通訳者養成における時事英語の位置づけ
鶴田 知佳子
はじめに
1. 時事英語を通訳者養成で扱うアプローチの考察 2. 日本および欧米の現状
2.1. 時事英語教育に必要な要素
2.2. 通訳者養成における必要な要素
2.3. 諸外国の大学院での時事英語の扱い
2.4. 日本の通訳学校における時事英語の扱い
3. 東京外国語大学における時事英語の授業運営
3.1. 時事英語運営の目的
3.2. 学部におけるEnglish through mass media の授業運営
3.3. 大学院時事英語の授業運営
4. 今後の授業運営の課題
4.1. 学生の授業メールからの考察
4.2. アンケート調査の結果
4.3. インタビュー調査の結果
おわりに
はじめに
本学において、時事英語の授業を主として通訳者を養成する立場から担当してすでに9年目 となった。来年で10年という節目を迎えるにあたって、あらためて本稿では主として通訳者志 望の学生および最近よく聞くことばであるが「グローバル人材」1)に対応するための時事英語 の授業とはどうあるべきか、どのように考えて時事英語を組み立てるべきであるのかを考察す る。時事英語の授業設計において考慮するべき点を抽出し、本学の学部および大学院で筆者が 教えている授業において、達成できていることと今後改善が必要なことに検討を加える。
通訳者がたずさわる場面は政治、経済、社会のあらゆる側面におよんでいる。異なった言語 を使う者のあいだの交渉のあるところはすべて通訳者の関与する余地がある。通訳者という専
門職に就くためには、時代の流れを把握して社会のニーズに応えていくことが大事であること はいうまでもない。したがって英語の通訳者としては英語力とともに、あわせて広い範囲の知 識が必要である。本稿では、通訳者養成における時事英語の位置づけについて、欧米の大学院、
および日本において大学・大学院より通訳者養成の歴史を古くもつ、通訳学校の例をふりかえ る。そのうえで、東京外国語大学で学部および大学院で現在おこなっている時事英語の授業を 例としてとりあげ、それに対する学生のフィードバックを検討する。本稿ではこのように検討 を加えることで、主として大学・大学院における通訳者養成における時事英語の位置づけにつ いて、参照する材料として利用できるようなアプローチの提案を目的とする。
1. 時事英語を通訳者養成で扱うアプローチの考察
まず、本稿における時事英語の定義をおこなう。ここでは、時事英語とは「ニュースを素材 とする英語の授業」をさす。大学・大学院の授業は通常半期であるので、使われる素材は最大 で半年の範囲であるものとする。
通 訳 者 養 成 で は ど の よ う な 要 素 が 必 要 で あ る の か の 参 考 と し て AIIC (Association Internationale des Interprètes de Conferénce:国際会議通訳者協会)Training Committee担当者 から推薦されたInterpreter Training ResourcesおよびEMCI(European Masters in Conference Interpreting:欧州会議通訳修士課程)のサイトを参照した。Interpreter Training Resources とし て、通訳を勉強する人のために参考になる項目を載せているサイトから、時事英語に関連のあ る項目として以下が挙げられる。
通訳者としての語彙習得を含む外国語学習に関連する理論としてダニエル・ジルの1995年著 書2)から重力モデル(gravitational model)の全文 を掲載、北大西洋条約機構(NATO)
の上級通訳者であるFortisの「B言語強化のため」を論じた論文、語彙検索のためにリーズ大 学のサイトを掲載、パラレルテクストの一例としてアメリカの労働問題についてフランス語と 英語での新聞記事の掲載、イギリスのエコノミスト誌のスタイルガイド、さらに参考文献とし て言語と文化、外国語学習法に資する全般的な文献が挙がっている3)。
EMCIのサイトでは、通訳を勉強する人のためのサイトで、次のような記述がある。‘have a good overall knowledge of international affairs’(国際問題について十分な全般的知識を有するこ と:筆者訳)‘be well-informed of the economic, social and cultural background of the countries in which their working languages are used’(自分が通訳する言語に関連する諸国における経済、
社会、文化的背景知識が十分であること:筆者訳。)ただし、ここで断っておく必要があるのは、
英語がいわば lingua franca(共通言語)になっていることである。英語が母語である以外の 国の報道においても使われていることを考える必要がある。
上記より、通訳者を目指す者が大学院において勉学を行い身につけることを期待されている のは「時事知識」をつけるのみならず語彙を含む「語学力強化」にあることがわかる。Interpreter
Training Resourcesでは英仏の組み合わせ以外にもパラレルテクストが掲載されているが、こ
のようにパラレルテクストの掲載するのは、それぞれの文化において新聞報道のスタイルや表 現の違いにも気付くことを目的としているとの言及がされている。パラレルテクストの例とし て、同じ日のふたつの新聞で、同じテーマがどのように違う表現になっているのか、比較でき るように挙げられている。
「時事英語」を素材として通訳を学習する者が学べることは多い。付言すると、通訳・翻訳 分野と時事英語のあいだの関係が密接なのは、2012年9月8日に開催された第13回日本通訳 翻訳学会の総会において船山会長により、メディア英語学会との連携が発表されたことにも伺 がえる。なお、本稿では詳しく言及しないが報道において通訳・翻訳の行為が介在することに よって、国際ニュース報道の見かたや理解に影響を与えている可能性があることも、通訳者と して意識していなくてはならない点であると考える。
2. 日本および欧米の現状 2.1. 時事英語教育に必要な要素
上記を踏まえて、時事英語の授業のなかで必要な要素を検討する。最初に日本の大学で通訳 者養成を念頭におかない場合の時事英語の授業運営の参考として、日本時事英語学会および名 称変更後のメディア英語学会のウェブサイトおよび学会誌を参照した。日本時事英語学会の第 49 回年次大会での斎藤兆史の基調講演を収録した「 時事英語教材を用いた英語教育」(斎藤 2008)では、次のような記述がある。
時事英語教材は、大体ニュースです。海外のニュースを書き起こしたものとCDのセット、
あるいはDVDにビデオ、それがセットになっているものが非常に多い。(中略)時事英語 は時事問題を扱っており、必ずどこかで内容的に耳にしているので、文脈的に理解がし易 い。つまり、この時事英語のいいところは、もう既に我々はある程度文脈が分かっている という前提が既にして用意されているということです。ですから、学習者は取っ付き易い。
私の個人的な経験で言いますと、授業で色々なニュース番組、ニュース報道のスクリプト、
実際のニュース映像を使いましたけども、英米のニュースを用いるよりも日本のニュース を用いる方が遥かに学生は食いついてきます。自分たちが知っていることですから。
また、実際に自分が授業で使ったこととして、訳をさせる、聞きとり教材として使う、穴埋
