1 ICT分野の主要製品・サービスの市場規模
本項では、日本を含む世界のICT市場の動向を概観する。はじめに、世界のデータトラフィックの拡大状況と IoTデバイスの普及状況について述べる。次に、ICT市場の動向を、コンテンツ・アプリケーション、クラウド/
データセンター、ネットワーク、端末市場のレイヤーごとに概観する。
データトラフィックの拡大 1
データトラフィックは、動画を中心に引き続き増大
デジタル化の進展に伴い、データ流通は増大している。Cisco(2019)によると、世界のトラフィックは2018 年から2021年にかけて、2倍に増加し、2021年には1ヶ月あたり319エクサバイトに達すると予測されている。
(図表1-2-1-1、図表1-2-1-2)。
また、世界中の全 IP トラフィック(ビジネスとコンシューマの両方)に占める IP ビデオ トラフィックの割合 は、2017 年の 75 % から 2022 年には 82 % に増加する見込みとなっている。
図表1-2-1-1
( )
イン ー ット ー ドI
イ ー
0 9 85 10 13 1
219
1 19 23
2 31
35 0
3
12 19
29 1
5
60 60 7373
96 96
122 122
156 156
201 201
254 254
319 319
0 100 200 300
201 イト
2021 2020 2019 2018 201 201 2015
イン ー ット イン ー ット ッ ーンを る て
のI トラフ ッ
ー ドI 業のI A トラフ ッ のI
トランス ート
(出典)CiscoVNI
図表1-2-1-2
( )
ン ー
ス
0 100 200 300
201 イト
2021 2020 2019 2018 201 201 2015
8 59 8 100 129 1
212 2
12 1 18
22 2
3 2
52
60 73 96
122 156
201 254
319
(出典)CiscoVNI
第 2 節 デジタル経済を支えるICTの動向
IT デのの 第 1 章
IoTデバイスの急速な普及 2
IoTデバイス数は、「自動車・輸送機器」「医療」「産業用途」で高成長が見込まれている パソコンやスマートフォンなど、従来のイ
ンターネット接続端末に加え、家電や自動車、
ビルや工場など、世界中の様々なものがネッ トワークにつながるようになっている。
世界のIoTデバイス*1数の動向をカテゴリ
*2別にみると、2018年時点で稼動数が多い カテゴリは、スマートフォンや通信機器など の「通信」となっている(図表1-2-1-3)。
ただし、既に市場が飽和状態であることから 2019年以後は相対的に低成長が見込まれて いる。
対照的に高成長が予測されているのは、コ ネクテッドカーの普及によりIoT化の進展が 見込まれる「自動車・輸送機器」、デジタル ヘルスケアの市場が拡大している「医療」、
スマート工場やスマートシティが拡大する
「産業用途(工場、インフラ、物流)」などで ある(図表1-2-1-4)。
図表1-2-1-3
ン ー
ン ー
業用
201 2015 201 201 2018 2019 2020 2021 1 0 205 1 2 1 0 2 9 30 1 3 8 39 0 9 0 03 0 0 0 0 0 05 0 03 0 0 0 05 0
3 8 0 5 13 5 1 19 1 22 0
2 0 2 3 2 8 3 3 9 8 5 9 1
18 2 2 9 32 2 0 8 81 10 3 1 19 3 21 1 22 0 22 2 22 22 3 22 3 22 3 33 8 38 9 5 3 52 0 0 51 5 1 5 2 93 113 1 132 2 1 3 1 5 9 1 2 0 1 9 183 9 93 113 1 132 2 1 3 1 5 9 1 2 0 1 9 183 9
33 8 38 9 5 3 52 0 0 51 5 1 5 2
19 3 21 1 22 0 22 2 22 22 3 22 3 22 3
18 2 2 9 32 2 0 8 81 10 3 1
170 7 205 1
241 0
274 9 307 1 348 7
394 0 447 9
0 100 200 300 00 500
(出典)IHS Technology
図表1-2-1-4
3 5
ン ー
1
ン ー
0 1 3 1業用
22 1
1 20 5
5 0 5 10 15 20 25 30 35 0
I イス
50 100 150 200
20182021
世界のIoTデバイス数の年平均成長率
(出典)IHS Technology
*1 IHS Technologyの定義では、IoTデバイスとは、固有のIP アドレスを持ちインターネットに接続が可能な機器及びセンサーネットワークの末 端として使われる端末等を指す。
*2 各カテゴリの範囲は以下のとおり。
「通信」:固定通信インフラ・ネットワーク機器、2G、3G、4G各種バンドのセルラー通信及びWi-Fi、WIMAX などの無線通信インフラ及び 端末。
「コンシューマー」:家電(白物・デジタル)、プリンターなどのパソコン周辺機器、ポータブルオーディオ、スマートトイ、スポーツ・フィッ トネス、その他。
「コンピューター」:ノートパソコン、デスクトップパソコン、サーバー、ワークステーション、メインフレーム・スパコンなどコンピュー ティング機器。
「産業用途」:オートメーション(IA/BA)、照明、エネルギー関連、セキュリティ、検査・計測機器などオートメーション以外の工業・産業用 途の機器。
「医療」:画像診断装置ほか医療向け機器、コンシューマーヘルスケア機器。
「自動車・輸送機器」:自動車(乗用車、商用車)の制御系及び情報系において、インターネットと接続が可能な機器。
「軍事・宇宙・航空」:軍事・宇宙・航空向け機器(例:航空機コックピット向け電装・計装機器、旅客システム用機器、軍用監視システムな ど)。
IT デのの 第 1 章
レイヤー別にみる市場動向 3
ここでは、世界のICT市場について、市場のレイヤー分類に基づき、コンテンツ・アプリケーション、クラウ ド/データセンター、ネットワーク、端末に分けて近年の動向等を概観する(図表1-2-1-5)。
全体的な動向として、「ネットワーク」「端末」の下位レイヤーの市場は、規模は大きいが成長率は低くなってい る。対照的に「コンテンツ・アプリケーション」「クラウド/データセンター」の上位レイヤーの市場規模は相対的 に小さいが成長率は高くなっている。デジタル経済の進化との関係で特徴的な動向としては、コンテンツ・アプリ ケーションではサブスクリプションサービスの増加、クラウド/データセンターではデータ流通量の増加を背景に した市場規模の拡大、ネットワークでは仮想化、端末ではICT利用産業における利用の拡大が挙げられる。
