平成20年度先導的地域情報システムの調査・開発事業
地域メディアプラットホームシステムの開発 開 発 報 告 書
平成21年3月
財団法人ニューメディア開発協会
この事業は、競輪の補助金を受けて実施したものです。
この事
目次
1 開発システムの概要 1
1.1 システムの目的 1
1.2 システム開発の背景 1
1.3 システムの特徴 4
2 システムの構成 5
3 システムの機能 7
3.1 管理者向け機能 7
(1)引用データ管理機能 9
(2)タグ管理機能 11
(3)ユーザー管理機能 14
(4)アプリケーションID管理機能 16
(5)アクセスログ管理機能 17
3.2 利用者向け機能 18
(1)アグリゲーション機能 22
(2)情報発信機能 27
(3)情報の整理と評価機能 35
(4)API機能 36
4 プロジェクト推進体制 37
4.1 開発体制 37
4.2 運営体制 37
5 実績進捗表 38
6 効果と評価 40
6.1 評価項目 40
6.2 評価結果 41
6.3 評価結果から想定される効果 44
7 課題と対策 46
7.1 プロジェクト全体について 46
7.2 開発システムについて 46
7.3 コンテンツの流通について 49
8 今後の展開 50
1 開発システムの概要
1.1 システムの目的
本システムの目的は、地域が独自の視点を持ちながら、ウェブ上のシステムを利用して コンテンツを整理・集約し、戦略的、対外的に情報発信を行うことができる「地域のリア ルタイムな状況が集約されて効率的に流通する地域のメディアプラットホームシステム」
を構築することである。
本システムでは、地域情報を効率的に拾い上げ、集約して整理し、評価して発信するサ イクルの支援に特化したシステムとして開発した後、地域ユーザーの自発的な参加を促し、
システムの自己組織化を試みながら、外に向けた戦略的な情報発信メディアとして機能す るシステムとなることであり、システムの運用により、アートやデザイン、音楽や映画等 のイベント情報を扱う地域メディアとして有効であるかどうかを目標達成の検証事項の一 つとして考えている。
また、本システムではクリエイティブ・コモンズ・ライセンスの考え方に代表されるよ うに、第三者が作成したコンテンツを活用して、あらたなコンテンツの生成・流通を促す ことを目指す。
1.2 システム開発の背景
少子高齢化と低成長時代を迎えて、日本や先進各国は深刻な財政危機に陥っているが、
とりわけ札幌市など地方自治体への影響は日増しに大きくなっている。しかし、そうした 中にあっても豊かな創造性を発揮し、新たな産業育成や人材の吸引に成功している「創造 都市」といわれる都市が世界では台頭し、注目を集めている。例を挙げると、アムステル ダム、バルセロナ、シドニー、メルボルン、バンクーバー、トロント、ストックホルム、
ダブリンなどがあるが、いずれも古い歴史を持つヨーロッパの地方中核都市に成功モデル が多い。
国内でも、札幌、横浜、金沢、名古屋、神戸等が創造的な街づくりを政策の理念として 掲げ、コンテンツ、デザイン、アート、先端技術などの創造的な分野にかかわる人材と産 業の集積に取り組んでいる。インターネットの発達で知識社会への移行が急速に進んで、
人々は国境を超えて、創造的で魅力的な地域に集まるようになっている。他地域と異なる アイデンティティを育て、対外的にうまくブランド化できない地域は、人材の獲得、ビジ ネス機会の獲得などあらゆる場面で埋没していくという厳しい状況に陥ることが予想され
クフェスティバル」の開催、芸術デザインを専門とする「札幌市立大学」の開学、アジア 初の短編映画祭「札幌国際短編映画祭」の開催、「札幌フィルムコミッション」の設立と映 画ビジネスの誘致、クリエイティブに特化したビジネスインキュベーションセンター「ICC」 の設置、地元製品の対外的なブランド化を図る「札幌スタイル事業」などである。
図1 「創造都市さっぽろ」に向けた札幌地域におけるさまざまな取り組み
ブランド総合研究所が2006年に発表した「地域ブランド調査」では、札幌市は全国779 都市のなかで最も魅力的な都市に位置づけられた。札幌市を「とても魅力的」「やや魅力的」
と答えた人は実に全体の 8 割を超えている。しかし、国内ではブランド力を誇る札幌、北 海道も、海外での認知度は十分ではない。今後は、地域が持つ創造的な魅力を象徴的にプ ロモーションして、グローバルな都市のブランド化を図る必要がある。
札幌市では、都市プロモーションにおけるインターネットの可能性に早くから着目し、
とりわけ 2002 年に開設した「ウェブシティさっぽろ」(http://web.city.sapporo.jp/)では、
札幌の生活情報から観光情報まで、市民自ら幅広く発信して大きな成果を得てきた。今後 の課題は、アート、自然、食、音楽、ファッション、タウンカルチャー、デザイン、テク ノロジー、ビジネスなど創造性にあふれる札幌の魅力を、グローバルな文脈と関係性を伴 って発信していくことが必要となっている。
表1 札幌が有するブランド資産・資源
Web2.0の登場で、利用者の自発的な情報発信と共有化が劇的に進み、大規模な人数の集
合知による情報の生成と整理、評価、そして、それがまた新たなコンテンツや文脈を生む 時代を迎えたといえる。そうした利用者主導のCGM(Consumer Generated Media)は、当 初、地域の情報発信力を強化すると期待されたが、現実には、地域系サイトの利用者は母 数が小さく、地域系サイトは無数に開設されるものの、flickrやYou tube 、Digg、Del.icio.us などの巨大CGMサイトの活性化と比較すると、膨大な情報の海の中に埋没している。
flickrやYou tubeなどのグローバルサイトは、不特定多数のフラットな視点で情報編集が
行なわれるため、地域情報の集約と発信を目的とする利用には本来向いていないはずであ るが、現実的には、例えば北海道の風景写真がもっとも大量に集まっているのはflickr、映
像はYou tubeであり、その傾向はさらに強まっている。
そこで、札幌市では、昨年度、産学官市民の参加により「クリエイティブ・コモンズ研 究会(代表:武邑光裕札幌市立大学教授)」を設置して、今後のインターネットの発展方向を 見据えた、「地域の内外における創造的な情報交流と情報発信強化の在り方」を検討した。
その中から、「コンテンツの素材あるいはひとつひとつの情報は、インターネット上に存在 するものを広く利用し、その情報の整理や評価をその地域に深くかかわる人々が行える仕 組み。コンテンツ(個々の情報)とコンテキスト(文脈)の分離と再編集が可能なウェブサイト」
という本システム開発の必要性が導かれている。
1.3 システムの特徴
本システムは、地域メディアプラットホームシステムという名前が表現している通り、
地域に関する様々な情報もしくはコンテンツの流通を大目標にプラットホームとして機能 させることができるようなシステムとして開発した。
今回は、本システムが実現できる一つの例として、札幌という地域における文化イベン ト情報を一つの題材として、Sapporo colorというサービスを開発した。
