NEWSLE7 77 ER 1992. 6 N。. l l
横浜市神奈川区六角橋3‑27‑1電話(045)481‑5661
㈹ 神奈川大学言語研究センター
KANAGAWA
ボーダーレスの時代のスペイン語
私 は、特 にスペインの現代小説 に興味 を持 って 読 んでいるが、最近10年 ほどのスペイン語の変化 には目を見 はる ものがある。日本語で も「ア ッシー 君」の ような世情 を反映 した流行語、新造語が氾 濫 している し、ご く限 られた数の単語だけによる、
まるで文 とはいい難い会話 を耳 にす るの も日常茶 飯 のことである。若者層 の語いの貧困化、 日本語 の乱れな ど、昔か らいい古 されたことであって、
今 さら改めて驚 くには当た らない。われわれオジ 様族 に とって得体 の知 れ ない人種 の言葉 も、分 か って しまえば、結構、いい得 て妙 と感心 もす る し、第‑、貧 しいボキ ャブラリーで彼 ら、彼女 ら はともあれコミュニケーシ ョンが可能なのだ
。T
Vのクイズ 「年の差 なんて」で出題 されるヤ ング 問題 も、一種 のアルゴ ッ トなのであろう。
スペイン語の変化、 とりわけ書 き言葉 における それ も、社会の変化 と無縁ではなさそ うである。
フェ リペ ・ゴンサ レス率いる
P S OE
による長期政 権、ECの市場統合、経済発展 に よる国民の生活 水準の向上。物価高騰 によって9 3
年以降のスペイ ンは不安定要因をい くつ も抱 えているが、スペイ ンは今がいちばん面 白い時ではなかろうか。 もち ろん東側 の崩壊 とい う世界情勢 も大 きく影響 して い る。何 しろ悪名高いテロ リス ト集団ETAで さ え、外 国人部隊に依存 しているご時世である。い ろいろ矛盾 をはらんだ、一見、華やかな現代社会。こうした情況の中での社会通念の変化 は、小説の 中に色濃 く反映 される。事実上、検閲がな くなっ た とはいえ、かつては水面下 にあった麻薬、ホモ セクシ ャル、最近ではエイズ問題が小説の題材 と して、あるいは 日常生活の 1ファクター としてひ と り歩 きをしだ している。それにつれて社会のマ イノ リテ ィーであ った彼 らのアルゴ ットが、小説
橘川 慶二
の中に顔繁 に登場 して くる。
こうした傾 向の萌芽 は、70年代 にかけてのセラ の一連の小説 中にすで にあった。それが現代 の小 説ではい っそ う増幅 され、まるで卑語、俗語がす っ か り市民権 を獲得 したかの ようである。 トマス ・ ガルシアの
Lao t r ao r i l l adel adr o g e( 1 9 8 4)
では、全篇、麻薬用語で占め られ、作者 自ら巻末 に付 し た用語解説がなければ、門外漢 にはさっぱ りわけ が分か らない とい った」、説 もある。性 に関す るア ルゴ ットは昔か らた くさんあ った。 しか しれ っき とした文学作 品にこれほど使 われるようになった ことは、かつてなか った。
文章語 に口語が多用 されるようになったのは、
語法 にも及んでいる。 自動詞 の他動詞的用法、あ るいは卑近 なサ ンプルで は
s us pe nd e r
の ように、対語の
a pr o ba r
に合 わせ た用法が定着 しつつある ような例、d e ‑qu e ‑i s mo
とで もい うべ き特定 の 前置詞の多用 などなど。文体 について も然 りであ る。 ピリオ ドな しの長文化 は、やは りセ ラのSa n ca mi l o
を憶矢 とす る と思 われ るが、現代 で は 自 由間接話法はおろか、語 りの部分 に生の直接話法 が、句読点 もな く縦横 に織 りこまれ淳然一体 をな している。推敵 を重ねた とい うより、一見、無造 作 と思われる文体が、読者 を ぐい ぐい と語 りに魅 きつ けてい く。 アル フ レ ド ・コ ンデのLo so t r o s di a s( 1 9 9
1)で は、会話文、語 り文の入 り混 じっ た文 に、作者 は意図的にコンマ を多用 し、わざと 脈絡 を切 っている。 こうした文章 を読 むには、会 話 をベース としたスペイン語文の リズムを身につ ける必要がある。現代 はボーダーレスの時代 とい われる。スペ イン語の表現のいろいろな面でそれ を実感す る昨今である。今、スペイ ン語が面 白い。
