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中国における水をめぐる環境教育

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はじめに

 GDPで日本を抜いて世界第2位となった中国は,13億人を超える国民の雇用を確保するためにも

年率10%に迫る経済成長を続けなければならない。その高度経済成長の阻害要因となるかもしれない

のが深刻化している環境問題である。とりわけ1人当たりの利用可能な淡水が年間約2,600㎥で,世界

平均の27%に止まるという水資源の欠乏に悩む中国は,1)水資源の偏在と汚染にも悩まされている。

「私たちの生活は水から離れることができない」2)以上,この課題の克服は不可欠であり,その方法の 一つとして注目されるのが環境教育である。中国の環境教育の実態や社会との関わりはどのようなも のか。環境教育の対象とする範囲は広いが,水に関連する部分を中心に政治体制や社会全体との関わ りも含めて考察したい。まず中国における環境教育がどのような形で成立し,発展してきたのか。基 本的特徴はどのようなものか。幼児教育の段階から中小学,高等教育の段階までの取り組みの現状を 分析する。さらに学校教育の範疇に止まらず,社会に向けた環境宣伝の取り組みにも目を向けるべき であるが,そのためには筆者がこれまで中国の水環境問題で言及してきた中央政府と地方政府との関 係など政治や法制の問題にも踏み込まなければならない。中国で既に公刊されている環境関連の教材 の数は膨大で,本稿はその一部をサンプルとして扱うだけとなるが,中華人民共和国環境保護部の主 管する月刊誌『環境教育』に掲載された各種の記事やニュースも参考にし,関連文献を活用しつつ問 題点を摘出し,解決に向けた方向性を考えていきたい。

1.中国における環境教育の成立と展開

 1973年に開催された第一次全国環境会議は,中国の環境保護教育の始まりを示していた。3)環境教 育は全民族の思想道徳素質,科学文化素質,環境意識を高める基本手段の一つであり,全社会に向け ての教育であり,そのなかに大・中・小学生と幼児を対象とする基礎教育を含んでおり,その内容は 環境科学知識・環境法律法規・環境倫理道徳知識を含んでいる。4)このように定義した『環境意識教 育』は,中国における環境教育の発展について,第一段階を環境教育の出発段階(1973-1983年),第 二段階を環境教育の発展段階(1983-1992年),第三段階を環境教育発展の新段階(1992年以降)とそ れぞれ規定している。5)この環境教育の普及・推進の鍵となるのは中央と地方政府の幹部である。1973

中国における水をめぐる環境教育

小  林  善  文

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年にはじまる第一段階では,環境保護に当たる在職幹部の養成に関して秦皇島環境保護幹部学校が 1981年8月に成立するなど新たな進展が見られた。第二段階では環境教育の社会化が進み,第三段階 では在職幹部の局長と監測站站長の育成工作が展開され,環境教育工作の規範化,制度化が進んだ。6)

 こうした発展段階区分とは少し異なる見解もある。1973年を開始年とするのは共通しているが,第 一段階は1984年まで中央の環境保護部門を中心として環境保護教育を進めた時期である。第二段階は 1985年から1997年まで中央の環境保護部門が教育部門と連合して環境教育を展開した時期であるが,

教育部門が次第に学校における環境教育にたいする主導作用を強めていった時期でもある。1997年以 降の第三段階では教育部門が中心となって環境教育を展開するようになった時期である。7)この第二段 階に当たる1992年11月に開かれた全国第一次環境教育工作会議において,国家環境保護総局の曲格 平局長は「環境保護は,教育を本とする」と基本方針を述べ,「環境教育を教学計画に入れ,環境教育 を教室での教学と課外活動の中に入れることは,学校が環境教育を展開する主要な道」であると言明 した。8)

 中共中央宣伝部,国家環境保護総局,教育部による『2001~2005年全国環境宣伝教育工作綱要』で は,「環境教育は素質教育の重要な構成部分であり,多様な方式によって環境教育を学校教育の各々の ポイントの中に浸透させ,努力して環境教育の質量と効果を高める努力をしなければならない」9)とし て,「素質教育」という表現を前面に打ち出している。さらに「緑色学校」という表現も中国独自のも のであるが,その選定は1996年にはじまり,2003年には284ヵ所の学校が国家級緑色学校に選ばれ た。こうした緑色学校では,カリキュラムと教学領域の他に環境管理の面でも環境教育の実験をおこ なっている。10)環境教育の終極目標は,人々の間に環境道徳を植え付けることにあるが,「調査によれ

ば70.3%の少年の環境保護知識は学校より来ており,かれらが環境知識を得る第一の道である。環境

道徳教育を内に含む学校環境教育を通して,学生たちの環境道徳水準は大いに高まった」11)とされ,幼 児から大学院生,教員にたいする「正規の環境道徳教育」と緑色社区やNGOなどの「参与性形式」

や映像と出版物などによる「非参与性形式」の「環境道徳教育」という形での体系化が進んでいるこ と12)も事実である。

 ただしその前提となっているのは「持続発展」であり,「環境教育は持続発展の理念を指導思想とす る教育」13)といわれ,幹部にたいして「持続発展教育は人の一生を貫く終身の教育である。人々は各種 の場所・社区の中心にあって,各種の広報媒体を通して絶えず持続発展の非正規教育を発展させなけ ればならない」14)という方針を示している。「経済成長なくして環境教育なし」という姿勢が絶対条件 となっているといえよう。それは環境教育が科学技術の進歩という積極的な手段で経済発展と環境汚 染の矛盾を解決させることができ,そこから学生に科学技術の知識を学習する積極性を喚起できると する評価ともつながってくる。さらに環境教育は,国家の制定した環境保護の関連法規を学生に理解 させ,小さいときから法を学び,法を知り,法を守る良好な素質を養成することができるという別の 効果も期待できる。15)例えば『環境意識教育』では,小学教育の中での数学・思想品徳・語文・自然・

