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羅臼町の ESD 推進と地域連携の取り組み

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Academic year: 2021

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羅臼町の ESD 推進と地域連携の取り組み

山崎 守

平成293月に、文部科学省より新しい学習指導要領が公示されました。これは、変化 が激しくますます多様で複雑化していくこれからの社会において、子どもたちがしっかり とした「未来対応」の力をつけていくために考えられた教育課程の基準です。そこでは、

子どもたちに育成する力が、新しい時代に必要となる「資質・能力」として、次の3つに 整理されています。「1、生きて働く知識・技能 2、未知の状況にも対応できる思考力・判 断力・表現力 3、学びに向かう力、人間性」。このような「資質・能力」の育成は学校が 中心となりつつも、そのめざすところを地域や社会の人々と共有・連携しながら実現させ ることが大切です。特徴ある地域の自然や歴史は、学校と地域・社会をつなぐ大切な学習 材となります。これらを通して、子どもたちが要領の前文にある「豊かな人生を切り拓き、

持続可能な社会の創り手となる」ことが期待されています。

羅臼町のESD推進の足跡を辿って見ますと、知床半島の知床国立公園一帯がユネスコの 指定をうけ世界自然遺産登録となったことがあげられます。このことがき っかけとなり斜 里町と羅臼町の有志が知床ユネスコ協会を発足したことが始まりです。

また、本町の全幼小中高校が取り組む一貫教育は、平成 19年度より町内中学校と北海道 羅臼高等学校との間で進める北海道の連携型中高一貫教育校からスタートしております。

そして、それまでの小中学校教職員で組織する羅臼町教育研究会 を発展的に解消し、少し でも中学校の負担を軽くするためにと平成 24 年からは幼小中高一貫教育研究会として発 足し現在に至っております。

幼稚園から高校までの子どもたちが一貫連続して、心豊かに学 ぶことのできる羅臼町幼 小中高一貫教育研究会を活動母体に、平成25年には、全ての幼稚園、小中学校、高校がユ ネスコスクール登録になっております。また、この年念願でありました持続可能な羅臼の 発展を学ぶための副読本「知床学」が完成いたしまし た。幼稚園児から高校生までがこの 副読本を通して「知床学」という1本の共通の柱のもと、羅臼の子どもたちが、ふるさと を学び、羅臼を愛し、グローバルな未来を拓く人材を育成するものです。子供たち一人ひ とりが自然環境や資源の有限性、地域の歴史を学び、将来などを自らの課題として捉え、

そうした課題の解決に向けて自分ができることを考え実践できるようになりました。毎年、

その成果を町内開催のユネスコスクール研究発表会で地域の皆様に発表をしています。

平成2512月の発表会では、「ユネスコアジアの架け橋」事業で、羅臼高校生 1名がラ オスに訪問することができ、札幌の参加高校生と共に発表会で報告をしています。

平成266月には、第70回日本ユネスコ運動全国大会 in知床が開催され、知床圏(清 里・斜里・標津・羅臼)のユネスコスクールに加盟する高校生による「若者のつどい」に 参加し、環境や国際交流の実践の経験を発表・交流することができました。

平成277月には、知床世界自然遺産登録 10周年を記念する連携事業「第5回国際野 生動物管理学術会議の中で開催される『知床における野生動物の保全と管理 2015』」に、

地元関係者・行政機関とともに高校生が現地視察や議論、タウンミーティングなどに参加

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する機会があり、斜里町・羅臼町の高校生には相当の刺激を与えてもらえることができま した。

平成 28 6 月には、日米両国政府が主催する ESD 日米教員交流事業で、米国各地から 羅臼町にやって来た 10 名の先生方と多くのこども達と教職員が交流することができまし た。10月には懸念であった立教大との ESD地域連携協定調印式が行われ、羅臼町も地域創 生におけるESDの実証研究を通じて持続可能な人材育成および持続可能な地域社会の実現 を町あげての実践を目差すことになりました。11月にはESD推進の手引き研修会が開催さ れました。町内教職員・管理職のための研修であり、ESD が目指すのは、教科等を越えた 教育課程全体の取組みであることを理解していただきました。次期学習指導要領では、す べての教科・領域にSD的概念(持続可能性)が通用・通底していることを学びました。

8 月には、立教大学阿部ゼミの学生さんが夏季合宿で羅臼町に来られ、北方領土洋上視 察や知床の自然を体験し、期間中には小学校・高校生との授業でも交流することができま した。

今年度は、仙台から発祥した民間ユネスコ運動は70周年を迎えました。終戦後間もない 日本で「平和な明日」を信じスタートし、一人ひとりの心の中に平和の種をまき続けた活 動はようやく学校・地域を巻き込み新しい展開を迎えております。今後は、知床ユネスコ 協会との益々の連携を通じて、学校は、体系的な指導計画を万全のものとし、子どもたち は、表現力・判断力・応用力が育ち、持続可能な地域づくりを推進・充実させる人材に育 っていくものと信じております。

また、11月に東京大学海洋アライアンス海洋教育促進研究センターとの海洋教育拠点と しての連携に関する協定を結びました。海に囲まれた知床半島に位置する羅臼町において、

「海と人との共生」という理念を掲げる東京大学の海洋教育は、この度の新学習指導要領 の目指すところと方向性が合致しています。海の豊かな自然に親しみ、海について興味・

関心を持ち進んで調べ、海の利用の実態やその歴史について深く学ぶとともに、海を守る 心を育み、保全の態度を涵養することは、海洋教育を通して子どもたちに育成することが できる大切な「資質・能力」といえます。また、教科等の学習や総合的な学習の時間にお ける学びと関係づけるとともに、地域の人や社会と連携し、そこでの自然や歴史を貴重な 素材として取り上げ子どもたちが学ぶことは、まさに羅臼町における「知床学」の目指す 目標であってこれまで実践してきたことです。

9年間を通した小中一貫教育を実施する「義務教育学校」が道内では開校が進んでおり、

さらに地域を巻き込むコミュニティスクールの導入に向けた取り組みが道内でも急速に進 んでいます。また、昨年度から小中学校・高等学校が取り組むふるさとキャリア教育に道 教委からの指定を受けて推進しており、子どもたちが札幌での「北海道キャリア教育サミ ット」で取り組みの成果を発表しております。

平成 30 年度は、着実な成果をあげている本町の幼小中高一貫教育・ユネスコスクール は、新たに「海洋教育」の要素を組み込み、更なる町内教職員・地域の皆様の積極的な連 携活動により、益々のESD推進の充実発展を目指していくものと思います。

(やまざき・まもる 羅臼町教育委員会 教育長)

参照

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