めをさせる、同時通訳つきの素材の場合にはその訳の良しあしを学生に問うてみる、あるいは 自分がキャスターになったつもりで物まね発声をさせる、類儀語や慣用表現の練習をさせる、
教材を呈示して語彙を与え、表現を教えてから学生の力の差を考慮したグループ分けを工夫し てディスカッションをさせるなどの教授方法を挙げている。
背景知識については船山(2007)「英語ニュース理解における背景知識の役割」、語彙につい ては中篠・長谷川(2003)と時事素材を使って学習方法を検討するもの、読解についてのもの
(水野1983、吉田2011など)、異文化理解についてのもの(石川1995)、新聞をさまざまな形
に利用する総合的な方法を述べたもの(松浦2008、Bharani 2011)などがある。
教員が個々の時事素材を探してこなくても、英語教材の出版点数は多く、2007年の点数につ いては大学英語教材の時事英語教材として出版されているものが146あり、そのうち2007年の 新刊が25であった(斉藤2008)。このように時事英語を学部、大学院レベルで教えようとすれ ば、刊行されている教科書を用いて日本語でほとんどの講義を行うことも可能である。大学、
大学院レベルでどのような時事英語の授業が行われているのか、総合的に検討したのではない が筆者の個人的経験から、前任校で時事英語を担当していたときも、教科書を決めて網羅的に あがっているトピックから順番に一つ一つ記事を毎週の授業で学習し、セットになっている音 声を聞かせてリスニングをさせて、新出語彙を覚えさせ、単語テストを行い、新たに覚えた表 現を使って英作文をさせるなどの総合的な英語の授業を行っていたが、教室内における使用言 語は主に日本語であった。
要素として何を時事英語の授業で教えたいとしているのかについて、抜き出してみると、時 事(背景)知識、語彙、文法、リサーチ能力、論理的思考能力、異文化理解があげられる。背 景知識を理解するには歴史・地理・文化を含んだ一般常識を習得する必要がある。固有名詞を 含む語彙力は、常に理解の要である。新聞では見出し、リードの書き方などに特徴があり文法 的にも見出しは冠詞を入れない、現在形で書くなど特殊な場合があるが、それを含めて報道文 のスタイルなど、文法の面でも理解力が必要となる。リサーチ能力は、個々の記事の内容を理 解するためにもさらに情報を検索する際にも用いる。論理的思考能力はそれぞれのニュースが そもそもなぜニュースになっているのか、何を伝えようとしているのか、メッセージを読み解 く力のために入用であり、これは異文化理解とも関係がある。外国の報道を読み解くには前提 となっている文化の前提がわからないと文脈がとらえられない場合があるからだ。
図1 時事英語の授業運営の二つの軸
授業を運営する上で、英語力強化と時事知識習得のための授業中に行う訓練としてどのよう な軸が必要であるかを整理したのが図1である。横軸に、英語力を強化する場合の運営は英語 のみを左側に、訳出など英語だけでなくて日本語を使う場合を右側の極とする。縦軸には、教 材をもとにした language-focused な授業運営をおこなっている場合を下に、meaning-focused な授業運営を行っている場合を上とした。四つの象限に分けられるが、右上から時計回りの方 向に、I英日両方の言語を用いて意味に焦点をあてる:例えば英語の教材を日本語で要約する、
II 英日両方の言語を用いて言語に焦点をあてる:例えば英語教材で語彙リストを抽出してその 和訳を覚える、III英語を用いて言語に焦点をあてる:テクストに出てくる英語のイディオムを 用いた英作文、 IV 英語を用いて意味に焦点をあてる:例えば記事をもとにディスカッション を行う、などとなる。通訳養成を考える場合には、意味に焦点をあてる演習となることから、
IないしIV の象限にあてはまるものと思われる。
2.2. 通訳者養成における必要な要素
次に通訳者養成の場合にはどのようにこの枠組みがあてはまるかを考えてみよう。通訳者の
役割とは、「生の意見交換・討論を、異なった言語話者の間でもその場で成立させることにある」
4)このような能力をつけるために必要なコンピテンスは何か。稲生・染谷は「異文化コミュニ ケーションにおける通訳教育の枠組み」のなかで、コンピテンスは言語L、知識K、通訳スキ ルSの三つの軸であると述べている。ここでも言語能力のみならず背景知識が必要であると認 識されている。さらに六つのコンピテンスが必要であるとして、1)二つの言語にまたがる文 法能力および言語運用能力、2)二つの文化にまたがる、非言語的要素を含む語用論的能力、
3)二つの言語にまたがる談話(=テクスト)処理能力、4)通訳者としての方略的能力(一 般的方略能力+通訳スキルとしての認知・情報処理方略および訳出方略)、5)情報ギャップを 埋めるために必要な情報収集・調査能力、6)各専門領域にかかわる背景知識、として背景知 識をその一つにあげている。
通訳者養成を大学・大学院ですでに1940年代から行っているヨーロッパの例を中心にどのよ うな要素が通訳者養成で扱われているかを検討する。まずは通訳養成プログラムについてポェ ヒハッカーの「通訳学入門」(Pochhacker 2007: 216)より目的とされているところを引用する。
1940年代以降に設立された通訳者養成コースの大半は、ほぼ同様のカリキュラム構成をと ってきた。言語とコミュニケーションに関する基本概念、言語能力の強化(専門用語など)、
「地域研究」(社会文化的背景知識)逐次通訳や同時通訳のスキル訓練、そして職業倫理 である。会議通訳者養成では国際機関やそこで使われる専門用語に焦点を当てるだけでな く、法律、経済、科学、技術など専門的なテーマも、起点言語テクストの選択により明示 的もしくは間接的に扱う。(鳥飼訳)
ダニエル・ジルの「通訳翻訳訓練」(2012:106-107)によると、第四章の通訳・翻訳における 専門的談話の理解のところで、理解の方程式として次のような基本の方程式をあげている。
C = KL + ELK
理解は、言語についての知識と言語外的知識からなる、またこの二つは相互補完性があるとし ており、背景知識の必要性がここでも示唆されている。
もう一点、ジルの主張するところから引用すると、Interpreter Training Resourcesのサイト でも引用されていたGravitational model (重力モデル)という通訳力モデルでは、LC(言語の構 成要素 Language Constituents) の相対的可用性として、中心核から軌道までの距離が可用性を 表すと呈示されている。このモデルに基づいて、「科学的な根拠に基づいた法則ではなく、推論 である」としているが、五つの規則が示されている。
規則1)遠心性の原則 刺激を受けないと LC は外へ向かう傾向があ る
規則2)刺激の求心性効果 LCは刺激を受けると中心に移動する傾向があ る
規則3)刺激頻度と求心性効果 LCが刺激を受ける頻度が高ければ高いほど求 心性効果は大きくなる
規則4)求心性効果における能動的刺激と受 動的刺激の違い
LCへの能動的刺激は受動的刺激より急進的効 果が大きい
規則5)エスコート効果と干渉効果 LCの求心的移動は、関連するLCの求心的移 動を引き起こす
表1 ジルのモデルによる5つの規則(Gile 2012:289 より筆者によるまとめ)
上記から、導かれる結論として訓練教材(文書、生または録音のスピーチ)は、関連性のあ るLCを多く含むものが望ましい。ジルは、「この点から言えば会議の録音やテープ起こし原稿 は、もともと関連性が完璧に高いので理想的である」としている(Gile 2012:303)。また「興味 深いことに、教材に対しての考えは欧米とアジアでは異なっている。アジア、特に中国では、
