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アスパラガス収穫作業の軽労・省力化技術に関する 研究

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Academic year: 2021

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

アスパラガス収穫作業の軽労・省力化技術に関する 研究

坂本, 隆行

http://hdl.handle.net/2324/1866350

出版情報:Kyushu University, 2017, 博士(農学), 課程博士 バージョン:

権利関係:Public access to the fulltext file is restricted for unavoidable reason (3)

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氏 名

論 文 名 収穫作業の軽労・省力化技術に関する研究

論文調査委員 主 査 九州大学 准教授 尾崎 行生 副 査 九州大学 教 授 望月 俊宏 副 査 九州大学生物環境利用推進センター 教 授 吉田 敏 副 査 九州大学 准教授 若菜 章

論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨

本論文は,わが国の主要な野菜品目の一つである (Asparagus officinalis L.)収穫 時の中腰姿勢による過大な身体的負担を軽減するために,立ち姿で収穫できる軽労・省力化技術を 開発したものである.

まず,若茎収穫時の視認性・作業性を向上させるために母茎の立茎位置と若茎の萌芽位置を分離 する母茎地際押し倒し法による栽培を行うと,慣行栽培よりも収量が2割程度低下するが,母茎の 株元方向への斜め誘引と側枝刈り込み処理による受光体勢の改善により,慣行と同等の収量が得ら れることを明らかにした.さらに本栽培法で慣行の芽きり(芽摘み)ハサミを用いた収穫を行った ところ,収穫姿勢が改善されるとともに収穫時間が24%短縮され,収量を低下させることなく作業 能率を向上させることができた.

次に,切断した数本の若茎を一旦 トック部に収納する「 トック方式」とハサミ刃の開閉に連 動するつかみ部で把持して若茎を回収する「つかみ方式」の2種類の長柄電動式収穫ハサミ(以下,

長柄収穫ハサミ)を試作して作業性を調査したところ,若茎の収穫成功率はともに95%以上であり,

立ち姿勢での収穫が可能であることを明らかにした.慣行の9 インチ車輪よりも大きい12〜16 ンチ車輪の収穫台車を用いれば,通路がぬかるんだ圃場で収穫カゴが満杯でも利用できることが分 かり,コ ト低減と作業性の点からは14インチ車輪の収穫台車が最も実用性が高いことを示した.

以上の技術を組み合わせた場合の作業能率は,慣行の中腰収穫に比べて「 トック方式」では同 等〜8%低下であったが,「つかみ方式」では7%以上向上した.作業の軽労化程度の目安になるOvako Working Posture Analysis Systemによる姿勢評価を行うと,「 トック方式」ならびに「つかみ方 式」の長柄収穫ハサミの利用によりAC3(早期に改善すべき)およびAC4(直ちに改善すべき)の 姿勢が減少し,AC1(改善不要)およびAC2(近いうちに改善すべき)の姿勢の合計が97%以上を 占めることが分かった.腰の疲労度を表す修正Borg Scaleによる評価でも,慣行の中腰収穫に比べ て腰の負担を大幅に軽減できることが明らかになった.

慣行立茎栽培において側枝誘引による畝面の視認性改善を行った場合の,長柄収穫ハサミの適用 性についても検討したところ,作業能率は慣行の中腰収穫に比べて18%劣ったが,作業姿勢につい てはAC3およびAC4の姿勢が著しく減少した.修正Borg Scaleによる評価でも慣行の中腰収穫に 比べて疲労度が大幅に軽減したことから,慣行立茎栽培においても長柄収穫ハサミにより身体的負 担を軽減できることが示された.

生産者栽培圃場における母茎地際押し倒し法および長柄収穫ハサミを組み合わせた収穫作業性の 現地試験の結果,作業能率は慣行の中腰収穫法と同等であったが,作業姿勢が大幅に改善され,身 体的負担軽減効果が高いことが示された.

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以上要するに,本論文は母茎地際押し倒し法,長柄収穫ハサミ,大型車輪収穫台車を組み合わせ た 収穫作業の軽労・省力化技術を確立したものであり,園芸学の発展に寄与すると認 めた.よって本研究者は博士(農学)の学位を得る資格を有するものと認める.

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