音楽・社会・美術・体育のそれぞれの内容と「環境および持続発展教育」とを結びつけた内容の教育 をめざしている。16)この書の20世紀末の段階での統計では,中国の中小学校の71.2%が環境教育を正

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式に教学計画の中に入れており,他に専門的に環境保護の教科を開設しているのは21%で,それ以外 は浸透式の教学や課外活動を展開することを主たる方式としている。17)

 中国の環境教育を進展させる過程で有力な参考対象の一つとなったのが,日本の環境教育である。

1998年の新教育課程の導入に伴い増設された「総合的な学習の時間」は「日本の中小学で一貫して定 着した環境教育の重要な道の一つ」18)と評されている。また「環境教育は日本の中小学教育の中で相当 重視されており,現に学校の各種教育活動の中で全面的に展開されている。その中で,理科の各教科 において浸透方式を採用して環境教育を定着させることは,日本の学校が環境教育を実施する重要な 道となっている」19)と述べ,中国の指導案の中にも取り入れられている。中国が手本と考える日本にお ける環境教育が,実際どの程度重視されているのかは議論の分かれるところであろうが,中国の環境 問題の深刻化も影響し,中国の学校教育における環境教育は,数字の上では急速な発展を示している。

1973年から20数年の間に500校以上の院校がさまざまな名称の環境に関係する専攻や学科を開設し,

専科・本科から大学院までの教育体系も整備されている。20)また200種以上の環境教育関連の教材が 2001年の上半期だけでも出版されようとしている。21)こうした状況の中で,本稿がテーマとしている 水をめぐる環境教育がどのように進められているのか,幼児教育から高等教育までの教育現場での取 り組みを見ていきたい。

 中国の水資源総量は世界第6位であるが,一人当たりにすると1997年の統計で世界の第110位とな り,世界で最も水資源の乏しい国の一つとなる。22)しかもそれが偏在しており,北方では毎年約700億

㎥の水が欠乏し,生産性の下降,農産物の減収,生態環境の悪化をもたらしている。23)加えて水質の悪 化が進み,都市を流れる河川の78%は飲用水源とはできず,50%の都市の地下水が汚染されている。

森林の大量伐採や草地での過剰放牧による水土流失,砂漠化や土壌塩漬化などが深刻となっている。24)

とりわけ水汚染は水不足の原因となり,河川水の浄化に向けての更新には長い時間がかかる。25)その汚 染源として名指しされるのが郷鎮企業である。郷鎮企業のうち廃水汚染の中心は,製紙・染物・メッ キ・化学・食品加工などの業種であり,排水処理施設を持たず河流に廃水を垂れ流し,農田にも汚水 を流して土壌と農作物を汚染している。郷鎮企業の中でもとくに小炭坑・小鉱山は,全体的な開発計 画もなく無秩序に設立され,廃棄物の処理も十分におこなわれていないために土壌や水質をより大き く汚染させ,人々の健康にも危害を与える可能性がある。26)このように環境教育に関連する刊行物は,

大なり小なり水資源の不足と水質汚染に言及する。幹部向けの読本でも,郷鎮企業は既に中国の環境 全体の質と量を日々悪化させる大きな原因となり,都市の生活汚水は近年既に工場排水を超えて水質 汚染の主犯となり,家畜の養殖と化学肥料・農薬の大量使用も水質汚染の主要原因の一つとなってい る,と述べている。27)

 こうした水環境汚染の現実にたいして,教育現場ではどのような取り組みを進めているのか。まず 幼稚園(幼児園)教育に関しては,『幼児環境素質教育』という専門書に沿って紹介したい。この書で は「素質」がキーワードとなっており,「良好な行為習慣の養成は幼稚園教育内容の重要な構成部分と なっており,用水の節約,清潔の保持,騒音の減少,食糧や紙を浪費しないことなどは,環境教育の 目標と完全に一致している」28)とし,「終身教育の角度より見れば,環境教育は長期のもので,幼児環

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境教育はただ啓蒙教育で,重点的に情感と態度を強調すべき」29)であるという。具体的な取り組みとし ては「幼児語言教育」を例として見ると,幼児を教育して節水方法を理解させるため情感教育より着 手し,場面設定を考えて擬人化の手段を用いて活動の興味をかき立て,幼児を励まして自らの思いを 述べさせ,言語能力を伸ばすと同時に,用水節約の方法を獲得させると,その方向性を示している。30)

園外での実践例としては,以下のようなものがあげられる。水道局を参観し,水道水がどのように生 み出され,水道労働者がどのように働いているかを理解し,用水を節約しなければならないことを知 らしめる。31)幼児に家庭での用水状況をチェックさせ,比較する。32)幼稚園(幼児園)付近の汚染され た川を見学し,水質汚染の重大さを理解させる。33)こうした園外活動の他に園内において,水道の利用 では節水蛇口を使用し,幼児が手を洗うと,保育員はその水でモップを洗い,それを小便器に注ぐと いう模範例があげられているが,34)はたしてどこまで一般化され,継続されているのかはわからない。

