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集落営農法人化通信(その3)

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Academic year: 2021

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集落営農法人化通信(その3)

2007年12月発行 中讃農業改良普及センター 水田農業部門

9月から10月末にかけて、品目横断的経営安定対策に申請手続をした特定農業団体で第1回の

通常総会が開催されました。決算報告書が複雑でわかりにくかった方も多いと思います。団体は「企

業会計原則」に基づき、法人会計で 7 月末で決算をおこなっています。法人会計が素人でも分かるよう

解説しましたので、参考にしてください。

また、アンケート結果が報告された団体も多いと思います。このアンケートは法人化のための基礎と

なります。アンケート結果の分析の要点についても解説しました。アンケートは農協の支援を受け団体

が実施したものです。その結果を、役員を中心に組合員全員が主体となって十分に検討し、4年後に

設立する法人の将来像を描きましょう。

特定農業団体の企業会計の要点

1 工業簿記

米・麦の栽培は製造業なので、製造原価が計算されています。おおむね、工業簿記と同じ手法で経理されていま す。企業会計は費用対収益対応の原則に従って経理され、未販売商品は「棚卸商品」、製造途中の製品は「仕掛け品」、 未使用の肥料・農薬などは「原材料」として処理します。7末月決算で費用に計上されるのは、実際に販売された 麦の生産に要した費用と共通経費(事務費・研修費など)のみです。

2 米は仕掛品、麦は売上、緑ゲタは借入金

7月末に未収穫の米は、製造途中の製品としてとらえ「仕掛品」(作りかけの製品)として資産計上します。7月 末で販売済みの麦は、「売上」です。麦の肥料・農薬・資材費は「経費」です。緑ゲタは補助金の交付決定がまだな ので、収益には計上されません。収入予定の緑ゲタを農協から前借りしたので「負債」に計上されています(※前 借していない組織もあります)。決算が赤字となっていますが、これは、麦の収入の約半分を占める緑ゲタ(12月 支払い予定)と黄ゲタ(来年3月支払い予定)が収益に計上されていないためです。

3 部門管理

米と麦の収支を区分するために、経費・収益とも部門管理をおこなっています。また、米・麦共通の研修費、会議 費用、事務費などは「共通部門」として管理されています。

4 会計目的の違い

法人の会計は、出資者・金融機関等の利害関係者へ正確な財務状況を提 供するのが目的です。個人経営の多くは年間の収支決算で納税額を算出す ることが目的です。記帳の目的が法人と個人では大きく違うため、見慣れ ない決算書となっています。

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アンケート結果と分析の要点

1 担い手の把握

自分が所属する組合の5年後の担い手の状況を把握しましょう。集落の農業・農地の維持には担い手の確保は欠 かせません。日本人の平均寿命は81歳(男女平均値)です。75歳以上で後継者のいない農家は、農地の維持が困 難になります。75歳以上で後継者なしの方がどのくらいいるのか集計しましょう。

2 役員・オペレーターの候補の掘り起こし

団塊世代(1947~1949年生れ)の退職時期は2007~2009年頃と予測されています。故郷に帰っ てきた55歳から65歳までの農業者が地域で多く活躍しています。役員やオペレーターになることが可能と回答し た人材を役員会・運営委員会に加えましょう

3 農業機械の問題

トラクターに200万円、田植機に100万円、コンバインに200万円、合計でおおむね500万円を 1 戸の農 家で投資しています。大切に20年使ったとしても、年間25万円の出費が必要です。県民所得は264万円/人な ので、給与所得の約1割を農業機械に投資しています。50a規模の農家では、現有の農業機械を更新し続けるよ う後継者を説得するのは困難ではないでしょうか。 集落には壊れる寸前から新品同様までの多種多様な農業機械があります。法人化までは、特定農業団体の組合員 が所有する農業機械の共同利用で集落の農地を維持することを考える必要があります。営農に直結する問題ですの で、早急に対応策を役員会等で検討しましょう。また、現在ある個人所有の農業機械の買い替えを出来る限り控え、 法人設立に向けて、現在ある農業機械の活用も含めた整備計画を作成し、機械コストを下げて法人経営が継続でき るよう、将来計画を作成しましょう。

4 組合員の意向

麦の補助金をもらうために加入した者、農業機械更新問題で支援を求めて加入した者、農地を預けたくて加入し た者等、組合員の意向はさまざまですが、地域の農業を維持したいという思いは同じです。賛同者がおおむね8割を 超えていれば、法人化の検討を始めましょう。法人設立までの期限はあと4年です。早く取り組みを始めれば、検討 期間を長く取れます。組合員に十分検討してもらい納得の上で法人化するためにも、早めの取り組みをしましょう。

