会計システムの総合体系
上 野 清 貴
Abstract
AnaccountlngSystem COnSistsofameasurementunitandavaluationbasisasthemeasurt三一 mentelementofaccounting.Therearefourmeasurementunitsandfourvaluationbases.Thev derivemanytypesofaccountlngSystem bycombiningtheseelements.TheseaccountingSystems canbeclassifiedintothesystem ofhistoricalcostaccountlng,entryValueaccounting,exitvalue accountlngandpresentvalueaccountlngrespectively.Themeasurementunithasfunctionsto determinewholeperiodsincomeandtomaintaincapitalofafirm.Thevaluationbasishas functionstodistributewholeperiodsincometoaspecificperiodandtodetermineatimeofincome recognltlOn.Itisimportanttoconsidertheaccountingsystem onthewhole.WhensettlnguP accountingstandards,weshouldnotsetupthem from alocalstandpoint,butoverallandloglCal standpoint.Thispapershowsthefirststepforgettingtoknow thedifferencepolntOfeacha。‑ CountlngSystem andrecognlZlngtheloglCalspecialfeatureofeachaccontingsystem.
Keywords:accountlngSystem,measurementunlt,Valuationbasis
Ⅰ まえがき
現在,会計は実務的 にも理論的 にも大 きな 転換点を迎 えてお り,その最たるものは時価 会計の一般的な導入である。 これは,金融商 品会計,デ リバテ ィブ会計,外貨換算会計等 に典型的に現れてお り,今後,他の資産 ・負 債項 目に も波及 してい く傾 向にある。そ して 最終的には,すべての資産 ・負債項 目に対 し て時価会計が導入され るか もしれない。
この ように,実務的な時価会計の導入には 目覚 しい ものがあるが, これに対す る理論的 整備が現在の ところ遅れているように思われ る。そ して,そ こにおける最 も重要な問題点 は,利益概念の不 明瞭性である。時価会計を 導入す ることによって, どの ような利益 を会 計 目的 として算定 しようとしているのかが必 ず しも明確ではないのであ る。
それでは,その原因は どこにあるのか とい うと,それは, これまでの時価会計の議論 が 会計を総合的に考察せずに,ある資産ない し 負債項 目のみを考察対象 として きたか らには かな らない。部分的に しか考察 して こなかっ たために,ある提唱された会計 システムを全 体的かつ理論的に見 る と,その中に異なった 利益概念が混在 し,全体 として どの ような利 益 を計算 しようとしているのかが明 らかでな かったのであ る。
そ して,それに伴 って,貸借対照表 も不明 瞭であ った。 とい うのは,資産間ない し負債 間で異なった評価基準が適用 されるために, 全体 としての貸借対照表が一体何を表 してい るのかが明確ではないか らである。論理的に 考 える と,資産間および負債問で加法性がな く,その ように して作成 された貸借対照表の 意味づけが困難であるのである。
この ようなこれまでの時価会計の問題点を 理論的 に解決するためには,あ る資産 ない し 負債項 目を部分的 に考察対象 とす るのではな く,会計 システムを全体的 に考察す ることが 必要である。そ うすることによって,あ る矛 盾のない会計システムを構築することがで き るのである。 と同時に, これまでの時価会計 の議論が全体的な会計 システムに中で どこの 部分の ものであ り,それによって どこに問題 点があったのか も具体的に把握することがで
