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知識が鍵を握る高齢期の生活設計

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1 / 16 2021

5

21

政策研究レポート

知識が鍵を握る高齢期の生活設計

貯蓄の枯渇を防ぐ②

政策研究事業本部 共生・社会政策部 研究員 古賀祥子

<結果概要>

本稿では、高齢者における将来の生活設計およびその見通しの状況を確認し、お金や制度に関する知識量との 関係について分析を行った。

高齢者が生活設計上想定している寿命は、性、年齢階級、就業状況に関わらず、実際の平均寿命より短いこと がわかった。60歳代では男性で

3~4

年、女性で

6~7

年短く、70歳代女性でも

5~7

年短く設定されていた。

将来の生計の見通しでは、性、年齢、就業状況に関わらず、「いずれの方法でも賄えそうにない」割合が

4

分の

1

を占めていた。想定寿命の見積もりの短さを考慮すると、貯蓄の取り崩しで生活が賄えると回答している約

4

割 についても、取り崩し期間が想定よりも長期化して、貯蓄高が枯渇するリスクがある。

高齢期のお金や制度に関する知識量が多い人ほど、長寿化に対する備えを行い、民間の医療保険や介護保険 の加入率が高いという傾向がみられた。また、知識量が多い人は、想定寿命をより長く設定しており(現実的な寿 命に近づく)、現在の貯蓄高などで将来の生計見通しで賄えるとする割合が高かった。

貯蓄高が

300

万円未満の世帯であっても、知識量が多いほど、収入額に応じて月額支出額を柔軟に決める、民 間の医療保険に加入する、体力・気力が続くまでは就労を継続するなどの対応を行っており、約

7

割が将来的に 生計は賄えると回答していた。

高齢期のお金や制度に関する知識は、高齢期の生活設計において重要な役割を果たしていることが分かったこ とから、今後は、壮年期、中年期から晩年まで高齢期の生活設計について学び、相談できる環境整備が必要と 考えられる。

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1. はじめに

高齢化が進展し、人生

100

年時代と言われる現在、我が国においては年々寿命が伸長(長寿化)しており、2019年に は平均寿命が男性

81.41

歳、女性

87.45

歳となった1。長寿化は大変喜ばしい一方、退職後の生活期間が延びることで、

高齢期の生活費をどのように確保するかという課題も大きくなる。令和元年度に内閣府が行った調査2によると、60歳以上 の約

3

割が、経済面で最も不安なこととして「収入や貯蓄が少ないため、生活費がまかなえなくなること」を挙げている。今 後、公的年金の給付水準の低下が見込まれる中で、限られた収入源をどのように活用して長寿化に備えるか。戦略的な 生活設計を行うことがより重要になると思われる。

本稿では、三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)が、60~79歳の高齢者

3,150

人を対象として実施したアンケート 調査(アンケートの概要は

P.16

に掲載)の結果をもとに、現在の高齢者が、生活設計上の寿命をどのように設定している のか、生計の見通しをどのように考えているのかを確認した。また、その見通しと高齢期のお金・制度に関する知識量との 関係について分析を行った。

2. 高齢者の生活の見通し

(1) 生活設計上の想定寿命

◆生活設計上の想定は 60

歳代で

80

歳前後であり、高齢になるほど長くなる

高齢者の生活の見通しを考えるにあたって、まず、何歳まで生きることを想定して生活設計を行っているかを確認する。

年齢階級別に生活設計上の想定寿命をみると(図表 1)、すべての世代で「特に想定していない」が最も多かった。「特 に想定していない」を除くと、60歳代では、「80歳くらい」が約

2

割で最も多く、次いで「85歳くらい」が約

15%であった。

実際の平均寿命と比較すると短めの設定となる「70歳くらい」「75歳くらい」を合わせた割合は、約

1

割であった。

また、生活設計上の寿命を

85

歳よりも長く想定している割合は、「60-64歳」で

24.3%、「65-69

歳」で

28.1%、「70-74

歳」で

29.4%、「75-79

歳」で

40.9%と、高齢になるほど高まっている。生活設計上の平均寿命の平均値(図表 2)をみて

も、「60-64歳」で

81.4

歳、「65-69歳」で

82.3

歳、「70-74歳」で

83.9

歳、「75-79歳」で

85.8

歳となっており、年齢を重 ねると徐々に想定寿命を後ろ倒しにしていることが窺える。

1 「簡易生命表(令和元年)」(厚生労働省)

2 「令和元年度 高齢者の経済生活に関する調査結果(概要版)」(内閣府)

https://www8.cao.go.jp/kourei/ishiki/r01/gaiyo/index.html

(3)

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3 / 16

図表 1 生活設計上の想定寿命 〔年齢階級別〕

(注)設問では「貯蓄の取り崩しなど、何歳までの生活設計を想定していますか」と尋ねている

図表 2 生活設計上の想定寿命の平均値等 〔年齢階級別〕

(単位:歳)

平均値 標準偏差 中央値

60-64

81.4 6.3 80.0

65-69

82.3 6.3 80.0

70-74

83.9 5.7 85.0

75-79

85.8 5.7 85.0

(注)「70歳ぐらい」を選択した人は

70

歳、「75歳ぐらい」を選択した人は

75

歳、「80歳ぐらい」を選択した人は

80

歳、「85歳ぐらい」を選択 した人は

85

歳、「90歳ぐらい」を選択した人は

90

歳、「95歳ぐらい」を選択した人は

95

歳、「100歳以上」を選択した人は

100

歳で平均値 を算出した。

◆姓・年齢階級・就業状況に関わらず、生活設計上の寿命は平均寿命より短い(60

歳代では男性:3歳強、女性:6~7歳 程度短い)

次に、生活設計上の想定寿命をより詳細にみていく。令和元年度簡易生命表(厚生労働省)を使用して、回答者の現 在の年齢から平均寿命3を算出し、退職想定年齢、生活設計上の想定寿命との比較を行った結果が、図表 3 である。性、

