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厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患政策研究事業)

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Academic year: 2022

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厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患政策研究事業)

神経免疫疾患のエビデンスに基づく診断基準・重症度分類・ガイドラインの妥当性と患者 QOL の検証 分担研究報告書

多巣性運動ニューロパチーにおけるフォスファチジン酸添加抗原に対するIgM抗体反応の検討

研究分担者 楠 進 近畿大学医学部 脳神経内科 客員教授・名誉教授 独立行政法人地域医療機能推進機構 本部

共同研究者 桑原 基 近畿大学医学部 脳神経内科 吉川恵輔 近畿大学医学部 脳神経内科

研究要旨

多巣性運動ニューロパチー(multifocal motor neuropathy:MMN)では、約半数でガングリオシド GM1に対するIgM抗体が陽性となる。本研究ではMMNにおけるフォスファチジン酸(Phosphatidic

acid:PA)添加ガングリオシド抗原に対するIgM抗体反応について検討した。MMN37例および正

常対照24例でGM1、GalNAc-GD1a、PA、PA添加GM1、PA添加GalNAc-GD1aに対するIgM抗体 を測定した。MMNではGM1 およびGalNAc-GD1aの単独抗原に対するIgM抗体が各々20例(54%)、 3例(8%)で検出され、PA添加GM1に特異的なIgM抗体は9例(24%)、PA添加GalNAc-GD1a に特異的なIgM抗体は4 例(11%)で陽性であった。GM1、PA添加GM1、GalNAc-GD1a、PA添

加GalNAc-GD1a のいずれかに対する抗体陽性例は MMN で26例(70%)と正常対照(24 例中 5

例:21%)と比べて陽性率が高かった(p<0.01)。GBSにおけるIgG抗ガングリオシド抗体と同様 に、MMNにおけるIgM抗体についても、ガングリオシドの単独抗原だけでなくPA添加抗原を用 いることによって抗体の検出感度が向上することが本研究によって示された。

A. 研究目的

運動神経における伝導ブロックを特徴と する多巣性運動ニューロパチー(multifocal motor neuropathy:MMN)では、約半数でガン グリオシドの GM1 に対する IgM 抗体が陽性 と な る こ と が 知 ら れ て い る 。 ま た GalNAc-GD1aに対するIgM抗体陽性例も報告 されている。一方、ギラン・バレー症候群

(Guillain-Barré syndrome:GBS)ではガング リオシドに対する IgG 抗体が検出されるが、

リ ン 脂 質 で あ る フ ォ ス フ ァ チ ジ ン 酸

(Phosphatidic acid:PA)を抗原に添加するこ とでIgG抗体反応の増強がみられる。そこで、

本研究ではMMNにおいてPA添加ガングリオ シド抗原に対するIgM抗体反応について検討 した。

B. 研究方法

2012年9月から2014年12月の期間に当科 へ抗ガングリオシド抗体の測定依頼があった MMN 症例のうち、EFNS/PNS の診断基準で probable または definite である症例を抽出し、

MMN 症例および正常対照 24 例で GM1、

GalNAc-GD1a, PA, PA 添加 GM1、PA 添加

GalNAc-GD1a に対するIgM 抗体を測定した。

抗ガングリオシド抗体は従来の方法に従って ELISAで測定した。

PA添加抗原に特異的なIgM抗体とは、ガン グリオシド単独ではなく PA 添加することで はじめて反応が確認できる抗体、あるいはPA 添加で有意に反応が増強される抗体をいう。

そのような抗体陽性の判定は、①ガングリオ シド、PAの両方に対するIgM抗体が共に陰性 の場合、PA添加GM1抗体はOD値が0.1以上 で陽性、PA添加 GalNAc-GD1a 抗体はOD値 が0.2以上で陽性、②ガングリオシド、PAの どちらか一方に対するIgM抗体が陽性の場合 は、陽性となったOD値より0.2以上高値であ れば陽性、③ガングリオシド、PA に対する IgM 抗体が共に陽性の場合はその和より高値 であれば陽性と定義した。