きるのであ る。
本稿はそのための第一歩であ り,会計シス テムの体系を全体的かつ総合的 に把握 し,会 計システムの全体像を解 明す ることを 目的 と するものである。
本稿の構成は次の とお りであ る。 まず,会 計システムは会計の測定要素であ る測定単位 と評価基準 か ら構 成 され る こ とを明 らかに し, これ らを組み合わせ ることによって会計 システムの諸類型 を導 出す る。 この会計シス テムの諸類型はそれぞれ取得原価会計,購入 時価会計,売却時価会計,現在価値会計の体 系に分類することがで きるので,次にそれ ら を具体的かつ詳細 に解説す る。そ して最後 に, 会計システムの全体像を総括的 に表 し,測定 単位 と評価基準の会計 における梯能 を明 らか にする とともに,会計 を全体的 に考察するこ
との重要性 を改めて確認 したい。
Ⅱ 会計の測定要素 と諸葉頁型
会計 を全体的 に考 察 して い こう とす る場 令,まず会計システムが どの ように構築 され, それが どの ような測定要素か ら成 り立 ってい るのかを明 らかにする必要 があ る。結論 か ら 先 に述べ るな らば,会計システムの測定要素 には,測定単位 と評価基準 とがあ り, これ ら を組み合わせ ることによって会計 システムが
構成 されることになる。そ こで, これ らの測 定単位 および評価基準 とは何であ り,それ ら には どの ような種類があ り,それによって資 産 がいかに測定 され,会計 システムが形成 さ れ るのかを解明す ることに しよう。
1 測定単位
測定単位 とは,資産 を測定す るための基準 単位であ り,それは貨幣単位 (日本の場合, 1円)で表 される。資産は この貨幣単位の量 とその資産 との関係づけに よって測定 される こ とにな る。例 えば,あ る資産 を1,000貨幣 単位量 (貨幣単位の1,000倍)で購入 した と すれば,その資産 とこの貨幣単位量 とを関係 づけ,その資産 を1,000として測定す るこ と にな る。 また,あ る資産 をいま1,500貨幣単 位量 (貨幣単位の1,500倍)で売却 で きる と すれば,その資産 とこの貨幣単位量 とを関係 づけ,その資産 を1,500として測定す るこ と がで きる。
この ように,測定単位は資産の測定 に際 し て貨幣単位量 と結合 され る基準単位 であ る が, この基準単位である貨幣単位は必ず しも 1つではな く,大 き く4つに分けることがで きる。それは次の とお りであ り,それ らの内 容は以下の とお りである。
(1) 名 目貨幣単位 (2) 一般購買力単位 (3) 個別購買力単位 (4) 貨幣収益力単位
名 目貨幣単位は,一般物価の変動,個別物 価の変動,ない しは貨幣収益 力の変化を考慮 しない測定単位であ り,その時 々の基準単位 を修正 しない ものである。上の例でいえば, あ る資産 を 1年前 に1,000貨幣単位量 で購入 した場合,一般物価,個別物価,ない しは貨 幣収益力が どの ように変動 していようとも, 貨 幣 単 位 を 1として 固 定 し, そ の 資 産 を
1,000として測定す ることになる。
一般購買力単位は,一般物価の変動 を考慮 した測定単位であ り,一般物価指数の変動 に 応 じて基準単位 を修正 してい くものである。
例 えば,あ る資産 を 1年前 に1,000貨幣単位 量 で購入 し,その時の一般物価指数 が100で あ り,現在 の一般物価指数 が104であ るな ら ば,基準単位 を1.04(‑104/ 100)に修正 し, その資産 を1,040(‑1.04×1,000)として測定 す るわけである。 この一般購買力単位は,質 産 を測定する場合に,各測定値 を同一の一般 物価水準 に統一 し,一般物価水準 に関 して比 較可能 にするために用い られる。
