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士業支援機構企業レポート

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Academic year: 2021

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アンジェスMG

(東証マザーズ・4563)

証券 アナリスト: 松尾 範久 一般社団法人 士業支援機構

遺伝子治療薬「コラテジェン®」の日米での開発進展で業績の飛躍を目指す

株価: 296円(9月19日) 第26回新株予約権 5円 (同行使価格288円) 年初来高値636円(2014.1.10) 同安値280円(2014.5.21)

時価総額: 113.1億円 今秋施行の改正薬事法で再生医療等製品の早期実用化が可能に

【ヤフーファイナンス:週足チャート】 発行済株式数 3,821万9,984株 上場来高値132万円(2003年2月) 同安値2万4,530円(2012年5月)

■ 要約(Executive Summary)

同社は大阪大学医学部の研究成果をもとに遺伝子の働きを活用した遺伝子治 療薬、核酸医薬及び遺伝子の機能解析を行う研究用試薬の研究開発を目的とし て、1999年12月に大阪府和泉市において株式会社メドジーンという名称で設立さ れました。設立以来、コラテジェン®をはじめとした遺伝子医薬などバイオ医薬品の 開発に挑戦。2002年9月に東証マザーズ市場に大学発バイオベンチャーとしては 初めての上場を果たし、投資家の関心を集めました。 2003年にはバイオベンチャーやITベンチャーへの評価の高まりから株価は132万 円という高値をつけました。バイオベンチャー企業特有の赤字計上が上場後続き、 その後の評価は2012年まで低下し、2万4,530円まで下落しましたが、iPS細胞を開 発した京都大学の山中教授のノーベル賞受賞を契機に安倍首相の施策もあって 創薬ベンチャーへの見直し人気が高まり、昨年5月にかけ37万5,000円(2分割前・ 時価総額586億円)まで急騰しました。その後、パイプラインの一つとして米国の提 携企業での開発が第Ⅲ相へと進展していたアロベクチン®の開発について提携先 企業から効果が得られなかったとの発表(昨年8月)が伝えられると株価は2分割 実施後、5万円前後まで一気に売られてしまいました。また、本年1月には100分割 を実施し、株価の連続性が絶たれる中、投資家からの売り圧力が高まり5月には 280円という水準にまで更に下落傾向を辿りました。 そうした中で、安倍政権は金融・財政政策に続くアベノミクス第三の矢である新成 長戦略を具体化。従来の医薬品開発では治験に長期間を要していましたが、薬事 法の改正で遺伝子治療を含む再生医療等の製品の早期実用化に対応した新承 認制度が昨年、国会で可決・成立し、本年11月から開始されることになりました。こ れによって同社が開発中のコラテジェンなど遺伝子治療薬の日本での早期実用化 に向けて動き出しました。この結果、株価は5月後半から6月上旬にかけ短期に戻 す局面も見られましたが、直近に至ってはライツ・オファリングの実施によって既存 株主からの売り圧力が高まり、再び5月の安値に接近しています。 創業来、研究開発型の企業として活動してきた同社の業績は今期もまだ赤字が 続くと見込まれますが、再生医療等製品の実用化に対応した条件・期限付き承認 制度の開始により、重症虚血肢やリンパ浮腫向けに開発中のHGF遺伝子治療薬 コラテジェン®の早期実用化が期待され、米国よりも先に国内申請の可能性があり ます。同社の使命は現状において有効な治療選択肢がない難病に苦しむ患者さ んにコラテジェンをはじめとした画期的な医薬品の開発を早期に行い社会貢献を 果たすことにあります。同社はそのための開発資金を既存株主への新株予約権の 発行で調達しようとしており、その結果、直近の株価は極端な低落傾向が見られま す。株価はややイレギュラーな動きとなっていますが、同社の事業活動に対しての 意義と評価は高く、また将来的な価値もあるものなのでこの場面での投資は来年 以降に向けて大きな成果がもたらされると期待されます。 事業収益(14/12期第2四半期累計) 研究開発事業収益 36(百万円) 商品売上高その他 137(百万円) 合計 174(百万円) 事業費用(14/12期第2四半期累計) 売上原価 67(百万円) 研究開発費 816(百万円) 販管費 326(百万円) 合計 1,210(百万円) 企業概要 設立:1999年12月 上場:2002年9月 株主数: 24,396名(14/6末) 連結従業員数:40名(14/6末) 代表取締役:山田 英

