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小児病棟 の現状 と対策

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第66巻 第 2号 ,2007

シンポジウム 3

( 2 1 3 〜2 1 4 )

病院内事故 か ら子 どもを守 る

小児病棟 の現状 と対策

山梨大学医学部附属病 院は,内 科系 ・外科系 の15病棟 ,手 術 部,ICU,外 来 な どの 中央診療 部 か らなる,病 床 数600床の特定機 能病 院であ る。看 護 師 は683名で あ り,10:1の 看 護体 制 を とってい る。当院の安全管理体制 は,専 任 の ジェネラル リス クマネージャーが 1名 在籍 して お り,安 全対策委員会,安 全対策室員,そ の下 に医師,看 護師, コメデ イカル と各部局でそれ ぞれ 1名 の リス クマ ネージャーが配置 され,看 護 部 門で は各 部署 の看 護 師長が リス クマ ネー ジ ヤー として位置付 け られスタッフ教育 を行 っ てい る。病 院内の安全対策 シス テム と して は, 薬剤 カー トシステム導入 による患者別,投 与別 の薬剤払 い出 しシステムや,リ ス トバ ン ドの使 用 ,PDA(携 帯 端 末 )に よる患 者 誤 認 防止 シ ステム,イ ンシデ ン トレポー ト提 出システムが あ る。

小児病棟 は,病 床数40床,看 護 師29名,看 護 助 手兼保 母 1名 の ス タ ッフか らな り,「担 当看 護 師制 十チ ームナーシ ング」で,3交 代勤務 を 行 ってい る。小児病棟 の入院患者の主 な疾患 は, 白血病,固 形腫瘍,再 生不良性貧血 な どの血液 お よび悪性疾患,先 天性心疾患,心 筋症 な どの 車症心疾患 ,難 治性 てんかんな ど神経疾患 ,内 分泌疾患 ,腎 臓疾患 な どである。当病棟 での主 な治療例 は,血 液疾患 に対す る多剤併用化学療 法,造 血幹細胞移植,免 疫抑制療法。心臓疾患 に対す る心臓 カテーテル検査お よび治療:先 天 性心疾患児 の診断お よび術前 ・術後管理,低 酸 素療法,N2療 法 な ど多様である。 1日 平均重 症患者数 は,病 院全体 の平均 の重症患者数 よ り

も多 く,年 々重症患者が増加傾向 にある。 1日

五   味   美   香   ( 山梨大学医学部附属病院小児病棟)

平均 人工呼吸器使用数 は全病棟 の平均使用数 よ り多 く,病 院全体 で使用 中の呼吸器使用患者総 数の 3分 の 1か ら半分 の呼吸器 を小児病棟 で使 用 してい る。

平 成 17年度 の種 類 別 イ ンシデ ン トレポ ー ト の提 出総 数 は,病 院全体 は1,117件で,こ の う ち小 児 病棟 は64件 で あ った。小 児 病棟 にお け るイ ンシデ ン トレポー トの種類 別 内訳 は,「注 射 。内服」のイ ンシデ ン トレポー トが36%と 最 も多 く,続 いて 「医療材料」28%,「 転倒転落」

14%で あ り,病 院全体 の発生割合 と同様 の傾 向 で あ った。「注射 。内服 」 に含 まれ る注射薬 に 関す るイ ンシデ ン トと,「医療材料 」 に含 まれ る輸液ルー トな どに関す るイ ンシデ ン トをあわ せ る と,「注射」 に関す るイ ンシデ ン トが最 も 多 か った。 当院小児病棟 で は,持 続点滴患者 も 多 く,薬 剤量 も微量 であることか ら,輸 液 ポ ン プ ・シ リンジポ ンプの使用頻度が高 く,児 の病 状 や治療 に応 じた細 か な輸液内容,輸 液速度の 変 更 指示 が 多 い。 この ため小 児 病棟 で の 「注 射 ・内服」 に関す るイ ンシデ ン トとして,輸 液 速度の変更 に伴 う輸液速度の設定誤 りが多か っ た。他 には,薬 剤 量 の誤 りや,mg,ml,Vの 単 位 の誤 り,輸 液 ル ー トの接 続 部 が緩 む また

は,外 れる,輸 液ルー トの 自己抜去 な どがあげ られる。 これ らのイ ンシデ ン トは,小 児 の活動 範 囲や行動パ ター ンに関す る患者 アセス メ ン ト 不足 や,危 険防止策の看護計画立案お よび,評 価 の不備,患 者 の治療方針 の理解不足看護計画

に立案す ることや評価 の不備 に よる もの と考 え た。その他 のイ ンシデ ン トとして,「医療材料」

の 胃管,挿 管チ ューブの抜去,ホ クナ リン ・フ 山梨大学 医学部附属病院小児病棟   〒 4 0 9 3 8 9 8 山 梨県 中央市下河東 1 1 1 0

Tel:055‑273‑111l  Fax:055‑273‑7108

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ラン ドルテープ等の貼用薬を含む 「内服」に関 するインシデ ン トレポー トが多かった。そのた め,ベ ッドサイ ドで患者アセスメン ト能力 を強 化することを目的 として,平 成16年9月 より各 勤務交代の時に,前 勤務者 と次勤務者の受け持 ち看護師間で,ベ ッドサイ ドでダブルチェック を開始 した。ダブルチェックの項 目は,「輸液」