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言語学の研究について
井谷 玲子
全 ての科学がそ うであるよう、言語研究方法 に は二つの代表的アプローチがある。一つ は帰納的 方法 (inductionistapproach)と呼ばれる もので、
アマゾ ンの奥地 に至 るまで世界 の言語データを集 め、そこか ら一般的規則 を引 き出す ものである。
もう一つ は演経 的方法 (deductionistapproach) と呼ばれるもので、代表的な言語データを基 に、
ある仮説 をたて、その仮説 を反例 となる言語デー タに直面す るまで保 ち、反例であると判明 した時 に、その仮説 を洗煉 して行 くとい う手順 をとる も のである。 さて、前者の方法 を採用する場合、物 理的に不可能な壁 にぶつかる。それは世界 中の全 ての言語データを収集す るのは、時の流れを止め て、言語の変化 をフリーズ しない限 り、不可能で あるか らである。又、如何 なる言語の話者であれ、
無限に新 しい文 を作 り得 るとい う事実 も、全 ての 言語データを網羅することが不可能であることを 明 らかに示 している。
チ ョムスキーは言語学 を科 学 (science)の地 位 に高めた言語学者であるが、研究方法 としては 後者の演樺的方法 を採用 している。彼の研究方法 は、代表的な文法的に正 しい文か らある仮説 をた て、その仮説 を言語データに照 らしあわせ ること である。
帰納的方法 よりも演樺的方法が科学 としての言 語学 の アプローチ と して妥 当であ る とい う立場 は、 自然社会科学 に関す る哲学者であるカール ・ ポ ッパ ーの科学的仮説 に対す る見解 によって も支 持 される。彼 は、無限のデータか ら一般的法則、
原則 を引 き出す とい うことにおいて、その真実性 が 実 証 さ れ る こ と は不 可 能 で あ る が、 反 証 (falsify)で きる とす る。つ ま り、い くら数多 く の白い 白鳥 を観察 して も"Allswansarewhite'' とい う仮説 を実証す ることは出来ないが、一匹で も黒い白鳥 (実際存在す るのだが)観察すれば、
この仮説 は反証 される。即 ち、ある仮説が科学的 であるかないかの区別 は反証で きるかで きないか
(falsifiableornot)に依存す るとする。
チ ョムスキーは、1957年 に"Syntacticstructure"
(統語構造 )を出版 し、変形生成文法理論 を唱え たが、それ以来、人間の言語能力 を解明 しようと す るチ ョムスキーの文法理論 は数々の変遷 を辿 っ て きた。それはまさに、初期 の彼 の理論が現実 に 観察 される言語 を相容れない非文法的な文 を生成 した為、拾て られた り、修正 される必要があった か らである。つ ま り、チ ョムスキーの文法理論が 反証可能であることを示 してお り、それが科学理 論であることの言い換 えとなっているのである。
チ ョムス キーの文法 理論 の修 正 を簡単 に見 る と、例 えば1957年 の Hsyntacticstructure"では ̀ 意味'が排 除 されていたが、1965年 に出版 された
HAspectsoftheTheoryofSyntax"(統語理論 の 諸相 )の中の標準理論では ̀意味'部門が導入 され 文の意味解釈 を記述 している。そ して、Neg挿入 (否定文 を作 る際の変形規則 )、命令文削 除 (令 令文 を作 る際の主語̀You'を削除す る変形規則 ) な どが1981年 に提 唱 さ れ た "Governmentand BindingTheory"(統率束縛理論
/ GB
理論)では、̀Moveαとい うメ タ的変形 規則 で包 括 されてい る。
