雇用・就業 の現状 と格差是正策 の検討
野 崎 四 郎
1 は じめ に
本調査では、復帰後 の労働力人 口増減 の変動要因 と失業変動の要因分解 を行 う。次いで県 内 就業構造 と就職構造 の変化 について述べ る。長期 の労働需給 と関連 して、所得格差 につ いて検 討す る。所得配分 をジニ係数で検討 し、所得配分 と雇用対策 について考 える。
2 労 働 力 と失 業 の要 因 分 解
(1)労 働力人 日の変動要因 ア .労 働力人 口の変動要 因
復帰以降、 15歳 以上人 口は2000年 に停滞 したものの毎年増加 してお り、それか ら非労働力人 口を差 し引いた労働力人 口は景気後退 の著 しい 02年 、 06年 を除 くと着実 に増加 している。
1975年 の39.7万 人か ら 09年 の66.7万 人 まで 27万 人増 とおよそ 1,7倍 とな ったが、 この ことは一方で 失業へ の圧迫要因 となって いる。 この労働力人 口増 に影響 を与える要因を分解 したのが
(1)式 で、右辺第一項の①人 口変化効果すなわち 15歳 以上人 口の増減 に起因す る効果、第二項の② 年齢構成変化効果すなわち、 15歳 以上人 口の年齢構成の変化 に伴 う労働市場への入退出効果、
第二項 の③労働力率変化効果すなわち、各年齢層の労働力率増減 に伴 う労働力人 口の変化の三 つ に分解 される。
この三要 因のうち労働力人 口の中長期的な趨勢 を決定す るのが① の人 口変化効果 と② の年齢 構成変化効果であ り、短期的な要 因 となるのが③ の労働力率変化効果である。
∬ "生 豹 X半 封中 >
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f )…
…・(1)
α:平 均 労働 力 率
一α
}十 Σ ]tイ
++αⅣ′
:労
働 力人 口αド労働力率
415歳
以上人 口 、P:15歳
以上人 口計 、 添宇,は
、年 齢 区分 、添宇 ィは、期
沖縄 の労働 力率は、 1989年 か ら 92年 にかけての高 ま りを除 くと 58%台 で安定 している。
1975年か ら 09年 にかけて、
2年毎の労働 力人 口の変化 をみたのが図表
1である。労働 力人 口は 91年 までは毎期
2万人以上増えてお り、 人 口の増加 を上回つて いた。その後は、 95年 か ら 97年 にか けての団塊世代 ジュニアの労働市場参入 によ り労働力人 口の上昇期間はあつた ものの、
02、 06、07年 と労働力の減少があつて全体 として伸び悩み、 91年 を起点 としてそれ以前 と以後では労働 市場 に大 きな変化 があつた ことがわか る。
労働力人 口の中長期的な趨勢 を決定す る人 口増加効果 と年齢構成変化効果 について検討 を行 っ
経済環境研 究調査報告書 第 1号
(20H)てみる。 まず、恒常的な労働力人 口増の大部分 を 15歳 以上人 口の増加 とい う人 口増加要因力ゞ占 めている点が大 きな特徴 といえる。すなわち2001年 以前は平均 して 1,8万 人 もの労働力増加 に 寄与 している。 05年 以降は、
5〜6千 人台 と低下 した。
人 口増加効果 の圧 力は弱 くなってお り、今後 もその傾向は続 く可能性が高い。人 口増加効果 を男女別 にみる と、全期 間を通 して平均 して男が 1万 人、女が 6千 人の労働力人 口増に寄与 し ている。
年齢構成変化効果 は、高齢化 の進行 に伴 う労働市場か らの退 出 となるマイナス効果 と、若年 者の労働市場への新規参入 によるプ ラス効果 の両面の強弱で決定 される。 出生率が高い沖縄 の 年齢構成変化効果 は 91年 まではプ ラスの基調であったが、それ以降は高齢化の影響 もあ リマイ ナス基調 に転 じている。現時点では、その水準は大 きくな く労働力増加 に与える効果 も限定的 であ り、今後 も ドラステ ィックな変化は見込 まれない。
