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分子腫瘍学センターから先端分子医学研究センターへ

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Academic year: 2021

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研究機関近況

分子腫瘍学センター 活動報告!

分子腫瘍学センターから先端分子医学研究センターへ

−トランスレーショナルリサーチを目指して−

分子腫瘍学センター長 医学部教授 白 澤 専 二

はじめに

福岡大学分子腫瘍学センターは平成8年度か ら19年度まで、ハイテク・リサーチ・センター 整備事業(研究代表者:黒木政秀)を基盤とし て運営され、消化器癌や造血器腫瘍に対する診 断法や治療法の開発で研究成果を積み重ねてき た。それらの概要に関しては前号までで最終的 な報告が行われた。本年度は新規研究センター への移行期と位置付け、センター設立のための 十分な議論と準備を行い、その結果、平成20年 度に私立大学学術高度化推進事業に変わってス タートする私立大学戦略的研究基盤形成支援事 業に先端分子医学研究センターを文部科学省に 申請することが大学より承認された。今回は、

この新規研究センター設置の背景とその研究概 要について紹介する。

1.先端分子医学研究センターが目指すもの 本プロジェクトは臨床医学において重要な疾 患である1)癌、2)糖尿病・肥満・循環器疾患 を中心とした生活習慣病、および3)免疫関連 疾患・感染症の3つの多因子疾患群を対象とし て、最先端の科学技術を導入し、基礎系と臨床 系の研究者が強く連携し、多因子疾患の病因・

病態の解明とこれらの理解に立脚した先駆的治 療法・予防法開発のための基盤構築に資するこ とを目的としている。

分子腫瘍学センターで展開された癌研究を1 つの柱として継続・発展させると同時に、国民

的関心事項ともなっているメタボリックシンド ロームと密接に関係する肥満・糖尿病・循環器 疾患の生活習慣病と感染症・自己免疫関連疾患 を解析対象として新たに追加し、これら多因子 疾患の病因・病 態 を ゲ ノ ム・分 子・細 胞・器 官・個体レベルで解明し、分子標的療法の開発 やトランスレーショナルリサーチ(Translational Research:TR)を最終的な出口とする研究へと 発展させるための基盤を構築させる。

先端分子医学研究センターは医学研究科を中 心に緊密な連携をとるが、病院、薬学研究科、

理学研究科、工学研究科、スポーツ健康科学研 究科を含むその他の研究科と、それぞれの研究 対象に応じて各グループが目的達成のための連 携を行い、先端分子医学研究センターの参加研 究者は学内における将来的な大型共同研究の中 核グループの1つに先端分子医学研究センター が発展するように努力し、福岡大学の 見える 研究拠点となれるように研究を推進させる。

2.トランスレーショナルリサーチとは トランスレーショナルリサーチ(TR)とは、

基礎医学の研究成果を踏まえ、臨床応用可能な アイデアを発掘し、臨床前(基礎的)研究、ヒ トでの安全性確認、臨床効果の判定の段階を経 て、臨床への実用化に結びつける研究と定義さ れるが、簡単に言えば、基礎研究を臨床応用ま でもっていく研究ということになる。しかしな がら、実際問題としては基礎研究を臨床応用ま で展開することは極めて困難なことであり、乗

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り越えなければならないハードルが多数存在し、

最終的な臨床応用まで行われている研究は全国 的にも希有である。それでも、 研究の出口 としてTRを目指すことが、現代医学に強く求 められている。その意味において、本プロジェ クトで分子標的療法として新規薬剤を利用した 癌に対する医師主導型治験が行われることは非 常に重要な意味を持ち、本学においてTRを発 展させる礎となることが期待される。

3.研究体制

このプロジェクトの目的を達成するために、

A)横断的研究と各疾患グループの支援を行う 多因子疾患病因・病態解析グループ、B)癌を 対象とする悪性疾患分子標的グループ、C)生 活習慣病を対象とする循環器・代謝疾患分子標 的グループ、D)感染症・自己免疫関連疾患を 対象とする感染症・免疫疾患分子標的グループ、

E)分子標的療法・先駆的治療法の開発を行う トランスレーショナルリサーチグループ、を設 置する。以下に、構成メンバーと研究概要を記 す。

A:多因子疾患病因・病態解析グループ 白澤 専二:細胞生物学・教授 鍋島 一樹:病院病理部・教授

糖尿病・肥満、自己免疫疾患、癌を対象に疾 患の病因・病態をゲノム・分子・細胞・個体レ ベルで解明し、分子標的療法開発のための基盤 的研究を行う。

B:悪性疾患分子標的グループ

黒木 政秀:生化学・教授(医学部長)

山下 裕一:消化器外科学・教授 向坂彰太郎:消化器内科学・教授 立花 克郎:解剖学・教授

消化器癌、とくに胃癌、大腸癌、膵癌あるい は肝癌における新しい標的候補分子の同定を試 み、分子標的療法の開発を行う。

C:循環器・代謝疾患分子標的グループ 岩本 隆宏:薬理学・教授

朔 啓二郎:心臓・血管内科学・教授 高血圧症、虚血性心疾患、動脈硬化症などに おけるイオン輸送やコレステロール輸送の異常 に着目し、その病態学的意義を解明し、これら 輸送体本体もしくはその制御蛋白質を分子標的 とする創薬・生命科学研究およびトランスレー ショナルリサーチを行う。

D:感染症・免疫疾患分子標的グループ

!松 賢治:微生物・免疫学・教授 斉藤 喬雄:腎臓・膠原病内科学・教授 難治性の細胞内寄生性病原微生物感染症と SLEなどの自己免疫疾患の発症機構の解明、

及び、免疫制御による先端的治療法の開発研究 を、動物モデルやヒトの自己免疫疾患患者サン プルを用いて行う。

E:トランスレーショナルリサーチグループ 宮本 新吾:生化学・准教授

原 周司:薬学部・准教授

田村 和夫:腫瘍・感染症・内分泌内科学

・教授(医学研究科長)

トランスレーショナルリサーチ事業の実施例

としてのHB-EGFを標的とする新薬の治験の

遂行と相乗的抗腫瘍効果を期待できる多剤併用 の選定を行う。

おわりに

基礎系と臨床系の多数の研究者により構成さ れる先端分子医学研究センターにおいて、それ ぞれのグループ間で積極的な連携と共同研究が 行われることが、センターの成否の鍵となると 思われる。多因子疾患グループの特徴であるゲ ノム、分子、細胞、マウス個体レベルでの解析 技術に、悪性疾患グループ、循環器・代謝疾患 グループおよび感染症・免疫疾患グループが持 つ疾患特異的研究が融合することにより、癌、

生活習慣病、免疫関連疾患において、世界に発 信できる学術的研究成果をあげられるように研 究を推進させていく所存である。

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参照

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