社会資本と独立採算制
その他のタイトル "Social Overhead Capital" and the Self‑Financing
著者 寺尾 晃洋
雑誌名 關西大學商學論集
巻 7
号 3
ページ 197‑224
発行年 1962‑08‑30
URL http://hdl.handle.net/10112/00021666
いて分析してみたい︒
︵ 寺
尾 ︶
社 会 資 本 と 独 立 採 算 制
内 容
一︑社会資本の領域ーー主傾向の所在 二︑社会資本の主体ー│主傾向の所在
三︑社会資本と独立採算制
四︑行政投資における負担金制度 五︑国家資本における独立採算制
六︑﹁地方公営企業﹂における企業債
七
︑ 結 び 最近の経済成長につれて社会的間接資本あるいは社会資本が重要視されてきたことは衆知のところであるが︑本 稿では︑この社会資本の問題がようやく本格化した昭和三十四年ーー所得倍増計画の基本構想成案ーーを一応の目 安として︑その頃にはもはや︱つの傾向と言えるかたちをあらわしてきた社会資本における独立採算化の現象につ
社会資本と独立採算制 寺
尾
晃
九
洋
198
ここの問題はこれらの諸領域のどこに社会的投資の重点があるかという点である︒これは後掲の第三︑四表で直
ちにわかる問題であるが︑それが政府の産業政策全体の方向とどういう関係にあるのかという点まではこれらの表
では明らかでない︒そこで本節では公共投資の全体をとりあげて︑その中での社会資本︑
をみていきたい︒さて公共投資は次の二つから把握することができる︒田一般会計における公共事業関係費︑失業
対策費︑住宅および環境衛生対策費など︒②財政投融資︒そこで最近におけるこれらの推移から各領域に生じてい
(2 )
る変化をとりだしてみたい︒
まず︑八公共事業費>
らの中﹁食糧増産﹂は問題としても︑
国 土 保 全 治 山 治 水
︑ 災 害 復 旧 をあげてい包
い
) ( 口 ) ( イ ) 社会資本の概念内容は必ずしも明確ではなく︑ 社会資本と独立採算制
社会資本の領域
1
主傾向の所在
五年度の﹁経済白書﹂の用い方に一応ここではしたがって整理をしてみる︒経済白書においてはこの年はじめて意
識的に社会資本の問題がとりあげられたが︑同書は社会資本の名のもとに︑
産業基盤電力︑輸送力︵道路︑港湾︑鉄道︶︑通信︑用地︑用水
生 活 環 境 住 宅
︑
ガス︑上下水道
︵ 寺
尾 ︶
﹃資本﹄の範疇にはいらないものまで包含しているが︑昭和︱︱‑+
およびその諸領域の動き
第一図は三十五年度までの同費目の事業種目別の構成変化を示したものであるが︑これ
ほとんどが社会資本の範疇に入ってくる︒ここでの明らかな傾向は﹁道路︑ 四 0
第一図 公共事業費の事業別構成の推移(%)
社会資本と独立採算制
10090 80
7 0
︵ 寺
︶ 尾
4030 20 10
゜
7 11 2年度
6治 山 治 水 港 湾 漁 港 等
道 路
27
, . 2 8 . . , , 2 9
その他 食糧増 産 災害復 旧等
30 31
32
.33 . 3435
(註)
四
費﹂は八%から六%へと低下しているのである︒つ 共事業費の増大は四五形である︒したがって両年度
昭
3 2
年経済白書2 3 8
ページ,昭3 5
経済白書2 0 6
ページより。港 湾 漁 港 等 ﹂
への投資比重の増大︑﹁治山治水﹂︑
五六•一%、土地整備事業一八。二%、河川整備事
(3 )
業五•五%、その他二 0 ・ニ%となっており、前述
八住宅・環境衛生対策費>
一般会計中のこの費目 を︑便宜上二十八年度と三十四年度をとりだして︑
比 べ
て み
る と
︑ それぞれ︱二五億円と一三七億円で︑
こ の
間 一
0
形の増大をみている︒これと比べると公
の﹁住宅環境対策費﹂/﹁住宅環境対策費+公共事業 の公共事業費の傾向と類似した形が生じている︒ 労人員の割合を実績でみると︑道路および街路整備 が
大 き
く な
り ︑
たとえば三十二年度の事業種目別就
どが多かったが︑次第に道路などの土木事業の比重 まれている︒当初は公園・広場の整備︑街路清掃な の中には公共事業費の対象と類似した事業種目が含 ﹁災害復旧等﹂の減少である︒八失業対策費>
こ
200
第一表 財政投融資使途別推移 (億円)
I 昭28 I
29I
30 │ 31I
32 │ 33I
34I
35産業開発
I1c認 魯 l (tt炉.21 磨i~ 沿!4)1 (~~5
I% 盟 } │% 笥
輸出入
(0~ (0゜
)需 '
I閉
1) 1(022. I 5) (82)0 I齋
I 3(66)0中小企業 翡~
I 2(481)需
270 (7.8) (I
41202..8)5 ( 5143)0 I 5(181)2 I 6(161)3農林水産
231 200 245 I 308.8 312.5閤 需