ア コンテンツ・アプリケーション
コンテンツでは、動画・音楽共にサブスクリプションサービスが拡大 コンシューマー向けのコンテンツ配信サー
ビスのビジネスモデルは、一般に「広告収入 型モデル」(主として無料)と「課金型モデ ル」(有料)に大別される。これまでインター ネット広告の拡大とともに、とりわけ前者の モデルの利用が拡大してきた。
後者については、従来のダウンロード課金 型サービスから、月額料金を支払うことで視 聴し放題で利用できる定額制(サブスクリプ ション)サービスのシェアが上昇傾向にある
(図表1-2-1-6)。
図表1-2-1-5
1 ン ンツ ア リ ー ン
2 ラ ド ー ン ー
3 ット ー
イ ア リ
ラ ド ー ス
ー ン ー
ロード ンド ー ス ー ス
ロ ス ー
A ー
ス ートフ ン ット
A AI ス ーカ
ドローン ー スロ ット
アラ
ー スイッ
スト ー
(出典)総務省(2019)「平成の情報化に関する調査研究」
図表1-2-1-6
58 8 3 0 1 5 5 2 1 5 1
0 5 93 8 12 3 2 0
38 1 8 5 8 3 9
1 8 2 3 1
5 10
13 5 1 3
18
0 2 8 10 12 1 1 18 20
0 200 00 00 800
201 2015 201 201 2018 2019 2020 2021 ド
(出典)IHS Technology
IT デのの 第 1 章
有料音楽配信サービスでは、ダウンロード 課金型サービスが主流であったが、最近では 動画配信と同様に定額制サービスの売上高が 拡大している(図表1-2-1-7)。2019年時点 の代表例としては、欧州発のSpotify や米国 Pandora などが挙げられ、我が国でも2015 年夏頃よりAppleやLINE等の多くの事業者 がサービス提供を開始した。2016年にダウ ンロード課金型と定額制の売上高は逆転し、
今後も音楽配信市場においては、定額制配信 型サービスの拡大が市場を牽引することが見 込まれている。
スマートフォン・タブレット向けのアプリ ケーション市場は、消費者向けのゲームが市 場を牽引してきた。近年では、ビジネス用途、
ヘルスケア用途、地図・ナビゲーション等の アプリケーションも増加傾向にある(図表 1-2-1-8)。
図表1-2-1-7
ンロード
0 1 8
31 2
18 8 1 5 1 9 13
23 31 1 3 0
5 103
125 9 13 1 5
0 0 5
0
1 0 1 3
1 5 1 1
0 0 0 5 1 0 1 5 2 0
0 0 80 120 1 0
201 2015 201 201 2018 2019 2020 2021 ド
(出典)IHS Technology
図表1-2-1-8
イ ア リ
イ ー
イ ア リ 日本
イ ー 日本
2 9 3 9 3
513 535 9 582 5 22 53 1 3 2
2 5 5 318 8
25 80 8 522 1 55 5 585 0 02
59 8 9 2 103 10 0 11 5 12 0 130 2 13 5 5 0 85 90 9 111 0 118 1 12 1 128 2 0
200 00 00 800
201 2015 201 201 2018 2019 2020 2021 ド
(出典)IHS Technology
IT デのの 第 1 章
イ クラウド/データセンター データセンター・クラウドサー
ビス共に引き続き拡大
コンテンツ・アプリケーショ ンの利用を支えるのが、データ センターでありクラウドである。
データセンターは、コンテンツ 配信、クラウドサービス等の基 盤となるものであり、これらの サービスの市場規模が拡大して いるのに伴い、データセンター の市場規模も年10%程度のペー スで拡大している。
地域別では、北米の市場規模 が引き続き市場の約半分を占め ている(図表1-2-1-9)。
*3 「クラウド・ICT サービス」:IaaS ほかクラウドサービスを展開するベンダー向け。
「コンテンツ・デジタルメディア」:SNSや電子商取引、動画などのデジタルコンテンツ・メディアサービス事業者向け。
「コンテンツ配信ネットワーク(CDN)」:ネットワーク系のICTインフラ提供を主力とする事業者向け。
「エンタプライズ」:官公庁や教育、ヘルスケア、小売業などの一般事業会社のシステム向け。
「金融」:金融機関のシステム向け。
図表1-2-1-9
(
*3)
ラ ド I ー ス
ン ンツ メ ア
ン ライ
38 8 0 50 55 1 8 0 5 1
31 33 3 1 2 2 3 50 2
5 1 58 0
2 8 9 9 1 55 9 1 0 0 5 9
28 2 29 9 33 0
3 1 0 1
3 9 8 0
52 1
3 38 2 1 8
0 51
5 8 58 2
1 3
177 7 177 7 187 3187 3
205 3 205 3
232 8 232 8
255 0 255 0
276 2 276 2
298 7 298 7
321 3 321 3
0 100 200 300
201 2015 201 201 2018 2019 2020 2021 ド
(出典)IHS Technology
図表1-2-1-10
( )
の ア ア 中
201 2015 201 201 2018 2019 2020 2021 ド
8 90 9 100 2 115 5 129 0 139 150 3 1 1 1 1 2 5 9 9 2
55
0 8 5 1 9 5
50 3 8 1 53 58 8
5 2 1
8 8 85 8
1 9 2 2 5
2 8 0 0
0 0 0 0
0 0
177 7 177 7 187 3187 3
205 3 205 3
232 8 232 8
255 0 255 0
276 2 276 2
298 7 298 7
321 3 321 3
0 100 200 300
(出典)IHS Technology
IT デのの 第 1 章
クラウドサービスとは、イン ターネット上に設けたリソース を 提 供 す る サ ー ビ ス で あ り、
IaaS, PaaS, CaaS, SaaS*4の類 型がある。コンテンツ配信や電 子 商 取 引(EC) な ど の サ ー ビ ス・アプリケーションから、多 様なIoTプラットフォームまで 様々なICTソリューションを支 えており、企業のクラウド活用 の増加に伴い、高成長を遂げて きた。クラウドサービスは、IoT を活用したサービスの重要なプ ラットフォームであることから、