年齢階級、就業状況に関わらず、生活設計上の想定寿命は、平均寿命よりも短く想定されていることがわかる。

男性についてみると、生活設計上の想定寿命と平均寿命の差は、主に仕事に従事している「60-64 歳」では

3.7

年、

「65-69歳」では

3.8

年、それ以外の就業状況の「60-64歳」では

3.4

年、「65-69歳」では

3.2

年と、60歳代ではいずれ も

3

年以上の乖離がある。女性についてみると、その差がさらに大きくなり、主に仕事に従事している「60-64歳」では

7.9

年、「65-69 歳」では

7.5

年、それ以外の「60-64歳」では

6.1

年、「65-69 歳」では

6.5

年の差が生じている。女性は

70

歳代になっても、生活設計上の想定寿命を平均寿命より

5~7

年程度短く想定しており、女性は本人が想定しているより も実際には相当の期間を長生きするケースが多いと考えらえる。

3 ここで言う平均寿命は、回答者の平均年齢に対応する平均余命を足し合わせたものである。

2.8%

5.4%

3.5%

0.5%

1.3%

6.3%

8.5%

9.7%

4.8%

1.2%

17.2%

19.8%

17.9%

18.1%

11.9%

17.0%

15.0%

15.9%

16.6%

21.1%

10.1%

7.6%

9.7%

9.2%

14.7%

2.0%

1.0%

1.7%

2.5%

3.1%

1.1%

0.7%

0.8%

1.1%

2.1%

35.8%

32.9%

33.2%

40.2%

37.2%

7.8%

9.0%

7.6%

7.0%

7.5%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

Total

60-64

65-69

70-74歳

75-79歳

(n=3159)(n=832)(n=832)(n=813)(n=682)

70歳ぐらい 75歳ぐらい 80歳ぐらい 85歳ぐらい 90歳ぐらい

95歳ぐらい 100歳以上 特に想定していない 分からない

(4)

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4 / 16

◆退職想定年齢から平均寿命までの期間は、男性で約 10~15

年間、女性で約

10~20

年間

主に仕事に従事している人について、退職も含めた生活の想定をみると(図表 3)、男性については、「60-64 歳」では、

今から

6.6

年後の

68.5

歳に退職し、退職の

12.1

年後の

80.6

歳に生活設計上の寿命を迎える想定である。「65-69歳」

では

5.5

年後の

72.3

歳に退職し、その

9.1

年後の

81.4

歳に想定寿命を迎え、「70-74歳」では

5.0

年後の

76.4

歳に退 職し、その

7.0

年後の

83.4

歳に想定寿命を迎え、「75-79歳」では

3.5

年後の

80.1

歳に退職し、その

6.2

年後の

86.3

歳に想定寿命を迎えることを想定している。女性については、「60-64歳」では

6.4

年後の

68.1

歳に退職し、その

13.3

年 後の

81.4

歳に想定寿命を迎え、「65-69歳」では

5.1

年後の

71.9

歳に退職し、その

10.4

年後の

82.3

歳に想定寿命を 迎え、「70-74歳」では

5.5

年後の

76.9

歳に退職し、その

8.2

年後の

85.1

歳に想定寿命を迎え、「75-79歳」では

4.8

年 後の

81.5

歳に退職し、その

3.1

年後の

84.6

歳に想定寿命を迎えることを想定している。

高齢になるほど、現在から退職想定年齢までの期間(就労を継続する期間:表中の【ア】)、退職想定年齢から生活設

...

計上の想定寿命

.......

までの期間(就労収入以外の方法で生活を支える想定

..

期間:表中の【イ】)は短くなる傾向がみられた。

また、退職想定年齢から平均寿命

....

までの期間、すなわち、就労収入以外の方法で生活を支えることになる現実的な

....

(表中の【エ】)をみると、男性では「75-79歳」が最も短く

8.0

年間、「60-64歳」が最も長く

15.8

年間、女性では「75-79 歳」が最も短く

9.8

年間、「60-64歳」が最も長く

21.2

年間となっている。

図表 3 回答者の年齢、退職想定年齢、生活設計上の想定寿命(平均値)

〔性・年齢階級・就業状況別〕

【男性】

【ア】「現在の年齢」から

「退職想定年齢」までの年数

【イ】 「退職想定年齢」から

「生活設計上の想定寿命」までの 年数

【ウ】 「生活設計上の想定寿命」

から「平均寿命」までの年数

【エ】 「退職想定年齢」から

「平均寿命」までの年数

(イとウを足した期間)

主に仕事 に従事し ている人

60-64 6.6 12.1 3.7 15.8

65-69 5.5 9.1 3.8 12.9

70-74 5.0 7.0 2.8 9.8

75-79 3.5 6.2 1.8 8.0

61.9

66.8

71.4

76.6 68.580.684.3 72.381.485.2 76.483.486.2 80.186.388.1

0歳 10歳 20歳 30歳 40歳 50歳 60歳 70 80歳 90歳 100歳

60-64歳 65-69歳 70-74歳 75-79歳

現在の年齢 退職想定年齢 生活設計上の想定寿命 平均寿命

2.8年 1.8年

62.2

67.0

71.8

76.8 80.984.3 82.185.2 83.286.2 85.388.1

0 10歳 20歳 30歳 40歳 50歳 60歳 70 80歳 90歳 100歳

60-64歳 65-69歳 70-74歳 75-79歳

現在の年齢 生活設計上の想定寿命 平均寿命

3.4年 3.2年 3.0年 2.8

3.7 3.8年

<主に仕事に従事している人> <それ以外>

就労収入以外の方法で生活を支える期間

想定ベース 現実ベース

就労を継続する期間

(5)