(単位:100万円)

売上高

YOY

営業利益 YOY 経常利益 YOY 当期利益 YOY EPS

11年12月期

243

-15.0%

-2,100

na

-1,791

na

-1,815

na

-12年12月期

444

82.7%

-1,785

na

-1,716

na

-1,708

na

-13年12月期

491

10.6%

-1,363

na

-1,383

na

-1,409

na

-14年12月期予

800

62.9%

-2,500

na

-2,500

na

-2,500

na

(2)

-一般社団法人 士業支援機構

Sep22, 2014

人類にとって永遠のテーマとも言うべき病気との闘い。多くの企業やそこで従事する 多くの研究開発者は、世界中の病を抱えた人々のために医薬品の開発に努めてい ます。1999年12月に設立された同社においても「医薬品を通じ、人々の健康と希望 にあふれた暮らしの実現に貢献する。」という経営理念の下、遺伝子医薬などの先 端技術によるバイオ医薬品の開発に積極的に取り組んできました。同社の医薬品 開発の根底には稀少病や難病に対する画期的な治療薬の開発という考え方があり ます。患者数が少ない難病に対しての治療薬は大手製薬会社がなかなか取り組ま ない領域である一方で、患者はその開発を待ち望んでいます。これまでの医薬品会 社が開発した医薬品の多くに副作用の発生が問題となっていますが、同社はそうし た副作用がない遺伝子医薬の開発に特化し、そのグローバルイノベーターとして、 設立来研究開発に注力してきました。開発には膨大な時間とお金がかかりますの で、この間、株主や新たな株主になろうとする多くの投資家にも支えられながら、ビ ジネスを展開。コアの開発品であるHGF遺伝子治療薬コラテジェン®の最終開発段 階となる、ここから1~2年程度の期間を経て飛躍期に入ろうとしています。 現状の開発プロジェクトは、①HGF遺伝子治療薬コラテジェン®(重症虚血肢用途、 日本はP3試験に成功、第一三共と提携、米国はP3試験準備、田辺三菱製薬と提 携)/(リンパ浮腫用途、日本P1/ 2)、②NF-κ Bデコイオリゴ(皮膚疾患全般、全 世界、P3試験準備(軟膏剤)、塩野義と提携)/(腰痛症用途、日本は前臨床、日本 臓器と提携)/(血管再狭窄用途、日本、臨床開発、メディキットと提携)、③CIN治 療ワクチン/子宮頸部前癌、東大と臨床研究、日米英中での開発販売権、韓国バ イオリーダースから導入、④アロベクチン®/癌全般、米バイカル社と提携、日本と アジアの権利を保有、米国での失敗を踏まえ独自の適用を進める意向、となってい ますが、同社では今回の改正薬事法の施行をビジネスチャンスと見て、コラテジェン ®などに続く新たな遺伝子治療薬の検索をしていく可能性があります。 1999年の会社設立以来、同社が最も注力しているのが、虚血性疾患治療剤のコ ラテジェン®(HGF遺伝子治療薬)です。これは足の血管が詰まって最終的には切断 に至る重症虚血肢の患者に適用される治療薬です。この治療薬は注射器で下肢の 患部に注入された後、血管の新生により側副血行路(いわゆる血管のバイパス)を 形成し虚血状態を改善します。コラテジェン®はHGF(肝細胞増殖因子)遺伝子を含 むDNAプラスミドが原薬である遺伝子治療薬です。そもそもは1984年に大阪大学の 中村教授が肝臓の細胞を増やす因子として発見し、当初は肝臓病の治療薬として 研究されていました。1995年に同じ大阪大学の森下竜一博士(同社の創業時の有 力メンバー)がHGF遺伝子に血管新生作用があることを発見したことによって、その 4年後に同社が設立され、2001年から大阪大学内で臨床研究がスタートしました。 高い安全性が特徴の「非ウィルスベクター型」の遺伝子治療薬であるHGF遺伝子 治療薬コラテジェン®は、日本では既に第Ⅲ相(症例数40)の試験に成功。安全性、 有効性を検証済みです。日本の治験制度の下では医薬品候補に対し第Ⅰ相から 第Ⅲ相までの治験(有効性、安全性の確認)期間が約7年と長期を要し、待ち望ん でいる患者になかなか届かない状況がありました。 今回の改正薬事法では再生医療等(遺伝子治療を含む)製品の早期実用化に対 応した承認制度が今年の11月から開始されるため、治験から市販までの大幅な短 縮化が図られ、条件・期限を付して承認が得られることになります。既に、大阪大学 医学部附属病院を中心に国内8か所の国立大学において先進医療B制度を活用し た医師主導型臨床研究が9月よりスタート。約1年の試験期間を予定。治験終了後 にすみやかに申請に入る予定。予定通りだと2015年末から2016年前半に期限付き 条件付き承認制度による承認申請を行う計画です。同薬品はプレミアム加算で従 来品の30%から40%高い薬価が適用されるとの期待をしており、日本での対象患 者数は5,000人~2万人とやや現状は少ないのですが、高齢化とともに今後患者数 は増加していくと見られ、薬価を1クール100万円とした場合の市場規模は50億円か ら200億円と推定されます。 遺伝子医薬の開発に特化 HGF遺伝子治療薬 コラテジェン®の開発に注力 改正薬事法で日本での早期 実用化に期待 【重症虚血肢】 足や腕に行く動脈が詰まったり、細く なったりして血のめぐりが悪くなった 状態。重症患者はじっとしていても 手足に痛みを感じたり、足先に潰瘍 ができ傷口が治りにくくなる難病で 最終的には足を切断しないとならな くなる可能性があります。