I 459 (7) (8) (8) (8.9) (7.6) (8)交通通信 i & 魯 爵 湿~
I Ci翌
3)1( 爵3
8)│ (f悶
I (f9!│% 協
住 宅
I器l
1(860)I ( 3
13
4)3
│ I
(44120. 7)I (
61670. 4)I (
61660)I
│ (7163) 7I (
81419)地方債 l
1(,03490) 1 1,0(
9O4 ) │ 1(
,36144) I 1(,23251. 2) 1(
,21035. 2)I1(,0025) 15(
,21015) │ 1(,42563)その他
I (0~ I (0~ I福 晶 晶
I温
I唇
I (20)5合計\行需
12,805 13,199.713,471.614,091襦 5
15,198 15,941 ( ( 1 0 0 ) (100) (100) (100) ( ( 1 0 0 ) (100)社会資本と独立採算制
︵ 寺
尾 ︶
(註) 1) 使途別分類は昭35
経済白書
204ページの分類の仕方によった。金融債は昭28,29, 30
において「産業開発」の項に入れた。
2) (
)内は%
3) 各年度財政投融資資金計画表より作成
るが︑三十五年度では︑このうち いちじるしく比重を増してきてい 金
は ﹁
産 業
開 発
﹂ ︑
さらには﹁地 このような動きに公共事業費にお ける道路を頂点とした最近の政策
次に八財政投融資>
ら二十八年度から二十五年度にい
(5 )
たる財政投融資の方向がわかるが︑
ここでも﹁交通・通信﹂と﹁住宅
(6 )
﹂が主なものである︒これらの資
方債﹂の動きと対照的に最近まで 第一表か
て よ
い ︒
方向の半面がだされていると言っ は相対的に逓減している訳である︒ われわれの生活に結びついた投資 では︑住宅・上水道などもっばら まり一般会計からの公共投資の内
四
︵ 寺
尾 ︶
が最近の基本的な方向ということができる︒
一 六
党 ︑
四
一四形と変化している︒
﹁交通・通信﹂は﹁地方債﹂を除けば財政投融資中最大の比重を占めている︒
比重では﹁交通︒通信﹂に及ばない︒﹁地方債﹂については第六節でのべる︒
以上のうちには社会資本以外の範疇をも含むが︑もちろん社会資本だけをとってみた場合こうした傾向はより決
定的である︒後出の第三︑
四表から総括的に知られるように︑二十八年において産業基盤五八%︑生活環境一五%︑
国土保全二七形であったものが︑三十四年ではそれぞれ七
0
形 ︑ 結局より狭い範疇である社会資本のみならず︑公共投資全体からみても交通︑通信を指標とした産業基盤の強化
註
( 1 )
経済企画庁編︑昭和︱︱︱十五年度経済白書︑四ーニページ以下参照︒
J( 2
)
﹁国の予算﹂該当年度参照︒以下予算項目についてはこれと同じ︒
( 3
)
﹁ 国
の 予
算 ﹂
︑ 三
十 四
年 度
︑ 九
四 ペ
ー ジ
︒
( 4 )
二十八年度の︱二五億円は住宅対策費のみであって︑環境衛生対策費つまり上下水道︑清掃し尿処理のための費用をふ くまない︒後者は一︱︱十二年度予算から登場しているものである︒これにたいして︱︱︱十四年度ニ︱︱七億円は住宅対策費︱︱
六億円︑環境衛生対策費ニ︱億円で構成されている︒
( 5
) ただこの場合︑産業投資特別会計︑資金運用部︑筒保資金︑公募偕︵公募の分に限定され︑利用債︑縁故者募集をふく まない︒後の二者は財政投融資資金計画表では﹃自己資金等﹄に入れてある︒︶︑借入金︵たとえば生命保険会社のような 民間からの借入金︶を原資とする投融資について︑その使途別推移が示されているのであって︑いわゆる財政投融資の姿 を尽したものではない︒しかし方向は示されていると思う︒一般に財政投融資の原資は今のべたいくつかに自己資金など を加えたものである︒自己資金などについて信頼しうる数字をえがたかったので︑財政投融資資金計画表に記載してある 分のみを抜きだして第一表と同じ分類手続で整理したものが第二表である︒ここでも同じように﹁交通通信﹂が最大の比 重を占めていることが知られよう︒
社会資本と独立採算制
﹁住宅﹂投資ほのび率は大きいが︑
202
( 6 )
具体的には道路公団︑帝都高速度交通営団︑国際航空事業︵日航︶︑旅客船公団︑国鉄︑電々公社︑郵政事業特別会計︑
道路整備特別会計︑特定港湾施設工事特別会計︑日本放送協会︑住宅金融公庫︑住宅公団︑勤労者厚生資金などを意味す る︒この外社会資本の範疇に入ると考えられるものに︑電源開発株式会社︑特定多目的ダム建設工事特別会計︑愛知用水
公団その他がある︒
第 二 表 政府関係機関•特 別 会 計 の 自 己 資 金
*
な ど の 投 資 額 の 使 途 別 推 移
(億円)
社会資本と独立採算制
社会資本の主体
1