重要な語句や構文、標準的な慣用句やサンプルスピーチを収録した教科書がよく使われる。欧 米の指導者は録音したものや、最近の話題を扱っていないもの、つまり『本物』でないスピー チは使わない傾向がある」とも指摘している。とはいえ、「指導経験と実務経験に基づき、細心 の注意を払って作られた教科書であれば、典型的なスピーチにおいて重要性の高いLCを多数 含んでいるので、学習者はそのLCを完全に習得すべく注意を集中させることができる。授業 で聞く生のスピーチから無作為にLCに出会うよりも学習効果は高い。学習者たちが直面する 多くの困難や頻繁な失敗は、言語可用性に問題があることで説明できる」(Gile 2012:304)と も述べている。
このことをあてはめると、時事的な言語知識についても当然ながら素材を繰り返して学習す る機会が多いほど、指導者が学習者に定着を促したいと考えている、ジルがいうところの LC が強化されて、言語の運用力が着実に定着する可能性も高いことが示唆される。
2.3. 諸外国の大学院での時事英語の扱い
上記のことを念頭におきつつ、アメリカ、ヨーロッパ、アジアで主として大学院における通 訳養成課程でどのように時事英語が扱われているかを、関係者への電子メールによる問い合わ
せで調べてみた。アメリカのモントレー国際大学院では時事英語が単独のクラスとしては開講 されていない。Public Speaking, Editing, Writing, Accent Reductionなどの授業はあるものの、
時事英語に該当する科目はない。もっとも逐次通訳の授業で、時事問題に関する単語テストが 毎週行われ、それとともに逐次・同時通訳授業で扱う題材で時事問題を扱っている。あるいは モントレー国際大学院の通訳以外の学部例えば国際関係学部などの科目を履修して、時事知識 を補う可能性はあるが、単独の授業として通訳専攻学生のための時事英語の授業は設けられて いない。
パリ第三大学通訳翻訳高等学院(ESIT)では時事英語と題した授業はないがperfectionnement
d'anglais (英語力の完成)という授業があり、ここで時事英語を含む英語力強化を扱っている。
また methodologie (方法論)等の授業で The Economistの記事が要約、内容の迅速な理解等 の演習をするために頻繁に用いられている。サイトトランスレーションの演習でも The
Economist を始め、新聞や雑誌の記事が使われている。ESIT入試の一次試験は 多肢選択式筆
記試験で、この段階ですでにThe Economist の記事が試験問題として使われており、時事問題 について基本的なことがらは英語で一通り理解できることが入学条件だと言える。外国語力そ のものの強化については、小説などを読むことも奨励されている。
イギリスのリーズ大学通訳翻訳大学院の場合には、英語が母語話者でない学生のために英語 力強化を目的として全般的な知識を身につけるための授業が開講されている。それに加えて、
時事問題を題材にしてスピーチを行う授業が開講されている。
パリ第三大学と結びつきの強い韓国の韓国外国語大学では、修士課程一年のときにアメリカ 人の教員による時事問題を素材に扱うパブリックスピーキング、英文ライティングとディベー トなど英語力強化の授業が設けられている。その他、時事問題を素材として逐次通訳、同時通 訳の演習を行っている。学生のあいだでは、英語ネイティブの教員による授業よりも通訳演習 の充実、あるいは英語強化の授業も通訳者による開講を希望する声があがっているという。
台湾師範大学大学院の通訳教育課程では、時事英語を単独の授業として組み込んではいない が、全般的な背景知識を得る必要は認識されている。また特に公式の場面で話される英語力を 強化することが逐次通訳や同時通訳の通訳演習の留意点となっている。修士一年生には The
Economist を用いて授業を行っている。修士二年生については二人の専任教員がそれぞれ違う
通訳演習を担当しているが、そのふたりであらかじめ、半期ごとの学期の授業でとりあげる四 つの分野を相談して決めている。たとえば高齢化社会、貿易と金融、環境問題と情報技術が2012 年前期の分野としてとりあげられた。分野別に教材をストックしておくことで、各分野を網羅 するときに質の良い教材を繰り返し使うことが可能となり、さらに学生には4週間それぞれの 分野を予習する時間が与えることができる。この2年間とってきた方法であるが学生の反応は
良いということである。
2.4. 日本の通訳学校における時事英語の扱い
日本では大学・大学院における通訳者養成課程ができたのは大東文化大学において1995年に 設置されたのが初めてである。その後2002年に神戸女学院大学また本学において通訳修士課程 が設置された。それまで民間の通訳教育専門学校が日本における通訳者養成の主な担い手であ り、今も大きな役割を担っている。上記と同じく電子メールによる関係者への問い合わせおよ びウェブサイトでの記載によって、時事英語がどのように扱われているのかを調べた。もっと も古くからある通訳エージェンシーの一つサイマルインターナショナルが運営するサイマル・
アカデミーの通訳の授業では教材(音声)として会議や、スピーチ、対談などから取ったビジ ネス、国際関係、環境などの問題が頻繁に出てくる教材を用いているのが、何よりの時事英語 の勉強になっているという。サイマル・アカデミーでは、創設時の1975年から1995 年頃まで
「時事英語」を通訳コース、英語コース共通の授業として英字新聞記者が行っていたことがあ るが今は行っていない。英語コースではTEFLの一環として、"current(affairs) English" とし てネイティブの講師が今でも担当している。サイマル・アカデミーの通訳コースは、通訳演習 が中心であり特に上級では会議の現場から取った教材を用いている。半年に一回の割合で、金 融問題と医学用語の一回だけのワークショップを行い知識の補足を行っている。時事問題に関 する知識が通訳者にとって必要なのはいうまでもないが知識習得は通訳訓練の形で演習として 行うのが一番良いとの考えである。したがってジャーナリストなどの「専門家」が教えるので はなく、現役通訳者が現場とつながりのある教材を使って時事問題に対して学生に「主体的な 関心」を持たせるのが大切であるという。
インタースクールでは、明示的に「時事英語」と銘打っている講座はないが、授業の内容で 時事英語を中心的に扱う講座として「放送通訳コース」と「Reading and Listening Workshop」
があげられる。両者ともに現役の放送通訳者が講師をしている。分野別の知識強化については、
通訳演習で扱う教材の分野が教材のテーマであるが特に学期毎に設けているものはなく、一学 期に扱う教材の中に、政治、経済、文化、環境、IT、経営者のスピーチなどさまざまな分野の ものを集めている。語彙力強化においては、かつては講談社刊の「ジャンル別 トレンド日米表 現辞典」を使ってテストを行っていたが、今は独自の単語集を用いている。「時事英語」の扱い としてはニュースの英語(CNN、BBC、NPR など)を副教材としているが、担当する講師の 判断により使用しない場合もある。
アイエスエスでは、担当している現役通訳者の講師が通訳演習で扱う素材のなかに時事英語 が適宜含まれているほか、ウェブサイトをみると入門科と基礎科のcourse descriptionに「時事
的な」知識を身につけるという目が掲げられている。