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5 / 16

【女性】

【ア】 「現在の年齢」から

「退職想定年齢」までの年数

【イ】 「退職想定年齢」から

「生活設計上の想定寿命」までの 年数

【ウ】 「生活設計上の想定寿命」

から「平均寿命」までの年数

【エ】 「退職想定年齢」から

「平均寿命」までの年数

(イとウを足した期間)

主に仕事 に従事し ている人

60-64 6.4 13.3 7.9 21.2

65-69 5.1 10.4 7.5 17.9

70-74 5.5 8.2 5.3 13.5

75-79 4.8 3.1 6.7 9.8

(注

1)「退職想定年齢」は、現在、主に仕事に従事している人にのみ尋ねている

(注

2)「生活設計上の想定寿命」は、「70

歳ぐらい」を選択した人は

70

歳、「75歳ぐらい」を選択した人は

75

歳、「80歳ぐらい」を選択した人

80

歳、「85歳ぐらい」を選択した人は

85

歳、「90歳ぐらい」を選択した人は

90

歳、「95歳ぐらい」を選択した人は

95

歳、「100歳以上」を 選択した人は

100

歳で平均値を算出した

(注

3)「平均寿命」は、令和元年簡易生命表をもとに、回答者の現在の年齢から算出した

(2) 将来の生計の見通し

◆4

分の

1

が生計を賄えない見通しであり、想定寿命の見積もりが短いことで貯蓄高枯渇となる危険も では、60-79歳の高齢者は、自身の将来の生計の見通しをどう考えているか。

性・年齢階級・就業状況別に将来の生計の見通し(図表 4)をみると、性別に関わらず、全体としては「公的年金と貯蓄 の取り崩しで賄えそうである」が最も多い。

主に仕事に従事している人については、性・年齢階級を問わず、「公的年金と当面の就労収入で賄えそうである」、「公 的年金と、当面の就労収入と、貯蓄の取り崩しで賄えそうである」を合わせた割合が

4~5

割あり、公的年金や貯蓄に就労 を組み合わせて生計を立てる想定である人が半数程度を占めることがわかる。

それ以外の人については、性・年齢階級を問わず、「公的年金と貯蓄の取り崩しで賄えそうである」が

3~4

割あり、高 齢になるほど「公的年金で賄えそうである」の割合が高まる傾向があった。

一方、「いずれの方法でも賄えそうにない」割合が、全ての状況でおよそ

4

分の

1

を占めていた。前述の通り、生活設 計上の想定寿命が、実際の平均寿命よりも短いことを踏まえると、生計を賄えない人はより多くなることが想定される。特に、

貯蓄の取り崩しを想定している約

4

割は、取り崩し期間が想定よりも長期化すると、貯蓄高が枯渇する危険性が考えられ る。

61.8

66.8

71.4

76.8

68.1 71.9

76.9

81.5

81.4 82.3 85.1 84.6

89.3 89.8 90.4 91.3

0歳 10歳 20歳 30歳 40歳 50歳 60歳 70歳 80歳 90 100歳

60-64歳 65-69歳 70-74歳 75-79歳

現在の年齢 退職想定年齢 生活設計上の想定寿命 平均寿命

5.3年 6.7

7.9年 7.5年

<主に仕事に従事している人>

62.0

66.9

71.6

76.8 83.289.3 83.389.8 84.490.4 86.491.3

0歳 10歳 20歳 30歳 40歳 50歳 60 70歳 80歳 90歳 100歳

60-64歳 65-69歳 70-74歳 75-79歳

現在の年齢 生活設計上の想定寿命 平均寿命

6.1年 6.5 6.0年 4.9年

<それ以外>

(6)

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図表 4 将来の生計の見通し 〔性・年齢階級・就業状況別〕

【男性】

【女性】

16.4%

6.5%

7.5%

7.6%

2.2%

10.4%

16.3%

23.0%

29.4%

9.1%

17.2%

24.7%

15.2%

20.0%

6.5%

6.7%

3.6%

2.5%

30.4%

15.3%

12.3%

21.2%

26.7%

33.8%

36.7%

36.3%

38.7%

12.3%

25.6%

26.7%

16.7%

15.6%

10.4%

9.6%

6.0%

4.3%

5.8%

6.5%

5.5%

4.5%

4.4%

8.5%

5.6%

6.3%

3.6%

26.0%

28.8%

23.3%

34.8%

31.1%

30.3%

25.2%

24.8%

21.5%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

Total

主に仕事に従事_60-64歳

主に仕事に従事_65-69歳

主に仕事に従事_70-74

主に仕事に従事_75-79歳

それ以外_60-64

それ以外_65-69

それ以外_70-74歳

それ以外_75-79

(n=1553)(n=215)(n=146)(n=66)(n=45)(n=201)(n=270)(n=331)(n=279)

公的年金で賄えそうである

公的年金と当面の就労収入で賄えそうである 公的年金と貯蓄の取り崩しで賄えそうである

公的年金、当面の就労収入、貯蓄の取り崩しで賄えそうである 上記以外の方法で賄えそうである

いずれの方法でも賄えそうにない

16.4%

6.5%

6.6%

6.4%

8.8%

16.1%

18.0%

27.1%

29.0%

11.7%

19.8%

28.9%

25.6%

22.1%

1.1%

2.4%

1.4%

2.1%

26.7%

16.1%

15.2%

15.2%

17.6%

37.6%

38.5%

33.7%

34.8%

12.7%

25.4%

19.9%

18.4%

22.1%

9.7%

5.4%

4.8%

2.8%

5.5%

6.2%

4.3%

5.6%

4.4%

7.5%

4.9%

6.5%

4.5%

27.0%

26.0%

25.1%

28.8%

25.0%

28.0%

30.7%

26.5%

26.9%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

Total

主に仕事に従事_60-64歳

主に仕事に従事_65-69歳

主に仕事に従事_70-74歳

主に仕事に従事_75-79歳

それ以外_60-64歳

それ以外_65-69歳

それ以外_70-74歳

それ以外_75-79歳

(n=1606)(n=323)(n=211)(n=125)(n=68)(n=93)(n=205)(n=291)(n=290)