最後 に短期的な現象 としての労働 力率変化要 因効果 をみてみよ う。沖縄 の労働力率は、 1989 年か ら 92年 にかけての高 ま りを除 くと 58%台 で安定 している。一般的に労働力率の上昇、下落 については景気 との関連で二つの側面がみ られる。ひ とつは、雇用情勢の悪化 によ り失業者が 労働市場か ら退 出す るため労働力率は低下するが、逆 に雇用情勢が改善す ると、非労働力人 口 が労 leJ市 場 に参入す るため労働力率の上昇がみ られ る ことである。ふたつに景気後退 による世 帯主の失業や賃金 の低下 によ り、配偶者や家族が家計補助 のために労働市場へが入 し、労働 力 の押 し上げ現象がみ られ ることである。
労働力率変化要因 をみると、 89年 までは景気後退があった 75年 〜 77年 、 83年 〜 85年 を除 くと 数千名の労働力を増加 させ る効果が生 じ、それは年齢構成変化要 因を上回つて いた。男女別 に み ると、景気後退期 に男 の労働力率低下がみ られ るが、それ を女子 の労働市場への参入で労働 力の増大 に寄与 して きたのである。 しか し、バブル の崩壊 によ り労働力率効果 はマイナスに転 じ、 とりわけ 98年 か ら 95年 にかけては 1万 人を上回る規模 の労働人 口減少 に寄与 した。その内 訳 をみると、男性 は 15歳 か ら 19歳 を除 く各年齢層で労働力率が低下 し、 とりわけ 55〜 59歳 と 65 歳以上、次いで 25〜 里 9歳 層での低下幅が顕著である。女性 について も 15〜 24歳 層や 55〜 64歳 層、
65歳 以上層で低下 して いるが、 25〜 54歳 までの各層で上昇 してお り、特 に 25〜 34歳 で 10ポ イ ン ト以上 も上昇 した。他方、 95年 か ら 97年 にかけては女性 の労働力率変化要因による労働力上昇 効果が 1万 4千 人生 じて いるが、それは 景気が後退 した時 に労働力率が どう変化す るかは、
どち らが大きいか によるが、短期的には景気後退期 に労働力率は低下す る
"という現象が顕在
化 したものの、前述 のよ うに女性 の労働市場で家計補助 のために労働力が上昇す るという逆 の 現象が生 じた ものである。 03年 か ら 05年 、 07年 か ら 09年 にかけて も同様 な現象が生 じた。
このよ うに 91年 以降は男女 とも、若年層及び高齢者 は雇用環境悪化 のため仕事 を探す のをあ き らめ、非労働力化 した者が多か った と解釈 され る。一方、女性 の 25〜 54歳 層では、不況 に直 面 して、夫の雇用不安や賃金 の伸び悩みか ら家計の維持、安定 を図るために就業意欲が高 まっ た と解釈 され る。
20
(千人)
図表
1労働 力人 口の変化要 因 (沖 縄
)83‑85 87‑39 91‑93 95‑97 99‑01 03‑05 07‑09
年 中 年 齢構成 変 化要 因 中 労働 力 率 変 化 要 因
一 労働 力人 口増 500
400 300 200 100 00
‑100
‑200
75‑77 79‑81 83‑85 87‑89 91‑93 95‑97 99‑01 03‑05 07‑09
年
∞ 人 口変化 要 因 四 年 齢構 成 変 化要 因 労働 力 率変 化 要 因
一 労働 力 人 口増
(千 人)
500 400 300 200
10000
‑100
‑200
75‑77 79‑81
‑l人
口変化要因(千
人
)500 400 300 200
10000
‑100
‑200
79‑31 83‑85 87‑89 91‑93
∞ 人 口変 化要 因 卵 年 齢構 成 変化 要 因
資料
:「労働 力調 査 J総 務 省 統 計 局より作成 。
05‑97 99‑01 03‑05 07‑09
年 中 労働 力 率 変 化 要 因
一 労働 力 人 口増
経済環境研 究調査報告書
第
1号(20H)