本システムは、従来の地域情報サイトまたはサービスに見られる情報の発信者と受信者 という枠組みを緩やかに捉え、地域に存在する様々な主体が、情報受信者と同時に、発信 者としても参加できるようなサービスを実現したことが一つの特徴である。
これは、現在、インターネットで展開されているサービスにおいて主流となっているユ ーザー参加型、もしくは、ユーザー発信型のサービスと同意であるともいえるが、コンテ ンツを自らが完全に作り上げることをユーザー参加型として捉えるのではなく、主にイン ターネット上に散在し、ともすれば情報の中に埋もれてしまうような情報の流通を容易に することによって、利用者自らが発信者となりうる仕組み、これをプラットホームとして 定義するが、を開発したことがもう一つの特徴であるといえる。
一言で言えば、前述のとおりであるが、「コンテンツの素材あるいはひとつひとつの情報 は、インターネット上に存在するものを広く利用し、その情報の整理や評価をその地域に 深くかかわる人々が行える仕組み。コンテンツ(個々の情報)とコンテキスト(文脈)の分離と 再編集が可能なウェブサイト」を実現するためのプラットホームである。
2 システムの構成
本システムの構成は図2および図3、表2から表4に示すとおりである。
APPサーバー
(Mongrel) Rails
負荷分散(Mongrel Cluster)
WEBサーバー(Apache)
データベース
(MySQL)
APPサーバー
(Mongrel) Rails
APPサーバー
(Mongrel) Rails
Wikiエンジン
(PukiWiki)
サーバー
クライアント
Internet Explorerを想定 JavaScript
(Ajax、jQuery、Yahoo!UIライブラリ)
Flash
iPhone ケータイ
図2 システム全体構成
インター
ネット
表2 サーバ構成
ハードウェア サーバ本体 DELL PowerEdge SC1430
CPU Intel(R) Xeon(R) 5110 1.60GHz
ハードディスク 160GB SATA (RAID1)
メモリ 4GB (4×1GB)
ソフトウェア 基本OS Linux (CentOS 5)
Webサーバ Apache 2.2
データベース MySQL 5.0 開発言語 Ruby 1.8.6 開発フレームワーク Ruby on Rails 2.1.1 アプリケーションサーバ Mongrel 1.1.5 負荷分散 Mongrel-cluster 1.0.5 Wikiエンジン PukiWiki 1.4.7
表3 クライアント構成(開発側)
ハードウェア PC、iPodTouch(検証用)
ソフトウェア Webブラウザ Internet Explorer 6.0、Internet Explorer 7.0、
FireFox 2.0、FireFox 3.0、Safari 3.1
開発スキーム JavaScript(Ajax、jQuery、Yahoo!UI ライブ ラリ)、Flash
表4 クライアント構成(利用者側)
ハードウェア PC、iPodTouch、iPhone などの携帯端末、インターネットに接続可能な携帯 電話
ソフトウェア Webブラウザ Internet Explorer 6.0、Internet Explorer 7.0、
FireFox 2.0、FireFox 3.0、Safari 3.1
3 システムの機能
今回は、本システムで提供できるサービスイメージを具現化するために、札幌の文化イ ベント情報を対象として、Sapporo color http://www.sapporocolor.com/ というサービス サイトを合わせて開発した。Sapporo colorは、管理者向け機能と利用者向け機能で構成さ れている。
図4 サイトの全体機能概要
3.1 管理者向け機能
管理者向け機能は、イベント情報の管理機能とシステム管理機能に分けられる。
イベント情報の管理機能は、厳密にはシステム管理者のみのものではなく、情報の登録 者にも提供される機能である。
システム管理機能は、サイト利用者には直接目に触れることの無いものであるが、引用 データ管理機能、タグ管理機能、ユーザー管理機能など、サイトの運用管理に必要となる 機能を含んでいる。
地域メディアプラットホームシステム
Sapporo color管理者向け機能
○イベント情報の管理機能
○システム管理機能
引用データ管理 タグ管理 ユーザー管理 アクセスログ
利用者向け機能
○アグリゲーション機能
○情報発信機能
○外部
API機能
図5 管理者向け機能(管理アプリケーション)の画面(トップページ)
ここでは、システム管理機能のうち、サイトの運用管理上、最も多く利用することにな る引用データ管理機能、タグ管理機能およびユーザー管理機能について説明する。
(1) 引用データ管理機能
引用データ管理機能では、利用者が登録した情報の内容を確認できるほか、編集や削 除を行うことが可能となっている。登録されたイベント情報の内容修正または削除の依 頼などがあった場合、管理者権限で強制的に修正、削除を行うことができる。
図6の一覧表示画面に表示される一覧表の最上部の行の各項目をマウスでクリックす ると、各項目についてソート(並び替え)が行え、目的とする情報へ到達しやすくなっ ている。データのソートについては、以降の機能についても同様である。
また、図6の一覧表示画面から、該当するイベント情報の「編集」または「削除」を マウスでクリックする。削除の場合は、該当するイベント情報が削除される。「編集」の 場合は、図7の編集画面が開き、テキストボックスまたはブルダウンボックスの欄につ いて、管理者側から内容の変更が行えるようになっている。
(参考)変更可能な項目
タイトル(日本語)、タイトル(英語)、カテゴリ、期間開始日、期間終了日、タグ(施設)、内容、画像、
引用画像のCC、URL、ステータス(公開/非公開)、公開日時、評価の重み
図7 引用データの編集画面
(2)タグ管理機能
タグ管理機能は、利用者が情報を登録する際にあらかじめ必要となる情報をマスタデー タとしてデータベースへ登録するとともに、登録されたマスタデータの修正や削除を行う ための機能である。Sapporo colorサービスでは、カテゴリー、施設、アーティストをマス タデータとして登録している。なお、施設情報には位置情報(緯度・経度)が必要である が、緯度・経度を容易に取得するためのツールを管理機能の一部に含めた。
タグの管理は、図8の一覧画面の「編集」または「削除」をマウスでクリックし、「削除」
の場合は、該当するタグが削除される。「編集」の場合は、図9の編集画面が開き、テキス トボックスまたはブルダウンボックスの欄について、管理者側から内容の変更が行えるよ うになっている。なお、カテゴリーを追加する場合は、「+追加」をマウスでクリックして、
必要な項目を設定することとなる(図10)。
図8 タグ管理画面(カテゴリータグの管理)