いずれにせよ幼児に水と人間や動植物との関係を理解させようとする啓蒙的姿勢は,35)評価されるべき であろう。

 水環境をめぐる小学校教育に関しては,『小学環境素質教育』に沿って紹介したい。小学校での環境 教育の基本姿勢は,「別の教育領域と同じく,ただ小学生の年齢特徴に符合する教育策略を運用するだ けであり,すべての教育活動を楽しんで児童に積極的に参与させ,充分にかれらの主体的な積極性を 引き出す」36)ことにあるとする。浙江省桐郷市公園路小学の朱長林氏の手になる「自然水域の水」とい う単元の学科教育目標には「児童(学生)を組織して学校付近の自然水域の水質状況と人々が水を浪 費している現象を調査させる」として環境保護意識を養成し,「楽しんでその他の環境問題に関心を 持って研究させ」て,「科学的な探求の過程を経験させる」としている。37)実際には学校から300mの ところにある汚染の深刻な康涇塘に行き,水中のゴミ・油・泡沫・水葫蘆などを確かめ,水の色,匂 い,濁りの程度などを観察させている。38)さらにその汚染の原因について,都市住民の生活排水が未処 理で直接康涇塘に流入していること,化学工場・製革工場の廃水が排水基準に達していないこと,沿 岸住民や水上運搬船は生活ゴミなどを直接投げ込んでいることなどを明らかにし,39)遵法精神の定着や マナー向上の必要性を訴えている。この書では,きれいな淡水が如何に貴重であるかを認識させるた め,地球上のすべての水を5,000mlとすると利用可能な淡水はわずか5滴にすぎないことを図示して いるのは,40)小学生向けの指導書として適切であろう。他の読本でも「水の浄化」や「汚水の処理」に ついてわかりやすく図示し,「水球」とよぶべき地球上の水を保護することは,人類の生命を保護する ことであるとし,用水を節約し,蛇口を閉じることや河流や湖泊に汚れた物や廃棄物を捨てない,と いったマナーを守ることを説いているのも,41)児童の発達段階に応じた内容といえるだろう。

 初級中学・高級中学段階の環境教育のテキストは,当然のことながら内容が広範囲にわたり,レベ ルも向上する。例えば,水資源にも関わってくる水土流失について「中国では毎年耕地より流失する 土壌は約50億㌧余りで,全国の耕地から1mmの厚さで肥沃な表土をはぎ取っている」42)とし,湿地 の減少に関しては,とくに長江の大洪水に関連させて「これは湿地の損失と関係があるのだろうか?

50年代0.5㎢以上の湖泊は1,066ヵ所あり,湖北は千湖の省と号し,総面積は8,300㎢に達していた。

しかし現在はわずかに309ヵ所存在するだけで,総面積は2,656㎢に縮小している。江漢高原の湖泊は

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1949年以来700ヵ所以上損失し,1954年の大水のとき100億㎥以上の洪水を蓄えた洪湖もまた干拓さ れていた」43)と具体的数値をあげて実情を理解させようとしている。ほぼ同じレベルの『環境教育(試 験本)・八年級』の基本姿勢は「持続発展が可能」ということであるが,「小資料」として2005年12 月末までに淮河流域の汚染防止をめざして石灰モルタル製造業・製紙業・アルコール製造業などの小 規模経営企業を閉鎖したことを取り上げている。44)さらに「森林―地球の緑色宝庫」の章を設け,45)地 球温暖化問題に関しては,京都議定書を紹介し,先進国の削減目標を取り上げているが,46)中国の排出 する温室効果ガスの量については言及していない。その姉妹本である『環境教育(試験本)・九年級』

の目録の最初は「水環境」となっており,総合実践活動として「社区居民」の用水状況と節水意識の 調査をあげている。ついで水質汚染の問題では具体例として「世界を驚かせた環境公害事件―水俣病 事件」を取り上げ,国内に関しては2005年の吉林化学工場の爆発による松花江の汚染状況の調査資料 をあげて,水環境破壊の影響の大きさを示し,総合実践活動として河水のサンプリング調査・水質分 析をあげている。47)

 他に注目すべきは「大地之“腎”―湿地」で「湿地には豊富な水資源があり,魚類・貝類の繁殖生 息に適し,重要な漁業生産基地でもある」と定義し,総合実践活動として「崇明湿地」をめぐるディ ベートをしている。1998年に上海市は崇明東灘で干潟67㎢を埋め立て,2001年冬には追加埋め立て をしたが,本書はその一部分は国家の一級保護鳥類である白頭鶴の重要な採食地であり生息地である として,48)基本的には批判的な姿勢を取っている。上海にとって崇明島の環境問題は身近な問題であ り,大都市として発展するなかで「ほしいままに捨てられ簡単に埋め立てられたゴミは,汚水や雨水 に入り込み地表水や地下水となって,水資源に深刻な汚染をもたらしている」49)とする記述は,良質の 水源確保が困難な上海にとって早急に解決の道を探らなければならない課題であることを反映してい る。環境問題を身近な問題にするということでは,湖北省襄樊市松鶴路小学の取り組みも同様で,子 どもたちに毎日,家庭ではどれだけの水を使っているかという宿題を出し,水道メーターを見ること,

水道代を確かめること,節水の取り組みを報告させることにしている。さらに「南水北調」工程はわ れわれの襄樊にどのように影響しているかという課題について考えさせている。50)

 なお中学での環境教育については,まず一般の教科の中で環境科学知識・技能や環境道徳を浸透さ せる教育を進めるが,効果に関していえば化学・地理・語文・生物・物理などは有利である。ついで 環境保護選修課を設ければ教員・時間・場所が確保でき,比較的良好な教学効果を得ることができる。