法人化する場合の実務

1 発起人会 まず法人準備会である発起人会を発足させることが必要です。発起人会は、法人の名称・定款・事業計画・参加予定組 合員名簿等の案を作成します。 2 登記 理事長・役員・組合員が内定すれば、法人設立総会を開催し法務局に登記します。法人は決算後2ヶ月以内に税務申告が必 要なので、事業期間終了直前の登記は避ける必要があります。 3 経営改善計画の申請 品目横断に法人として申請するには、経営規模がおおむね4ha 以上で認定農業者である必要があります。管 轄市町に経営改善計画書を提出して認定農業者となります。 4 利用権設定 農業委員会に依頼し、法人に持ち込む農地に利 用権を設定、法人経営農地とします。 5 品目横断申請 米は4~6月末、麦は6~8月末までに農政 事務所に申請をおこないます 6 緑ゲタの移転・合算 利用権設定した面積に応じて、緑ゲタ 申請権利の移転(団体→法人)や、合算が必要となるので、農 政事務所に申請します。 【重兼農場(広島県)本山理事長の講演:平成 19 年 7 月】

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善通寺市・丸亀市・仲多度郡アンケート結果(速報値)

平成19年12月 内容:アンケートは特定農業団体の全組合員に対して実施され、回答率83%(3,388人/4,075人)で した。丸亀・善通寺・仲多度郡の農家数は10,473戸で、全農家の32%から集計したことになります。自 分が所属する団体のアンケート結果の数字と比較し、地域の傾向を分析していただければと思います。 なお、回答者によっては未記入の項目があるので、合計と内訳の数値が合わない場合があります。 1.回答者の年齢構成 回答者の62%は61歳以上(2,065人/3,280人)。(以降「人」省略。) 5年後にはまずリタイアすると思われる76歳以上は360人(10%)。360人のうち後継者有は206 人で後継者無が140人でした。 検討課題 ①当面、この76歳以上で後継者のいない140人の農地の対応が課題となります。 ②5年後、10年後の活用農地マップを作成し、耕作者がいなくなる農地を把握するとともにこのままで地域の水田農 業が成り立つかどうかの判断材料とする必要があります。 2.農業の状況 回答者の50%(1,653/3,314)が農業専従または農業が主と回答しました。 3.水稲作付規模 回答者の92%(2,591/2,787)が1ha 未満で、さらに60%(1,659/2,787)が50a未 満と零細でした。 4.麦作付状況 麦作付者は483人で全体の14%(483/3,280)、うち78%(377/483)が1ha 未満と零細 でした。 5.農業に従事している後継者の有無 42%(1,397/3,318)が後継者有。後継者の77%(1,044/1,348)が50歳未満でした。 1,397人の市町分布: 丸亀市:547(39%) 善通寺市:347(25%) まんのう町:277(20%) 多度津町:124(9%) 琴平町:102(7%) 検討課題 ①後継者が引き継いでくれる営農環境を整えることが必要です。 ②後継者に対する意向調査をおこなう必要があります。 ③後継者に対する技術・経営講習会を行う必要があります。 6.規模の拡大縮小の意向 68%(2,233/3,273)が現状維持、縮小が16%(533)、拡大が3%(107)、不明が12% (400)で全体としては現状維持の方向でした。 検討課題 ①不明と回答した人の理由を明確にすることが必要です。 ②現状維持と回答した人に対して、①本当に現状維持ができるのか、②いつまでできると考えているのか、③できな くなったとしたらどうするのかを再度考えてもらう働きかけが必要です。 ③規模拡大の意向のある人(丸亀市38、善通寺市33、まんのう町19、多度津町9、琴平町8)に対しては今後の組

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織づくりの検討に参画してもらうことが必要です。 7.規模縮小の理由(回答者523 延回答数1,024) 縮小意向の理由として高齢化66%、後継者不足が62%、農業機械が47%と多く、担い手と農機具問題の 解決が重要です。 8.集落の問題(回答者3,169 延回答数6206) 回答の1位が高齢化で78%(2,476)、次いで後継者問題が53%(1,674)、耕作放棄が47%(1, 504)でした。 9.集落農業の進むべき方向(回答者3,113) 回答者の38%が集落営農法人(集落型690、オペレータ型503)と回答しました。一方、個人で行うが 14%(439)あり、また、わからないが6%(176)ありました。 検討課題 わからないと回答した6%に対して集落営農法人の再度の説明・検討が必要です。 10.集落営農法人設立について(回答者3077) 回答者の73%(2,250)が同意、27%(827)が不同意でどの市町でもおおむね8割を超えています。 市町別同意率:丸亀市71%(849/1,189)、善通寺市70%(542/775) まんのう町78%(455/601)、多度津町80%(225/282)9、琴平町78%(179/23 0) 検討課題 今後、法人を考えるとき、同意者のみを構成員とする法人を考えていくのかどうか(同意しない者を働きかけの対 象から外すのかどうか)の方向付けが必要です。 11.法人賛成の理由(回答者2,235 延回答数3,873) 66%(1,472)が高齢化対策、次いで46%(1,020)が農機具負担問題、36%(800)が荒廃 防止をあげています。 12.賛同しない理由(回答者787 延回答数1,045) 38%(296)が生きがい農業であること、34%(271)が人間関係、自己完結が25%(198)、後 継者有が24%(188)でした。 13.集落営農法人への期待(回答者2,942 延回答数5,406) 46%(1,362)が農地の守り手で一番多く、次いで労力軽減41%(1,216)、低コスト40%(1, 165)、所得向上27%(795)を期待しています。 検討課題 設立する法人の役割や目的がここに示されていると考えられます。 14.参加する場合どんな役割で(回答者2,679 延回答数3499) 30%(799)の回答者が補助金のために参加と回答しており、43%(1,141)が土地を提供、25% (664)が日常管理担当で参加と答えています。一方、オペレーターとして参加するが21%(574)、また 役員として参加するが4%(106)、その他(215)います。 オペレーター意向のある574人の市町分布:丸亀市35%(199)、善通寺市24%(140) まんのう町21%(119)、多度津町12%(70)、琴平町8%(46) 検討課題 今後の組織づくりの検討に参画してもらうほかオペレーター研修による技術向上支援が必要です。

