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『多文化社会研究』創刊号の発刊にあたって

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Academic year: 2021

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『多文化社会研究』創刊号の発刊にあたって

多文化社会学部長

佐久間 正

本誌は 年 月に新設された長崎大学多文化社会学部の紀要として発行 されます。多文化社会学部はグローバル化する現代世界で活躍することので きる人材を育成することを教育目標として掲げています。特に、現代世界の 特質を様々な文化が共生協働する場=多文化社会として明確に捉えていると ころに本学部の特徴があり、多文化の共生協働に関する授業は本学部のカリ キュラムの基軸的な部分を占めています。

しかし、多文化の共生協働は、言うは易くその実現は決してたやすいこと ではありません。確かに、現代世界はかつてない程に国境を越えて人々や財 貨や情報が行き交っています。地球は狭くなったという表現も事柄の一端を 捉えています。しかし、そのようなグローバル化によって、国境の壁が低く なり、多文化の共生協働が一路進んでいるかと言えば、事態はむしろ逆のよ うに思われます。しばしば国家的枠組みの強化が主張され、他の文化を貶め 自国の文化(国民文化/民族文化)の素晴らしさを謳う文化の本質主義的理 解が強まっている感すらします。このような政治文化状況において多文化社 会の共生協働を展望していくためには、依然として、様々な文化がせめぎ合 う実態を冷静に観察し、多文化の共生協働の動きがどのように芽生えている のかを具体的に明らかにしていく調査研究が、これまでにもまして重要であ るように思われます。同時に、そのような調査研究と相携えながら、文化の 本質主義的理解を乗り越え、多文化が共生協働していく道筋を明らかにする 理論的探求も求められています。そして、それらは言うまでもなく、現実の

発 刊 に あた っ て

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政治文化状況を多文化の共生協働に向かって切り開いていく種々の政策的提 言としてまとめられ、社会に発信される必要があるでしょう。多文化の共生 協働を実現していくためには、多文化状況の調査研究、共生協働のための新 たな文化理論の構築、共生協働に向けての具体的な政策的提言が不可欠であ り、それらはまた本学部のカリキュラムの基軸的な部分と密接に関連するも のに他なりません。

本誌が、多文化社会学部の旺盛な研究活動を反映し、多文化状況の調査研 究、多文化の共生協働のための新たな文化理論の構築、多文化の共生協働に 向けての政策的提言に関する多くの成果を発信していくことを強く希求して います。

長崎大学 多文化社会研究 Vol.

参照

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