研究 した。 平成6年度 は、 『小規模事業者の労働環境改善の進 め方を主 テーマ と し、 「小規模事業者におけ る時短 と生産性 向上対策」をサ ブテーマ と して研究 した。平成7年度の主テーマは、平成6年度 と同様で あっ たが、 「小規模事業者の新たな雇用機 会開発」 をサブテーマ と して研究 した。

平成8年度 も主テーマは平成6年度 と同様であ ったが、 「労働市場 の変貌 と小 規模事業の経営戦略」 をサブテーマ と して研究 した。平成9年度 は、 『週労働 時間40時間制下の小規模事業の労働環境改善万策』 をテーマ と して研究 してい

そ こで、本論文の主課題 は、 これまでの同研究会での研究 内容を整理 しつつ、

昭和62年に改正 された労働基準法に週40時間労働制を 目標 とす るとい うことが 明記 されて以来、段階的に短縮 されて きた労働時間が平成94月1日か ら一 部の特例 を除いて (1)週40時間労働制 とな った ことを受けて、青森県 内の 小規模企業をは じめ とす る地域 中小企業が この時短 と規制緩和 の大競争時代を 生 き残 り、地域経済社 会の活性化 に資す るためには どの ような生産性 向上対策 を講 じなければな らないかを考察す ることで ある

具体的には、まず、 「近 年の若年労働者層の労働意識の変化」や 「若年労働 者層の定着 と経営戦力化対策」 について考察 した上で、 どの ような生産性 向上 対策を講ず るな らば、青森県内の小規模企業をは じめ とす る地域 中小企業が週 40時間労働制を スムー ズに実施で きるかを究 明 し、 さらに、週40時間労働制を 実際に実施す るための方法 について も考察す る

(4)

〔2若年労働者層の労働意識の変化

男子新入社員を対象 と して、働 く目的について 「(㈱日本生産性本部 (現、( 社会経済生産性本部)・牡)日本経済青年協議会」が調査 した ところ、第1表の ような結果が示 された。す なわち、昭和40年代 と昭和50年代の前半において、

「自己の能力をためす生 き方を したい」が働 く目的の要田 と して最 も高い比率

第 1表 男子新入社員の 「働 く目的」の推移

(単位 %) 経済的に 社会的に 楽 しい生 自己の能 自分のこ 社会のた 世の中に 別にこれと その他 豊かな生 えらくな 活を した 力をため とは考え めに役に 背を向け いう目的も 活を送 り りたい す生き方 ず、企業 立ちたい ても自分 なくその 日

たい を したい の発展のためにつくしたい なりに生きたい その 日をのんきにやっていきたい 昭和46 20.0 3.0 29.0 33.0 1.0 5.0 5.0 3.0

47 20.0 2.0 27.0 34.0 1.0 5.0 5.0 2.0 3.0 48 24.0 2.0 29.0 30.0 1.0 5.0 4.0 2.0 3.0 49 21.7 1.7 30.1 32.5 0.2 5,1 3.9 2.3 2.4 50 22.4 2.4 31.1 30.4 0.5 4.8 4.1 1.7 2.4 51 23.1 2.3 26.3 34.9 0.5 5.7 3.3 1.5 2.3 52 24.5 2.4 29.0 30.3 0.5 5.9 3.9 1.7 1.8 53 23.8 2.7 27.9 32.0 0.3 5.8 3.9 1.3 2.2 54 24.8 2.7 28.5 31.7 0.4 6.0 3.0 0.9 2.0 55 25.9 3.2 30.1 27.8 0.5 5.4 4.0 1.5 1.6 56 27.3 2.6 28.4 28.8 0.5 6.1 2.9 1.0 2.3 57 27.9 2.7 27.7 29.6 0.3 5.7 3.1 0.9 1,9 58 29.1 2.8 28.6 26.9 0.5 6.0 3.2 0.9 2.0 59 30.1 2.7 28.1 27.8 0.6 4.8 3.1 0.7 2.0 60 28.8 2.7 29.8 26.2 0.6 5.1 3.7 1.2 1.9 61 32.0 2.9 29.8 24.5 0.4 5.1 2.6 1.1 1.6 62 28.9 2.5 31.8 23.5 0.5 6.0 3.9 1.1 1.7 63 31.1 2.0 32.5 23.0 0.5 4.3 3.6 1.4 1.6 平成元年 28.0 2.3 35.8 21.7 0.3 4.5 4.3 1.2 1.8