アンジェスMG(東証マザーズ4563)

新規開発アイテムを模索 太字は自社開発品 細字は導入開発品 【申請後、販売までの過程と収益】 承認からローンチまで2,3か月と想 定。承認後に提携先の第一三共か らマイルストーン収入が入るととも に販売後は一定のロイヤリティが得 られることになります。順調に行っ て業績への貢献は2016年12月期 からになると見込まれます。

(3)

コラテジェン®の開発について米国では第Ⅱ相の臨床試験が終わった後、SPAの 合意がなされ、近く国際共同第Ⅲ相臨床試験に入る予定です。7月に米国で実施 施設がオープン。同試験と同様のデザイン&オープンラベルの小規模臨床試験が 開始され、目標の10例に対して5例の被験者への投与では既に痛みや潰瘍が改善 した例が報告されています。末梢性血管疾患を対象とした米国での独占的販売契 約を締結した田辺三菱製薬からマイルストーンに応じたライセンス報酬(臨床開始 時に契約一時金、また後半に厚くマイルストーン金、売上に応じた一定のロイヤリ ティが得られる契約でスタートから承認までの合計で約100億円)が得られる予定で す。今後3年程度の治験期間を経て米国での販売承認は得られると期待されます。 治療対象となる閉塞性動脈硬化症は糖尿病や高脂血症患者の合併症の一つで、 日本の民間調査会社の調査では米国での患者数は平成20年において約55万人と され、その市場規模は同社が獲得できそうな市場だけで1,000億円(潜在市場は 5,000億円と予測)と大きく、欧州市場も合わせると2,000億円の市場が想定されま すので、実用化されれば大きな収益源になると期待されます。 コラテジェン®の対象疾患は重症虚血肢や閉塞性動脈硬化症などのほか、虚血 性心疾患(日本での臨床準備中、米国では第Ⅰ相)、リンパ浮腫、パーキンソン病 (前臨床試験)にも適用が見込まれており、今後の開発が期待されています。とり わけ、リンパ浮腫への適用の場合、欧米において2,600億円(同社推定、円換算)と いう更に大きな市場が見込まれます。日本では既に原発性リンパ浮腫に対する臨 床POC(原理的に有効であることの証明)取得に向けた第Ⅰ/Ⅱ相の治験が始 まっており、2020年までには承認が期待されます。現在、リンパ浮腫に対する根本 的な治療法はなく、コラテジェンが新規治療薬となる可能性を秘めています。 欧米での開発も推進 米国での潜在市場規模5,000億円 ↓ 同社の獲得市場は1,000億円 欧州市場含めると2,000億円 【SPA=特別プロトコル査定】 Special Protocol Assessment 対象疾患、目的、試験の設計(評価 項目、用法、用量、症例数)、解析方 法などの詳細な取り決めに関して事 前合意し、試験終了後は合意内容を 変更せずにそのまま承認審査での承 認用件として認める制度 NF-κBデコイにも期待 自社開発のパイプラインとしてはコラテジェン®のほか現在、日本で第Ⅱ相の段階 にあるNF-κ Bデコイを軟膏剤として用いたアトピー性皮膚炎治療薬があります。こ れは皮膚吸収性を向上させた新製剤としても開発されています。