図9 タグの編集画面(カテゴリータグの編集)
図10 タグの追加画面(カテゴリータグの追加)
登録されたイベント情報を地図画面に表示する際は、位置情報、具体的には緯度・経度 座標を必要とする。施設については、頻繁に位置情報が変更となるものではないので、マ スタデータとして管理しているが、この際、位置情報を容易に取得できるようにするツー ルを用意した(図11)。
地図上の位置をマウスでクリックするか、住所を入力して、「調べる」ボタンを押すこと によって、該当する緯度、経度の座標が画面上に表示されるので、コピー&ペーストでタ グ管理画面上に貼り付けることができる。
図11 緯度経度情報の取得ツール画面
(3) ユーザー管理機能
ユーザー管理機能では、登録ユーザーの追加、削除のほか、登録されたユーザーの権 限変更を行うことができる。なお、ユーザーの登録は、利用者機能の一つとして、利用 者が自らサイトを利用して行うことができるようになっているが、システム管理者なら びに編集者権限については、本機能により設定する。
システムが管理するシステム利用者権限には、表5のようになっている。
表5 システム利用者の区分 利用者区分 想定対象
管理者 本システムを管理する。ユーザーの登録や管理、データベースの基 本情報のメンテナンスなどを行う。
編集者 本システムを利用して、情報の登録や発信を行うとともに、閲覧者 として、評価やコメントすることもできる。
ユーザー 本システムにユーザー登録した利用者で、本システムを閲覧して、
提供されている情報への評価やコメントを行うことができる。
アノニマス 本システムにユーザー登録していない、あるいはログインしていな い利用者で、本システムの閲覧のみができる。
ユーザーの管理は、図 12 の一覧画面の「編集」または「削除」をマウスでクリックし、
「削除」の場合は、該当するユーザーが削除される。「編集」の場合は、図 13 の編集画面 が開き、テキストボックスまたはブルダウンボックスの欄について、管理者側から内容の 変更が行えるようになっている。
図12 ユーザー管理画面(メールアドレスは一部削除してある)
図13 ユーザー情報の編集画面(メールアドレスは一部削除)
(4) アプリケーションID管理機能
図14 アプリケーションID管理画面
(5) アクセスログ管理機能
図15 アクセスログ一覧画面(IPアドレスの一部は削除してある)
3.2 利用者向け機能
利用者向け機能では、外部ウェブサービスと結合可能な汎用的なインターフェースを持 つ、4つの基本モジュールで構成する機能を提供しており、これらを組み合わせて、主にイ ンターネット上の情報またはコンテンツを集約して提供し、利用者のフィードバックを 個々のイベントに対する評価として反映することで、地域のリアルタイムな状況を伝える メディアを構築することができるようになっている。
本システムを利用したサービスである Sapporo color サイトは、以下のような構成とな っている(図17)。
① ②
③
④
図17 地域メディアプラットホームシステムを利用したSapporo colorサイト構成
① トップページ画面(イベント情報のランキング表示画面)
② カレンダー画面(イベント情報の時系列表示画面)
③ 地図画面(イベント情報の地図表示画面)
④ ダッシュボード画面(サイトユーザー毎に用意される画面)
以下に、各画面について説明する。詳細は、利用マニュアルを参照のこと。
図18 Sapporo colorサイトのトップページ画面(イベント情報のランキング画面)
トップページ画面では、登録されたイベント情報を地域のユーザーの注目度の高いもの からランキング形式で表示するようになっている(ランキングの詳細は後述)。トップペー ジで利用できる機能は以下の通りである(図18)。
① 登録されたイベント情報をカテゴリー(ジャンル)別に表示する。
③
① ②
⑤
⑦
④ ⑥
⑦ 登録されたイベント情報の概要を表示する。イベント名または画像をクリックすると 詳細画面が表示される(図19)。
図19 登録された文化イベント情報の詳細表示画面
このサイトを実現するために、4つの基本モジュールで構成される機能が利用されてお り、それらは以下のものである(図20)。
1. ウェブに散在する地域の文化イベント情報を収集するアグリゲーションモジュー ル(ウェブに散在する地域の文化情報を簡単に取り込み、データベース化するため のモジュール)
2. 集約/整理された地域の文化イベント情報を視覚化し、対外的に情報発信するた めの発信モジュール
3. メディア内でのユーザーの行動をもとにして、インデックスされた文化イベント 情報の整理と評価を行なうモジュール
4. インデックスされたデータを外部に公開するAPIモジュール
文化イベント 情報
アグリゲーション機能 情報発信機能
API機能
整理と評価機能
ブックマークレット アグリゲーター サイトキャプチャー
ランキング タイムライン配信 インタラクティブマップ
ダッシュボード
管理者APP 評価算出バッチ
iCalendar形式API クリエーター向けAPI アプリケーションID発行
図20 システム機能概要図 モジュールとデータフローは図21のような関係で示される。
以下に各機能について説明する。
(1) アグリゲーション機能
アグリゲーション機能は、ブックマークレット技術を利用して引用元となるホームペ ージから文化イベント情報を登録する機能である。
文化イベント情報として登録するメタデータには、引用元ホームページのキャプチャ ーイメージから任意矩形を切り出した画像を保存する機能も備えている。また、文化イ ベント情報には施設やアーティストの情報を「タグ」として付与することができる。タ グが煩雑になることを避けるため、システムにてマスタ管理されたタグから選択して付 与する仕組みとなっている。
実装した機能は以下の通りである。
ブックマークレット
ブ ッ ク マ ー ク レ ッ ト 技 術 (WEB ブ ラ ウ ザ の ブ ッ ク マ ー ク 内 に 小 さ な
JavaScriptを埋め込む手法)でポップアップウィンドウを開き、文化イベント
情報の入力フォームを表示する(図22、図23)。
あらかじめ登録されているタグマスタから複数のタグを登録できる。
任意のホームページを画面キャプチャーし、矩形を切り出して画像を登録でき る。なお、この際、画像の引用元URLを登録することができるのとあわせて、
引用元画像がクリエイティブ・コモンズ・ライセンス(CC ライセンス)に基 づく宣言を伴うものである場合は、CC ライセンス情報を登録することができ るようになっている。
※ 登録可能なクリエイティブ・コモンズ・ライセンスの種類(CCライセンスのバージョン2.0に基づく)
表示(Attribution):その作品の利用に関しての著作者の表示を求めるか
非営利(Noncommercial):非営利目的に限ってその作品の利用を認める
か
改変禁止(No Derivative Works):その作品をそのままの形でのみ利用を 認めるか
