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障害児療育におけるスーパーヴィジョンの構造に関する研究 [ PDF

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Academic year: 2021

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(1)障害児療育におけるスーパーヴィジョンの構造に関する研究 キーワード: 動作法, レベル, 指導内容, 方略 行動システム専攻 青木 梨恵 問題・目的. あらゆる心理臨床の領域において、訓練者が専門性を遂. 障害のある児童生徒を取り巻く環境が大きく変化し、文. げる際にスーパーヴィジョンが必要不可欠であると多くの. 科省調査協力者会議より、平成 15 年度「今後の特別支援教. 研 究 者 に よ っ て 指 摘 さ れ て い る (Wiley & Ray,1986;. 育の在り方について」最終報告が打ち出された。これには、. Holloway,1995; Holloway & Neufeldt, 1995; Watkins,1997;. 障害のある児童生徒一人ひとりの教育的ニーズの把握と適. Bernard & Goodyear,1998)。カウンセリングの領域では、. 切な教育指導を通じた支援を行うとされている。教育現場. 1980 年代前後より、カウンセラーの発達を段階論的に捉え、. の現状は、特殊教育の対象児の増加、障害の重度重複化の. 各発達段階に見合ったスーパーヴィジョンを想定したスー. 傾向が著しく、肢体不自由児養護学校では全体の 74%を占. パーヴィジョンモデルが提案され始めた(Stolenberg,1981. めている。一方、このような児童生徒に対する教員の在り. 他)。また最近では、スーパーヴィジョン技術の開発. 方が問われている。盲聾養護学校の教員は、通常の基礎免. (Neufeldt,1999)も試みられる程、カウンセリングのスーパ. 許状に加えて、学校種ごとの特殊教育教諭免許状の所有が. ーヴィジョンに関する理論的、実証的研究は膨大な数にの. 必要である。だが、その免許状がなくても教員となれる特. ぼり、この領域の主要な研究主題となっている。しかしこれ. 例があり、その保有者率は養護学校で 52%に留まっている。. らの多くは米国で行われてきており、本邦では、近年にな. 免許保有率向上を促すと同時に障害児教育に対する教師の. って心理臨床家が爆発的に増加し、訓練に対する内的要求. 専門性を向上、強化する研修体勢の整備が必須課題である。. が高まってきた(鑢,2004 )ことから、ようやくスーパーヴ. ところで、長年、障害児療育の先駆けとして取り組まれ、. ィジョンの問題が取り上げられるようになってきた。それ. 現在全国 90%の養護学校で導入されている障害児発達援助. は動作法の領域でも同様のことが言える。. 法のひとつの技法として動作法(成瀬、1973)がある。動. 動作法のスーパーヴィジョンに関する研究には久田・成. 作法は、脳性マヒ児者の動作不自由の改善を目的とし、具. 瀬(1978)や高松・針塚(1990)、安好(1996)の研究等があるが、. 体的な特定の動作を課題として与え、それを適切に遂行す. いずれもスーパーヴィジョンが訓練者の発達に伴って変化、. るように子どもに努力させる。その特定の動作の制御によ. 機能するかに関しては検討がなされていない。. って子どもの障害の特徴が変化するよう子どもの自己制御. そこで、青木・田中(2004)では、2 日間の訓練会におい. を促す援助法である。動作法の療育構造は、訓練者と障害. て、SV の評価を基にした訓練者の熟達度によってスーパー. 児がスーパーヴァイザー(以下、SV)と呼ばれる熟練した訓. ヴィジョンの内容が異なるのかについてTR の回答を基に検. 練者と共に場面を共有する形で行われる。つまり、実際に. 討した。その結果、SV が評価した低群の訓練者には、基本. 子どもに動作法を施行しながら、もしくは訓練者の行為に. 的な訓練の技法に指導の重点がおかれ、SV 評価高群には、. 即時的に介入することで動作課題や援助技法を訓練者に伝. 子どもの状態の見立てや子どもの読み取りについて指導の. え指導する。動作法におけるスーパーヴィジョンの構造を. 重点が置かれている事が見出された。. 明らかにし、体系化していくことは、訓練者や障害児たち. 青木・田中(2004)の問題点は、対象児の特性が多様であ. が第二次世代へと移り変わりつつある動作法の再構築に提. ること、TR のレベルを SV 評価に頼っていること、TR の問. 言すると共に、特殊教育における動作法の教師研修プログ. 題点は TR の回答を基にしていることが挙げられる。また、. ラムへ示唆を与えることができると考える。. SV は TR の問題点に対してどのような方略で伝えたのか、そ.

