地域コミュニティの再生
2021年6月18日
地域活性化センター 全国地域リーダー養成塾 名和田是彦(法政大学)
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自己紹介と本日のお話の組立て
• 横浜市緑区在住
• テーマ型の市民活動としては港南区で「港南台タウンカフェ」という常 設型コミュニティカフェの運営に関与
• 地元自治会では、組長のような仕事(「ブロック理事」)
• 本日は、自治会・町内会と都市内分権に加えてテーマ型の市民活動をも 取り上げ、これからの地域コミュニティについてお話しします。
1. 自治会・町内会とはなんであるか
2. 加入率低下と自治会・町内会の歴史的危機
3. 自治会・町内会と地域コミュニティの新しい挑戦 4. テーマ型の市民活動について
5.地域集会施設の変容と展望
1. 自治会・町内会とはなんであるか (1)市町村合併が生み出した民間自治組織
• 人口膨張が激しかった大都市では痕跡をたどるのは難し いが、単位自治会、連合自治会は、合併後の制度的空白 を民間側が埋めるための組織であったと考えられる。
• 明治の大合併で、江戸時代の村は自治体とは認められな かった。 →単位自治会の起源
• 昭和の大合併で、明治の村は消滅した。 →連合自治会の 起源(小学校区と重なっていることが多い)
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合併の経緯が比較的明確に残っている自治体の例 埼玉県羽生市の昭和の大合併と集会施設の整備
連合自治会 昭和の大合併の旧町村 公民館
羽生連合自治会 羽生町 羽生市中央公民館
新郷連合自治会 新郷村 新郷公民館
須影連合自治会 須影村 須影公民館
岩瀬連合自治会 岩瀬村 岩瀬公民科
川俣連合自治会 川俣村 川俣公民館
井泉連合自治会 井泉村 井泉公民館
手子林連合自治会 手子林村 手子林公民館
三田ケ谷連合自治会 三田ケ谷村
4三田ケ谷公民館
羽生市の地区における明治の大合併と小学校区等
表1
現在の自治会 明治の大合併の旧村 連合自治会 昭和の大合併の 旧町村
公民館 小学校区
上川俣 上川俣村
川俣連合自治会 川俣村 川俣公民館
川俣小学校(東3丁 目の一部=羽生地 区、上川俣、稲子、
本川俣、小須賀)
稲子 稲子村
本川俣 本川俣東 本川俣村
小須賀 小須賀村
今泉 今泉村
井泉連合自治会 井泉村 井泉公民館
井泉小学校(大沼1 丁目(藤井下組の一 部か。大沼は工業団 地区域で、一丁目は ほとんど人家がなさ そう)、東9丁目の 一部=羽生地区、今 泉、発戸、藤井上 組、藤井下組、尾 崎、北袋)
発戸 尾崎団地 発戸村
藤井上組西
藤井村上組 藤井上組東
藤井下組 藤井村下組
尾崎 尾崎村
北袋 北袋村
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1. 自治会・町内会とはなんであるか
(2)諸外国では合併で消滅した旧市町村エリアにも自治制度 的な位置づけを与えているが、日本ではそういうことをし てこなかった
• イングランドなどの「パ リッシュ」
• フィリピンの「バランガ イ」
• ドイツの小規模自治体の 連携制度
• 都市内分権
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1. 自治会・町内会とはなんであるか
(3)自治会・町内会は民間組織なのになぜ 自治ができるのか=全員が会員だから
• 地方自治体には条例制定権や課税権があり、地域を運営で きる。
• 民間組織には条例制定権がない →全員が会員であれば、
会の規約や議決が地域のルールになる。会員でない人が地 域にいると、その人にはルールを守る義務がない。
• 民間組織には課税権がない →全員が会員であれば、会費 を集めて財政ができる。会員でない人が地域にいると、そ の人はフリーライド(ただのり)ができてしまう。
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2. 加入率低下と自治会・町内会の歴史的危機 (1)自治会の必要性が増しているのに加入率が低 下している
右は東京都福生市 の自治会加入率等 の推移。
大多数の都市自治
体で今世紀になっ
て毎年1%という
ハイスピードで加
入率が低下してい
る。
いくつかの都市自治体の加入率の経年変化
0.0 25.0 50.0 75.0 100.0
1981 1983 1985 1987 1989 1991 1993 1995 1997 1999 2001 2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015
横浜市 岐阜市 高松市 宮崎市
• 1980年時点の加入率をどう 見るか。すでに地域のつな がりの希薄化が始まってい たと見るべきではないか。
• 加入率には地域差がある。
それは何によって規定され ているのだろうか。
