著者 宮口 尚義
雑誌名 教科教育研究 │ 金沢大学教育学部
巻 10
ページ 117‑126
発行年 1977‑07‑11
URL http://hdl.handle.net/2297/23562
117
障害走における高さとインターバルの検討
宮口 尚義
いう走高跳の連続レース(jumpover)といえ るものであった。しかし現在では,ハードル競 技は短距離とともに,疾走速度を競うものとし て考えられてきつつあり,体力的にも,技術的 にも短距離と同じく見る傾向になってきてい る。ハードルのどの種目においても,疾走スピ ードを基礎とした技術が求められ,スタートや 中間疾走のフォームが短距離と同じであるのは 当然のこととして,ハードリングさえも疾走フ ォームがハードルを越えるために,やや変容さ れたものであると考えることができる。とくに 近年,ハードルをまたぎ越すというより,脚を 早く動かして走り越えるという新らしい技術の 誕生から,よりいっそうスピード化を承ること になってきた。
実際に,すぐれたハードラーは,短距離の走 力に優れており,大きな歩幅で,しかもピッチ が速いスプリントができる能力を持ち備えてい ることからゑても明らかである。
ただ,このようなハードルのスピード化と,
短距離定への移行とはいっても,技術的にはハ ードリングの時間が大幅に短縮されただけであ り,基本的なことは前と同じと考えてもよいよ うである。この要因のひとつとして,脚のさば き,すなわち脚の前後の交替をすばやく行って いることがあげられる。過去の技術のように抜 き脚を大きく残し,胸にかかえ込むように引き つけるなどという時間的に無駄な動作は殆んど ゑることができず,すばやい振りあげ,振りお ろし,抜き脚の引きつけなど脚の運びはスプリ
ントに近い型として変容してきたと承るべきで あろう。
〔I〕はじめに
障害定の特色は,一定の間隔に並べられた一 定の高さのハードルをとび越えて走るところに ある。したがって,この種目の特性から障害走 にとくに必要な体力の要素としては,スピー ド,筋力,パワー,筋持久力,可動性,調整力
(バランス,リズム,リラクセーション,タイ ミングなど)といったようなものがあげられ る。すなわち,障害走で好記録を生j3A出すため には,短距離走に必要な要素のほかに,ハード リングや,中間定の技術にすぐれていることが 不可欠の条件になる。
近年,競技選手は勿論のこと,児童生徒の体 格が大型化の傾向につれて,障害走の距離や,
ハードルの高さ,インターバルなどについて再 検討の声が聞かれるようになってきた。すで に,競技界でu967年より女子80mハードルが 100mハードルに移行されている。それすらも 大柄な欧米の女子選手にとっては,短かすぎる きらいがあるともいわれている。教材としての 障害定の指導内容についても,高さ,インター バルの変容をふるのも遠くないものと思われ る。
〔H〕障害走技術の変容
古典的なハードル技術は,速く走ることか
ら,片脚で踏糸切り,両脚で着地するというも
っとも初歩的なフォームであった。極端な表現
をすればご障害物を高くとび越えることの連続
(seriesofhighjumps)ごとも承ることができ
る。従って,1台とび越すごとにスピードは止
まり,次のハードルのとび越しの助走に移ると
〔2〕測定項目と期間
測定にあたっては,形態面や機能面のなか で,障害走と比較的関係の深いと思われる項 目を選び出した。次に50mハードル定につい て,ハードルの高さ,及びインターバルを種 を変化させて,そのとぎのタイムを測定する とともに,被験者の自己診断を質問形式で回 答を求めた。
1.形態
身長,体重,胸囲,座高 2.機能
50m定,立体体前屈,ストライド,立幅跳 3.50mハードル走のタイムとストライド
①高さ76.201m(男女200mハードル)
インターバル8m
②高さ76.201m(〃)
インターバル8.5m
③高さ91.4c〃(男400mハードル)
インターバル8m
④高さ91.4c〃(〃)
インターバル8.5m
⑤高さ91.4c〃(〃)