先 に述べた哲学者ポ ッパ ーの見解 は、如何 なる 科学理論 も究極的に実証 されることはな く、た と え、多 くのテス トで生 き残れるよう修正 され、新 理論 に変身 してい った として も 「さあ、 これが真 実 を語 るものだ」 と言 えるものは存在 しない こと
を意味す る。 この ことを念頭 に置 くと、チ ョムス キーの生成理論が大 きく変辿 して きたことに対 し ての安当性、必要性 に気がつ くと思 う。
言語学 に携 はる一人 として、チ ョムスキー理論 の変化 に とまどい を感 じるこ とは否 定で きない が、̀真実'とい う概念が科学理論 とを発展 させ る 上で重要 な動機 となっている事実 を受 けいれる限 り、同 じ理論、仮説 に長 く固執 し修正 しない方が 不健全であるように思われる。
参考文献 :
ADictionaryofphilosophy,PanReferenc e
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神に選ばれたことば ( 3) 一 時間の観念‑
アラビア語 は右 か ら左‑書かれることはよ く知 られてい る。書 かれた もの を見 てアル フ ァベ ッ ト を識別 しようとす ることは、英語 をは じめ とす る 西欧言語 に慣 れ親 しんでい る者 には、不可能 に近 い。文字 の切 れ 目がないか らである。アル フ ァベ ッ
トは28字 あ り、 そ れぞ れisolatedformはあ る。
しか し語 (又 は句 ) として書 かれるとき、語頭、
語 中、語尾 によって形が異 なる。語頭の形 はiso‑
1atedformに比較 的近 いが、語 中 と語尾 はそれか ら推量す ることはむつか しい。
これだけをもって して も、せ めてアル フ ァベ ッ トだけで も覚 えて辞書 を引 き引 き読める とい う く らいに したい とい う望みは、萎 えて しまう。お ま けに、 アルフ ァベ ッ トは子音 のみで辞書 の単語 は 子音 の流れ るような連続で書 かれてあ って、母音 を足 して読 まなければな らない。母音 の表記 は(さ れ る ときは)、 同違 ってつ いたペ ンの汚点 か紙 の キズ か と思 うほ どの しる Lが、子音 の上 につ く (′が上 に付 けば/a/,下 につ けば
/ i
/,'が上 につ いて/ u
/,母音 の欠如 は小 さい丸 。である)。外 国語 イコール西欧言語 と思 っているわれわれ に馴染 めないのは動詞 の形 である。 ほ とん どの動 詞 は三子 音 の連 続 で書 か れ る。 た とえば、k‑t‑b の三子音 によって与 え られ る意味 は 「書 くこと
」
である。 この最 も単純 な形 は 「三人称 ・男性 ・完 了形」 で あ る。/kataba/と読 まれて、 ̀hewrote' 又 は̀hehaswritten'の意 味 とな る。辞書 には こ の 「原形」が与 え られ、一つの原形 の下 に、根 を 同 じ くす るすべ て の派生語 が並 ぶ。k‑t‑bの項 目 の下 に、kitaabun「本」,maktabun「書 くところ
‑事務所 ),maktabatun「机」,kaatibun「作家」
が出てい るのである。名詞 や形容詞 も動詞 の原形 か ら派生 した形であるか ら、辞書 を引 くにはまず 原形が何 であるか を知 らなければな らない とい う
ことになる。
さらに、セ ミ語族特有 の現象であるが、 アラビ
武内 道子
ア語 の動詞 の活用 は完了形 と末完了形 の二種類 に 大別 され る。基本的 には時制 と直接 関係 な く、動 作 の完了 ・末完了 を表 わす ものである。
原形 (完了形 )の/kataba/が 「彼 は (過去 に) 書 いた」 とも 「彼 は (丁度 )書 いて しまった とこ ろだ」とも理解 される (日本語で過去 を表す 「た
」
が 「電車が きた」 に見 られ るように完了の意味 を 有 してい るこ とと酷似 してい る)。 また売 り買 い の場 では、まだ行為が完了 していない に も抱 らず、
過去形が用 い られ るの は面 白い。"Ibought"とか
