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幼小をつなぐ学びの探究 一 数 量 感 覚 を 育 む

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Academic year: 2021

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幼小をつなぐ学びの探究 一 数 量 感 覚 を 育 む 学校教育専攻

幼年発達支援コース 土 田 有 花

1 .問題の所在と目的

幼小連携の必要性が叫ばれる中、制度や教 育方法の違いを越え、学びの連続性を問い直 すことが、幼小の滑らかな接続を目指す取り 組みにおいて不可欠であると捉えられるよう になってきた。そこで、小学校に入学した児 童が楽しく教科学習に挑むための幼稚園教育 の充実とともに、幼稚園での学びを踏まえた 授業の質的向上のために、生活の中での数量 感覚の育ちを軸とした幼稚園と小学校との学 び、の連続性について、探っていくことにした。

2.接続期の児童の実態と課題 1) 目的と方法

本研究では、まず、接続期の児童の実態を探 り、幼稚園と小学校との段差、戸惑いの現状 などを明らかにする。調査時期は、平成 18 年 7月、 8月で、児童へのインタビュー調査

とともに、保護者や担任への質問紙及びイン タピュー調査を実施した。さらに、幼稚園で の実践記録から、児童の幼稚園での生活を振り 返り、幼稚園での経験と小学校の教科学習にお ける意欲の関係などを分析しながら、幼小の連 続性を考えるための課題について探った。

2)実態調査の結果と分析

児童は、全体として「学校は楽ししリと答 えていたが、入学当初は、学校の広さや環境 の変化、新しい友達との出会いに戸惑い、起 床時のぐずりや甘えなどが見られた。そして、

小学校の 勉強の時間"と 遊びの時間"と

指 導 教 員 橋 川 喜 美 代

の区別を受け入れ、 遊びの時間"である 休 み時間"を楽しもうとしていた。また、少数 ではあるが、教科学習、特に、抽象的な概念 を操作する算数において難しさを感じる児童 の存在が明らかになった。

3)児童の実態から幼稚園時代を振り返る 教科学習に「楽しさJを感じている児童は、

幼稚園時代の遊びに意欲的に取り組み、友達 と考えを出し合いながら遊びを進めていく経 験を重ね、楽しさを実感していた。一方、幼 稚園時代には、教師の自に意欲的だと受け止 められていたにもかかわらず、教科学習に楽 しさを感じられない児童の存在も明らかにな り、遊び、の中で、学び、を読み取っていくことな ど、小学校以降の教科学習において「楽しさj

を感じられるような、幼稚園での経験や教師 の支援の必要が課題として明らかになったo

3.生活の中の数量感覚の育ちと教師の支援 1) 目的と方法

接続期の児童の実態から少数ではあるが、

算数において難しさを感じる児童がし1たとい う実態や、学びの楽しさを感じるための幼稚 園での経験の質の充実という課題を踏まえ、

数量感覚の育ちを軸に教師の役割や支援、小 学校との連続性について探ることにした口

平成 18年 10月から平成 19年7月の問、

公立幼稚園において実践し、分析には、中沢 和子が『幼児の数と量の教育』に示した幼稚 園での実践例から幼児期の数量感覚を育むた

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めの教師の役割とそこに共通する学びの過程、

①心を動かされる、②子どもが操作する、③ 子どもが体感する、④繰り返す、⑤納得する、

⑤次の生活に生かす、という 6場面を抽出し たものを尺度として用いた。

2)事例の分析と考察

例えば、年長児B男の事例を分析尺度を用 いて分析すると、次のようになる。

3男は、大好きなカエルを見つけ、カエル のために家を作ろうと試行委箭巽を重ねる。よ り大きな石を探したり、石の向きを縦や横に したり、カエルの大きさを考慮して、水の量 を調節したりする。石の大きさや水の量など を意識し、試す経験を重ねてしだ過程におい て、思考や操作が繰り返される背景には、一 緒に石を探したり、「これでいい?Jと確かめ 合ったりする気の合う友達の存在がある。さ らに、必要な飼育ケースや参考となる図鑑な どを用意しながら、見守る教師の姿勢がB男 の試行錯誤を支えている。

このように、生活の中での数や量との出会 いは、安定した生活と主体的な姿勢から生ま れる。数量とのかかわりが豊かになるために は、①一緒に心を動かし、刺激し合えるよう な友達の存在、②「やってみたしリと子ども が思うような環境を整え、友達との関係をつ なぐ橋渡しとしての教師の支援、が重要であ ることが明らかとなった。また、こうした経 験が積み重なっていくためには、家庭も巻き

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込んで生活全体を見直し、充実を図る必要が ある。そのためには、保護者との相互理解や 共通理解が欠かせないことも分かつた。

3)小学校での学びとの連続性について 生活の中に課題を見出し、学ぶ意欲や考え る楽しさを目指した小学校教師、渡辺恵津子

『こどもといっしょにたのしくさんすう:考 える力を育てる学習法』の実践を分析した結 果、中沢も渡辺もともに、 実感する"ことを 重視しているが、幼稚園では、体験し感じと ることを、小学校で、は、理解することを目標 としている点で、違いがあった。また、生活 の中から課題を見出すことや、学びの過程は 同じだが、小学校では友達と話し合いながら 検証を試み、言語化して抽象的概念を理解す ることが増えてしてo このことから、幼稚園 で具体的な体験から学んでいた幼児は、小学 校に入札言葉を使い抽象的なイメージの操 作から学ぶ機会が増えることで「体験による 学びJから「言葉や記号を用いた学び」への 段差に、戸惑っているということが分かつた。

4.今後の課題

体験による学びから言語を用いた抽象度の 高い学びへの滑らかな移行のためには、幼小 が次のように連携を深める必要がある。まず、

幼稚園では、生活の中での学びを意識して見 出し、数や量を意識化し話し合いながら学び が積み重なってし、く保育の充実を図り、学び を小学校へと伝えていくこと、また、小学校 では、幼稚園での学びを踏まえ、生活の中か ら聞いを見出すとともに、体験の場で、迷った り、間違ったりする中で、気づき、納得して し、く過程を保障する授業の工夫が求められる。

参照

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