日米会話学院では、英語の授業の一環として時事英語の授業が明示的に「時事英語・ディス カッション」のカテゴリーがあり通常はリスニングとディスカッションが主なアクティビティ になっている。ほとんどがネイティブの講師による英語での授業で、リスニング もディスカッ ションも英語のみで行われている。通訳のプログラムでは講師によって英日の通訳でニュース 番組や特別番組等を素材として使用することはあるが、時事英語という形での一貫した授業は ない。だが、講師によって、「上級時事英語」の英文和訳をForeign Affairs等の記事の 口頭和 訳などの形で取り入れている場合はある。時事英語を用いた日本語から英語への通訳に関して は、日英同時通訳の授業ではテレビの時事問題解説番組や国会中継を素材に用いており、例え ば「ねじれ国会」、「決められない政治」など日本語の時事問題用語の英語への訳出指導を徹底 的に行っている。
NHK国際研修室は通訳・翻訳者として優秀な人材をNHKに送り出すことを目的に作られた 学校であり放送の世界は、現実に動いている社会現象を相手にしているところから、毎日、時 事問題を扱っており、従って研修室の教材のほとんどが時事英語である。コースによっても異 なるが、3~4のテーマが決められており例えばあるコースは、「アメリカ大統領選」、「領土問 題」、「ヨーロッパの経済問題」を扱う、別のコースでは、「原発」、「中東問題」、「医療」等を扱 うなどとしている。さらに現役通訳者である各講師が独自に時々の問題を授業で扱っている。
テーマが決められているので、受講生がそれぞれ単語集を作り単語集は宿題として講師に提出 することになっている。個人によって分量はノート1冊の場合もあり数ページしかない場合が ある。更に、講師による用語解説も行われる。人によって、得意分野が異なるため、ページ数 の多さだけが力がついたかどうかを示すのではないが期を重ね、様々なテーマを扱うことで、
通訳者としての語彙力が形成されていく。
時事英語はあいまいな表現が許されないことも多く、上級者のコースでは英語力だけでなく高 度な日本語力も要求され、日本語についても厳しく指導が行われている。
以上を総合すると、通訳(語学)学校のアプローチは大きく二つに分かれる。一つは素材と して通訳演習のために時事英語を使っているというタイプである。逐次もしくは同時通訳の素 材として時事英語を使っているという意味では、ほぼすべての教材が時事英語と言いきってい るNHK国際研修室のような例がその典型である。NHK国際研修室では会議通訳者養成を行っ ているがNHKの放送における放送通訳者を養成するのが主眼であることから、予想されるこ とでもある。その際に一部の学校のように学期により、あるいは講師によって扱う分野を限定 して、集中的に語彙力や表現を身につけることをさせているというものもある。もうひとつは、
英語力強化の手段としてパブリックスピーキング、ディベートなどのために時事英語を取り入
れているという例である。この点では、上記の諸外国の大学院の英語力強化の例と共通する。
単独の授業として時事英語を設けているという例のほうが少なかった。この点も、上記の大学 院の場合と似通っている。このことから、単独の授業として通訳者養成において、しかも通訳 者が担当する時事英語を設けている本学の例はむしろ少数派であることがわかった。以下、詳 述し検討を加える。
3. 東京外国語大学における時事英語の授業運営 3.1. 時事英語運営の目的
あらためて本学の時事英語の授業運営において求められる点を検討し、三つの目的1.時事 知識、2.語彙知識、3.ニュースを見る習慣形成が必要であるとの認識に至った。理由は以 下のとおりである。
通訳者の役割とはその場におけるコミュニケーションを成立させることにあるが、意味をと らえるというのは、その場で何をいわんとしているのかを的確にとらえるという背景知識があ って可能となる。通訳者は時事問題についても常に的確な情報を得ていることが求められる。
通訳者の仕事は多岐にわたるテーマを扱う。あらゆるものを対象とするという点では総合商社 と共通するところがあるが、総合商社が扱う内容を一昔前は「ラーメンからミサイルまで」と 言った。最近では「ミネラルウォーターから通信衛星まで」あるいは「ナノテクから宇宙衛星 まで」という言い方がされている。
昨今の大学生をみると、新聞を読まないということが少なくない。自宅で新聞を購読するこ とが減ったこと、一人暮らしであるとそもそも購読をしていないこと、パソコンでニュースを 検索してみるものとの習慣になっており、さらにパソコンよりもむしろ、携帯で話題になって いるニュースだけを特定して検索するだけの場合が多いようである。ニュースを系統だってみ るとまではいかなくても、興味をもってみられるようにするというのをまず、大きな目標とし て掲げたいと考えた。学生には英語力の強化という側面においても時事英語の材料を与えるこ とは有益である。語るべき内容を時事問題についての知識ということで、適宜教員のほうから 与えるのは学生のレベルを十分に考慮して行うべきであるが、学生に自分で興味のある記事を 探して読むようにと言うレベルに達しているのでない限り、教科書を利用するというアプロー チも有用である場合も考えられる。テクストが決まっている場合には、時事英語の授業運営は 主として、ニュース記事の構成はどうなっているのか、記事のリードセンテンスはどう書いて あるのか、記事に出てくる内容の理解、語彙の強化、構文の理解などの勉強をすることに主眼 がおかれていた。
ひるがえって主として通訳を勉強する学生の場合には、実際に通訳をするようになれば、ス
ピーカーの話し方のくせをつかむことや取り上げられているテーマの取り組みやすさなどが通 訳パフォーマンスに反映されることがあるが、日ごろから最新の話題も含めた様々なテーマを 意識して幅広く基礎的な力をつけ、どんなスピーカー、またどんなトピックであっても常に一 定以上の質を安定して保てることを目標に取り組まねばならない。しかし、学生自身が興味を もってニュースを見るようにして、フォローするようにする、さらにニュースならではの特定 の形式、用語のつかいかた、英語についてもなじみがあるようにしたい。そのためには基本的 となる語彙力が必要である。
3番目に掲げたニュースを見る習慣形成が必要であると考えるのは、本学における通訳コー スのなかで育成される人材像が卒業後に全員が通訳・翻訳専門職につくのではないということ も鑑みてのことである。広い意味では「グローバル人材」として社会に巣立っていく上で、何 が時事英語の知識として肝要であるのか、的確に示すと思われる部分を引用する5)。
英語で話が通じるとは、単純に会話をする言語を英語にするだけではない。日本以外の国 籍の人と英語で話すとき、前提となる情報やものの見方が日本人にしか通じないものであ れば、どんなに英語がうまくても、会話が成立しないだろう。通じる英語を話すためには、
CNNなど海外のテレビ番組を見たり、インターネットの英語ニュースを読んだりすること で、日本以外の人たちが前提としている情報源を共有することが不可欠になる。このよう に情報を得ることで、日本人以外の人々が世界の状況をどのように見ているのか、どのよ うな情報に接して暮らしているのかが自然と理解できるようになり、グローバルな視座を 持てるようになるだろう。こうなれば、日本人の特殊なニーズだけしか知らないために、
それに閉じた製品やサービスしか開発できず、世界市場で売れない「ガラパゴス化」現象 も自然と回避されるようになるだろう。