継承(Share Alike):その作品につけられたライセンスを継承することを
求めるか
参照:Wikipedia ウィキペディア・フリー百科事典より
種類 内容
BY 表示
BY-SA 表示-継承
BY-ND 表示-改変禁止
BY-NC 表示-非営利
BY-NC-SA 表示-非営利-継承 BY-NC-ND 表示-非営利-改変禁止
図22 インデックス管理画面。画面上の「SAPPORO COLORイベント情報取込み」を押 すと、ブックマークレット(イベント情報取込み)の設定画面(図 )が開く。
図23 ブックマークレット(イベント情報の取込み)画面。表示される画面のテキストボ ックスなどへ必要な情報を入力し、送信ボタンを押すと情報が登録される。
ユーザーがログインしていない状態では、ログインフォームを表示する。ログ イン認証を行い、編集者権限以上のユーザーのみブックマークレット操作を許 可する。この画面より、ユーザー登録を行うこともできる(図24)。
図24 ユーザー認証画面
アグリゲータ
ブックマークレットから送信されるドメインとパスを利用して、引用フォーマ ット定義とマッチングをかける。
引用フォーマット定義と合致する場合は、その定義に従って引用ページから語 句を抜き出し、文化イベント情報のメタデータとして入力フォームに初期表示 する。
ブックマークレットから最終的に送信されたメタデータを文化イベント情報と してインデックスする。
URL マッチング
サイト毎の引用定義
開始日: 開催日 終了日: 開催日
・・・
アグリゲータ
引用定義にした従って ブックマークレットに 自動的に値を設定。図25 アグリゲータによる引用
引用フォーマット編集
引用フォーマット定義をWiki上で新規に追加したり、差分更新できる。
これらの機能は、編集者権限以上を持つユーザーのみが利用できる。
(2) 情報発信機能
情報発信機能は、アグリゲーション機能で登録した文化イベント情報をランキングや タイムライン配信、インタラクティブマップなどの見せ方で情報発信する機能である。
また、文化イベント情報に対してブックマークやコメントを投稿する機能を持ち、それ らはダッシュボードで閲覧・管理することができる。
実装した機能は以下の通りである。
ランキング
ランキング(評価)順に文化イベント情報をインデックス表示する(図26)。
カテゴリーによる絞り込みと詳細情報が表示できる(図28)。
注目度(g;グー)の
大きさに応じて表示
図27 文化イベント情報の個別表示画面(図26のタイトルか画像をクリックすると表示)
図28 文化イベント情報のカテゴリー(ジャンル)別表示画面
タイムライン配信
時系列に文化イベント情報を表示する(図29)。
図29 登録された文化イベント情報のタイムライン配信(時系列表示)画面。
各文化イベント情報の開催期間が横線で、カテゴリー(ジャンル)別に色分けさ れて表示される。また、注目度(g;グー)の大きさに応じて、線の太さが変 わる(線が太いほど、注目度が高い)。
インタラクティブマップ
地図上に文化イベント情報を表示する(図31)。
図31 登録された文化イベント情報の地図表示画面。背景地図にはGoogle Mapsを利用し ている。表示されたエリア内で開催されるイベントがポップアップで順に表示されるよう になっている。
ダッシュボード(図32から図34)
ユーザーがブックマークした文化イベント情報を、開催中のイベント、これか ら開催されるイベント、終了したイベントに分けて一覧表示する。
図32 登録ユーザーのダッシュボード画面(ユーザー登録直後)。
① ユーザーがブックマークした文化イベント情報の一覧を表示する。この際、開 催期間情報により、開催中のイベントとこれから開催されるイベントを分けて 表示し、スケジュール管理を支援する。
② ユーザーがインデックスした文化イベント情報を一覧表示する。
③ ユーザーがブックマークした文化イベント情報のうち、終了したイベントを一 覧で表示する。
④ ユーザーがコメントした文化イベント情報を一覧表示する。
⑤ ブックマークした文化イベント情報の開催日直前にお知らせメールを送信する。
また送信の有無や送信先メールアドレスなどを設定できる(図 )。
①
②
①
③
④
⑥ ⑤
⑦
⑧
図33 文化イベント情報を登録している場合のダッシュボード画面例
図34 アラート(お知らせ機能)の設定画面(左)とマイカレンダー設定画面(右)
リンクをクリックしてデータを 取得する
日付を設定して「更新する」ボタン を押す
ブックマークとお薦め、コメント機能(図35および図36)
個別の文化イベント情報の詳細表示画面では、以下の①から③を行うことができる。
① 文化イベント情報をブックマークする。逆に、ブックマーク済みの文化イベン ト情報のブックマークを解除する。
② 文化イベント情報をお薦めする。逆に、お薦め済みの文化イベント情報のお薦 めを取り消す。
③ 文化イベント情報にコメントを登録する。
ブックマークやコメント、オススメした内容はダッシュボードや詳細情報に表 示する。またこれらの情報は文化イベント情報の評価値に加味する。
図35 ブックマーク、お薦め、コメント機能画面(それぞれの設定)
① ②
③
① ②
これらの機能は、システムで設定した権限に応じて利用できるものが異なる。
① アノニマス権限以上
ランキング、タイムライン配信、インタラクティブマップを閲覧でき、ブックマーク やコメントなどの操作が行えない。またダッシュボードについては他ユーザーのダッシ ュボードを閲覧でき、自身のダッシュボードを持つことはできない。
② ユーザー権限以上
ランキング、タイムライン配信、インタラクティブマップを閲覧でき、ブックマーク やコメント、オススメなどの操作が行える。またダッシュボードについては他ユーザー のダッシュボードを閲覧できるほか、自身のダッシュボードを持つことができる。自身 のダッシュボードでは登録情報の変更が行える。
③ 編集者権限以上
ランキング、タイムライン配信、インタラクティブマップ、ダッシュボードのすべて の操作が行える。また自身がインデックスした文化イベント情報を編集できる。
(3) 整理と評価機能
整理と評価機能は、管理者アプリケーションを使用して文化イベント情報やタグ、ユ ーザー等を管理する機能である。またアクセスログやブックマーク数、コメント数など から、バッチ処理にて文化イベント情報の評価を算出する機能を持つ。
システムで実装した機能は以下の通りである。
管理者アプリケーション
インデックスされている文化イベント情報を一覧表示し、登録内容の編集や 削除ができる(前述
3-1参照)。
カテゴリー、施設、アーティストの各タグマスタを一覧表示し、マスタの編 集や削除ができる(前述
3-1参照)。
ユーザーを一覧表示し、登録内容の編集や削除ができる(前述
3-1参照)。
発行済みアプリケーション
IDを一覧表示する(前述
3-1参照)。
アクセスログを一覧表示する(前述
3-1参照)。
評価算出バッチ
文化イベント情報の被ブックマーク数やコメント数、オススメ数、詳細情報 の表示回数などをもとに評価値を算出する。