これについては塩 野義製薬と提携し、日本だけではなく全世界での独占的販売権を許諾しています。 また、同社は血管再狭窄予防用にNF-κ Bデコイオリゴを塗布したPTAバルーンカ テーテルの開発も行っています。その開発製造販売契約を提携したメディキットと締 結し日本での臨床試験を2012年に開始しています。有効性と安全性の検証を経て 新規医療機器の上市を目指しています。NF-κ Bが関与する疾患としては、アトピー 性皮膚炎のほか、乾癬、関節リウマチ、多発性硬化症、喘息、がんなどがあります。 なお、同社は昨年3月26日に日本臓器製薬との間でNF-κ Bデコイオリゴを用いた 椎間板性腰痛症治療薬の日本における独占的開発販売契約を締結。国内の椎間 板障害の潜在患者数は200万人以上いると推定されており、新たなタイプの腰痛治 療薬として今後の開発が期待されます。 【NF-κ Bについて】 NFκ Bは、免疫反応を強める遺伝 子のスイッチである転写因子で、こ のNFκ Bに対するデコイを作成する ことで、アトピー性皮膚炎や関節リウ マチなど過剰な免疫反応を原因とす る病気の治療を目指しています。こ の治療法は、1995年に大阪大学大 学院の森下竜一寄附講座教授によ り発明されました。(同社HPより) リンパ浮腫治療などにも適用 【リンパ浮腫とは】 リンパ管の障害によりリンパ流が 停滞し発生する浮腫で根治療法 がないため患者にとって大きな負 担となっている。 CIN治療ワクチンの研究者 主導臨床試験結果に注目 子宮頸癌予防ワクチン (各国で発売済) CIN治療ワクチン HPV感染の 予防として 未感染者が 投与対象 高度異形成の 治療用として CIN3ステージ患者 が投与対象 HPV感染 防御が目的 前癌病変への 治療効果は無い 子宮頸癌の前癌病 変に対する治療薬 として開発 注射剤 経口剤 子宮頸がん予防ワクチンとCIN治療ワクチンと の違い 同社が韓国のバイオリーダース社(創製した企業)から導入したCIN治療ワクチン はHPVの特殊なタンパク質に対する特異的な細胞性免疫を子宮頸部へ効率的に 誘導することで高度異形成を伴う子宮頸がん前がん病変CIN3を消失させ、子宮 頸がんへの移行を回避できる安全性の高い世界初の画期的な経口ワクチンです。 このCIN治療ワクチンの探索的臨床試験は東京大学付属病院において2009年か ら開始され、既にステップ2の臨床まで進捗し、論文にまとめられつつあります。有 効性及び安全性の再現性が確認できて本治療ワクチンの有用性が検証された後、 臨床試験に入りますが、産学創薬の開発期間短縮の可能性があり、早期の上市 に向けた開発の進捗が期待されます。 同社はCIN治療ワクチンの国内外の独占的開発、製造販売権を取得。欧米に おける市場規模は500億円と想定。日本やアジア市場の規模はそれを上回る可能 性があります。なお、現在新聞などのメディアで多くの副作用が指摘されている HPV感染予防用の子宮頸がん予防ワクチンに対し、同社のCIN治療ワクチンは乳 酸菌をベースとしているため副作用を抑える経口剤として優位性があります。

