日本歯科放射線学会 第 12 回臨床画像大会 日時:2007 年 10 月 19 日(金)・20 日(土) 場所:ザ・クレストホテル柏
担当:日本大学松戸歯学部放射線学講座 特別講演
Landmarks for Imaging of Head Neck Cancer Hugh D. Curtin, MD
(Department of Radiology Massachusetts Eye and Ear Infirmary) Head and neck carcinoma is almost always diagnosed clini-cally before the patient comes to be imaged. Imaging deter-mines the deeper extent of the lesion. The major types of spread are direct encroachment, submucosal spread, perineural extension, lymphatic metastasis. The specific landmarks that must be checked depend on location of the primary. Certain important landmarks can illustrate the basic principles of can-cer imaging and are the focus of this lecture.
Anterior oral cavity/floor of mouth: The inner cortex of the mandible is the key landmark. CT evaluates direct extension into bone. Is the bone normal? Is there minimal cortical ero-sion or has the tumor reached the medullary space? These findings determine the feasibility of marginal vs. segmental mandibulectomy.
Retromolar trigone/tonsillar pillar/posterior floor of mouth: In this complex anatomic region, submucosal spread can carry tumor along the tonsillar pillar from soft palate to the under-side of the tongue. The posterior floor of mouth is immediately adjacent to a gap in the sheet-like musculature. Tumor en-counters less resistence in spreading into the soft tissues close to the submandibular gland.
Roof of mouth: Perineural spread is particularly important in this location. Tumor can grow along the palatine nerves to the pterygopalatine fossa. The status of the fat in the fossa is an important indicator of the presence or absence of perineural spread. The entire course of the second division of the trigemi-nal nerve must be examined. The important structures include the infraorbial canal and the fat at the infraorbital foramen, the foramen rotundum and gasserian ganglion. The“trigeminal fat pad” just medial to the lateral ptery-goid muscle and just inferior to foramen ovale is a key land-mark for tumor spreading along the trigeminal or auriculo-temporal nerves. The fat in the stylomastoid foramen is the key landmark for tumor extension along the facial nerve into the temporal bone.