評価値算出の計算式は以下の通りとする。
評価値 = 累積評価値 × 0.2 + 直近一週間の評価値 × 0.8
※累積評価値 = 被ブックマーク数 + コメント数 + オススメ数 + 詳細情報の表示回数
※直近一週間の評価値 = 直近一週間の被ブックマーク数 +
直近一週間のコメント数 + 直近一週間のオススメ数 + 直近一週間の詳細情報の表示回数
これらの機能は、システムの管理者のみが利用できる。
(4) API機能
API機能は、RESTfulなAPI通信により、本システムの各種機能を外部アプリケーシ
ョンから利用できるAPI群を提供する。
システムで実装した機能は以下の通りである。
iCalendar
形式
API
指定条件に合致する文化イベント情報を抽出し、
iCalendar形式で返却する。
クリエーター向け
API
文化イベント情報の検索や詳細取得、ブックマーク登録やコメント投稿が行 える。
ユーザー登録やログイン/ログアウト、ブックマークの一覧取得などが行え る。
カテゴリーや施設、アーティストの各タグマスタを検索できる。
アプリケーション
ID発行
API
を利用するためのアプリケーション
IDを発行する。
これらの機能は、アプリケーションIDを取得したユーザーが利用できる。
※ APIの利用例については別紙「API仕様書」を参照のこと。
4 プロジェクト推進体制
4.1 開発体制
本システムの開発は、札幌総合情報センター株式会社、札幌市立大学、株式会社トライ・ビー・
サッポロおよび株式会社アンタスの4団体で構成するコンソーシアム(地域メディアプラットホーム調 査開発コンソーシアム)で実施した。
コンソーシアム構成員の役割と分担は表6の通りである。
表6 本プロジェクトを推進したコンソーシアム構成員とその役割
構成員名称・住所・連絡先 役割・分担 備考
札幌総合情報センター株式会社
(住所)札幌市白石区菊水1条3丁目1-5 メディアミックス札幌
本事業推進の全体管理(工 程管理、品質管理、報告書 作成など)および開発シス テムの全体設計
コ ン ソ ー シ アム代表者
公立大学法人札幌市立大学
(住所)札幌市南区芸術の森1丁目
本事業推進に関する他構成 員への助言の実施および開 発システムの運用評価 株式会社トライ・ビー・サッポロ
(住所)札幌市中央区大通西三丁目 北海道新聞社内
開発システムの詳細設計な らびに運用評価
株式会社アンタス
(住所)札幌市中央区北1条西3丁目3番地 札幌住友信託ビル6F
開発システムの詳細設計な らびに開発
なお、開発にあたっては、既存のWebサイト運営者へのヒアリングを実施し、本システ ムの活用可能性や連携などについて意見交換を行うとともに、コンテンツ流通の実現に向 けた本システムの適用可能性に関する検討のため、学識経験者の方へヒアリングを実施し た。
4.2 運営体制
本事業期間中の運営体制については、4.1にも記載したとおり、利用者の視点からの
5 実績進捗表
本プロジェクトの進捗は表7の通りである。
当初計画では、全体設計・外部仕様設計~内部仕様設計~プログラム開発といった、い わゆるウォーターフォール型の開発プロセスを予定していたが、本システムの特徴や効率 性の観点から、アジャイル型のプロセスによる開発を採用し、要件定義~設計~実装~文 書化を反復しながら進めた。
※アジャイル(引用:アスキーデジタル用語辞典 http://yougo.ascii.jp/caltar/)
「俊敏な」「すばやい」という意味の英単語で、要求仕様の変更などに対して機敏かつ柔軟に対応するためのソフトウェ ア開発手法。従来は要求仕様を満たす詳細な設計を行なった上で、プログラミング開発や試験工程に移行するといった 手法だったが、これでは技術革新や企業環境の変化に即応することが難しくなった。そこでアジャイルでは、仕様や設 計の変更があることを前提に開発を進めていき、徐々にすり合わせや検証を重ねていくというアプローチをとる。
※アジャイル型の開発プロセス(引用:Wikipedia日本語版 http://ja.wikipedia.org/wiki/、一部改)
アジャイル開発手法では、開発対象を多数の小さな機能に分割し、1つの反復 (イテレーション) で1機能を開発します。
この反復のサイクルを継続して行い、1 つずつ機能を追加開発していきます。各反復では、それまでに開発した成果物 に1 つの小さな機能を追加します。計画、要求分析、設計、実装(コーディング)、テスト、文書化といった、ソフトウ ェアプロジェクトに要する全ての工程を、1 つの反復内で行います。アジャイル開発手法では、各反復が終了するごと に、機能追加された新しいソフトウェア (ビルド) をリリースすることを目指します。各反復が終了するごとに、プロ ジェクトチームは、プロジェクトにおける優先度を評価し直します。アジャイル開発手法では、実際に動くソフトウェ アこそが最重要なプロジェクト進行尺度であることを強調します。
表7 本プロジェクトの実施経過(実績)
平成21年
11月 12月 1月 2月
平成20年
8月 9月 10月
コ ン テ ン ツ 統 合 機 能 開 発 コンテンツ整理、評価機能開発 コ ン テ ン ツ 発 信 機 能 開 発 外 部 API 機 能 開 発 ユ ー ザ イ ン タ フ ェ ー ス 開 発
結 合 テ ス ト
運 用 評 価
ネ ッ ト ワ ー ク 環 境 構 築
シ ス テ ム 構 築
サ ー バ 環 境 構 築
マ ニ ュ ア ル 作 成
報 告 書 作 成
マ ニ ュ ア ル ・ 報 告 書 開発・実施の項目
プ ロ グ ラ ム 開 発 プ ロ ジ ェ ク ト 管 理
全 体 設 計
内 部 仕 様 設 計
外 部 仕 様 設 計
全体設計は、本システムが実現する目的に基づき、主に、システムでサービスを行う場 合のコンセプトやサービスの定義を検討した。
外部仕様設計では、全体設計で検討した内容に基づき、実現するサービスで提供する機 能、インターネット上のサイトのイメージなどを検討した。
内部仕様設計では、外部仕様設計までの内容に基づき、具体的な機能の抽出、機能概要、
実装方法の検討などを実施した。
プログラム開発においては、設計した内容に基づき、プログラムのコーディング、ユー ザーインターフェースの開発、テストのほか、サービスの実施に際して必要となるマスタ データの準備、マスタデータの作成に加えて、開発したシステムについて、機能、インタ ーフェースの両面から、操作性やサービスの分かりやすさなどのユーザービリティーを評 価した。
システム構築では、システム的なテストのほか、インターネット環境下での運用評価を 実施するためのネットワーク及びシステム環境を構築した。
マニュアル・報告書作成では、開発した内容に基づき、利用マニュアル、運用マニュア ルのほか、システムドキュメントなどの作成を実施した。
事業期間中のコンソーシアム打ち合わせは、約1ヶ月に1回、計6回実施、想定ユーザ ーに関するヒアリングは計5回実施、その他、コンテンツの権利処理に関するヒアリング、
