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田丸, 峻次

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Academic year: 2021

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

O/Wエマルションからの香気放出挙動に関する研究

田丸, 峻次

http://hdl.handle.net/2324/4060229

出版情報:Kyushu University, 2019, 博士(農学), 課程博士 バージョン:

権利関係:Public access to the fulltext file is restricted for unavoidable reason (3)

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氏 名 :田丸 峻次

論文題名 :O/Wエマルションからの香気放出挙動に関する研究

区 分 :甲

論 文 内 容 の 要 旨

食品の香りは、その食品のおいしさに寄与しており、香りは消費者が食品を選択する際に重要な 指標となる。食品内に含まれる香気成分は、主にその香気成分の分配係数によって各相内に含まれ る量が決定する。そこで本研究では、脂質を含んだモデル食品であるOil-in-Water(O/W)エマル ションに対して、複数の香気成分を添加し、それらの放出挙動と香気成分の分配係数との関係を調 査することを目的とした。O/Wエマルションからの香気成分の放出は、油相、水相、気相の3相が 関係している現象であることから、本研究では、オクタノール-水分配係数(log Pow)、水-空気 分配係数(log Pwa)、オクタノール-空気分配係数(log Poa)の3種類の分配係数と香気放出挙動 の関係を検討した。

O/Wエマルションは、連続相の1.0 wt%デカグリセリンモノラウリン酸エステル水溶液に対して、

分散相のキャノーラ油を分散相含有率1, 5, 10, 20, 40 %(v/v)となるように混合し、プレミックス膜 乳化法によって油滴が単分散となるように調製した。香気成分は Limonene、Ethyl hexanoate、 2-Methylpyrazine、Nonanal、Benzaldehyde、Ethyl benzoate、ɑ-Terpineol、Geraniol、Benzyl alcohol、Octanoic acidを終濃度が100 ppmとなるように添加してヘッドスペースがないようにバ イアルに移し替え攪拌し、添加した香気成分を油水間で平衡化させた後使用した。

まず、気液平衡状態において気相に放出した香気成分をシリンジにより採取し、ガスクロマトグ ラフィーによって各香気成分の放出濃度を測定した。その結果、分散相含有率の増加に伴い、香気 成分の放出濃度は減少した。各分配係数との関係を検討したところ、分散相含有率によらずlog Pwa およびlog Poaと香気放出濃度との間に高い相関が認められた。このことから、気液平衡状態におけ るO/Wエマルションからの香気放出濃度の予測にlog Pwaおよびlog Poaのような2相間の分配係 数が有効であることが示された。

次に、ヘッドスペースに窒素を通気することで非平衡状態を維持し、香気成分の放出速度と分配 係数との関係を検討した。窒素通気時間に対する香気成分放出量の増加量を香気成分の放出速度と

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定義し、それぞれの香気成分で算出した。その結果、気液平衡状態の場合と同様にlog Poaと放出速 度の間に高い相関が認められた。このことから、気液平衡状態だけでなく、非平衡状態においても log Poaを用いることで香気放出挙動を予測できる可能性が示された。

最後に、Direct Analysis in Real Time Mass Spectrometry(DART-MS/MS)を用いて、O/W エマルションからの放出直後の香気放出挙動を測定した。測定用バイアルに O/W エマルションを 移し替えた直後 18 秒間の測定時間に対する検出イオンの増加率を放出直後の放出速度と定義し、

分配係数との関係を調べた。その結果、これまでの傾向とは異なりlog Poaとは相関が認められず、

log Powと高い相関を示した。また、log Pow値が低い香気成分ほど放出速度が減少していた。すな わち、放出直後に関しては香気成分の疎水性が O/W エマルションからの香気放出挙動に大きく影 響を及ぼすことが示された。

以上より、本研究では、3種類の分配係数と、O/Wエマルションからの香気放出挙動の関係を気 液平衡時、非平衡時、気相への放出直後の3段階で検討した。その結果、香気成分を添加したO/W エマルションを、測定用バイアルに移した直後は、水相に含まれる疎水度の高い香気成分がまず気 相へと移行するため、log Pow値が大きく放出速度に影響を及ぼすが、時間が経ち気液平衡状態に近 づくにつれて O/Wエマルション中の油滴への影響が大きくなり、log Poa値によって放出挙動の予 測が可能となることが示された。本論文は、O/Wエマルションのような複数の相を持つ物質からの 香気放出挙動を、二相間の分配係数を用いることでより簡便に予測し、効率的な加工食品の開発に 応用できると考えられる。

参照

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