(倫理面への配慮)

本研究は近畿大学医学部倫理委員会の承認 を得て、患者からインフォームド・コンセン トを取得して実施された。

(2)

- 37 - C. 研究結果

EFNS/PNS の 診 断 基 準 で probable 以 上 の MMN症例は計37例(probable 8例、definite 29 例)みられ、男性30例、女性7例で年齢は中 央値51歳、罹病期間は中央値24ヶ月であっ た。GM1 および GalNAc-GD1aの単独抗原に 対するIgM抗体は、MMNでは各々20例(54%)

と 3 例(8%)、正常対照では各々1 例(4%)

と2例(8%)で検出された。MMN では、そ のうち 2 例で両者に対する抗体がみられた。

前述の定義による PA 添加 GM1 に特異的な IgM抗体はMMNで9例(24%)、正常対照で 3 例 (13%) で 陽 性 で あ り 、PA 添 加 GalNAc-GD1aに特異的なIgM抗体はMMNで 4例(11%)、正常対照で1例(4%)陽性であ った。MMNにおいてPA添加GM1に特異的 な抗体陽性9例のうち、6例は単独のGM1に 対 す る IgM 抗 体 が 陰 性 で あ り 、PA 添 加

GalNAc-GD1a 特異的な抗体陽性 4 例のうち、

3例は単独のGalNAc-GD1aに対するIgM抗体 が 陰 性 で あ っ た 。GM1、PA 添 加 GM1、 GalNAc-GD1a、PA添加 GalNAc-GD1aのいず れかに対する抗体陽性例は MMN で 26 例

(70%)であったのに対して、正常対照では5 例(21%)あった(p<0.01)。

D. 考察

GBSでは、ガングリオシドと各種のリン脂質 の混合抗原を用いることで抗体活性の賦活や 減弱がみられることが報告されている。また2 種類の糖脂質が形成する新たなエピトープ

(糖脂質複合体)を認識する抗体の存在も知 られる。一方、MMNではGM1にガラクトセレ ブロシドやコレステロールを加えた抗原に対 するIgM抗体が報告されているが、リン脂質と の混合抗原に対する抗体についてはこれまで 未検討であった。今回の研究においてPAによ る反応増強効果が認められたことから、MMN においても抗ガングリオシド抗体に対する各 種のリン脂質の混合の効果について、さらに 詳細な検討を行う必要があると考えられる

E. 結論

GBS における IgG 抗ガングリオシド抗体と 同様に、MMNにおけるIgM抗体についても、

ガングリオシドの単独抗原だけでなく PA を 添加する抗原を用いることによって抗体の検 出感度が向上する。

F. 文献

1. Pestronk A, Choksi R, Blume G, Lopate G.

Multifocal motor neuropathy: serum IgM binding to a GM1 ganglioside-containing lipid mixture but not to GM1 alone. Neurology.

1997;48:1104-1106.

2. Kusunoki S, Morita D, Ohminami S, Hitoshi S, Kanazawa I. Binding of immunoglobulin G antibodies in Guillain-Barré syndrome sera to a mixture of GM1 and a phospholipid: possible clinical implications. Muscle Nerve.

2003;27:302-306.

3. Hirakawa M, Morita D, Tsuji S, Kusunoki S.

Effects of phospholipids on antiganglioside antibody reactivity in GBS. J Neuroimmunol.

2005;159:129-132.

4. Morikawa M, Kuwahara M, Ueno R, Samukawa M, Hamada Y, Kusunoki S.

Serological study using glycoarray for detecting antibodies to glycolipids and glycolipid complexes in immune-mediated neuropathies. J Neuroimmunol 2016; 301: 35-40.

G. 研究発表 1. 論文発表 なし

2. 学会発表 なし

H. 知的財産権の出願・登録状況 (予定を含む)

1. 特許取得 なし

2. 実用新案登録 なし

3. その他 なし

参照

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