• 検索結果がありません。

目 次 1. 重信川の概要 流域及び河川の概要... 1 (1) 流域の概要... 1 (2) 地形... 3 (3) 地質... 5 (4) 気象... 6 (5) 流域の人口... 7 (6) 土地利用及び産業... 8 (7) 交通 重信川の現状と課題...

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "目 次 1. 重信川の概要 流域及び河川の概要... 1 (1) 流域の概要... 1 (2) 地形... 3 (3) 地質... 5 (4) 気象... 6 (5) 流域の人口... 7 (6) 土地利用及び産業... 8 (7) 交通 重信川の現状と課題..."

Copied!
177
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

重信川水系河川整備計画【素案】

【「重信川の河川整備(国管理区間)」】

平成19年10月

(2)

目 次 1. 重 信 川 の 概 要 ... 1 1-1 流 域 及 び 河 川 の 概 要 ... 1 (1) 流 域 の 概 要 ... 1 (2) 地 形 ... 3 (3) 地 質 ... 5 (4) 気 象 ... 6 (5) 流 域 の 人 口 ... 7 (6) 土 地 利 用 及 び 産 業 ... 8 (7) 交 通 ... 10 2. 重 信 川 の 現 状 と 課 題 ... 11 2-1 治 水 の 現 状 と 課 題 ... 11 2-1-1 洪 水 の 概 要 ... 11 (1) 藩 政 時 代 ~ 昭 和 初 期 に お け る 主 要 な 洪 水 ... 11 (2) 近 年 に お け る 洪 水 ... 12 (3) 昭 和 18 年 7 月 洪 水 ... 12 (4) 昭 和 20 年 10 月 洪 水 ... 13 (5) 平 成 13 年 6 月 洪 水 ... 14 2-1-2 治 水 事 業 の 沿 革 ... 15 (1) 松 山 平 野 の 形 成 と 重 信 川 ・ 石 手 川 ... 15 (2) 藩 政 時 代 の 治 水 事 業 ... 15 (3) 明 治 か ら 戦 前 ま で の 改 修 ... 18 (4) 昭 和 中 期 か ら 昭 和 後 期 の 治 水 事 業 ... 18 (5) 平 成 の 治 水 事 業 ... 20 2-1-3 治 水 の 現 状 と 課 題 ... 22 (1) 洪 水 対 策 ... 22 1) 重 信 川 ... 22 ① 洪 水 を 安 全 に 流 下 さ せ る た め の 対 応 ... 22 ② 局 所 的 な 深 掘 れ ・ 堤 防 侵 食 へ の 対 応 ... 23 ③ 堤 防 漏 水 へ の 対 応 ... 27 ④ 内 水 へ の 対 応 ... 28 ⑤ 大 規 模 地 震 へ の 対 応 ... 28 ⑥ 要 改 築 構 造 物 へ の 対 応 ... 28 2) 石 手 川 ... 28 ① 洪 水 を 安 全 に 流 下 さ せ る た め の 対 応 ... 28 ② 局 所 的 な 深 掘 れ ・ 堤 防 侵 食 へ の 対 応 ... 28 ③ 堤 防 漏 水 へ の 対 応 ... 28 ④ 要 改 築 構 造 物 へ の 対 応 ... 29 (2)河 川 の 維 持 管 理 ... 30 1)河 道 の 管 理 ... 30 2)河 川 管 理 施 設 の 管 理 ... 32 ① 堤 防 、 護 岸 の 管 理 ... 33 ② 排 水 門 の 管 理 ... 33 3)不 法 占 用 、 不 法 行 為 等 の 防 止 と 河 川 美 化 ... 34 (3) ダ ム の 管 理 ... 35 1) 洪 水 調 節 ... 35 2) 石 手 川 ダ ム 堆 砂 状 況 ... 38 (4) 危 機 管 理 ... 39 2-2 河 川 の 適 正 な 利 用 及 び 流 水 の 正 常 な 機 能 に 関 す る 現 状 と 課 題 ... 41 2-2-1 水 利 用 の 現 状 ... 41

(3)

2-2-2 現 況 の 流 況 ... 44 (1) 重 信 川 の 流 況 ... 44 (2) 松 山 平 野 の 地 下 水 、 伏 流 水 の 状 況 ... 46 2-2-3 水 質 ... 48 (1) 環 境 基 準 類 型 指 定 状 況 ... 48 (2) 水 質 の 経 年 変 化 と 課 題 ... 49 1) 河 川 水 質 の 経 年 変 化 ... 49 2) ダ ム 湖 の 水 質 の 経 年 変 化 ... 51 (3) 下 水 道 の 整 備 状 況 ... 54 2-2-4 課 題 ... 55 2-3 河 川 環 境 の 現 状 と 課 題 ... 56 (1) 動 植 物 の 生 息 、 生 育 状 況 ... 57 1) 重 信 川 上 流 域 ( 国 管 理 区 間 上 流 端 よ り 上 流 ) ... 57 2) 重 信 川 中 流 域 ( 石 手 川 合 流 点 ~ 国 管 理 区 間 上 流 端 ) ... 60 3) 重 信 川 下 流 域 ( 河 口 ~ 石 手 川 合 流 点 ) ... 63 4) 石 手 川 ( 国 管 理 区 間 )、 石 手 川 ダ ム ... 66 (2) 河 川 景 観 ... 69 1) 重 信 川 上 流 域 ( 国 管 理 区 間 上 流 端 よ り 上 流 ) ... 69 2) 重 信 川 中 流 域 ( 石 手 川 合 流 点 ~ 国 管 理 区 間 上 流 端 ) ... 71 3) 重 信 川 下 流 域 ( 河 口 ~ 石 手 川 合 流 点 ) ... 72 4) 石 手 川 ( 国 管 理 区 間 )、 石 手 川 ダ ム ... 72 (3) 河 川 空 間 の 利 用 ... 73 1) 重 信 川 上 流 域 ( 国 管 理 区 間 上 流 端 よ り 上 流 ) ... 73 2) 重 信 川 中 流 域 ( 石 手 川 合 流 点 ~ 国 管 理 区 間 上 流 端 ) ... 73 3) 重 信 川 下 流 域 ( 河 口 ~ 石 手 川 合 流 点 ) ... 75 4) 石 手 川 ( 国 管 理 区 間 )、 石 手 川 ダ ム ... 76 3. 河 川 整 備 計 画 の 目 標 に 関 す る 事 項 ... 77 3-1 河 川 整 備 の 基 本 理 念 ... 77 3-2 河 川 整 備 計 画 の 対 象 区 間 ... 78 3-3 河 川 整 備 計 画 の 対 象 期 間 等 ... 80 3-4 洪 水 、 高 潮 等 に よ る 災 害 の 発 生 の 防 止 ま た は 軽 減 に 関 す る 目 標 ... 80 (1) 重 信 川 ... 80 1) 洪 水 を 安 全 に 流 下 さ せ る た め の 対 応 ... 80 2) 局 所 的 な 深 掘 れ ・ 堤 防 侵 食 へ の 対 応 ... 82 3) 堤 防 漏 水 へ の 対 応 ... 82 4) 内 水 へ の 対 応 ... 82 5) 大 規 模 地 震 へ の 対 応 ... 83 6) 要 改 築 構 造 物 へ の 対 応 ... 83 7) 危 機 管 理 へ の 対 応 ... 83 (2) 石 手 川 ... 83 1) 洪 水 を 安 全 に 流 下 さ せ る た め の 対 応 ... 83 2) 局 所 的 な 深 掘 れ ・ 堤 防 侵 食 へ の 対 応 ... 85 3) 堤 防 漏 水 へ の 対 応 ... 85 4) 要 改 築 構 造 物 へ の 対 応 ... 85 5) 危 機 管 理 へ の 対 応 ... 85 6) ダ ム 管 理 ... 85 3-5 河 川 の 適 正 な 利 用 及 び 正 常 な 機 能 の 維 持 に 関 す る 目 標 ... 86 (1) 流 水 の 正 常 な 機 能 の 維 持 ... 86 (2) 河 川 水 の 適 正 な 利 用 ... 86 (3) 水 質 の 保 全 ... 86 3-6 河 川 環 境 の 整 備 と 保 全 に 関 す る 目 標 ... 87 (1) 動 植 物 の 生 息 、 生 育 に 関 す る 目 標 ... 87

(4)

