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奄美諸島の古墳時代併行期の土器

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Academic year: 2021

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第5章第2節

奄美諸島の古墳時代併行期の土器

中村友昭 熊本大学

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はじめに

筆者は古墳時代の南海産貝交易について研究を進めている。ただ、その基礎になる琉球列島の古墳 時代併行期の土器編年にはいまだ流動的な部分が少なくない。貝交易で重要な役割を果たすと予想さ れる奄美諸島についても、編年が確立されていないのが現状である。

今回マツノト遺跡の調査にかかわって、マツノト遺跡出土の豊富な土器を実見する機会が与えられ たので、この資料と熊本大学の所蔵する関連資料を対象に分析し、この問題に取り組むことにした。

1.問題の所在と研究の目的

南島と本土地域における年代対比の手段として、本土の時期区分に帰属する遺物と在地遺物との共 伴関係の検討が挙げられる。奄美諸島においては、搬入された弥生土器やその影響を受けた土器から、

弥生時代併行期の存在が指摘きれてきた(堂込1998、新里1999ほか)。また、この過程で、兼久式土 器という奄美諸島独自の在地土器の研究もなされてきた(河口1974、高梨2005、中山2005ほか)。当 初は、弥生時代併行期という位置付けがなきれていたものの、出土状況や型式学的変遷から、弥生時 代を時期的に下る土器という見解に至る。加えて、用見崎遺跡における広田上層タイプ貝符ならびに 開元通宝との共伴や、面縄第1貝塚出土の開元通宝との関係から、少なくとも7~8世紀以降には存 在する土器であることが判明している(木下2003)。

一方で、奄美諸島の古墳時代併行期について直接指摘きれることは少なかった。その要因は、奄美 諸島も含めた南島地域全体が古墳非築造地域であることや、明確な古墳時代帰属の遺物との共伴が僅 少であることなどが考えられる。現状では、弥生時代併行期と兼久式土器期との間に入る時期を古墳 時代併行期として設定している状況である。近年、弥生土器とも異なり、兼久式土器より下層に出土 するスセン當式土器を、古墳時代併行期とする見解がだされている(新里2000、高梨2005)。しかし、

「系統的流れも追いにくい(中略)、多数の型式を含む可能性が大きい」(新里1999)とあるように、

依然として古墳時代併行期の一様相を指摘している段階である。このように、古墳時代併行期の設定 については、弥生時代併行期の土器・兼久式土器・それらと異なる在地土器との層位的関係`性が根拠 となっている。しかし、この在地土器そのものの変遷について、総括的な検討が不足している点を現 状の問題点として挙げたい。

先学の研究者による研究成果の蓄積や調査例の増加などから、弥生時代併行期の土器や兼久式土器 とも異なる在地土器について、直接論究することが可能な段階にきている。また、スセン當式土器の 年代的位置付けに代表されるように、層位的関係による研究方法は非常に重要である。そこで本論で は、弥生時代併行期の土器や兼久式土器とそれ以外の在地土器群の変遷を、各遺跡の層位的変遷と照 らし合わせながら検討をおこなう。そのうえで、弥生時代併行期と兼久式土器期との間の時期にあた る奄美諸島の在地土器様相を示す。以上が本論の目的である。

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2.研究方法

鹿児島県大島郡笠利町のマツノト遺跡出土土器(1991年、2004年調査)より設定した分類(以下、

マツノト分類)をもって検討をおこなう。マツノト分類では、①兼久式土器の定義を満たす土器群 (I類土器)、②兼久式土器の定義を外れる在地土器群(Ⅱ類土器)、③外来土器群(Ⅲ類土器)と設 定した。マツノト分類におけるⅡ類土器は、弥生時代併行期土器とも兼久式土器とも異なる在地土器 であり、今回おもに対象とする資料である。なお、河口貞徳氏が提唱した兼久式土器の定義は、頚部 に断面三角形の突帯文やそれに刻み目を施したものを1条めぐらす、という点に集約できる(河口 1974)。よって、マツノト分類のⅡ類土器とは、それ以外の有文と無文の在地土器ということになる。

具体的には、Ⅱ類土器を対象に、文様と形態における3種類の分類概念で土器を分類し、この基準 を、層位関係の明らかな奄美諸島内の5遺跡に適応して分析し、比較検討をおこなう。最後にこれら を総括し、Ⅱ類土器期の土器の段階的変遷を述べる。

3.分類案(図1~3)

マツノト遺跡出土の土器を対象として、文様、形態の二つの分類基準を設けた。前者については文 様の有無と施文方法の2レベルで分類し(分類1)、後者では甕上半部(分類2)と底部(分類3)

についてそれぞれ分類した。

分類1:文様による分類

まず文様の有無により大きく2分した。

分類基準①:有文 無文

次に口縁部における文様の施文箇所により分けた。

分類基準②:口縁部内面 口唇部 口縁部外面

次に、施文方法によって命名した主文様で分けた 分類基準③:沈線文

刺突文 貼付文

これらを更に文様の内容によって分けた。

分類基準④:直線文 曲線文

分類2:甕上半部形態による分類

甕上半部の屈曲の有無によって、i類とii類にわけた。それぞれに複数の形状を含むが、一括した。

i類:屈曲するもの

①口縁部が大きく外反するもの

②胴部が張り出し最大径を胴部に測るもの

③口縁部が大きく外反し、胴部も張り出すもの ii類:屈曲しないもの

①口縁部と胴部の径が同等なもの

②最大径が口縁部にあたり、底部に向かって除々にすぼまるもの

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参照

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