上記からわかるように、時事問題についてのグローバルな視座、すなわち前提となる情報や ものの見方として日本以外の人たちが前提としている情報源の共有は重要である。世界の状況 をどのように見ているのかという視点を共有し、どのような情報に接して暮らしているのかと いう理解をするには、まず時事問題の報道にふれる習慣を身につけるのが重要である。世界情 勢についての基本的な知識を身につけて、さらに基本が理解できたうえでも日々新しく知識を 更新していくことが求められる。筆者は「よい習慣は才能を超える」という信条から習慣を身 につけるということにかなりの重きをおいている
以下、それぞれの授業での運営方法を示し、素材を紹介して授業をふりかえり、次の4にお いて学生アンケートやそのほかの意見とともに検討することとする。
なお学部については、海外の大学で単独の授業の例として扱っているという例を聞くことは なかった。日本の大学の学部レベルとしては上智大学とICUについてウェブサイトの情報と担 当者から聞いた限りの情報ではあるが、上智大学では外国語学部英語学科の授業として通訳者 をめざす学生だけではないがDiscussion in Contemporary Issues という時事問題について英語 でディスカッションをするネイティブ英語教員の授業がある。通訳クラスについては大学での 講演会などその年に行われた時事問題にも関連する素材を使っているということである。ICU については学部の3・4年生向けの通訳の上級クラスで逐次通訳、同時通訳両方ともに時事英 語素材が多く用いられている。
3.2. 学部における English through mass media の授業運営
学部での時事英語の授業は、特化生向けであって筆者が担当している期間を通じて、受講人 数はほぼ数名から10名のあいだであった。English through mass media では、通訳者および国 際公務員を志望する者にとって必須といえる時事問題や政治・経済・社会についての背景知識 の習得を図り毎回、次の三つを行っている。
1. 担当者が指定する記事を予習し、記事の内容に関する単語テストを授業の最初に 行う
2. 各自が一週間のあいだで気づいた新聞、テレビのニュースの中から最も印象に残ったもの について、数分で発表を行う。
3. 上記1と2についてのディスカッションないしディベートをおこなう。
期末テストは、各自が問題意識をもった時事テーマについて、7 分検討のスピーチを行い、参 加者全員でスピーチジャッジシートを用いて、評価をしている。学部学生が授業で記事を取り 上げ、ディスカッションをすることで、幅広く世界のなかでおきていることに関心をもち、英 語で意見をいえるようになることを目指している。
前期にとりあげた素材は以下の表のとおりであった。
1. The Council on National Strategy and Policy kantei.gov. 4.9.12 2. Sony To Cut 10,000 Jobs As Part Of New CEO’s Overhaul CNN.com 4.9.12 3. Washoku on World Heritage menu? What’s needed to put
something on the World Heritage list?
The Daily Yomiuri
4.7.12
4. Japan-like fertility rate, aging population pose threats to China the Japan Times
The Japan Times
4.7.12
5. Much Fodder for Obama at White House Journalists’ Event the New York Times
The New York Times
4.28.12
6. Exporting culture via “Cool Japan” The Japan
Times
5.15.12
7. The worldwide triumph of English Choose the English that helps you win
The Japan Times
5.23.12
8. Nissan poised to sell green-vehicle credits The Japan Times
5.30.12
9. The hollow men The
Economist
6.9.12
10. Zen and the art of carmaking The
Economist
6.16.12
11. Abacus to ATM The
Economist
6.23.12
12. No easy answers for broke Stockton, Calif. California’s Greece cbs.com The Economist
6.26.12 6.30.12
素材は、扱っている題材や地域が多様性に富んだものとなるよう、配慮している。例えば、
環境・政治・経済・ITなどとテーマが多岐にわたり偏らないようにすること、地域が欧米ばか りのニュースにならないようにと配慮している。さらに、メディアの形態も新聞だけでなくて、
テレビのニュースのスクリプトもいれている。国もアメリカと日本の英字新聞だけでなくて、
イギリスやほかの国も入れるように考えている。
地域としては、1.日本、2.日本、3.日本・アメリカ、4.日本・中国、5.アメリカ、
6.日本 7.日本・世界、イタリアの例、8.日本・アメリカ、9.日本・アジア、新興国、
10.日本・アメリカ、11.ロシア、12.アメリカを念頭に全体においてバランスがとれるよう 考慮している。
この結果素材は、上記にあげたように経済のみならず政治、環境、金融(銀行業)自動車産 業、財政(アメリカの地方財政破綻)クールジャパン、世界遺産登録などの政府の施策、大手 企業のリストラの話しなど産業政策、経営政策、グリーン車開発の経営策、英語をイタリアの 大学も全面的に使うこととしたなどの言語政策、アメリカで大統領選挙が注目される折のオバ マ大統領のホワイトハウスでの記者を招いての夕食会、ロシアで共産主義でなくなってから成
功している資本家主義的な貯蓄銀行などがあがった。評価方法は学部、大学院ともに共通であ るが、単語テスト20%、出席・授業参加40%、最終課題40%としている。
なお、毎日授業中に授業を通して問題となった点についてあらためて授業のなかで課題とし て指定し、授業レスポンスメールのかたちで2日以内に教員に送信することとしている。単語 テストは、毎回記事のなかから日本語で10個、英語で10個単語ないし表現を選んで、記事の 文脈に即したかたちで訳語を学生に書かせる形で行っている。単語がどこから出題されるかわ からないため、学生はわからない単語や表現をよく調べてから授業にのぞむこととなる。
授業の時間配分は毎回、冒頭で単語テスト、そのあと各自の今週の記事の発表とディスカッ ション、それに引き続いて教員が与えた課題についてのディスカッションないしディベートで ある。英語で話すことに主眼を置いている。
一学期の授業の例をふたつあげる。3回目の授業では和食の世界遺産登録について、アメリ カ人女性の視点から和食が登録されるのであれば、アメリカ食も世界遺産の登録対象になるの ではという主張の記事をとりあげた。そのなかでHostess Twinkies というスポンジ記事のお菓 子が出た。このような場合には授業中に検索していっしょに画面でどういうものであるのかを 学生といっしょに確認している6)。後日、オバマ大統領がオハイオ州遊説中に農業産品フェア をおとずれたとき、ミシェル夫人から’What did you have?