1) 重 信 川 中 流 域 ( 石 手 川 合 流 点 付 近 ~ 国 管 理 区 間 上 流 端 ) ... 87 2) 重 信 川 下 流 域 ( 河 口 ~ 石 手 川 合 流 点 付 近 ) ... 88 3) 石 手 川 ( 国 管 理 区 間 ) ... 88 4) 石 手 川 ダ ム ... 88 (2) 河 川 景 観 に 関 す る 目 標 ... 89 1) 重 信 川 中 流 域 ( 石 手 川 合 流 点 付 近 ~ 国 管 理 区 間 上 流 端 ) ... 89 2) 重 信 川 下 流 域 ( 河 口 ~ 石 手 川 合 流 点 付 近 ) ... 89 3) 石 手 川 ( 国 管 理 区 間 ) ... 89 4) 石 手 川 ダ ム ... 89 (3) 河 川 空 間 の 利 用 の 目 標 ... 90 1) 重 信 川 中 流 域 、 下 流 域 ( 河 口 ~ 国 管 理 区 間 上 流 端 ) ... 90 2) 石 手 川 ( 国 管 理 区 間 ) ... 90 3) 石 手 川 ダ ム ... 90 4. 河 川 整 備 の 実 施 に 関 す る 事 項 ... 91 4-1 工 事 の 目 的 、 種 類 及 び 施 行 場 所 並 び に 当 該 河 川 工 事 の 施 行 に よ り 設 置 さ れ る 河 川 管 理 施 設 の 概 要 ... 91 4-1-1 洪 水 、 高 潮 等 に よ る 災 害 の 発 生 の 防 止 ま た は 軽 減 に 関 す る 事 項 ... 91 (1)重 信 川 ... 91 1) 洪 水 を 安 全 に 流 下 さ せ る た め の 対 策 ... 91 2) 局 所 的 な 深 掘 れ 対 策 ・ 侵 食 対 策 ... 93 3) 堤 防 漏 水 対 策 ... 96 4) 内 水 対 策 ... 96 5) 大 規 模 地 震 へ の 対 策 ... 96 6) 要 改 築 構 造 物 へ の 対 策 ... 96 7) 防 災 関 連 施 設 の 整 備 ... 97 ① 河 川 防 災 ス テ ー シ ョ ン ・ 水 防 拠 点 等 の 活 用 ... 97 ② 側 帯 の 整 備 ... 97 ③ 光 フ ァ イ バ ー 網 等 の 整 備 ... 97 (2)石 手 川 ... 98 1) 洪 水 を 安 全 に 流 下 さ せ る た め の 対 策 ... 98 2) 局 所 的 な 深 掘 れ ・ 堤 防 侵 食 対 策 ... 99 3) 堤 防 漏 水 対 策 ... 99 4) 要 改 築 構 造 物 へ の 対 策 ... 99 5) 防 災 関 連 施 設 の 整 備 ... 100 4-1-2 河 川 環 境 の 整 備 と 保 全 に 関 す る 事 項 ... 101 (1) 動 植 物 の 生 息 、 生 育 環 境 の 保 全 ・ 再 生 ... 101 1) 重 信 川 中 流 域 ( 石 手 川 合 流 点 ~ 国 管 理 区 間 上 流 端 ) ... 101 ① 水 と 緑 の ネ ッ ト ワ ー ク の 確 保( 霞 堤 の 環 境 再 生 、水 辺 植 生 の 保 全 、 再 生 ) ... 101 ② 樹 林 の 保 全 、 再 生 ... 104 2) 重 信 川 下 流 域 ( 河 口 ~ 石 手 川 合 流 点 ) ... 104 ① 水 辺 植 生 の 保 全 、 再 生 ... 104 ② 干 潟 の 保 全 ... 105 (2) 河 川 景 観 の 維 持 、 形 成 ... 106 1) 重 信 川 中 流 域 ( 石 手 川 合 流 点 ~ 国 管 理 区 間 上 流 端 ) ... 106 ① 礫 河 原 景 観 の 保 全 ... 106 2) 重 信 川 下 流 域 ( 河 口 ~ 石 手 川 合 流 点 ) ... 107 ① ヨ シ 原 景 観 の 再 生 ... 107 3) 石 手 川 ( 国 管 理 区 間 ) ... 107 ① 河 川 景 観 の 保 全 ... 107 4) 重 信 川 ( 国 管 理 区 間 ) 及 び 石 手 川 ( 国 管 理 区 間 ) ... 108 ① 樹 林 景 観 の 保 全 、 再 生 ... 108

(5)

(3) 河 川 空 間 の 利 用 と 整 備 ... 109 1) 重 信 川 中 流 域 ( 石 手 川 合 流 点 ~ 国 管 理 区 間 上 流 端 ) ... 109 ① 河 川 空 間 の 適 正 な 利 用 促 進 を 図 る 場 の 整 備 ... 109 2) 重 信 川 ( 国 管 理 区 間 ) ... 109 ① 環 境 学 習 の 場 の 整 備 ... 109 (4) そ の 他 の 環 境 整 備 事 業 ... 110 1) 水 質 に 関 す る 整 備 事 業 ... 110 ① 流 入 支 川 等 に お け る 水 質 浄 化 ... 110 ② 水 質 に 関 す る 意 識 啓 発 ... 110 2) 河 川 工 事 の 実 施 に お け る 配 慮 等 ... 110 ① 局 所 的 な 深 掘 れ 対 策 、 侵 食 対 策 ... 110 4-2 河 川 の 維 持 の 目 的 、 種 類 及 び 施 工 の 場 所 ... 112 4-2-1 洪 水 、 高 潮 等 に よ る 災 害 発 生 の 防 止 ま た は 軽 減 に 関 す る 事 項 ... 112 (1)河 川 の 維 持 管 理 ... 112 1) 河 道 の 維 持 管 理 ... 112 2) 河 道 内 樹 木 の 維 持 管 理 ... 113 3) 堤 防 、 護 岸 の 維 持 管 理 ... 114 4) 施 設 の 維 持 管 理 ... 115 5) 許 認 可 事 務 ... 115 6) 河 川 美 化 ... 116 (2) ダ ム の 維 持 管 理 ... 116 (3) 危 機 管 理 体 制 の 整 備 ... 117 1) 河 川 情 報 の 収 集 ・ 提 供 ... 117 2) 地 震 及 び 洪 水 へ の 対 応 ... 118 3) 洪 水 ハ ザ ー ド マ ッ プ の 活 用 ... 118 4) 水 防 団 等 と の 連 携 ... 119 5) 水 害 防 止 体 制 の 構 築 ... 119 6) 水 質 事 故 へ の 対 応 ... 120 7) 緊 急 復 旧 資 材 の 確 保 ... 120 8) 放 流 警 報 設 備 等 を 活 用 し た 災 害 情 報 の 提 供 ... 120 (4) 災 害 復 旧 ... 120 4-2-2 河 川 の 適 正 な 利 用 及 び 流 水 の 正 常 な 機 能 の 維 持 に 関 す る 事 項 ... 122 (1) 適 切 な 流 水 管 理 ... 122 (2) 渇 水 へ の 対 応 ... 122 (3) 水 質 保 全 ... 122 4-2-3 河 川 環 境 の 整 備 と 保 全 に 関 す る 事 項 ... 123 (1) 河 川 環 境 の 保 全 、 維 持 管 理 ... 123 (2) 河 川 空 間 の 適 正 な 利 用 ... 123 (3) 地 域 と 一 体 と な っ た 河 川 管 理 ... 124 1) 地 域 住 民 と 協 力 し た 河 川 管 理 ... 124 2) 川 に 親 し む 取 り 組 み ... 124 3) ダ ム に 親 し む 取 り 組 み ... 125 5. 今 後 に 向 け て ... 126 5-1 地 域 住 民 、 関 係 機 関 と の 連 携 、 協 働 ... 126 5-2 河 川 情 報 の 発 信 と 共 有 ... 127 5-3 IT( 情 報 技 術 ) の 活 用 ... 127 5-4 河 川 整 備 の 調 査 研 究 ... 127

(6)

附 図 ・ 堤 防 整 備 、 河 道 の 掘 削 等 の 施 行 場 所 ( 重 信 川 ) ... 附 図 - 1 ・ 重 信 川 縦 断 図 ... 附 図 - 9 ・ 重 信 川 主 要 地 点 横 断 図 ... 附 図 -11 ・ 堤 防 整 備 、 河 道 の 掘 削 等 の 施 行 場 所 ( 石 手 川 ) ... 附 図 -13 ・ 石 手 川 縦 断 図 ... 附 図 -15 ・ 石 手 川 主 要 地 点 横 断 図 ... 附 図 -16 用 語 集

(7)

1.重信川の概要 1-1 流域及び河川の概要 1. 重信川の概要 1-1 流域及び河川の概要 (1) 流域の概要 重信川は、愛媛県中央部に位置する幹川流路延長 36 ㎞、流域面積 445 ㎞ 2の一級河 川である。その流路は、愛媛県東温市の東三方ヶ森ひ が し さ ん ぽ う が も り(標高 1,233m)を水源とし、東温とうおん市し 内 を南 西に流 れ、山之内や ま の う ちで 松山 平野 に出る 。そ の後、 東温 市吉久よ し ひ さで表 川を 合流後 、 向 きを西に変え、拝はい志し川がわ、砥部と べ川かわ、内川及び石手川等を合わせつつながれ、松山市垣生は ぶ で 伊予灘に注ぐ。 重信川沿いには四国最大の都市で県庁所在地でもある松山市をはじめとする 3 市 2 町があり、約 596,000 人の人口が集中している。また、この地域は、化学繊維を中心 に した化 学工 業が盛 んで 、道後 温泉 等の観 光施 設も多 く、 愛媛県 の社 会、文 化、 経済 の中核となっている。 図-1-1.1 重信川水系流域図

(8)

1.重信川の概要 1-1 流域及び河川の概要 重信川源流部(重信川上流域) 重信川上流部(四国縦断自動車道) 重信川中流部(重信橋付近) 重信川下流部(石手川合流付近) 重信川河口部 石手川

(9)

1.重信川の概要 1-1 流域及び河川の概要 (2) 地 形 重 信川 流域は 、東 から西 へと 広がる 中央 部の扇 状地 、と北 部、 南部の 山地 に分け ら れる。 北部の山地は、標高 1,233m の東三方ヶ森を最高峰とした山々が連なり、南部の山地 は皿ヶ嶺さ ら が み ね連峰れ ん ぽ うに属する標高 1,000m を超える急峻な山々で構成される。また、山地の周 縁部には丘陵地、段丘がみられる。 中央部の扇状地は、重信川を 22km 程度遡った地点(標高約 200m)を扇頂部として西 方 へ広が って おり、 この 区間に 至っ ても河 床勾 配は急 で、 洪水は 一気 に河口 まで 到達 す る。重 信川 の扇状 地は 、重信 川本 川のほ か、 支川か らの 土砂流 出の 影響を 受け 、複 雑な地形となっている。 ま た、 下流平 野部 は、地 盤高 が重信 川の 計画高 水位 より低 く、 潜在的 に堤 防決壊 に よる被災の危険性を有している。 重信川流域写真 国 道 11 号

(10)

1.重信川の概要 1-1 流域及び河川の概要 重信川流域写真 図-1-1.2 はん濫域横断図(A-A’断面) 図-1-1.3 河道勾配の比較図

200

300

100

400

1,000

2,000

3,000

高さ(m)

0

河口からの距離(km) 石 手 川 重 信 川 伊 予 灘 松 山 城 四 国 縦 貫 自 動 車 道 国 道 33 号 国 道 56 号 N

A′

国 道 11 号

(11)

1.重信川の概要 1-1 流域及び河川の概要 (3) 地 質 流 域 の 地 質 は 、 南 部 を 東 西 に 走 る 中 央 構 造 線 に よ っ て 、 北 側 の 領家帯り ょ う け た いと 南 側 の 三波川帯さ ん ば が わ た いと に分 けられ る。 領家帯 は、 石手川 流域 に主に 分布 する花 崗岩 類、本 川 上 流 域 及び 流域南 斜面 に広く 分布 する砂 岩泥 岩互層 から なる和泉層群い ず み そ う ぐ ん及 びそ れらの 境 界 部 に 分布す る領 家変成 岩類 よりな る。 三波川 帯は 、結晶 片岩 を主体 とす る変成 岩類 より なり、流域南東部では、古第三紀の堆積岩類や新第三紀の火山岩類が広く覆っている。 重信川流域では、各地質の特性及び地質構造に起因した土砂崩壊が多く見られる。 「 四 国 地 方 土 木 地 質 図 」 (四 国 地 方 整 備 局 )に 追 記 図-1-1.4 重信川の地質図