資料 出所 ㈲ 日本生産性本部 (現 、㈲ 社 会経済生産 性本部)・牡旧 本経 済青 年協議 会『働 くことの意 識』調査」

(荏) 問 いは 「働 く目的 につ いて、あなたは、次の どれが 自分の心 に近 いと思 いますか。」であ る。

労働 省編 、 日本労働研究機構 、 『平成3年版労働 白書』P.347よ り転載。

(5)

を示 していたが、昭和50年代の後半になると、 「経済的に豊かな生活を送 りた い」や 「楽 しい生活を したい」 とほぼ同比率 となった。昭和60年代以降になる と 「楽 しい生活を したい」が最 も高い比率を示す ようになって きた。

また、労働時間に対す る労働者の意識について、労働省の 「労働組合活動等 実態調査」に よると第1図の ような結果が示 された。

この調査の中で注 目され ることは、若年労働者層が中高年労働者層 よりも強 く要求 している項 目と して、 「休 日の増加」75.5%、 「残業時間の短縮」41.4

1 5年前 と比べて最近増加 した組合経 由の要求事項別労働組合の割合

(%) (複数回答)

資料 出所 労働省 「労軸組合活動等実態調査」 (平成2年)

(注) 1)5年前 と比べて組合員の企業に対す る要求が多様化 した とす る労働組令 (全体 49.6%)100 .0%と した割合で ある。

2)表示 した もの以外の選択肢 と して、 「定年延長 、再雇用制度等の実施」 、 「育 児休業制度 の創設 ・拡充」 、 「介護休畷制度の創設 ・拡充」 、 「その他」 、

「組合を経 由 しての要求無」があるが、 ここでは省略 した。

3)労働省編 、 日本労働研究棟構、 F平成3年版労働 白書』P.202よ り転載。

(6)

%、 「年次有給休暇取得のための環境整備」38.3%、 「初任給 上昇 に伴 う賃金 額 の上昇」19.6%、 「フ レックスタイム制 等労働 時間制度 の弾 力化」8.9% 示 された ことで ある

加 えて、平成元年の労働省 に よる 「新規学卒者の労働観 ・余暇観 に関す る調 査」 に よると、就職 を決定す るに さい して週休2日制で ある ことを重視す る新 規学卒者の割合 は、第2図に示 されているように79.5%で ある

2 就職決定に週休2日制であることを重視す る 新規学卒者の割合

B 重視す る [コ 重視 しない

(単位 :%)

0 20 40 60 80 100

調

短大 ・高専

l 22.0 l

18.9 g====80.8藩 ≡霊重遠さ̲瀬≡;̲:'; :==p=;:..L;

(単位 :%)

0 20 40 60 80 100

18.6 l

l 17.9 1

22.5

資料出所 :労働省 「新規学卒者の労働観 ・余暇観 に関す る調査」

(平成元年6月調査)

(注) 青森県労働基準局 ・牡)青森県労働基準協会編

「未来を見つめ週休2日時短で築 くゆ と りの青森」

平成412月、P.13より転載。

(7)

次に総理府 に よる若年労働者層の 「転職希望理 由別転職希望者割合 (2 表)に よると、1989年まで は 「もっと収入を増や したい」や 「時間的 ・肉体的 に負担が大 きいか ら」 とい う理 由の割 合が高か ったのに対 し、 「自分の適性 に あ った仕 事に就 きたい」 とい う理 由が漸増傾 向を示 し、1994年 には転職希望理 由の トップを占め るようにな った。 また、1995年10月の総理府に よる 「転職 に 関す る意識調査」 に よると、第3図に示 されているように、 「自分の能力や適 性が発捧で きるな らば、転職 して もよい」 とい うことが、20代の若年労働者層 では77.4%も占めてお り、それゆえ、若年労働者層は賃金 よ りも自己の能力や 適性を重視 していることが推察 され る

2 転職希望理 由別転職希望者割合 (15‑34歳)

(単位 %)

転職希望理 由 1988 89 90 91 92 93 94 95

もつと収入を増や したい 30.2 29.9 30.2 30.2 32.6 29.1 27.5 26.5 安定 した職業に就 きたい 10.6 9.8 9.9 7.1 8.1 8.9 10.5 10.5