(2)失 業率変動の要 因分解
失業率 の変動は、①労働力率効果、②人 口効果、③就業効果の
3つの要因に分解できるが、
労働力率効果は労働市場への参入・退出に伴 う生産年齢人 口の労働力化・非労働力化の変 化効 果 を示 し、 人 口効果は生産年齢人 口の変動 に伴 う失業変化効果 をあ らわす。 また、就業効 果は 就職 と失職者 の増減効果 を示す。
△
(y/L)× 100=(100/L2)』 .P.どピ
+(100/L2)ど.r・ △
P̲(100/L)・△ご・…・…
12)P:15歳
以上人 口 L:労 働力人 口 ri労 働力割合 β
:就業者 y:完 金失業者 △
:差分
1975年 か ら 2009年 にかけての失業率 の変動 を①就業効果すなわち就職 と失職 に伴 う就業者数 の変化、②人 口効果すなわち労働力供給源 となる 15歳 以上人 口の変化、③人 口効果つ ま り高齢 化や景気後退 に伴 う失業者の非労働力化すなわち労働市場か らの退出効果 の
3つの要因に分解 してみた。その結果、① 90年 以前 と以後では構造的な変化があった こと、②人 口効果が大 きい こと、 の
2つが特徴 として挙イ デられ る。
まず、 1975年 か ら 90年 にかけては継続的に失業率が下落 したが、その変動 に伴 う
3つの累積 効果 を毎期分析す ると、労働力率の上昇 による効果が 10%程 度の失業上昇 に、人 口増 による効 果 も 24%程 度 の失業上昇 に、就業効果 は 86%以 上の失業率 を低下 させ る効果があつた。 この
20年間は、公共事業の拡大 による土木 。建設業や観光 関連産業 の定着 によ り失業率 を強 く押 し上 げ る就業効果が働 いていた。それ にも拘わ らず、労働供給源である 15歳 以上人 口の急激な増加 によ り生 じた失業上昇圧 力に注 目すべきであろう。他方、 この
2つの効果 に比 し、労働市場か らの退出に伴 う労働力率効果は、 2〜 4ポ イ ン トの失業率 を上昇 させた ものの、 それ ほど強 い 影響 を与えてはいない。 このよ うに 75年 か ら 90年 にかけては失業水準が改善される過程にあっ て、 3つ の効果がほぼ安定的に推移するプ ロセスであった。
90年 か ら 2000年 にかけての前半 5年 は労働力効果が、後半期は就業率上昇効果 によ り失業率 の押 し下げ効果が働いた ものの、失業率 を 7%近 く押 し上げ る人 口増効果が依然 として強 く、
結果 として 2%程 度 の失業率が上昇す る こととなった。 2000年 か ら 2009年 にかけては、人 口効
果 による失業率の押 し上げ効果が弱 まった ことが大 きな特徴 として挙げ られ る。 また、効率化
すなわち雇用調整 に伴 う労働力率効果 もあったが、直近では就業効果 も息切れ し、失業率の改
善は弱いことがわか る。
図表
2失業率増減の要因分解 (沖 縄
)(%ホ イント)
80
20
‑60
‑80
‑180
(参
考 )失 業者、 失業率 の推移 (単 位
:千人、 %)
3 最 近 の就 業 構 造 の 変 化
(1)県
内就業構造 の変化 ア .正 規雇用 と非正規雇用
雇用形態別 にみた所得分布 をみると、正規雇用 と非正規雇用の年収分布は大きな隔た りがある。
①所得分布割合が 3%以 上あるライ ンをみる と、全国では 100万 円〜 1,500万 円の層 に幅広 く分 布 してお り、 5%以 上の場合は 200万 円〜 699万 円に集 中 して いる。一方、非正規就業者 の場 合は 50万 円〜 399万 円に分布 し、 250万 円以下で 9割 近 くを占める。
②沖縄 の場合 は、全国よ りも所得分布が狭 く、 100万 円〜799万 円の間に 9割 強分布 している。
さ らに非正規就業者 をみると 50万 円未満〜 249万 円で大方 を占めている。