"Isold"の形 が使 われ るが、 これ は 「買 うこ とに 同意 した
」
「売 ることに同意 した」 とい う意味 あ いであろ う。未完了形 の用法 は、現在 の習慣 と未来‑ の言及 で あ る。動作 の進行 も未完 了形 その ままでbe動 詞 に 相 当 す る も の は 出 な い。 Ahmadspeaks. Ahmadisspeaking.Ahmadwillspeak.は同一 の 形が使 われるわけである。 また未来 の願望 を表す のに完了形 を使 うことが しば しばある。そ うあ っ て欲 しい とい う願 い を、既 に実現 した事実 として 述べ るのであ る。
複文 における動詞 の形 は、主節 の動詞 と従節 の 動詞 の表す行為 の どち らが早 いかに よる。す なわ ち、 目的節で は 目的の達成が主節 の行為 のあ とに なるか ら、未完了形が使 われ、一方when節で は その逆で完了形が使 われる。つ ま り完了形 は 「相 対 的過去」 を、未完了形 は 「相対 的非過去」 を表 す (日本語の以前形 ともい うべ き 「た」 と共有す る‑ 「あ した早起 き した ら町 まで出か けよう
」)
。アラブの人 々 とつ きあってい ると、時 間の こと を気 に しない こ とに苛立 ち を覚 える。「明 日10時 に来て下 さい」 とい う約束 は余 り意味がか く、せ いぜ い 「明朝伺 い ます (イ ンシ ャア ッラー
)
」 と い うところで、午後2
時 ごろまでな らいつで もよ く、明 日になって、又 明 日とい うもの も一向に差 しつかえない。い くつで どうす るとい った観念 も、年令 さえ もは っき りしない。過去 は現在 か ら切 り 離 された もの、過去か ら現在 さ らに未来 と順序 よ く続 くもの とい った感覚 は持 ちあわせ ない。時間 に縛 られて生活 してい るわれわれか らみ る と、何 ともつ き合 い難 い ところが あ る。
神 は全 能 を もって、時 とは関係 な くこの世 を造
バンコックを訪ずれて
常 日頃 ア ジ アの 国 に是 非 と も行 って見 たい と 思 っていた突先 に、バ ンコ ックで開催 され る教育 と文化 に関す る会議 に招待 された。 この機会 に神 奈川大学 と国際交流協会 を結 んでいるタマサ ッ ト 大学 と同大学 日本研 究 セ ンターを訪問 し、更 にバ
ンコ ックの中等学校 の英語 クラス を参観す るこ と に した。
教育 と文化 に関す る会議
教 育 と文 化 に関す る会議 はベ ルギ ーの ル ウベ ン ・カ トリック大学比較教 育研 究 セ ンター主催 、 タイ ・ユ ネス コ本部 とタイ国立教育委員会 の協賛 に よって、昨年2月21日か ら23日の3日間、バ ン コ ックのス コタイ ・タマ ラシ ラ ッ ト ・オープ ン ・ ユ ニバ ーシテ ィで開催 された。参加者 は10人 の研 究発 表者 (日本、中国、香港、韓 国、マ レーシア、
フ ィリピン、台湾、タイ、シ ンガポール、ベ ルギー)、 会議主催代表者 (ベルギ)、3人 の基調講演者 (タ イ、 イギ リス、 オース トラ リア)、10人 の教 育行 政 関係来賓者 (タイ、台湾、 中国、 フ ィリピン)、 合計23名 で、 これ まで参加 した国際会議 として極 めて小人数 の学会 であ った。
研 究発表者 は 「工業化 が アジア諸 国の文化 と教 育 に与 えた影響 に関す る比較研 究 :工業 的思考 、 文化 の価値観 、 中等学校 におけるコア ・カ リキ ュ ラム」の課題 につ いての共 同研 究 を、出版 を前提 として これ まで3年 間続行 して きた。共 同研 究者 それぞれが 同 じ分析 モデル を用 いて この研究課題 の各 国のケース ・ス タデ ーを行 った もの を比較分 析 し、研 究結果 は報告書 と して纏 め られた。 これ
り、 したが って神 が人 間の運命 を決 め、 われわれ が神の意志 に帰依 す るの は、時 間 とは関係 ないの であ る。 アラ ビア語 の動詞 は、時の観念 か ら離 れ てす で に完 了 した行 為 を表 して い るで は ないか
