• 検索結果がありません。

観察研究における因果推論

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "観察研究における因果推論"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

36

【目的】

 今日では,情報技術の発展とインターネットの普及からデータが多く蓄積されビックデータな どの大量データを保有する組織が多くなり,そのデータの活用が企業の競争における重要性は増 している。また近年の「Society5.0」などへの社会の変化も背景に,ビジネスの場面においてもデー タを活用する機会は増加傾向にあるが,このようなビジネスで活用するようなデータ間の因果関 係を検討することができるモデル構築は非常に有用性が高いと考えられる。

 本論文では,上記の問題意識・動機から自然現象や人間行動の根底にある因果メカニズムを解 明するための方法論に関する研究を行う。特に,観察研究から因果関係を推定するための因果モ デルの推定に関する検証を行い,従来の限界を超える新しい方法論体系の構築目指す。

【方法】

 過去の因果推論の文献を調べ,因果効果を測定しやすい実験研究や因果効果を測定しにくい観 察研究の定義および観察研究における因果推論の概略を明らかにする。特に原因と結果で表され る因果効果を実験研究とは異なり推定が難しい観察研究では,原因と結果双方に影響を与える共 変量の統制が必要であることを明示する。次に観察研究の因果推論で不可欠な反事実的モデルや 根本的な無作為化の威力や“強く無視できる割り当て(Strongly ignorable)”やSUTVA など の前提条件や因果効果推定方法を明らかにし観察研究における因果推論の全体像を明らかにした 上で,実際に観察研究で因果効果を推定する統計手法の紹介を行う。具体的には,回帰分析,マッ チング法,層別解析,共分散構造分析,傾向スコアを利用した手法などのメリットやデメリット の概説を行う。その後,実証研究として実際のデータを利用し米国の職業訓練プログラムの因果 効果を上記の統計手法を使って推定し,過去の研究を踏まえて,推定結果の考察と既存の統計手 法の問題点を明確化する。

 観察研究における因果効果推定のための統計手法は上記の“強く無視できる割り当て(Strongly ignorable)”という共変量と呼ばれる目的変数と説明変数どちらにも影響を与える変量の情報を 全て持っていると仮定しており,現実でこの仮定は守られていないことが多い。また相関関係と いう言われる変数間の関係性が強い場合やサンプルサイズや因果関係には関係な余分な変数を加 えた場合の予測モデルの精度など,実際に因果効果を測定する統計手法を使用する上でデータの 特徴は千差万別であり,データの特徴によって因果効果の推定がどのように変化するかどの統計 手法がどの状況において頑健か把握することは学術的にも社会的にも非常に価値があると考えら れる。そのため本研究では,これらを確認するためにモンテカルロシミュレーションによってデー タを生成し,現実の問題に合わせて統計手法の頑健性と推定精度の検証を行う。

【得られた結果】

 実証研究とモンテカルロシミュレーションによって大きく下記の知見が得られた。

【1】どの手法においても「サンプルサイズが多い」ほど,推定は良くなる。逆に「サンプルサ

修士論文 アブストラクト

観察研究における因果推論

~戦略評価のための統計モデルの研究~

森 西 美 光

(2)

37

イズが少ない」場合はどの手法も平均二乗誤差が大きくなる。

【2】「変数間の関連性が強い」ほど,平均二乗誤差が大きくなり推定が悪くなる。逆に「変数間 の関連性が弱い」ほど,平均二乗誤差は小さくなり,推定は良くなる。

【3】「“強く無視できる割り当て(Strongly ignorable)”が成り立たない」場合,因果に影響を 与える情報を保持していないため,保持していない変量の因果効果分,モデルに投入している変 量に総合効果として加算される(正負は保持していない変量の目的変数に対する因果の効果の方 向による)。

【4】「余分な変数をモデルに加えた場合」,加える変数がモデルに加える変数や目的変数と関連 が強いほど統計モデルの平均二乗誤差が大きくなり,推定が悪くなる。

 上記の知見は観察研究における因果推論として非常に価値がある知見と考えられる。具体的に は現実のデータが保有する可能性がある問題について複数の因果推論を行う手法で精緻にシミュ レーションを行い,データがシミュレーションのテーマで推定した場合どのような結果となるか 明示しており学術的にも実務的にも価値があると考えられる。

 

【結論】

 観察研究における因果効果を推定する手法は本研究でいくつも紹介したように複数存在するが どの場合でも使える万能な手法は存在しない。変数が少なくサンプルサイズが少ないならば重回 帰分析も十分適切な因果効果を推定する手法となる。また因果効果を知りたい割付変数のみなら ず変数間全ての関係性を把握したいならば 3 章で紹介した共分散構造分析が適切かもしれない。

このように適切な目的とデータの特徴に合わせて,先行する知見を把握し複数の手法を利用し因 果効果を推定することが観察研究において重要と考えられる。また本研究ではカバーしきれな かった実務におけるデータの特徴や手法も存在しており,その実務上の評価が,今後の課題であ る考えている。

参照

関連したドキュメント

バブル時代に整備された社会インフラの老朽化は、

These results indicate an interferenceeffectof visual context in picture detection and a facilitation effect of semanticcontext in word detection.. However,Experiment2 using

 処分の違法を主張したとしても、処分の効力あるいは法効果を争うことに

 介護問題研究は、介護者の負担軽減を目的とし、負担 に影響する要因やストレスを追究するが、普遍的結論を

ƒ ƒ (2) (2) 内在的性質< 内在的性質< KCN KCN である>は、他の である>は、他の

を塗っている。大粒の顔料の成分を SEM-EDS で調 査した結果、水銀 (Hg) と硫黄 (S) を検出したこと からみて水銀朱 (HgS)

共通点が多い 2 。そのようなことを考えあわせ ると、リードの因果論は結局、・ヒュームの因果

[r]