Fried Twinkies?’ (この菓子をさらに油で揚げたもの)と呼びかけられる場面がニュースで放 送された。そのくらい、一般に浸透しているお菓子でもある。
7回目の授業では、World Triumph of English として、イタリアのミラノにある工科大学で すべて授業を英語で行うとの決定を伝える記事をとりあげ、その是非を議論した。ニュースを みる習慣形成においては、毎回学生が注目した記事についても授業中に時間をとってディスカ ッションすることで、毎週ニュースを意識的に追うように促している。学生がもってきた記事 のなかでは、例えば男女別学のメリット・デメリット、環境にやさしい車の開発、などの記事 をとりあげた。最後のプロジェクトとしては、一人が中国の民主化、一人が大体エネルギーの 開発というテーマでプレゼンテーションを行った。
3.3. 大学院時事英語の授業運営
大学院の授業では、通訳コース以外の学生が通常4-5名、通訳コースの学生が5名から10 名のあいだ受講している。専門分野に特化してニュースを探してくる学生もいるが、それは専 門分野の研究との関連も考え、毎回多様なものを選ぶように強制はしていない。毎週必ず、各 自が興味をもった英語の記事についてのリポートを提出させている。学部では口頭での発表で あるが、大学院では以下のように、必ずレポートの形に書かせている。前期・後期を通じて毎
回、各自が一週間の中で一番印象的であった英語の記事(新聞、雑誌、テレビの報道などのウ ェブサイトに掲載されたもの)を選び、A4一枚程度のレポートを出すものとしている。記事は 必ずプリントアウトの上、コピーを A4 サイズの紙に片面印刷してつけ、リポートは以下の項 目について、日本語で書くこととしている。
記事の要約(5-10行程度)
キーワード5つ程度、および訳語
なぜ、自分がその記事に興味をもったのか
授業では、一週間前に次の授業でとりあげる記事を指定する。前期は日本語の記事、後期は 英語の記事を読む。内容について、前期は日本語の記事を授業中に英語で要約できるように、
後期は英語の記事を日本語で要約できるように準備をしてくることとしている。
期末レポートは、前期・後期とも、各人が興味をもっている時事テーマをひとつ選び、複数メ ディアがその問題についてどう報道しているのか、の比較レポートを提出することとしている。
毎回、授業の最初に10分程度、指定された教科書「1100Words You Need to Know」(Barron’s)
から1単元ずつ単語テストを行っている。この教科書を使っているのは、一週間で20単語をあ るテーマのストーリーに沿って例文を呈示しながら効率よく学べる工夫がされているものであ るからである。単語テストは、毎回20単語の中から10単語を選んで、文章の中の穴埋めとし てその単語の日本語の訳語を書かせるようにしている。
授業の最初に各学生が書いてきたリポートを回収し、単語テストを行い、そのあといちばん 多くの時間を使うアクティビティとして、指定した記事の要約を行う。学生はあらかじめどこ があたるかわからないように、毎回ランダムにあてるが一人必ず一段落はあたるようにしてい る。素材はしたがって10数段落以上のものを担当者が選んでいる。前期は日本語の記事を選び 英語で要約させる、後期は英語の記事を選び日本語で要約させることとしているが、授業運営 の大きなテーマである「世界を日本に伝える、日本を世界に伝える」ことができるようにする ために、まずは日本語で日頃読んでいる記事のほうが学生になじみがあるものであろうことか ら、前期には日本語の記事をとりあげている。
また、指定記事のほかに、受講生の提出するリポートを2名程度、教員が選びそのリポートを コピーして配布し、当該学生が発表をしている。
評価方法は前述のように学部と共通で単語テスト20%、出席・授業参加40%、最終課題40%
である。またこれも学部と共通であるが、出席と授業参加の一環として、授業中にどの題で書 くかを指定し2日以内に授業レスポンスメールの提出を義務付けている。例えば、見出しの付
け方を工夫するようにということで、小見出しを英訳して出すようにと課題を出した。授業中 に問題になった点、たとえば主語の立て方が難しい文章があった場合、関係代名詞の使用が望 ましい文章が素材にあった場合には、あらためてどう処理すればよかったか復習して書いて出 させるなどに授業レスポンスメールを利用している。
前期の素材として担当者が選んだ記事は以下のようであった。素材は、基本的に日本をめぐ るものとなっているが、日本の現実を広く世界に英語で伝えることに主眼がある。さらに、そ のテーマについて外国の英語メディアがどう報じているか、また日本の英語メディアでどの程 度の情報発信がおこなわれているか、を検証する狙いもある。授業中に、記事を一段落ずつ学 生が英語で要約をおこなうときには訳出するというよりも内容を伝えるようにという指示を出 していたが、結果としてすでに外国メディアあるいは日本の英語メディアが伝えている記事が あった場合には、ほかの記事を参考にしていた例もあった。また全部を書き出して読み上げて いる例もあった。どのように英語で表現するのが適切かについては、担当者がその都度授業で コメントした。また最後の素材については全員に訳出を書いて提出させ、担当者のモデル訳も 配布した。
1. 「日本の教育システム改革」 朝日新聞 12.4.10 2. 「ソニー人員削減」 産経新聞 12.4.10 3. 「日本の人口」 読売新聞 12.4.18 4. 「和食の世界遺産登録」 読売新聞 12.5.01 5. 「日銀 量的緩和」 読売新聞 12.4.28 6. 「消費増税を国際公約の野田総理」 産経新聞 12.5.19 7. 「人民元市場先行狙う」 日経新聞 12.5.27 8. 「ミツバチ農薬で消えた」 読売新聞(夕刊) 12.5.31 9. 「原発事故、20年後も7000人帰れず」 産経新聞 12.6.10 10. 「日本製が消えてゆく」 日経新聞 12.6.12 11. 「結婚産業」 朝日新聞 12.6.22 12. 「津波の記憶」 朝日新聞(夕刊) 12.6.30
学生の持参した記事で授業内に学生に発表を求めたものについては参考資料2に示している。
それぞれの回において、担当者が選んだものと重ならないように選んだ。毎回、そのときの世 相だけでなく学生の個性が反映されるものとなっていた。
一学期の授業の例をふたつあげる。8回目のミツバチが急激に減少する問題については、2
年前に CBS イブニングニュースがとりあげたアメリカでのミツバチの大量突然死のニュース を授業中にみせて、日本語の素材との比較検討をおこなった。原因は日本の場合は農薬が疑わ れ、アメリカの場合には微生物や栄養不足が疑われているということで違ってはいるものの Colony Collapse Disorder (蜂群崩壊症候群)という状態を示す専門用語は共通するなど、問題の 本質について理解するうえで、役立った。可能な限り、複数メディアで同じ問題を扱っている 場合には入手できればきわめて有用である。11回目の結婚産業を扱った記事では、小見出しを どう英語で表現するかを考えてくることを授業レスポンスメールの課題とした。「派手じゃなく ても幸せ挙式」「お金かけない 有名ホテルで写真撮影 こだわり実現」をそれぞれ、どう英語 見出しで表現するのかを考えさせた。リズムがあり、情報を的確に、簡潔に表現することを学 生は皆よく考えてさまざまな訳出が提出された。このようにそれぞれが考えその結果を検討で きるところに、授業として運営している意義がある。Simple but Happy Wedding, Low budget- but with Prestigious Hotel Photo Ops- Emphasis on Individual Needs を、筆者の判断でいちばん よい訳として選んだ。なお12回目の授業は最後のまとめとして教員を含む全員が全訳をつくっ て配布をした。東日本大震災でおきた津波の被害をどう歴史として記憶していくのか、をとり あげた記事であるが、日本の抱える大きな課題として適切なものであったと考える。
学生が最終課題の発表として選んだテーマは以下のようであった。イスラーム教と女子スポ ーツに関する報道~2012年ロンドンオリンピックを例に~、尖閣諸島問題、尖閣諸島購入問題 に関する各国の報道比較、日本とロシアの間の北方領土問題、大飯原発再稼働についての各国 メディアの取り上げ方について、橋本徹大阪知事の入れ墨職員取り締まり騒動についての日本 と海外英語メディアの反応の比較、2011 年 12 月の真珠湾攻撃の日についての報道比較、3.11 原発をめぐる報道、日本の原子力発電問題に関連した記事の比較、消費税増税について、米国 の新アジア太平洋海軍戦略、となっていた。
4. 今後の授業運営の課題
4.1. 学生の授業メールからの考察
時事英語の授業運営について、達成できたこと出来なかったことについて、三つの方法によ り検証をおこなった。一つは学生から通常授業が終わったあとに出させている授業レスポンス メール、二つ目は学生に対して行ったアンケート調査、三つ目は学部、大学院の授業それぞれ について、学部はTA二名、大学院は教員経験のある社会人学生二名とのインタビュー調査で ある。アンケート調査項目は参考資料3、インタビュー調査項目は参考資料4として巻末に掲 げている。まず、学部および大学院の授業メールからの主だった意見を以下に挙げる。
学部生の授業メールに多く挙げられた意見としては、1.授業でとりあげられたことで知識
として身に付いた、2.あらためて通訳・翻訳の存在についてニュースが発信されるときにも 大きな関わりがあると気付いた点、3.単語テストも含めて語彙力を増強することが大切であ ると学んだ点、4.英語を話す上でどのようにしたらわかりやすく表現できるか、など英語表 現について考えるきっかけが多く得られたとの意見が多かった。
時事知識として学生に印象が深かった例としては、ヨーロッパの債務問題、オバマ大統領が ホワイトハウスで記者を招いて開催した夕食会の際のスピーチ、日本についてもクールジャパ ンとして外国メディアがとりあげた話題であらためて気づいたことなどが挙げられた。
授業メールに多くあげられた大学院生の意見では、1.英語で要約するうえで日本語の記事 とは違う発想が必要であると学んだこと、2.他の学生の訳から学ぶことが多かったこと、3.