公的年金で賄えそうである

公的年金と当面の就労収入で賄えそうである 公的年金と貯蓄の取り崩しで賄えそうである

公的年金、当面の就労収入、貯蓄の取り崩しで賄えそうである 上記以外の方法で賄えそうである

いずれの方法でも賄えそうにない

(7)

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7 / 16

3. 高齢期の生活の見通しと知識量の関係

ここからは、高齢者の生活の見通しについて、高齢期のお金や制度に関する知識量の観点から分析を行う。

本アンケート調査では、高齢期のお金や制度に関する知識の状況を把握するため、「人生

100

年時代について」、「健 康寿命」、「公的年金が終身年金であること」、「公的年金の繰り下げ受給」、「医療保険の高額療養費制度」の

5

項目につ いての理解度を尋ねた。「理解している」という回答は

2

点、「聞いたことがある」という回答は

1

点、「聞いたことがない」と いう回答は

0

点として、回答の合計点(0~10点)を算出した。ここでは、得点が高いほど、高齢期のお金や制度に関する 知識が多いとみなしている。

(1) 性・年齢階級、貯蓄高と知識量の関係

◆高齢、貯蓄高が多いほど幅広い知識を持つ傾向にある

性・年齢階級別に知識量の分布(図表 5)をみると、性別によって差はないが、高齢になるほど幅広い知識を持つ傾向 がみられる。この背景には、年齢が上がるほど、調査項目である公的年金や高額療養費制度の利用者が増え、実際に制 度に触れる機会が高まることが推察される。

また、貯蓄高別にみると、資産残高が多いほど幅広い知識を持つ。「5点以下」の割合は、「1000万円以上」が

17.2%、

「500-1000 万円未満」が

27.1%、「300-500

万円未満」が

28.0%なのに対し、「300

万円未満」では約半数を占めてお り、貯蓄高が

300

万円未満の世帯については、高齢期のお金や制度について知識が少ないことが分かる。

図表 5 知識量の分布 〔性・年齢階級、世帯の貯蓄高別〕

15.2%

11.5%

11.8%

13.2%

13.1%

15.1%

17.5%

19.1%

21.0%

11.1%

15.5%

14.3%

19.8%

14.5%

11.1%

14.9%

13.9%

18.7%

12.7%

12.5%

18.1%

15.1%

10.2%

14.2%

14.9%

18.8%

17.4%

16.6%

18.8%

19.7%

16.5%

14.9%

18.3%

19.9%

13.6%

14.3%

15.6%

17.7%

21.6%

12.1%

12.5%

14.7%

11.5%

14.8%

9.9%

11.5%

7.8%

14.5%

8.9%

14.2%

13.3%

12.3%

11.2%

9.9%

13.0%

10.8%

12.8%

12.0%

11.1%

11.8%

8.0%

9.6%

12.5%

12.8%

10.3%

29.6%

38.5%

26.9%

30.8%

24.0%

35.3%

29.1%

23.2%

27.8%

45.9%

28.0%

27.1%

17.2%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100 %

Tota l(n=3159)

男 性_60-64歳(n=416)

男 性_65-69歳(n=416)

男 性_70-74歳(n=416)

男 性_75-79歳(n=358)

女 性_60-64歳(n=416)

女 性_65-69歳(n=416)

女 性_70-74歳(n=397)

女 性_75-79歳(n=324)

300万 円 未 満(n=832)

300-500万 円 未 満(n=704)

500-1000万 円 未 満(n=791)

1000万 円 以 上(n=832)

帯の貯蓄高別

10点 9点 8点 7点 6点 5点 以 下

(8)

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(2) 生活設計上の想定寿命

◆幅広い知識があると、想定寿命を長く設定する(現実的な寿命に近い)傾向にある

知識量によって、生活設計上の想定寿命はどう変化するか。

図表 6では、年齢階級・知識量別に、退職想定年齢と生活設計上の想定寿命の平均値を示した。退職想定年齢につ いては、知識量によって大きな差はなかったが、生活設計上の想定寿命については、幅広い知識を持つほど想定寿命を 長く設定する傾向がみられる。例えば、60-64 歳では、高齢期のお金や制度に関する知識量が多い「9-10 点」では生活 設計上の想定寿命が

83.2

歳なのに対し、知識量の少ない「4点以下」では

79.3

歳と、3.9年間の差がある。参考として、

それぞれの年齢階級で、知識量の多い「9-10点」の生活設計上の想定寿命から、「7-8 点」、「5-6 点」、「4点以下」の想 定寿命を差し引いた年数を示しているが、知識量の多い「9-10点」は、知識量の少ない「4点以下」よりも

60

歳代では

4

~5年、70歳代では

2~3

年長く生きると想定しているとわかる(赤字の箇所)。

図表

6

退職想定年齢、生活設計上の想定寿命の平均値 〔年齢階級・知識量別〕

(単位:歳)

退職想定年齢 生活設計上の 想定寿命

【参考】各年齢の

9-10

(

)

と の生活設計上の想定寿命の差

Total 72.0 83.2

60-64

9-10

68.9 83.2★

7-8

68.1 81.2 2.0

5-6

68.3 80.6 2.6

4

点以下

68.1 79.3 3.9

65-69

9-10

72.4 84.3★

7-8

72.1 81.8 2.5

5-6

72.3 81.2 3.0

4

点以下

71.6 79.7 4.6

70-74

9-10

76.4 85.3

7-8

77.3 83.4 1.9

5-6

75.6 82.9 2.4

4

点以下

77.1 82.0 3.3

75-79

9-10

81.1 86.8

7-8

80.0 85.7 1.1

5-6

80.9 84.9 1.9

4

点以下

80.9 84.5 2.3

(注

1)「退職想定年齢」は、現在、主に仕事に従事している人にのみ尋ねている

(注

2)「生活設計上の想定寿命」は、「70

歳ぐらい」を選択した人は

70

歳、「75歳ぐらい」を選択した人は

75

歳、「80歳ぐらい」を選択した人

80

歳、「85歳ぐらい」を選択した人は

85

歳、「90歳ぐらい」を選択した人は

90

歳、「95歳ぐらい」を選択した人は

95

歳、「100歳以上」を 選択した人は

100

歳で平均値を算出した

(注

3)「年齢階級ごとの 9-10

点(★)との想定寿命の差」は、各年齢階級において、知識量が「9-10点」の生活設計上の想定寿命から、「7-8 点」、「5-6点」、「4点以下」の生活設計上の想定寿命を差し引いた年数を示した