Lymph nodes: Nodal metastasis is a major determinant of prognosis. CT, MRI, Ultrasound and PET scanning can all as-sess the nodes. The best examination would have a low false negative rate. The key statistic is the error rate of the nega-tive finding. This percentage indicates the number of patients that have insidious tumor though the imaging is negative.
教育講演 1.CT・MRI における筋膜による鑑別診断 酒 井 修 (ボストン大学) 頭頸部画像診断において,筋膜解剖の理解は鑑別診断の組み立 ておよび病変の進展形式を考えていく上で重要である。しかし, この領域の複雑な解剖に加え,成書により筋膜解剖の記載方法が 異なる場合があり,その理解はやや困難かもしれない。ここでは 舌骨上頸部における筋膜解剖について,傍咽頭間隙を中心に話を させていただきたい。傍咽頭間隙はこの領域の筋膜解剖を理解す る上で,重要な間隙だが,成書での定義には大きく分けて 2 通 りの記載がある。一つは口蓋帆張筋から茎状突起へとのびる筋膜 により,前後に区分する方法(前茎突区 preslyloid と後茎突区 retrostyloid)で,前茎突区は脂肪のみ,後茎突区では内頸動静 脈,神経,リンパ節を有する。もう一つの区分法は,頸動脈鞘を 中心に“狭義の”傍咽頭間隙と頸動脈間隙に分ける方法である。 傍咽頭間隙が前者の前茎突区,そして頸動脈間隙が後茎突区にほ ぼ相当し,ほぼ同様の鑑別診断が組み立てられるが,基準となる 筋膜解剖が異なるため,厳密には同義ではない。また,舌骨上頸 部では頸動脈鞘は不完全である。傍咽頭間隙の前外側には咀嚼間 隙,後外側には耳下腺間隙,内側後方には咽頭後間隙,内側には 咽頭粘膜間隙が位置し,下方では顎下腺間隙と連続する,さらに は咀嚼間隙の前方には口腔と連続する頬間隙,そして口腔底部に は舌下間隙を認める。それぞれの間隙固有の正常構造物があり, それに伴ない鑑別診断が異なってくる。また特定の間隙が侵され た場合,特有の神経周囲進展を認めることがあり,その理解も重 要である。短時間で全てを網羅することは困難だが,CT,MRI 画像に加え,解剖の写真を交えながら,できるだけわかりやすく 話をさせていただきたい。 2.マルチスライス CT の原理と臨床応用 南 学 (筑波大学臨床医学系放射線医学) 近年の工学技術の発展とコンピューター性能の進歩,研究者た ちの不断の努力は,multi-detector row CT(MDCT)を日常臨 床に広く普及させ,10 年前には及びもつかなかったほど,CT を 高速化させることに成功した。MDCT の特徴は 1 回転 0.5 秒以 下という時間分解能と約 300 μという空間分解能の高さを持って, 人体の高精度の 3 次元データが得られることである。しかし 歯科放射線 2007;47(3):130-146
大会記事
それ以上に,CT の持つコントラスト分解能の定量性(CT 値) がより重要であると考えられる。これらの特長により,種々のソ フトウェア工学の進歩を MDCT の空間的データに応用すること が容易となり,3 次元画像診断が飛躍的に発展してきた。そして, 現在では「CT は横断像」という従来の概念は根本から覆され, 「任意の方向の断層像を得られる」のが MDCT の特徴となり, その 3 次元データを処理し computer-aided diagnosis や従来困 難であった立体的な画像診断を行うことも可能となってきている。 本講演では以上の点を意識し,CT の原理と 3 次元画像処理の 仕組みを簡単に説明しながら,現在の CT 画像診断の臨床の実際 を紹介する。さらに現在臨床応用が始まったばかりの 256 列 CT, cone beam CT,dual energy CT などの技術を紹介するとともに, 今後の CT 画像診断がどの様に発展していくかを予想し,我々は どの様な点に着目しながら臨床応用を進めていくべきかを考えて みる。そして最終目標としてその恩恵を日常臨床において患者さ んのために十分に役立てるためには,どのようなインフラ整備を 行い,日常業務をどう改善していくべきかについて,現在生じて きている種々の問題点を踏まえながら述べてみたい。 シンポジウム CT・MRI は我々に何をもたらしたのか 1.CT・MRI は我々に何をもたらしたのか 佐 野 司 (東京歯科大学歯科放射線学講座) CT は,1970 年の初頭に登場して以来,スリップリングの搭載, ヘリカルスキャンの開発を経て現在の MDCT が開発された。