インターバル9m
⑥高さ99.1c〃(高校男110mハードル)
インターバル9m
(注スタートラインから第1ハードルまでは いずれも12m、ハードル5台、また⑤⑥に ついては体育生についての糸実施)
なお,測定は,昭和50年10月~昭和51年6月 に実施したものである。
〔Ⅵ〕結果とその考察
〔1〕形態と機能
表1からわかるように,形態面についてふる と体育生が一般生よりまさっており,特に身長 で3c〃余り,体重でも4町近い差がみられる。
また,座高では1c〃程度の差であるが,下肢長で は4c"余りの差になっている。これらは,一般 生が2年生,年令も19才が多いのに対し,体育 生の方は3,4年生,年令的にもトレーニング のうえでも差があることは当然の結果であると
〔M〕技術の要点
そこで,技術的にスプリントヘの移行となっ た障害走の特性を短距離と比較しながら技術の 要点をあげるならば
①ハードル技術は,短距離走に属するもの であり,求められる技術や体力は原則的に短距 離種目とかわらない。
②しかし,技術的にさらに検討をすれば次 の点で短距離種目と異なっている。
1.ハードルが一定の間隔で置かれている ので,条件の如何にかかわらず,一定の 歩幅と歩数が要求される。
2.ハードリングという短距離にはない特 別のストライドが要求される。ランニン グの中の1歩が変容するものであり,と び越える(jumpover)ものでなく,走
り越える(runningover)1歩である。
3.1と2の結果として,ハードリングと intervalrunningによる疾走のリズムが 生じる。いわゆる'リズミカルなスプリ
ンティングの競技とふることができる。
〔Ⅳ〕研究の目的
前述のことから,現在,競技会や学校体育の 教材として取りあげられ,実施されている障害 定の距離や,ハードルの高さ,インターバルな どについて,競技選手や,児童生徒達に適切な ものであるかどうかについての資料は多く見当 たらない。
そこで本研究はハードルの高さや,インター バルを中心にした実験を試承,今後改善してい くべきひとつの方向を見出すべく本題をとりあ げたものである。
〔V〕研究の概要
〔1〕研究の対象男子47名
金沢大学教育学部体育専攻学生
(体育生)22名 金沢大学教育学部初等科学生
(一般生)25名
宮口:障害定における高さとインターバルの検討 119 表1 形態と機。能 たしのが,それだけさらに差が大きく開いたと
いうことは,ハードリングやインターバル定の 技術の差が加わってきたためである。ハードル の高さが91.4c伽で,インターバルが8.5mのと ぎが,比較できる四者の中ではもっとも差が大 きくなっている。このことから,高さがもっと 高くなり,加えてインターバルがもっと大きく なれば,両者の差はさらに開くことが予想され る。また,一般生の場合は,体育生に比較して 偏差値が大きくなっていることからも,同じ一 般生でも技術のうえでかなりの差があることが 推察される。
次に同じ高さのハードルで,インターバルが 8mと8.5mの場合について比較して承ると,
体育生,一般生のいずれにおいても,8.5mの 時の方が記録的によい結果が出ている。これら はすなわち,8mのインターバルでは,3歩で いくのに少々歩幅がつまった型になり,かなり 走りにくいことを意味しているといえよう。さ
らに体育生についてふると,ハードルの高さが 91.40"の場合,インターバルが8.5加と9mの 時のタイムは,ほとんど同じである。また,ハ ードルの高さが99.10"でインターバルが9mの 時は高さが91.4cjlZでインターバルが8.5m,お よび9mの時よりは劣るが,8mの時よりもま さっている。
これらのことから考えると,ハードルの高さ とインターバルとはかなり深い関連があり,ハ ードルの高さが高くなるにつれて,インターバ ルもある程度は大きくした方が走りやすいよう である。
〔3〕形態と機能の関係
次に形態や機能の中で,相関関係があると思 われる項目を取りあげたのが表3である。
①下肢長とストライド