今後も成長が続くと見込まれて いる(図表1-2-1-11)。
地域別動向としては、先行し て立ち上がり、最大市場である 北米で引き続き高成長が見込ま れている(図表1-2-1-12)。
図表1-2-1-12
( )
の ア ア 中
299 9 3 883 9 8 1 21 1 1 2
1 1 22 298
381 8 21
5 8
12 19
25 325
1 553
89 805
19 32
1 50
99 12
1 5
606 932
1 259 1 640
1 946 2 487
3 014 3 469
0 1 000 2 000 3 000 000
201 2015 201 201 2018 2019 2020 2021 ド
(出典)IHS Technology
図表1-2-1-11
( )
I
2 3 82 55 5 2 19 85 9 0
38 0 121
201 32 9
12 30
32 10
1 25
3 8 80
5
290 53
5 8 18
800 930
1 0 1 20
606 932
1 259 1 640
1 946 2 487
3 014 3 469
0 1 000 2 000 3 000 000
201 2015 201 201 2018 2019 2020 2021 ド
(出典)IHS Technology
*4 「IaaS( Infrastructure as a Service)」インターネット経由でハードウェアやICTインフラを提供。
「PaaS (Platform as a Service)」SaaSを開発する環境や運用する環境をインターネット経由で提供。
「CaaS(Cloud-as-a-Service)」クラウドの上で他のクラウドのサービスを提供するハイブリッド型。
「SaaS (Software as a Service)」インターネット経由でソフトウェアパッケージを提供。
IT デのの 第 1 章
ウ ネットワーク
ネットワークレイヤーでは、通信サービス市場および通信機器市場について概観する。
(ア)固定・移動体通信サービス
通信サービスは、固定・移動共に拡大は緩やかに 世 界 の 固 定 ブ ロ ー ド バ ン ド
サ ー ビ ス(xDSL・CATV・
FTTx) は、2016 年 か ら 2017 年 に か け て、 新 興 国 を 中 心 に 2016年のオリンピック需要の反 動減があったため約8.1億契約と 減 少 し た も の の、I H S Technologyによると、2021年 には8.9億契約まで拡大すると予 想されている(図表1-2-1-13)。
携帯電話及びスマートフォン 等の移動体通信サービスの契約 数は、新興国を中心に増加して きた*5が、今後は新規契約の成 長は緩やかになると見込まれて いる(図表1-2-1-14)。
*5 南米、アフリカ、中東、アジアの各国の契約数の統計が遡及して下方修正されたことに伴い、平成30年版情報通信白書に掲載した移動体通信 サービス契約数の値から2017年以前の契約数も含め下方修正している。
図表1-2-1-14
の
ア ア 日本
日本 中
201 201 2018 2019 2020 2021
3 5 8
20 20 8 21 1 21 5 21 8 22 1
3 39 0 8 1 9 2 8 3
1 1 8 1 1 80 1 85 1 89
0 5 8 0 1 3
70 4
70 4 72 472 4 74 374 3 76 076 0 77 377 3 78 578 5
0 20 0 0 80 100
(出典)IHS Technology
図表1-2-1-13
の ア ア 中
201 2015 201 201 2018 2019 2020 2021 1 1 1 1 1 2 1 2 1 2 1 3 1 3 1 3
2 5 2 2 2 2 2 2 2 8
3 3 9 0
3 8 3 3 8 0 1
0 0 0
0 0 0 0 0
7 9
7 9 8 28 2 8 68 6 8 1
8 1 8 18 1 8 48 4 8 68 6 8 98 9
0 2 8 10
(出典)IHS Technology
IT デのの 第 1 章
(イ)固定ネットワーク機器
通信インフラは、様々なネットワーク機器・設備やそれを支える技術によって成り立っている。ここでは、ルー タ・スイッチ、光伝送機器市場、仮想化ソフトウェア・ハードウェア及びFTTH機器市場について取り上げる。
ネットワークの仮想化の進展により、関連機器等が拡大する一方で縮小する機器も 通信事業者、データセンター
事業者が用いるルータ・スイッ チの市場規模は、全体としては 増加傾向にあるものの、ネット ワークの仮想化等を受けてエッ ジ部分に用いられるルータの市 場規模は縮小傾向にある(図表 1-2-1-15、図表1-2-1-16)。
図表1-2-1-15
( )
ー I ッ
ー I ア
スイッ 業
スイッ ー ン ー 業
スイッ
201 2015 201 201 2018 2019 2020 2021 ド
99 9 98 9 9 2 9 0 91 5 89 3 8 3 85 2 3 28 5 32 9 3 35 3 0 38 39 21 1 25 2 2 30 3 33 2 3 0 0 0 0 0
1 2 19 0 21 2 5 28 0 33 2 25 1
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 152 8
152 8 152 5152 5 166 3
166 3 175 9175 9 176 4176 4 181 2181 2 186 8186 8 194 5194 5
0 100 200
(出典)IHS Technology
図表1-2-1-16
( )
201 2015 201 201 2018 2019 2020 2021 ド
50 3 51 1 0 0 1 5 9 5 8 59 1 0
3 1 38 3 39 39 1 1 1 9 2 3
58 0 51 8
58 0 9 2 1 8 82
8 5 11 8 3
9 1 5 8
152 8 152 8 152 5152 5
166 3
166 3 175 9175 9 176 4176 4 181 2181 2 186 8186 8 194 5194 5
0 100 200
の ア ア 中
(出典)IHS Technology
IT デのの 第 1 章
光伝送機器の市場規模は、