③全国 と沖縄 ともに、正規就業者 と非正規就業者の間では年収分布 に大 きな隔た りがある。 ま た、全国 と沖縄 を比較す ると、正規就業者で 300万 円か ら399万 円以上の層、非正規就業者で 200万 円〜249万 円以上の所得分布 している層で全国の所得割合が高い、つ ま り高 い所得層 ほ
ど全国の方が高 い層 を形成 しているといえる。
l t175 Z(,()「D
51
資料 :「 労働 力調査報 告」 沖縄県企画部 よ り作成。
つ 0 つ と
経済環境研究調査報告書 第 1号
(2011)図表 3 雇用形態別の所得分布 (全 国と沖縄
)非正規就 葉者(沖縄) 非正規就 業者(全国)
OO万 円 以 上
(2)県
外就職構造 の変化 ア
.県外就職
一般職業紹介での県外就職者
県 内での就職が困難である ことか ら、沖縄県 では県外就職 を積極的に推進 して きた。一般職 業紹介 による他県 への送 り出 し人数は、バブル経済 のピーク時 に当たる 1990年 には 14千 人 ほ ど が県外で就職 したが、 93年 にはボ トム とな り、5.5千 人にまで減少 した。そ の後、再び上昇 し、
97年 には 10千 人 にな ったが、 98年 には再 び6.1千 人 にまで減少 している。 その後、 04年 には 1
万人を超 え、およそ 8千 人の県外就職者 が続 いたが、 08年 には リーマ ンシ ョックの影響 によ り 3.5千 人 と激減 した (図 表 4参 照
)。一般職業紹介で常用雇用者の県外就職者はかな り少な く、 92年 か ら 98年 の間で の平均では県 外就職者 の 13.3%を 占めるにす ぎず、 臨時・季節 の就業者が大半 を占め、近年 にな るほどそ の 傾向は強 まっている。
図表 5は 愛知県への就職割合であ り、2000年 以降は沖縄県が 30%も の高 い割合 を示 して いた のが 08年 には 20%を 下回る水準 とな って いる。 図表
4、図表 5に 示す よ うに、愛知県 を中心 と した県外就職体系が崩れ、県 内に滞留 しているもの と想定 され る。
50万 円 未満
50‑
99万 円 100‑
149
150‑
199 9
250〜
299 300〜
399 400〜
499 500〜
599
600〜
699
700〜
799 800〜
899
900‑
999 1000〜
1199
万 上 0 0
以 上 5
円
正規就業者
(全国
)正規就業者
(沖縄
)非正規就業者
(全国
)23.3
非正規就業者 (沖 縄
) 0。 101 01
資料 :「就業構造基本調査 J H19年 総務省統計局
24
図表
4
他 県 へ の送 り出 し数(常
用 と臨 時 ・季 節 別)山 硼 枷 卿 岬 脚 脚 脚 柳 O
□臨 時・季節 日常用
「労働市場年報」厚生労働省職業安定局
図表
5
愛知 県への就職割合一 北 海 道
― 青 森 県
― I‐ 秋 田 県 ― キ ー 新 潟 県
― ◆ ― 岐 阜 県 ― ● … 沖 縄 県
1978 1983 1988
注 1)但 し、1965年は 、年 計 である。
注2)就職 件 数/他県 受 入 数 司00 資 料:「労 働 市 場 年 報 」厚 生 労 働 省 職 業 安 定 局
9 4 料
資
(単 位:人
)(°/o)
250
年 度
1985
常 用 2.097 2,716 2,587 2,352 1 248 1 220 1,532 1,501 1148
臨時・季節 3,772
3.30遅4,644
6,28〔5,236 2,574 4,866 6,213 3.525 5,954 8,91( 12,02J 13,326 11,336 他県への送出数 2.59[ 5,108 5.869 6,024 7.231 8.891 7,588 4,385 6,114 7,488 4,800 7.486 10,411 13,17 11,205 12,332
年 度
常 用 1 040 638 3 603 3 740 5,435 6,569 6,813