に関 しては,① 輸液ポンプの動作確認,② 患者 氏名 。日付 ・薬剤名 。薬剤量 ・輸液速度の確認,

③輸液ルー トの接続部の緩みや破損の有無,④ 輸液ルー トの長 さ,三 方括栓やフイルターの位 置の妥当性,⑤ 刺入部,固 定状況,⑥ 輸液ルー トの交換 日,汚 染状況の確認があげ られ,「胃 管」に関 しては,胃 管や EDチ ューブ,腸 ろう の固定状況,挿 入の長 さの確認,「呼吸器 ・挿 管チューブ」 に関 しては,院 内のマニュアル ・ 呼吸器チェックシー トに基づ き,① 指示通 りの 作動状況か否かの確認,② 回路の不備の有無,

③挿管チューブのサイズ,挿 入の長 さ,固 定状 況の確認,「貝占用薬」のホクナ リン ・フラン ド ルテープに関 しては,貼 用部位,日 付,の 確認 とした。

結果 として,過 去 3年 間で,ダ ブルチェック 開始前後のインシデン トレポー トの内容 を比較 すると,輸 液速度や輸液内容の変更時の誤 りな ど輸液に関するインシデン トと貼 る用薬に関す るインシデンとは減少 したが,輸 液ルー トの抜 去や接続はずれ, 胃管 に関するインシデ ン ト,

胃管の抜去は減少 しなかった。

輸液速度や輸液内容変更に関 してのインシデ ン トレポー トは,以 前は何勤務 もまたが り,誤 りに気づけず経過 した事例 も多かったが,ダ ブ ルチェック開始後は,早 期にエラーに気づ き対 応で きているため,重 要なインシデン トに至 ら ず,ダ ブルチェ ックの効果がみ られた。 また, シングルチェックか らダブルチェックに変更 し たことで,確 認 ・観察の視点をスタッフ間で共 有で き,教 育の機会 となっている。 しか し,輸 液のルー ト抜去や接続のはずれに関 しては,小 児の特徴が大 きく影響 している。小児 は危険の 予濃」がで きないため,輸 液ポンプ,輸 液ルー ト

をいたず らす るな どの行動 をと りやすい。 ま

小 児 保 健 研 究

た,体 動 も活発 な児 は発汗 も多 く,輸 液の刺入 部 の固定 テー プ も外 れやすい。 また,年 齢別の 輸液 ルー トに関す るイ ンシデ ンレポー トが, 3 歳未満の患者 に多い ことか らも年齢 の要 因は大

き く,更 に,個 々の患者の特殊性 か ら,個 別性 を踏 まえた看護計画の検討,評 価 ,観 察が必要 である。

胃管 の抜去 につ いては,小 児が 胃管留置の必 要性 の理解や,抜 去 防止の協力が得 られに くい こ と,ま た成長発達途上である児 の行動 を抑制 す る こ とへ の弊 害 を考 慮 して管 理 す る必 要 が あ る。経管 栄養 が 必要 とな る患 者 の増加 に伴 い,発 生頻度 も増加 してい ることか ら,児 の特 徴 や行動パ ター ンな どの情報 をベ ッ ドサ イ ドで 共有す ることは大切 であ り, ダブルチ ェ ックは 患者 アセス メ ン トか ら防止策 を検討す る機会 と なってい る。 胃管の閉塞 については,小児では, チ ューブ類 の内径が狭 いため,内 服与薬時に溶 解 しきれず 閉塞 しやす い薬剤 もあ る。薬剤 の特 徴 を踏 まえ,胃 管 の閉塞 につ なが る薬剤 に対す

る知識 と与薬方法の検討が必要であ る。

貼 用 薬 に関 して は,ダ ブルチ ェ ック開始後, 勤務毎 に貼用部位 の確 認 も明 らかであ り,重 複 投与 は減少 した。

「転倒転落」 に関す るイ ンシデ ン トレポー ト は,面会 中での発生が多い。当院の小児病棟 は, 付 き添 いが ない こ とが原則 となってい る。家庭 の場 か ら生活環境が変わ り,病 院での面会時間 における家族 との過 ご し方 を観察 し,家 族 と予 測 され る危険 因子 を共有 し家族指導す ることが 危険防止 につ なが る。小児 は,予 測 困難 な行動 や状況か ら危険因子が潜 んでいることを理解 し 危険防止策 を講 じてい く必要が あ る。

小児病棟 の安全対 策 は,個 々の患者 の成長発 達段 階や個別性 を把握す ることや,治 療過程 を 理解 し医師 と共 にチーム医療 を実践 してい くこ とが必要であ り,確 か な知識や判断能力,看 護 技術 が求め られてい る。現在小児病棟 では,他 科 か らの小児 の入 院要 請 も増加 して きてお り, 更 に疾患が多様 となって きてい ることか ら,よ

り安全 な医療 。看護 を提供 で きるための学習や 教育が必要である と考 える。

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