システム試験運用協力者への説明会をそれぞれ1回開催した。また、(財)ニューメディア 開発協会、札幌市(申請者)、地域の関係機関の方に参加いただいた開発会議を2回実施し た。
なお、本プロジェクトでは、前述の通り、アジャイル型の開発プロセスを採用したため、
大枠としては図のようなプロセスで作業を実施したが、実際には要件定義~設計~実装~
文書化を繰り返しながら作業を進めたため、テストならびに運用評価工程以降も、システ ム開発プロセスが発生していたことを付記する。
6 評価と効果
前述の通り、地域メディアプラットホームシステムは、インターネット等のメディアに 存在する様々な情報またはコンテンツの流通を促すことを目的に開発したものであり、そ の一つのサービスとして、地域の文化イベント情報を題材としてSapporo colorというサイ トを開設した。
本システムおよびSapporo colorが対象とする利用者は、地域のインターネットユーザー であるため、コンソーシアムメンバーを含め、表8に示す方々に実際にシステムを利用し ていただく、または、デモンストレーションをご覧頂き、その結果としていただいた意見 やコメントをもとに評価した。
表8 システム評価者
評価者名 属性
トライ・ビー・サッポロ コンソーシアムメンバー(運用評価担当)
3KG クリエーター
シビックメディア WebCitySapporoやようこそさっぽろサイトの運営者 札幌市観光文化局
文化部市民文化課
札幌市の観光文化情報ステーションサイトの運営者
6.1 評価項目
システムに関する評価項目は、各機能について、ユーザービリティーや操作性といった 観点を中心に、表9に示すような内容を確認することとした。確認方法は、実際に本シス テムを利用した結果に関するヒアリングなどとした。
表9 システムに関する確認機能 確認する項目 具体的な確認機能
アグリゲーション機能 全体的なユーザービリティー(直感性、操作性、デザイン性、レイアウト) 運用側から見た操作性
(ブックマークレット、文化イベント情報管理、マスタ管理、ユーザー管理)
情報発信機能 アクセス利用者側から見た操作性
(ログイン、タイムライン表示、地図的表示、詳細閲覧、ブックマーク、コ メント、リマインド設定、携帯型端末での操作)
全体的なユーザービリティー(直感性、操作性、デザイン性、レイアウト) 情報の整理と評価機能 運用側から見た操作性
(各イベント情報に対する評価管理、データマイニング機能)
アクセス利用者側から見た操作性
(タイムラインや地図的表示への評価反映、リコメンド、評価の妥当性)
API機能 運用側から見た操作性
(利用状況の確認)
API利用者側から見た使い勝手
(文化イベント情報API、カレンダーAPI)
6.2 評価結果
(1) 全般
本システムを活用したサイトは、全体としてデザイン、レイアウトがビジュアル に富んでおり、ユーザーは視覚的、直感的に理解、操作できること、そして各コン テンツ(コンサートや展覧会など各イベント)に対するユーザーの期待感や関心度を 高める点が高く評価された。
(2) アグリゲーション機能
ア. 全体的なユーザービリティー
引用元となるホームページからブックマークレット機能を用いて、半自動的にコ ンテンツ(特に、キャプチャリングにより任意の画像も取り込める点はあまり例を 見ない)、そして付随するメタデータを同時に取り込める点が評価された。
また、テキスト情報しか素材が無い場合でも、本システムではクリエイティブ・
コモンズ・ライセンスを利用して、画像を簡単に掲載できるようになっているのは とても良いアイデアとの評価を得た。
イ. 運用側から見た操作性
ブックマークレットでデータを取り込む際、ユーザーはあらかじめ引用フォー マットの編集と定義づけを行う必要がある。しかし、この作業は引用元となるホ ームページのhtml構造を確認しながら、正規表現を使って引用フォーマットを記 述しなければならず、一定以上のプログラミングリテラシーを必要とする。その ため、広く一般ユーザーに対してアグリゲーション機能を公開する段階では、よ り簡便にデータを取り込む仕組みが必要との評価が多かった。それ以外の文化イ ベント情報の管理、マスタ管理、ユーザー管理についてはユーザーインターフェ ースがシンプルで管理しやすいとの評価を得た。
ウ. その他
アグリゲーション機能を使って情報登録できるユーザーが増えた場合、登録す るイベント情報がユーザー間で重複する可能性がある。ほかのユーザーがすでに 登録したイベントの情報内容に不足がある場合、自分なりの紹介を書き加えるこ とで内容をより充実できるので、情報の追記機能を付加したほうが良いという指 摘があった。
(3) 情報発信機能
ア. 全体的なユーザービリティー
矩形の画像が縦横に並んだトップ(ランキング)画面、線の太さや色分けでジャン ルと人気度が理解できるタイムライン(カレンダー)画面、札幌市内の地図上にポイ ントされた各イベント情報が自動的に次々と拡大表示されるマップ表示など、同じ 情報を利用シーンに合わせて柔軟かつ適切にビジュアル表示する点が高く評価さ れた。しかし、一方では斬新なユーザーインターフェースであるために、初めてア クセスしたユーザーが戸惑う可能性があることなど、具体的な改善点が多数提示さ れ、システム機能に反映することが出来た。
イ. アクセス利用者側から見た操作性
ログインしてトップページ(ランキングページ)にアクセスすると、ラックスタン ドに配置されたカードのように並んだイベント画像がユーザーの視覚に訴える。そ れにより、「一体このイベントはどんなイベントなのだろう、この顔は見たことの あるアーティストだ」など、文字情報からでは生まれない、期待感や興味を喚起し、
ユーザーはカテゴリーによる絞り込みと詳細情報を次々とクリック表示してしま う、という評価が多かった。また、iPhoneやSmartphoneなどの携帯型端末から のアクセスでは、各イベント情報の表示サイズが端末の画面サイズに最適化されて いる点が好評を得た。さらに、ビジュアル表現に優れているので、街頭公共端末(デ ィスプレイ)に対する配信コンテンツとしても可能性が高いとの評価も得た。
時系列に文化イベント情報を並べるタイムライン表示では、ジャンル別の色分け、
開催期間、バーの太さであらわされた人気度、アイコン的な画像の使い方など、類 似する他のサイトと比較して直観的に把握できる工夫がされていて素晴らしいと の評価を得た。
地図表示では、今後、例えば自作したオリジナルな地図へのプロット、既存のホ ームページへの地図表示画面の組み込みなどの機能が欲しいとの評価があった。
また、本システムには自分が登録したダッシュボードのイベント情報をほかのユ ーザーに公開する機能がある(編集者権限以上)。この機能について「他人のダッシ ュボードを閲覧できるし、逆にいえば、自分のダッシュボードを他人が閲覧できる。
CGM(市民主導のメディア)により地域情報の発信と交流の活性化を図るこのサイ トにとって重要な機能」との評価を得た。