主傾向の所在
社会資本の主体は︑大別して a
. 行
政 官
庁 ︑
b .国家資本の二つである︒以下前者の行う投資活動を﹁行政投資
﹂と仮りに呼び︑後者の﹁国家資本﹂と対置することにする︒さて﹃国の予算﹄の昭和二十八年度と同三十四年度
の数字を対比して︑社会資本の主体におけるこの段階での一連の傾向を取りだしてみようとしたものが第三表︑第
(7 )
四 表
で あ
る ︒
まず第一に︑財政資金がはいっているものに限定して︑両年度の社会資本投資の主要なものを前記の行政投資と
国家資本に振分けて︑それらの投資額を比較してみる︒これは第三表︑第四表の
a 1 + b
1 + c 1
c . a 2
+ b 2
か ら
知 ら
れ る
︒
産 業 開 発
輸 出 入
中 小 企 業
農 林 水 産
交通通信
住
宅
そ の 他
合
計 芦
6 9 3
⑤
2 4 0
⑬
2 0
8 g
l o ①
7 2 8
⑧
22の︒①邸⑳
ー ︵
蜘
3 4 3
⑩
4 4 0
⑪濡
1 2 7
④
ー ︵ 寺
尾 ︶
幻 7 0
4 9 D o
の
5 9 の
4 4 (
︵
4 0 ' ︵
' 1 1 3 (
( 註 ) 1 ) ( )内は彩
2)
該当年度「国の
予算」より。
*﹁自己資金など﹂とは︑具体的には減
価償却︑内部留保︑資産充当︑負担金︑
回収金などである︒
四 四
第三表昭和28年・社会資本投資の原資
:‑‑丁戸二 I 芦乳騎産投会計 l
嗜喜翡灸誓貴・借自己資金等合{(道路)讐 g 棗
JJllむ)
産(港湾等)港湾事業費a1 ( II ) 漁港事業費業(鉄道等)国鉄国( II ) 帝都高速度交通営団基
家
(通信)電々資(II)郵政
盤本(航空)国際航空事業(日航)a2 (発電)電源開発株式会社'生『{(住宅)住宅対策費
活
(下水道等)都市計画事業費環
贋国本{(住宅)住宅金融公庫ー境b2 ( II ) 勤労者厚生資金・国全行魯資Cl{(治山治水)治山治水事業費
巌
(災害復旧)災害復lH事業費^
ロ 計(註)
1. 昭
28年度「国の予算」より作成2. 細部の説明は(註7)参照。
#集娯怜
,.¥J蒜甘晦撼罪 (怖曲) I I I I
167 (内25)49 23145
85 ‑
32615 7
32 75 355 5・ 21
10 19 150 50 33
125
I I I I I
4880
I I
100I I
22I
25404
I
307 1,245 │ 150I
340 I 160 │ 783 │図団
(億円)計
167 49
23 556
22 462
26 29
233 125
48 202
25 404
307
2,678
or;
吋#集嶽怜
..¥J葉甘磁抵華(描謝)第四表昭和34年度・社会資本投資の原資
図
1<(億円)
領文域―‑ー‑ 主体
三仁裟含群閏ず皇刈産投会計1喜魯屡墓部[羞募債借入
1自己資金等1合
計 857 77 14 I 948 135 135 43 43 産 16 16 8 8 31 20 10 61 業 64 21 10 9547 84 65 68 264 団***21
,
30 基265 240 610 1,115 3540
75 25 25 800 850盤
27 20 47 5 23 20 48 2 3 (0.1) 5 50 350 90 49011
81 3 95 政投行資bl{(住宅)公住共内宅事都業及環市費境計衛画生対策費I
137I I I I
137塁 鷹
(下水道)事業費14 14 資家国本b2{(((住II11宅)))勤住住宅宅労金公融、公生庫資金1 I
45 285I I
49I
379 75 77 200 35 387 85 85;
全野門山鼻お H }岱治且』山 h
水樗対翡策m費費 429│
429 381 381 5 5メ
ロ
計I
2,199 177I
1,435I
562 │ 1,769 │ 6,142(註) 1. 昭
34年度「国の予箕」および澄田・鈴木共編「昭
34年度財政投融資」より作成。
2.細部の説明は(註
7)参照。
第五表
社会資本と独立採算制︵寺尾︶
社会資本投資における行政投資と国 家資本投資の比重の推移とのび率
昭 28 昭 34
V ) ヽ
( イ
) 産 業 基 盤 { 行政投資
国家資本
( 口
) 生活環境{ 行政投資
国家資本 国土保全{
行政投資 国家資本
彩
9 6 9 7 0 4 2
︐
21% (5.5)49 (2.3)
4 4 0
ー 2
ー (0.9) (3.7) (1.1) (0)合
(註) 1) 2)
計
100 100( )内は昭
2 8の数字にたいする倍率
第三表,第四表より作成四 七
おける行政投資四三形︑国家資本五七彩から︑三十四年における行
政投資一五%︑国家資本八五%へと国家資本の圧須的な増大︑行政