(12)

1.重信川の概要 1-1 流域及び河川の概要 (4) 気 象 重信川流域は瀬戸内式気候に属し、平均気温は 16.1℃(松山地方気象台 1971 年から 2000 年の平均)と温暖で、平野部の年平均降水量は 1,300mm 程度である。重信川水系 の 降水量 は、 四国内 の太 平洋側 の一 級水系 と比 較する と少 なく、 年間 の降水 量は 梅雨 期と台風期に多くなっている。 図-1-1.5 四国の年平均降水量分布 図-1-1.6 松山の年間降水量 図-1-1.7 松山と高知の月別平均雨量 (単位: mm) 3,000mm以上 3,500mm以上 4,000mm以上 4,500mm以上 凡  例 2,500mm以上 2,000mm以上 1,500mm以上 1,000mm以上 5,000mm以上 5,500mm以上 3000 3000 3000 2500 2500 1500 1500 2500 2500 2500 2000 1500 2000 2500 2000 2500 3000 3000 0 15 30km 等雨量線図(年降雨量) 〔統計期間:昭和 46年~平成12年(30年間)〕 重 信 川 流 域 500 10 11 12 0 100 200 300 400 1 2 3 4 5 6 7 8 9 月 松 山 ( 重 信 川 流 域 ) 高 知 ( 太 平 洋 側 ) 雨 量 ( mm/月 ) 0 500 1,000 1,500 2,000 H5 H6 H7 H8 H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 全 国 平 均 雨量(m m ) /年 松 山 年 平 均 降 水 量 ( 1 , 3 0 0 m m ) 出 典 : 気 象 庁 出 典 : 気 象 庁

(13)

1.重信川の概要 1-1 流域及び河川の概要 (5) 流域の人口 重 信川流 域の 主な関 係市 町であ る松 山市、 伊予 市、東 温市 (旧重 信町 、旧川 内町 )、 松前町、砥部町の 3 市 2 町の人口は、約 596,000 人(平成 16 年住民基本台帳による推 計人口)であり、愛媛県全体の約 40%を占める。 また、流域内の人口の推移について見ると、平成 7 年時点の人口は、約 233,000 人 であり、34 年前の昭和 37 年と比較して約 2 倍に増加している。(平成 7 年河川現況調 査による) さらに、重信川の下流平野部は、地盤高が計画高水位より低く、想定はん濫区域は、 松 山市中 心市 街地な どを 含む流 域外 にまで 拡が り、想 定は ん濫区 域内 人口は 、平成 7 年時点で約 240,000 人となっており、流域内人口(約 233,000 人)より多い。 図-1-1.8 重信川の地形と想定はん濫区域 0 50,000 100,000 150,000 200,000 250,000 S37 S50 S60 H7 人口(人) 流域内人口 想定はん濫区域内人口 作 成 :「 河 川 現 況 調 査 」 に よ る 図-1-1.9 流域内人口と想定はん濫区域内人口の変遷 凡 例 重信川流域 想定氾濫区域 伊予灘 松山市 重信川 石手川 砥部町 伊予市 松前町 東温市 東三方ヶ森 凡 例 重信川流域 想定氾濫区域 伊予灘 松山市 重信川 石手川 砥部町 伊予市 松前町 東温市 東三方ヶ森 凡 例 重信川流域 想定氾濫区域 凡 例 重信川流域 想定氾濫区域 伊予灘 松山市 重信川 石手川 砥部町 伊予市 松前町 東温市 東三方ヶ森 伊予灘 松山市 重信川 石手川 砥部町 伊予市 松前町 東温市 東三方ヶ森 伊予灘 松山市 重信川 石手川 砥部町 伊予市 松前町 東温市 東三方ヶ森 重 信 川 流 域 想 定 は ん 濫 区 域 凡 例

(14)

1.重信川の概要 1-1 流域及び河川の概要 15% 14% 11% 10% 10% 10% 65% 64% 63% 6% 7% 6% 4% 10% 7% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 昭和 51年 昭和 62年 平成 9年 市 街 地 田 畑 ・ 果 樹 園 森 林 そ の 他 ( 荒 地 等 ) 27% 37% 51% 57% 50% 38% 0% 0% 11% 8% 5% 2% 4% 0% 9% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 昭和 51年 昭和 62年 平成 9年 市 街 地 田 畑 ・ 果 樹 園 森 林 そ の 他 ( 荒 地 等 ) (6) 土地利用及び産業 平成 9 年時点での流域の土地利用は、森林、その他(荒地等)が約 7 割、市街地が1 割、田畑等が約 2 割となっている。経年変化をみると、森林その他についてはおおむ ね横ばいであり、市街地の拡大に伴い田畑は減少傾向である。 また、同時点の土地利用を想定はん濫区域内でみると、市街地が約 5 割、田畑が約 4 割を占め、平成 9 年の市街地面積は、昭和 51 年の約 2 倍に増加しており、はん濫した 場合に想定される被害は増大している。 松山平野の市街化の状況をみると、市街地は、昭和 51 年には、主に石手川中流部と 臨海部であったのが、徐々に周辺部へ拡大し、平成 9 年には松山市南部及び東温市域 まで達している(図-1.1.12 参照)。 作 成 : 国 土 数 値 情 報 の メ ッ シ ュ デ ー タ を 集 計 図-1-1.10 流域内の土地利用比率の変遷 作 成 : 国 土 数 値 情 報 の メ ッ シ ュ デ ー タ を 集 計 図-1-1.11 想定はん濫区域内の土地利用比率の変遷 重信川沿いの 3 市 2 町(松山市、東温市、伊予市、松前町、砥部町)では、農業、 化 学工業 、観 光業、 窯業 などが 盛ん であり 、農 作物の 生産 量は、 愛媛 県全域 に対 し米

(15)

1.重信川の概要 1-1 流域及び河川の概要 が 31%、野菜が 33%、花木類が 33%、果物が 30%を占めている。特に、いよかんの 生産量は、愛媛県が全国の 80%を占めて第 1 位となっており、この内、3 市 2 町が県全 体の 59%を占める。 ま た、 松山市 等の 中心市 街地 や河口 部で は化学 工業 が盛ん であ り、化 学繊 維と石 油 化 学製品 の生 産が行 われ 、化学 繊維 を材料 にし た縫製 業も 分布し てい る。さ らに 道後 温 泉、松 山城 、子規 堂な どの観 光資 源を活 かし た観光 業も 盛んで ある 。砥部 町で は江 戸 時代よ り窯 業が営 まれ ており 、砥 部焼は 国の 伝統工 芸品 、県の 無形 文化財 に指 定さ れている。 作 成 : 国 土 数 値 情 報 の メ ッ シ ュ デ ー タ を 集 計 図-1-1.12 重信川流域と想定はん濫区域内における市街地の拡大の状況 【昭和 51 年】 【昭和 62 年】 【平成 9 年】 凡 例 想 定 は ん 濫 区 域 流 域

(16)

1.重信川の概要 1-1 流域及び河川の概要 (7) 交 通 流域内の幹線道路は松山市を中心に放射状に広がっており、国道 11 号により松山市 と東温市(旧重信町・旧川内町)、国道 33 号により松山市と砥部町が結ばれている。 また、石手川沿いに国道 317 号(松山市~今治市)の整備が進められており、地域間 の利便性の向上が期待されている。 鉄 道に 関して は、 下流平 野部 をJR予讃よ さ ん線せ んが 南 北に通 過し ており 、ま た、伊 予鉄 道 が 臨海 部から 松山 市を経 て、 東温市 の横河原よ こ が わ らま で東西 に通 過し、 流域 内のア クセ ス が 図られている。 図-1-1.13 松山市近郊の交通網 計画路線

(17)

2.重信川の現状と課題 2-1 治水の現状と課題 2. 重信川の現状と課題 2-1 治水の現状と課題 2-1-1 洪水の概要 (1) 藩政時代~昭和初期における主要な洪水 重 信川 は古く は伊 予川と 呼ば れた暴 れ川 で流路 が定 まらず 、豪 雨のた びに はん濫 を 繰り返していた。慶長年間(1596~1615 年)に足立あ だ ち重信し げ の ぶによる河道改修によって、ほ ぼ 現在に 近い 重信川 、石 手川が つく られ、 松山 平野発 展の 基礎と なっ たが、 それ 以降 も洪水被害が無くなることはなかったようである。 享保 6 年(1721 年)7 月 15 日の大洪水では、堤防決壊により流失家屋 889 軒、死者 72 人、田畑被害は面積 3,716 町余り、石高にして 3 万 5 千石余が被害にあったことが 記録され、翌年の享保 7 年 6 月 23 日の大洪水でも流失家屋、潰家 1,478 軒、死者 88 人、田畑被害は面積 3,262 町余りが被害にあったとの記録が残されている。これらの 被害を受けて、大川お お か わ文蔵ぶ ん ぞ うにより享保 8 年~14 年(1723~1729 年)に石手川の改修が行わ れた。 その後、約 100 年の間、洪水被害の記録は見あたらないが、文政 8 年(1825 年)6 月 3 日洪水では、石手川、内川などの堤防決壊により「市坪の辺は押流され、出合の 辺は海の如し、潰家、半潰家 316 軒、流死傷者 7 人、田畑被害は面積 2,549 町余りが 被害にあった」との記録がある。 明治期に入り、明治 19 年(1886 年)9 月 10 日洪水では、石手川堤防決壊により「石 手 村ほか 4箇 所で浸 水、 溺死者 十数 人。重 信川 上村で 堤防 決壊、 温泉 郡内の 被害 甚大 であった」と記録されている。 また、大正 12 年(1923 年)7 月 11 日洪水では、「6 月 15 日より 23 日に至り雨が降 り続いたあとの豪雨となり、雷を伴う激雨は松山測候所観測開始以来の雨量を記録し、 いたるところで濁水がはん濫。7 月 11 日は特に甚しく小野川は未曾有の出水にして、 小野川橋が破損して鉄道遮断。12 日には拝志村下林開発の重信川堤防など諸川で決壊 し被害甚大であった」との記録がある。 こ のよ うに、 重信 川は藩 政時 代の改 修以 降も安 全性 は低く 、た び重な る水 害によ っ て川沿いの住民は悩まされ続けていた。