自分の適性に合った仕事

に就 きたい 18.2 18.3 26.2 27.7 27.4 27.5 28.7 27.1

時間的 .肉体的に負担が

大 きいか ら 28.5 29.1 23.0 23.2 20.2 21.1 19.0 23.1

資料出所 総務庁統計局 「労働 力調査特別調査」

(注) 1)年齢階級は、15‑24歳 と25‑34歳を合わせた もの。

2)15‑24歳の転職希望者数の うち、在学中を除 く。

3)労働省編、 日本労働研究棟構 『平成8年版労働 白書』P.364より転載。

(8)

20‑29

30‑39

40‑49

50‑59

60歳以上

年 齢 計

19877月調査 年 齢 計

3図 転職 に関す る意識

少の不満があつても、lつの会社や戦場で、できるだけ長く嶺くのがよい わからない 00211 ELjW,I/'g,'S/I/:,'!'J','Vl Hl…l tlⅢ l帖 LLr;Ifj:;4:111…lllⅢ Hl …tHHlrl

\ L 分の能力や弛 朋 できるならば、警 ttbbi::k崇

4.3

.宥 珍 ttlt冊 IH ll日 63l:.ri:II 11日HHHHIHI tHl

3.6

. 牙 lrHl IlH ー ll 蘇 孝::I 川llllHHHlLL Ⅲ 巨∃

5.0て /

L+++++++++++L+++++) /I/4,6'/'.,I,4':,'L+++++++++++++++1 H IHHH=Ⅲ lllH:蕪≡才:.I.71日llHlll1 llHLI

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100(%) 資料 出所 総理 府 「今後 の新 しい働 き方に関す る世論調 査 (199510月)

(注) 1) 「わか らない」 は、19877月調査で は、 「その他」 とな っている。

2)有職者 の調査結果であ る

3)労働省編 、 日本労働研究棟構 『平成8年阪労働 白書』p.211よ り転載。

しか し、第3図を さらに分析す るな らば、次の ような ことが指摘 され る なわ ち、 「自己の能力や適性を重視す るとい うことが、1995年の調査で全体 と して63.4%を 占め、1987年の調査時の全体 と しての42.3%よ りも21.1%も上 昇 しているとい うこの ことは、若年労働者層だけでな く中高年労働者 に も転職 に対 しての違和感や抵抗感が減少 して きているとい うことを示 している この ような傾 向は、総理府に よる 「年齢階級別転職者比率の推移」の第 3表に も示

(9)

されているように、年齢層が高 くなるにつれて転職率が減少 しているものの、全 体 と して長期的に転職率が上昇傾 向を示 している ことか らも十分に推察 される

3 年齢階級別転職者比率の推移

(単位 %)

年 齢 計 15‑24 25‑34 35‑44 45‑54 55‑64 65歳以上 1985 2.8 5.7 3.7 2.4 1.6 2.3 1.1

86 3.1 6.7 4.0 2.7 1.8 2.1 1.1 87 3.1 7.4 3.7 2.6 1.8 2.5 1.1 88 4.1 9.1 5.4 3.6 2.3 2.8 1.4 89 4.2 10.6 5.3 3.4 2.4 2.7 1.0 90 3.5 8.3 4.9 2.8 1.8 2.2 1.0 91 4.2 10.2 5.4 3.7 2.3 2.4 1.2 92 4.4 10.2 6.2 3.6 2.4 2.8 1.3 93 4.1 9.3 5.9 3.5 2.3 2.2 1.3 94 4.0 8.6 5.5 3.5 2.5 2.7 1.3 95 4.2 10.1 5.6 3.7 2.6 2.2 1.0

資料 出所 総務 庁統計 局 「労働 力調査特別調査」

(注) 1)転職者比率 ‑過去1年間の転職者数/就業者数

2)労働 省編 、 日本労働研究機 構 『平成8年版労働 白書』P.357より転載。

こう した上記の諸調査か ら指摘 され ることは、若年労働者層の働 く日的意識 が 「自己の能力をためす生 き方」か ら 「楽 しい生活を したい」へ、す なわ ち、

仕 事中心 よ りも自己の生活を重視 してい るとい うことで ある また、若年労働 者層の労働条件 に関す る意識 と しては、賃金 よ りも休 日増 ・労働時間短縮 を重 視 してい るとい うことである 転職理 由に関 しては、 「賃金 よ りも自己の能力 や適性を重視す る」 とい う割合が、高年齢化に ともなって減少 している ものの、