‑ 預言者 マ ホメ ッ ト以来 の砂 漠 の勇者 たちの信 念 であ って きたのであ る。
上候 雅子
を発 表者 が再検討 の上改稿 し、「工 業化 アジ アに お ける教 育 と文化 :東洋 と西洋 にお ける工業 的思 考 の影響 」 と題 して会議資料 のため に再編集 され た。
この研 究 は工業化 ・近代化 政策 に関与 す る教 育 行政 関係者 に とって深刻 な課題 であ る。 ゆえに、
会議 の 目的 はこの研 究 につ いて専 門家、教 育行政 関係 者 か ら批評 、助言 を得 るこ とに よって よ り広 い視 点で研 究 を完成 させ るこ とにあ った。 あ らゆ る国々は好 む と好 まざる とに拘 らず、工業化 を余 儀 な くされて きた。工業化 の進展 に よって アジア 諸 国で は西洋化現象 も進展 し、今 や 自国固有 の文 化 、国民 のアイデ ンテ ィテ ィが不 明瞭 にな りつつ
あ る。
工業化 の進展 に国民 の工業思考 は伴 ってい るの であ ろ うか。例 えば、 日常生活 や職場 で人々 は理 論 的 に考 え、機 能的 に行動す る ようにな ってい る のであろ うか。教 育 はカ リキ ュラムに よって工業 化 ・工業 的思考 と自国固有 の文化 ・価値観 の維持 及 び社会 ・経 済、文化 、個性 の発展 に、 どの よう に関与 して きたのであ ろ うか。 アジア諸 国はポス ト/工業化 ・近代化 を望 んでい るのであ ろ うか。
とす れば、そのモデル は西洋モデルであ ろ うか。
研 究者 は これ らの課題 を明確 に して、その望 ま し い方 向 として教 育政策 を提案す るこ とを要求 され た。
会議 は まず、研 究課題 に関す る レポー トと基調 講演 「東西近代社 会 にお ける文化 の価値観 」、「東 西諸 国 にお ける工業化 と工業思考」、「近代性 と伝 統性 の間にお ける実質的緊張 :アジア文化 の遺産
と科学の発展」に関 して、 白熱 した討論が行 なわ れた。中で も工業的思考 に焦点 を当てた研究分析 モデルが複雑であること、お よびアジア諸国で工 業化/近代化 の度合いが異 なるために、研究者が モデルに忠実 に従 うことの難 しさが指摘 された。
研究発表 に対す る質問、批判 は現実性 を帯 びてい るだけに厳 しか った。
アジアの参加者が多い会議で 日本のケース ・ス タデ ィを発表す ることに対 して、先進工業国であ るだ けに複雑 な心境であった
。
「国民 は伝統 を維 持 し可能な限 り自然 と共 に生活することを望み、これ以上 の工業化 は望 まないだろう。」 タイ国立 教育委員会会長の言葉 は、ゆえに、 タイの国民の 本音であろうと思 うと、心が痛 んだ。会議 はアカ デ ミック ・レベルで続行 し、会議終了 と同時にこ の複雑 な心境か ら開放 された。
日本語教育事情‑ タマサット大学・日本研究センター 会議終了後最初 に訪れた タマサ ット大学東 アジ ア研究所 日本研究セ ンターは、スコタイ ・タマラ シ ラッ ト ・オープ ン ・ユ ニバ ーシテ ィの北 に向 か って車で約30分、効外の広大 な敷地の一角 に位 置 している。タマサ ット大学、日本研究セ ンター、
ラクー ン中等学校 訪問 の全 日程 をア レンジ した 上、案内役 を務めて くれたのは、 タマサ ット大学 研究対外 関係事務局副局長助手 アナであった。白 い 日本研究セ ンタービルの玄関前で、東 アジア研 究所長、 日本語教 師、 コ ミュニケーシ ョン ・デー
タプロセスの研究者 に迎 えられた。冷房完備 の応 接 室 で暖 かい コー ヒー をいただ きなが ら当セ ン
ターの 日本語教育事情 を聞いた。
タイ人 にとって英語がで きることは珍 しいこと ではな くなっている。 日本語がで きることはそれ を使 うと使 わない とに拘 らず、いかなる仕事 に従 事 しようとます ます有利 となっている。事実上、