(3) 長寿化対策の状況

◆幅広い知識があると、長寿化への備えや保険加入等を行う傾向にある 次に、知識量によって、長寿対策の状況がどのように異なるかをみる。

図表 7 では、「平均余命等を目安に取り崩せる貯蓄額を自分で計算したことがある人」の割合を示している。幅広い知 識を持つ人ほどその割合が高く、最も幅広い知識を持つ「10点」では、約

4

割が計算を行っている。また、長寿化の支出 の増加に対する備え(図表 8)について、「何らかの取組を行っている」割合は、知識量の少ない「5 点未満」が

33.3%な

のに対し、最も知識量の多い「10点」では

61.4%となっている(100%から、「特に取り組んでいない」の割合を差し引いた

(9)

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9 / 16

もの)。これらのことから、幅広い知識を持つことで、高齢期の生活のために貯蓄取り崩しの目安額を算出し、戦略的に長 寿化対策に取り組んでいる姿が窺える。また、民間の医療保険、介護保険への加入率(図表 9)も知識量が増えるにした がって高まっており、知識があるほど、医療や介護等の緊急時の備えもできていると考えられる。

図表 7 平均余命等を目安に取り崩せる貯蓄額を自分で計算したことがある割合

図表 8 長寿化による支出の増加に対する備え(複数選択)

20.7%

37.2%

27.0%

23.7%

16.5%

16.6%

10.7%

0.0% 10.0% 20.0% 30.0% 40.0%

自分自身で独自に計算(概算含む)したことがある

(n=3159) Total (n=479) 10点 (n=459) 9点 (n=549) 8点 (n=381) 7点 (n=355) 6点 (n=936) 5点以下

13.5%

28.0%

7.3%

4.3%

0.7%

55.1%

18.8%

35.9%

13.8%

8.6%

1.5%

38.6%

17.0%

34.0%

10.0%

5.0%

0.4%

45.8%

12.9%

32.4%

6.9%

3.5%

0.7%

51.7%

10.0%

28.1%

6.3%

3.9%

0.5%

58.0%

13.2%

24.5%

5.4%

2.8%

0.6%

60.8%

10.9%

19.9%

4.2%

3.0%

0.6%

66.7%

0.0% 10.0% 20.0% 30.0% 40.0% 50.0% 60.0% 70.0% 80.0%

より長い期間(高年齢になるまで)働き、貯蓄額を増やす

毎月の支出(消費)額を抑制し、貯蓄額を維持する

長生きに備えた貯蓄額を別に取り分ける(高年齢になるま で手を付けない貯蓄額を決める)

生涯年金などの長生きに備えた金融商品を購入・保有する

その他

特に取り組んでいない

(n=3159) Total (n=479) 10点 (n=459) 9点 (n=549) 8点 (n=381) 7点 (n=355) 6点 (n=936) 5点以下

(10)

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図表 9 医療保険、介護保険の加入状況(複数選択)

(4) 将来の生計の見通し

◆金融資産が少なくとも、幅広い知識を持つことで将来の生計を賄える傾向がみられる 知識量によって、将来の生計見通しがどのように異なるかをみる。

将来の生計の見通しをみると(図表 10)、いずれの貯蓄高においても、知識量が多いほど「いずれの方法でも賄えそう にない」の割合が低い。すなわち、様々な収入源を組み合わせることで生計が賄えると考えている割合が高い。貯蓄高別 にみると、貯蓄高が少ないほど「いずれの方法でも賄えそうにない」の割合が高くなるが、知識量の多い「9-10 点」に着目 すると、貯蓄高が

300

万円未満、300-500万円未満であっても、約

7~8

割が何らかの手段で賄えるとしている(100%か ら、「いずれの方法でも賄えそうにない」の割合を差し引いたもの)。

貯蓄高が

300

万円未満の世帯に着目して、長寿化対策の状況(参考資料

1~3)をみると、幅広い知識があると、収入

額に応じて月額支出額を柔軟に決める、医療保険に加入する、体力・気力が続くまでは就労を継続するなどの対応を行 っており、知識があることで戦略的に生計を構築していると考えられる。

56.8%

8.5%

65.1%

9.4%

64.3%

10.5%

61.4%

8.4%

57.0%

8.7%

56.1%

6.5%

46.3%

8.0%

0.0% 10.0% 20.0% 30.0% 40.0% 50.0% 60.0% 70.0%

医療保険(民間)に加入している

介護保険(民間)に加入している

(n=3159) Total (n=479) 10点 (n=459) 9点 (n=549) 8点 (n=381) 7点 (n=355) 6点 (n=936) 5点以下

(11)

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図表 10 将来の生計の見通し 〔世帯の貯蓄高、知識量別〕

4. 高齢期のお金・制度に関する知識習得

◆知識量が少ないほど自己学習率が低く、知識の必要性を感じていない

ここまでの結果から、高齢期のお金・制度に関する知識量が、生活設計の見通しに大きな影響を与えていることが分か った。最後に、これらの知識の習得方法についてみていきたい。

まず、知識量別に過去に学習したことがある内容についてみると(図表 11)、いずれの内容についても、幅広い知識を 持つ人ほど学習した割合が高い。特に、最も知識量の多い「10 点」では「いずれもない」の回答が