2014年から2017年までは増 加傾向であったが2018年に は落ち込みがみられる(図表 1-2-1-17)。IHS Technology によると、この落ち込みは中 国における光インフラの導入 がピークアウトした影響であ り、今後は新興国での需要や 先進国におけるデータセン ターの大容量化等に対応した 更新需要により増加が予想さ れている。
固定ネットワークにおける 近年の特徴的な動きの1つが、
仮想化である。サーバーの仮 想化やクラウドサービスの普 及が進んだことに伴い、物理 的なマシンとコンピュータリ ソースの利用とが独立するよ うになっている。これに伴い ネットワークの構成も柔軟に 設定する必要が生じている。
また、ネットワークを仮想化 することで、従来個別のハー ドウェアが必要であった多様 なネットワーク環境が汎用的 なハードウェア及びソフト ウェアで構成可能となり、シ ステム全体の柔軟性と稼働率 が向上し、設備投資コストや 運用コストを下げることも期 待される。
*6 NFVI:ネットワークの仮想化機能を実行するためのハードウェア
uCPE(Universal CPE):仮想ネットワーク機能をインストールして利用できる汎用加入者宅内機器
NFV MANO(NFV Management and Orchestration):ネットワーク機能を仮想化した環境でサービスやリソースを統合して運用管理するもの VNF(Virtual Network Function):ソフトウェアで実装されたネットワーク機能
図表1-2-1-18
(
*6)
I A
201 2015 201 201 2018 2019 2020 2021 ド
1 5 1 3 10 5 1 1 1 9 21 25 3
0 0 0 0 0 00 1 0 2 0 2 1 0
0 10 8 1 5
2 9 5 3 10 2 12 8 19 8 30
50
8 105
12 8
9 3 9 3 24 624 6
38 3 38 3
63 9 63 9
87 0 87 0
112 8 112 8
139 5 139 5
170 9 170 9
0 50 100 150 200
(出典)IHS Technology
図表1-2-1-17
201 2015 201 201 2018 2019 2020 2021 ド
35 1 3 2 3 2 3 31 32 5 33 35 0 29 29 5 30 30 29 3 30 2 31 3 32 8
5 9 0 5 5 9 1 1 82 5 8
10 5 10 2
10 9 9 9 9 8 2 8 9 0
121 0
121 0 124 9124 9 132 3132 3 141 8141 8 138 0138 0 147 0147 0 155 8155 8 164 5164 5
0 50 100 150 200
の ア ア 中
(出典)IHS Technology
IT デのの 第 1 章
IHS Technologyによると、
2018年の市場規模は87億ドル であり、2019年以降もVNF(ソ フトウェアで実装されたネット ワーク機能)を中心に成長が見 込まれている(図表1-2-1-18、
図表1-2-1-19)。
FTTH 機 器 は、2016 年 か ら 2018年まで減少しているが、
2019年以降は増加が見込まれて いる。IHS Technologyによる と、新興国を中心に2016年のオ リンピック需要の反動減があっ たため2016年から2018年にか けて減少したものの、2021年に は53.9億ドルまで拡大すると予 想されている(図表1-2-1-20)。
図表1-2-1-19
( )
201 2015 201 201 2018 2019 2020 2021 ド
2 2 5 8 3 1 3 20 2 3 8 0
2 3 2 10 9 1 22 8 29 0 35 2
0 10 2 15 9 2
35 3
5 1 9 9
0 8 1 5 3 1 5 9
8 9 9
12 1 1 3
9 3
9 3 24 624 6 38 338 3 63 9 63 9
87 0 87 0
112 8 112 8
139 5 139 5
170 9 170 9
0 50 100 150 200
の ア ア 中
(出典)IHS Technology
図表1-2-1-20 *7
201 2015 201 201 2018 2019 2020 2021 ド
1 0 3 9 8 9 9 12
3 5 5 2 5 9 5 0 5
2 35
38 1 3 5 32 31 31 9 1 2 3 2
2 3
3 2 1 2 1 1 1
1
35 9 35 9
46 4 46 4
51 9 51 9
48 948 9 48 348 3 48 048 0 49 549 5 53 9 53 9
0 20 0 0
の ア ア 中
(出典)IHS Technology
*7 Broadband Gateway、ONT、PON、を含むFTTH CPE(Consumer Premise Equipment)を対象とする。
IT デのの 第 1 章
(ウ)移動体ネットワーク機器
スモールセル基地局の拡大が続く一方、マクロセル基地局は5G効果の出現までは縮小 移動体ネットワーク機器市場
のうち、マクロセル基地局*8市 場は、中国におけるLTE投資額 が大きかった2015年をピークに 2018 年 ま で 縮 小 し て い る。
2020年以降は、5Gの普及の進 展に伴い市場規模の拡大が見込 まれている(図表1-2-1-21)。
スモールセルは、マクロセル 基地局を補完してカバレッジを 確保するものである。特にLTE 以降の移動通信システムは、高 い周波数の帯域を用いており、
電波の直進性が強い(障害物が あると電波が届きづらい)こと からスモールセルの必要性が増 している。マクロセルと比べる と単価は低いが、屋内設置の増 加など、利便性改善のための投 資拡大が続いており、2020年以 降も市場規模の拡大が見込まれ ている(図表1-2-1-22)。
図表1-2-1-22
2011 12 1 2015 20112 9 2 33 8 2012 8 2018 2019 2020 20213 3 3 9 0 5 2 5 9
5 3 8
8 1 9
11 0
12 13 1 3
0 2 0 3
0 0 8
1 3 1
2 1 2 3
8 7 8 7
11 7 11 7
14 7 14 7
17 7 17 7
20 9 20 9
23 7 23 7
25 9 25 9 27 327 3
0 10 20 30ド
の ア ア 中
(出典)IHS Technology
図表1-2-1-21
の
ア ア 日本
日本 中