投資の絶体的縮小が特徴的である。これは一―-•七倍という前者のの
び率と 0 ・九倍という後者のそれとの対照に歴然としるされている︒
国土保全の領域︑ここでは国家資本の進出余地はほとんどないと 領域だけの行政投資と国家資本の割合の変化をみると︑二十八年に 生活環境の領域では︑国家資本の比重は三十四年度に至ってかな り増大し︑その反面行政投資は全く貧弱なものになり果てた︒この した場合の国家資本の比重の増大とは逆の方向を指している︒ 度では行政投資三七彩︑国家資本六三形であって︑ これによれば︑二十八年度の社会資本投資全体の平均では行政投資四二彩︑国家資本五八%であったが︑三十四年
わずかではあるが︑国家資本の比重が高まってきている︒
第二に︑こうした数字をいま少しく内容的に検討するため︑前にあげたい︑産業基盤︑回︑生活環境︑り︑国土
保全のそれぞれの領域について検討してみると︑社会資本投資の主体についてのより立ち入った把握が可能になる︒
第五表から明らかなように︑産業基盤の領域では︑国家資本の比重は両年度とも社会資本の四九%で極めて大き
いが︑両年度間では行政投資の比重が九粥からニ︱%へと非常に増大し︑ のび率も五・五倍であって︑最大である︒
したがって前節でみた産業基盤重点の基本方向がこの行政投資のの
びに体現されているといえる︒だがこの動きは社会資本全体を平均
206
社会資本と独立採算制
思われるが︑行政投資自体が二十八年の二七%から一四%へとその比重を著しく減退させている︒
このように部門分析を進めると︑産業基盤における行政投資の前進が生活環境となかんずく国土保全における行
政投資の極度の後退のために︑相殺どころかマイナス化されたことがわかる︒ここに全体における国家資本の比重
註
(7 )
両表は社会資本投資の全貌を把握して︑その原資の構成を明らかにしようとして作成された︒この場合どこまでを社会
資本の範囲に入れるか︑行政投資と国家資本をわける実際上の基準をどこにおくか︑また基礎資料となる事業計画と資金計
画の個々の収支項目をどう取扱うかによって︑数値が若干異なってくることが考えられるが︑ここでは︑次のごとき諸前提
に立って一応の数字を出してみた︒
まず︑一︑農林関係は除いて考える︒
二︑行政投資と国家資本をわける際の実際上の基準として︑一般会計︑産投会計からの資金のウエイトがその他の衰金より
も大きい場合︑行政投資に入れる︵ただ二十八年度の電源開発株式会社︑一︱︱十四年度に創設された首都高速道路公団は︑
その年度にあらわれた例外とみなして国家資本に入れる︒︶
三︑年度予算額の数字によること︒
四︑投資の概念を狭く考えて︑建設︵工事︶資金︵ある場合は業務費︶に限定してその原資の内訳を示すにとどめる︒ただこの
場合でも業務費︵建設工事費︶の外に一般管理費︑事務費︑出資︑償還金︑受託工事費︑予備費などの費用があって︑これ
らすべての経裁をカバーする総収入︵原資︶がある訳であるが︑こうした業務費︵建設工事費︶以外の諸経費をカバーする収
入はこの第一
1一︑第四表の数字には入っておらない︒それでどの収入でこの業務費︵建設工事費︶をカバーするのが妥当かと
いう問題が生ずる︒実際上は収入は一っにプールされてここから小出しにすべての経費のために支出されるので︑こうし
た一定の経費の原資を一義的に決めるということは無理であろうが︑ここでは山ある事業への一般会計・産投会計資金︑
資金運用部・簡保資金︑公募債︑借入金の合計が各表の右端の欄にか
4げた該事業の投資の合計より小さい場合︑その差 終りに再び国家資本の増大という点を確認して次に進もう︒ 増大が可能となった理由の一面がある︒
︵ 寺
尾 ︶
四八
額を﹁自己資金等﹂の項に計上した︒また③逆に前者が後者より大きい場合︑また前者に﹁自己資金など﹂を加えればな おさら(第四表の首都高速道路公団と道路整備特別会計•愛知用水公団がそれらの例)、前者は建設資金以外の経費もカバ
ーしているはずであるから︑その分だけ前者︵現実の投入額︶より差引いて後者の額にみあうようにしなければならない︒
このとき︑行政投資の場合は一般会計からの資金より差引き︑国家資本の場合は﹁自己資金等﹂の項から差引きうるもの
を引いた上︑一般会計からの資金から不足分を控除し︑こうしてえられた数字を表にのせた︒なんとならばこうすること
によって︑後でのべるごとき社会資本の特定領域で現われる収益化傾向あるいは非収益化傾向がそれぞれ若干ひかえ目に
表出されるからである︒すなわち数字の操作でもって一定の傾向がつくりだされたのでないと少くとも言えるだろうから
である︒このひかえ目な表出にかかわらず後述のごとく一定の傾向がはっきりとでていることに注目しなければならない︒
五︑公共事業費のうち二十八年度の数字が失業対策費をふくまないのにたいし︑三十四年度のそれはこれをふくんでいる︒