53.0%であり、残りの

47%は講習や研修の受講や書籍等で自己学習を行っていることがわかる。一方、知識量の少ない「5

点以下」では「いず

れもない」の回答が

83.4%と高くなっている。

次に、知識量別に現在最も知りたい内容についてみると(図表 12)、全体では「知りたい項目はない」が最も多く、特に、

知識量が少ないほどその割合が高くなる。知識量の多い「10 点」「9 点」では、6 割が何らかの学習意欲があるのに対し、

知識量の少ない「5 点以下」では

6

割超が学習を必要としておらず、知識習得を個人に委ねるだけでは知識量の差が拡

16.4%

22.0%

20.7%

15.8%

9.6%

18.7%

11.9%

15.3%

14.6%

19.0%

15.9%

13.6%

11.8%

19.3%

16.7%

18.0%

12.9%

10.4%

11.3%

11.9%

9.8%

5.1%

13.9%

12.9%

10.6%

5.2%

14.3%

12.2%

10.3%

10.8%

7.8%

8.9%

10.8%

9.7%

28.5%

23.2%

16.1%

17.4%

5.1%

26.8%

29.5%

22.2%

14.6%

28.1%

34.7%

29.1%

24.5%

43.6%

47.9%

37.1%

38.7%

12.5%

6.8%

4.7%

9.8%

7.1%

18.7%

12.9%

14.8%

9.4%

16.0%

13.1%

16.4%

10.8%

14.3%

13.5%

15.0%

11.3%

5.6%

7.9%

6.2%

4.2%

7.1%

5.3%

4.8%

3.7%

8.3%

7.4%

5.3%

7.5%

6.9%

5.9%

3.2%

3.6%

6.5%

26.5%

28.8%

40.4%

43.0%

66.0%

16.7%

28.1%

33.3%

47.9%

15.2%

18.8%

23.0%

35.3%

9.0%

9.9%

15.6%

21.0%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100 %

Tota l(n=3159)

9-10点(n=177)

7-8点(n=193)

5-6点(n=265)

4点 以 下(n=197)

9-10点(n=209)

7-8点(n=210)

5-6点(n=189)

4点 以 下(n=96)

9-10点(n=231)

7-8点(n=245)

5-6点(n=213)

4点 以 下(n=102)

9-10点(n=321)

7-8点(n=282)

5-6点(n=167)

4点 以 下(n=62)

300万円未満300-500万円未満500-1000万円未満1000万円以上

公 的年金 で賄え そうで ある

公 的年金 と当面 の就労 収入で 賄えそ うであ る 公 的年金 と貯蓄 の取り 崩しで 賄えそ うであ る

公 的年金 、当面 の就労 収入、 貯蓄の 取り崩 しで賄 えそう である 上 記以外 の方法 で賄え そうで ある

い ずれの 方法で も賄え そうに ない

(12)

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大していくことが考えられる。高齢期の生活設計を考えるうえで、必要な知識を蓄えることの重要性が十分認識されていな い可能性がある。

図表 11 過去に学習したことがある内容(複数回答)〔知識量別〕

(注)「これまでに外部の講習や研修、書籍等で自己学習したことがあるものはどれか」と尋ねている

図表 12 最も知りたい内容〔知識量別〕

5. 終わりに

本稿では、高齢者における将来の生活設計およびその見通しの状況を確認し、お金や制度に関する知識量との関係 について分析を行った。

高齢者の生活設計をみると、年齢が低いほど想定寿命を短くする傾向にあり、実際の平均寿命と比較すると、性、年齢 階級、就業状況に関わらず、想定寿命が短く設定されていることがわかった。60 歳代では男性で

3

歳強、女性で

6~7

歳程度短く設定されている。女性は

70

歳代になっても、生活設計上の想定寿命が平均寿命より

5~7

歳程度短く、本人 の認識よりも

5

歳以上長寿化すると考えられる。想定寿命の設定が現実の寿命よりも短いことで、就労等が困難な晩年に おいて生活費が不足し、生活の維持が難しくなる可能性がある。

株式や債券、

金融商品の 投資・運用

金融商品に 伴うリスク(変 動)

公的年金の 仕組み

毎月の消費 額の決め方

金融資産の 取り崩し方

高齢者の医 療費

高齢者の介 護費

長生きに備え た金融資産 の保有や使 い方

親族等への

遺産や相続 その他 いずれもない

Total(n=3159) 13.0% 5.9% 13.4% 2.5% 1.2% 6.1% 5.1% 3.4% 5.0% 0.2% 72.8%

10点(n=479) 23.8% 12.7% 27.6% 5.0% 3.1% 13.6% 12.9% 8.4% 11.1% 0.4% 53.0%

9点(n=459) 16.3% 6.8% 20.5% 3.7% 1.1% 7.4% 5.9% 5.4% 8.9% 0.0% 63.2%

8点(n=549) 13.8% 7.3% 15.3% 1.5% 0.9% 5.8% 4.7% 2.9% 4.4% 0.0% 72.9%

7点(n=381) 13.1% 5.2% 7.9% 1.8% 0.8% 4.2% 3.4% 1.6% 3.4% 0.3% 75.3%

6点(n=355) 10.1% 2.5% 6.2% 1.4% 0.3% 4.5% 3.7% 1.4% 2.5% 0.3% 81.1%

5点以下(n=936) 6.4% 2.8% 6.6% 2.0% 1.1% 3.3% 2.2% 1.6% 1.9% 0.1% 83.4%

5.5%

7.5%

4.6%

6.2%

6.3%

5.6%

4.2%

0.9%

1.5%

0.4%

0.5%

1.6%

0.8%

0.9%

4.2%

2.3%

3.1%

4.4%

5.0%

4.2%

5.3%

4.1%

6.1%

5.4%

4.2%

3.7%

3.4%

2.9%

1.9%

3.3%

2.6%

0.7%

1.0%

2.3%

1.8%

5.9%

6.5%

7.0%

5.6%

8.1%

4.2%

4.8%

10.4%

13.4%

15.5%

13.3%

8.4%

9.6%

5.9%

11.0%

13.8%

13.1%

13.1%

13.6%

10.7%

6.4%

4.4%

5.2%

8.1%

3.8%

3.4%

3.1%

3.4%

0.3%

0.6%

0.4%

0.2%

0.0%

0.6%

0.0%

51.4%

39.9%

39.9%

47.9%

48.8%

55.5%

64.4%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

Total

10点

9点

8点

7点

6点

5点以下

(n=3159)(n=479)(n=459)(n=549)(n=381)(n=355)(n=936)