の 5
8 2 80 3 2 3 2 8
1 81 5 89 1 1 1 1 8 152 2 131 1 12 123 12
2 29 2
2 2 3
25 0 2 2 2 0 1 251 8 2 1 0 9
3 2 33 5
2 2 20 15 19 1 15 9 5 1 5
3
32 3 2 0
2 0 22 0 20 9 599 634
588
540 496
480 479 512
9 1 35 0
101 155 3
201 2015 201 201 2018 2019 2020 2021 ド
0 100 200 300 00 500 00 00
(出典)IHS Technology
*8 半径数百メートルから十数キロメートルに及ぶ通信エリアを構築するための基地局。
IT デのの 第 1 章
(エ)LPWAモジュール
LoRaWANを中心に、引き続き拡大
IoTは、多種多様なアプリケーションの通信ニーズに対応することが求められる。このうち、従来よりも低消費 電力、広いカバーエリア、低コストの通信を担うのが、LPWA(Low Power Wide Area)と呼ばれる技術であ る。LPWAの通信速度は数kbpsから数百kbps程度と携帯電話システムと比較して低速なものの、一般的な電池 で数年以上運用可能な省電力性や、数kmから数十kmもの通信が可能な広域性を有している。
これまでLPWAモジュール市 場は、欧州企業であるSIGFOX によるSigfoxとCiscoをはじめ と し た 米 国 企 業 が 推 進 す る LoRaWANとが牽引してきてお り、出荷台数ではLoRaWANが 最も多くなっている(図表1-2- 1-23)。
3GPP が 進 め る セ ル ラ ー 系 LPWAは、SigfoxやLoRaWAN に比べると高ビットレートのた め、LPWAの中でも比較的ハイ スペックな用途を中心とした市 場開拓が進められている(図表 1-2-1-24)。
図表1-2-1-24
1 I
5 I
0 1
3 7
12 19
0 5 10 15 20
201 201 2018 2019 2020 2021 ド
(出典)IHS Technology
図表1-2-1-23
1 I
5 I
0 1 0 2 0 4
0 7 1 1
1 9 3 1
0 1 2 3
2015 201 201 2018 2019 2020 2021
(出典)IHS Technology
IT デのの 第 1 章
エ 端末
端末は、エンドユーザー向けでは主に固定通信を利用するパソコンが普及した後、移動通信を利用するタブレッ トとスマートフォンの利用が広がってきた。その後、眼鏡や腕輪として身に着けるウェアラブル端末が開発され利 用が進んできている。
また、従来のインターネット接続端末に加え、様々なモノがつながるIoT化が進展したことから、エンドユー ザー向け以外のスマートメーター、自動車に搭載されるセルラーモジュール等の様々な端末の利用が拡大してきた
(IoTデバイスの普及状況については、図表1-2-1-3参照)。ロボットについては、ヘルスケア・介護や店舗の接客 等でも利用されるサービスロボットも増加している。無人で遠隔操作や自動制御によって飛行できるドローンは高 機能化と低価格化が進み、個人が趣味に使うほか、高所・遠隔地でのモニタリング等企業での活用も広がってきて いる。
さらに近年では、AIの発達を受けて、AIのパーソナルアシスタンス機能を活用したAIスピーカーの利用が始 まっている。また、AR(Augmented Reality:拡張現実)/VR(Virtual Reality:仮想現実)端末も普及が始 まっている。
(ア)スマートフォン・タブレット
スマートフォンは横ばい、タブレットは低迷 スマートフォンの出荷台数は、
2015年以降横ばい傾向が続いて いる(図表1-2-1-25)。今後は、
緩やかな増加傾向が見込まれて いるが、新興国市場向けを中心 に低価格な端末が増加すること から、金額ベースでは横ばいな いし減少傾向で推移するとみら れている。
タブレットの出荷台数は、ス マートフォンやウルトラブック といった超薄型ノートパソコン などとの競争等から、コンシュー マー向けの市場で世界的に低迷 が続いている(図表1-2-1-26)。
図表1-2-1-26
の
ア ア 日本
日本 中
0 25 50 5 100 125 ド150
0 0 5 0 0 0 0 3 0 3 0 3
0
0 0 5 0 5 0 5
0 0 0 3
0 9
0 8 0 0
0
0 5 0 0
0 1 0 1
0 1 0 1
0 1 0 1 0 1 0 1 0 2
0 2
0 1 0 1
0 1 0 1 0 1 0 1 2 5
2 5 2 1 2 1
1 9 1 9 1 81 8
1 4 1 4 1 31 3
1 2 1 2 1 21 2 1 0
100 2 131 9
11 10
2 5 8 9 8
201 2015 201 201 2018 2019 2020 2021 0 0
0 5 1 0 1 5 2 0 2 5 3 0
(出典)IHS Technology
図表1-2-1-25
201 2015 201 201 2018 2019 2020 2021
1 1 1 2 1 8 1 8 1 8 1 8 1 8
3 0 1 3 3 8 3 9 0 0
0 1 2 1 2 3 3
0 0 0 0 0 0 3 0 0
2 5 3 0 3 2 2 9 3 1 3 1 3 3 3 3 0 8 0 9 1 0 1 3 1 2 1 2 1 2 1 2 12 8 13 8 14 0 14 4 14 4 14 5 14 9 15 1 3 195
3 0
3 2 0 3 313 3 1
3 2 3 198 3 233
0 1 000 2 000 3 000 000
0 0 5 0 10 0 15 0 20 0
の 中国 日本 ア ア 日本 中 ド
(出典)IHS Technology
IT デのの 第 1 章
(イ)ウェアラブル
情報・映像型は低価格化による縮小から回復傾向
IoT時代における通信端末としてウェアラブル端末が挙 げられる。一般消費者向け(BtoC)では、カメラやス マートウォッチなどの情報・映像型機器、活動量計等のモ ニタリング機能を有するスポーツ・フィットネス型機器な どがある。業務用(BtoB)では、医療、警備、防衛等の 分野で人間の高度な作業を支援する端末や、従業員や作業 員の作業や環境を管理・監視する端末が既に実用化されて いる。
