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赤暗眞弓* (平成8年3月15日受理)

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(1)

環境に関する教育学部学生の意識と    行動についての調査研究

赤暗眞弓*

(平成8年3月15日受理)

AResearchofConscousnessandBehaviorby・Students

about Enviommental Education

Mayumi AKASAKI

(Received March15,1996)

1,はじめに

 これまでに筆者は,「家庭科における環境教育に関する基礎資料」1)と「環境教育に関 するシステム化に関する一試み 〜初等家庭科教育の授業を通して〜」2)の2つの環境教 育に関する研究報告を行っている。そのうちのひとつでは,小学校,中学校,高等学校の 家庭科において,教員が環境教育を実施していくための基礎知識の形成のために基礎資料 をつくり,その活用の事例について報告した。さらに,2つめでは,環境教育を実施して いくためには,環境問題を着実に考え,授業展開しうる教員の育成を目指した教員養成段 階での授業が見直されなければならないとの考えから,筆者が担当している授業である初 等家庭科教育において環境に関する授業を実施し,受講者の環境に対する意識と行動の変 化を調査した。これは授業受講後9週間目の調査であったが,学生の意識高揚や行動喚起 にはかなりの成果があげられていた。しかし,この状況が継続されるものなのか,新たな 行動に発展したり,意識が深まったりするものなのか,課題として残されていた。

 そこで,これらの学生および筆者の初等家庭科教育を受講していない同学年の学生を対 象にして,環境に関ずる調査を行ったので報告する。この調査の主な内容は,環境保護に 関する知識の獲得源,環境保護活動の有無,活動開始の時期およびきっかけ,環境保護に 関する知識と活動の関連,活動しない理由,活動の条件などである。環境教育の受講経験 の有無や大学での受講講義名などもあわせてたずねることによって,先に述べた課題解決 のための追跡調査とした。

*長崎大学教育学部家庭科教育

(2)

2.調査の内容と方法3)

調査内容は以下の通りである。なお,質問紙は資料として文末に掲載する。

調査内容:所属,性別,居住形態,環境教育の受講経験の有無,大学での受講講義名,

     環境保護に関する知識の獲得源,活動の有無,活動開始の時期,活動開始の      きっかけ,環境保護に関する知識と活動の関連,活動しない理由,活動の条件 調査対象,調査方法および回収率は次の通りである。

調査対象

長崎大学教育学部 小学校教員養成課程

中学校教員養成課程 幼稚園教員養成課程 養護教員養成課程

       4年生 計359名 調査方法 質問紙法

調査時期 1995年 9月27日〜10月6日 回収方法 留め置き法

回 収率 70.4%(252名)

有効回答率 68,2%(245名)

 集計は,長崎大学教育学部家庭科教育法研究室アンケート集計処理システムを用いて行っ

た。

3.結果と考察

3−1 環境教育の受講経験

環境に関する授業を受けた経験については表1の通りである。

表1 環境に関する授業経験の有無

1.

2.

︿口

計 

人 数

人 数

人 数

1.小 学 校

18 15.8 36 14.4 54 14.8

2.中 学 校

23 20.2 45 18.0 68 18.7

3.高   校

22 19.3 44 17.6 66 18.1

4.大   学

33 28.9 100 40.0 133 36.5

5.無 回 答

18 15.8 25 10.0 43 11.8

合   計 114 100.0 250 100.0 364 100.0

(3)

 調査時期までに環境に関する授業を受けた経験のある者は,全体の88。2%である。小学 校,中学校,高等学校での経験については,男女に差はみられない。しかし,大学におい ては男女の差がみられる。大学では受講科目が自由選択のものもあり,その差ではないか

と思われる。

 平成元年度に告示された学習指導要領においては,全教科の中で環境教育に取り組むこ とになっており,平成9年度大学入学者からは,小・中・高の各段階での授業経験者が増 加すると予想できる。

表2 環境に関する受講授業の講義名

1.

2.

ムロ

人 数

人 数

人 数

1.経 済 学 3

3.6

4

2.2

7

2.6

2.海洋の科学

1

1.2

0

0.0

1

0.4

3.生活科概論

5

6.0

28 15.3 33 12.4

4.理科実験

1

1.2

5

2.7

6

2.2

5.初等理科教育 3

3.6

12

6.6

15

5.6

6.初等家庭科教育 8

9.5

33 18.0 41 15.4

7.調理実習

0

0.0

1

0.5

1

0.4

8.電気応用 1

L2

6

3.3

7

2.6

9.保育内容「環境」 4

4.8

10

5.5

14

5.2

10.ゼミナール 3

3.6

2

1.1

5

1.9

11.初等生活科教育 3

3.6

4

2.2

7

2.6

12.無 回 答

52 61.9 78 42.6 130 48.7 合   計 84 100.0 183 100.0 267 100.0

 次に,表2の通り,受講講義名を記入した者は115名(47.0%)であり,延べ137名であっ た。昨年(平成5年度),調査対象者が3年生の時に開講していた「初等家庭科教育」を 書いていた者が41名で最も多く,ついで「生活科概論」が33名であった。 「初等家庭科教 育」については,筆者が担当しており,135分(L5コマ)をかけて環境に関する内容で授 業を行った。調査対象者のうち受講者は,99名であり,調査対象者の40.4%にあたる。こ の99名のうち41名(4L4%)が「初等家庭科教育」で環境に関する授業を受けたと答えて いる。1年前の履修内容を覚えていた者が41.4%は多いのか少ないのか判断しかねるが,

この結果を「初等家庭科教育」の授業後行った調査の追跡調査として位置づけた考察を本 論文の4で行うことにする。

3−2 環境に関する知識の獲得源

環境に関する知識の獲得源としてあげられたものは表3の通りであった。

(4)

表3 環境に関する知識の獲得源

順位

知識獲得源

1 位

テ レ ビ 37.5 2 位 雑   誌 24.8 3 位 授   業 23.5 4 位 家   庭

8.7

5 位 ラ ジ オ

2.1

6 位 新   聞

1.8

7 位 知   人

0.8

8 位

0.8

 知識獲得源としてテレビが最も高く37.5%,次に雑誌の24.8%,3位に授業23.5%となっ ている。視覚に訴えるものがその中心になっている。新聞や本の割合が低く,テレビや雑 誌などでは環境に関する特集が組まれており,新しい情報がその知識獲得の源になってい

る。

3−3 活動の有無

活動の有無については表4の通りである。

表4 環境保護に関する活動の実践率

活動内容

ゴミの分別

廃油は流しに流さない 冷蔵庫の適切な開閉

ゴミの水切り ゴミ受けの設置 食べる量だけ作る 必要な量だけの購入 電気製品の適切使用 可食部分は全て食べる 過剰包装を避ける おふろの水の再利用 冷蔵庫に詰めすぎない

リサイクル用品の使用 布製タオルの使用 流水 洗顔歯磨きしない 洗剤の使用量を減らす

実践率

790728257999335942220095366656539887765554444333

洗濯時のためすすぎ活動内容

トイレ2度流ししない 冷蔵庫の適切使用

リサイクル容器入商品 割箸は使わない

タッパーの使用 使い捨て商品の不買 皿洗い時のためすすぎ 省エネ製品の購入 皿の汚れを拭き取る 再利用する

トレーなどの回収 使用昆布鰹節の再利用 買物袋の持参

生ゴミの肥料化

実践率

28874079374031321130865421954333322111111

(%)

(5)

 調査した31の活動について,50%以上の人が実行していると答えた項目は9項目であっ た。ゴミの分別については94.7%の学生が実行している。廃油の処理やゴミの処理など高 実行率のものはすべて台所あるいは食についての活動である。毎日3回の食べるという本 能に基づく行動であることが,高い結果としてあらわれている。また,実践率の低い活動 については,消費者としての知識は持っているものの,これまでの便利な生活環境を享受 してきた大学生にとっては身近に感じられていないのであろう。今後,教育内容として取 り上げていかなければならない活動である。

3−4 活動の開始時期ときっかけについて

31の活動の開始時期については表5の通りである。

表5 活動開始時期について 項     目    数

1 位 2 位 3 位

4 位

小 学 校  学 校    校    学

13

117

14

513

49161 02290

 開始時期が1位と2位の活動には,小学校及び大学が集中している。小学校に多い理由 としては,環境保護のための活動を家庭内で幼い頃から実践しており,当人にとってはあ たりまえの行動であり,その活動が定着しているものと捉えることができる。また,大学 で多いのは一人暮しや下宿することによって,親まかせだった行動を,学生が自分で責任 をもって行わなければならなくなったことを示している。中学校は4位になった活動が多 く高校は3位が多い。学生たちはこの時期にはすでに身についた生活習慣のもとで生活し ている。また,親元で生活するため,親にまかせっきりの状況である。しかし,学校等で 知識を吸収しており,それに実践がともなってくる時期ともいえる。

 したがって,活動開始および定着の可能性のある時期は大学生までに2回ある。しつけ としての家庭教育を受ける時期と大学生となり,隼活環境が変化する時期である。この機 会を充分に活用していかなければならない。このことは,安部が環境教育の場および学習 時期として設定している幼児期の感性学習,および成人期の行動・参加学習4)とも一致し ている。

 この調査を実施した前年(平成6年)は,長崎市では水不足のため水道管の減圧処置が なされた。水の出が悪くなり,洗濯や風呂の水を貯めるのに通常の5倍ほど時間がかかっ た。また,減圧されているため,湯沸器が使えない,風呂を沸かすことができないなど非 常に不便な生活が強いられていた。この時期を過ごした約6カ月後に行った本調査では,

その時の経験はどのように生かされているのであろうか。8つの水に関する項目について の実践率と渇水がその活動を行うようになったきっかけになった割合を表6にあらわした。

(6)

表6 水に関する活動のきっかけ

活 動 き  っ か  け 時 期 項     目

実践率(%)

親の影響(%〉 渇水の影響(%) 1位(%)

流水洗顔歯磨きをしない 35.5

15.5(1位〉

1LO(2位) 小(18.0)

トイレ2度流ししない 31.8 9.0(1位) 8.0(2位) 小(14.3)

おふろの水の再利用 46.9

27.3(1位)

7.3(2位) 大(192)

洗濯時のためすすぎ 32.2

18.4(1位)

4.9(2位) 大(15.5)

洗剤の使用量を減らす 33.9

13.5(1位)

4.1(3位) 大(18.8)

皿の汚れを拭き取る 12.7 5.3(1位) 0.4(4位) 大(9.0)

皿洗い時のためすすぎ 15.9 9.4(1位) 2.0(2位) 大(6。1)

廃油は流しに流さない 82.9

53.1(1位)

0.4(5位) 小(31.8)

 これら8つの活動開始のきっかけの第1位はすべて親の影響となっており,またそのう ち5つの活動の第2位のきっかけが,渇水となっている。親も渇水の影響を受け行動して いることを考慮すると,5つの活動が渇水を行動開始のきっかけとなったととらえている ことがわかる。したがって,さきに述べた活動開始のきっかけとなる2つの時期に加えて,

年齢がいくつであっても,生活環境が変わることがそのきっかけとなりうることが示唆さ

れた。

 また,活動開始のきっかけは,開始時期が小学校が多かったことに関連して,親からの 影響が一番多く,31の活動中26であった。親から影響をうけることが多いという結果から,

今後親になる学生たちが,充分な知識と方法を得て実践していき,自分の家庭において当 然の事として行われるような行動化された活動としていく必要がある。

3−5 活動の実行率

 この調査における活動に関する31の質問についての実行率を出したものが表7である。

 30〜39%が最も高く,次に40〜49%となっている。この2つをピークにして山を作って いる。女子に関してはその山が40〜49%であるが,男子は30〜39%をピークにして,0〜

9%,50〜59%のところに小さな山がある。女子とは異なり,実行率は低いといえる。

(7)

表7 環境保護活動の実行率

1.

2.

ムロ

人 数

人 数

人 数

1.0〜9% 10 12.7

4

2.4

14

5.7

2.10〜19%

7

8.9

13

7.8

20

8.2

3.20〜29% 19 24.1 22 13.3 41 16.7 4.30〜39% 21 26.6 41 24.7 62 25.3 5.40〜49% 9 11.4 47 28.3 56 22.9

6.50〜59% 10 12.7 29 17.5 39 15.9 7.60〜69%

3

3.8

5

3.0

8

3.3

8。70〜79%

0

0.0

5

3.0

5

2.0

9.80〜89%

0

0.0

0

0.0

0

0.0

10.90〜99% 0

0.0

0

0.0

0

0.0

11,100%

0

0.0

0

0.0

0

0.0

合   計 79 100.0 166 100.0 245 100.0

3−6 居住形態別の活動状況

活動の実行率を居住形態別にみたときに,違いが顕著であったものだけを抜きだし,表 8にまとめた。

表8 居住形態別にみる活動状況

活 動 内 容

居住形態別実行率 (%)

自  宅

1人暮らし

下  宿 1.ゴミの分別

.必要な量だけの購入

.食べる量だけ作る

.おふろの水の再利用

.冷蔵庫に詰め過ぎない

90.1

9.5 8.5 2.4

0.7

97.7

6.2 0.7 6.1

8.6

100.0

3.6 4.5 6.4

4.5

 ゴミの分別は,31の活動中最も高い実行率であった。その中でも下宿の学生は100%で あった。これはおそらく,身内の集まりである自宅の学生や監督者のいない一人暮しの学 生と異なり,下宿の学生は他人同士の集団生活であり,ゴミを出すのも下宿で一度にまと めて出すため,自分一人くらいいいかという甘えた行動がとれないためである。おふろの 水の再利用のみが自宅の学生に高いのは,他人が集団で生活している下宿の学生と異なる

ところである。

(8)

3−7 環境保護に関する知識と活動の関連

知識と活動との関連については表9の通りである。

表9 知識と活動との関連

1.

2.

△口

人 数

人 数

人 数

1.知識○ 活動○ 16 20.3 32 19.3 48 19.6

2.知識○ 活動× 32 40.5 61 36.7 93 38.0 3.知識× 活動○ 12 15.2 34 20.5 46 18.8 4.知識× 活動× 15 19.0 26 15.7 41 16.7

5.その他

2

2.5

5

3.0

7

2.9

6.無回答 2

2.5

8

4.8

10

4.1

合   計 79 100.0 166 100.0 245 100.0

 知識を持っていると判断したのは57.6%,持っていないと判断したのは35.5%である。

また活動をしていると.答えたものは38.4%,していないと答えたものは54.7%である。数 値的には逆転している。知識もあり活動もしているものは19.6%,知識もなく活動もして いないものは16.7%である。知識は持っているが活動していないものが最も多く38.0%で ある。さらに,知識はないが活動しているもの18.8%である。知識を持っているから,活 動できると考えていたが,小さい頃からしつけられ無意識に行っていることなど,活動が 先行する項目もあることがわかり,これらの活動の実践率は高いことがわかった。

3−8 活動しない理由と活動するための条件について

活動をしないあるいは活動できない理由を記入していた人は全体の54.7%であり,かな り多いことがわかった。

その結果は表10の通りである。

表10 活動しない理由

順 位 項    目

1位

面倒だから 31.0

2位 やり方が分からないから 12.2 3位 機会がないから

8.6

4位 ついうっかり

0.8

何も考えていない

0.8

6位 環境保護に興味なし

0.4

時間がかかる

0.4

自浄作用をあきらめている 0.4

(9)

 「面倒だから」が最も多く31.0%であった。

 「やり方が分からないから」は12.2%であり,知識不足である状況を示している。

 「面倒だから」「ついうっかり」 「時間がかかる」を合計してみると,32,2%となって おり,心がけ次第で実践できるところまできていると思われるが,この理由で行動しない 人が行動にうつすためには,その人の生活にせっぱ詰まった事が生じたり,感化される人 が身近にいる状況にならない限り,活動をすすめていくことは非常にむずかしいと思われ

る。

 次に,活動するための条件をまとめたものが表11である。

 これらの結果から,活動をすすめていくためには次の5つが学習のポイントとなること が示唆された。

 ①活動の場があること

 ②活動は簡単でやりやすいこと  ③活動の成果が実感できること  ④活動しやすい雰囲気があること  ⑤幼い頃から活動をすること

表11 どうすれば活動するようになると思いますか 1.一人暮らし

2.すべてを自分でするようになる 3.やる気・根気

4.時間と経済的余裕 5.だれかが指針になる 6.強制される・義務化される

7.ゴミの分別の仕方をわかりやすく明示する 8.簡単でやりやすいこと

9。身近にリサイクルや環境保護の活動の場がある 10.自分の生命にかかわる事態が起こる

11.活動の方法,またそれが環境に与える影響が分かる 12。地域の活動状況等の様々な情報の入手

13.具体的な知識

14.ゴミの回収場所に牛乳パックやトレーの回収場所を設ける 15.環境保護の必要1生が分かる

16。周りの雰囲気づくり

17.罪悪感を抱くような状況を知る

18.その行動がどれほどマイナスなのか,その活動がどれほどプラスなのかを知る 19。機会があれば

20.生活に困ったら

21.自分の生活の範囲内で出来ること 22.本当に環境に優しい商品の販売 23。システム化

24.活動する際の制約の軽減 25.興味

26.幼いころからの指導 27.集団で行える 28.収入がある

29.環境保護のための活動の提案があれば 30.当然という意識

(10)

4.「初等家庭科教育」受講後と1年後の学生の行動変化

 環境教育を実施していくためには,環境問題を着実に考え,授業展開しうるうる教員の 育成を目指した教員養成段階での授業が見直されなければならないとの考えから,平成6 年度に筆者が担当した「初等家庭科教育」において環境に関する授業を実施し,受講者の 環境に対する意識と行動の変化を調査した。これは授業受講後9週間目の調査であったが,

学生の意識高揚や行動換起にはかなりの成果があげられたと結論づけている。しかし,こ の状況がその後も継続されるものなのか,新たな行動に発展したり,意識が深まったりす るものなのか,課題として残されていた。

 そこで,今回の調査において,環境教育の受講経験の有無や大学での受講講義名なども あわせてたずねることによって,先に述べた課題解決のための追跡調査とし,学生の意識

と行動の変化を比較した。

 実施した授業と1回目の調査5),および2回目(今回)の調査までの学生の状況は次の 通りである。

1994年12月

授業 (135分)

         ↓

1995年2月    調査(1回目)

         ↓

1995年9月〜10月 調査(2回目)

・家庭科における環境教育(プリント1枚)

・家庭科における環境教育(プリント1枚)

・環境に関する知識(プリント6枚)

V T R視聴(29分間)

「環境・今私たちにできること 暮しと地球を考える」

     (農山漁村文化協会編)

・環境教育に関する15分指導案作成

     (宿題 B5用紙1枚)

・環境教育に関する指導案を使って板書計画書作成

145人

99人

 表12の通り,受講講義名として, 「初等家庭科教育」をあげているものは,受講学生の 34.2%であった。これは,非受講学生に対する調査を含めても最も高い値である。しかし,

受講学生99名全員が筆者の授業を受けているはずであるので,100%であってもよいので あるが,1年後の学生の記憶状況は34%である。たった135分間の授業であったわりには 記憶状況は良好であると判断できる。なお,これから後,受講学生とは,筆者の担当した

「初等家庭科教育」を受講した学生のことであり,非受講学生とは,筆者の担当した「初 等家庭科教育」を受講していない学生を示す。

(11)

表12 学生の受講講義名称とその割合

受 講 学 生

非受講学生

講 義 名 称

人 数

人 数

経済学

3

2.7

4

2.6

海洋の科学 1

0.9

0

0.0

生活科概論 15 13.5 18 11.5

理科実験 4

3.6

2

1.3

初等理科実験 0

0.0

15

9.6

初等家庭科教育 38 34.2

3

1.9

調理実習・ 1

0.9

0

0.0

電気応用 2

1.8

5

3.2

保育内容「環境」 14 12.6 0

0.0

ゼミナール

2

1.8

3

1.9

初等生活科教育 0

0.0

7

4.5

無回答 31 27.9 99 63.5 合   計 111 100.0 156 100.0

受講学生数 99名 非受講学生数 146名

 さらに,1回目の調査において,環境に対する学生の意識高揚や行動喚起にはかなりの 成果があげられたと結論づけたが,その状況はその後も継続されるものなのか,あるいは 新たな行動に発展するかどうか,意識が深まったりするものなのかどうかについては,表 13の実行率をみてみたい。

 非受講学生より幾分実行率が高いといえるものの,明かな違いは認められなかった。

 また,表14の知識と活動との関連をみると,「知識もあり,活動もしている」と判断し ているのは,非受講学生の方が高い。この質間では,各人の判断基準が異なっているので,

いちがいには言えないが,受講学生の方が評価の判断基準が高いのではないかと考えられ る。なぜならば,「知識はないが,活動している」で,受講学生の方が10%ほど非受講学 生より高くなっているからである。すなわち,活動に関しては,しているかしていないか については,調査項目にもあり判断し易いが,知識については,判断基準の違いがより多

くの事柄を知った時点では高くなるからである。

(12)

表1331の活動の実行率比較

受講

学 生 非受講学生 実 行 率

人 数

人 数

0 − 9

5

5.1

9

6.2

10 − 19

6

6.1

14

9.6

20 − 29 19 19.2 22 15.1 30 − 39 27 27.3 35 24.0 40 − 49 24 24.2 32 21.9 50 − 59 12 12.1 27 18.5 60 − 69 3

3.0

5

3.4

70 − 79 3

3.0

2

1.4

80 − 89 0

0.0

0

0.0

90 − 99 0

0.0

0

0.0

100

0

0.0

0

0.0

合   計 99 100.0 146 100.0 受講学生数 99名 非受講学生数 146名

表14 知識と活動の関連比較

受 講 学 生 非受講学生

知識と活動の関連

人 数

人 数

知識○ 活動○ 13 13.1 35 24.0 知識○ 活動× 41 41.4 52 35.6 知識× 活動○ 24 24.2 22 15.1 知識× 活動× 15 15.2 26 17.8

その他

4

4.0

3

2.1

無回答

2

2.0

8

5.5

合   計 99 100.0 146 100.0 受講学生数 99名 非受講学生数 146名

次に,表15の活動しない理由の比較をみると,両者にはほとんど違いが認められない。

1回目の調査でも,面倒だから活動しないという自由記述が多かった。

(13)

表15 活動しない理由の比較

受 講 学 生 非受講学生

活動しない理由

人 数

人 数

面倒だから 33 33.3 43 29.5

機会がないから 8

8.1

13

8.9

環境保護に興味なし

0

0.0

1

0.7

やり方がわからない 10 10.1 20 13.7

時間がかかる 0

0.0

1

0.7

ついうっかり 1

1.0

1

0.7

何も考えていない

1

1.0

1

0.7

自浄作用をあきらめている 1

1.0

0

0.0

無回答 45 45.5 66 45.2

合    計

99 100.0 146 100.0 受講学生数 99名 非受講学生数 146名

5.おわりに

 調査の結果,環境に関する活動の実践率は低く,今後も学生の意識と行動を高めるため に,学習の機会拡大と,教材の開発が求められていることがわかった。

 環境問題を着実に考え,授業展開しうるうる教員を養成するための一試みとして,本学 部の教職科目のひとつである「初等家庭科教育」の中で,環境教育に関する授業を行い,

その結果,学生本人の意識高揚や行動喚起にはかなりの成果があげられたが,2回目の調 査によって,その状況がその後もわずかに継続されていることがわかった。

 しかし,自己評価では受講学生の方が自分の知識量や質および活動の程度について,厳 しく判断していることが分かり,今後の環境教育においては,知識・理解とともに評価と か行動化といった価値に関わる部分がその目標にすえられなければならない6)といえる。

 「ベオグラード憲章」の中の具体的目標7)として掲げてある次の①〜⑥までの過程を,

学生自身が意識して身につけていかなければならない。さらに,今後は,教員として授業 を行う際に,個々の児童・生徒に対応できるいくつかのパターンにわけて学習展開が可能 になるような,大学における授業を開発しなければならない。

①「関心」 全環境とそれにかかわる問題に対する関心と感受性を身につけること。

②「知識」 全環境とそれにかかわる問題および人間の環境に対する厳しい責任や使命に  ついて基本的な理解を身につけること。

③「態度」 社会的価値や環境に対する強い感受性,環境の保護と改善に積極的に参加す  る意欲などを身につけること。

④「技能」 環境問題を解決するための技能を身につけること。

⑤「評価能力」 環境状況の測定や教育のプログラムを生態学的,政治的,経済的,社会  的,美的,その他の教育的見地に立って評価できること。

(14)

⑥「参加」 環境問題を解決するための行動を確実にするために,環境問題に関する責任  と事態の緊急性についての認識を深めること。

引用文献および注釈

1)赤崎眞弓 家庭科における環境教育に関する基礎資料 長崎大学教育学部教科教育学研究報告  第25号 1995pp93〜107

2)赤崎真弓 環境教育に関するシステム化に関する一試み〜初等家庭科教育の授業を通して〜 教  員養成段階における環境教育を支援する地域環境教育資料の収集とそのシステム化 平成5〜6  年度科学研究費補助金(一般研究C)研究成果報告書 1995pp62〜72

3)本調査は,平成8年3月卒業の江口智子さんが卒業論文の一部として行った調査である。

4)生活環境研究会編 新しい生活環境をめざして ナカニシヤ出版 1993 pp144−145   阿部治氏の図と説明を一部掲載すると次のようになる。

  自然と人間という2つの学習対象に対して,生涯学習としての環境教育の段階を幼児期,学齢  期,成人期という3つのライフ・ステージとし,さらに,直接体験による感性学習,学ぶことを  中心とした知識・技術学習,問題解決のための行動・参加学習という3つの環境教育の場を設定   している。この3つの環境教育の場は,自然(環境)と人間(社会・文化環境)の両者に対して  「〜の中で」,「〜について」,「〜のために」の環境教育としても表現できる。幼児期,学齢  期,成人期のいずれにおいても,これら3つの場が設定されることが必要であるが,学習者の発  達段階に応じてそれぞれのライフ・ステージで強調されるものが異なる。幼児期では感性学習が  中心であり,その後の学齢期では,知識・技術学習に重点がおかれ,成人期では,行動・参加学  習が主要な環境教育となるのである。

→環境教育の場←

自然(環境)

人問(社会.文化)}の中で

直接体験による

感性学習 }について

雛 }のために

学習       行動・参加学習

幼児期 学齢期 成人期

図1 生涯学習と環境教育 5)前掲書3

6)水越敏行編 新しい環境教育を創造する ミネルヴァ書房 1995 はじめにより 7)同上書 pp20〜21

(15)

(資料)

      環境に関する調査

 「環境を保護するための実践活動を促す教材開発〜家庭科において〜」のアンケート調 査にご協力下さい。宜しくお願いします。

)選修        男・女 自宅・一人暮らし・下宿 Q1.あなたは今までに環境に関する授業を受けたことがありますか。該当する番号をす   べて○で囲んで下さい。

   ①小学校②中学校 ③高等学校④大学(講義名:      ) Q2.あなたは環境保護に関する知識を何から得ましたか。該当する番号をすべて○で囲   んで下さい。

   ①テレビ ②ラジオ ③雑誌 ④授業 ⑤家庭 ⑥その他(       ) Q3.下表のそれぞれの項目についてお答え下さい。

  1下表の項目の中で環境を保護するためにあなたが今行っている活動がありますか。

   『○×の欄』に○又は×を記入して下さい。

  2 1でOと答えた項目についてお尋ねします。

  ア.それはいつごろから行っていますか。下から選んでその番号を『時期の欄』に     記入して下さい。

     ①小学校②中学校③高等学校④大学

  イ.行うようになったきっかけは何ですか。下から選んでその番号を『きっかけの     欄』に記入して下さい。下に挙げた以外のきっかけは『その他』に記入して下     さい。

     ①家族がやっているのを見て   ②友達がやっているのを見て      ③テレビ・新聞・雑誌・本を見て ④授業を受けて ⑤渇水を経験して

項       目

時期

き   っ   か   け

ゴ      ミ

ゴミの分別 (その他      )

排水口にゴミ受け(ストレーナ)を

ける (その他      )

三角コーナーをつけ、ゴミの水切り

する

(その他      )

使い捨て商品を避けて購入する (その他      )

必要な量だけ購入する (その他      )

買い物袋を持って行く (その他      )

過剰包装を避ける (その他      )

(16)

項       目

○× 時期

き   っ   か   け

ゴ       ミ

リサイクル可能な容器に入って

る商品の購入 (その他      )

食べる量だけ作る (その他      ) 食べられる部分は全て食べる (その他      ) ダシを取った昆布や鰹節で佃煮

作る (その他      )

調理したり保存したりする時に、

ルミホイルやサランラップの うな使い捨てのものを避け、

ッパーなどの容器を使用する

(その他      )

ナプキン・キッチンタオルは布

のものを使う (その他      )

割箸は使わない (その他      ) コンポストを使って生ゴミを肥

にする (その他      )

牛乳パック・トレーなどをスー

ーへ持って行く (その他      )

再利用する(Tシャッをエプロ

にするなど) (その他      )

リサイクル用品を進んで使う

再生紙など) (その他      )

流水での洗顔・歯磨きはしない (その他      ) 水洗トイレの2度流しはしない (その他      ) おふろの水を洗濯に使う (その他      ) 洗濯をする時ためすすぎをする (その他      ) 洗剤の使用量を減らす (その他      ) 皿の汚れを新聞・広告で拭き取

(その他      ) 皿を洗うときためすすぎをする (その他      ) 廃油は流しに流さない (その他      )

エネルギー

冷蔵庫はこまめに閉める (その他      ) 冷蔵庫に物を詰め過ぎない (その他      ) 電気や電気製品はこまめに切る (その他      ) 冷房や暖房はできるだけ使わな

(その他      ) 省エネ効果の高い電気製品を購

する (その他      )

(17)

Q4.あなたの環境保護に関する知識の量と活動の関連は次のどれに当てはまりますか。

   該当する番号を1つ選んでOで囲んで下さい。

  1 知識もあり活動もしている

  2 知識はあるが活動はしていない →Q5,Q6へ   3 知識はないが活動はしている

  4 知識もなく活動もしていない  →Q5,Q6へ

  5その他(       ) Q5.Q4で2又は4と答えた人におたずねします。

   活動していない又は活動できない理由は何ですか。該当する番号を1つ選んで○で    囲んで下さい。

  1面倒である

  2 やらせてもらえない(機会がない)

  3 環境保護に全く興味がない   4 やり方が分からない

  5その他(       ) Q6 Q4で2又は4と答えた人におたずねします。

   どのようなことがあればあなたは活動するようになりますか。

参照

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