三つ目に環境教育に関する課外活動で,多種多様な内容を選ぶことができて,現在の中学で展開され る最も重要な道とされている。51)こうした位置づけは,上級学校進学をめざす中学校のカリキュラムの 中で環境保護に特化した授業時間を確保することが難しい現状を反映していると考えられる。

2.中国における環境教育の可能性と限界

 中国では環境関連の法整備が進んできているが,環境保護に関わる法律について『環境教育(上海)』 は「経済・社会の発展と環境保護を協調させる重要な調整手段であり,公民の環境意識と環境法制観 念を高め,公衆が環境管理に参与することを促進し,良好な環境道徳の気風を唱え,環境科学知識と

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環境保護政策を普及させる好き教材」52)と位置づけている。また環境影響評価(環境アセスメント)に ついて同書は「『預防を主とする』原則の具体的な体現であり,社会経済と環境保護を協調させる重要 な手段であり,新たな環境問題の発生を防止しコントロールする基本となる法律制度である。公衆は 関係する影響評価の活動に参加することによって,その環境意識を高めることができ,経済効益・社 会効益と環境効益の統一を実現できる」53)としている。ここでは経済成長と環境保護の両立という一貫 した姿勢と並んで「公衆」の教化という課題が重要視されている。

 中国における環境保護の推進に関する認識については,ただ環境「技術だけでは不十分で,情感・

態度・価値観の上で徹底した変化を進め,まず責任感のある公民を養成しなければならない」54)と『環 境教育学』は述べ,さらに公民の水に関連する環境問題への取り組みについて「公民の日常生活の中 ではどのような小さな節水行為もすべて高尚な道徳行為である。例えば,歯磨きでコップの水を用い て,流水を用いない。野菜洗い,洗濯のときには少量の水にして,繰り返し使う。食器や果物などを 洗うときは容器の水を用いて,流水で洗わず,水は何回も使う。ついでに蛇口を閉じ,時に応じて漏 水する蛇口やタンクなどを修理し,花園と自家用の菜園では除草剤・農薬と化学肥料を用いず,ゴミ の減量化,無害化と資源化の処理をおこなう。河川にゴミを捨てない。景勝地では江・湖・海に勝手 に物を投げ捨てない。有害化学品を勝手に下水道に投げ入れない。水洗トイレの水量のコントロール をする。リンを含む洗剤を用いない。無毒の洗浄用品を用いるなどである。こうした道徳行為を習慣 化し,生活の効率と質・量を高めることは,何かを失うことなく,節水の経済効益を得られるので,

どうして楽しんでなさないのか?」55)という。しかし,例えば除草剤を使わなければ雑草の除去に多く の時間を費やし,農薬や化学肥料を使わなければ良質の農作物を大量に収穫するのは難しい。そもそ も節水の経済的インセンティブがなければ,どれほどの人が節水に真剣に取り組むであろうか。さら に用水価格の適正レベルへの引き上げは,節水を促進する要因となるであろうが,『環境教育(上海)』 が「水価の引き上げは,廃水処理に資金を提供するだけでなく,消費者に用水の節約を促すことがで きる」56)と言及している程度である。

 管理体制の強化も環境保護の有力な手段である。しかし,その責任を担う中央や地方の指導的幹部 の姿勢はどうであろうか。『幹部環境教育読本』は「中華人民共和国水法」や「中華人民共和国水土保 持法」といった主要な水資源環境に関わる法律を詳しく紹介している。57)それとともに「森林法」「草 原法」「土地管理法」「鉱産資源法」「水法」「野生動植物保護法」「漁業法」など資源保護の角度から環 境保護を求める法規を列挙する。その他に30以上の国家環境行政法規,70以上の環境保護部門の規 則,1,000以上の地方の環境法規が一つの「環境保護法」を核心とする比較的完全な環境保護の法律・

規則体系を形成し,環境管理の強化のために最も基本的な条件を創造している,58)と述べている。しか し例えば,洞庭湖周辺では,湖水の換水周期の早さを悪用して地方政府が重汚染型企業を積極的に誘 致しているように,59)利益のためなら環境汚染を厭わない地方幹部は少なくなく,こうした利益追求型 の幹部が『幹部環境教育読本』の類のテキストを読んで参考にするとはとても思えないのである。

 この読本は「農業水資源保護工作の強化は既に各地方政府の環境保護工作の一つの重要な内容となっ ている」とし,水資源保護区内での取り締まり項目を列挙するとともに汚水灌漑の規制について「ま

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ず都市で排出する生活汚水と郷鎮工業の排出する廃水は必ず処理して,農田灌漑の水質標準を達成す るよう要求して,はじめて農田灌漑に用いることができる」とする。60)しかし,この内容は取り締まり の標準や方法を明示するのではなく,罰則を例示するのでもない。また「中国の国情に基づいて『三 同時』制度を創立したが,それは汚染と生態破壊を防ぐ措置と主体工程を同時に設計し,同時に施工 し,同時に創業を開始する制度であり,三同時制度は中国が『予防を主とする』原則を貫いて汚染源 の出現を防治する一つの重要な法律制度であり,中国の環境保護工作の一つの創挙である」61)と取り組 みの独自性を強調している。さらに1980年代より本格化した環境汚染防止策が結実した結果として