(2) の方略にはTR のレベルによる違いがあるのかについては検. 本実験. 討されていない。方略を含めた上で条件を統制した実証的. 目的 スーパーヴィジョンの内容と方略がTR のレベルによ. 検討が必要である。. って変わるのかについて実験的検討を行う。また、方略が. そこで本研究では、動作法における脳性マヒ児の訓練を. 指導内容によって異なるのかについても検討を行う。. 対象としたスーパーヴィジョンに焦点を当て、TR の問題点. 方法. と方略がTR のレベルによって異なるのかについて検討する。. 研究協力者:SV 資格保有者 9 名。SV 歴平均 13.1 年、経験. 仮説 1:TR の問題点はレベルによって異なり、レベルが低. 年数幅は 5∼30 年。刺激 VTR に用いた TR、対象児とは面識. いほど基本的訓練姿勢の読み取りについて、レベルが高い. がない、もしくは指導担当をしたことがない人。. ほど対象児との関わりに関する指導が多くなる。. 手続き:対象児が訓練をしていない状態像を撮影した. 仮説 2:TR のレベルによって方略が異なって用いられると. VTR(90 秒)を提示した。次に、各レベルから 1 人ずつ計 3. 考えられる。. 人のTR の訓練場面VTR(各3 分)をモニター上に生起させた。 2 回ずつ提示し、2 回目の提示時に即時的に TR の問題点を 話してもらった。VTR 提示後、①指導すべき点について自由. 予備研究 目的 実際の動作法場面から方略を抽出する。. 記述で、②①の中で最も指導すべき 3 点に関して伝える際. 方法. に用いる方略について 7 項目(予備研究の結果)から選択を. 研究協力者:日本リハビリテイション資格認定委員会認定. 求めた。記述されたものを分析として使用した。. の SV 資格保有者 9 名。SV 経験歴平均 13.2 年。. 刺激 VTR:5 歳男児(脳性マヒ・全般的な低緊張)1 名に対し. TR および対象児者:TR は大学院生 16 名で動作法 TR 経験歴. て、動作法の訓練者資格を基準に、レベル低・中・高の 3. は平均 3.1 年で経験年数幅は 1∼8 年であった。対象児者 16. 群の TR が膝立ち訓練を行った。TR には「対象児の姿勢の歪. 名の障害は脳性マヒであった。. みを出さないよう膝立ち姿勢を作り、最小限の補助を目指. 手続き:TR と対象児者に SV が指導する場面を撮影した。. す」よう教示し、正面と側面 2 方向から撮影した。刺激とな. 分析:TR16 名の指導場面から、SV の関わりの質(SV と TR. った VTR が TR のレベルを反映しているか検討するため、3. が身体を介する・介さない)を基準に、方略のカテゴリー. 群について訓練時間と対象児の姿勢特徴について検討した。. 化を行った。評定の信頼性を確認するため、SV 資格保有者. 1) TR の訓練時間. と協議の上行った。. VTR より、課題における訓練時間についてレベル比較した。. 結果・考察. 対象児の膝立ち姿勢が安定するまでを達成時間、安定した. 結果は、Tab.1に示した。抽出された 7 項目について、. 姿勢を維持できている時間を保持時間として抽出した。達. 直接介入型、体験型、練習型、モデル提示型、対象児の特. 成時間についてレベルを要因とした 1 要因分散分析を行っ. 徴模倣型、言語のみ型、見守り型と命名した。. た結果、主効果(F( 2,7)=6.04,p<.05)が見られ、下位検 定(LSD 法)を行った結果、高、中群の達成時間が低群よりも. Table 1 方略の種類 直 1. 直接介入型 接 2. 体験型 的 3. 練習型 4. モデル提示型. 間 5. 特徴模倣 接 的 6. 言語のみ 7. 見守り型. 有意に短かった(p<.05) 。保持時間についても同様の 1 要. 内容. 方略. TRもしくは対象児の手を直接取る トレーナーを対象児に見立てる. 因分散分析を行った結果、主効果(F( 2,7)= 10.76,p<.05) が有意であり、下位検定(LSD 法)を行った結果、高群の保持. SVを対象児に見立てる. 時間が低、中群よりも有意に長かった(p<.05)(Fig.1)。. SVが訓練をしてみせる. 2) 対象児の訓練姿勢の比較. SVを対象児の姿勢特徴を模倣をする ことばのみ 側で見守る. VTR より、対象児の姿勢を抽出し、シネマトグラフに記録 した(Fig.2)。その結果、低群では対象児の首から膝までの 身体軸が歪み、高群ほど歪みの幅が小さくなっていること.