一般消費者向けのウェアラブル端末の市場規模の推移を 種類別にみる(図表1-2-1-27)。IHS Technologyによる と情報・映像型ウェアラブル市場は、2014年から2016 年に市場が立ち上がり始めた時期はハイエンド品中心で あったが、アジア系メーカーが参入し低価格化が進んだた め、2017年の市場規模は縮小している。今後はアプリの 拡充による裾野の広がりから市場の拡大が見込まれ、
2020年には90.3億ドルになると予想されている。
また、スポーツ・フィットネス型については、先進国の みならず新興国においても健康意識の高まりやPOC
(point of care)の需要が見込まれる一方で、アジア系メーカーの参入により低価格化の影響があることから、
2019年以降、市場規模は前年並みで推移すると見込まれている。
(ウ)サービスロボット・ドローン 様々な現場での導入が進み、引き続き拡大
サービスロボット*9の世界市場は拡大が続いており、省人化や人的負担の軽減等を目的とした導入が進んでい るとみられ、IHS Technologyによると2019年以降も堅調に拡大すると予想されている(図表1-2-1-28)。
ドローンの世界市場も拡大が続いている。高所・遠隔地でのモニタリング等のため業務用ドローンの導入が進ん でいるとみられ、IHS Technologyによると、2019年以降も堅調に拡大すると予想されている(図表1-2-1- 29)。
図表1-2-1-28
2015 201 201 2018 2019 2020 25 8
25 8 11
3 5 3 5
103 0 103 0
125 3 125 3
1 9 1 9
0 0 80 120 1 0ド
(出典)IHS Technology
図表1-2-1-29
2015 201 201 2018 2019 2020 1 9
1 9 33 00
15 8 15 8
2 9 2 9
55
0 10 20 30 0 50ド
(出典)IHS Technology
図表1-2-1-27
ス ーツ フ ット ス 201 2015 201 201 2018 2019 2020 2021 3
5 85 3
5 0
1 0 3 5
90 3
25 28 5 30 2 25 5 2 2 28 2 2
0 0 80 120ド
(出典)IHS Technology
*9 ここでは、製造業以外の物流、ヘルスケア・介護、店舗等で使われるサービスロボットを対象としている。
IT デのの 第 1 章
(エ)AIスピーカー(スマートスピーカー)
出荷台数は引き続き拡大
機械を操作するためのインターフェースの1つとして音 声が注目されつつあり、IHS Technologyによると2019 年以降もAIスピーカー(スマートスピーカー)市場の拡 大が見込まれている。AIスピーカー(スマートスピー カー)市場への参入は、GoogleとAmazonが先行し、そ れぞれGoogle Home、Amazon Echoを販売している。
日本企業もLINEやソニーが参入している。
(オ)AR/VR
利用の広がりにより引き続き拡大
AR(Augmented Reality)は、目の前にある現実世界 にコンピューターで作られた映像や画像を重ね合わせ、現 実世界を拡張する技術、VR(Virtual Reality)は、現実 にない世界又は体験し難い状況をCGによって仮想空間上 に作り出す技術である。消費者向けのエンターテイメント 向け以外でも、企業で利用が広がっており、例えば、不動 産分野で物件を、旅行分野で旅先を疑似体験するもののほ か、他の分野でも訓練や教育、3次元空間でのナビゲー ション等に活用されている。
図表1-2-1-30
(
)
2015 201 201 2018 2019 2020 2021 0 0
0 0 0 10 1 00
00 1 0 1 0
11 1 8 1 8
0 0 0 5 1 0 1 5 2 0
(出典)IHS Technology
図表1-2-1-31
201 201 2018 2019 2020 2021 1 8
1 8 35
35 3 33 3 59 8 59 8
11 89 2 89 2
22 99
10 9 10 9
20 2 20 2
30 30
3 1 3 1 0 18
0 18 0 28 0 28
0 9 0 9
0 58 0 58
0 5 0 5
0 1 0 1
0 0 0 1 0 2 0 3 0 0 5 0 0 0 8
0 20 0 0 80 100ド
ー ス ッド ット ー 置
A ー ス ッド ット
(出典)IHS Technology
IT デのの 第 1 章
2 ICTの導入に関する動向 ICT投資の状況
1
ア ICT投資額の推移
我が国は、米国や欧州主要国に比べて低い伸びにとどまる 1989年~2017年までの日米のICT投資額を概観する。
1989年のICT投資額(名目)は、我が国で14.3兆円、米国で1476億ドルであった。その後、我が国では 1997年の20.0兆円をピークに漸減傾向にあり2017年も16.3兆円にとどまるのに対し、米国では、2000年代前 半及び2008年頃の一時期に落ち込みを見せつつも、おおむね増加傾向が続き、2017年には6551億ドルと30年 間で4倍以上に増加している(図表1-2-2-1、図表1-2-2-2)。
図表1-2-2-1
( )
10 2 5 8
0 10 5
28 3
2
0 10 20 30 0 50 0 0 80
ード ア フト ア
日本 フト ア I
0 10 20 30 0 50 0 0 80
1989 1990 1991 1992 1993 199 1995 199 199 1998 1999 2000 2001 2002 2003 200 2005 200 200 2008 2009 2010 2011 2012 2013 201 2015 201 201
(出典)OECD Stat
図表1-2-2-2
( )
ド
ード ア フト ア
国 フト ア I
0 09 0 0 0 25
0 1 3 5
1 9
0 10 20 30 0 50 0 0
0 0 1 0 2 0 3 0 0 5 0 0 0 8
1989 1990 1991 1992 1993 199 1995 199 199 1998 1999 2000 2001 2002 2003 200 2005 200 200 2008 2009 2010 2011 2012 2013 201 2015 201
(出典)OECD Stat
我が国のICT投資額は、1995年比でフランス及 び英国と比較しても低い伸びにとどまっている(図 表1-2-2-3)。
日米共にソフトウェア投資の割合が高まる中、米国 ではハードウェア投資も増加傾向