この転職理 由は年齢層 に関係な く漸増傾 向を示す ようにな ってきてお り、それ ゆえに、転職 に関 しては、年齢層 にそれほ ど関係 な く全体 と して違和感 ・抵抗 感が減少 して きているとい うことで ある

そ こで、将来の社 会を担 っていかなければな らない若年労働者が彼等の能力

(10)

や適性を職場で十分 に発揮す る ことに よって、彼等 自身が有意義 な 日常生活を 送 る ことが出来、かつ、彼等の帰属す る職場や社会 において、彼等が将来を展 望 しえるようになるためには、前述 の若年労働者層 の労働意識 の変化 に対応 し た人事管理や労働条件の改善が必然 とな って きているのである

〔3〕 若年労働者層の定着 と経営戦力化対策

若年労働者層の転職 は、 自己の潜在能力や適性 を見出 して、そ して、それを 生かすための職業選択 の一過程 とも考え られ るので、中高年労働者層 よ りも転 職率が高いのが 当然であるが、 これが頻繁 に行われた り、それに よる失業期間 が長 くな った りす ると、本人の職業能 力の形成に とってマイナスになるだけで な く、企業側 に とって も採用 コス ト増 等のマ イナ スとな り、マ クロ経済の視点 か らの実質国民総生産 の面か らもマイナスとなる

そ こで、〔2〕での 「若年労働者層 の労働 意識の変化」 の考察を踏 まえ、 ここ では、若年労働者層の職場定着率が 向上す る ことに よって、彼等が有意義 な 日 常生活を送 ることが出来、 一万、企業側 に とって も彼等の労働 を経営戦力 と し て生産性 向上に効率 よ く結 びつける ことが出来、かつ、マ クロ経済の視点か ら も実質国民総生産成長率 が安定 した水準を達成 してい くことが出来 る ように、

地域 中小企業の人事管理や労働条件 の対策について言及す る

(1) 若年労働者層が 「仕事へのや りがい」 を感ずる人事管理対策

前述の第2表 に示 されているように、若年労働者層の転職希望理 由と して、

1994年か ら 「自分の適性 に合 った仕事に就 きたい」が トップになった。 しか し、

企業側の 「仕事‑のや りがい」対策の仕方に よっては、若年労働者層の転職希 望者 の転職率を低下 させ、彼等が潜在能力を発揮 して経営戦力 と して貢献す る

ようになることが少 な くない と思われ る

したが って、若年労働者層が 「仕 事‑のや りがい」を感ず る人事管理対策 を

(11)

企業側が講ず ることに よって、第3表に示 されている若年労働者層 の転職者比 率の数値 を減少 させ るようにす ることが肝要で ある その場合、当然の ことな が ら、〔2〕で考察 した 「若年労働者層 の労働意識 の変化」 を十分 に踏まえ、か つ、下記の昨今の若年労働者層の特性 を もよ く理解 した上で、対策を講 じなけ ればな らない とい うことで ある

1の特性 は、彼等は偏差値 中心の受験戦争を経験 してお り、機械的に与 え られた ことを処理す るとい うマ ニ ュアル依存型人間であ り、 (注 2)創造性発 揮 欠如人間で ある しか し、その反面で 目立ちたが り屋で もある

2の特性は、彼等は少子化、核家族の中で家庭生活を送 って きてお り、か つ、各家庭が地域社会にあま り溶け込んでいない都市化現象の中で家庭生活を 送 って きてお り、集団生活 にな じまない 自己中心型人間である。 (3)

そ こで、 「仕 事‑のや りがい」を感 じさせ る第1の人事管理対策 と しては、

〔2〕での彼等の労働意識の変化 と上記 の特性を よ く理解 した上で、 「若年労働 者層 に彼等の適性や能力に合 った仕事を経営者や管理者 が責任 と権限を もた し てや らせ る」 とい うことである す なわ ち、 「職人は親方の技術を盗んで覚 え ろ」 とい うような仕 事への取組 ませ万で な く、社会におけ るその仕事の役割や 内容を理解 させ、仕事の段取 りを工夫 させ、辛抱強 くバ ックア ップ し、 フォロー す るとい う姿勢で、責任 と責限を もた して仕 事に取組 ませ ることが肝要である

