国立歴史民俗博物館研究報告 第207集 2018年2月
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馬産地十和田における 昭和30~50年代の変化
Transformation of Towada as a Horse-breeding Region from the Late 1950s to the Early 1980s : Focused on the Changes of Livestock Breeding
はじめに
❶地域概況
❷十和田市全体の家畜飼養の変化
❸集落の変化
❹馬産地十和田における昭和30年代~50年代の変化
おわりに農耕・運搬・厩肥生産などに用いられるため,多くの家で飼養されていた家畜は,農業用機械や 自動車の普及などにより飼養が激減した。家畜飼養の激減を受け,家畜の生産地帯ではどのような 変化が起こったのか。本稿は青森県十和田市を事例とし,家畜生産地帯であった農村における家畜 飼養の変化を明らかにするものである。十和田市は古くからの馬産地であり,現在も畜産が盛んに 行われている地域である。冷涼な気候のため農業による十分な収入が見込めなかった当地において,
家畜,特に馬を売ることで得る収入は大きかった。そのため,馬産は重要な生業であり,馬は不可 欠な存在であった。しかし,現在の十和田市では馬産を行う家は少なく,盛んに飼養されている家 畜は肉用牛と豚である。かつての馬産地から現在の肉用牛・豚の生産地への転換は,どのように行 われたのか。また,家畜飼養者は飼養する家畜をどのように選択してきたのか。十和田市における 家畜飼養が大きく変化したと考えられる昭和 30 ~ 50 年代の様子を明らかにすることで,これらの 問に答えていく。❷では統計資料や十和田市の広報誌などを用いて,十和田市の家畜飼養の変遷の 全体像を把握する。馬産地であった十和田市が現在のような肉用牛・豚の飼養が盛んになった時期 を明らかにすると同時に,飼養する家畜が変化した要因を明らかにする。❸では性格の異なる 2 集 落を取り上げ,集落における家畜飼養の変遷を記述する。かつては集落のほとんどの家で飼養され ていた家畜が,特定の場所で特定の人により飼養されるようになっていく過程を明らかにする。❹ では飼養する家畜を選択する際に,家畜を飼養する「手間」と家畜から得られる「儲け」が重視さ れてきたことを指摘する。兼業化や耕作地の増加など,家畜以外による収入が増加することで,「手 間」がかからず「儲け」の大きい家畜が選択されるようになっていった。
【キーワード】馬産地,畜産,公害,家畜市場,「手間」と「儲け」
上形智香
KAMIGATA Chika
家畜飼養の変化に着目して
[論文要旨]