下肢長とストライドとの間には,かなり高い 相関が承られた。体育生の場合は,子僻想通り1
%の危険率で有意性を認めた。一般生において は,体育生ほど高い相関は承ることができな い。体育生の場合には,トレーニングによって 一応フォームが安定してくるにつれて,下肢長 体育生N=221-般生N=25
MlS・DlMlS.,
身長(c〃)
171.47 5.10 168.61 5.02体重(ん,)
65.14 5.14 61.86 6.22胸囲(c")
91.68 3.51 89.96 4.41座高(”)
92.14 2.43 90.96 2.49 ̄
下肢長(c")
80.42 3.13 76.68 324立位体前屈
(c")
15.37 5.66 15.02 4.4850m定(秒)
6.61 0.24 7.21 0.27 ストライド(c")
198.68 9.72180.49
10.36立幅跳び(cjIz)
252.7214.75
241.06 11.88考えられる。
障害定に関連のあると思われる機能面につい てゑても,体育生の方が優れており,50m定で 0.60秒,ストライドで18.19c〃,立幅とびでlL 66cjizといずれも大きな差が承られる。種目の性 格から考えて当然なことではあるが,それにし てもスライドの1歩平均で,およそ20c腕の差が あることは注目すべきであり,それがタイムの うえにも大きく影響しているものと思われる。
〔2〕50mハードル定のタイム 表250mハードル走のタイム
体育生
インターバル
(畑)
般生
』
さ“ 高く
NlMlS・DINlMlS.,
76.2
皿一正一皿一卯|旧一佃
8.02 0.39
-
0.36
路一路一弱一四 川一側一州一川
0.7276.2 8.5 7.91
-
852
0.66
-
0.65
91.4 8 0.50
91.4 8.5 8.22 8.31 8.36
Ⅲ|川一川
0.5591.4
 ̄
99.1 9
9
形態や機能面の差から考えて,体育生の方が
一般生をしのぐことは当然のことと予想される
が,実際には表2に承る通り1秒~1.5秒程度
の差がゑられた。50加走では0.60秒の差であっ
形態と機能の相関 ツチでスピードを生dFk出す走法を身につけてお り,ストライドの小さい人は,ピッチでそれを カバーしているために相関が低いものと思われ る。とくに50mという短い距離では,ピッチの 果す役割はかなり大きく影響する。それに対し 一般生では,走法が定まらず,とくにストライ ドが必要以上に狭くなってしまう傾向がふられ る。全力疾走時の1歩のストライドの平均が,
およそ20c"近くも体育生より狭くなっているこ とがそれを証明している。しかも,その分をピ ッチでカバーできるものとは思われない。した がって一般生の場合は,ストライドの大きい人 が50加走でもよいタイムをマークしているとい
う結果が出たものと推察される。
⑤下肢長と50m定
ほとんど相関はふられない。むしろ逆相関の 傾向さえふえる。従って下肢長の大きい人が50
m定のタイムも優れているとは言い難い。
⑥立幅跳びと50m走
両者の間には相関が承られ,とくに一般生の 場合は5%の危険率で有意性を認めた。
〔4〕50mハードルと諸要因との関係
①50m定との相関
かなり高い相関が承られる。とくにハードル の高さが低い場合に,相関が高い傾向にある が,これは当然の結果である。また,ハードル が同じ高さの場合,インターバル8加と8.5m 表3
体育生 般生
N’rlNlr
岐涙
h][0.306
醗長と立幅'22101831251-0024 金縫詮ドと’221029012510Ⅲ 記纒イドと’22101521251063脚 王肢長と5m’221-02401251-Ⅲ 蕊とびと50122103101251M50*
*……5%**……1%
相応のストライドで走るようになったものと思 われる。それがひいては記録向上にも結びつい てくることになる。
②下肢長と立幅跳び
体育生においても,一般生においても,両者 の間にはほとんど相関はふられない。
③ストライドと立幅跳び
一応順相関は承られるが,有意性は認められ ない。
④ストライドと50m走
体育生の場合は,ほとんど相関はふられない が,一般生の場合はかなり高い相関がゑられ,
1%の危険率で有意性が認められた。体育生の ほとんどは,各自にふさわしいストライドとピ
50mハードル走との相関 表4
妓痕
支生’1ノ4堅官壬’一ガ肘向Z歪’121星宿
叉壬’14塁官壬’一船3218122104881251036612210.O891251UZ581221q3301251C J、38712510.22112210.1291251-0266
〕、O111251qO5112210.37112510.30812210.26912510.40212210.07312510078 3218512210.5051ZblL
91.418122104591251035912210.34912510.00712210,40112510.1061221-0.131125102661221002112510.180
91.418512010474121104iill201ql76121100141201q4411211q3991201q2561211q3281201013412110281
91.419119103751-l-l191qlO61-l-l19104391-l-l191q6jbl-
-'1910.1161-99,11911910.2891-’-'1910.2401-’-'1910.4111-’-l191q3411-l-'191-02401-
鵜……5%
宮口:障害走における高さとインターバルの検討 121 とについて比較すると,8.5mの時の方が相関
が高くなる傾向が承られる。
②下肢長との相関
ほとんど相関が承られない。このことについ ては,本実験に用いたハードルが主に低いハー ドルを使用したことにより高さが低かったこと にも一因があると思われる。ハードルの高さが 高くなるほど相関も高くなることは,体育生に
実施した高さ99.1c"の例からも推察できる。
③ストライドとの相関
一応順相関が承られ,ハードルのインターバ ルが長くなるにつれて,高い相関が糸られる傾 向にある。しかし,1%や5%の危険率での有 意性は認められない。
④立幅跳びとの相関
一部において5%の危険率で有意性が認めら
表5 ハードルの高さとインターバルに対する感覚 高さ762c〃
インターバ
ル8c〃高さ76.2c〃
インターバ
ル8.5m高さ91.4c〃
インターバ
ノレ 8m
高さ91,4m インターバ
ル85加高さ91.4c〃
インターバ
ル9m高さ99.1c〃
インターバ
ル 9m
体育生|一般生体育生|一般生体育生|一般生体育生|一般生 体育生|一般生 体育生|一般生
15 10
N|%|N|%|N|%|N|%|N|%
2 2 3
 ̄
13.6
0一0 2 0 0 0’0
低すぎる
68.2
Ⅲ|Ⅱ|Ⅷ 剛-6
8.0 9,1 0一00
5
6|川
7 3 ̄
31’8
i
l36
やや低すぎる
局
227川-6
4.0 1360 妬-8
17 2
-
9.1
12 9
2|Ⅲ|旧一川
112|肌 旧一侃一6|Ⅲ
ちょうどよい
480
川-0
68.0川-3|Ⅲ’0’0
50, 364さ 0 0’0 0一0 4
-
18.2
16
8|川-5|町
やや高すぎる
0 0一0 640
0 0 0 4
-
16`0
2
7|川
3高すぎる
0 0 0 0 9.1 136
12 214
N|%|N|%|N一%|N|%|N|%|N|%
0 8 0’0 2 0 0 0’0’2
近すぎる
54.6
80 182 036.4
-
10
9.1
-
6
0 0
7 7
6|Ⅲ 2|肌
3-
13.6
やや近すぎる
イーソ
31.8 28.0 4.0価-4|川-0’0
27,3 40Ⅲ|旧一価
3 14 12 10 15
-
60.0
3 11
 ̄
50.0
ちょうどよい
夕 136
-
0
56.0
546
40.0 409 12`02 0 13 7 3 10 3 5
やや遠すぎる
寺
/、
0
肌-0
0 52.0 28.013.6 40.0
13.6 町-2|Ⅲ’3
ノレ
0 0 0’0
0
0 6 2遠すぎる
0 0 0 0’0一0 0 4.5 240 Ⅲ’3
0’0 0
0
5遠すぎて3歩で
だめ 0 0 4.0 40 4.5 20.0 13.6 13.6
れ,ハードルのインターバルが長い方が高い相 関がふられる傾向にあるが,全体的には相関が 高いとはいえない。
⑤立位体前屈との相関 ほとんど相関はふられない。
〔5〕ハードルの高さとインターバルに対する感 覚
ハードル定を実施した被験者は,ハードルの 高さやインターバルに対し,どのような自己判 断をしているかについて回答を求めたのが表5 である。
①高さ76.2c伽,インターバル8mの場合 高さについて承ると,体育生の70%近くが
「低すぎる」と答え,23%余りが「やや低すぎ る」と答えている。それに対して一般生では
「ちょうどよい」と答えている人が約半数を占 めている。しかし,「高すぎる」とか「やや高 すぎる」という回答は双方共に全然見当たらな い。
インターバルについてふると,体育生では85
%余りの人が,「近すぎる」か「やや近すぎる」
と答えている。一般生では,「ちょうどよい」
という人が56%であり,この面でも半数を占め している。すなわち,一般生の半数近くの人は ハードルの高さと,インターバルが好適である と判断しているものといえよう。それに対して 体育生の大部分は,それでは低すぎたり,近す ぎたりして,若干走りにくいと判断しているよ うである。同じ高さで8.5mのインターバルの 時のタイムと比較してゑても,そのことがうか がえる。
②高さ76.20",インターバル8.5mの場合 高さについては①の場合と同じく76.20"であ るが,体育生では「低すぎる」という人が68.2
%から45.4%に減り,「ちょうどよい」という 人が9.1%から27.3%にふえている。インター バルが長くなったことが,高さに対する感じま でも変えたものと思われる。一般生についても
「やや低すぎる」という人が減り,その分だけ
「ちょうどよい」という人がふえている。すな わち,70%近くの人がこの高さで「ちょうどよ
い」と答えている。
次にインターバルについてふると,体育生で は半数を上まわる54.6%の人が「ちょうどよい」
と答え,「やや近すぎる」という人が27.3%,
「近すぎる」という人はわずかに18.2%になっ ている。一般生では「ちょうどよい」という人 が40.0%「やや遠すぎる」という人が52.0%を 占めている。すなわち,8.5mのインターバル は,体育生では「ちょうどよい」という人がも っとも多く,一般生では「やや遠すぎる」とい う人がもっとも多くなっている。
③高さ91.40〃,インターバル8mの場合 高さについて承ると,体育生では「ちょうど よい」という人が40.9%でもっとも多く,続い て「やや低すぎる」という人が31.8%,「低す ぎる」,「やや高すぎる」という人が共に13.6
%である。一般生では「やや高すぎる」という 人が圧倒的に多く72.0%を占め,続いて「高す ぎる」,「ちょうどよい」の順になっている。
インターバルについてふると,体育生では
「やや近すぎる」,「近すぎる」で約80%を占 めており,「ちょうどよい」という人は18.2%
に過ぎない。それに対し,一般生では「ちょう どよい」という人が60.0%でもっとも多く,
「やや遠すぎる」という人が28.0%である。こ れを①の場合と比較して承ると,「ちょうどよ い」という人の割合はあまり変わらないが,① の場合には「やや近すぎる」という人が28.0%
であったものが,ここでは「やや遠すぎる」と いう28.0%になって同割合を占めしていること が注目される。このことからも,ハードルの高 さが高くなったことが,インターバルに対して も大きな影響を及ぼしていることがわかる。
④高さ91.4cjm,インターバル8.5mの場合 高さについてふると,体育生の場合は「ちょ うどよい」という人が50.0%で半数を占め,続 いて「やや高すぎる」(18.2%),「やや低す ぎる」(13.6%)の順になっている。一般生で は「やや高すぎる」という人が64.0%でもっと も多く,「高すぎる」という人が28.0%あり,
ほとんどが「高い」という意識を持っているよ
宮口:障害走における高さとインターバルの検討
123うである。
インターバルについてふると,体育生では
「ちょうどよい」と答えている人が40.9%でも っとも多く,続いて「やや近すぎる」(27.3%)
「やや遠すぎる」(13.6%)の順になっている。
一般生では「やや遠すぎる」という人が40.0%
も多く,「遠すぎる」という人が24.0%,「ち ょうどよい」という人が12.0%である。また遠 すぎて,インターバル3歩で行くことのできな い人M0.0%承られた。
結局,体育生にとっては高さにおいても,イ ンターバルにおいても「ちょうどよい」という 傾向にあり,一般生にとっては,高さ,インタ ーバル共に「やや無理がある」と言えるようで ある。
⑤高さ91.4c伽,インターバル9mの場合 これについては,体育生についての承実施し た。まず高さについてふると,④の場合と同様 な傾向を占めし,「ちょうどよい」という人が もっとも多く45.5%,「やや高すぎる」という 人が27.3%,「やや低すぎる」,「高すぎる」
という人が共に13.6%となっている。
インターバルについては,「ちょうどよい」
という人が50.0%でもっとも多い。「遠すぎて 3歩で行けない」人も13.6%承られるが,逆に
「やや近すぎる」という人も13.6%承られ,個 人差がかなり大きく表われてくるようである。
⑥高さ99.1c〃,インターバル9mの場合 高さについて承ると,「やや高すぎる」とい う人と「ちょうどよい」という人が同数を占め し36.4%,「高すぎる」という人が22.7%承ら れた。
インターバルについては,「ちょうどよい」
という人が45.5%でもっとも多く,「やや遠す ぎる」という人が22.7%あった。また「遠すぎ て3歩で行けない」人は⑤の場合と同じく13.6
%承られた。したがって,インターバルの9m についてはともかく,高さ99.M2のハードルは
「やや高すぎる」と感じている人が多いようで ある。
〔6〕50m障害定におけるストライド
障害走においては,スピードはもちろん必要 な要素であるが,それをうまく生かすには,優 れたハードリングの技術と,インターバルの走 り方ができなければならない。しかしこの両者 は密接な関連があり,巧承なハードリングがで きれば,インターバルにおいてもバランスやリ ズムをくずすことなく走れるし,それがまた次 のハードリングでスムースにいく原因ともな る。またハードルの高さやインターバルは,あ らかじめ決まっているので,それらの高さやイ ンターバルに応じて,もっともロスの少ない経 済的な走り方をすることが必要になってくる。
ハードリングを含めたハードル間の走り方を 区切って承るならば,次の五つの部分から構成 されている。すなわち,①ハードル~着地,② 着地~第1歩,③第1歩~第2歩,④第2歩~
第3歩,⑤第3歩~ハードルの部分である。こ のうちのどれか一つの部分でも無理が生じた り,バランスがくずれたりすれば,全体のリズ ムもこわれ,スピードも鈍っても,悪い結果に 終ってしまう。したがって障害走では,それぞ れの種目によって理想的と思われるストライド
(着地点’第1歩地点,第2歩地点,第3歩地 点)があることが考えられる。勿論体格や体力 の諸機能には個人差があるので,厳密にそれら を規定することはできない
.。①高さ76.2c畑,インターバ,し8〃の場合
ハードル~着地についてふると,偏差が大き
く個人差が著しいが,平均で承ると体育生の方
が300〃近く大きくなっている。着地~第1歩と
第1歩~第2歩においては,両者にあまり差は
ないが,第2歩~第3歩と第3歩~ハードルで
は,それぞれl7ciiz程度一般生の方が大きくなっ
ている。障害定においては,ハードル~着地と
第3歩~ハードルの比率は.5:8程度になる
のが理想とされているが,一般生の場合はそれ
に近くなっており,体育生の場合はほとんど同
じ割合になっている。体育生にとっては,ハー
ドル間が近すぎて,第3歩(踏承切り)地点が
ハードルに近ずき過ぎてしまい,その影響で着
地点もハードルから遠くになってしまっている
表6 50池ハードル走におけるストライド
体育生 般生
N’MlS., N’MlS。,
ハードル~着地
22 1620 30.09 25 1342 26.34着地~第1歩
22 127.9 13.02 25128.1
12.30 さ762c〃局
第1歩~第2歩
22 177.8 1090 25 180.7 13.17インターバル 8m
第2歩~第3歩
22 160.2 18.00 25 177.4 15.15第3歩~ハードル
22162.5
16.81 25 179.8 18.33ハードル~着 地一歩
155.3
22 17.34 25 141.2 24.99
着地~第1
22140.7
9.19 25 134.0 12.81高さ76.2c〃
インターバル8.577Z 第1歩~第2歩
22189.4
10.66閲一閲
185.9 15.33
第2歩~第3歩
22 1792 9.12186.6
18.74第3歩~ハードル
22 190.5 17.41 25 1992 20.30ハードル~着地
22164.8
22.51-
11.22
144.0
閲一笏
18.41着一第 地~第1歩
22 121.2 128.6 14.65ざ91.4c〃
局
歩~第2歩 皿一辺 1721
9.90 25 177.8 12.00インターバル8m
第2歩~第3歩
1620-
179.4
9.61 25 177.7 13.31
第3歩~ハードル
22 15.60 25 179.9 16.01ハードル~着地
20 1659 22.14 21 1528 16.58着地~第1歩
20133.0
9.30幻一四
133614.01 高 さ91.4c〃
第1歩~第2歩
20184.9 11.11
-
8.20
1908
--
179.1
13.06
インターバル85加
第2歩~第3歩
20 1742 21 16.52第3歩~ハードル
20 1955 19.40 211918
20.39ハードル~着地 旧一旧
161.1■
/ 21.37
着一第 地~第1歩
145.1 6.50さ91,4c〃
尚
歩~第2歩
19 1952 20.12インターバル9m
第2歩~第3歩
19 1840 8.08第3歩~ハードル
19 2116 15.01ハードル~着地 19
1730 22.35着地~第1歩
191431
11.33 ざ99.1c〃局
第1歩~第2歩
19 200.6 12.50 インターバル9畑第2歩~第3歩
19 184.0 9.80第3歩~ハードル
19 205.4 17.41宮口:障害走における高さとインターバルの検討
125屯のと思われる。(体育生のほとんどが,イン
ターバルが近すぎることを指摘していることか らも,そのことが理解できる。
②高さ76.2c",インターバル8.5mの場合 ハードル~着地においては,やはり体育生の 方が一般生よりも大きいが,その差が約l4cMIzく
らいまで縮まってきている。第2歩~第3歩で 7c"程度に,第3歩~ハードルでも9CiiZ程度ま で縮まってきている。さらに体育生の場合,第 3歩~ハードルの方が,ハードル~着地よりも 35c〃余り大きくなり,理想の形に近ずいてきて いる。とくにインターバルが,①の場合よりも 0.5m延びているにもかかわらず,ハードル~
着地は逆に7c〃余りも短かくなっているのは注 目される。
③高さ91.4ciiZ,インターバル8mの場合 この場合には,ハードル~着地で,体育生の 方が一般生より20c"余りも大きくなっている。
第3歩~ハードルでは両者がほぼ同じであるの で,体育生の方がハードルを越えてから着地す るまでに,身体がやや流れるようなフォームに なったものと考えられる。体育生についての糸