トップページでイベント内容の詳細は、画像下のタイトル部分をクリックしてウ ィンドウを開き表示する仕組みになっているが、それでは特定のイベントにしか興 味が無いユーザーに、その他多数のイベントをPRできないので、トップページに もう少し詳しい各イベント情報を掲載するほうがよいという指摘があった。
イベントの詳細表示画面、お薦め、ブックマーク、コメント等の機能に対する指 摘は特に無かった。
(4) 情報の整理と評価機能 ア. 運用側から見た操作性
管理者アプリケーションでは、施設、アーティストの各タグマスタを一覧表示 し、簡単に編集や削除ができる点が良い評価を得た。
イ. アクセス利用者から見た操作性
個々のイベント情報に付けられた「g」が人気度を示す数字(ランキング)で、「g」 の数字が多い順に並んでいることが分らない。上から順番にリスト表示されたラン キングの形式を見慣れている人が多いので、「ヘルプ」ページを設けるなど、本シ ステム独自のランキング表示方法についてユーザーが理解しやすい工夫が必要と の指摘を受けた。
ある程度のユーザー数とデータが確保できた段階で、過去のイベント開催時(前 回)の履歴を活用した、お薦め機能があると良いとの指摘を得た。
ウ. その他
開催期間を過ぎたイベント情報が削除されるが、熱烈なファンやアーティストに とっては、過去の出演履歴も重要な情報なので、過去のコンテンツを全て保存、参 照できるようにしたほうが良いとの指摘を得た。またその一方では、サイトの人気 が高まりイベント情報を登録するユーザーが増えた場合、表示件数が過剰になる可 能性を指摘された。期間(今日1日、1週間、今月など)や場所、ランクで区切っ た表示が出来ると、「今日のお薦めは何か、今週末どこに行こうか、といったニー ズに応えられる」という意見を得た。
(5) API機能
ア. 運用側からみた操作性 特になし。
イ. API利用者側からみた使い勝手
利用者側のサーバのセキュリティポリシーによっては、そもそも API を利用し たサーバ間の連携やデータの入手は困難、という指摘を受けた。
6.3 評価結果から想定される効果
(1)創造都市さっぽろの推進
本システムを利用したサービスの一つの形としてSapporo colorというサイトを開設し、
その運用評価に際しては、開発メンバー以外の方にも参加いただいたが、情報の登録機能 や発信機能などについて利用者視点での改善要望が寄せられ、それらの一部については事 業期間内に改善を図ることができた。
このようなプロセスは、札幌市民と、札幌に関心や関係性を持つ域外の人々の利用、交 流を通じて、さまざまなアイデアが自然発生的に生み出されるという「創造都市さっぽろ」
の推進におけるコミュニケーション基盤機能を果たすという効果につながるものであると 考えられ、今後、Sapporo colorが継続的に運用され、利用者が拡大するに従い、同様の効 果が蓄積されていくものと思われる。
(2)地域の情報発信力の向上
6.2で示したように、情報の発信機能については、運用評価に協力いただいた利用者 の方より高い評価を頂けたことから、開発時の目標である、札幌に関する最も旬な話題が 情報感度の高い地域のオピニオンによって整理、評価、発信され、地域の情報発信力を高 める効果については、一定の評価が得られたものと考えている。
また、現在は開発事業期間中と言うことも有り、利用者を限定しているが、6.2(3)
イに記載されているように、ダッシュボードの公開機能を通じたコミュニケーションの活 性化というご意見から、当初の目標であった、本システム(または本サイト)の利用を通 じた、よりリアルタイムで偶発的なコミュニケーションの機会の増加と札幌を縁とするあ らたな文脈、関係性を発生については、その可能性を確認することができた。
(3)他地域・他分野への波及
本システムでは、インターネットの創造的文化を培ってきた最も基本的なプロセスであ る情報の収集、整理、発信、評価というサイクルに基づき開発したものであることから、
他分野への応用も十分に可能であり、Sapporo colorというサイトの利用を通じて得られた 評価においても、他ジャンルへの展開の要望と期待が寄せられた。
前述の通り、本システムの基本的機能としては、Sapporo colorで取り扱った文化イベン ト情報以外の情報もしくはコンテンツを取り扱うことは問題ないため、プラットホームと して十分に利活用できることと、そのニーズが確認できたといえる。
また、他分野や他地域への展開を考慮する場合、導入の容易性や地域特性に応じた最適 化を避けることができないと思われるが、本システムは、システム構成に示したように、
オープンソースソフトウェアを活用しているため、一定の技術を保有する技術者であれば、
機能の改善や追加が可能である。
また、現在は、インターネットのみならず、新聞、テレビなども含めた幅広いメディア
において、情報もしくはコンテンツの流通の促進が叫ばれている。本システムでは、他の インターネット上のサービスでは取り組み事例が少ない、クリエイティブ・コモンズ・ラ イセンスへの対応も考慮し、その点も評価を得られているが、コンテンツ流通の促進にお ける一つのコンセプトモデルと問題提起ができるものではないかと考えている。
以上のようなことから、地域メディアプラットホームシステムは、国内において同様の 背景を持つ他地域、多彩な分野への応用が期待できるとともに、コンテンツの流通促進に おける実験的システムとしての効果も期待できる。
7 課題と対策
開発ならびに運用評価を通じた課題とその対策について記載する。
7.1 プロジェクト全体について
本事業は、コンソーシアムを結成し、アジャイル型の開発プロセスを採用して プロジェクトを進めてきた。アジャイル型の開発プロセスでは、比較的小さい開 発単位で作業を進めることから、ウォーターフォール型の開発プロセスの場合と 比べると、仕様の確認、変更の確認などといった情報の共有化を怠った場合、開 発コンセプトから徐々に外れていくものが最終的にできあがる可能性がある。
本プロジェクトにおいては、コンソーシアム内でメーリングリストを用いて、
逐次、開発プロセスの進捗ならびに仕様の確認などを図ったため、このような問 題に直面することは無かったが、プロジェクト管理面での課題として考えられ、
その対策としては、メーリングリストの利活用、Google Appsなどの既存Webサ ービスなどでの情報の共有が、今回の場合は有効であった。
また、システムの目的として、他地域や他分野への展開を掲げたため、基本的 な機能は汎用性の高いものとした一方で、基本的な機能だけでは、インターネッ ト上で展開するサービスとしてのイメージを掴むのが難しく、運用評価の段階で 有効な評価が得られないと判断し、Sapporo colorというサービスサイトを作成す ることとなったが、サービスの設計に際しては、開発メンバーとは別の視点、具 体的にはユーザーの視点を交えることが必要であるといえる。早い段階からユー ザーをどう確保するかが、インターネット上でのサービスを実施する場合の課題 として挙げられる。