(3) がグラフから読み取れた。. 1.1 TR のレベルによる問題点の相違について レベルによって指導内容を分類した(Fig.3)。. *. 5.0. 達成時間 保持時間. * time(second). 10. *. 4.0. *. 3.0. 2.0. 9. Level- 低. 8. Level- 中. 7. Level- 高. 6. 1.0. 回 数 5. 0.0. Level- 低 Fig.1. Level- 中. 4. Level- 高. 膝立ち位課題における訓練時間の比較(以下、* p<.05, * * p<.01). 3 2 1 0 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 指導内容. Fig.3 レベルによる指導内容の特徴. レベルによる指導内容について検討するため、3×8 のク ロス表についてχ2乗検定を行った。その結果、有意であり Level-低. Level-中. Level-高. (χ2=28,27,df=14,p<.05)、指導内容がレベルによって異な. Fig.2 シネマトグラフによる対象児の訓練姿勢. ることが示された。残差分析の結果、レベル低群において. この結果は、田中(1991)他の報告と同様の結果で、訓練. 訓練姿勢の数が有意に多く(p<.05)、高群においては有意に. 初心者ほど手間取り、誤った動作を促進し、熟達者ほど明. 少なかった(p<.01)。高群における共動作の調節の数が有意. 確に対象児の動作を促進する特徴が確認されたので、TR の. に多かった(p<.05)。中群において姿勢緊張の気付きと対応、. レベルとして 3 群の妥当性を認めた。. 共動作の調節について、高群における軸(身体軸・重力軸). 結果. の調節、姿勢緊張の気付きと対応、踏みしめのための補助. 回答された TR の問題点についてカテゴリー化を行った。. の漸減、共応構造の気付きとその微調整、有意緊張の誘い. 妥当性を確認するため、本研究とは無関係の SV 資格保有者. 出しとタテ軸づくりに有意傾向が見られた(p<.10)(Tab. 3)。. 1 名と分類を行った。その結果、訓練姿勢、課題理解、軸(身. Table 3 レベルによる指導内容の比較 訓練姿勢. 体軸・重力軸)の調節、姿勢の緊張の気付きと対応、踏みし めのための補助の漸減、共応構造の気付きとその微調整、. 課題理解. 低. 7▲**. 5. 5. 3. 1. 1. 1. 4. 中. 5. 5. 5. 6▲+. 1. 1. 2. 2▲+. 高. 0▽**. 3. 1▽+. 1▽+. 4▲+. 4▲+. 5▲+. 9▲*. 有意緊張の誘い出しとタテ軸づくり、共動作の調節の 8 項 目であった(Tab. 2)。. ( ▲多い、▽少ない、**p<.01,*p<.05,+p<.10). 1.2 TR のレベルによる方略の相違について. Table 2 指導内容とその補足説明 指導内容. 有意緊張の誘い 軸( 身体軸・ 重力 姿勢緊張の気付 踏みしめのための 共応構造の気付 出しとタテ軸づく 共動作の調節 きと対応 補助の漸減 きとその微調整 軸) の調節 り. TR のレベルによって方略に違いが見られるかを検討する 補足説明. ために、3×7 のクロス表についてχ2乗検定を行った。そ. 1訓練姿勢. 障害児者にタテ系動作法を適用する際の身体の取り扱いに関する基本的 訓練姿勢の理解. 2課題理解. 当面必要とされる動作課題の選択とその実践手順に関する理解。(その 大部分は、形づくり課題と踏みしめ課題の理解で基本的知識). 3軸(身体軸・重力軸)の調節. 不当緊張を抜きながら、直姿勢(身体軸)をつくり、それを重力軸とほ ぼ一致させる. 4姿勢緊張の気付きと対応. 臥位からタテ(膝立ち位)にする過程で顕在化してくる不当な姿勢緊張 とそれに伴う姿勢の歪みを推測し、早めに適切な対応をする. ×8 のクロス表についてχ2乗検定を行った。その結果、有. 5踏みしめのための補助の漸減. 対象児が能動的に接地面を踏みしめ、自力で立つことを促すために漸進 的に補助を減少させる. 意差は見られなかった(χ2=43.46,df=42,ns)。しかし、全. 6共応構造の気付きとその微調整. 頸―腰、背―腰の共応構造に関する知識を持ち、顎だし、後湾、腰引け などの姿勢の歪みを早めに見抜き、適切な補助をする. 指導内容においてモデル提示型が比較的多いことが読み取. 7有意緊張の誘い出しとタテ軸づくり. 対象児が思わず立ち上がろうとする微かな自発運動を誘い出し、重力に 対応したタテ軸づくりに活用する. 8共動作の調節. 所定の課題動作を実現しようとする対象児の内的過程(体験)をなぞろ うとするTRの態度(注意の一致性、フィードバックの適切性、情緒的 安定性など主観的な印象). の結果、有意差は見られなかった(χ2=8.56,df=12,ns)。 1.3 指導内容と方略の関連について 指導内容によって方略に違いが見られるのかについて 7. れた(Fig.4)。 そこで、指導内容ごとに方略に違いが見られるのかにつ いて 1×7 のクロス表についてχ2乗検定を行った結果、課.