(4)

一般社団法人 士業支援機構

Sep22, 2014

皮膚科領域での特許化推進 【直近取得の注目特許と取得年月】 1.血管新生療法用医薬組成物 2013年6月 2.デコイを含む薬学的組成物及びその使用 方法 2009年5月、2012年5月、8月 3.転写DNA結合部位を含むCDODN 2009年9月 2本 4.リンパ管新生促進材 2012年7月 5.核酸皮膚外用製剤 2011年6月、2012年4月

アンジェスMG(東証マザーズ4563)

IPDL(特許電子図書館)によると2014年9月18日現在、同社は33件の特許出願を 行っています。このうち12件に特許が下りており、審査請求中の出願特許は3件と なっています。2012年9月に出願した動脈硬化症を治療又は予防することができる DNAワクチンや同年8月に阪大、森下仁丹、ホソカワミクロンなどと共同出願した 核酸医薬経口製剤などに期待が寄せられます。また、血管新生療法用医薬組成 物やデコイを含む薬学的組成物及びその使用方法で取得された特許が3件あるほ か、核酸皮膚外科製剤で2件取得。最近の出願では血管の再生に絡むメチオン・ スルホキシドを含む新規ポリペプチド、椎間板疾患治療・組成物があり、転写DNA 結合部位を含む環状ダンベルデコイオリゴデオキシヌクレオチド(CDODN)につい て2件の特許を2009年9月に取得するなど創薬ベンチャーとしての生命線とも言え る特許化を推進しています。 【上場後の業績推移】 単位:100万円 決算期 売上 営業損 R&D 2002.12 1,794 513 1,726 2003.12 2,453 948 2,808 2004.12 2,696 1,561 3,679 2005.12 2,430 1,970 3,792 2006.12 2,912 1,523 3,852 2007.12 1,720 2,039 3,147 2008.12 951 2,684 2,912 2009.12 585 2,610 2,350 2010.12 286 2,010 1,440 2011.12 243 2,018 1,361 2012.12 444 1,785 1,200 2013.12 491 1,357 1,024 2014.12E 750 2,400 1,700 ~850 ~2,600 ~1,900 (2014年の計画は幅を持たせて公表) (今期R&Dは弊社推定) コラテジェン®の国内上市後 の営業黒字化に期待 創薬バイオベンチャーのキャッシュフローは開発が先行する段階では主として投 資家からの株式による資金調達があって成り立っています。開発パイプラインをい くつか用意しながら、前臨床試験、第Ⅰ相から第Ⅲ相までの臨床試験を経て製造 販売承認申請が行われ、審査の結果、承認されると医薬品としての販売が可能と なります。その間において独占的販売権など許諾した提携企業からは契約一時金 や開発フェーズに応じた開発協力金(マイルストーン)が得られますが、上市されて 売上が想定通り実現した場合は提携先からのロイヤリティ収入が入ってきます。そ の段階でのR&D費用を大きく上回るロイヤリティ収入やマイルストーンが入った場 合、大きく黒字化する可能性が出てきます。 同社の場合、上場後の12年間で約293億円(年間平均24億円)の研究開発費を 計上し、売上高の累積額約160億円に対して営業損の累計は約210億円となって います。つまり投資家にとっては遺伝子治療薬の実用化によって、利益率の高い 売上が大きく計上される一方で研究開発費が一定水準に留まれば営業黒字化も 夢ではなく収益への評価は一変する可能性があります。 企業評価の指標となる時価総額は開発パイプラインの内容や開発品の市場規 模等にもよりますが、米アムジェンなど既に大幅に業績を黒字化し成長している企 業の時価総額は数兆円規模となっており、日本発創薬バイオベンチャーの同社も こうした米国のバイオベンチャーの後を追って中期的には飛躍する可能性があり ます。