仕事で 日本語 を使用す る機会 は増加 している現状 にある。 日本政府の援助 によって1986年 に建設 さ れた 日本研究セ ンターで 日本語 クラスが開講 され て以来、学生数 は毎年増加 している。全 日制 コー スの学生の多 くは寮生である。学生寮 とゲス ト宿 泊室 は、縁の草木の庭 に面 した明る く清潔な洋室 であった。定時制 コースには当セ ンター近 くの 日
本企業の従業員が就業終了後多数来るそうである。
タマサ ッ ト大学 における 日本語学科の学生数 も 毎年増加 している。英語学科 に交換留学生制度 は ないが、 日本語学科では4年間の早稲 田 と慶応大 学留学制度がある。早稲 田、慶応、南 山各大学か ら
1
年 に5‑ 6
人の学生が タマサ ッ ト大学 に留学 す る。慶応大学 に留学 して修士号 を修得 したタマ サ ッ ト大学研究対外関係事務局 の若い女性 は、 日 本語がす こぶる流暢であった。日本研究セ ンターの 日本語教 師はタイ人専任教 師一人、日本人客員教授二人 と他 は非常勤である。
タマサ ッ ト大学 にはタイ人9人 と日本財 団か ら派 遣 された 日本人2人の専任教 師、 日本人9人の非 常勤講師がいる。 日本語教 師不足 の問題 はいず こ
も同 じの ようである。
英語教育事情‑ クマサ ッ ト大学
午前9時、オープン ・ユニバ ーシテ ィ ・レジデ ンスの前か ら迎 えの車で タマサ ット大学 に向か っ た。バ ンコックの中心 を流れるチ ャオフ ァラヤ河 に面 したタマサ ット大学の構 内には、太陽の陽射 しを避 けるかの ように高 くそびえる南洋樹 の間を 大学生が三々五々散在 していた。 タイの伝統的な 室内装飾が施 された応接室で、外国語研究所副所 長、英語学科主任、英語学科 コ ミュニケーシ ョン 担当教授、 日本語学科主任 とアナ との大学英語教 育 との 日本語教育 について2時間の会談 は弾み、
チ ャオファラヤ河 を見下 ろす三方ガラス張 りの大 学 レス トランでの会食で も延々 と続いた。
大学の学期 は1期 は6月か ら9月 と2期 は11月 か ら2月であるが、 3月か ら6週間の夏季 コース は自由履修期 間 となっている。英語学科専任教 師 はタイ人
3 2
人、全員女性 と聞 くと日本人 は驚 くで あろうが、理 由を知 るとなるほどと合点 もい く。大学教員の報酬が低いために、高等教育 を受 けた 男性 は高い報酬 を求めて企業 関係 に流れてい く傾 向にある。高等教育 を受 けた女性 の中で も、裕福 な家庭で教育 に熱心 な女性が大学教 師 として適任 とのことである。ちなみに、会談 に参加 した大学 教師は全員 この条件 に該当 し、英語圏に留学 した 英語 に堪能な博士であった。 タイ人教 師の他 にア メ リカ、イギリ ス、カナダ、オース トラリアか ら
の外 国人教 師が
1 0
人いるが、報酬が低 いために辞 職す る人が多 くな り、英語学科 として外 国人教師 の確保が深刻化 している。大学生 は中流家庭以上の子女で中等学校卒業者 の
1 0‑1 5%
である。大学入試試験 は英語、数学、タイ語、社会、歴史の科 目を対象 とした国家共通 試験で、競争率 は約7倍である。試験 に失敗 した 学生 はオープン ・ユニバ ーシテ ィで学ぶ人が多い とい う。英語学科のカ リキ ュラムは文法、読解、
作文、会話、英語技術 としてのコ ミュニケーシ ョ ンの総合科 日で、学生 に人気があるのはコ ミュニ
ケ‑シ ョンだそ うである。英文学、言語学、英米 文化 は英語学科 に含 まれてはいない。英語/ 日本 語 を学ぶ学生 の動機 はこれが就職 に有利であ り、
特 に 日本 を始め外国商社 関係への就職が容易 とな るか らだそ うだ。
バ ンコ ックを訪れた時期 は二月であるが、真夏 の太陽の下、 日本研究セ ンターの寮か ら色鮮かな タイの草花 に沿 った石 だたみの小路 を辿 ると、 日 本庭園を臨む 日本の茶室があった。 日本語 を媒介
としたタイの風土 と日本文化 は、異文化 の融合 と して印象的であ った。
言語研究センター 1 9 9 1 年度活動報告
( 1 )
「神奈川大学言語研究」の発行No .1 4
平成4 年 3
月( 2 ) 「 NEWSLETTER
」の発行N o .