「1997年末,淮河流域の工業企業は基本的に排出量目標を達成し,1998年末には太湖流域もまた基本 的に排出量目標を達成し,1999年5月1日以前に滇池の一期治理工程はすべて完成した。全国的に都 市の汚水処理場の建設をおこなっており,国家は一部の環境施設にたいして補助投資をおこなってい る」62)と成果を誇っている。しかし,淮河については21世紀に入っても構造的な汚染問題の解決を果 たしていないことを解振華国家環境保護総局局長自身が認めており,63)太湖の湖水のリンや窒素の含有 量は2000年以降上昇し,湖底の浚渫による水質改善の効果も長期にわたって持続できていないのであ る。64)正確な現状認識があって初めて環境問題解決に向けての具体的な取り組みが始まるが,その前提 となる実態すら明らかにされていないことが判明する。

 南水北調に関しても,西線工程の年間総調水量は最高575億㎥に達することができ,「水質が良く,

大部分が自流でき,……乾燥・欠水の北方地区に福音をもたらし,子孫後代に福をもたらす」65)と『環 境教育(上海)』は全面的に賛美している。しかし,南水北調の西線工程自体は大規模で長期にわたる 難工事であり,巨費を投じなければならず,それに加えて源流域では氷河の退縮などで575億㎥の水 量確保がきわめて難しいことには言及していない。この書は続いて西部開発の対象となっている西部 地区について,生態環境は相当脆弱で絶えず悪化しており,環境の形勢は大変厳しいとし,その一つ は水土流失と土地の荒漠化が深刻なこと,もう一つは水生態のバランスが失われ,江河が断流し,湖 泊が萎縮し,地下水位が下降していることという。66)はたしてこうした地域が南水北調の豊富な水源地 となり得るのであろうか。

 1998年の長江特大洪水災害の後,中央政府は「徹底してその失敗を反省し,全国で退耕還林,退田 還湖を決定したが,これは過去のあの少しも環境意識のない『墾荒造田』『囲湖造田』などの経済指導 思想の破産を示していた。資源開発においては,過去に認められていた『資源無限,これを取るも尽 きず,これを用いるも絶えず』などの観点は環境倫理の批判と否定を受けた」67)と積極的な姿勢を評価 する。しかし,現場の状況を踏まえての適切な退耕還林,退田還湖でない限り,政策の強制はかえっ てマイナスの効果を生むことになるだろう。68)

 環境問題に関しては,21世紀初頭段階の調査で98%の人が環境保護の取り組みに注目し,48%の人 が公民の環境保護面での活動効果が大きいと考えている。69)民間の環境保護組織は2,000を数えるよう になっており,「保護母親河号」という環境保護船が内陸河川を運航し,2万畝(1畝は約6.67㌃)の 青少年の手になる緑色庭園が還京津防沙工程区で建設され始め,数百万人の青少年が日々に環境保護 を実践する「天天還保」の活動に参加することを約束した。70)

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 『幹部環境教育読本』は,例えば「緑色社区」を設置して,社区の省エネ,節水の要求に関して,

民家では節水蛇口,節水トイレなどを使い,社区の緑地の灌水には噴灌を用い,雨水・汚水の導水管 を別々に作ること,社区に還保宣伝欄を作り,法律・規則・国家の政策などを周知すること,環境汚 染への監督強化,ゴミ埋立場や汚水処理場の参観,緑化・美化への人々の参加などさまざまな方策の 実施を幹部にたいして求めている。71)しかし,こうした施策を実質化するためには,関係部署の幹部の 自覚や姿勢だけでは無理があり,担当部署の権限の強化,それを支える法律や規則,違反取り締まり を可能とする組織や予算といった条件を満たすような中央政府の援助がなければならない。この予算 に関しては,小康社会の環境目標達成のためには,2010年には環境保護にGDPの3%を投入しなけ ればならないとし,「投資をする者が,利益を上げ,リスクを負担する」という原則に照らして,各種 の所有制経済が汚水処理場,ゴミ処理場,危険廃棄物処理場に投資し,経営することを奨励し,一歩 一歩投資主体の多元化を実現し,融資ルートを多様化し,運営主体を企業化し,運行管理を市場化し,

市場経済にふさわしい都市環境基礎施設への投資と運営方式を打ち立てる,72)と幹部に方針を提示して いる。しかし,汚染問題が最も深刻な淮河流域でも「汚染者負担の原則」が確立されておらず,73)用水 価格も市場原理に見合うものではなく,こうした投資環境が成立しているとはいい難い。74)したがって 現状を踏まえた実現可能なプロセスを示さない限り,単なるお題目となる可能性が大きい。

 水汚染の防止に関しては,この『読本』は「統一監督管理と各部門が分工して責任を負う」ことを 基本とする。具体的には「各級交通部門の船政機関は船舶汚染に対して監督管理を実施する。各級人 民政府の水利管理部門・衛生行政部門・地質鉱産部門・市政管理部門・重要江河の水資源保護機構は,

各自の職責を結合し,環境保護部門と共同して水汚染防治の監督管理を実施する。地方の各級人民政 府は水環境保護工作の計画を立て,水汚染防治の対策と措置をとらなければならない」75)という。一見 適切に見えるかもしれないこの方針は,全体を統括する責任主体が不明確で,関係機関の最終的な権 限も定かではなく,実効性を伴う取り締まりができるとは思われない。流域全体の汚染問題を統一管 理する権限を持つ部門が存在してこそ,各部門の「分工」が可能であると考えるからである。