2の人事管理対策 と しては、 「仕 事への評価を適正 に、具体的に、 リアル タイムに行 うこと」で ある なぜ な ら、若年労働者層 は偏差値 中心の受験戦争 経験者であ り、評価 されることには慣れているか らである。 しか し、彼等にとっ ては、かつての受験戦 争の息苦 しい暗 いイ メー ジか ら解放 されたい とい うこと か ら、 「他人 と比較 された り、競争 させ られることはいやだが、能力はス トレ‑

トに評価 してほ しい」 とい うのが彼 等の基 本的 ス タソスで ある。 (江 4) した が って、人事考課 を実施す るに さい しては、他人 との比較 ・競争に重点をお く 相対的 人事考課でな く、各 若年労働者 の能力開発 ・意欲開発を第一義 目的 と し

(12)

て、各若年労働者の職務能力、勤務態度、勤務実績等の人事考課項 目について、

合理的に、公正 に評価す るとい う絶対的人事 考課 を具体的に、 リアル タイムに 実施す るとい うことである

(2)若年労働者層が 「仕事へのや りがい」 を感ずる労働条件

従業員一人当 りの賃金の絶対額引上げ実施への考慮

2表 に示 され て い る よ うに、 「自分 の適 性 に あ った仕 事 に就 きた い」

(1995、27.1%)の次 に 「もっと収入を増や したい (1995、26.5%) い うことが、若年労働者層の転職希望理 由と して挙げ られている ことを推察す るな らば、賃金 に対す る不満 も若年労働者層 の転職理 由 と して大 きな ウェイ ト を 占めているとい うことである それゆえに、若年労働者層の定着のためには、

1人 当 りの賃金の引上げを考慮せ ざるをえない。そのためには、当該地域 中小 企業に とって、 どの程度、賃金総額 と して 自企業が支払 うことが 可能であるか とい う支払能力を精査 した上で、1人当 りの賃金の絶対額引上げ実施を考慮 し なければな らない とい うことで ある なぜ な らば、当該地域 中小企業が支払能 力 と しての賃金総額 を合理的 に公正 に精査 して画定 しているな らば、従業員、

なかんず く若年労働者層の賃金に関 しての不満や不安は取 り除かれ、 自企業が 彼等に よって信頼 され る ようになるか らである

そ こで、支払能力を画定す るには、賃金総額 は付加価値額か ら支払われ ると い うことを踏 まえて、第1段階 と して、付加価値額 を考察す ることである

付加価値額 の算出方式 には2つの方式がある 第 1の方式 は、個 々の企 業が 国民経済 に新たに付加 した貢献額を算出す るとい う意味か らの控除法である 控除法 に よる付加価値額 は次の算式で表わ され る

付加価値額 ‑売上高又は生産 高一前給付原価

前給付原価 とは、他の企業がつ くりだ した生産物を当該企業が購入 した時の 価格総計をい う したが って、前給付原価 の主体 は原材料費や燃料動 力費であ るが、その他の前給付原価 と して どの ような原価項 目が含 まれ るかについては

(13)

必ず しも統一 されていない。

2の方式 は、付加価値項 目を積算 して算 出す る加算法である 加算法 に よ る付加価値額 は次の算式で表 され る

付加価値額 ‑賃金総額 +租税公課 +賃借料 +金融費用 +減価償却費+当期純 利益

一般的に付加価値額算出方法 と して は、前給付原価 と して どの ような原価項 目を含 めるべ きであるか統一 されていない控除法 よ りも、加算法が実務 におい て多 く採用 されている

2段階 と しては、賃金総額 を考察す ることである 賃金総額 は、毎月の賃 金、賞 与、法定福利費、法定外福利費、通勤交通費、教 育訓練費等か ら構成 さ れてい る この場 合、支払能力の適正化 に資す るように、各項 目は公正 な基準 の下で構成 されなければな らない とい うことは言うまで もない ことである

3段階 と して、付加価値額 に占め る賃金総額 の割合 (賃金総額 ÷付加価値 蘇) と しての労働分配率 を参考 と して、支払能力の限度 と しての賃金総額 を補 正す るとい うことで ある この補正をす る場合に重要な ことは、労働分配率 は 企業の業績、生産方法、資本構成等に よって規定 され る傾 向が強 いので、単純 に同分配率が低 く推移 してい るか ら経営財務 に余裕があ りそ うなので賃金総額 を増額 して もよい とか、また、同分配率が高 く推移 しているか ら賃金総額 の増 額 は無理であるとか とい う判断で賃金総額 を補正す るので はな く、当該地域 中 小企業の賃金総額 と当期純利益が当該 中小企業の付加価値額 の中で合理的に適 正 に算出 ・配分 されているか否かの精 査を とお して、当該地域 中小企業の支払 能力 と しての賃金総額を補正 しなければな らない とい うことである す なわち、