個別購買力単位は,個別物価の変動 を考慮 した測定単位であ り,個別物価指数の変動 に 合 わせ て基準単位 を修正 して い くものであ る。例 えば,あ る資産 を 1年前に1,000貨幣 単位量で購入 したが,いまその同 じ資産 を購 入 しようとす るな らば,1,300貨幣単位量が 必要である とする と,その資産の個別物価指 数 が130(‑(1,300/1,000)×100)にな るの で,基準単位 を1.3(‑130/ 100)に修正 し, その資産 を1,300(‑1.3×1,000)として測定 することになる。 この個別購買力単位は,質 産 の各測定値 を同一 の個別物価 水準 で統一 し,個別物価水準 に関 して比較可能 にす るこ とを 目的 として用い られる。
貨幣収益力単位は,企業の収益 力ない し貨 幣収益力を考慮 した測定単位であ り,貨幣収 益 力の変化 に応 じて測定単位を修正 してい く
ものである。例 えば,1年前に10,000貨幣単 位量 を保有 してお り,正常な営業活動 を行 え
ば年10パーセン トの利益が稼得で きる場合, いま11,000貨幣単位量 を有 しているはずであ る。 これは,その企業 に対する 1年前の貨幣 収 益 力 が10,000で あ った もの が , い ま は ll,000であることを意味 し,現在の基準単位 は1.1(‑ll,000/ 10,000)であ ることを意味 す る。そ こで,これまでの例 におけるように,
1年前 に1,000貨幣単位量で購入 した資産 に 対 しては,それを1,100(‑1.1×1,000)とし て測定するわけである。 この貨幣収益力単位 は,資産の各測定値 を同一の貨幣収益力水準 で統一 し,貨幣収益力水準 に関 して比較可能 にするために用い られる。
2 評 価 基 準
評価基準 とは,測定単位 によって関係づけ られ る資産 の基準 とな る測定値 の こ とであ り,測定単位たる基準単位 を 1とした場合の 貨幣単位量の ことである。この評価基準 には, その資産 を取引する, もしくは取引 した仮定 の相違 によってい くつかの種類があ る。すな わち,それ らは,一方ではその資産が購入市 場で取引されたか,それ とも販売市場で取引 されたかによって2つに分類 され,他方では その資産が過去に取引されたか,現在取引 さ れるか,それ とも将来取引 されるかによって 3つに分類 される。 したがって,資産の評価 基準の種類は, これ らの組み合わせによって
6つあることになる。
いま, これ らの評価基準を1表 にま とめ, 各評価基準 に名称を付す と,表 1の ようにな り,それ らの内容を説 明す ると,以下の とお 表 1 評価基準の種芙頁
時制
市場 過 去 現 在 未 来
売 却 現 在 価 値
りとな る。
取得原価 は,ある資産 を購入するために, 過去 に支払 われた貨幣単位量である。例 えば, あ る資産 を 1年前 に購入 し,その時 に1,000 貨幣単位量 が支払われたな らば,その資産の 取得原価 は1,000であ る。 歴史的売価 は,あ る資産 を過 去 において売却 した とす るな ら ば,受取 ったであろう貨幣単位量である。例 えば,上記の資産 を 1年前 にす ぐ売却 した と す る と,1,200貨幣単位量 が受取 られたであ ろ うな らば,その資産の歴史的売価 は1,200 であ る。
購入時価 は,ある資産 をいま購入す る とす るな らば,支払 わなければな らない貨幣単位 量である。例 えば,上記の資産をいま購入す るな らば,1,300貨幣単位量 を支払 わなけれ ばな らない とす る と,その資産の購入時価 は 1,300であ る。売却時価 は,あ る資産 をいま 売却す る とす るな らば,受取 るであろう貨幣 単位量であ る。例 えば,上記の資産 をいま売 却 す るな らば,1,500貨幣単位量 が受取 られ る とす る と,その資産 の売却時価 は1,500で ある。
購 入現在価値 は,あ る資産 を将来購入する とす るな らば,支払わなければな らない貨幣 単位量 をあ る利子率で現在 に割 り引いた もの である。例 えば,上記の資産 を 1年後 に購入 す るな らば,1,728貨幣単位量 を支払 わなけ ればな らず,利子率が年8パーセン トである
