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簡易発達評価表作成の試み

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Academic year: 2021

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簡易発達評価表作成の試み

大島 吉英1佐野 佳恵2 井口  茂1鶴崎 俊哉1

田原弘幸1

要旨小児の発達評価に関しては,すでに多くの既存の評価表がある.しかし,

各々の評価表は障害像の一側面を評価しようとしているものが多く,容易には全体像 を捉え難い.よって,特に日常的な臨床場面で児の全体像を簡便に評価できるような 発達評価表の作成を試みた.

       長大医短紀要2:213−216,1988

N

Key words:小児,簡易発達評価

1 はじめに

 これまでに,発達に障害のある乳幼児の発 見,治療プログラムの作成やその効果判定を 目的として様々な評価表が使用されてきた.

しかし,理学療法士(以下PTと略)にと・っ て,各々の評価表は障害像の一側面を評価し ようとしているものが多い.それら全部の検 査を実施すれば,多くの詳細な情報が得られ 様々な問題が明らかになるであろう.反面,

膨大な量となるために多くの時間を要し,治 療訓練に適切な時期を失することがあるかも 知れない.特に,限られた時間の中で行わな ければならない外来や地域での評価・治療活 動において,全体的にしかも簡便に評価し,

詳細な評価を必要とする項目の示唆をも与え てくれる表の作成を試みたので紹介する.

■ 本評価表の特徴

①評価用紙を見開き1枚にまとめた.

②短時間で実施できる.

③特別な検査用具を必要としない.

④0〜3才までの精神・運動発達両面にわ

たる評価が実施できる.

皿 表の解説と考察

1.MAT(運動発達年齢テスト)

 0〜3才児の正常運動発達にはポイントと なるいくっかの時期がある.即ち,3〜4か 月,6〜7か月,9〜10か月,12か月,1才 6か月,2才,3才などである.4か月では原 始反射の消退により対称的な抗重力の姿勢発 達がみられる.6か月になると体の立ち直り

により両側側臥位までの寝返りが始まる.立 ち直り反応やランドウ反応は協調して,脊柱 の伸展を促し,垂直化への準備をする.9か 月になるとさらに垂直化も進む.12か月を すぎると始歩をみる児が多くなる.その後1 才6か月で歩行は安定し,2才では階段を1 段ずっではあるが昇れるようになり3才にな

1 長崎大学医療技術短期大学部理学療法学科  2 みさかえの園むっみの家

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大島吉英他

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簡易発達評価表作成の試み

るとそれが交互に昇降できるようになる.こ のように,各々の発達段階をよく表すと思わ れるマイルストン的な動作を掲げた.これに より,障害児の運動発達の遅れや解離の発見

にっな力弍る.

2 姿勢・動作の観察

 PTにとって,児の発達がどのレベルにあ るかを知ることは重要なことである.しかし,

可能な動作の中でも質的な異常を示すことが ある.例えば,寝返りが可能であっても,正 常なパタ ンで行っていなければ問題であり,

質的な異常といえる.また,それは表に掲げ た姿勢の中でもすでに見いだすことができる.

これは,われわれPTにとって,治療の対象 となる部分であり,次の発達レベルヘ到達す る重要な情報を与えてくれる.しかも,問題 は画一的なものではなく,各児についてでき る限り詳細な情報を必要とする.

3 REFLEX&REACTION

 原始反射は正常な発達にとって欠くことの

      のできない重要なものである.これにより児 の発達への準備がなされる.さらに,中枢神 経系の下位レベルにより支配されていた反射 がより上位レベルから統合されることによっ て,複雑で繊細な姿勢や運動が作り出される.

4 ROM(関節可動域)

   の 佐竹が指摘しているように,障害児にお けるROMの計測には測定者によるバラツキ が大きく問題が多いと思われる.しかし,理 学療法においてROM測定は最も基礎的な評 価であり,これを除外した評価は考え難い.

計測精度の検討は今回の目的ではないので,

今後の課題とし,臨床上基礎的な評価として 表掲の項目を採用した.但し,上肢について は,問題となりやすい回外の制限,母指の握 り込み,肩の前方突出と後方牽引を採りあげ

た.

5 MUSCLE TONE

 筋緊張を評価する場合,①性状②程度③ 分布④筋緊張の変化の見られる肢位や運動

⑤反射の影響等,元来切り離しては考え難 い内容を包含している.現在,筋緊張にっい て様々な定量化が試みられているが未だ臨床 的には一般的ではないと思われる.そこで,

ある程度主観的なものに頼らざるを得ない.

④,⑤にっいては,本表の他の項目により 補いうるので,主に①,②,③にっき簡便

に評価できるよう配慮した.また,境界域に 属すると思われるもの,あるいは筋緊張に動 揺がみられるものについても評価できるよう

にスケールを設けると共に補助的項目を掲げ

た.

6 生活習慣

 発達に障害を持っ乳幼児の生活習慣に対し ても,児が年を経て,発達を示してくると共 に,機能と知能にあった生活習慣を少しずっ 自分で行えるように教えられなければならな い.ここでは,彼らの年齢から考えて特に食 べる・眠る・排泄するなど,生活のべ一スと 考えられる項目を発達の基礎にあるものとし て捉えた.基本的な生活習慣の自立の度合を 知り,健常児の発達過程と比較して年齢相応 の発達を遂げているか,またはどの部分に欠 落がみられるか知ることがその後の治療プロ

グラムを考える上で必要である.

7 その他

 障害児を治療する場合,PTは運動機能面 だけに関心を持ちすぎてはいけない.追視な ど,運動機能の障害にのみ原因を求めること ができないものがある.精神面の問題と共に,

彼らの中には,医学的管理が欠かせない者も 存在する.また,それが濃厚なほど,健全な 心身の発達も望み難い.従って,彼らになぜ そのような必要があったのか,また現在必要 なのか,そしてそれが彼らの発達に影響(一 次的,二次的なものも含め)していないかど

うか把握しておく必要がある.

W まとめ

以上,我々の試作した評価表を紹介した.

一215一

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7大島吉英他

本評価表の問題点として次のような事毎考え られる.1

①量的に限られた中で全体像を把握し:よう としたので,割愛した項目もある.そのこと によって問題を見逃したり,発見が遅れたり する可能性があり,既存の評価表との併用が 必要な場合がある.

②各評価項目は,ある運動・動作や現象の 出現に注目したので,それらの程度について は明確にならない.

③姿勢・動作の項目において,発達レベル

(臥位レベル,歩行獲得レベル等)によって は記載項目に軽重がでてくるであろうが,各 姿勢・動作が同じ比重で扱われている.

④生活習慣の項目では,不可能な場合の原 因までは指摘できない.

 これらの問題は,それぞれ本評価表の利点 と表裏の関係にある.広範なスクリーニング

のためには簡単に,どこでも,しかも特別な 道具を必要とせず短時間で検査でき,その結 果を記録できるものが必要である.児により 抱えている問題は異なり,評価項目によって はさらに細かく評価するために他の評価表を 使用した方がよい場合がでてくるかも知れな い.しかし,我々の意図であった,簡便に全 体像をっかむという目的はある程度達せられ たのではないかと思う.今後,ご批判をいた だき更に有意味なものに成長させてゆきたい.

1.松浦保茂:正常乳幼児の姿勢および運動  の発達と姿勢反射の役割.理作療法 12

 :519−525, 1978.

2.佐竹孝之:客観的評価の試み.理学療法  15:172−179, 1988.

       (1988年12月28日受理)

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参照

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