(18)

2.重信川の現状と課題 2-1 治水の現状と課題 (2) 近年における洪水 昭和 18 年 7 月台風に伴う大洪水により、川沿い 8 箇所の堤防が決壊した。この洪水 による激甚な被害を契機として昭和 20 年 5 月、国による河川改修事業に着手した。ま た、国による河川改修着手後の昭和 20 年 10 月洪水でも堤防が各所で決壊し大水害が 再発した。昭和 20 年洪水以降は、幸いにも堤防の決壊等の重大災害は発生していない ものの、平成 13 年に戦後最大、平成 10 年に戦後第 2 位となる大洪水が発生した。 表-2.1.1 重信川流域における過去の洪水と被害状況 出 合 地 点 湯 渡ゆ わ た り地 点 洪 水 名 日 雨 量 mm/日 流 量 m3/s 日 雨 量 mm/日 流 量 m3/s 気 象 要 因 洪 水 状 況 ・ 被 害 状 況 S18.7.23 297 (推 定 )3,180 306 (推 定 )770 低 気 圧 番 号 20 ・ 土 佐 沖 よ り 北 上 し た 台 風 の 進 行 速 度 は 極 め て 遅 く 、7 月 21 日 よ り 24 日 に 至 る 4 日 間 豪 雨 が 続 き 、 松 山 ( 気 ) 雨 量 は 松 山 地 方 の 年 平 均 雨 量 の 約 5 ヵ 月 に 相 当 す る 540 ㎜ の 雨 量 と な り 、 観 測 史 上 最 大 洪 水 と な っ た ・ 堤 防 決 壊 徳 丸 外 7 箇 所 、 耕 地 流 失 埋 没 約 1,730ha 家 屋 浸 水 約 12,500 戸 、 そ の 他 、 道 路 、 鉄 道 等 の 被 害 甚 大 S20.10.9 140 (推 定 )1,040 153 (推 定 )250 低 気 圧 番 号 4 阿 久 根あ く ね台 風 ・ S 20 年 9 月 枕 崎まくらざき台 風 に 続 き 、 本 台 風 が 松 山 通 過 ・ 前 台 風 で 緩 ん で い た 堤 防 は 各 所 で 決 壊 耕 地 流 失 埋 没 約 720ha、 浸 水 家 屋 約 11,200 戸 S45.8.21 125 1,400 140 330 台 風 10 号 ・ 浸 水 家 屋 等 248 戸 S49.9.1 148 1,000 169 120 台 風 16 号 ・ 浸 水 家 屋 等 135 戸 S51.9.11 162 1,210 136 170 台 風 17 号 ・ 浸 水 家 屋 等 209 戸 S54.6.30 134 970 161 370 梅 雨 前 線 ・ 石 手 川 筋 の 橋 梁 の 損 壊 等 の 被 害 を 生 じ た ・ 浸 水 家 屋 等 1,086 戸 S62.10.17 178 1,040 245 210 台 風 19 号 ・ 浸 水 面 積 900ha H1.9.19 86 1,120 72 70 台 風 22 号 ・ 浸 水 家 屋 等 1 戸 H5.9.4 144 930 119 100 台 風 13 号 ・ 浸 水 家 屋 等 1 戸 H7.7.4 173 930 173 150 梅 雨 前 線 ・ 浸 水 家 屋 等 6 戸 H8.7.19 148 1,250 161 290 台 風 6 号 ・ 浸 水 家 屋 等 5 戸 H10.10.17 175 1,990 178 330 台 風 10 号 ・ 浸 水 面 積 11ha,浸 水 家 屋 107 戸 ,家 畜 被 害 ,公 共 施設 被 害 等 H11.9.15 131 1,640 120 230 台 風 16 号 ・ 土 砂 災 害 170 戸 、 浸 水 家 屋 等 32 戸 H13.6.18 229 2,240 239 260 梅 雨 前 線 ・ 出 合 地 点 流 量 は 戦 後 最 大 を 記 録 し た ・ 浸 水 家 屋 等 443 戸 注 1)被 害 状 況 は 水 害 統 計 に よ る (た だ し 、 昭 和 18 年 及 び 昭 和 20 年 は 、 河 川 総 覧 各 論 重 信 川 水 系 昭 和 31 年 10 月 建 設 省 中 国 四 国 地 方 建 設 局 ) (3) 昭和 18 年 7 月洪水 土佐沖より北上した台風の進行速度は極めて遅く、停滞状態となったため、7 月 21 日より 24 日に至る 4 日間豪雨が続き、松山地方の年平均雨量の 5 ヵ月に相当する 540mm の雨量となった。 台風により、23 日朝には重信川出合水位観測所で 6.20m(現量水標高に換算、零点 高 T.P.+4.09m)を示し、午前 9 時には北伊予村(現松前町)徳と く丸ま る地先の左岸堤防が決 壊、続いて 7 ヵ所の堤防が決壊し、耕地の流失、埋没約 1,730ha、浸水家屋約 12,500 戸の被害となった。その他、道路、鉄道等に及ぼした被害も莫大なものであった。 昭和 18 年 7 月洪水は、観測史上最大であり、本洪水を契機に昭和 20 年 5 月に国に よる事業として改修工事に着手した。

(19)

2.重信川の現状と課題 2-1 治水の現状と課題 (4) 昭和 20 年 10 月洪水 前月来襲した枕崎台風とほぼ同じように、昭和 20 年 10 月 9 日、九州南端に上陸、 松山を通過、広島付近より日本海に抜けた台風(阿久根台風)で、総雨量は 308mm を記 録し、10 日に出合橋量水標は 5.1m(現量水標高に換算、零点高 T.P.+4.09m)に達した。 伊 予 鉄 道 ( 株 ) 提 供 伊予鉄道の被災状況(松前町) 図-2.1.1 昭和 18 年 7 月洪水による浸水区域 出 典 : 河 川 総 覧 各 論 重 信 川 水 系 昭 和 31 年 10 月 建 設 省 中 国 四 国 地 方 建 設 局 松 山 市 提 供 はん濫のつめ跡(松山市久谷地区) 昭和 20 年 7・8 月撮影航空写真 堤防決壊箇所 昭和 18 年 7 月洪水の痕跡が残る

(20)

2.重信川の現状と課題 2-1 治水の現状と課題 前台風で弛緩していた堤防は各所で決壊し、被害は流失耕地 720ha、浸水家屋 11,200 戸余りにおよんだ。 (5) 平成 13 年 6 月洪水 梅雨前線の影響により 6 月 19 日午後から降り始めた雨は、20 日朝にかけて降り続い た。19 日深夜には激しい雨が降り各観測所において最大時間雨量は、23mm~41mm を記 録し、19 日からの降り始めからの総雨量は、多いところで 321mm に達した。 梅雨前線に伴う降雨により、出合では 6 月 20 日 4 時 30 分には最高水位 4.79m を記 録した。一方、支川石手川の湯渡では 6 月 20 日 4 時 40 分に最高水位 5.27m を記録し た。 こ の洪 水は戦 後最 大とな り、 流域の 被害 は下流 域の 支川沿 いを 中心に 内水 (河川 に 排水できずにはん濫した水)による浸水家屋数が 443 戸にのぼった。また、重信川河 道内では、局所的な深掘れによる護岸崩壊が 5 箇所で発生した。 平成 13 年 6 月洪水の状況 出合大橋下流の洪水流下の状況(H13.6) (松前町西高柳地先:重信川 河口より 3.3km 付近松前町側) 洪水による護岸崩壊(H13.6) (東温市上村地先:重信川 河口より 14.4km 付近東温市南側)

(21)

2.重信川の現状と課題 2-1 治水の現状と課題 2-1-2 治水事業の沿革 (1) 松山平野の形成と重信川・石手川 瀬 戸内 海が形 成さ れた当 初は 、今の 松山 平野の あた り一帯 はリ アス状 の入 江であ っ た 。当時 は洪 積世の 末期 であり 、降 水量が 多く 、その ため に、背 後の 山地は 激し く侵 食を受け、流出した砂礫によって、リアス状の入江は次第に堆積していった。 洪 積世 から沖 積世 に移る ころ に、陸 地が 隆起し 、河 川の侵 食に より、 洪積 世の堆 積 地は次第に侵食されていった。現在、洪積台地は、伊予市八倉や く ら、砥部町麻生あ そ う、松山市梅本うめもと 付近、東野ひがしの等、松山平野周辺の山麓にわずかにその痕跡を留めているにすぎない。 洪 積世 の堆積 地が 侵食を 受け た後、 地盤 が沈降 して 再び入 江に 海水が 侵入 したが 、 重 信川、 石手 川の活 発な 砂礫の 運搬 堆積作 用と 、地盤 の隆 起も加 わっ て、海 岸線 は次 第に海側に移動し、現在の松山平野が形成された。 (2) 藩政時代の治水事業 重 信川 は古く は伊 予川と 呼ば れ、河 道は 豪雨の 度に はん濫 をく りかえ し、 被害甚 大 であったと言われている。このため、文禄 4 年(1595 年)加藤嘉明かとうよしあき が居城を松前城(正 木 城)に 転じ た際に 、城 下の水 害を 防ぐた め、 重臣の 足立 重信に 命じ て改修 を計 画さ せた。工事は、慶長 3 年(1598 年)頃着手と推定されている。 当 時の 伊予川 は小 野川、 内川 等の現 在の 諸支川 とお おむね 平行 して西 流し 、伊予 灘 に 注いで いた が、現 在の 松山市 森松 町付近 から 北に新 川を 整備し 、ほ ぼ現在 に近 い重 信川がつくられた。 そ の後 、加藤 嘉明 が松山 城を 築城す るに 際し、 足立 重信は 石手 川の治 水工 事をま か さ れる。 当時 の石手 川は 勝山( 松山 城)の 麓を 西流し 、伊 予灘に 注い でいた が、 岩堰 ( 松山市 石手 )から 南西 に新川 を整 備して 出合 地点に おい て伊予 川と 合流さ せて 、現 在の石手川がつくられた。工事は、慶長 5~6 年(1600 年~1601 年)頃着手と推定さ れている。 岩 堰 石手川に残る曲出(石手川末広橋付近) 石手川 石 手 川 に 残 る 曲 出 (よしあきら)