とりわけ同社は中核開発品のコラテジェン®の国内での上市が改正薬事法 により早まる可能性が出てきましたので、2016年以降の営業利益の赤字縮小ない し黒字化に期待されます。 上場創薬ベンチャーの時価総額上位20社のうち5社は2000年代前半に上場。同 社もそのうちの1社です。既にそーせいグループの業績が今期より大幅に黒字化 が見込まれていますが、日本を代表する創薬ベンチャーである同社も開発の進捗 によっては2016年以降の黒字化が見込まれ、ランキング上位企業並みの評価が なされる時期がやってくるものと期待されます。 企業名(コード・市場) 時価総額 経常損益 上場来高値 直近安値 時価 1.ペプチドリーム(4587M) 1,384 570 17,740(2013.10) 5,170(2014.5) 10,300 2.3Dマトリックス(7777JQ) 740 4,500 6,575(2013.5) 2,990(2014.5) 3,495 3.そーせいG(4565M) 652 2,000 9,000(2004.7) 1,854(2014.4) 4,745 4.ナノキャリア(4571M) 539 ▲1,930 5,630(2013.5) 885(2014.5) 1,339 5.ジーエヌアイG(2160M) 465 ▲ 200 840(2013.5) 228(2014.4) 413 6.リプロセル(4978JQ) 440 ▲ 180 3,722(2013.7) 643(2014.5) 879 7.デ・ウェスタンS(4576JQ) 389 ▲ 240 3,755(2013.5) 724(2014.4) 1,711 8.アキュセラ(4589M) 322 85 2,460(2014.2) 520(2014.5) 904 9. UMNファーマ(4585M) 321 ▲3,400 9,830(2013.4) 2,020(2014.3) 3,405 10.カイオム・バイオS(4583M) 284 ▲1,040* 5,320(2013.1) 1,110(2014.5) 1,402 11.オンコセラピーS(4564M) 249 ▲3,000 1,753(2003.12) 105(2014.5) 170 12.テラ(2191JQ) 225 ▲ 350 4,970(2013.5) 978(2014.5) 1,633 13.メディネット(2370M) 220 ▲1,450 3,260(2003.12) 193(2014.5) 249 14.アンジェスMG(4563M) *192 ▲2,500 5,595(2003.2) 280(2014.5) 296 15.メドレックス(4586M) 93 40 7,500(2013.5) 1,200(2014.4) 1,391 16.シンバイオ製薬(4582JQ) 89 ▲1,700 1,580(2013.5) 191(2014.5) 292 17.ヒューマンメタボ(6090M) 87 40 5,920(2014.1) 1,172(2014.5) 1,662 18.メディビックG(2369M) 85 18 3,960(2003.10) 254(2014.8) 292 19.ラクオリア(4579JQ) 82 ▲1,700 2,042(2013.5) 465(2014.5) 594 20.オンコリスバイオ(4588M) 79 ▲1,030 3,750(2013.12) 556(2014.5) 858 【創薬バイオベンチャー時価総額 上位20社の経常損益見通し】 M=東証マザーズ JQ=東証JASDAQ 時価総額は9月19日現在 単位:億円、百万円、円 今期予想経常利益は会社公表値な いし東洋経済四季報春号を参照 同社の場合は公表計画幅の中間値 *9か月変則決算 *同社の時価総額は新株予約権の 完全行使後発行済み株式数6,480万 株×時価で計算して表示 老舗の創薬ベンチャーとして 開発の進捗に期待