6,16〔2,870
臨時・季節 7,957 4,532 5.370 6,515 8,855 5,488 1,802 7,17G 5,354 3,513 4,571
4、861
1. 1771,103 1,31 657
他県への送出数 5,572 6.539 7,213 10 421 6,121 5,415 7.833
6.00〔7,116
8,3H10 296 7,746 7,916
7.77〔3,527
経済環境研 究調査報告書
第 1号
(2011)4 所 得 格 差 の 現 状 と雇 用 対 策 の 検 討
次 の図は戦後 の地域間所得 をジニ係数で示 した ものである。 1960年 代前半 までの拡大期 と 1970年 代後半 までの格差縮小期、それ に続 く 80年 代後期 のバブル経済期 と 2000年 頃 までの拡大 傾向期 とリーマ ンシ ョック以降の格差縮小期 に区分 され る傾向が何われ る。
経済成長 と所得不平等 については、 クズネ ッツの逆 U字 型カーブが有名であるが、それ を地 域 間格差 に用 いたのがウィ リアムソンである。簡単 に要約す ると、 アメ リカでは経済発展 の初 期 (1980年 〜 1932年 )に 変動係数は拡大 し、後期 (1932年 〜 1961年 )に は縮小傾向にあること、
この間で逆 U字 型カーブになる ことを実証 した。すなわち、経済発展 の初期段階には労働力や 資本は特定 の地域 に集 中 し、市場 も整備 されていないため企業間の成長のバ ラツキ もあって地 域間格差 は拡大す る。その後、経済発展 の進行 によって通信や交通イ ンフラの整備 と様 々なイ ノベー シ ョンの波 によって地域間格差は次第 に縮小するとの分析であ り、地域間格差は逆 U字
型 を描 くことになる。
日本 の場合は U字 型カーブが次第 に縮小 しなが らも数個 の逆 U字 を描 いているようにみえる。
グ ローバ リゼー シ ョンや高齢化等 を背景 に、地域経済の産業構造が変貌を遂げつつあることを 示 しているか もしれない。
図表 6 全 国の転入超過総数 と所得格差の推移
注1)昭和29年か ら47年まで は 縄 県 の移 動 者 敦 は含 まない。
資 料:「住 民基 本 台 帳 人 日移 動 報 告 年 報 J平 成21年統 計表 。
「県 民経 済計 算 年報 」平 成 19年 より推 計。
J卜 転入超過総数
― 所得格差
(ジニ係数
)57596163656769717375i7779818385878991鋤
叫9799010305
う∠
(1)1人
当 た り県 民 所 得 や 生 涯 所 得 か らみ た 格 差
1人 当た りの県 民所得は、次のよ うに分解できる。
1人 当た りの県 民所得
=就業者 1人 当た り県 民所得 ×就業率 ×労働力率 ×生産年齢人 口割合 就業者 1人 当た り県 民所得
=県民所得
/就業者
就業率
=就業者
/労働力
労働力率
=労働力 /15歳 以上人 口 生産年齢人 口割合 =15歳 以上人 口
/人口
一般的 には、就業者 1人 当た り所得が高 い地域が 1人 当た り県民所得は高 くなる。 しか し、
就業率や労働力率が高 い場合は扶養負担すべ き人 口が少ないため、
1人当た り県 民所得 は高 く な る。
次の図は上記データが揃 う2005年 の 1人 当た り県 民所得 を分解 した ものである。沖縄 につい て は、
①恒常的に 1人 当た り県民所得は低いこと。
② しか し、労働生産性 とも密接に関連する就業者 1人 当た り付加価値は 36位 と比較的高い位 置にある。
③沖縄の失業率は高いことか ら就業率は低水準 にある。失業率が高いことが社会的な損失を 招き、
1人当た り所得が低い水準に低下 したと考えられる。
図表
7 1人当た り県民所得 の労働 力 による分解 (2005年 度
)県 民所 得 /人 口 県 民所 得 /就 業 者 就業者/労 働 力 労働 力/15歳 以 上 人 口