 幹部も含めた人々にたいする環境宣伝教育の重要性は説かれている。76)しかし,現代中国の環境教育 はさまざまな問題点を持ち,それが環境問題の宣伝活動の発展を阻害する要因となっている。まず中 小学における環境教育に関しては,大多数の教員は環境保護の知識・法規や指導技術に関して系統的 な訓練を受けておらず,専門的な知識・技術を有する教員の養成も行き渡らないため環境教育展開の 阻害要因となっている。環境教育の内容と学科教学との結びつきに欠ける。環境教育が国家の教育計 画のなかで正当な位置を占めていないので,経費の来源がなく,国家の基礎教育にかける経費も不足 しているので,環境教育の展開を困難にしている。77)高等教育においても同様で,環境教育・環境倫 理・生態価値観の課程は,大多数の院校において必修課程に入れられておらず,高校においても環境 教育に関わる課程が開設されていない。78)しかも,西蔵自治区・新疆ウイグル自治区・青海省・寧夏回 族自治区など環境問題が深刻化しつつありながら省区が貧しい地域では,専業環境教育は大変遅れて いる。79)雲南省も水資源に乏しく,豊かとはいえない省であるが,水環境意識教育で重要なのは素質の 高い教員の養成であるとしており,昆明高校の学生が水環境保護の運動に参加することが少ない主な

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原因は専業観念の欠乏にあるので,教員養成を焦眉の課題としている。80)このため省区の経済格差が水 環境をめぐる環境教育の格差につながっていると考えてもよいであろう。

 上級学校への進学を最重要課題とする教育界の実情が,環境教育を冷遇する大きな要因となってい ることも事実である。81)受験につながる教科学習の進度と質を保障するため意識的に環境教育に関わる 内容を敬遠し,教材として取り上げる努力をしない学校や教員は少なくない。82)日本も同様であるが,

受験教育を最優先するため環境教育がカリキュラムの中で相応の位置を占めることができないといえ るだろう。社会教育も体系化されず,在職教育の発展も比較的緩慢というのが現状である。83)

 中国では環境汚染の具体例として,日本の水俣病やイタイイタイ病,1998年の香港の赤潮などを取 り上げる。84)中国自体のこととしては松花江の汚染問題を取り上げているのが目立つが,85)これは公然 化した事実であり,その他の国内の汚染問題を積極的に取り上げようとする姿勢は見られない。

 それでは中央政府の水環境政策の基本方針はどこに求められるのか。粗放型の経済成長路線が改め られることなく,「いくらかの地方と指導に当たる同志はなお環境を犠牲にして経済成長を勝ち取り,

環境汚染と生態破壊事故を頻発させ,全国の環境形勢は依然として厳しい」86)ので,松花江水汚染事件 の発生をうけて,2008年初頭に胡錦濤総書記が生態文明建設の高度な戦略に基づく「江河湖泊の休養 生息」の方針を提起し,中国の水環境総合治理の指導思想とした。87)「江河湖泊」は「江河湖海」とい う表現にも置き換えられるが,要は河川や湖泊の水環境を保全し,汚染をしないように大切にしてい きたいというスローガンと見ることができる。周生賢環境保護部部長は「江河湖海を休養生息させる ことは,水環境形勢が日々ますます厳しくなる情況下に,『まず汚染しのちに治理する』伝統的な汚染 治理モデルの反省と調整にたいして,先進国の水環境治理の経験を総括して,社会の治理実践を参考 にし,江河湖海の自然更新の規律を充分に尊重する基礎の上に,新たな治理の筋道と対策を提起する」

とし,そのためには「流域環境の総合治理を実行しなければならない」とする。88)

 確かに「流域環境の総合治理」が実行できれば,多くの課題が解決に向かう可能性がある。その任 を担う「河長制」の提唱が注目されている。これは各級の党政の主要な責任者が「河長」を担任し,

管轄区内の河流の汚染治理の責任を負うことであり,江蘇省の無錫市にはじまり,雲南・河南・河北 各省などで継承された。ただしこの「河長制」が「有効に発動できるのは地方政府が環境の管理監督 の職責を履行できる執政能力」を持っているときだけで,さまざまな権限を使うことは可能であるが,

下手をすれば「典型的な人治」に陥る可能性がある。89)やはり法制面での整備,管理システムの確立な ど客観性,透明性を高める努力が不可欠である。曲晴氏は,水汚染防治と水環境保護が直面する問題 解決のために「地方人民政府の環境保護責任をその原則と比べると,より具体化し細分化する必要が ある」とし,水環境の観測体制の整備と情報公開,飲料水の安全確保の措置の細部にわたる具体化,

汚染物の排出許可と総量規制の対象拡大,水汚染事件への対応能力の強化などを訴えている。90)ここで は地方人民政府の役割を重視しているが,的確な見方といえよう。

おわりに

 中国における環境教育は,1973年以降,日本など先進国の方法を参考にしつつ発展してきた。「緑

(10)

色学校」の設立と普及など独自性も出しつつ,体系化を進め,表面的には確実に進歩してきた。ただ し環境政策にとっては「持続発展」は大前提であり,経済成長を伴わない環境教育はあり得なかった。

環境教育の展開と発展ということで見ると,多くの高等教育機関で環境分野の専攻や学科が設けられ,

膨大なテキストや教材も作成された。幼児教育から高等教育まで発達段階を考えた教材や指導案が公 にされ,環境宣伝教育を通して大衆に向けた啓蒙活動もおこなわれ,「中華環保世紀行」の活動やNGO の実践なども評価されるようになってきた。

 しかし一方で,環境政策推進の中心となるべき中央や地方政府の幹部にたいしては,環境読本など を通しての啓蒙や政策の方向性の提示はあっても,厳正に法規の遵守を求め,監督責任を問うような 実効が期待できる動きは見えてこない。水資源保護のための節水や水汚染防止の呼びかけはあっても,