ICT投資額をハードウェアとソフトウェアとに分 けてみると、日米とも次第にソフトウェアの占める 割合が高まっており、相対的にソフトウェアの重要 性が高まってきたことがうかがえる。1990年代ま では我が国は米国と比較してソフトウェアの占める 割合が低く概ね20%台~30%台であったが、2000 年代に入り50%以上となり比率では米国と同水準 になり2017年には64.2%となっている。また、米 国ではソフトウェア投資のみならずハードウェア投 資も増加傾向にある点が特筆される*10。
我が国のICT投資の「質」に課題はなかったのか
前述したとおり、過去30年間の我が国のICT投資額は、量的に伸び悩みがみられた。第1節で取り上げたとお り、我が国のGDPも過去30年間他の先進国のGDPと比較して伸び悩んでおり、長期的にはICT投資の不足が付
図表1-2-2-3
( 1995 100)
日本 国 国 国
0 50 100 150 200 250 300 350
1980 1981 1982 1983 198 1985 198 198 1988 1989 1990 1991 1992 1993 199 1995 199 199 1998 1999 2000 2001 2002 2003 200 2005 200 200 2008 2009 2010 2011 2012 2013 201 2015 201 201 1995 100
(出典)OECD Statを基に作成
*10 OECD Statを基にさらに内訳をみると、コンピューター機器に関しては、IT and other information services部門で2009年に92億ドルであっ たのが2016年に274億ドルに、通信機器に関しては、Audiovisual and broadcasting activities部門で2009年に515億ドルであったのが 2016年に増加しており、前者はプラットフォーム事業者による投資、後者は動画配信の増加による影響と考えられる。
IT デのの 第 1 章
加価値の伸び悩みをもたらし、付加価値が伸び悩んだゆえに新たなICT投資が進まなかったという相互関係にあっ た可能性がある。
しかしながら、ICT投資の「質」の面での課題はなかったのだろうか。我が国のICT投資の内容に効果を生ま ない要因があった可能性、ひいてはそのためにICT投資の量の拡大につながらなかった可能性も考える必要があ る。以下、このような問題意識の下、ICT投資の「質」の面に関する各種調査結果を整理する。
イ ソフトウェア投資の内訳
ソフトウェアの受託開発中心の日本、自社開発とパッケージ利用も多い米国
2017年時点では、ICT投資に占めるソフトウェアの比率に日本と米国で大きな違いはないが、ソフトウェアの 内訳に着目すると、傾向の違いが見て取れる。
我が国のソフトウェア投資の内訳については、各種制約*11があることから統計上の数値は把握できないものの、
ソフトウェアの供給側の統計によりパッケージ型ソフトウェアと受託開発型ソフトウェアの比率をみると、パッ ケージ11.7%に対し、受託開発型が88.3%となっている(図表1-2-2-4)。
他方、米国のソフトウェア投資の内訳をみると、受託開発型(米国の統計の区分ではカスタム)が33.8%となっ ているものの、自社開発型の割合が最も多く、また、パッケージ型も29.0%を占める。
我が国の数値には自社開発型が含まれていないため、単純比較はできないが、第1節で取りあげたとおり、我が 国のソフトウェア投資の特徴として、ユーザー企業がICT企業に対し、スクラッチやカスタマイズ*12による情報 システム開発を委託する形態が中心となっていることが統計からもみてとれる(図表1-2-2-5)。
そして、第1節で述べたとおり、このような外部委託は一般の企業において情報システム開発がコア業務として 捉えられていなかったことが要因の一つとの指摘があり、ICT投資の「質」と関係している可能性がある。
例えば、各企業における既存の業務フロー等を前提にカスタマイズして情報システムを開発することにより、
ICTの導入が可能とするより効率的・効果的な業務フローが取り入れられていないことも考えられる。逆に、外 部に委託することで、各企業の業務やニーズに合っていない情報システムが導入されるという可能性もある。
図表1-2-2-4
(2017 )
88 3 パッ ー11
(出典)総務省・経済産業省(2018)「平成30年情報通信業基本調査」
図表1-2-2-5
(2016 )
パッ ー29 0
33 8 3 2
(出典)米国商務省
ウ ICT投資の目的
我が国においては、「守り」のICT投資が中心
第1節でみたとおり、ICTは、業務の効率化や自動化を主な目的として導入が進められた。その後、企業のシス テム基盤として投資・構築が進んできたが、現在は、それに加えて新たなビジネスを創出する役割が強く求められ るようになってきている。しかしながら、平成30年版情報通信白書においても述べたとおり、我が国における ICTの導入は、現在でも業務の効率化が中心になっているとされている。
*11 我が国の国民経済計算では、ソフトウェア投資額に、パッケージ型ソフトウェア、受注型ソフトウェア、自社開発が含まれるが、それぞれの 内訳は公表されていない。
*12 情報システムをゼロから開発するものをスクラッチ、既存のパッケージ製品等を基に改修して開発するものをカスタマイズという。
IT デのの 第 1 章
社内の業務効率化やシステム基盤としてのICTは、SoR(Systems of Records)又はモード1と呼ばれ、「守り のICT」ともいうべき位置付けにある。他方、顧客とつながることで新たなビジネスを生み出すICTは、SoE
(Systems of Engagement)又はモード2と呼ばれ、「攻めのICT」ともいうべき位置付けにある(図表1-2-2- 6)。このほか、最近ではSoRとSoEにより収集したデータを活用する等により、ビジネスのための洞察を得るた めのICTをSoI(Systems of Insight)と呼ぶようになってきている。
我が国のICT投資の目的は、このSoRとSoEがそれぞれどの程度を占めているのだろうか。例えば、日本情報 システム・ユーザ協会(2019)*13の調査結果によると、ユーザー企業におけるICT予算の配分として、現行ビジ ネスの維持・運営のための「ランザビジネス」予算と、ビジネスの新しい施策展開のための「バリューアップ」予 算の比率は、概ね8:2となっている(図表1-2-2-7)。
図表1-2-2-7
33 22 5
23 8 21 2 21 8 20 8
3 の 8
18 5
1 929
1 855
15 939
1 9 5