したがって二十八年度は失業対策事業費補助九七億円が大体道路・港湾・治山治水・災害復旧にわたり分散されていて︑
これは公共事業費の約一割を占めているので第一
1一 表
の
a l︑
C l
の項は表示された数字よりいくらかずつふくれた数字が現実
のものということになる︒
六︑三十四年度には国土総合開発事業調整費六億円が計上されているが︑多方面にわたり︑したがって分類不明確なため省
略 し た ︒
さて次に︑三十四年度に集中するが︑問題となる事業体ごとに投資の原資について若干説明を加えたい︒
*道路整備特別会計ーー︑この年度予算は一︑ 0 一六億円であって︑その収入は一般会計受入九一七億円︑政府借入金七七億
円︑工事負担金収入一四億円︑その他の収入八億円であり︑支出は道路等事業費九九三億円︵内五五億円の有料道路出資を
差引き建設資金は九三八億円︶︑付帯工事費一 0
億円︑その他の支出一三億円である︒付帯工事費まで加えて考えると建設
資金は前記九三八億円プラス一 0 億円︑合計九四八億円であり︑この金額を一般会計受入・借入金・工事負担金収入合計一︑
00
八億円との差額六 0 億円︵出資金五五億円がこの内にふくまれている︒︶を前述の前提にしたがって一般会計受入より差
引くと︑表記の﹁一般会計受入﹂八五七億円なる数字がえられる︒したがってこれと借入金七七億円︑工事負担金一四億円
で建設資金九四八億円をまかなうことになる︒︵三十四年度﹁国の予算﹂六二八ページ参照︶
**道路公団ーー政府出資四五億円︑政府補助金二億円︑政府借入金八四億円︑公募債六五億円で業務費二六四億円をまか
社会資本と独立採算制
︵ 寺
尾 ︶
四 九
208
社 会 資 本 と 独 立 採 算 制
社会資本と独立採算制
なって不足分六八億円を外資八九億円︑料金収入︱二億円︑前期繰越金︱
1 0
億円といった﹁自己資金など﹂の内から拠出し
た︒︵澄田︑鈴木共編︑昭
3 4 年度財政投融資︑
1一 四 四 ペ ー ジ 参 照 ︶
***首都高速道路公団
i ‑
︱︱十四年度予算は三十五億円で︑収入は政府出資一 0 億円︑東京都出資一 0 億円︑東京都交付金
六億円︑民間資金九億円︑計三十五億円であり︑支出は用地補償及工事二五億円︑関連街路事業公団負担金一一一億円︑駐車場
事業費二億円︑一般管理費等五億円である︒政府・都出資及交付金合計二六億円から一般管理費等相当額を差引いたニー億
円と民間資金九億円の合計︱︱
1 0
億で︑支出合計から一般管理費を差引いた残額である建設費一︱
1 0
億円をまかなっていると考
えた︒︱︱‑+四年度﹁国の予算﹂八五九ページ参照︶ ****国際航空事業
1日本航空の三十四年度予算は七― -1 億円で、この内航空機購入費一―――-•五億円、部品費一―-•四億円、
地上施設費五・八億円︑訓練開発費など六億円︑合計四八億円が建設費である︒この財源は産投会計から五億円︑社債ニ︱
1
‑
億円︑あとの二 0 億円が減価償却費等の自己資金等の項からまかなわれた︵三十四年度﹁国の予算﹂八六七ー八ページ参照︶
* *
* *
* 愛 知 用 水 公 団 i ‑
︱ ︱ 十 四 年 度 の 公 団 予 算 は 一
1一五億円であって︑収入は国庫補助金ニ︱億円︑運用部借入金八一億円︑
世銀借入金一ー一億円︑その他の収入二 0 億円であり︑これでまかなうべき支出は建設費九五億円とその他の支出一︱
1 0
億円であ
る︒そこでこの建設費九五億円と国庫補助金︑借入金︑世銀借入金合計一 0 五億円との差額一 0 億円を国庫補助金ニ︱億円
の内から差引いた残額が表の﹁一般会計受入﹂の項の一︱億円である︒この一一億円︑運用部借入金八一億円︑世銀借入金
︱︱一億円︑合計九五億円が原資である︒︵澄田︑鈴木共編︑同上書︑二
0 0 ページ参照︶
( 8
)
二十八年度には註記のごとく失業対策費を公共事業費にふくめてないが︑これをふくめたとすると同年度の社会資本投
資全体の平均では行政投資四四形︑国家資本五六%である︵原表の場合は行政投資四二形︑国家資本五八彩︶︒したがってこ
の数字をとれば第三表から第四表へのバーセンテージの変化はより鋭くなる︒
前節でのべた国家資本の大きな比重︑そしてさらにその増大︑このことは収益性の原資の増大と結びついて︑社
会資本に独立採算化の方向を与えている︒第三表︑第四表のそれぞれ右端の欄は国家資本の比重の増大を表現して
︵ 寺
尾 ︶
五 〇
第六表 社会資本投資に占める原資のグループ別比重
の推移 (%)
社会資本と独立採算制
( イ
) 産業基盤{ 行政投資
国 家 資 本
︵ 寺
尾 ︶
( 口
)
し
、
)
生活環境{ 行政投資
国家資本
国土保全{
行政投資
国家資本・昭2
8A B 8.9 0 7.2 42.4
5 0 5
. .
.
6 0
2
6 3
. 5
0 5 0 0
昭3
4A B
18.8 2.5 2.2 46.9 2.5 1.9 13.3
゜
︐
•0 1 0 0
ー
小 計
52.1 47.9 38.7合 計
10061.3 100
( 註 )
1) A•••一般会計・産投会計資金B・・・資金運用部・簡保資金・公券債・借入金・
自己資金等 第三表,第四表より作成 2)
五
る︒それは二十八年度における四八彩から三四年度 資本投資総額に占める割合の変化に端的に表現され びつきは︑国家資本に投ぜられた収益性原資が社会 り利子がいらぬか︑極めて安いところの一般会計︑ -•三形とより明確な変化があらわれている。
つ ま
たいして、三十四年度では前者一 1 一八•五彩、後者六 二十八年度では前者五ニ・一彩︑後者四七・九彩に 会資本の平均では︑第六表に示されているごとく︑ る︒すなわち両表ごとに下欄の数字で︹一般会計受 入+産投会計受入︺と︹資金運用部・簡保資金+公 募債・借入金+自己資金等︺とを比較すると︑全社
産投会計資金に代って︑相当程度の利子を要する資
(9 )
金運用部資金以下のいわゆる収益性の資金が建設資
金の主力を構成するように変ってきたのである︒こ
のような収益性原資の増大と国家資本の増大との結 り︑この二つはそれぞれの表のうちに統一されてい いるが︑両表の下欄の数字は独立採算化の指標であ
210
社会資本と独立採算制
また最近では行政投資に収益性資金の導入あるいは負担金制度がとられつつある︒三十四年度では︑これは社会
資本投資総額のいまだニ・五%にすぎないが︑ しかし新しくみられるようになった最近の社会資本の特徴の一つで
またそれぞれの領域について検討しても︑第六表のごとく︑二十八年と三十四年では︑産業基盤の国家資本は四
二•四形から四六・九形、生活環境の国家資本で五•五形から一―•九形へ、
投資でも新たにニ・五形というように収益性資金が増加している︒ さらに前述のごとく産業基盤の行政
このような一連の動きは社会資本の独立採算化という特徴的傾向をわれわれに印象づけていると言えよう︒
ホズラスチョット
さて独立採算制という概念は︑ネップの時期のソヴィニト連邦で初めて用いられたが︑
算制は何よりも分権的管理あるいは経済計算の手段を意味する︒そして建設資金は国家財政から繰入れるのが原則
となっている︒これにたいして資本主義社会における独立採算制には
s e l f , f i n a n c i n g
の意味がすこぶる強い︒
たがって独立採算制をソヴィエトにおけるそれに合わせて
b u s i n e s s a c c o u n t a b i l i t y
と訳するよりは前記の
s e l f
‑ f i n a n c i n
g と訳す方がより適切と言えよう︒独立採算制は合理化の手段ではなく︑現代の資本主義では逆に合理化
は独立採算制の結果である︒基本的には独立採算制は︑現代︑殊に第二次大戦以降の︑資本主義の危機にもとずい
た国家財政活動の増大と結びついた︱つの財政現象である︒ここからわが国の場合でも次のような結果が生じてい
るのである︒すなわち第七表のように一般会計・産投会計資金といった財政資金ー前節でふれた行政投資と直ち
に同じではなくて今の場合の一般会計・産投会計資金は国家資本の中にも入りこんでいる︒ーは二十八年度にお あ
る ︒
における五九彩へと増大している︒
︵ 寺
尾 ︶
し ソヴィニトでは︑独立採
五
が導入され︑これに代位する︑これが現代の資本主義における財政の必然的な傾向であると言いえよう︒
しかしながら政策的恣意を超えて社会資本の独立採算化の現象が最近において傾向的なものになってきていると いうためには︑具体的な場合におけるこの事実の存在︑その理由︑とくに生産手段生産部門︵産業基盤︶と消費資 料生産部門︵生活環境︶でのあり方の相異︑その結果などについて共通点︑相異点を明らかにする必要がるし︑ま た独立採算制にはさまざまの政策的課題の解決が課されていて︑
第七表 社会資本と独立採算制
( 口
)
︵ 寺
尾 ︶
い
)
社会資本投資に占める一般会計・産
投会計資金の比重と増減 ク (
15)昭
28昭
348.9 18.8
( イ
) 産業基盤{ 行政投資
国家資本
生活環境
i1行政投資 国家資本
国土保全{ 行政投資
国家資本 2 5 0 5
.
.
.
. 7 6 3 6 0
2
2 5 9 3
.
.
.