9 平成 3年 7月N o ・1 0
平成3
年1 2
月 (3) 講演告イ と き 平成3年7月5日 (金) テーマ 「実践的言語教授法
」
講 師 横 山信子氏
(国際教育セ ンター学校長 ) ロ と き 平成
3
年1 0
月1 8
日 (金 )テーマ 「ケチ ュア語 とペルー ・インデ ィオ の今」
講 師
Lu i sEnr i q u eRi o sAI c a nt r a
氏 (ペルー国立芸術大学音楽学担当) ハ と き 平成 4年 3月 2日 (月)テーマ 「パ ソコンを利用 した中国語の教育 と研究」
講 師 松村文芳氏
(神戸商科大学教授 )
(4) 英語教育研究大会 (第2回) と き 平成3年
1
1月30日 (土 )〔特別講演〕
テーマ 「新 しい学習指導要領 とこれか らの 英語教育」
講 師 諏訪部真氏 (静 岡大学教授 )
〔基調講演〕
テーマ 「コ ミュニケーシ ョン能力 を高める 指導法」
講 師 石黒敏明助教授
〔ワークシ ョップ〕
① リスニ ングの指導法 寺内正典氏 (むリーデ ィングの指導法 大内義徳氏 (勤ニ ューメデ ィアの活用法 保崎則雄助教授
④
AET
との授業 のあ り方 江原美明氏 (9ス ピーキ ングの指導法 水野晴光助教授 (5) 連続公開講演会 (第2回)イ と き 平成
3
年1 2
月1 0
日(火 )・1
1日(水 )・1 3
日 (金 )テーマ
「 Wha ti sPr a g ma t i c s ? 」
「 La n g ua g ea ndCo g n i t i o n‑aMo d u‑
1 a rVi e w」
講 師 Robyn.Carston氏
(ロン ドン大学講師ユニバ ーシテ ィ カ レッジ)
ロ と き 平成3年12月12日 (木)・13日 (金 ) テーマ 「Cross‑culturalIssuesinU.S.
‑JapanCommunicationJ
「Difference in discoure between JapaneseandEnglish」
講 師 ErichA.Berendt氏 (千葉大学講師)
(6) 公開講座 一神奈川大学語学教養講座 (第4回) 期 間 平成4年2月24日(月)〜 3月6日(金 )
A.英語講座A ・B (楽 しい英語の学び方) 講 師 伊藤克敏教授 石黒敏明助教授
奥 田宏子教授 上催雅子助教授 橋本 侃教授 保崎則雄助教授 疋 田三良教授 水野光晴助教授 桧 山正男教授 井谷玲子専任講師
B.