今回の場合は、コンソーシアムメンバーとして、札幌市立大学の須之内先生に 参加いただき、アドバイスをいただけたことが非常に有効であったため、類似の 開発プロジェクトを行う場合、プロジェクトメンバーとして第三者的な立場の方 をあらかじめ含めておくことがよいのではないかと考えている。
7.2 開発システムについて
(1) システムの機能について
システムの機能については、6.2にも記載したとおり、利用者側からの改善要 望が挙げられているが、地域メディアプラットホームシステムの基本機能としての 重要な欠陥というよりは、Sapporo colorというインターネットサービスにおけるサ ービスレベルの課題であるとの認識を持っている。
このため、今後の対応方針については、Sapporo colorというサービスの運用を通 じて、今後も寄せられるであろう様々な要望と合わせて、例えば改善要望の多いも のといった優先順位をつけていきながら、徐々に改善を図ることを考えている。
以下に、6.2に記載した個別の改善要望について再掲するとともに、その対応 の方針を記載する。
ア.ブックマークレットでのデータ取り込み操作について
(課題)引用フォーマットの編集と定義づけについては、引用元となるホームペ ージのhtml構造を確認しながら、正規表現を使って引用フォーマット を記述しなければならず、一定以上のプログラミングリテラシーを必要 とする。そのため、広く一般ユーザーに対してアグリゲーション機能を 公開する段階では、より簡便にデータを取り込む仕組みが必要。
(対応の方針)当面は、現在の仕組みのままとするが、ユーザーの拡大に加えて、
他のサイトとの連携を考慮すると簡便な仕組みは必須といえる。方式に ついて検討を図ることとする。
イ.他ユーザーの登録済みデータへの追加、修正について
(課題)アグリゲーション機能を使って情報登録できるユーザーが増えた場合、
登録するイベント情報がユーザー間で重複する可能性がある。ほかのユ ーザーがすでに登録したイベントの情報内容に不足がある場合、自分な りの紹介を書き加えることで内容をより充実できるので、情報の追記機 能を付加したほうが良い。
(対応の方針)ウやオとあわせて、改善方法について検討する。
ウ.イベント情報の登録における複数カテゴリー対応
(課題)一つのイベントに対して複数のジャンルを登録できるようにしたほうが 良い。
(対応の方針)イと同様。
エ.地図表示における改善
(課題)地図表示では、今後、例えば自作したオリジナルな地図へのプロット、
既存のホームページへの地図表示画面の組み込みなどの機能が欲しい。
(対応の方針)現在はイベントの開催場所の確認を主旨として提供しているため、
要望点はその範囲を超える機能であると判断し、当面は対応しないこと
カ.独自のランキング方式の説明不足
(課題)個々のイベント情報に付けられた「g」が人気度を示す数字(ランキング) で、「g」の数字が多い順に並んでいることが分らない。上から順番にリ スト表示されたランキングの形式を見慣れている人が多いので、「ヘル プ」ページを設けるなど、本システム独自のランキング表示方法につい てユーザーが理解しやすい工夫が必要。
(対応の方針)サイト説明ページの充実化という方向で改善を図ることとする。
カ.過去情報の活用について
(課題)ある程度のユーザー数とデータが確保できた段階で、過去のイベント開 催時(前回)の履歴を活用した、お薦め機能があると良い。開催期間を過 ぎたイベント情報が削除されるが、熱烈なファンやアーティストにとっ ては、過去の出演履歴も重要な情報なので、過去のコンテンツを全て保 存、参照できるようにしたほうが良い。
(対応の方針)今回開発した機能においても、自分が登録したものであれば、過 去情報を参照することは可能である。過去情報の活用に関しては、既存 機能の延長として開発するか、例えば、過去情報参照機能を別途も受け ることで対応するか、といったレベルから検討を進め、当面の間、機能 としてのリリースは実施しないこととする。
カ.外部API機能の利用について
(課題)利用者側のサーバのセキュリティポリシーによっては、そもそもAPIを 利用したサーバ間の連携やデータの入手は困難。
(対応の方針)本システムでは解決が困難な事項であると判断し、当面は特に対 応は行わないこととする。
(2) システムの運営について
6.3で示したように、運用評価を通じて、本システムの有効性や効果が確認できた。
ただし、その有効性や効果の一部は、本システムを利用したサービスが今後も提供される ことが前提となるものもある。
システムの運営上、今後、考慮していかなければならない点としては、以下の事項があ る。
ア.サービスポリシーやプライバシーポリシーの作成と提供
(課題)本システムを利用したSapporo colorサイトのサービスポリシー(問い合わ せ対応時間帯や責任問題に関する対応方針など)やユーザー登録時に収集す
る個人情報の取り扱いを含めたプライバシーポリシーの作成が必要である。
特に、システム的な制約事項に起因するものについては、あらかじめ、利用 者にも了解を得ることが、サービスを維持する上では必須であると考えられ る。
(対応の方針)これらのポリシーを作成し、リリースする。
イ.ハードウェアリソースの増強
(課題)システム構成に記載したとおり、現在は、OS、ミドルウェア、データベース、
開発ソフトウェアを1台のサーバで運用している。今後、実サービス展開を 図る際には、データ保護、個人情報保護といったセキュリティ的な観点、サ ービスの可用性、信頼性といった観点などから、ハードウェアリソースを増 強する必要があると考えられる。
(対応の方針)当面は現在の構成で対応可能と考えられるため、サービスの拡大状況
(ユーザー数、提供機能など)を考慮しながら、増強を図ることとする。
7.3 コンテンツの流通について
既に説明したとおり、本システムは、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの活用を 考慮し、法制度上の諸課題に対応しながら、コンテンツの流通を促進することができるよ うに開発した。しかし、結果として、提供する機能の利用の段階で、著作者の意向に沿わ ない形で情報の転載や改変が行われてしまう、さらにいえば、違法な状況となってしまう ことも否定できない。
国内においては「ネットワークにおけるデジタルコンテンツ取引流通フレームワークに 関する調査研究-UGMサービスに資する『権利表明の可視化』の提案―、林(情報セキュ リティ大学院大学)・宮島(財団法人デジタルコンテンツ協会)」といった研究のほか、様々 な調査研究が行われているとともに、制度面においても、「フェアユース規定」に関する議 論がスタートしている。
本システムでは、登録されたデータの削除機能を備えたため、違法な状態は放置されな いが、今後の対応として、現状以上のシステム機能改善に関するアイデアは無いのが実情 であり、利用者に理解を得ながら運用していくことが方針となる。
一方で、田村先生・安藤先生(ともに北海道大学)からは、利用者に対して、コンテン ツの利用に関する基本的な知識を啓発普及させる取り組みも必要であり、同時に、行政や