• 今世紀の加入率低下スピー ドにはあまり地域差がな い。これは新しい現象では ないか。地域コミュニティ は今新しい危機の時代にい るのではないか。
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2. 加入率低下と自治会・町内会の歴史的危機 (2)世帯規模の縮小と世帯会員制の危機
• 右は、2012年の小田原市自 治会総連合が行ったアンケー ト調査結果の一部。
• 規模が小さい世帯は自治会未 加入の割合も高い。
• 自治会は世帯を会員とする組 織原理を採用し、大きな成果 を上げてきた。
• その世帯会員制が成立しなく なりつつある。
世帯人員 加入者 未加入者 合計
1人 134 12.6% 41 38.7% 175 15%
2人 350 33% 29 27.4% 379 32.5%
3人 211 19.9% 22 20.8% 233 20%
4人 204 19.2% 8 7.5% 212 18.2%
5人 95 9% 4 3.8% 99 8.5%
6人 51 4.8% 0 0% 51 4.4%
7人以上 16 1.5% 2 1.9% 18 1.5%
2. 加入率低下と自治会・町内会の歴史的危機 (3)若い世代における「自動加入」文化の崩壊
• これも、2012年の小田原市自 治会総連合が行ったアンケート 調査結果の一部。
• 世帯主が若いと加入率が低い。
• 自治会に入るのは当たり前とい う意識が共有されていることに よって全員加入を実現してき た。
• その「自動加入文化」が失われ つつある。
年代 加入者 未加入者 全体
20代 12 1.1% 14 12.6% 26 2.2%
30代 80 7.4% 24 21.6% 104 8.7%
40代 130 12% 22 19.8% 152 12.8%
50代 195 18.1% 8 7.2% 203 17.1%
60代 303 28.1% 22 19.8% 325 27.3%
70代 247 22.9% 17 15.3% 264 22.2%
80代以上 112 10.4% 4 3.6% 116 9.7%
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2. 加入率低下と自治会・町内会の歴史的危機 (4)地域におけるボランティア層の縮小
• 自治会・町内会は、地方自治体と違って、課税権がないから、
財政は、乏しい会費が頼り。だから、専従職員などは雇え ず、活動はボランティアで支える。
• ところが、地域でボランティア活動のできる24時間市民が 減っている。
1. 自営業者の減少 2. 専業主婦の減少
3. リタイアした高齢者はまだ働きたい
• 活動スタイルの工夫が必要になっている。
3. 自治会と地域コミュニティの新しい挑戦
(1)制度的ツールを使う 〜都市内分権制度の活用〜
• 自治体の区域を区分し、コミュ ニティ組織を置く仕組みを都市 内分権とか地域分権とかいう。
• 右は、宮崎市の「地域自治区」
(地方自治法)の区割り図。
• 全国の都市自治体の6割程度が 活用。
• 地区内の諸団体の力を集める。
• この中で自治会の大切さをア ピールできる。
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順位 順位
1 中 央 東 4.1 k㎡ 15 24,380人 6 2 中 央 西 3.6 k㎡ 17 19,532人 10 3 小 戸 2.0 k㎡ 18 10,953人 16 4 大 宮 12.3 k㎡ 12 24,624人 5 5 東 大 宮 5.8 k㎡ 14 17,676人 11 6 大 淀 11.9 k㎡ 13 23,201人 7 7 大 塚 3.9 k㎡ 16 21,191人 9
8 檍 17.1 k㎡ 11 40,071人 2
9 大 塚 台 1.1 k㎡ 20 7,249人 18 10 生 目 台 1.7 k㎡ 19 8,704人 17 11 小 松 台 0.8 k㎡ 21 7,027人 19 12 赤 江 25.1 k㎡ 10 57,439人 1 13 木 花 65.3 k㎡ 3 11,981人 13 14 青 島 43.3 k㎡ 6 3,779人 21 15 住 吉 26.7 k㎡ 9 21,888人 8 16 生 目 34.3 k㎡ 7 12,023人 12
17 北 27.5 k㎡ 8 6,831人 20
18 佐 土 原 56.8 k㎡ 4 34,320人 3 19 田 野 108.3 k㎡ 2 11,250人 15 20 高 岡 144.6 k㎡ 1 11,442人 14 21 清 武 47.8 k㎡ 5 28,886人 4
※人口は、平成26年1月1日現在の地域コミュニティ活動交付金配分確定人口〔住民基本台帳人口(日本人のみ)±調整人口〕
区 割 人 口
旧 町 域
区 域
旧 宮 崎 市 本 庁 管 内
旧 宮 崎 市 支 所 管 内
面 積