(22)

2.重信川の現状と課題 2-1 治水の現状と課題 足 立 重 信 の 造 っ た 石 手 川 新 河 道 は 流 路 の 固 定 を 目 的 と し て 水 制 工 や 千鳥ち ど り掛がけの 波は 戸と (鎌出法かまだしほう) が 構築さ れた 。また 、川 幅は広 かっ たが川 底が 浅く、 土砂 の流出 が激 し か っ たため に、 改修後 も堤 防が決 壊し てはん 濫し 、城下 に大 きな被 害を もたら した もの と推定される。そこで亨保 8 年から享保 14 年(1723 年~1729 年)頃にかけて西条浪 人 大川文 蔵に よる川 幅を 減じ、 水利 を改め 、川 底を深 くす る改修 が行 われて いる 。ま た、この時の改修では、流路を固定し堤防を守る目的で、川心に直角に突出する曲まげ出だし工 法(水制)(P15 下段左写真参照)が、採用されている。 《コラム》 重信川のみお筋(川筋)の変遷について 「重信川の歴史」(玉田博一)によると、かつての重信川は、諸支川とおおむね平行 し て 西 流し、 定 ま った流 路 も なく乱 流 し ていた よ う である が 、 藩政時 代 に 足立重 信 の 改修によって、ほぼ現在の川筋に固定されている。 出 典 :「 重 信 川 の 歴 史 」( 玉 田 博 一 ) 昭 和 20 年 代 前 半 資 料 を も と に 模 式 図 化

(23)

2.重信川の現状と課題 2-1 治水の現状と課題

出 典 : 松 山 市 史 第 二 巻 付 図 松 山 藩 領 地 図 - 化 政 期 ( 伊 予 史 談 会 蔵 )

(24)

2.重信川の現状と課題 2-1 治水の現状と課題 (3) 明治から戦前までの改修 明治以降も水害は頻発した。特に、明治 19 年及び大正 12 年の洪水による被害は甚 大で堤防の決壊は数箇所に及んだ。そこで川沿いの住民は重信川治水研究会を組織し、 貴 衆両院 に国 による 早急 な改修 計画 立案と 河川 改修の 実施 を再三 請願 したが 、請 願は 受け入れられず、抜本的な整備はなされなかった。 その後、昭和 18 年 7 月の未曾有の大洪水により、堤防決壊 8 箇所、耕地等の流失約 1,730ha、家屋の浸水約 12,500 戸の被害を受け、これを機に昭和 20 年 5 月から国によ る河川改修事業に着手した。 また、砂防事業は大正 8 年に愛媛県が上流の山腹工の整備に着手したのが始まりで あり、昭和 4 年からは堰堤工事にも着手し、砂防堰堤や床固工群を施工した。しかし、 昭和 18 年、同 20 年の大洪水では流域各所で大規模な山腹崩壊が発生し、多量の土砂 が下流河道に流出したため、本川下流域では洪水はん濫による多大な被害が発生した。 そこで、早急に治山、砂防設備を整備する必要があるとの観点から昭和 23 年に国によ る砂防事業に着手した。 図-2.1.3 重信川当初計画の流量配分図(昭和 20 年国による改修着手時) (4) 昭和中期から昭和後期の治水事業 昭 和 20 年 の 国 に よ る 河 川 改 修 事 業 着 手 時 の 計 画 は 、 出 合 地 点 で の 計 画 流 量 を 2,800m3/s とし、全川的な河床掘削と築堤により河積を確保して洪水を安全に流下させ る ととも に、 河岸崩 壊の 恐れの ある 所に護 岸、 水制を 設け ること を主 な内容 とす るも のであり、工事は、昭和 18 年と昭和 20 年の洪水で被災した在来の貧弱な堤防の拡幅 嵩上げに重点がおいて始められた。 これにより、昭和 20 年代には、重信川右岸(北側)の松山市高井から河口まで、左 岸(南側)の砥部町重光しげみつから河口までの堤防について暫定断面による施工に着手した。 また、昭和 26 年から 29 年にかけて発生した増水での被災に伴う災害復旧工事などに より護岸工事についても急速に行われ始めた。 昭和 28 年に策定した重信川改修総体計画では、計画河床高を設定して、床止工法に 砥部川 700 小野川 表川 石手川 出合 2,800 伊 予 難 1,000 2,300 1,800 ■基準地点 単位:m3/s

(25)

2.重信川の現状と課題 2-1 治水の現状と課題 よ り河床 安定 を図る こと とし、 低水 路形状 につ いては みお 筋の蛇 行に 合わせ て低 水路 を 固定す る計 画とし た。 このた め、 水衝部 には 強固な 護岸 水制を 配置 し全川 的に 水制 及び護岸の設置が計画された。 これにより、昭和 30 年代の工事は、経済効果の大きい重信橋より下流の改修に重点 が おかれ 、重 信川下 流堤 防の暫 定断 面によ る堤 防整備 を引 き続き 行い 完成さ せる とと も に、水 衝部 や河川 敷の 狭い箇 所に おける 護岸 の施工 が重 点的に 実施 された 。ま た出 合 床止 、大新田おおしんでん床止 が施 工され 完成 してい る。 石手川 では 右岸( 松山 市役所 側) の 余 土堤防の施工が行われた。 昭和 38 年に策定した重信川改修総体計画では、重信川中上流部の築堤については従 来 どおり 霞堤 方式を 採用 し、堤 防断 面積が 不足 する箇 所を 所要の 断面 にて施 工す る計 画 に変更 した 。また 、低 水路の 蛇行 方式は 採用 せず、 水制 は特に 必要 と思わ れる 箇所 のみに限定し、護岸は全川的に計画高水位まで整備することとした。 その後、昭和 41 年には、一級水系の指定を受け、出合地点で基本高水のピーク流量 3,150m3/s、うち 250m3/s を石手川ダムで調節し、計画高水流量を 2,900m3/s とする「重 信 川水系 工事 実施基 本計 画」を 策定 し、河 道掘 削によ る河 積の増 大、 築堤、 護岸 等が 計画された。 これにより、昭和 40 年代には、重信川の砥部川合流点下流部における暫定堤防の築 堤 嵩上げ や砥 部川合 流点 上流部 にお ける築 堤な ど全川 で築 堤、護 岸工 事が順 次進 めら れ るとと もに 、伊予 鉄道 重信川 橋梁 の嵩上 げ、 継足し など も行わ れ、 重信川 本川 の堤 防、護岸がほぼ完了した。また、昭和 48 年 3 月には特定多目的ダムの石手川ダムが完 成した。その後、昭和 50 年代には、石手川左岸(中央公園側)市坪いちつぼ箇所の築堤工事な どが行われ、重信川、石手川全川にわたる現在の堤防、護岸がほぼ完成した。 図-2.1.4 重信川水系工事実施基本計画の流量配分図(昭和 41 年) 900 余土 小野川 石手川 湯 渡 出合 (3,150) 2,900 伊 予 難 600 2,300 1,800 石手川ダム (700) 450 150 500 重信川 700 拝志川 200 ■基準地点 ●主要地点 単位:m3/s ( )は基本高水のピーク流量 表川 砥部川

(26)

2.重信川の現状と課題 2-1 治水の現状と課題 伊 予 灘 砥部川 石手川 小野川 ●市坪 ■出合 (3,300) 3,000 2,600 1,800 940 1,100 270 700 重信川 270 (770) 550 760 表川 ■湯渡 ■基準地点 ●主要地点 単位:m3/sec ( )は基本高水のピーク流量 拝志川 (5) 平成の治水事業 平 成に 入って から の治水 事業 は、昭 和後 期まで の治 水事業 によ って、 築堤 護岸が ほ ぼ 完成し たの を受け て、 急流河 川、 重信川 の重 要な課 題で ある堤 防質 的強化 に治 水事 業 の重点 が置 かれ、 河岸 の深掘 れ対 策とし て不 足する 護岸 の根入 れを 確保す るた めの 護 岸根継 を実 施した ほか 、地震 時の 堤防斜 面の 崩れ対 策と して耐 震堤 防補強 を実 施し て いる。 また 、危機 管理 対策に も重 点が置 かれ 、河川 情報 網や防 災ス テーシ ョン の整 備も実施した。 平 成7年7月に は、市 街地 が拡大 し土 地利用 が高 度化す るな ど社会 経済 的に発 展した た め、目 標と する治 水安 全度の 計画 規模を 見直 し、出 合地 点で基 本高 水のピ ーク 流量 3,300m3/s、 う ち 300m3/sを 石 手 川 ダ ム で 調 節 し て 、 計 画 高 水 流 量 を 3,000m3/sと す る 重 信川水系工事実施基本計画の改定を行った。 さ らに、 平成 9年 の河川 法の改 正に 伴い、 平成 18年 4月に 重信川 水系 河川整 備基 本方 針 を策定した 。流量配分 計画は雨や 流量の検証 を行い基本 的に平成7年7月策定 の 工 事 実施基本計画が妥当との結論を得て、同計画を踏襲した。 図-2.1.5 工事実施基本計画の流量配分図(平成7年) 920 700 小野川 表川 石手川 ■出合 (3,300) 3,000 伊 予 難 760 ■基準地点 ●主要地点 単位:m3/s ( )は基本高水のピーク流量 (770) 550 240 ●市坪 ■湯渡 900 砥部川

(27)

- 21 -2.重信川の現状 と課題 2- 1 治 水の現 状 と課題 《コラム》 重信川の主な河川改修事業の経緯(昭和中期~後期) 国による河川改修を着手した昭和 20 年代から、現在の堤防護岸等がほぼ完成した昭和 50 年代までの間について、各年代における堤 防整備など主要な工事と施工区間を概略図に示す。 一 番 泉 床 止 S30年代:堤防築堤 S20年代:暫定断面築堤 出 合 床 止 大 新 田 床 止 S20年代:堤防の暫定断面施工に着手・災害復旧による護岸施工に着手 S40年以降:下流域の堤防・護岸を継続し完成 S30年代:下流域の堤防整備を促進 S30年代:水衡部や河川敷の狭い箇所における護岸施工、床止工など S40年以降:上流域の築堤・護岸に着手し完成 S40年以降:下流域の堤防・護岸を継続し完成 S30年代:下流域の堤防整備を促進 S40年以降:堤防嵩上 S20年代:暫定断面築堤 S40年以降:堤防の完成 石 手 川 重 信 川 S40年以降:上流域の築堤・護岸に着手し完成    凡  例   昭和20年代   昭和30年代   昭和40年代~ 砥 部 川 S30年代:水衡部や河川敷の狭い箇所における護岸の施工、床止工など S20年代:堤防の暫定断面施工に着手・災害復旧による護岸施工に着手