とす る と,その資産 の購 入現在価値 は1,600 (‑1,728/ 1.08)であ る。売却現在価値 は, ある資産 を将来売却す る とす る と,受取 るで あろう貨幣単位量をあ る利子率で現在 に割 り 引いた ものであ る。例 えば,上記の資産 を1 年後 に売却 す るな らば,1,944貨幣単位量が 受取 られ,利子率がやは り年8パーセン トで あ る とす る と,その資産の売却現在価値は1, 800(‑1,944/ 1.08)であ るl)0
3 具体的数値例
以上 によって,資産 を測定す るための2つ の要素であ る測定単位 と評価基準の意味,鍾 類,および内容が明 らか となったので, ここ で, これ らの測定単位 と評価基準を組み合わ せ ることによって,資産 が具体的に どの よう に測定 され るのかを見てみることに しよう。
いま, これまでの例示 を尊重 して,資産の 測定単位 としての一般購買力単位の 1年前 お よび 1年後 に対す る現在の基準単位 を1.04, 個別購 買力単位 のそれを1.3,そ して貨幣収 益 力単位 ct)それを1.1とす る。 この場合,名 目貨幣単位の基準単位は,い うまで もな く1 であ る。 また,資産の評価基準 としての取得 原価 を1,000,歴史的売価 を1,200,購入時価 を1,300,売却時価 を1,500,購入現在価値 を 1,600,そ して売却現在価値 を1,800とす る。
この場合,資産の各測定値 は,表2の ように なる。
表2 資産の各測定値
評価基準 取 得 歴史的 購 入 売 却 購 入 売 却 測定単位 原 価 売 価 時 価 時 価 現在価値 現在価値 名 目貨 幣 単 位 1,000 1,200 1,300 1,500 1,600 1,800 一般購買力単位 1,0401) 1,2482) 1,300 1,500 1,5383) 1,7314)
個別購買力単位 1,3005) 1,5606) 1,300 1,500 1,2317) 1,3858)
1)1,000×1.04‑1,040 2) 1,200×1.04‑1,248 3) 1,GOO/ 1.04‑1,538 4) 1,800/ 1.04‑1,731
5)1,000×1.3‑1,300 7)1,600/1.3‑1,231 9)1,000×1.1‑1,100 ll)1,600/1.1‑1,455
6)1,200×1.3‑1,560 8)1,800/1.3‑1,385 10)1,200×1.1‑1,320 12)1,800/1.1‑1,636
この表 は以下の ことを表 している。取得原 価 と歴史的売価の評価基準 に基づいて資産 を 測定 しようとす る場合,それ らの評価基準に 各測定単位の基準単位 を乗 じなければな らな い。換言すれば,資産の測定値 は これ らの評 価基準 と各基準単位 との積 によって決定 され るわけであ る。 これによって,各測定値 はそ の基準単位 に関 して同一の水準 に統一 され, 現在時点 との期間的な比較 が可能 となるので あ る。
これに対 して,購入時価 と売却時価の評価 基準に関 しては,何 ら修正が行われていない。
これは,購入時価 と売却時価は現在時点にお ける価格 を表 してお り,現在時点においては, 基準単位はすべての測定単位 において 1であ
るので,修正が必要ではないことを示 してい る。 したがって,資産の測定値 を決定するに 際 して, これ らの評価基準では,修正は全 く 行われないのである。
購入現在価値 と売却現在価値の評価基準で は,取得原価や歴史的売価 とは逆 に,それ ら の評価基準を各測定単位の基準単位で除 さな ければな らない。 とい うのは, これ らの基礎 となる額は未来価値であるので,それ らを現 在時点に割 り引 く場合,利子率で割 り引 くだ けでは不十分であ り,現在時点において各測 定値 を比較可能 にするためには,基準単位 も 同一 の水準 に統一 す る必要 があ るか らであ る。 これによって,各測定値 はその基準単位 に関 して期間比較 がは じめて可能 となるので ある。
I4 会計 システムの諸業頁型
以上,会計構成要素の中心である資産 につ
いて,測定単位 と評価基準を組み合わせ るこ とによって,その測定値 が どの ように決定 さ れるのかを見て きた。そ して,そ こにおいて, 資産 に関 して様 々な測定値 が生 じることを解 明 した。 これは,資産の測定値の相違 がただ ちに会計 システムの相違 とな り,様 々な会計 システムの可能性 があ る こ とを示唆 してい る。 そ こで次に,資産測定の相違 によって識 別 される会計 システムには どの ような種類が あるのかを類型的に導 き出 してみ よう。
その場合,上で挙げた評価基準の種類 を少 し整理することがで きる。 とい うのは,あ る 評価基準は会計 システムに適用 して も意味が ないので,それを省略することがで きるか ら であ り,また,ある評価基準は購入市場 にお けるそれ と販売市場 におけ るそれ とを統合す ることによって,は じめてある明確な会計 シ ステムが導 き出されるか らである。
前者 に属 す る評価基準 は歴 史的売価 であ る。歴史的売価は,上述 した ように,ある資 産 を過去 において売却 した とす るな らば,受 取 ったであろう貨幣単位量であ り,いわゆる
「遡時予測」(retrodiction)に よる評価基準 である。会計 システムに関 して, この評価基 準 に意味を見出す ことは困難であ る といわざ るをえない。 とい うのは,歴史的売価は,過 去 において売却 が実際 に発生 したわけではな いので,事実を何 ら表 さない し,過去 に対す る非現実的な予測であるので,実際上意味を もたないか らである。 したが って, この評価 基準は この際省 くことがで きるのである。
また,後者 に属するのは購入現在価値 と売 却現在価値 である。後述するように, これ ら の評価基準 を使用 して算定 される利益が経済
的利益であるが,それ らを独立の評価基準 と す るな らば,明確 な経済的利益が導 き出せな い ことになるか らであ る。そ こで,各会計シ ステムを類型的に導 出す るに際 して, これ ら の評価基準 を統合することにす る。その場合, 現在一般に使用 されている名称を尊重 して,こ の評価基準 を 「現在価値」とす ることにす る。
したがって,会計システムを類型的に導 き
出す場合の評価基準は,取得原価,購入時価, 売却時価,お よび現在価値 の4つ とい うこと にな り, これ らが,名 目貨幣単位,一般購買 力単位,個別購買力単位,お よび貨幣収益 力 単位の各測定単位 と組み合わされ ることによ って,各会計システムが導 出され ることにな る。 いま, これを 1表 にま とめ,各会計シス テムに名称 を付す と,表3の ようになる。
表3 会計 システムの諸類型
評価基準
測定単位 取 得 原 価 購 入 時 価 売 却 時 価 現 在 価 値 名 目 貨 ̀幣 (1)取 得 原 価 (2)購 入 時 価 (3)売 却 時 価 (4)現 在 価 値
単 位 会 計 会 計 会 計 会 計
一 般 購 買 力 (5)実 質 取 得 (6)実 質 購 入 (7)実 質 売 却 (8)実 質 現 在 単 位 原 価 会 計 時 価 会 計 時 価 会 計 価 値 会 計 個 別 購 買 力 (9)実 体 取 得 (10)実 体 購 入 (1B実 体 売 却 (1分実 体 現 在 単 位 原 価 会 計 時 価 会 計 時 価 会 計 価 値 会 計 貨 幣 収 益 力 (13)成 果 取 得 (14)成 果 購 入 (15)成 果 売 却 (16)成 果 現 在
そ して, これ らの各会計 システムにおいて になる。
算定 され る利益 に名称を付す と,表4の よう
表4 利益の諸類型
評価基準
測定単位 取 得 原 価 .購 入 時 価 売 却 時 価 現 在 価 値 名 目 貨 幣 (1)実 現 (2)経 営 (3)実 現 (4)経 済 的
単 位 利 益 利 益 可 能 利 益 利 益
一 般 購 買 力 (5)実 質 (6)実 質 (7)実 質 実 現 (8)実 質 経 済 単 位 実 現 利 益 経 営 利 益 可 能 利 益 的 利 益 個 別 購 買 力 (9)実 体 (10)実 体 (10)実 体 実 現 (1分実 体 経 済
単 位 実 現 利 益 経 営 利 益 可 能 利 益 的 利 益 貨 幣 収 益 力 (13)成 果 (14)成 果 (15)成 果 実 現 (16)成 果 経 済
これ らの うち,(1)の取得原価会計は現行会 計制度 におけ る会計 システムであ り, リ トル トン,井尻教授等の主張す る会計 システムあ る。(2)の購入時価会計 は価格変動会計 におけ る会計 システムであ り,エ ドワーズ ‑ベル等 に よって提唱 された会計 システムであ る。(3) の売却時価会計はチ ェンバースやス ター リン グ等が提唱 した会計システムであ る。(4)の現
在価値会計は経済学的な会計 システム として 知 られてお り,フ ィッシ ャー, ヒ ックス,ア レクサンダー等 に よって主張 された会計 シス テムである。
(5)の実質取得原価会計は物価変動会計 にお け る会計システムであ り,スウ ィ一二一,ジ ョーンズ, メイスソ,片野教授等 に よって提 唱 された会計システムであ る。 (6)の実質購入
時価会計はいわゆる結合会計 における会計シ ステムであ り,やは りエ ドワーズ ‑ベル等の 主張す る会計システムである。(7)の実質売却 時価 会 計 は いわゆ る継続 的現 時会計 (con‑
tinuouslycontemporalyaccounting)におけ る会計システムであ り, これ もやは り,チ ェ ンバースやスター リング等の提唱 した会計シ ステムである。(8)の実質現在価値会計はやは り経済学的な会計 システム として知 られてお り,ア レクサンダーやチ ャン等 によって主張 された会計システムである。
(9)の実体取得原価会計 と(10)の実体購入時価 会計は営業能力資本維持会計 における会計 シ ステムであ り,シ ュッミッ ト,ギソザ一, レ ヴズ ィン等が提唱 した会計システムである。
(16)の成果現在価値会計は成果資本維持会計 に おける会計 システムであ り,上記の経済学者 のほ とん どが主張 した,ない しは主張するで あろう会計システムである。
(ll)q)実体売却時価会計,(1g)の実体現在価値 会計,(13)の成果取得原価会計, (14)の成果購入 時価会計,お よび(15)の成果売却時価会計は こ れまでの会計学の文献 において提唱ない し主 張 されて こなかった会計 システムであ る。 し か し,それ らは,資産の測定単位 と評価基準 の組み合わせか ら必然的に導 出される会計 シ ステムであ り,いわば黙示的な会計 システム
である。 これ らの会計 システム も本稿 におい ては重要であ り,考察の対象 となる会計 シス テムであ る。
5 総合的数値例
これによって,会計システムの諸類型が明 らか となったので, これか ら各会計システム を具体的かつ詳細 に説 明す るわけであ るが, それを行 う場合,各会計システムを比較可能 にするために,統一的な数値例 を用いること にす る。それは以下の とお りである。
あ る企業 の時点 0におけ る原初投 資額 は 10,000であ る。実質会計 システム系統 を計算 す る際に用いる一般物価上昇率は毎年4パー セン トであ り,成果会計システム系統 を計算 す る際 に用 い る貨幣収益 力上 昇率 は毎年10 パーセン トである。現在価値会計の体系 を計 算する際 に用いる利子率は年8パーセン トで あ る。収入 と支出は期末に発生 し,利益の全 額が翌期首 に配当されるもの とする。 この企 業の収支状況 (現在価値会計の体系の場合に は,予測収支状況)は表5の とお りである と す る。
取得原価会計の体系の場合,商品は先入先 出法で計算す る。備品の耐用年数は 3年 であ り,残存価額はゼ ロである。 この減価償却は 定額法で計算する。
表5 収 支 状 況
時 点
項目 0 1 2 3
売 上 高 7,0001) 12,0002) 13,0003)
有 価 証 券 売 却 3,000
商 品 仕 入 5,0004) 2,2005) 3,6006) 5,2007)
有 価 証 券 購 入 2,.000 備 品 購 入 3,000
1)40単位@175 2)50単位@240 3)50単位@260
4)50単位@100 5)20単位@110 6)30単位@120 7)40単位@130
表 6 各時点の時価
評 価 基 準 項目時点 0 1 2 3