広 範囲・高分解能のヘリカルボリュームデータの収集が短時間に可 能になったことより,診断はもちろんのこと外科手術のシミュ レーションにも多く利用されている。一方,1970 年代後半より 臨床応用がなされるようになった MRI は,良好な組織分解能を 有していることから,軟組織を中心とした病態診断では特に有用 性が高く体の化学的,生理学的情報をもたらす重要な手段として も発展しているのは周知のことである。20 世紀に登場し,四半 世紀が経過したこれらの 2 大 modality は,今後も画像診断の中 心をなすものであることは疑いのないところである。 画像診断法を広く普及および適用させるには,もちろんその modalityが有する本質的な性能が優れていることが必要である。 しかし,現在の画像診断の体系は基本的に保険制度に立脚してお り,その背景から経済的な側面や不利益の可能性を含めた社会的 な側面を無視しては,いくら秀逸な画像診断法であっても現実的 に受け入れてもらえない。厚生労働省は,欧米各国と比較して日 本における診断を含めた標準的治療法の普及がなされていない現 状に鑑みていわゆる EBM に基づいたガイドライン策定を勧めて いる。ガイドライン策定には,エビデンスを得るための共通認識 に基づいた大規模臨床研究が必要となる。しかし,現状では,こ のような大規模臨床研究の施行は困難であり,その結果,エビデ ンスが得られている診療体系が極めて少ない,少ない中でさらに 日本人固有のデータが限られている等の問題が生じている。そこ で,すでに公表されたデータを用いてのメタアナリシス等,その 代用の方策が講じられているが,各学会では総じて頭を痛めて いるのが現状かと思われる。 今回,大会長の金田 隆教授によりメインテーマであるシンポ ジウムのモデレータをありがたくも仰せつかった。このシンポジ ウムですぐ上の段落に綴った“ややこしい話”ではなくガイドラ イン策定のいしずえとなる CT・MRI 診断に関わる診療体系を含 めた各施設の共通認識について有意義な討議をさせていただけれ ばと思っている。この深遠かつ最も興味のあるテーマをまとめさ せていただくには私は役不足の感があるが,吉浦教授,森本教授 および先生方のお力添えを頂戴し,ご参加の先生方の日常臨床に 寄与できる実りのあるシンポジウムとしたい。 2.CT・MRI は我々に何をもたらしたのか ○森本 泰宏,田中 達朗 (九州歯科大学口腔診断学講座画像診断学分野) 今回,私は金田 隆大会長より「CT・MRI は我々に何をもた らしたのか」というシンポジウムの中で,下記 3 点を中心にお 話し戴ければと仰せつかりました。 1.九州歯科大学歯科放射線科・放射線部における臨床体系 2.CT・MR1 を日常臨床にどのように利用しているのか ? 3.CT・MRI を含めた,本学での各疾患に対するディシジョ ンツリーは? (どのような疾患に CT 及び MRI を利用しているのか?) そのため,今回の講演では初めに現在の九州歯科大学歯科放射 線科・放射線部の現状(スタッフ数,業務内容,現有装置等)と 本病院の画像検査依頼のフローを説明させて頂きます。その状況 の中,私どもが日々行っております画像検査・読影件数の推移を お話し致します。その後,本学での X 線 CT 及び MRI 検査の位 置づけとしてどういった疾患に対し両検査を行っているのかを御 紹介させて頂きます。更に,それら疾患を X 線 CT 及び MRI 検 査を両方とも行うもの,どちらかのみを行うものに分類し,その 違いを比較した結果をお話しします。X 線 CT 及び MRI 検査を 両方とも行う疾患の代表例として挙げられるものは悪性腫瘍,良 性腫瘍・嚢胞性疾患及び炎症性疾患でした。しかし,各疾患の発 症部位により選択される検査法は大きく異なっていました。当然 の結果ですが,顎骨内に発症したものは主に X 線 CT 検査を, 軟組織に発症したものには MRI 検査が利用されていました。一 方,X 線 CT 検査特有の検査対象として,口腔インプラント埋入 の術前検査や埋伏歯と正常構造物との関係の評価が挙げられまし た。MRI 検査が主に行われている疾患としては,顎関節症及び 三叉神経痛の精査でした。その際,どのような状態の患者さんに 対し X 線 CT 及び MRI 検査を行うのかについても紹介させて頂 きます。更に,近隣の医科医療施設にもネットメディカルセン ターを通し,X 縁 CT 及び MRI 検査の読影報告書を作成してお りますが,その概略もご説明させて頂きます。 3.CT・MRI は我々に何をもたらしたのか 吉浦 一紀 (九州大学病院口腔画像診断科) 本大会のメインテーマである「CT・MRI は我々に何をもたら したか」について,当科で行ってきた診療体系の変遷を中心と