①の場合と比較して承ると,ハードルが高くな ったせいか,第3歩~ハードルで17c〃余りも大 きくなっている。踏承切り地点がハードルに近 くなると,身体が上方へ浮き過ぎて,スピード が殺されるので,踏承切り地点はある程度ハー ドルから遠くなる方がよいようである。とくに ハードルの高さが上がるほどそのことが言える ようである。第2歩~第3歩について,体育生 と一般生とを比較して承ると,①の場合と同様 に,一般生の方がl0c1jz余りも大きくなってい
る。
④高さ91.4c",インターバル8.5mの場合 ハードル~着地では,体育生の方が一般生よ り約13cm大きくなっているが,①②③に比べる と,その差が小さくなってきている。第1歩~
第2歩,第2歩~第3歩においては,③の場合 と同様に若干一般生の方が大きくなっている が,第3歩~ハードルでは,逆に体育生の方が 大きくなっていく傾向にある。
⑤高さ91.4c〃,インターバル9mの場合 体育生についてのjZA実施したが,インターバ ル9mになっても,ハードル~着地の距離は今 までとほとんど変わらない。しかし,それ以後 の各歩間はいずれも若干ではあるが大きくなっ てきている。とくに第3歩~ハードルでは,④ の場合に比較して16c〃程度大きくなっている。
結局,インターバルが大きくなった分は,各歩 を今までより若干大きくし,とくに第3歩~ハ ードルで,かなり大きくカバーしていることが わかる。またここでは,第1歩~第2歩の時の 偏差値が今までより大きくなっている点も注目
される。
⑥高さ99.1cjMl,インターバル9mの場合 これも体育生についての糸実施したが,⑤の 場合と比較してゑると,ハードル~着地が若干 大きくなっている。これは,ハードルの高さが 91.4c"から99.1c1izに上がったために,それだけ 高く身体を引き上げて,またぎ越す努力をしな ければならず,その反動で着地が少々流れてし まったものと思われる。
〔Ⅶ〕まとめ
障害走と相関があると予想されたスピード,
瞬発力(立幅跳び),柔軟性(立位体前屈),
下肢長ストライドについて障害走との相関をゑ たが,スピードとの相関がもっとも高く,瞬発 力やストライドなどでも一応順相関がみられる が,全般的には予想したほど高い相関ではなか った。これは,実験に用いたハードルの高さが 低かったことや,インターバルが狭かったこと にもその原因があるものと思われる。
体育生と一般生との間には,ハードルの高さ
やインターバルの感じ方に,かなりの差がふら
れた。体育生の場合には,高さ91.4c腕,インタ
ーバル8.5m~9m程度が障害走として好適と
感じているのに対して,一般生では,高さ76.2
c"インターバル8m~8.5m程度が好適である
と感じている。これは,主として障害の技術の
差からきているものと考えられる。これらのこ
とは,障害定におけるストライドの面からゑて
屯うなずかれる。
障害定を教材として,あるいは練習の中に取 り上げる場合には,現在楽にこなせるものでは なくして,少を困難を伴なうもの,すなわち一 段上の段階のものを取り上げてやる方が意義が あると思われる。それからすれば,体育生の場 合には,高さ99.1cliz,インターバル9,14とい う高校の競技会で実施されている程度のものは 是非実施しなければならないと考えられる。高 さ106.7c〃,インターバル9m14という一般男 子の種目として実施されているものについて も,そんなに無理のない種目として今後検討し ていく必要があろう。一般生の場合にも,高さ 91.4cjm,インターバル8.5畑程度のものを教材 の障害定として取り上げていっても,それほど 無理があるとは思われない。
参考文献
日本陸上競技連盟編陸上競技規則p、188-189 講談社月刊陸上競技9巻456号,10巻378号 学芸出版社陸上競技(トラック編)p52-56 PaytonJordanTrackandFieldp48-53 織田幹雄陸上競技トレーニング教科書p、26~
27
GeorgeT・BresnahanTrackandFieldAthletics pl92-212
山本邦夫,山口政信スポーツ講座5.陸上競
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6.