一つのメディアで伝えられていたことだけで全てであると思わないようになったこと、4.毎 週の課題設定にはじまり授業の予習、復習、単語テストのサイクルが決まっているのがよかっ たことなどが挙げられていた。単語テストで毎回満点をめざしたい、など好成績をあげたいこ だわりも強く感じられた。
特に英語で要約する上での工夫として、授業の最初の頃、英語の記事においてはまず主語を 明示する必要があること、を学び、日本語では必ずしも明らかでない単数なのか複数なのか、
時制が過去なのか現在なのか、日本語からでは判断がつかない場合にはリサーチをして特定す る必要性があったことが挙げられた。もととなる日本語の記事についてもジャーナリズムで伝 えられるのは「個々人のフィルターを通ったことばであること」を自覚した、英語で表現する には直訳では伝わらないと自覚した、という意見があった。2の他の人から学ぶということに 関連して、訳出には実際に幅があることに気付いたという意見があった。「世間では、翻訳とい う作業に翻訳者による相違は表れず、誰が訳しても似たようなものという先入観を持っている かもしれないが、実際には人によって表現のしかたはもちろん、重点のおきどころも違い、は からずも個性が表れるのが翻訳の面白さである、翻訳も一種の創作活動であると感じた」とい う、担当者の意を組んでいるコメントもあった。ほか、何が言いたいのかを伝えるためには背 景知識が必要であるとあらためて認識したという意見があった。3のメディアリテラシーにつ いても、何でそもそもニュースになったのか、どうしてそのニュースに価値があるのか、誰が どうして伝えたいと思ったのかに敏感になったという意見があった。
4.2. アンケート調査の結果
次に、アンケート調査による結果からの主だった点を挙げる。学部生へのアンケート調査 は今までに授業を履修した特化生12名に対して行った。
まず、学部でのアンケート調査ではニュースを定期的にみる習慣について問うている。その
ところ、入学前からすでに時事英語を勉強していたという学生は5人と半数近かったが、授業 をとるようになった以後はみる頻度も多く、メディアの種類も増やして積極的にニュースをみ るようになっている。ほぼ毎日みているという人も含めて、週5日以上見ている人が半数であ った。メディアとしては全員がインターネットを利用、他は英字新聞が9名、英語ニュース番 組を見るとした者が7名と多かった。
ディスカッションを通じて理解を深めていくというやりかたでは、学生が一人一人十分考え る時間がとりにくいこと、教師と一対一の話になることがあげられた。「提案として、特定のテ ーマについて2-3人のグループでディスカッションを行い、グループごとに口頭でクラスに対 して発表を行う形式にしてもよい」という意見があった。また「特に話題になっているトピッ クについては、週をまたいで追っていくのが効果的であった、クラスメートの意見を聴けるの がよい」との声もあった。ディベート形式で論じ点をはっきりとさせ全員が参加する方式の方 が、思考が整理されて記憶が鮮明に残ったという意見があった。ニュースをみる習慣形成がで きた、語彙知識に関しては、単語テストは記事を素材に理解を深めるということで、現在の方 式でよいとする意見が多数派であった。「単語帳を独自に作成している」という意見もあった。
一方で、語彙力の形成に向けてある授業では一定分野の語彙を網羅的にテストすることにして もよいとの指摘があった。さらに口頭で毎週発表することは自分の考えを整理する上で役立っ た、幅広く、教員のみならず他の学生も記事をもちよることで、たとえば科学など自分では日 頃読まないような分野の記事も共有できたとする意見があった。今後の勉強のやり方としては、
ほぼ全員が通訳の練習、たとえばシャドーイング、サイトトランスレーションの素材として時 事英語を使っていきたいとしていた。
次に大学院のアンケート調査では、時事英語の学習歴は社会人入学の学生が11人中5人と半 数近くいることもあって、8人とかなりの数がこの授業を履修する前から勉強をしていた。た だし、本学に入学してから勉強するようになった量ははるかに多くなっている。毎日勉強して いるという3人も含めて全員が週に最低3日は時事英語の勉強にあてており、「大体週3日、8 時間はこの授業の課題と予習復習のために費やしている」「講義の予習、主に次回の授業準備の ために週末半日以上は机に向かっている」という意見があった。よくみているメディアはイン ターネットが全員、他は時事英語と同じく英字新聞が多く6名であった。一番多いのはインタ ーネット上の新聞記事を検索して読むというものである。授業でおこなったように、課題とし て出された記事を英語で要約するというやり方の有用性については、「日本語特有の言い回しに 気付かされた」「時事英語のよくみられる表現や語彙を学習することができた」「自分で時間を かけて授業準備をしたことで、関連記事を英語で読む際により内容を理解できるようになった」
「英語力向上のためになった」という意見があった。
ただし、授業のやりかたについては「予習のために素材を毎回前訳しているので、毎回担当 を決めて担当した人の訳に教員がコメントをする形にするのがよい」「文字で書いてあるほうが 口頭だけよりも復習がしやすいので、最後の授業でおこなったように、教員のモデル訳を配布 する形式がよい」「できれば毎回印刷は学生で当番制にするなどして、全員の訳出を配布するの がよい」「ニュースらしく表現する、のはほかの英語と違った難しさがあるので、書いたもので 勉強したい」という意見があがった。
語彙テストについては、「教科書の例文がよく出来ていて効果的に学習ができる」「授業のあ る月曜日の午前中2時間はこの勉強にあてていた、一夜漬けならぬ朝漬けであったが、200 枚 の単語カードは財産になった」などと一名を除いて全員が積極的に評価し、「この本で扱われて いる単語はあまり見ないので本を変えてもよいかもしれない」としたのが一名であった。毎週、
記事を各自が選んでレポート提出をさせていることについては、全員がよかったと答えており
「要約する力の養成にもなる」「他の人がどういう記事を選んだのかも興味深かった」という意 見もあったものの、「毎週二人だけが発表というのが、物足らない、メインの二人が5分ほど発 表したのち、他の人たちも自分が選んだテーマを一言ずつ発表してもよい」という意見もあっ た。最終課題である複数メディアを通じて同じテーマを比べるリポートについても、自由記述 で言及が全員からあり、一名「前期か後期かのどちらかは、レポートに変えて授業で出てきた 表現・単語のテストをしても、英語の授業としては知識が定着する」という意見があった以外 は、現在の最終課題を支持していた。
今後の勉強方法についても、「新聞を読み、NHK英語放送をみる、BBCラジオを聞く、News
Week を購読する、インターネットで海外の記事を読むなどを続けていき、背景知識を豊かに