(28)

2.重信川の現状と課題 松山の経年渇水と取水制限 2-1-3 治水の現状と課題 (1) 洪水対策 1) 重信川 ①松山の経年渇水と取水制限洪水を安全に流下させるための対応 重信川の堤防は概成しており、堤防整備率は約 99%と高い水準にある。また、重信 川 には、 急流 河川に おい て用い られ る歴史 的な 治水方 式で ある霞 堤( 堤防を 不連 続な 二重構造として開口部を存置している箇所)が 9 箇所あり特徴のひとつとなっている が、9 箇所の内、5 箇所(市坪・古川ふるかわ・井門い ど・広瀬・中野)の霞堤は、計画高水流量規 模 の洪水 が流 下した 場合 には、 霞堤 の開口 部か らはん 濫( 重信川 本川 の洪水 が溢 れる こ と)が 生じ て、家 屋浸 水被害 の発 生が想 定さ れる。 この ように 不完 全な霞 堤に つい て は、は ん濫 による 被害 の防止 に向 け、上 下流 いずれ かの 堤防の 延伸 、ある いは 堤防 締切り等による対策を講じる必要がある。 図-2.1.8 現状霞堤位置図 注 )重 信 川 、 石 手 川 の 国 管 理 区 間 に お け る 堤 防 整 備 状 況 。 堤 防 整 備 率 は 、堤 防 必 要 延 長 に 対 す る 堤 防 整 備 区 間 の 割 合 。堤 防 整 備 区 間 と は 、完 成 堤 防 と 計 画 高 水 位 以 上 の 暫 定 堤 防 が あ る 区 間 で あ る 。 堤 防 未 整 備 区 間 堤 防 整 備 区 間 堤 防 必 要 延 長 45.1 ㎞ 1.3% 98.7% 重 信 川 井 門 霞 堤 市坪 古川 井門 広瀬 中野 南野田 井口 開発 見奈良 図-2.1.7 堤防整備状況 (平成 19 年 3 月末時点) 下流側上空から井門 い ど 霞堤を望む

(29)

2.重信川の現状と課題 2-1 治水の現状と課題 - - ( 2 万 分 の 1 地 形 図 ( 大 日 本 帝 国 陸 地 測 量 部 明 治 36 年 発 行 ) を も と に 作 成 し た も の ) 図-2.1.9 戦前の水制の位置図 ②局所的な深掘れ・堤防侵食への対応 重信川は、急流河川であり、足立重信による慶長 3 年(1598 年)頃着手の伊予川(現 重信川)改修、慶長 5 年から 6 年(1600 年から 1601 年)頃着手の石手川のつけかえに よって、ほぼ現在に近いかたちとなった。明治 36 年の地形図に示されている河道には すでに数多くの水制工がみられる。また、大正 4 年の浮穴村地図によると本堤(二線 堤 )にほ ぼ直 角に築 造さ れた水 制工 の先端 付近 から鍵 の手 状に下 流側 に堤防 を設 け、 直 下流水 制と の間を 開口 部とし た一 線堤が 設け られて いた 。この よう な二重 の堤 防の 形 は、 現在で も出 合橋下 流左 右岸( 松山 市側及 び松 前町側 )、 右岸( 松山 市側) 7.2km 付近、右岸(松山市北側)10.6km 付近、右岸(松山市北側)11.8km 付近などにその面 影がみられる。 その後、昭和 18 年の甚大な洪水被害を受けて、国による河川改修が始まるが、昭和 26 年以降の災害復旧工事などにより護岸工、根固工とともにコンクリート製の透過水 制 と石積 構造 の不透 過水 制が多 くつ くられ 、以 降これ らを 補修、 補強 を繰り 返し 対応 してきている。 昭和 30 年代の砂利採取や砂防事業の効果もあって河川への流送土砂が減少し、河道 の深掘れ対策が重要となった。このため、昭和 30~40 年代にかけて築堤、護岸工、根 固 工、必 要な 箇所に おけ る河川 敷整 備を実 施し ている 。昭 和後期 には 国管理 区間 の築 堤 護岸が 全川 的にほ ぼ完 成した 。一 方、平 成に かけて 堤防 の質的 強化 に治水 事業 の重 点 が置か れ、 河岸沿 いの 深掘れ によ り不安 定と なった 護岸 基礎部 の補 強を目 的と した 護岸根継を実施している。 図-2.1.9 戦前の水制の位置図 ( 2 万 分 の 1 地 形 図 ( 大 日 本 帝 国 陸 地 測 量 部 明 治 36 年 発 行 ) を も と に 作 成 し た も の ) ①本 堤 から水 制 を築 造 ②水 制 の先 端 から鍵 の手 状 に一 線 堤 を築 造 重信川 一 線 堤 二 線 堤 水 制 一 線 堤 、二 線 堤 浮 穴 村 地 図 大 正 4年 作 成

(30)

2.重信川の現状と課題 松山の経年渇水と取水制限 あ こ のよ うに、 重信 川の深 掘れ 対策は 古く から重 要な 課題で あり 、現在 に至 るまで 継 続 的に様 々な 形の堤 防の 強化、 護岸 根固の 補強 等の対 策を 繰り返 して きた。 しか しな が ら現在 でも 、洪水 規模 の大小 を問 わず局 所的 な深掘 れに より河 岸崩 壊、護 岸崩 壊等 の 災害が 頻発 する状 況を 脱して いな い。重 信川 は松山 市を 中心と する 市街地 に接 して 流 れてお り、 ひとた び堤 防の決 壊等 が発生 した 場合、 想定 される はん 濫被害 は非 常に 大きいものとなる。 こ のた め、想 定さ れる局 所的 な深掘 れに より、 既設 護岸基 礎部 が構造 的に 不安定 と な り、か つ河 川敷幅 が狭 い箇所 では 、護岸 の被 災が堤 防の 決壊に つな がる恐 れが ある ことから、今後も引続き局所的な深掘れへの対応を図る必要がある。 河岸崩壊、護岸崩壊の代表事例 平成 8 年 7 月洪水での護岸崩壊 (砥部町八倉や く ら地先:重信川 河口より 7.9km 付近砥部町側) 平成 9 年 7 月洪水での護岸崩壊 (松山市古川地先:重信川 河口より 6.1km 付近松山市側) 根継工の例 コンクリート透過水制(田窪たの くぼ第一水制) (重信川 河口より 15.5km 付近 東温市北側) 石積水制(田窪第三水制) (重信川 河口より15.7km付近 東温市北側)

(31)

2.重信川の現状と課題 2-1 治水の現状と課題 - - ( 河 川 整 備 基 本 方 針 の 目 標 流 量 ( P-20 参 照 ) の 洪 水 が 発 生 し た 場 合 を 想 定 ) 図-2.1.10 はん濫シミュレーションによる浸水区域図 図-2.1.11 局所的な深掘れから堤防決壊までの状況 護 岸 被 災 後 、 河 岸 の 側 方 侵 食 が 発 生 す る 側 方 侵 食 が 進 行 す る と 堤 防 が 被 災 し 決 壊 に 至 る 局 所 的 な 深 掘 れ の 進 行 に よ り 低 水 護 岸 が 被 災 す る 洪 水 の 継 続 に よ り 、 時 間 経 過 と と も に 局 所 的 な 深 掘 れ が 発 生 す る 堤 防 が 侵 食 さ れ て 崩 れ た 部 分 : 凡 例 浸 水 深 (m) 0.00 ~ 0.50 0.50 ~ 1.00 1.00 ~ 2.00 2.00 ~ 5.00 5.00 ~ 16.4km 見 奈 良 側 が 仮 に 決 壊 す る と 、は ん 濫 水 は 、東 温 市 、 松 山 市 の 重 信 川 右 岸 ( 北 側 ) 沿 い を 流 下 し 、約 4 時 間 後 に 浸 水 範 囲 全 域 に 広 が る 一 号 床 止 16.4k 8.0k 一 号 床 止 森 之 木 側 が 仮 に 決 壊 す る と 、 は ん 濫 水 は 、 東 温 市 、 松 山 市 、 砥 部 町 の 重 信 川 左 岸 ( 南 側 ) 沿 い を 流 下 し 、 約 3 時 間 後 に 浸 水 範 囲 全 域 に 広 が る 8.0km 砥 部 町 側 が 仮 に 決 壊 す る と 、 は ん 濫 水 は 、 砥 部 町 、 伊 予 市 、 松 前 町 を 流 下 し 、 約 4 時 間 後 に 浸 水 範 囲 全 域 に 広 が る 3.8km 松 山 市 側 が 仮 に 決 壊 す る と 、は ん 濫 水 は 、 松 山 市 市 街 地 を 流 下 し 、 約 2 時 間 後 に 浸 水 範 囲 全 域 に 広 が る 3.8k 伊 予 市 : 想 定 し た 決 壊 点 。 万 が 一 決 壊 し た 場 合 に 浸 水 被 害 が 大 き く な る 地 点 を 仮 に 設 定 。 松 前 町 石 手 川 小 野 川 重 信 川 砥 部 川 内 川

(32)