(万
円 /人
) 買位 (万円/人
) 順 位(%)
順 位(%) 川 貫位
上 位
都 県 県 県 県
京 知 岡 菊
賀
東 愛 静 神 滋
450 350 333 322 320
94,4 95,4 95,4 94.5 95.3
2︲
5 4 18
9
63.2 64.7 64.9 62.4 62.3
9 2
1
11 15
下 位
県 県 県 県 県 縄 知 崎 崎 森 沖 高 宮 長 青
204 211 214 215 221
47 46 45 44 43
496 453 447 468 463
88.1 92 1 93.9 98.5 91.6
47 44 32 36 45
60.1 59 3 60.8 58 1 61 1
資料
:「国勢調査
J、「県民所得 Jよ り作成。
経済環境研究調査報告書 第 1号 (20H)
次 に、 生涯賃金 をみてみる。産業計でみた生涯賃金 を推計す ると、全国平均 に比 し男で 1億 ` 円弱、女は 4千 万 円程度低 い。大企業 と零細企業 との生涯所得で大 きな格差がある。
図表 8 1人 当た り生涯所得 の推移 (全 国・沖縄、産業計
)(単
位 :千 円
)20004F 20034F 20064F 2008塗
F2009至 F 産 三 計 (平 均
)235,210 229,205 228,045 230,068
学 歴
男 116
117
253,920 167,044
254,179 163,076
256,370 167,958 中
男 211,717
126,921
199,955 121.929
197,883 117.137
199,991 120.482
局 午
男
女 238,588 155,718
227,082 147,575
223,918 139,727
226,402 144,895 専 ・短 大
男 243,085
193.024
239,983 189,942
247,195 186,088
244,347 189,247
,大男 319,382
273.879
308,088 258.380
308,315 249.060
314,287 248.163 (沖 綿
)男
女 186,613 131,419
177,293 135,633
175,455 119,726
170,440 127,042
資料 :「 賃金構造基本統計調査」厚 生労働省 よ り作成
(2)世 帯単位でみた格差
①全国消費実態調査 によるジエ係数は全世帯や勤労者世帯で毎年拡大 している
②沖縄県 の不平等度指数は全世帯、勤労者世帯 ともに全国よ り高 く、特 に勤労者世帯で顕著 である
③ス トックを代表す る と推察 され る貯蓄 に関 して も、沖縄県 のジニ係数は高 くな ってお り、
所得 というフロー格差 に加え、ス トック格差 にも大なるものが ある ことを示唆 している
④家計調査でみた家計所得、消費、貯蓄 のジニ係数は上昇 してお り、
47都道府県 で最 も不平 等度 を示 している
以上 をまとめる と、
・非正規就業者が全国で最 も高 く、 15〜
34歳の若年層の 50%近 くが非正規であること
・失業率 も若年層を中心に全国で も最 も高いこと
・愛知県 の自動車産業 を中心 に県外就職が多いが、他県への送 り出 し割合が最 も高いこと、
すなわち、 出稼 ぎが多 いがそ の技術 は県 内で活かす ことはで きな い こと
このように、所得 の県外 ・内格差が固定化 されて いると考 え られ る。県外格差 の実態を把握 す る と共 に、必要な らば合理的な所得再分配策 を検討す る必要が あろ う。
28
沖縄は全国で最 も所得配分 の不平等が高い地域であ り、その傾向は近年拡大す る傾向にある。
しか も家計 を構成人員 の人数 と年齢 によって ウェイ トづけ した等価所得でみると、不平等度指 数はよ り高まる可能性が十分ある。沖縄 の所得分布の不平等割合が高 い原因 として、
