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シロイヌナズナ遺伝子の上流

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Academic year: 2021

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北海道大学 大学院農学院 修士論文発表会,2018 年 2 月 8 日

シロイヌナズナ TTM3 遺伝子の上流 ORF は

後期促進複合体の構成因子 CDC26 をコードする

生物資源科学専攻 応用分子生物学講座 分子生物学 垣内 俊哉

1.はじめに

シロイヌナズナのTriphosphate Tunnel Metalloenzyme 3 (TTM3)遺伝子の5′非翻訳領域には上 流 ORF(uORF)が一つ存在し、その uORF のアミノ酸配列は高等植物種間で高度に保存されている。さ らにこのアミノ酸配列は動物における CDC26 のアミノ酸配列と類似性が見られる。CDC26 は酵母や 動物では細胞周期を制御する後期促進複合体(APC/C)の構成因子の一つとして知られており、APC/C の別の構成因子である APC6 と相互作用する機能をもつことが報告されている。しかし、植物では これまでに CDC26 に相当するタンパク質は同定されていない。そこで本研究では植物のTTM3 uORF にコードされるペプチドが CDC26 オルソログとして機能する可能性を検証した。また、TTM3 uORF に CDC26 がコードされているとするならば一つの mRNA から CDC26 と TTM3 の二つのタンパク質が翻 訳されると考えられるが、植物ではこれまでにそのようなダイシストロニックな mRNA の翻訳制御 に関する知見はほとんどない。そこでTTM3 mRNA の二つの ORF の翻訳制御機構の解明を目指した。

2.方法

まず、酵母 2-ハイブリッド法によりTTM3 uORF にコードされるペプチドと APC6 の相互作用解析 を行った。次に、植物体におけるTTM3 uORF の機能を調べるために、RNAi 法によりTTM3 uORF をノ ックダウンさせた変異株を作出し表現型を解析した。続いて、TTM3 uORF(CDC26)の翻訳効率と下 流の TTM3 の翻訳効率の関係性を調べるために、TTM35′非翻訳領域の下流に TTM3 の途中から読 み枠を合わせてレポーター遺伝子をつないだコンストラクトを作成し、シロイヌナズナ MM2d 細胞 を用いた一過的発現解析を行った。CDC26 の開始コドン付近の配列に変異を導入し CDC26 の翻訳開 始効率を変化させた場合や、CDC26 の ORF 内に ATG コドンを挿入した場合に、下流の TTM3 の翻訳効 率がどのように変化するかを調べた。

3.結果と考察

酵母 2-ハイブリッド法による相互作用解析の結果、TTM3 uORF にコードされるペプチドは動物の CDC26 と同様に APC6 と相互作用することが示された。次にTTM3 uORF のノックダウン株の表現型解 析を行ったところ、矮性の表現型が観察された。この表現型は APC/C の他の構成因子をノックダウ ンさせたシロイヌナズナの表現型と類似の表現型であった。これらの結果から、植物のTTM3 uORF には CDC26 オルソログがコードされており、APC/C の構成因子として機能していることが明らかに なった。続いて、一過的発現解析において TTM3 uORF (CDC26)の開始コドンを点変異で破壊する と下流の TTM3 の翻訳が促進された。逆に CDC26 の開始コドン付近の配列を Kozak 配列へと変化さ せ CDC26 の翻訳開始効率を上昇させると、下流の TTM3 の翻訳が抑制された。また、CDC26 の ORF 内 に AUG コドンを挿入した場合には下流の TTM3 の翻訳が抑制された。これらの結果から、CDC26 の最 初の開始コドンを読み飛ばしたリボソームが次の AUG コドンまで mRNA 上をスキャニングし続け、

下流の TTM3 の開始コドンを認識することで TTM3 が翻訳されているということが示唆された。すな わち、リーキースキャニングによりTTM3 mRNA の2つの ORF が翻訳されることが示唆された。

参照

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