中国語講座 (中国語 と中国文化 )講 師 尾上兼英教授 吉川良和助教授 小 島晋治教授 王 軍非常勤講師 那須 清教授
C.ドイツ語講座 (ドイツ語会話 と ドイツの詩) 講 師 高橋喜郎非常勤講師
D.フランス語講座 (フランス語学 ・教養 ) 講 師 倉 田 清教授 佐藤夏生教授 E.スペ イン語講座 (やさ しいスペイン語) 講 師 大林文彦教授 太田強正教授
ビク トル ・カルデロン非常勤講師 F.ロシア語講座 (す ぐ役立つ ロシア語)
講 師 中本信幸教授
岡野エ レーナ非常勤講師 G.朝鮮語講座 (は じめて学ぶ朝鮮語)
講 師 季 守非常勤講師
(7)共同研究会
Ⅰ
と き 平成3年5月29日 (水 ) テーマ 「語用論 の最近の動向について‑関連性理論 を中心 に
‑」
報 告 井谷玲子専任講師
Ⅰ
と き 平成3年6月26日 (水 )テーマ 「インターアクテ ィブビデオ研究 に ついて
」
報 告 保崎則雄助教授
Ⅲ
と き 平成3年10月23日 (水 )テーマ 「コロンブス 『第1回航海 日誌』 の 形容詞 (形容表現)について」
報 告 青木康征教授
Ⅳ
と き 平成3年11月27日 (水 )テーマ 「大学教育の方法 と課題 ‑教育=
学的視点 よ り‑」
報 告 小池栄一教授
☆ 予 告 ☆
1
1 月 に第 2
回海 外 講 演 会 を開催 い たします。
講 演 者 に は、 イ ギ リス ・ヨー ク大 学 教
授 Al an C.Char i t y 氏を予定 してお り ます。
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★ 新 着 案 内 ★
一 視聴覚資料 一 弾音資料
中国語 シ ンフ ォニー 中国語文法読本
中国歌集一日中学院30周年記念歌集一 日中青年愛唱歌 一 日中学 院35周年記
念歌集 一
茅 ヶ崎方式季刊 時事英語教本 ヒーロー とヒロイ ン
ジ ャパ ンタイムズ社説集1990年版 30日完成英検2級 一次試験対 策 20日完成英検2級二次試験対 策 MissingParson
や さ しい初歩 のイ ン ドネシア語 10分 間英語 の名 曲
10分 間想 い出の名 曲
(継続)録音資料 ActiveEnglish EnglishExpress TheEnglishJournal FENガイ ド 時事英語研 究
日本語 ジ ャーナル
映像 資料 エ レンデ イラ 12AngryMen
イギ リス文学史‑17世紀 の文学 一 紅高梁
黒砲事件 芙蓉鎮
モス クワニ ュース ビデオ版 エル ・ドラ ド
最後 の誘惑 ペ ス トロ ック
(継続)映像実科 Espa免aalDia
一 図 書 ‑
VOCABULARIO DE LA LENGUA GENERAL DE TODO EL PERU LLAMADALENGUAQQUICHUA ODELINCA.
ESTUDIOS QUECHUA :PLANIFI‑ CACION,HISTORIA YGRAMA‑
TICA.
DICCIONAR10GUARANIDEUSOS.
euskara‑espalnlera,eSpalniera‑eus‑ kara,vasco‑espa丘01,espa丘01‑vasco.
ⅠNVITATION AU JAPONAIS.
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☆ お知 らせ☆
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コ ンビュ‑ トロール No31 や さ しいメデ ィア技術発達史読本 教 師のための コ ンピュー タ入 門
ワープロで アタ ック ・パ ソコ ン通信 SYNTAXANDSEMANTICSVol,23 SYNTAXANDSEMANTICSVol.24 SELECTEDWRITINGS I
SELECTEDWRITINGSⅣ SELECTEDWRITINGS
Ⅷ
言語研究 セ ンターでは、学術研究調査 に関わ る国内旅 費の募集 を してお ります。
′ 92 年度 第 1 回締 め切 りが、 7 月 3 日となってお ります。
ご利用 され る所員の方 は、お早 目にお申 し込み くだ さい。
( 旅費計算は、規則規程集 の旅費規程 に準 じます) なお、研究調査終了後の報告書 は、次号 ニューズ レター に掲載 いた します。
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