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15.法人に必要なもの(回答者2,840 延回答数5,905) 回答者の59%(1,665)がJA支援を、48%(1,359)が行政支援をあげています。また、リーダ ー46%(1,319)、基盤整備28%(800)、会計事務23%(659)でした。 16.農業機械の保有状況 1)トラクター ほぼ全員99%(2,893/2,931)が所有しています。共同所有率は8%(206/2,636) 馬力 19馬力以下(19%、477) 20~24(49%、1,211) 25~29(23%、563) 30以上(9%、219) 経過年数 5年以内(31%、680)、6~10年(25%、543)、11年以上(44%、950) 平均購入価格206万円 推定投資額81億円 年間更新台数117台 推定更新費用2億円 20年以上使用している458台が近々更新されると思われます。 平均使用年数10.15年(現時点で51%(1,116台)の更新が必要になっています。) 2)田植え機 96%(2,704/2,831)が所有しています。共同所有率は17%(413/2,481) 4条植えが81%(1,889/2,343)で、60%(1,176/1,962)が10年以内に購入 歩行型が15%(404/2,637)あります。 平均購入価格79万円 推定投資額30億円 年間更新台数112台 推定更新費用8,900万円 4条植の更新が多い 平均使用年数9.07年(現時点で61%(1,192台)の更新が必要になっています。) 3)コンバイン 91%(2,510/2,757)が所有しています。共同所有率は11%(240/2,244) 刈取条数 2条刈り(87%、1,625/1,863)、3条刈り(12%、222) 4条刈(1%・16台). 経過年数 5年以内(31%、556/1,803)、6~10年(26%、469) 11年以上(43%、778) 平均購入価格203万円 推定投資額73億円 年間更新台数105台 推定更新費用2億円 平均使用年数9.64年(現時点で63%(1,134台)の更新が必要になっている) 4)麦施肥播種機 麦栽培者の44%(214/483)が所有しています。 市町分布:丸亀市75、善通寺市33、まんのう町44、琴平町36、多度津町26 検討課題 まだ、半分程度が全面全層まきです。ドリル蒔きは、種代の節約と省力化・作業時間の短縮による規模拡大に つながります。 共同利用・作付け中止者のは種機活用を検討し、麦の作付拡大につなげる必要があります。 5)農機具の総投資額 184億円(トラクター、田植機、コンバインのみの合計) 毎年の更新費用5億円(上記を平年どおり更新した場合の費用) 検討課題 ①個人の機械更新を防ぐために、法人組織設立までの間、地域内で機械の融通ができる仕組みづくりを早急 に進めましょう。 ②保有機械の活用を含めた機械の整理・導入計画を役員会で検討し、集落座談会等で提示しましょう。

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17.農機具所有者の不安(回答者1,867 延回答数2,885) 1位:家の農機具はどうなる40%(752) 2位:壊れた時の対応35%(646) 3位:病気やケガ32%(600) 4位:更新時期が来ている26%(493) 5位:共同購入時期16%(290) 18.大型農機具を共同購入した場合(回答者2,327 延回答数2,718) 1位:不参加で現有機械利用56%(1,298) 2位:作業委託したい24%(559) 3位:積極的参加18%(422) 4位:オペレーターで参加13%(301) 共同機械のオペレーター候補が301人いる 301人の市町分布:丸亀市107、善通寺市88、まんのう町77、琴平町29 検討課題 ①保有機械の活用を含めた機械の整理・導入計画の検討と提示を行い、共同化への理解を得ることが必要(特 に56%の不参加者に対して)です。 ②オペレータとしての参加意向のある者には、今後の組織づくりの検討に参画してもらうほかオペレーター研修 による技術向上支援が必要です。 19.共同で利用したい大型農業機械(回答者1,340 延回答数2,284) 1位:コンバイン68%(911) 2位:田植機42%(561) 3位:トラクター40%(535) 4位:その他13%(170) 5位:播種機8%(107) 検討課題: 設立する法人の運営を円滑に行うためには、後継者、オペレーター候補の所在や水系等を考慮した地域割り の検討が必要です。団体役員を中心に地元で十分に検討することが必要です。 作成:中讃普及センター 水田農業担当 【改良ロータリー+うねもり板による麦まき】 稲株の残る圃場で、耕起+施肥+は種+うねもり +鎮圧(5作業)を同時にできます。 農業機械の共同利用による規模拡大を検討しては いかがでしょうか?

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