株式や債券、金融商品の投資・運用 金融商品に伴うリスク(変動) 公的年金の仕組み

毎月の消費額の決め方 金融資産の取り崩し方 高齢者の医療費

高齢者の介護費 長生きに備えた金融資産の保有や使い方 親族等への遺産や相続

その他 知りたい項目はない

(13)

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将来の生計の見通しをみると、性別、年齢、就業状況に関わらず、「いずれの方法でも賄えそうにない」割合が

4

分の

1

を占める状況にあるが、想定寿命の見積もりが短いことを考慮すると、貯蓄の取り崩しを想定している約

4

割についても、

取り崩し期間の長期化によって貯蓄が枯渇する危険がある。想定退職年齢から平均寿命までの期間、すなわち、就労収 入以外の方法で生活を支える現実的な期間は、男性で約

10~15

年間、女性で約

10~20

年間であり、仕事に従事して いる人についてはこの現実的な数値を目安とした生活設計が必要であると考えられる。

高齢期の生活設計について、高齢期のお金や制度に関する知識量との関係をみると、知識量が多いほど長寿化によ る支出の増加に対する備えを行い、医療保険や介護保険の加入率も高いという傾向がみられている。また、貯蓄額に関 わらず、知識量が多いほど想定寿命を長く設定する一方で、将来の生計見通しは賄える割合が高い。貯蓄高が

300

万 円未満の世帯であっても、知識量が多い世帯では、収入額に応じて月額支出額を決める、医療保険に加入する、体力・

気力が続くまでは就労を継続するなどの対応を行えており、現実的な寿命設定に基づき、戦略的に生計の見通しを立て ていると考えられる。

高齢期のお金や制度に関する知識は、高齢期の生活設計において重要な役割を果たしていると言えるが、知識習得 の手段が本人の意欲に基づく学習になっている現状では、知識の習得は十分とは言い難い。本調査で知識量を

0~10

点で評価したところ「5 点以下」が約

3

割を占め、この知識量の少ない「5 点以下」では、お金・制度に関する項目の自己 学習経験が「いずれもない」割合が

83.4%と高くなっていた。国民が、高齢期のお金に関する幅広い基礎知識を得られ

ていないことで、長寿化に対して合理的な選択を取れない可能性があり、生活資金が枯渇する危険性がある。今後は、壮 年期、中年期から晩年まで高齢期の生活設計を学び相談できる環境整備を目指すことが重要ではないか。例えば、国に おいて、高齢期の制度やお金に関する基礎知識を集約したパンフレット等の資料の作成や、必要な知識を得られる講習 会等の開催、生活設計の相談支援を行う公的なアドバイザーの設置等を進めることが期待される。

(14)

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参考図表

参考図表

1

月額支出額の方針 〔世帯の貯蓄高、知識量別〕

参考図表

2

医療保険・介護保険の加入状況 〔世帯の貯蓄高、知識量別〕

33.9%

35.0%

25.4%

29.8%

24.4%

40.2%

31.9%

34.4%

33.3%

42.4%

34.7%

35.7%

32.4%

35.5%

35.8%

35.9%

30.6%

11.3%

7.9%

7.3%

7.2%

1.5%

14.8%

14.8%

8.5%

6.3%

14.7%

12.2%

10.3%

7.8%

18.1%

15.6%

13.2%

8.1%

21.5%

20.3%

26.9%

19.2%

10.2%

21.1%

24.8%

23.3%

18.8%

19.5%

25.3%

19.2%

21.6%

23.4%

22.7%

23.4%

24.2%

2.9%

5.1%

0.5%

1.5%

1.0%

2.4%

3.8%

2.6%

2.1%

4.3%

4.1%

2.3%

1.0%

5.3%

3.2%

2.4%

0.0%

30.3%

31.6%

39.9%

42.3%

62.9%

21.5%

24.8%

31.2%

39.6%

19.0%

23.7%

32.4%

37.3%

17.8%

22.7%

25.1%

37.1%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100 %

Tota l(n=3159) 9-10点(n=177) 7-8点(n=193) 5-6点(n=265) 4点 以 下(n=197) 9-10点(n=209) 7-8点(n=210) 5-6点(n=189) 4点 以 下(n=96) 9-10点(n=231) 7-8点(n=245) 5-6点(n=213) 4点 以 下(n=102) 9-10点(n=321) 7-8点(n=282) 5-6点(n=167) 4点 以 下(n=62)

300万円未満300-500万円未満500-1000万円未満1000万円以上

月 間の収 入額に 合わせ て消費 してい る(貯 蓄額は 維持)

月 間の収 入額の 一部を 消費し ている (貯蓄 額は増 える)

月 額収入 額分と 、現在 の貯蓄 の一定 額を取 り崩し て消費 してい る(貯 蓄額は 減る)