して考察を加えたい。 当科における診療の変遷を振り返ると,大きく三つの時期にわ けられる。第一期は CT が導入されるまでの 1986 年までで,こ の時期の診療の中心は唾液腺造影検査と X 線断層検査であった。 唾液腺疾患に唾液腺造影検査が適用されるのは当然であるが, CT・超音波検査装置を有していなかったため,唾液腺腫瘍に対 しても造影検査を行っていた。また,X 線断層検査が現在の CT 検査の代用となっていたが,その中心は上顎洞疾患,顎関節疾患 であった。 第二期はその後 1997 年頃までで,診療の中心が CT に移った 時期である。超音波検査装置はそれより前に導入されていたが, CTの導入とともにその活用範囲も格段に広がった。超音波検査 装置,CT の導入によって,軟組織疾患全般について画像検査を 行えるようになったことが特筆される。 第三期はその後から現在に至る期間で,MRI を診療に用い始 めた時期である。また,超音波検査も B モード法だけでなく, ドプラー法を利用しはじめた。残念ながら MRI が当科に設置さ れていないため,現在に至るまで MRI 検査は外注であるが,必 ず当科の画像診断医が検査を行う病院に出向き,検査の指示・読 影を行っている。MRI の利用により顎関節疾患のほとんどすべ ては,CT から MRI へと移っていった。 このような変遷により,唾液腺造影検査,超音波検査について はほぼ疾患に対する画像検査法の適応が確立されたが,MRI 検 査を手軽に行うことができないという当科の制約により,CT と MRIについては必ずしも疾患に最適な検査法が適用されている とは限らない。このような施設特有の限界はあるが,当科におけ る画像検査法の体系について,問題点とともに参考として紹介し たい。 モーニングセミナー 世界に羽ばたく放射線科医: 米国からのたより 1.世界に羽ばたく放射線科医:米国からのたより 酒 井 修 (ボストン大学) 米国では医学部卒業後,1 年間のインターン,4 年間のレジデ ンシーの後に試験に合格し,晴れて放射線専門医となる。そして, 通常,専門領域での 1 ∼ 2 年のフェローシップを経てスタッフ となる。米国の放射線科は,豊富なマンパワー,潤沢な研究費, 高い専門性,充実した教育といった印象が強いかもしれない。米 国放射線科の現状を日米の違いを踏まえ,ボストンを例に述べる。 大学病院での業務は日本と同様,臨床・教育・研究という三本 柱からなり,臨床が最も重要なことに違いはない。高い臨床レベ ルを保っため,放射線科および病院内外に多くのチェック機構が あり,医療過誤の防止,その対応に力を入れている。単にレポー トを出すだけでなく,依頼医と直接会話することが重視される。 米国では日本以上に診断,治療方針の決定に放射線科医の意見が 大きく反映され,その役割は大きい。レジデントの教育は重要な 使命で,毎日朝昼 2 回のカンファレンスが行われている。レジ デントは 4 週間ごとにローテーションし,各専門分野での教育 を受ける。学生は 4 年生が 4 週間ずつ回ってきており,朝昼の レジデントのカンファレンスに加え,さらに 2 つの学生のため の講義を受け,その他の時間は読影に加わっている。当然,大学 では研究は非常に重要な課題である。学会および論文発表はレジ デンシー,あるいはフェローシップへの応募にも影響するため, 若いときから積極的に研究に参加する者が多い。放射線科の運営 を考えると,論文発表も大事だが,いかに大きな研究費を取るか ということが,重要となる。 米国放射線科の形態は理想的とも思われがちだが,実際には多 くの問題点も抱えている。この話が今後の日本の放射線科の発展 の方向性を考える機会に,また,これから海外へ出ようと思われ ている方々の参考になれば幸いである。 2.歯科放射線科医として留学して 音成 実佳 (東京歯科大学歯科放射線学講座) 歯科医師として一般歯科治療に従事することより,「歯科放射 線」という領域を究めることに興味を持ち,「歯科放射線科医」 として歩き出して 12 年が経ちました。私は大学を卒業した 1995年から 2 年前の 2005 年まで昭和大学歯学部歯科放射線学 教室に在籍していました。そして岡野先生の御厚意により,2000 年 7 月から 2002 年 6 月までの 2 年間,米国の Boston にある Harvard大学の Massachusetts Eye and Ear Infirmary(MEEI) の放射線科に留学をさせていただきました。その 2 年間の留学 は私にとって,人生観が変わるほど重要で有意義なものでした。 世界には 200 ヶ国近くの国が存在します。米国(アメリカ合 衆国)はその中の 1 国に過ぎませんが,世界最大の学会,「北米 放射線学会」が開催される国であり,放射線というフィールドに おいては最も進んだ国であると言えます。その米国での留学にお いて,私は頭頸部放射線の領域で有名な Dr. Hugh D. