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電気摺動接触現象におよぼす表面皮膜の影響に関する研究

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Academic year: 2021

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(1)

電気摺動接触現象におよぼす表面皮膜の影響に関する研究

上 野 貴 博

論 文 の 内 容 の 要 旨

電気摺動接触機構は、静止物体から移動物体へ電流通電を行なう機構であり、主に直流機の整流 子.ブラシ間、交流機のスリップリング・ブラシ間の電力伝達にとつて不可欠である。現在、技術 製品は、巨大化、複雑化しており、これらの通電機構の接触信頼性向上も重要な課題となっている。

本論文は、摺動接触現象におよぼす酸化皮膜など表面皮膜の影響について、電気的特性を中心に 検討したものである。具体的には、摺動面における皮膜の状態を接触電圧降下測定および表面分析 によって把握し、表面皮膜と摺動接触現象の関係について考察を行なっている。

本論文は7章より構成される。

1章は緒言であり、摺動接触機構の使用現状および問題点について記述した。

2章は接触通電における通電機構と摺動接触の基礎について概説した。

3章は摺動接触現象におよぼす寡囲気温度と湿度の影響について検討した。とくに雰囲気温度・湿 度とブラシ摩耗の関係について実験的に考察した。その結果、相対湿度が40〜6O%の範囲では、ブ ラシ摩耗量は減少の傾向を示し、表面皮膜の生成状態によって大きく影響されることが明らかとなっ た。

4章では雰囲気気圧に対する摺動接触現象について検討した。酸化皮膜生成に影響する酸素濃度を 減少させるため低気圧雰囲気を用い、ブラシ摩耗および接触電圧降下特性について調べた。ブラシ 摩耗は気圧が低下するほど増加し、逆に、接触電圧降下は低下し、線形のⅤ−Ⅰ特性を得ることを 確認した。すなわち、酸化皮膜のブラシ摩耗、接触電圧降下への影響を明らかとした。

5章では雰囲気気体と摺動接触現象の関係について検討した。前章では、低気圧にすると、冷却効 果の減少により摺動部分の温度上昇が生じた。そこで、気圧は大気圧として、酸素濃度のみを変化 させるため、補充気体として窒素あるいはアルゴンを使用した。大気圧条件下の酸素濃度減少によっ ても、ブラシ摩耗が増加することが確認され、酸化皮膜の影響が検証された。また、不活性気体中

において、接触電圧降下が上昇することを見出した。

6章では摺動面の表面分析によって、表面皮膜生成状態の推測を行なった。結果として、酸素濃度 20%の雰囲気中では35nm程度の皮膜厚さであるが、窒素雰囲気中では10nm以下の極めて薄い皮膜 生成であった。すなわち、不活性気体中での電圧降下の上昇は、酸化皮膜以外の影響であることを 明らかとした。そこで、接触抵抗は集中抵抗と酸化皮膜抵抗および気体吸着膜抵抗の和であること

を提案した。

7章は結論であり、本論文の総括および摺動接触現象の今後について述べた。

(2)

以上、本論文は摺動接触における表面皮膜と電気的特性の関係について、不明瞭であった酸化皮 膜と吸着分子膜の影響について新たな知見を得ることができた。

以上

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