具体 的には、付加価値額構成項 目の中の租税公課 は国や地方公共 団体の定 める 税率 に よって枠 がはめ られている し、賃借料 、金融費用 は企業外か ら枠がはめ られている し、減価償却費 も企業内外か らある程度枠 がはめ られているので、

枠 のはめ られていない賃金総額 と当期純利益 を合理的に適正 に補正す る ことを

(14)

とお して、支払能力 と しての賃金総額 を画定す るとい うことであ る

次 に、上記の ように して、当該地域 中小企業の支払能力 と しての賃金総額 が 画定 したな らば、その全てを合理的 に適正 に整備 ・確立 した賃金体系に基づ き 各従業員の賃金を決定す ることである (賃金体系 につ いては〔4〕の(3)の④ の

「生産性 向上と結びつ く賃金体系の確立」で詳細 に考察す る)

か くして、 この ように決定 された賃金は、た とえ、結果 と して、従業員1 当 りの賃金の絶対額 引上げが当該地域 中小企業の経営成績や財務状況か ら配意 して成就 しなか った と して も、支払能力 と しての賃金総額が合理的で適正で あ り、各従業員の賃金が合理的で適正 な賃金体 系 に よって算定 されているので、

若年労働者層か ら信頼 され るようになる そ して、賃金 に対す る若年労働者層 の不満や不安は取 り除かれ、若年労働者層 は 「仕事‑のや りがい」 を感ず る よ うにな り、転職 に結びつ くことも減 少す る ことになる

( 労働時間 ・休 日に関する労働条件の改善

昭和62年の労働基準法改正 に ともない、漸次、労働時間 ・休 日に関す る労働 条件 の改善が進 め られて きているに もかかわ らず、第2表に若年労働者層の転 職希望理 由と して 「時間的 ・肉体的 に負担が大 きいか ら(1995年、23.1%) が第 3位 と して示 されている また、第 4表 に示 されているように、平成 2年 の労働省の 「性、年齢階級別転職経験者 の転職理 由」 に よると、男子20‑24 以外の20才代の若年労働者層 が転職 した理 由と して、 「労働時間 ・休 日に関す る労働条件 に不満があった」 とい うことが、 「賃金に不満があ った」 とい うこ とよ りも高い数値を示 している また、青森県 内の小規模企業の従業員を対象 と して、青森県商工会連合会が平成4年2月24日を調査基準 日と して 「労働環 境改善要望事項」 に関 して アソケ‑ ト調査 (調査対象企業300社、回答企業254 社、回答率84.6%)した ところ、第5表に示 されているように 「労働時間短縮」

が建設業 と小売業以外で は トップであ った。

(15)

(単位 %)

4 性、年齢階級別転職経験者の転職理 由

20‑24 25‑29 20‑24 25‑29 転職経験者計 100 .0 100 .0 100.0 100 .0 仕事が 自分に合わ なか った 35.0 36.9 32.7 21.6 自分を正 当に評価 して くれなか った 14.1 12.1 ll.2 5.7

賃金に不満があった 30.7 24.8 15.3 13.9 労働時間 .休 日に関す る労働条件に不満があ った 28.2 26.2 37.8 19.6 賃金、労働時間 .休 日以外の労働条件 に不満があった 12.3 10.7 8.2 4.6 人間関係が よ くなか った 19.6 16.5 27.6 18.6