施策の有効性を高める経済的インセンティブや厳しい罰則は見られないのである。環境教育の地域性 も考えた取り組みはあっても,現実の受験体制の中でどこまで環境分野に時間を割くことができるの か不明である。とくに経済的に低い水準に置かれた省区では,予算不足もあって環境教育を主導する 人材の養成が行き届いていない。また水資源の欠乏に拍車をかける汚染に関しては,松花江の汚染事 件など表面化したものを除けば,外国の実例は取り上げるが,中国の汚染事例には積極的に言及しな いテキスト編集方針も問題である。一方,指導案などから見れば学校教育のカリキュラムの中に環境 教育を位置づけることは難しいので,各教科の指導内容に環境問題を取り込む工夫が進んでいること には一定の評価を与えることができる。しかし,政治権力を持つ幹部が環境破壊の防止を指導し,多 くの民衆が協力する風潮を生むだけの環境道徳教育を普及させるのは難しく,とくに幹部環境教育の 普遍化・実質化が大きな課題となっている。胡錦濤総書記自ら唱えた「江河湖泊の休養生息」は,具 体的な目標と有効な推進手段,財政面での支持などを伴わない限り,単なるスローガンに止まること になるだろう。水をめぐる中国の環境教育も,中央政府が強力に指導して青少年だけではなく,幹部 も含めた公衆を動かす力を持たない限り,深刻化する水不足と汚染を防止する有力な手段とはなり得 ないと考える。

(註)

1)馬桂新主編『幹部環境教育読本』(科学出版社,2004年,以下書名のみ示す)28頁。

2)環境教育教材編写組編『環境教育(小学読本)』(中国環境科学出版社,1999年,以下書名のみ示す)12頁。

3)楊秦強主編『環境意識教育』(科学出版社,2001年,以下書名のみ示す)7頁。

4)同前書,132頁。

5)同前書,134-135頁。

6)上記と同様の見解は,冉聖宏・文宏為・田良編著『基礎教育新概念・環境教育』(教育科学出版社,1999年,

以下書名のみ示す)6-8頁,にもある。在職幹部養成の経緯はこの書による。なお政策決定者の環境意識を高め るために,1985年4月,国務院環境保護委員会の第三次会議は,全国の大規模・中規模企業の指導的幹部にた いする環境保護知識の審査をおこなうことを決定した(同書,11頁)。

7)馬桂新主編『環境教育学』(科学出版社,2003年,以下書名のみ示す)62-66頁。

8)同前書,6頁。さらにその他に,1978-1986年を「環境宣伝教育の初動」,1987-1995年を「環境教育の加速」,

(11)

1996年以降を「環境教育の新発展」として発展を段階付けている見解も見られる(曾建平『尋帰緑色―環境道 徳教育』(人民出版社,2004年,以下『尋帰緑色』と略す)253-257頁)。

9) 『環境教育学』7頁。

10) 同前書,11頁。

11)『尋帰緑色』91頁。

12) 同前書,112頁。

13)『環境教育学』14頁。

14)『幹部環境教育読本』312頁。

15)『基礎教育新概念・環境教育』39頁。

16)『環境意識教育』144-146頁。

17) 同前書,150頁。

18)『環境教育学』45頁。

19) 同前書,248頁。なお日本における実践例として,箕面市の小学生が「箕面川探検」をおこなった校外活動を

取り上げている(同書,261頁)。 20) 同前書,81頁。

21) 任耐安主編『環境教育』(上海科技教育出版社,2001年,以下『環境教育(上海)』と略す)前言。

22) 同前書,58頁。

23) 同前書,121頁。

24)『環境意識教育』10頁。

25)『環境教育(上海)』59頁。

26)『環境意識教育』57頁。

27)『幹部環境教育読本』76頁。

28) 管培紅・王益紅主編『幼児環境素質教育』(中国環境科学出版社,2003年)4頁。なお中国では,幼稚園は幼

児園と表記する。

29) 同前書,15頁。

30) 同前書,104頁。

31) 同前書,143頁。

32) 同前書,162頁。

33) 同前書,169頁。

34) 同前書,12頁。

35) 同前書,174-175頁。

36) 朱長林・楼振華・沈愛忠編著『小学環境素質教育』(中国環境科学出版社,2003年)24頁。

37) 同前書,57-58頁。

38) 同前書,62-64頁。こうした実践例としてこの他に,広州市黄埔区沙歩小学環保小組,陳煥欣・梁肖婷・陳俊

鵬・劉柱豪・張梓棋「校園周囲河涌汚染調査報告」(中華人民共和国環境保護部主管『環境教育』2005年6月号,

以下この雑誌は『環境教育(環境保護部)』と略す)では,汚染された河川の調査を通して,工場廃水・生活排 水の深刻な影響を理解させようとしているが,学習効果も考えてPH試剤や試験管などを準備しての排水処理実 験にまでその取り組みを発展させている。また欠水地域である北京では,北京良郷三小の取り組みが紹介されて いるが,この小学校では節水のため蛇口を交換し,休憩時間には「節水小衛士」のバッジを付けた児童が水道の 使用状況を監督し,大盥に使用後の水を集め,花草・野菜に注いでいることが紹介されている(『環境意識教育』