2.重信川の現状と課題 松山の経年渇水と取水制限 《コラム》局所的な深掘れに関わる重信川の河道特性 重信川では、局所的な深掘れによる河岸崩壊、護岸崩壊等の災害が頻発している。 重 信 川 の 河 道 特 性 か ら 局 所 的 な 深 掘 れ の 発 生 要 因 等 に つ い て 考 察 す る と 次 の と お り である。 1)河口~石手川合流点(0.0k~4.0k) ・ 単列砂州が安定し、水衝部がおおむね固定しており、堤防に向かう流れによる高 流速、二次流などが局所的な深掘れの主要因であると考えられる。 ・ 単列砂州領域であるため局所的な深掘れ深さは比較的大きく、また水衝部が固定 しているため水衝部の対岸は堆積傾向という河道の二極化が懸念される。 2)石手川合流点~砥部川合流点(4.0k~9.2k) ・ 単列砂州が発生し、洪水時に砂州が移動することが局所的な深掘れの主要因であ ると考えられる。 ・ 単列砂州領域であるため局所的な深掘れ深さ は比較的大きく、また水衝部が移動するため 全川的に局所的な深掘れが発生する可能性が ある。 3)砥部川合流点~上流端(9.2k~17.2k) ・ 複列砂州 が発生し、 洪水時に砂 州が移動す る ことが局所的な深掘れの主要因であると考え られる。 ・ 複列砂州 領域である ため局所的 な深掘れ深 さ は比較的小さいが、水衝部が移動するため全 川的に局所的な深掘れが発生する可能性がある。 重信川のみお筋の変化(重信川) 単列砂州 複列砂州 86500 87500 88500 89500 90500 -76000 -74000 -72000 -70000 -68000 -66000 -64000 -62000 -60000 -58000 -56000 堤防法線 昭和34年 昭和42年 昭和49年 昭和55年 昭和60年 平成3年 平成10年 平成13年 河 口 ~ 石 手 川 合 流 点 は 水 衝 部 が 固 定 さ れ て い る 箇 所 石 手 川 合 流 点 ~ 砥 部 川 合 流 点 砥 部 川 合 流 点 ~ 上 流 端 0.0 2.0 6.0 8.0 10.0 12.0 14.0 16.0 18.0 20.0 (Km) 4.0 3.0 2.0 1.0 0.0 (Km) 0.0k 2.0k 3.0k 4.0k 5.0k 6.0k 7.0k 8.0k 9.0k 10.0k 11.0k 12.0k 13.0k 14.0k 15.0k 16.0k 17.0k 4.0 1.0k

(33)

2.重信川の現状と課題 2-1 治水の現状と課題 - - ③堤防漏水への対応 重 信川 の堤体 盛土 材料は 主に 砂礫質 土で 構成さ れて いる。 また 、重信 川は 扇状地 河 川 であり 、基 礎地盤 も砂 礫質土 であ る。砂 礫質 土は一 般的 に透水 性が 高く、 洪水 時に 漏水発生の要因になることが多い。 こ のた め、河 川堤 防設計 指針 等に基 づき 、堤防 の浸 透に対 する 安全性 の点 検を実 施 中である。重信川と石手川を合わせて、点検が必要な区間は 42.7km であり、そのうち 平成 19 年 3 月末までに 9.5km について点検を終えたが、点検済区間のうち、堤防強化 が必要な区間は 7.9km であった。今後、平成 20 年度までに点検を終了し、目標とする 安 全性が 未だ 確保さ れて いない 区間 につい ては 、堤防 の決 壊や、 これ に伴い 発生 する はん濫被害の防止に向け対応を図る必要がある。 凡 例 礫 混 じ り 砂 。 灰 色 。 Ф 2~ 5 ㎝ の 円 礫 を 多 量 に 含 む 。 礫 混 じ り 砂 。 灰 色 。 Ф 2~ 20cm の 円 礫 を 多 量 に 含 む 。 樹 根 及 び 粘 土 塊 の 混 入 あ り 。 礫 混 じ り 砂 。 褐 色 ま た は 黄 褐 色 図-2.1.12 重信川築堤履歴(堤防開削調査) 図-2.1.13 重信川堤防調査状況図 ( 平 成 19 年 3 月 末 時 点 ) 7.2k 地点松前町側 8.0k 地点砥部町側

(34)

2.重信川の現状と課題 松山の経年渇水と取水制限 ④内水への対応 堤 防整 備済区 間に ついて は、 台風等 によ る増水 時に は河川 水位 が堤防 の居 住地側 の 地盤高より高くなり、支川から本川への排水が困難になることから、内水(河川に排水 できずにはん濫した水)被害が生じる可能性がある。このため、内水被害の発生状況に 応じて対策を行う必要がある。 ⑤大規模地震への対応 重 信川 では、 今世 紀前半 に発 生する 可能 性が高 いと いわれ る東 南海・ 南海 地震に よ る 損傷、 機能 低下に 伴い 、地震 後に 発生す る津 波等に より 甚大な 被害 を発生 させ る恐 れのある堤防、排水門、床止などの河川管理施設については、今後、調査、検討の上、 必要な箇所の対策を行う必要がある。 ⑥要改築構造物への対応 重 信川 におい て、 河川管 理施 設等構 造令 に適合 せず 、洪水 の流 下に悪 影響 を与え る こ とが懸 念さ れる既 存工 作物に つい ては、 必要 に応じ て改 築等の 対策 を行う 必要 があ る。 2) 石手川 ①洪水を安全に流下させるための対応 石 手川 の堤防 は概 成して いる が、部 分的 に必要 な堤 防断面 (高 さ、幅 )が 不足す る 箇所がある。このため、必要な堤防整備等を進める必要がある。 ②局所的な深掘れ・堤防侵食への対応 石 手川 は松山 市街 地を流 下す るため 、ひ とたび 堤防 が決壊 した 場合、 想定 される は ん 濫被害 は非 常に大 きい ものと なる 。そこ で、 局所的 な深 掘れや 堤防 侵食に 対す る安 全 性を確 保す るため 、洪 水時の 状況 を注視 して 、必要 に応 じ堤防 の強 化など の対 応を 行う必要がある。 ③堤防漏水への対応 石 手川 の堤体 盛土 材料は 主に 砂礫質 土で 構成さ れて いる。 また 、石手 川は 扇状地 河 川 であり 、基 礎地盤 も砂 礫質土 であ る。砂 礫質 土は一 般的 に透水 性が 高く、 洪水 時に 漏水発生の要因になることが多い。 今 後は 、河川 堤防 設計指 針等 に基づ き、 堤防の 浸透 に関す る安 全性の 点検 を実施 す る 。その 結果 、安全 性が 不足す る区 間につ いて は、堤 防の 決壊や これ に伴い 発生 する はん濫被害の防止に向け対応を行う必要がある。

(35)

2.重信川の現状と課題 2-1 治水の現状と課題 - - ④要改築構造物への対応 石 手川 におい て、 河川管 理施 設等構 造令 に適合 して いない JR 石手川 橋梁 は、橋 台 の 位置が 川側 へ突出 し、 当区間 の川 幅は上 下流 に比べ て著 しく狭 窄し ている ため 、洪 水の安全な流下への影響が懸念される。このため、改築等の対策を行う必要がある。

(36)

2.重信川の現状と課題 松山の経年渇水と取水制限 (2)河川の維持管理 重 信川 では、 災害 の発生 の防 止、河 川の 適正な 利用 、流水 の正 常な機 能の 維持、 河 川環境の整備と保全を目的として、堤防をはじめ護岸、根固、水制、堰堤(床止)、排 水 門等数 多く の河川 管理 施設の 維持 管理や 、河 道の適 正な 保持に 向け た管理 を行 って いる。 1)河道の管理 重 信川 は、流 路延 長が短 い急 流河川 で、 全川的 に土 砂流出 、河 岸侵食 が著 しいと い う 特徴を もっ ており 、堤 防整備 が不 十分な 時代 には、 洪水 発生の たび に川沿 いに 大き な 被害を もた らして きた 。この ため 、築堤 、護 岸、根 固、 水制な どの 整備を 進め ると ともに、維持補修を行ってきたが、前述した河道特性(P.26)もあり、現在でもなお、 洪 水規模 の大 小を問 わず 、局所 的な 深掘れ によ る河岸 崩壊 、護岸 崩壊 、堤防 侵食 など が頻発している状況である。 ま た、 近年、 河道 内に樹 木や 植生が 繁茂 してお り、 河口か ら石 手川合 流点 ではそ れ ら が土砂 を堆 積させ 、砂 州高を 上昇 させる 一方 で、そ の対 岸の低 水路 部の河 床を 低下 さ せると いう 二極化 現象 が進行 して いる。 石手 川合流 点か ら砥部 川合 流点ま では 、単 列 砂州が 、洪 水規模 の大 小を問 わず 増水時 に移 動を繰 り返 し、そ の砂 州の影 響に より 偏 った流れ(偏流 )を生じ 、局所的な 深掘れが発 生している 。砥部川合 流点から 上 流 部 では、河道特性上複列砂州が形成され、洪水毎に水衝部が移動するという状況に加え、 河 道内の 樹木 や植生 が、 洪水時 に複 雑な流 れを 生じさ せ、 局所的 な深 掘れの 原因 とな っ ている 。こ れら、 河床 変動や 樹木 等の繁 茂は 、治水 上の 様々な 課題 を発生 させ る要 因となっており、今後さらに樹木が生長することで流下能力の阻害が危惧されるため、 適切な管理が必要となる。 こ のよ うに、 重信 川では 、局 所的な 深掘 れ、堤 防侵 食への 対応 、樹木 ・植 生管理 、 土砂管理、流下能力の維持が、河川管理上重要である。

(37)

2.重信川の現状と課題 2-1 治水の現状と課題 - - 河道内樹木の繁茂状況 (重信川河口より 15.6km 付近 東温市南側) 下 流 部 の 一 例 (1.0k~ 4.0k) 中 上 流 部 の 一 例 (12.0k~ 15.0k) 昭 和 23 年 2 月 昭 和 48 年 10 月 平 成 9 年 2 月 平 成 15 年 12 月 図-2.10.14 重信川の植生の変化 図-2.10.15 横断形の経年変化図 凡 例 植生 裸地 平成 15 年写真の低水路 中 上 流 部 、 下 流 部 と も に 、 昭 和 23 年 に は 河 岸 沿 い に し か 植 生 が 見 ら れ な い が 、 昭 和 48 年 以 降 、 中 州 部 に 植 生 が 発 達 し 、 植 生 の 範 囲 が 拡 大 。 堤 防 の 安 全 度 低 下 低 水 路 部 の 河 床 低 下 砂 州 部 の 河 床 上 昇 HWL(計 画 高 水 位 ) 昭 和 55 年 度 測 量 平 成 5 年 度 測 量

(38)