倒産 した又 は解雇 された 4.9 9.2 5.7

健康上の理 由、家庭の事情 、結婚のため 12.3 17.0 17.3 45.4

独立 して 自営 した 0.5 1.0

3.7 3.4 9.2 ll.9

資料 出所 労働省 「勤労青少年福祉に関す る総合的な調査」 (平成2年) (注) 1)転職理 由は複数回答

2)労働省編 、 日本労働研究棟構 、 『平成3年版労働 白書P.342よ り転載。

5 労働環境改善要望

建 設 業順位 製 造 業 運輸.順位 順位通信 卸 売 業順位 小 売 業順位 順位サー ビス 順二

給 与 の 見 直 し 1 5 3 3 1 2 2

労 働 時 間̲短 縮 2 1 1 1 2 1 1

休 日 の 見 直 し 3 2 7 4 4 5 4

娯 楽 施 設 の 充 実 8 6 7 6 6 6

週 休 2 日 制 6 3 2 2 3 3 3

託 児 設 備 の 充 実 10 10

研 修 機 会 の 増 大 5 4 8 7 8

福 利 厚 生 の 充 実 4 7 5 6 5 4 5

退職金制度の改善 6 4 5 7 8 7

男 女.格 差 の 解 消 9 9 9

資料 出所 青森県商工会連合会 「労働環境の改善 に関す るアンケー ト調査」

(平成42月24日 調査基準 日)

(荏) 1)項 目に要望の強い順に1〜 5番 まで番号をつけて もらい、その結果を要望の強 い暇に 順位 を付 した。

2)その他の主な もの :(∋人材の確保 (サー ビス業) ② パ‑ 卜の増 員 (小売業) 3)青森県商工会連合会編 「平成 3年度小規模事業労働環境改善研究事業報告書」平成 4年

3月、P.35よ り転載。

(16)

この ように、第 2表、第 4表、第 5表か らも指摘 され るように、労働者 ( 中、若年労働者層)の労働条件の改善 に関す る要望事項 と して、労働時間短縮 (時短) と休 日の増加 についての要望が極めて強い とい うことが推察 され る

この背景 と して、すでに〔1〕で述べた ように、若年労働者層の労働条件 に関す る意識 と して、賃金 よ りも休 日増 ・時短を重視 しているとい うことを指摘す る ことがで きる す なわ ち、 "追いつ き、追い こせ,を基 本戦略 とす る 「日本型 経営 システム」の長時間労働 に よって我が国のGNPが ア メ リカに次いで世界 2位 にな っているに して も、 「ゆ と りのある豊かな生活」 を送 っていない こ とに若年労働者層を中心 と した労働者層が疑問をいだ くようにな り、ゆ と りの ある ライ フス タイルを定着 させて豊かな生活 を実現す る ことが、労働す ること の意義で あると実感す るようになったので ある そ して、 この ことを実現す る ためには、時短 と休 日の増加が不可欠で ある と彼等は認識す るようにな ったの である

したが って、地域 中小企業は、上記の若年労働者層の時短や休 日増 とい う労 働環境改善要望事項 を十分に認識 し、彼等 に転職を意識 させ る ことな く、彼等 が意欲を もって仕事に打 ち込む ように、可能 な限 り時短や休 日増 に応えてい く ことが、 自企業だけでな く、地域経済社会を も活性化に導 くようになるので あ る。

〔4〕 労働時間短縮 (時短) にともな う地域 中小企業の生産性向上対策

ここでは、地域 中小企業 にとっての時短の意義 と時短 を実施す る上での問題 点を検討 した上で、地域 中小企業が時短を円滑 に実施す る ことがで きるための 生産性 向上対策について考察す る

(1) 地域 中小企業 にと っての労働時間短縮 の意義

中小企業が時短 を実施す る理 由と しては、中小企業 自らが時短 を 自企業の活

(17)

性化や発展 に資す る もの と して前 向きに とらえる積極的理 由と、中小企業 自ら が時短 を前 向きに とらえるので はな く、外圧 に よって認 め ざるをえない もの と

して時短 を とらえる消極的理 由とに分け られ る

上記の意味す るところに したが って、第4図に示 されてい る理 由を積極的理 由と消極的理 由に分額す るな らば、積極的理 由と して 「従業員のゆ と り」 「優 秀 な人材確保」 「企業 イ メー ジの向上」 「仕事の見直 し」が指摘 され、消極的 理 由と して 「社会的な要請」 「法的規制」 「組 合等の要求」 「他社 との横並び」

「関連企業か らの要請」が指摘 され る

(%) 80 70

60 50

000004321

4 時間短縮を行 う理 由 (規模別)

料 :中小企業庁 「雇用人材問題実態調査」

4年12

(荏) 1)複数 回答のため合計 は100を越 える

2)中小企業庁編 『平成5年版 中小企業 白書』大蔵省 印刷局、p.180より転載。

参照

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