. 2 2 1 3 0
ー+9.9
‑5
1 2
. . 4 1 3 0
ー
︱ ︱
52.1 38.7 ‑13.4
(註) 第六表より抽出作成
五
げる社会資本投資総額の五ニ・一%から三十四年度には三八・七形 へと一三•四%の減少をみせている。もっとも重点部門である産業 基盤の分野の行政投資では九・九%の増加となっているのであるが︑
他のすべてのところで二三・三党というそれ以上の減少をみたので︑
相殺されてこの一 l
―-•四形の減少という結果になったのである。こ の一三•四%の行政投資の減少はそのま
4
それだけの比率での独立
採算化方向の前進を意味している︒もちろん︑全域いっせいに財政 資金の拡大が可能であれば︑こうした結果にはならない︒だが現代 の資本主義における財政的諸制約の下ではこの重点部門で行政投資 ない訳にはいかない︒おそらく他の額域で一般財源の資金を減少さ
せてここに集中し︑この減少を埋めるべくある部面では独立採算制
たとえば第七表の財政資金が産業基盤の国家資本
を九・九%だけあげるためには︑他の領域にマイナスの影響を与え
212
社会資本と独立採算制
では五%の減少にたいして︑生活基盤の国家資本の場合一・一%の減少にすぎないといった事実に示されているが︑
こうした点も関連して検討する必要がある︒これによって一般的結論がはじめて内容を与えられるであろう︒
註
( 9
)
後 述 の 五 ︑ b
を 参 照 ︒
( 1 0 )
運輸調査局︑独立採算制論︑中央書院︑一九四八年︑一九ニー
1
ニページ参照︒なおソヴィエトの独立採算制については︑
松尾憲橘︑社会主義会計学︑中央経済社︑一九五五年︒大島国雄︑ソヴィエト企業の独立採算制︑森山書店︑一九六
0
年 ︑ ダニーロフ編著︑八雲香俊訳編●社会主義交通経営論︑青木書店︑一九六
0 年などがある︒
行 政 投 資 の お け る 負 担 金 制 度
昭和三十年度に始まる愛知用水公団︑農地開発機械公団︑森林開発公団等の設置は公共事業を公団や特別会計の
ごとき形態で実施しようとする最近の傾向の発端である︒一二十二年度には特定多目的ダム建設工事特別会計および
特定土地改良工事特別会計が創設され︑三十三年には道路整備特別会計︑三十四年にはさらに特定港湾施設工事特
体の負担となる分は︑直轄事業地方分担金として地方債証券で納付され︑この証券の償還によって現実の国の収入
となるというものであった︒したがって一般会計は地方負担分をその予算のうちから融資していたわけである︒こ
れは地方資金の活用ではなく︑さしあたり単なる地方財政の負担軽減だけであった︒ところが特別会計制度を入れ
てきたことによって︑第一に︑ 一応必要な事業費の金額を国の予算に計上してこれから支出し︑地方公共団
一般会計に計上する分を純国庫負担分のみとし︑地万負担分相当額を当該年度の借
入金︵資金運用部等借入金︶により調達し︑この借入金の償還は地方債証券の年賦償還金をもってあてるという方 従来の直轄公共事業の施行方式は︑ 別会計が同一性格をもって出発している︒
四
︵ 寺
尾 ︶
五四
註
(11)( 1 2 )
い え
る ︒
( 11 )
式が可能となった︒これによって一般会計予算が同一でも︑借入金相当額だけ事業量を増大できることになったの
であって︑上記の各特別会計はすべてこの方式をとっている︒第二に︑受益者負担制度が可能になった︒これには
︱つは受益者負担金を徴収するもの︒たとえば特定港湾施設工事特別会計についてみれば︑石
油︑鉄鋼港湾がこれに該当する︒二つは特別会計が一応借入金により工事を施行し管理者の負担とした上︑施設完
成後管理者が施設利用者から特別利用料として料金のごとく徴収するもの︒たとえば石炭港湾の全部︑
( 12 )
頭︵門司︶︑肥料埠頭︵下関︶︑鋼材埠頭︵大阪︶がこれに該当する︒
一兆円の投資規模を有する道路整備五ヶ年計画遂行のため︑揮発油税収見込と一般財源で
( 13 )
なお不足する分の借入金調達を主要な契機として創設をみたのであり︑また特定港湾施設工事特別会計は︑京阪・
阪神・名古屋の三地区に集中しつつある輸出物資のための専門埠頭の建設︑急増する石油・石炭および鉄鋼原材料
といった輸入物資のための港湾整備︑しかも船舶の急速な大型化に対応した工事規模の拡大︑こうした必要に対処
( 14 )
するため創設せられた︒このように一般財源不足による事業資金のわくの拡大︑これによる事業の早期達成︑この
点が現段階の公共事業における特別会計設立の理由である。かくて第四表から知られるように、道路整備•特定港
湾•特定多目的ダム各特別会計の借入金・工事負担金(「自己資金等」の項)の合計は、
0 彩︑四九劣︑三三形とかなり大きな比重を占めている︒これによって行政投資の生産力機能は非常に高まったと
昭 一
1
三
︑ ﹁
国 の
予 算
﹂ ︑
六 二
0 ページ参照
昭 三
四 ︑
﹁ 国
の 予
算 ﹂
︑ 五
九
0i ︱ページ参照
社会資本と独立採算制 道路整備特別会計は︑ 二つの方式があり︑
︵ 寺
尾 ︶
五 五
セ メ ン ト 埠
各建設資金のそれぞれ一
214
社会資本と独立採算制
﹁ 国
の 予
算 ﹂
︑ 六
一 八
l
九 ペ