購 入 時 価 商有 価 証 券品 @12,00000 @12,50100 @12,82000 3,@123000 備 品 3,000 2,500 1,500 0 売 却 時 価 商有 価 証 券品 @11,80500 @12,37005 @22,64000 3,@206000
購入時価会計の体系 お よび売却時価会計の 体系の場合,各時点の購入時価 と売却時価は, それぞれ表 6の ようであ る とする。
ここで,有価証券の購入時価 と売却時価 と の差額 は,各時点 においてそれぞれ200とな
っているが, これは同一市場取引を仮定 して お り,購入側 と売却側 においてそれぞれ購入 手数料や売却手数料等の付随費用 を支払 わな ければな らない こ とを想定 している。 この例 では,それ らの付随費用は100であ る。
備品の購入時価 は,現在所有 している備品 と同 じ備品をいま購入 しようとす るな らば, 支払 わなければな らない額 であ り,具体的に は,中古市場 における購入価額 を意味 してい
る。備品の売却時価 は,同様 に,中古市場 に おけ る売却価額 であ る。 これに対 して,商品 の購入時価 お よび売却時価 は,それぞれ新製 品市場 における購入時価 と売却時価であ る。
最後 に,実体会計 システム系統 を計算す る ために,個別物価上昇率の資料 を示 さなけれ ばな らない。 そのためには,各資産 の各時点 におけ る新 市場 の購 入時価 を示 す必要 があ る。 とい うのは,実体会計システムは上述 し た ように営業能 力資本維持会計 におけ る会計 システムであ り,営業能力資本 を維持す るた めには,維持すべ き資本 として,新市場 にお け る購 入時価 を用 い る必要 があ るか らで あ る。それ らは表7の とお りである とする。
表7 新市場の購入時価
時点
項目 0 1 2 3
商 品 @100 @110 @120 @130 有 価 証 券 2,000 2,500 2,800 3,200
以上 が本稿 におけ る総合的数値例であ り, 例 に基づいて説 明されることになる。
次節以降の各会計システムは, これ らの数値
Ⅲ 取得原価会計の体系
1 取得原価会計の体系の概要
取得原価会計の体系は,資産の評価基準 と して取得原価 を適用 し,収益の認識基準 とし て実現主義 を適用す る会計 システムであ る。
この会計 システムに測定単位 としての名 目貨 幣単位 を適 用 した もの が取 得 原価 会 計 で あ り,一般購買力単位 を適用 した ものが実質取 得原価会計であ り,個別購買力単位 を適用 し た ものが実体取得原価会計であ り,貨幣収益 力単位 を適用 した ものが成果取得原価会計で あ る。 そ して, これ らに よって算定 され る利 益 がそれぞれ実現利益 ,実質実現利益,実体 実現利益 お よび成果実現利益 であ る。
この取得原価会計の体系 において,1つの 大 きな特徴 は上述 した実現主義であ り, これ が きわめて重要 な役割 を果 た している。既述 の ように,実現主義 は収益の認識基準 であ り, その成立要件 は一般 に2つあ る。 1つは財の 引渡 または役務の提供 であ り,他はそれに対 す る対価 の成立 (貨幣ない しは受取債権の受 領)であ る。 これ ら2つの要件 は一般 に販売 時点 において成立す るため,実現主義 は販売 基準 とも呼ばれている。
この実現主義 はさ らに,取得原価会計 にお け る資産 の評価基準 としての取得原価 と密接 に関係 している。実現主義 に よって収益 を販 売時点で認識 す る とい うこ とは,言 い換 えれ
ば,販売時点 まで収益 を認識 しない とい うこ とであ り, これは取 りも直 さず資産 を取得原 価 で測定す るこ とを意味す るか らであ る。 こ の ように,取得原価会計 において, これ らは 表裏の関係 にあ り, これ らに よって,取得原 価会計では未実現利益 は計上 されない こ とに
な るわけであ る。
取得原価会計 において, もう 1つの大 きな 特徴 は原価配分の手続であ る。周知の ように,