月 間の収 入額や 貯蓄額 と、自 分の想 定寿命 から毎 月の消 費額を 概算し ている 決 めてい ない

医療保険(民間)に加入 している

介護保険(民間)に加入

している いずれも加入していない

56.8% 8.5% 41.2%

9-10点(n=177) 53.1% 6.8% 46.3%

7-8点(n=193) 54.9% 8.3% 42.5%

5-6点(n=265) 48.3% 7.5% 49.8%

4点以下(n=197) 30.5% 7.6% 66.0%

9-10点(n=209) 65.6% 12.0% 31.6%

7-8点(n=210) 55.2% 9.5% 41.9%

5-6点(n=189) 50.3% 7.9% 47.1%

4点以下(n=96) 52.1% 7.3% 46.9%

9-10点(n=231) 66.2% 13.4% 31.6%

7-8点(n=245) 59.6% 7.3% 38.4%

5-6点(n=213) 59.2% 7.0% 39.4%

4点以下(n=102) 45.1% 9.8% 52.0%

9-10点(n=321) 69.5% 7.8% 29.9%

7-8点(n=282) 66.0% 8.9% 32.3%

5-6点(n=167) 58.1% 7.8% 39.5%

4点以下(n=62) 48.4% 4.8% 51.6%

500-1000万円 未満

1000万円以上

Total(n=3159)

300万円未満

300-500万円 未満

(15)

ご利用に際してのご留意事項を最後に記載していますので、ご参照ください。

(お問い合わせ)コーポレート・コミュニケーション室 E-mail:[email protected]

15 / 16

参考図表

3

収入を主な目的とする仕事をいつまで続けたいか 〔世帯の貯蓄高、知識量別〕

9.7%

11.3%

10.4%

9.8%

12.8%

7.2%

9.9%

12.0%

11.4%

7.8%

6.6%

5.9%

17.0%

7.5%

10.9%

11.7%

6.7%

10.8%

3.8%

9.1%

15.2%

7.7%

11.3%

8.8%

9.3%

13.6%

6.7%

18.4%

8.2%

9.4%

17.0%

13.0%

8.3%

6.7%

18.8%

9.4%

14.3%

17.4%

12.8%

22.7%

15.4%

13.3%

13.6%

17.8%

25.0%

21.2%

13.2%

29.2%

16.3%

31.7%

20.0%

5.3%

3.8%

3.9%

2.2%

3.8%

2.1%

6.6%

6.7%

6.8%

6.7%

3.9%

4.7%

7.5%

2.8%

9.8%

10.0%

10.0%

1.5%

1.9%

2.6%

1.1%

3.1%

1.3%

2.3%

2.2%

1.3%

3.5%

1.9%

2.2%

8.6%

11.3%

10.4%

9.8%

10.3%

16.5%

9.9%

6.7%

4.5%

4.4%

7.9%

10.6%

7.5%

5.7%

9.8%

3.3%

2.7%

3.8%

2.6%

1.1%

3.8%

1.0%

4.4%

4.0%

6.8%

4.4%

3.5%

1.9%

2.2%

1.7%

3.3%

41.0%

52.8%

44.2%

43.5%

47.4%

32.0%

44.0%

45.3%

38.6%

50.0%

34.2%

42.4%

41.5%

34.0%

33.7%

30.0%

53.3%

1.7%

1.9%

2.6%

1.3%

4.1%

1.1%

1.3%

2.3%

2.6%

2.8%

2.2%

3.3%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100 %

Tota l(n=1199)

9-10点(n=53)

7-8点(n=77)

5-6点(n=92)

4点 以 下(n=78)

9-10点(n=97)

7-8点(n=91)

5-6点(n=75)

4点 以 下(n=44)

9-10点(n=90)

7-8点(n=76)

5-6点(n=85)

4点 以 下(n=53)

9-10点(n=106)

7-8点(n=92)

5-6点(n=60)

4点 以 下(n=30)

300万円未満300-500万円未満500-1000万円未満1000万円以上

勤 め先の 定年に なるま で

現 在 の 雇 用 契約が 終わる まで( 勤め先 の就業 規則・ 慣習に 沿って )(1.を除 く)

一 定の年 齢が来 るまで 公 的年金 を受給 できる まで 一 定の貯 蓄がで きるま で

現 在の仕 事・事 業の収 入が得 られな くなる まで

( 仕事を 探して も)仕 事が見 つけら れなく なるま で 体 力・気 力が続 くまで

そ の他

(16)

ご利用に際してのご留意事項を最後に記載していますので、ご参照ください。

(お問い合わせ)コーポレート・コミュニケーション室 E-mail:[email protected]

16 / 16

アンケート調査の実施概要

インターネットモニターを対象としたアンケート調査を委託により実施。調査はスクリーニング調査と本調査の

2

段階 階。スクリーニング調査で以下の条件に合致する回答者を本調査対象とした。

<スクリーニング条件>

60~64

歳、65~69歳、70~74歳、75~79歳の

4

区分

・ 貯蓄(金融資産)が

300

万円未満、300~500万円未満、500~1,000万円未満、1,000~3,000万円未満の

4

区分。なお、貯蓄は以下の区分ごとに

2020

10

月末時点の金額(万円単位)を尋ね、その合計額で割り付けを 行った

-金融機関等への預貯金・財形貯蓄、社内預金等

-株式・株式投資信託(時価)、債券(額面)、公社債投資信(時価)、金銭信託・貸付信託(額面)

-生命保険・医療保険・損害保険・簡易保険(これまでの払込総額、既に給付を受けた分や掛け捨ての保険、

年金型商品は除く)

-個人年金保険・個人確定拠出年金(これまでの払込総額、受給者は将来の受給総額)

-企業年金(将来の給付総額:年間給付額✕将来の給付期間)

-その他

・ 単身世帯男性、単身世帯女性、夫婦世帯男性、夫婦世帯女性の

4

区分

・ 以上の

4×4×4=64

区分につて、それぞれ

50

サンプルを目標に調査を実施

<本調査対象数>

・ 上記スクリーング調査の

64

区分について合計

3,159

サンプル(ほとんどの割り付け区分では

52

サンプル、一部 少ない区分がある)

<実施時期>

2020

12

4

日(金)~14日(月)

ご利用に際して

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