①沖縄 における復偏前の公的年金制度が整備 されていなか ったため、高齢者の年金受給者 に 格差があ り、それが ジニ係数 の高 ま りにつなが った こと
②女性 の労働市場への進 出割合は高 く、共働き世帯率が高い世帯 とそ うでない世帯 との所得 格差が ジニ係数 を高めていること
③労働市場は常 に過剰供給 となってお り、その結果賃金格差が拡大 した こと
④失業率が高 く、失業者 を恒常的に抱 えている世帯 も相対的 に多 い こと
⑤人的資本理論が妥 当 していること 等の可能性が挙げ られ る。
今後、人 口の高齢化 に伴 う非労働力人 口の増加や低所得就業 の増加、 1人 暮 らし老人 の増加 等 によ り、所得 の不平等害 J合 は ます ます顕在化す るもの と推察 され る。一方で市場競争主義 の 進展 に伴 い効率化が一層進む とみ られ ことか ら、不平等 を是正 し、公平 を確保す る視点 か らの 諸施策 の実施 の検討 も重要な課題 となろう。
(3)雇 用対策 の検討
全国の地域産業でパ ラダイム シフ トが生 じている可能性が強 く、短期的 。中長期的な側面か ら雇用対策 を検討す る必要がある。
バブル経済 の崩壊後、長期 にわたる経済 の低迷 によって ワーキ ング・プアが生 じ、そ の問題 が明るみに出る と共 に、貧困への対処策が多 く提案 され るようになった。
具体的には①最低賃金の引き上げ、②未熟練労働者への技能訓練の実施、③生活保護 の拡充、
④還付可能な税額控 除の導入の 4点 である。地方 の需要増大や地方企業 の衰勢 と密接に関連す るもので注意深 く検討 しなければな らない。
この うち、失業・転職 を繰 り返す沖縄 の若年労働者 に対 しては② の技能訓練 の実施は有効で はあるが、例 えば、三次産業 中心の沖縄では教育訓練が直 ちに生産性 の向上に結びつ くか検証 を適切 に行 う必要が ある。③ の生活保護 の拡充は、① の最低賃金 とも関連する。生活保護 の基 準 を下回る低所得 の家計は、全国世帯の 4.8%に あたる229万 世帯であろうとの推計値や最低生 活費 を下回る世帯 の うち実際に生活保護 を受給 しているのは多 くて 20%程 だろうとの指摘がな されているよ うに生活保護が必要なのに受給 していない世帯が多 い、 というのが実態である。
生活保護制度 の拡充は、労働 に対す る意欲 を削 く ヾ
側面があるか らそ の実施 には細心の注意 を払 う必要がある。
現時点で可能性の高い政策としては、川口氏 (一 橋大学 )の 指摘する①の最低賃金の引き上げ、④還付可 能な税額控除の同時実施ではないかと考えられる。ただし、この場合でも 1〜 2年 の時限的制度ではなく、
長期の視点を持った制度でなければ効果的な成果を挙げることは難しく、逆に混乱を招く可能性すらあろう。
経済環党研究調査報告書
第 1号
(2011)付属資料
1(万人)
250 0 2000 1500
100 0
500 00
‑500
‑100 0
‑15k10
労働力人 日の変化要 因 (全 国
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働 力 率 変化 要因― 労 働 力 人 口増 7辟
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91四 人口変化要因
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93刊
5 9799 01刊 3 05‑07
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付属資料
3地 域 別 年 間収 入 と貯蓄 残 高 の ジニ係数 (順 位
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資 料 「全 国 消 費 実 態 調 査 」厚 生労 働 省 より作 成