これは主 として棚卸資産 お よび償却資産 に適 用 され,売上原価 お よび減価償却費 を算定す るために,それ らの取得原価 を当期費消分 と 未費消分 とに分割す る手続 であ る。 そ して, 費消分 は当期の費用 として計上 され,未費消 分は資産 として繰 り越 され るこ とにな る。 こ の原価配分は取得原価会計 に特有な手続 であ り,若干の例外 を除いて,他の会計システム にはない ものであ る。
これ らの こ とを念頭 にお きなが ら,それで は以下で,取得原価会計の体系 を前節 で示 し た数値例 に基づいて個 々に具体的 に説 明 して い くこ とに しよう。 その場合,紙幅を節約す る意味で,以下 では仕訳 とそれに付随す る最 小限の説 明,お よび財務諸表 のみを示す こ と にす る。 また,各会計 システムの特質 か最 も 顕著 に表 れ る第2期の会計処理 のみを説 明す る こ とに し,第 1期 お よび第3期 に関 して は ,本 稿 の最後 に結 果 の み を示 す こ とにす る。
2 取得原価会計
(1) 第2期首貸借対照表 第2期首B/ S
1)10個×@100+20個×@110‑3,200 2)3,000×2/ 3‑2,000
(2) 第 2期中取引仕訳
(∋ (借) 現 金 12,000 (∋ (借) 商 品 3,600
③ (借) 営 業 費 1,400 (3) 第 2期末決算整理仕訳
a (借) 売 上 原 価 5,600 b (借) 減 価 償 却 費 1,000
1)3,200十3,600‑1,200*‑5,600
*10個×@120‑1,200 2)3,000×1/3‑1,000 (4) 第 2期財務諸表
売現現商備)))))貸貸貸貸貸(((((
第2期P/L
12000000000006460231511
上金金品品
第2期末B/S
第2期首B/ S 3 実質取得原価会計
(1) 第 2期首貸借対照表
1)10個×1.04×@100+20個×@110‑3,240 2)2,000x1.04‑2,080
3)3,000×1.04×2/3‑2,080 4)10,000×1.04‑10,400 (2) 第 2期中取引仕訳
① (借) 現 金 12,000 (質) 売 上 12,000
② (借) 商 品 3,600 (貸) 現 金 3,600
(参 (借 ) 営 業 費 1 4 00 質/̲\ l・ 覗 (3)第2期 末決算整理仕訳
a (借 ) 売 上 原 価 5,770 b (借 ) 減 価 償 却 費 1,081
c (借 ) 一般購 買 力損失 120
商 品 130
有 価 証 券 83
備 品 83
0041
金 123016781704に孔=
品品金
本
商備資
ー\)\)貸貸貸/し.一.̲\t
1)1,04×3,240+3,600‑1,200*‑5,770
*10個 ×@120‑1,200 2)1.042×3,000×1/3‑1,081
3)0.04×(3,000+3,240+2,080+2,080)‑416
(4)第2期財務 諸表
第 2期P/ L 売
第2期末B/ S
4 実体取 得原価 会計2)
(1)第 2期首 貸借対照表
第2期首B/ S
1)10個×1.1×@100+20個×@110‑3,300 2)2,000×1.25‑2,500
3)3,000×1.1×2/3‑2,200 4)10,000×1.13‑ll,300
(2)第2期 中取 引仕 訳 (∋ (借 ) 覗
② (借 ) 商 (参 (借 ) 営 業
売現現1‑1‑・‑貸貸貸‑.1、//
00000002U4りlり.I,‑ー
金品費
(3)第2期 末決算整理 仕訳
a (借 ) 売 上 原 価 6,000
b (借 ) 減 価 償 却 費 1,200
C (借 ) 個 別購 買 力損失 330
商 品 300
有 価 証 券 300
備 品 200
上 12,000 金 3,600 金 1,400
品品金
本
商備資〜‑1・11貸賃貸l/‑/
1)1.091×3,300+3,600‑1,200*‑6,000
*10×@120‑1,200
2)1.1×1.091×3,000×1/3‑1,200
3)0.1×3,300+0.091×3,300+0.12×2,500+0.091×2,200‑1,130 (4) 第 2期 財務諸表
第 2期P/ L
第2期末B/ S
5 成果取 得原価 会計 (1)第 2期首貸借 対照表
第2期首B/ S
ll,000