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3. 自治会と地域コミュニティの新しい挑戦
(2)新しいニーズに対応した活動に取り組む中で人材を発掘
• 右は、日本都市センター(全国 市長会のシンクタンク)が今年 行った全国の都市自治体へのア ンケート調査結果の一部。自治 会や地域コミュニティが現に行っ ている重要な活動と今後期待さ れる活動を集計(n=464)。
• どれも大切な活動ばかりだが、
現状と今後の期待とは大きく 違っている。
• 自治会と地域コミュニティによ り多様な役割が期待されてい る。
• 新しいことに取り組めば、担い 手も新しく発掘されるもの。
活動 現状 今後の期待
地域福祉 14.2% 49.6%
空き家・空き地、景観・緑
化、エリアマネジメント等 1.5% 20.0%
環境(清掃・美化、ゴミ・
資源、環境保全等) 53.4% 33.8%
学校教育(学習支援、コミ
ュニティ・スクール等) 0.9% 3.9%
生涯学習 5.4% 4.5%
地域公共交通 0% 5.0%
防災・危機管理 23.1% 58.6%
地域の祭事・イベント 69.0% 24.1%
地域の経済の維持・発展 1.3% 8.2%
国際交流・協力 0.2% 1.5%
集会施設の維持・運営 23.7% 11.0%
住民相互の連絡 44.2% 26.9%
今度は、行政ではなく、市民の目線からのデータです。
名古屋市市民経済局が2014年に行った市民アンケートに よっても、同様の傾向が見られる。
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3. 自治会と地域コミュニティの新しい挑戦 (3)女性の力をもっと活かす
• 地域活動においても女性の力は大きなもの。
• 実際の活動やイベントなどでは、活発に動く女性の姿が多 くみられる。
• しかし、地域の意思決定の場にはどのくらいの女性が参 画しているだろうか。
• 地域の方針を決めるときにも女性の発想や目線を大切に
することが、より十分な活動につながる。
3. 自治会と地域コミュニティの新しい挑戦
(4)行政や専門機関の助けを借りる、地域の専 門人材を発掘・育成する。
• 今の担い手不足でどうやってこんな多様なニーズに応えられるのか?
でも、新しいことに取り組めば、それに応じた新しい人材が出てくる もの。
• しかし、近年求められている活動には、わりに専門性の高いものが多 いという点も考える必要がある。
• 専門性の必要な活動を行うに際しては、行政や専門機関の力を借りよ う。包括支援センターなどに配置されている生活支援コーディネー ターは期待される。
• また、地域でそうした専門性を持った人を発掘したり、育成したりす ることも大切である。
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(2) それぞれの分野における専門的な人材の必要性と確保の全市的な状況についてどのようにお考えで すか。[分野ごとに1つ選択]
また、上記設問で「2」、「3」とご回答の方にお伺いします。各分野において必要とする専門的な 人材の確保について、貴市のお考えに最も近いものはどれですか。[分野ごとに1つ選択]
(地域福祉)
専門的な人材の必要性 と確保についての考え
専門的な人材の確保について 貴市の考えに最も近いもの
特 に 必 要 と し て い な い
現 で は 概 ね 確 保 さ て い る
現 で は
分 に は 確 保 さ
て い な い
的 に は 自 治 体 行 政 が 確 保 す
き で あ る
自 治 体 行 政 と コ ミ
ニ テ
が 連 携 し て 確 保 す
き で あ る
的 に は コ ミ ニ テ
が 確 保 す き で あ る
そ の 他
地域 福祉
日常の見守り、高齢者のサポート等 35.3 17.9 44.2 1.7 84.7 12.2 1.4 コミュニティ・ソーシャルワーカー、
コミュニティ・ナースに関する取組み 等
12.7 15.5 68.3 18.5 76.1 2.6 2.6
まち づく り
空き家・空き地、景観・緑化、エリア
マネジメント等 20.0 10.6 64.7 16.6 78.2 1.7 2.9 環境
(清掃・美化、ゴミ・資源、環境保全 等)
51.7 16.6 29.1 6.1 79.2 14.2 -
教育
学校教育
(学習支援、コミュニティ・スクール 等)
16.8 23.7 56.5 12.6 78.0 7.5 1.3
生涯学習
(地域の歴史、文化・スポーツ活動等)
18.8 29.7 48.9 6.0 81.4 10.7 1.6 地域公共交通(デマンド型交通、コミュニティバス等)
27.4 17.2 52.8 29.8 64.3 2.5 3.1 防災・危機管理(地域防災マップの作成、要援護者の避難 支援、安否確認等)
16.2 20.0 61.2 8.2 86.2 4.8 0.3
コミュニティ・ビジネス