論文内容要旨
Mechanical analysis after posterior lumbar interbody fusion using three-dimensional finite element analysis
Journal of Spine Research (第 6 巻 5 号 2015 年掲載予定)
外科系整形外科学 小林 奏
(目的)
椎間不安定性を有する腰椎変性疾患に対する術式として PLIF(posterior lumbar interbody fusion)は一般的におこなわれているが、その力学的検 討をした報告は少ない。Pedicle screw の改良とともに頻度は激減したも のの、骨癒合までの screw 折損や骨癒合後の折損もしばしば経験すること があるため、有限要素法を用いその力学的な研究をおこなうことを目的と した。また除圧椎弓の椎間関節を温存するか否かが instrument へ力学的 影響をきたすのかどうかについても検討した。
(対象および方法)
第4腰椎すべり症に対し椎間関節を温存し PLIF 施行した症例の CT データ ーを基に 3 次元有限要素解析プログラムを用いて L3−S1 のモデルを作成し、
仙腸関節と仙骨底面を拘束した。L3椎体上面に垂直に 400N の前負荷と、
10.0Nm のモーメントを負荷し相当応力を評価した。
作成したモデル(TypeF)とそのデーターから椎間関節を消去して作成し たモデル(TypeNF)を比較し術後の骨癒合が得られる以前と、骨癒合後の instrument や脊椎の力学的検討をおこなった。
(結果)
TypeF、TypeNF ともに骨癒合後においても Instrument への応力は減少す るが消失することはなかった。TypeNF は TypeF に比べ instrument への応 力が大きく、その傾向は骨癒合前も骨癒合後も同様であった。
各々のモデルより instrument のみを抜き出し、相当応力 10MPa 以上の要 素を抽出し比較したところ TypeF、TypeNF ともにスクリューに対する応力 は尾側のスクリューに大きく認められた。
TypeF において骨モデルのみを抜き出して椎間関節が評価できるような骨 切片を作成した。骨癒合前のモデルにおいて前屈後屈ともに椎間関節に応 力を認めた。 骨癒合後は特に後屈で椎弓から椎間関節の広範囲に応力が 大きく認められた。
(考察)
臨床において術後6ヶ月以降に screw 折損が認められた症例では骨癒合 が完成していたとの報告や尾側の screw に折損が多く認められた等の報 告が散見されており、これらはわれわれの骨癒合後も instrument への応 力が存在することや尾側のスクリューに応力が大きく認められたことと 一致した。
また固定椎間の椎間関節に応力が認められ、さらに骨癒合後は応力が椎弓 から椎間関節の広範囲にかかることにより、椎間関節を温存することは instrument への応力を軽減させていると示唆された。
(まとめ)
1.骨癒合後においても instrument への応力は減少するが、消失すること はなかった
2.頭側よりも尾側 screw への応力が大きい傾向があった
3.椎間関節を温存することにより骨癒合後の instrument への応力は減少 した