80 0 0 20 0 20 0
3 5 2 8 8 8 2
29 2
ラン ス の リ ーアッ の
(出典)日本情報システム・ユーザ協会「企業IT動向調査2019(2018年度調査)」
図表1-2-2-6
( 1) ( 2)
運用 ストを を
を に ー ーフ ー
スの
に る ー スの
の ー に に
ア イ
業務 ス
( 1) ( 2)
(出典)総務省(2019)「平成の情報化に関する調査研究」
*13 日本情報システム・ユーザ協会(2019)「企業IT動向調査2019(2018年度調査)」
IT デのの 第 1 章
この2つは、必ずしもSoRとSoEにそのま ま対応するものではないと考えられるが、ICT 投資が「守り」に傾斜していることがうかがい 知れる*14。
ただし、SoEの比重が高まっている可能性は あると考えられる。アジャイルプロジェクトマ ネジメント研究会(2018)によると、所属部 門で継続してアジャイル開発(第2章第3節参 照)を導入している調査対象者の割合は年々上 昇し、2018年には49%になっている(図表 1-2-2-8)。このようなアジャイル開発の増加 は、SoEへの取組の増加を示すものであると考 えられる。すなわち、SoRにおいては、企業の 業務データの管理や処理の手順を基に最初に要 件が厳密に決まることを前提とすることが多い が、SoEにおいては、顧客のニーズや行動パ
ターンに柔軟に対応するため、要件が変化することを前提とするアジャイル開発に親和性があると考えられるため である。
IoT・AIの導入状況と今後の意向 2
我が国におけるAIの導入状況は、中国・米国・欧州主要国を下回っている
ボストンコンサルティンググループ(2018)の調査*15では、我が国を含む7か国で企業のAI導入状況の各国 比較を行っている。AIアクティブ・プレイヤー*16の国別の割合は、中国が圧倒的に高く、我が国は7か国中最低 となっている(図表1-2-2-9)。産業別にみると、我が国ではテクノロジー/ メディア/ 通信(60%) と金融(42%)
では7か国平均との差が比較的小さいものの、その他の産業では差が大きく、後れを取っている状況となっている
(図表1-2-2-10)。
図表1-2-2-8
31
31 33 22 99
99
11
11 1111 58
58 55 3939
22
0 20 0 0 80 100
20151 9 201
150 201
112 2018 1
中 い
(出典)一般社団法人PMI日本支部アジャイルプロジェクトマネジメント研究会(2018)「ア ジャイルプロジェクトマネジメント意識調査報告」
図表1-2-2-9
中国 アメリカ フランス ドイツ スイス オーストリア 日本
32 22 20 20 15 13 11
53
29 29 29
31 29 28
85
51 49 49 46 42 39
(%)100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0
一部の業務をAIに置き換えている 一部の業務でAIのパイロット運用を行っている
(出典)ボストンコンサルティンググループ(2018)「企業の人工知能(AI)の導入状況に関する各国調査」
*14 経済産業省(2018)「DXレポート」は、老朽化した既存の「レガシーシステム」が、戦略的なIT投資に資金・人材を振り向けられていない状 況をもたらすとともに、既存システムを放置した場合、技術的負債(短期的な観点でシステムを開発し、結果として長期的に保守費や運用費 が高騰している状態)が増大する懸念があるとしている。
*15 アンケート調査期間:2018年9月~10月
・調査対象国:アメリカ、オーストリア、スイス、中国、ドイツ、日本、フランスの7カ国
・調査対象者:中小企業(従業員数250人未満)から大企業(従業員数50,000名超)までの、AIに関する基礎的な理解を有する管理職
・回答者数:約2,700名
*16 「AIアクティブ・プレイヤー」の定義は、「一部の業務をAIに置き換えている」または「一部の業務でAIのパイロット運用を行っている」のい ずれかに該当し、かつ自社のAI導入を「概ね成功している」と評価した企業
IT デのの 第 1 章
我が国におけるAI/IoTの導入状況は、大企業が中堅・中小企業を、製造業が非製造業を上回る 財務省(2018)を基に、わが国のIoT、AI等の活用状
況を概観すると、全体ではIoTが23.1%、AIが10.9%で あり、IoT、AIを利用する側の企業に限ればそれぞれ 20.6%、9.4%にとどまっている(図表1-2-2-11)。AIと IoT共に、大企業と中堅・中小企業では大企業が上回って おり、製造業と非製造業では製造業が上回っている。
また、先端技術の活用目的を見ると、利用側では、業務 効率の向上やコストの削減を挙げる割合が高い(図表 1-2-2-12)。ICTによる生産性向上にはICT利用産業での 付加価値創出がカギであったという1990年代から2000 年代にかけての米国での教訓を踏まえると、IoT、AIに ついても利用側で付加価値創出に資する利用を促進してい くことが重要となると考えられる。
図表1-2-2-10
業 ー
ス ア 業
ロ ー メ ア 計
8 8 8 83 83 89 85%
1 3 1 9 9 5 51%
5 8 5 51 3 3 49%
39 50 3
3 0
49%
5
38 35 3 46%
32
22 33
42%
35 38 2 23 32 0 39%
中国 アメリカ フランス ドイツ スイス オーストリア 日本
50
52 9 55 1 55%
(出典)ボストンコンサルティンググループ(2018)「企業の人工知能(AI)の導入状況に関する各国調査」
図表1-2-2-11
(
)
I AI 23 1
30 9 15
29 1 1
2 20
10 9 1 5 5
11 10 3
3 9
0 1 2
業 22
中 中 業 55
業 10
業
用 1 201
0 0 50 0 30 20 10
(出典)財務省(2018)「財務局調査による 「先端技術(IoT、AI等)の活用状況」について」
図表1-2-2-12
( )
5 用 3
1 5 1 8
3 1 5
9 5 39 3
13 1 3 業の
業 の
ー スの ー ス の
の ランドの
業務 の 業 の
スト 用 の
の の 31
31 1 5 1 5 55
55
15 8 15 8 12 3 12 3
5 3 5 3 00
80 0 0 20 0 0 20 0 0 80
(出典)財務省(2018)「財務局調査による 「先端技術(IoT、AI等)の活用状況」について」