(5)

開発費が先行して必要なため、キャッシュインが可能な医薬品が上市される間は 絶えず資金調達が必要で、調達ができない場合の財務上のリスクが考えられます。 開発パイプラインはいくつかありますが、それぞれ計画ほど進捗しない場合のリスク があります。また、それに伴い提携企業からのマイルストーン収入が見込めない場 合にリスクとなります。更に画期的なライバル薬の登場や開発費が想定以上に嵩ん だ場合はリスクとなります。人材の社外流出、現経営者に対しての依存度が高いこ と、新株予約権の行使が思ったほど進まない可能性があることなどのリスクが考え られます。 《レポートにおける免責・注意事項》 当資料は、情報提供を目的としており、金融商品に係る売買を勧誘するものではありません。記載されている内容は投資 判断の参考として証券アナリストとしての見解をお伝えするもので、内容の正確性、完全性を保証するものではありません。 銘柄の選択・売買時期の決定など投資に関する最終決定は、お客様ご自身の責任と判断でなさるようお願いいたします。 また、当資料の一部または全てを利用することにより生じたいかなる損失・損害についても責任を負いません。 当資料の一切の権利は一般社団法人士業支援機構に帰属しており、無断での複製、転送、転載等を禁じます。 本レポートの作成者: 松尾 範久(公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員) 所属団体:一般社団法人 士業支援機構 http://www.shigyo-shien.org/ 〒160-0022 東京都新宿区新宿2-13-10 武蔵野ビル5F TEL(FAX): 03-3353-5106/090-3426-7563 e-mail:[email protected] リスク要因 新株予約権の行使結果に注目 コラテジェン®をはじめとした新薬の開発には今後50億円~60億円の資金が必 要と見られます。コラテジェン®の開発に加えて海外で既に開発・販売されている 高薬価が期待されるナグラザイムに続く新たなオーファンドラッグ(希少疾患用医 薬品)の導入開発にも同社は関心を寄せており、今後の具体化が見込まれます。 こうした新たなパイプラインの導入も企図している同社は本年4月14日のフォレスト フィールド1号投資事業有限責任組合に対する113万株の第三者割当増資(発行 価格440円)で5億円の資金調達を行ったのに続き、全株主への新株予約権(行使 価格288円)の割り当てを伴うライツ・オファリング(行使期限は9月末)を実施。すべ てが行使された場合は3,240万株が新たに発行され、約90億円の資金調達が実現 します。この資金調達額は必要資金に比べやや多いとの印象が持たれますが、同 社ではコラテジェン®の重症虚血肢を対象疾患とした国際共同第Ⅲ相臨床試験や 運転資金に充当するとしており、同分野でのコラテジェンの最終開発に向けての重 要な資金となると考えられます。 新株予約権の売買は9月22日まで、権利行使の期日は9月30日、手続き上の問 題から実質的には9月29日となります。最終的な行使がどの程度となるか大いに 注目されます。株主はこの発表(7月22日)を受けてネガティブな反応を示しており、 発表後の株価は484円高値から295円の安値まで売られています。同社の株主は、 短期売買を主目的にした投資家も多いと見られ、浮動株比率は44%とされます。 つまり約3,240万株の対象発行済み株式数のうち、1,425万株は流動的で保有して いる株式を一旦売却して新株予約権の行使に備えた可能性があります。そこで発 表後の出来高の累計を集計したところ2,700万株余りが売買されていることがわか りました。9月18日現在の行使株数については1,073万2,350株(金額ベースでは30 億円、比率では33%)と公表されたことで安心感につながると期待されます。同社 では9月30日までの更なる権利行使に期待を寄せています。親株の換金売りは権 利行使価格288円を意識してのものと推察されますが、既に株価的には296円とい う水準となり、これ以上の下落は考えにくいと思われます。売り急ぎが解消し、中 長期的な買いが入ってくることで今後の株価反転の可能性が感じられます。 【7月22日以降の株価と出来高推移】 (単位:円、万株) 始-高-安-終 出来高 7.22‐25 484-484-385-411 528 7.28-8.1 335-376-333‐339 288 8.4-8 336-409-314-341 460 8.11-15 357-377-328-344 233 8.18-22 350-362-333-336 146 8.25-29 333-373-333‐344 258 9.1-5 343-350-308-314 246 9.8-12 317-324-305-311 300 9.16-19 318-319-295-296 246 7.22-9.19 336-484-295-296 2705 新株予約権行使価格288円 短期目標株価: 直近の高値安値の中間値389円 中期目標株価:562円(本年6月高値) 長期目標株価:800円 (時価総額500億円超) 今期はナグラザイム®の販売 増で増収見込み 今12月期はナグラザイム®の売上増(年間3億円)及びコラテジェン®の契約一時金 収入(約5億円)で事業収益は7億50百万円から8億50百万円、営業利益以下はコラ テジェン®の研究開発が日米で本格化するためR&D費の増加を見込んでおり、26 億円から24億円の赤字が見込まれます。来2015年12月期も赤字が継続する可能 性がありますが、2016年12月期以降は黒字化が期待されます。

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