したい」「複数のメディアに目を通す習慣を続けたい」「授業でおこなったように気になった記 事をクラスメートや友人とディスカッションしたり、英語で要約したりすることを続けたい」
「通訳翻訳の素材として、時事英語を用いて勉強をしていく」「経済の英語など特定の専門分野 も興味のあるところから、語彙知識や表現を増やしたい」などという意見があがっていた。
4.3. インタビュー調査の結果
学部のEnglish through Mass Media および大学院の時事英語について、参考資料4にあがっ ているインタビュー調査項目を用いて、それぞれ2名の学生にインタビューで調査を行った。
学部の授業については当該授業のTA(Teaching Assistant)経験者である本学の修士課程の学 生2名、大学院の授業については英語の教授経験のある社会人入学学生2名から意見を聞いた。
学部の授業については、「タイトルが示すように英語の授業であってmass media はサブタイ トルである」「学生は一人で勉強すると関心のあるところだけに偏るため、授業で幅広く政治、
経済、文化についての記事を学べる」と期待するとのことであった。六つの項目については、
二人の評価の平均をとると時事知識:3.5 、語彙知識:4、文法:2、リサーチ能力: 2、論理 的思考能力:4、異文化理解:2.5 となった。時事知識の習得については、現在のやりかたで 効果があがっており、語彙知識については記事にしか出てこないという単語もあるものの、毎 回違う素材が与えられるので効果的に学べている。ニュースをみる習慣形成はできている。授 業で改善するとしたら、最終の課題はプレゼンテーションで評価がされるものの、日ごろの授 業と最終課題とを結びつける授業アクティビティを工夫することがあげられる。授業でたとえ ば、3回ごとにミニプレゼンテーションを課すなどして、複数の記事をまとめるときの記事の 探し方、まとめ方の指導、プレゼンテーションの指導もあってもよい。教材と教育方法につい ては、活発なクラスであればディスカッションに全員が参加できるが、ややもすると教員が一 人一人に質問をするという形になってしまうので、それを避けるためには4対4のディベート など、授業中に時間を設定して全員が参加できるようにするのがよい。英語で授業を行うとい うのは今後も続けるべきである。また、教科書を使用するのは本になっていると体系化されて いて勉強しやすいとは言えるかもしれないが、生の素材を使うとわかりにくくても、英語で情 報を得ることができる利点がある。単語テストも本を使う方法もあるが、メディアに出てくる 単語を使ったほうが、バラエティがあってよい、という意見があがった。
大学院の授業については、「シラバス通り、英語を通じて国際情勢を学ぶ」「欧米の英語雑誌 の読みこなし方、背景知識を身につける、などテーマごとにグローバルな問題を学べる」とい う意見があがった。1から4のスケールでの六つの項目の評価の平均は、時事知識:3.5、語彙 知識:4、文法:2.5 、リサーチ能力:3、論理的思考能力:2.5、異文化理解:3となった。
時事知識の習得については、二名とも素材に即して調べる際にリサーチをするので自分の課題 としてどのような知識を勉強する必要があるかがわかった、語彙については、授業の素材と結 びついたものを使ってもよい、習慣形成については、土曜日の夜あたりから毎週、月曜日に提 出する素材を探すために毎週必ずニュースを探すようになり、習慣が身についたという意見で あった。改善するべきとしたら、授業で行った内容についての試験があってもよい、表現やイ ディオムについて期末テストをしてもよいという意見があった。教材と教育方法としては、「毎 回、ポイントとなるところだけ一部でよいので模範訳例を出す」「毎回のプレゼンテーションの 担当を決めてはどうか」「新聞ではなく通訳の勉強になるように話し言葉の勉強をしたいので、
なるべく話し言葉の多い対談記事などを選んではどうか」などの意見があがった。教材の選択 は、なるべく日本語の記事を選ぶ際に英字新聞で同じ記事が出ているなど、パラレルテクスト のあるものを選んだらどうかという意見があった。他、最終課題の複数メディア比較レポート は、なかなか複数のメディアで同じ内容の記事を探すということはしないので、複数メディア
を比較するのは有用であるとのことだった。
おわりに
上記を総合すると以下のようにまとめられる。実現できたこととしては、時事英語に継続的 な関心をもたせる、また時事問題を英語で読むことへの習慣を身につけさせる点は、学部大学 院ともに達成できている。語彙力の点については学部においては単語力をつけるように語彙リ ストを自分で作成するなどして、努力をしていることが伺えた。加えて大学院においては、時 事問題への興味・関心を喚起して、英語メディアにふれる習慣を身につけることが達成でき、
語彙テストも非常に意欲的に取り組んでいることがわかった。さらにメディアによって何をニ ュースとしてとりあげるのか、報道のスタイルに違いがあることを理解するという点でも効果 があがっている。
他方今後の課題としては、学部・大学院とも、ほかの通訳養成のための授業とどのように連 携するのか、考えていく必要があると担当者として感じた。背景知識、ということでは、ほか にも個別にたとえば経済学、国際関係などに特化して、特に通訳者を目指す人のための授業を 設ける余裕があればそうしたいところであるが、現状では難しい。そうなると、学生個人の努 力に頼るのではなくほかの授業と何らかの連携ができればさらに効果があがるであろうと思わ れる。大学院の授業においては、通訳以外のコースの学生の場合、英語で要約させるといって も訳出の授業のようになっているのを、もう少し「要約である」ことに力点をおいて全訳を作 るのが目的ではないことを明確にするべきであろう。
授業運営の技術的な面からすると、現在の方法は非常に教員の負担が重い。現状では、印刷 室が教室に隣接しているのでコピーの量がかなり多いのも速やかにさばくことができているが、
より簡便に例えば電子ファイルで提出をさせて、パソコン画面上で共有するというやり方が可 能であり合理的と思われる。さらに、今まで用いて有用であった新聞記事は、毎回全部新しい ものを用いるのではなく、有効活用を図る時期にきているのかもしれない。教科書を利用する よりも現在のように生の素材をその都度選択するというのが好意的に受け止められてはいるも のの、体系的に勉強をするために一部は教科書を利用することもあるいは選択肢となると思わ れる。
時事英語の授業運営において、欧米の大学院および日本における通訳専門学校や大学での時 事英語の例を検討してみたところ、考慮すべき二つの要素として、「時事問題の知識の増強」と
「英語力強化」があることがわかった。
また欧米の大学院の例、あるいは日本における主だった通訳学校における「時事英語」のと りあげ方を検討したところ、単独の関連科目として扱っている、あるいは逐次通訳・同時通訳