ー ジ
参 照
﹁ 国
の 予
算 ﹂
︑ 五
八 五
ペ ー
ジ 以
下 参
照 国家資本の独立採算制と言っても︑それらが属する部門に向けられた産業政策から︑
国家資本自体の理由によって影響をうける︒独立採算制にはいくつかのタイプがある︒田国鉄型︑②電々型︑③住
(1 )
宅・農林公庫型︑④国民金融・中小企業公庫型︑固開銀型がこれである︒社会資本を対象とする本稿では︑さしあ たり山︵関連して②︶と③︑すなわち性格としては産業基盤と生活環境の両分野の場合をとりあげてその独立採算
制の姿態を検討してみたい︒
a
.産業基盤の場合ー——国鉄
I国鉄は︑戦前からの酷使型輸送体制を戦後にもちこんだまま︑
インフレ手段に代って二十四年度には見返資金の投入をうけ、さらに旅客六割値上(二四•五・一)、
(二五·-•一)をてことして独立採算制の導入をはかった(二四年ご一月国鉄法改正)。
て出資を全く打切られた︒このような独立採算制の導入の結果︑朝鮮動乱以後の戦後資本主義の合理化過程で︑国 鉄は減価償却•特別補充取替費その他の自己資本の充実につとめつつ、運用部借入金、鉄道債券への依存をつよめ
( 16 )
る体制をとった︒この結果第八表でみるように︑外部資金は次第に増加し︑三十一年度には外部資金五二%︑内部 資金四八%となった︒三十二年四月一日の運賃値上はこうしてもなお解消しえなかった﹁神武景気﹂以来の輸送監
( 1 3 )
( 1 4 )
五 国 家 資 本 に お け る 独 立 採 算 制
昭 ︱ ︱ ︱
︱ ︱ ‑ ︑
昭 三 四 ︑
︵ 寺
尾 ︶
この結果二十六年度を限りとし また財政政策から︑そして
ドッヂ・ラインにおいて財政補給金を打切られ︑
五 六
貨物四割値上
:215
第八表 国鉄および電々公社の設備資金に
おける外部資金と内部資金の割合 ( % )
~ I
24 25 26 21 2s 29 30 31 32 33 34 35 36鉄
国 { 外 内 部 部
91 17 38 24 41 37 47 52 29 38 55 50 53983627659635348 71 62 45 50 47
電{外部
76 61 69 57 36 32 36 35 32 25 27 34々 内部
24 39 31 43 64 68 64 65 68 75 73 66 ‑︵ 寺
尾 ︶
(註) 各年度予算額で作成。五 七
新線建設︵八四%︶が計画を達成できた外︑幹線輸送︵四五%︶︑ 電化・電車化 次五ケ年計画は自己資金不足︵累計一︑ り︑国鉄は第一次五ヶ年計画を出発させた︒ 路を︑自己資本の増大ー減価償却の増加︵前年にくらベ一四四億円増加して 四九 0
億円︶と内部留保二六三億円の確保ーによる建設資金の投入によって 一挙に緩和しようとするものであった︒これによって内部資金は七一形に高ま しかし経済成長過程を背景にした道路利用の増加によって︑国鉄の独占的地
位はこの道路との競争によって一部弱化し
1
競争を過大視してはならないが
│︑国鉄は漸次定期旅客・低等級長距離貨物の輸送へと傾斜し採算条件が悪
( 17 )
化してきた上︑物価騰貴による経営費の膨張が加わって益金の逓減をみ︑第一
1 0
0 億円︶になり︑借入金を約四〇
0 億円増大してもなお七
00
億円の投資不足をまねいた︒こうして再び外部資
金依存が深まってきたのである︒第一次五ヶ年計画では︑取替改良(‑︱︱‑%︶︑
︵ 四
七 %
︶ ︑
デ ィ
ー ゼ
ル 化
︵ 四
八 %
︶ ︑
車 輛
増 備
︵ 五
四 %
︶ ︑
通 勤
輸 送
︵ 六
一 %
︶ は
遅 れ
︑
計画遂行率は一二十五年度︵計画四年目︶で六七%︵計画では八
0%
︶にとゞま
( 18 )
り︑各地で輸送能力の頭打ちを生じ︑この年で計画ほ打切られたのである︒再 び三十六年度から所得倍増計画に対応して第二次五ヶ年計画が発足した︒この
九大な建設投資を支えきれず︑ 一連の運賃増収措置によって一時改善されても
216
住宅金融公庫は︑昭和二十七年においては︑ その半面である公共性の否定を指示している︒ 社会資本と独立採算制
直ぐ債券・借入金依存に傾斜するのは︑ ﹁産業基盤充実﹂の最近の方向と企業的基礎との矛盾からであり︑最近の
国鉄の独立採算制の特徴である︒電々公社は︑これと対照に第八表に明らかなごとく︑減価償却︑巨額の内部留保︑
受益者負担金といった内部資金から安定してその建設資金をまかなっている︒こうした特徴は公社の独占的地位が
国鉄以上に極めて強固であり︑条件がよい点に求められねばならない︒
さてこうした国鉄の独立採算制ほどのような結果をもたらすであろうか︒第二次五ケ年計画はその帰結である︒
計画では設備取替
(1no~)、幹線輸送力増強 (1 一六彩)、電化・ディーゼル化(二 0% )、東海道新線(一八彩)がその中核
となっている︒つまり黒字線中心の収益的投資に投資が集中しているということであり︑合理化投資が進行してい
るということであり︑換言すれば企業性の強化ということに外ならない︒これは反面公共割引率の引下げなどの公
共性の犠牲にみちびき︑労働強化を随伴する︒また利子負担は毎年経費の増加率を上廻る増加率を示し︑三十三年
( 20 )