(4) 題理解が有意であり(χ2=28.94,df=6,p<.01)、モデル提示 型が、体験型、見守り型より有意に多かった(p<.05) (Fig.5)。. ではなぜ、レベルによって指導の重点の置かれ方が異な るのか。Fig.3 に示された指導内容の形状から、レベル低群 では基本的な訓練姿勢など基本的知識に関する指導が中心. 100% 90% 80%. 方 略 の 割 合. 70%. (. 40%. 見守り. で、高群では共動作へ指導の重点が推移していることから、. 練習. 指導内容には、難易度があり、TR に必要な内容を選択して. 特徴模倣. 指導している可能性がある。. 言語のみ. 60%. 体験. 支持されなかった。本研究では、全ての指導内容を伝える. 直接介入. 際、モデル提示型が最も全般的に使われていることが見出. モデル提示. された。また、指導内容と方略を検討した結果、特に、課. 50%. %. 一方、方略ではレベルによる違いは見られず、仮説 2 は. ). 30%. 題理解について指導する際にモデル提示型が多いことが見 20%. 出された。モデル提示型は、視覚的でイメージがつかみや 10%. すく、技法の概観を捉える場合に有効だと考える。対象児 0%. 1. 2. 3. Fig.4. 4. 5. 6. 7. 8. 指導内容. 指導内容と方略の関連. との非言語的なやりとりの中で重力に対応したタテ系姿勢 の獲得を目指した技法を教える場合、モデル提示が有効に 働くのかもしれない。今後、方略の効果について検討して. 20. いくことが必要だと考えられる。. **. 18. ** 16. 以上のことから、SV は、TR の知識や認知、技術といった. 14 12. レベルのあり方に焦点付けて指導内容を選択し、その内容. 回 10 数. を伝える際には、SV が実際に施行して指導を進めていく可. 8. 能性が示唆された。. 6 4. 最後に、本研究では動作法のスーパーヴィジョンの体系. 2. 化と共に、特殊教育における教師研修プログラム構築への. 0. モデル提示 直接介入. 体験. 言語のみ. 特徴模倣. 練習. 見守り. Fig.5 課題理解における方略の頻度. 考察 本研究では、動作法における TR の問題点とそれに対して. 提言を目指してきた。今後は、特別支援教育の対象となる 児童生徒の訓練におけるスーパーヴィジョンの構造につい て検討していくことを視野に入れ、教育現場へ実践的に提 言できるよう、研究を進めていきたいと考えている。. 行われる方略がTR のレベルによって異なるかについて検討 した。その結果、レベル低群の TR には訓練姿勢について、. 主要引用文献. 高群には共動作の調節について指導の重点が置かれている. 青木梨恵・田中信利 (2004) 動作法のスーパーヴィジョン. ことが見出された。また、有意傾向ではあるが、中群には. とトレーナーの専門的成長 リハビリテイション心理. 姿勢緊張の気付きと対応、共動作の調節について指導の重. 学研究 32,1,29-38.. 点が置かれていた。高群には、軸(身体軸・重力軸)の調節、. Neufeldt,S.A.(1999) Supervision strategies for the. 姿勢緊張の気付きと対応、踏みしめのための補助の漸減、. first practicum (2nd ed.). American Counseling. 共応構造の気付きとその微調整、有意緊張の誘い出しとタ. Association.(中澤次郎(監訳) 2003 スーパービジ. テ軸づくりについても指導がなされていた。よって、仮説. ョンの技法−カウンセラーの専門性を高めるために−. 1「 TR の問題点がレベルによって異なる」が支持された。こ. 培風館).. のことから、SV は TR の問題点を見極めていると考えられる。.

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参照

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