2.重信川の現状と課題 松山の経年渇水と取水制限 支 川石 手川で も、 局所的 な深 掘れや 堤防 侵食に 対す る安全 性確 保への 対応 が重要 で ある。 こ れら 重信川 、石 手川の 課題 に対し て、 前述の よう に計画 的な 堤防補 強に より対 応 す るとと もに 、河川 巡視 により 堤防 や河川 管理 施設の 点検 を行う 必要 がある 。ま た、 被 災時に は、 状況に 応じ て適切 な維 持補修 を行 うとと もに 、流下 能力 の維持 と局 所的 な 深 掘れ 防止 の 観点 から 、 適切 な時 期 に植 生除 去 等河 床の 整 正注 )、河 道 内の 樹木 伐 開 を行う必要がある。 一方、重信川は河床勾配が急で砂礫を主とし た伏流する河川で、瀬切れが発生することが多 くなっており、近年、瀬切れ区間の拡大及び瀬 切れ期間の長期化が課題となっている。 また、周辺の都市化に伴う水質の悪化が河川 管理上の問題となっている。さらに、河口部の 干潟におけるハクセンシオマネキやクボハゼ、 下流域のメダカやヤリタナゴ、中流域のイシド ジ ョウ等 の重 要種の 生息 が確認 され ており 、こ れら生 物の 生息環 境の 保全も 河川 管理 上の課題の一つである。 こ れら の河道 管理 を実施 して いくに あた って、 河川 水位、 地下 水位等 の観 測、航 空 写 真撮影 、河 川縦横 断測 量、水 辺の 国勢調 査等 の環境 モニ タリン グ調 査、河 川巡 視等 を定期的に行い、今後も適正な維持管理を実施する必要がある。 2)河川管理施設の管理 重信川の堤防は、複雑な築堤履歴を有している。国による事業が始まった昭和 20 年 代 に、江 戸期 、明治 大正 期、昭 和初 期まで に築 造され た堤 防を、 主に 河床か ら採 取し た砂礫質土等を用いて嵩上げ、拡幅を行った。昭和 30 年以降、これらの古い堤防の上 に さらに 嵩上 げ、拡 幅を 行い現 在の 形とな って いるが 、そ の後は 、計 画規模 の増 水を 一 度も経 験し ておら ず、 増水時 にお ける堤 防の 挙動等 には 未知の 部分 も多い 。そ のた め、前述したように堤防の安全性の点検を平成 20 年度までに終了させ、必要な対策 を 計画的 に行 うが、 維持 管理の 面で は、適 切な 除草を 行い 、巡視 、点 検、損 傷時 の補 イシドジョウ 偏流の発生状況 (重信川 河口より 5.4km 付近松山市側) 偏流による護岸崩壊(S55) (重信川 河口より 5.2km 付近松山市側)

(39)

2.重信川の現状と課題 2-1 治水の現状と課題 - - 修等を実施する必要がある。 ま た、 護岸や 排水 門等河 川管 理施設 につ いては 、巡 視、点 検に より状 況を 把握し 、 早期に変状等の発見に努めることが、河川管理上重要である。 ①堤防、護岸の管理 河 川堤 防や護 岸は 、年月 とと もに、 降雨 による 雨水 浸透、 洪水 、地震 等の 自然現 象 や 車両乗 り入 れ等の 人為 的影響 によ る侵食 、亀 裂等損 傷が 発生す る。 これら 小規 模な 損 傷も放 置す れば規 模を 拡大さ せ、 大規模 な破 損につ なが り、洪 水時 には破 損箇 所か らの漏水等による堤防の決壊等被災に至ることも危惧される。 こ のた め、河 川巡 視によ る堤 防や護 岸の 異常、 損傷 箇所の 早期 発見に 努め るとと も に、損傷が発見された場合は、適切な補修を実施する必要がある。 重 信川 流域の 降雨 は、梅 雨期 と台風 期に 集中し 、こ の期間 中に 、大き な増 水も発 生 す ること から 、草根 の侵 入によ る破 損の防 止や 変状の 点検 を目的 とし て実施 する 堤防 除草は、増水の発生する時期を考慮して年 2 回行う必要がある。 また、堤防状態の詳細を把握するため、梅雨期前、梅雨期後、台風期後の年 3 回以 上 の点検 を行 うとと もに 、洪水 時に おいて も重 点的な 巡視 、点検 を行 うなど 、今 後と も適正な管理を継続的に行う必要がある。 ②排水門の管理 重 信川 には、 現在 、機械 設備 を有す る国 管 理の河川管理施設として、排水門 5 施設があ る。これらの施設は、昭和 50 年代に完成した 施設もあり、機器の老朽化に伴うゲート巻き 上げ機の故障や、腐食等による動作不良が発 生する可能性があり、これを放置した場合、 洪水時に確実な操作が行えず被害を増大させ る 恐れ がある ため 、河川 巡視 による 確認 や 施 設点 検を継 続的 に行い 、適 切な補 修等 を 実施する必要がある。 また、重信川には、上記の他に許可工作物として取水門 12 施設、排水門 8 施設があ り 、施設 管理 者の点 検を 促すと とも に河川 巡視 による 確認 を行い 、適 切な補 修等 の実 施を指導していく必要がある。 塩屋排水樋門 (重信川 河口より 0.2km 付近松前町側)

(40)

2.重信川の現状と課題 松山の経年渇水と取水制限 表-2.1.2 国管理排水門一覧 所 在 位 置 No 河 川 名 施 設 名 管 理 者 左 岸注 )1 右 岸注 )2 設 置 年 月 日 1 重 信 川 塩 屋 排 水 樋 門 国 土 交 通 省 0K/200+51 S51.3.25(移 設 ) 2 重 信 川 かきつばた樋 門 国 土 交 通 省 6K/200+96 S54.9.20 3 重 信 川 森 松 樋 門 国 土 交 通 省 8K/600+50 H2.3.30 4 重 信 川 船 川 樋 門 国 土 交 通 省 13K/600+5 S57.3.10 5 重 信 川 南 野 田 樋 門 国 土 交 通 省 13K/600+70 H5.3.25 注 )1 重 信 川 左 岸 と は 、 松 前 町 、 砥 部 町 側 ( 重 信 川 の 南 側 ) 注 )2 重 信 川 右 岸 と は 、 松 山 市 街 地 側 ( 重 信 川 の 北 側 ) 3)不法占用、不法行為等の防止と河川美化 重信川の河川区域における土地の占用等は約 240 件あり、土地の占用、工作物の新築等の許 可は年間約 100 件である。これら、占用による 河川区域内の利用がある一方、重信川、石手川 ともに河川区域内における不法行為が後を絶た ない状況である。また、植生が繁茂して目視の 困難な箇所では、ゴミの不法投棄等が多発して いる。 河川区域内における不法占用や不法行為は、 河 川利用 者及 び水防 活動 時の支 障と なる恐 れが あるた め、 今後と も許 認可事 務を 適正 に実施する必要がある。 ま た、 近年で は、 家電製 品等 大型ゴ ミの 不法投 棄が 増加し てお り、維 持費 用の増 大 に つなが ると ともに 、洪 水時に 流出 するこ とに より広 範囲 に散乱 し、 景観や 水質 の悪 化 など河 川環 境をさ らに 悪化さ せる 要因と なっ ている 。同 時に、 洪水 時には 流水 の妨 げ となり 、流 出して 河川 施設等 を損 傷させ る恐 れがあ るこ とから 、適 正な河 川利 用を 図 るよう 措置 を講ず る必 要があ る。 現在、 NP O団体 等や 地域の 小中 学校等 の河 川清 掃 活動へ の協 力や、 この 活動を 通じ てのゴ ミ持 ち帰り やマ ナー向 上、 さらに 水質 悪化 の 防止等 、河 川環境 保全 に向け た啓 発活動 を実 施して いる ところ であ る。今 後も 地域 と 連携し 、ゴ ミに関 する 情報を 発信 し共有 する ことに より 、市民 の河 川美化 の意 識が 高 揚され るよ う対応 して いく必 要が ある。 また 、河川 愛護 モニタ ーと のきめ 細か な情 報交換を実施し、関係機関と連携した河川美化の推進を図る必要がある。 河川に不法投棄されたゴミ

(41)

2.重信川の現状と課題 2-1 治水の現状と課題 - - 年度別不法投棄ゴミ処理件数 0 5 10 15 20 25 30 35 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 (年度) ( 台 数 ) その他家電 エアコン 洗濯機 冷蔵庫 テレビ 図-2.1.16 近年の不法投棄ゴミの種類と件数 (3) ダムの管理 石手川ダムでは、洪水調節及び水道用水、かんがい用水の補給を行っている。 1) 洪水調節 石手川ダムは、計画高水流量 550m3/sのうち 250m3/sの洪水調節を行い 300m3/s の 一定量放流によりダム下流の水害を防御する計画である。 石手川ダムは、昭和 47 年から一次湛水を開始し、昭和 48 年 4 月から管理を開始し ており、現行操作規則は、県によるダム下流の河道整備が概成した昭和 59 年 6 月から 適用されている。昭和 59 年 6 月以前は、「工事中における石手川ダム操作規則」(洪水 量が 100m3/s)を適用しており、昭和 47 年 8 月から昭和 59 年 6 月までの間で洪水調節 を 4 回実施している。現行操作規則では、洪水量に至った実績はないものの平成 2 年 9 月洪水、同 7 年 7 月洪水、同 13 年 6 月洪水で洪水に達しない流水の調節を行い、ダム 下流河川の水位低下に寄与した。

図 - 4.1.5 局 所 的 な深堀れ 対策を実 施する区 間

参照

関連したドキュメント

レッドゾーン 災害危険区域(出水等) と 浸水ハザードエリア※等を除外。 地すべり防止区域

施工計画書 1)工事概要 2)計画工程表 3)現場組織表 4)主要機械 5)主要資材 6)施工方法 7)施工管理計画. 8)緊急時の体制及び対応

Example 仮締切の指定仮設(河川堤防と同等の機能) 施工条件

電気の流れ 水の流れ 水の流れ(高圧) 蒸気の流れ P ポンプ 弁(開) 弁(閉).

西が丘地区 西が丘一丁目、西が丘二丁目、赤羽西三丁目及び赤羽西四丁目各地内 隅田川沿川地区 隅田川の区域及び隅田川の両側からそれぞれ

第1条

区部台地部の代表地点として練馬区練馬第1観測井における地盤変動の概 念図を図 3-2-2 に、これまでの地盤と地下水位の推移を図

第76条 地盤沈下の防止の対策が必要な地域として規則で定める地