155頁)。さらに北京では「水の啓示」という大型の環境保護活動が組織され,6万名の少年たちが半年に及ぶ活 動を展開したが,その際には学校での環境保護口座の開設,汚水処理場の見学,水環境調査,水資源保護を訴え る漫画や短文の作成などがおこなわれた。そのなかで洗車業の水浪費のレポートが北京市政府を動かして規制強 化につながったという(同前書,153頁)。

39) 前掲『小学環境素質教育』66頁。

(12)

40) 同前書,272頁。

41)『環境教育(小学読本)』14-17頁。

42) 環境教育教材編写組編『環境教育(高中読本)』(中国環境科学出版社,1999年)58頁。

43) 同前書,97頁。

44) 洪東府主編『環境教育(試験本)・八年級』(上海科技教育出版社,2007年)10頁,13頁。

45) 同前書,25頁以下。

46) 同前書,57-58頁。

47) 洪東府主編『環境教育(試験本)・九年級』(上海科技教育出版社,2007年)5-10頁。

48) 同前書,19-24頁。

49) 同前書,46頁。

50) 曾萍「節約用水従身辺做起―《関注水資源》活動方案」(『環境教育(環境保護部)』総第98期,2008年8月)。

なお「南水北調」中線工程の完成によって丹江口水庫(ダム)に貯えられた水が北京に送られるため襄樊市を流 れる漢水の流量が減少することは疑いなく,取水権をめぐる問題が大きくなるだろう。そのことを児童にも考え させているのである。

51)『基礎教育新概念・環境教育』48頁。

52)『環境教育(上海)』91-92頁。

53) 同前書,97頁。

54)『環境教育学』79頁。

55) 同前書,163頁。

56)『環境教育(上海)』54頁。

57)『幹部環境教育読本』153頁。

58) 同前書,230頁。

59) 拙稿「長江中下流域湖沼の環境問題」『神戸女子大学文学部紀要』第42巻,2009年。

60)『幹部環境教育読本』244-245頁。

61)『環境意識教育』36頁。

62) 同前書,37頁。

63) 拙稿「中国淮河の水と環境」『神戸女子大学文学部紀要』第41巻,2008年。

64) 前註59)。

65)『環境教育(上海)』122頁。

66) 同前書,123頁。

67)『尋帰緑色』163頁。

68) 退耕還林の問題点については,関良基・向虎・吉川成美『中国の森林再生―社会主義と市場主義を超えて―』

(お茶の水書房,2009年)第4章・第5章,参照。退田還湖に関しては前註59)参照。

69)『幹部環境教育読本』322頁。中国で注目されるのは「中華環保世紀行」の1993年に始まった活動で,国内で は少なくとも8億人以上がテレビ・ラジオを通して「中華環保世紀行」の提供した環境保護に関するニュースに 接したといわれる(『環境教育学』189頁)。

70)『幹部環境教育読本』330-331頁。

71) 同前書,333頁。

72) 同前書,124-125頁。

73) 前註63)。

74) 拙稿「中国における用水権問題の現状と課題」『神戸女子大学文学部紀要』第43巻,2010年。

75)『幹部環境教育読本』147頁。

76)『環境教育(上海)』106頁。

77)『基礎教育新概念・環境教育』37頁。

78)『環境教育学』82頁。

(13)

79) 同前書,81頁。遅れた地域では「環境教育はわずかに教材上の知識」というケースも多い(范恩源・馬東元 主編『環境教育与可持続発展』北京理工大学出版社,2004年,28頁)。

80)「昆明高校水環境教育浅談」(『環境教育(環境保護部)』総第117期,2010年3月)。 81)『環境意識教育』143頁。

82) 前掲『環境教育与可持続発展』28頁。

83)『基礎教育新概念・環境教育』102頁。

84)『環境教育(高中読本)』110-111頁。

85) 陳永清「打好松花江流域汚染防治保衛戦」(『環境教育(環境保護部)』総第83期,2007年5月)では,環境

保護部がその後の松花江の汚染調査をおこない,「松花江の水汚染防治は長期の巨大な任務」とし,今後の監督 管理方針を示しているのは注目されるところである。

86) 劉友賓「環境保護与可持続発展教育―在中日以水為主題的環境与可持続発展教育研討会上的致辞―」(『環境教

育(環境保護部)』総第90期,2007年12月)。

87) 周生賢「譲江河湖泊休養生息―在第十三届世界湖泊大会上的講話」(『環境教育(環境保護部)』総第113期,

2009年11月)。なお胡錦濤総書記が「江河湖泊の休養生息」の方針を発表したのは,安徽省で淮河を視察した 際であり,この方針を周生賢環境保護部部長は「全方位の汚染防止,全面的な汚染治理,全民が環境保護に参与 する過程」と述べている(周生賢「譲江河湖泊休養生息」『環境教育(環境保護部)』総第110期,2009年8月)。 しかし,これでは具体的に何も言っていないのに等しい。

88) 周生賢「采取最厳格的措施譲江河湖海休養生息―第三届環境与発展中国論壇上的主旨報告」(『環境教育(環境

保護部)』総第87期,2007年9月)。周氏は「上流・中流・下流の水資源保護の協調発展を計画按配し」(周生 賢「譲不堪重負的江河湖泊休養生息」『環境教育(環境保護部)』総第85期,2007年7月)と述べ,流域全体の 管理強化の方向を示しているが,これに関しては適切な方向性といえよう。

89) 肖顕静「“河長制”:一個有効而非長効的制度設置」(『環境教育(環境保護部)』総第107期,2009年5月)。 90) 曲晴「関注“新水法”」(『環境教育(環境保護部)』総第95期,2008年5月)。

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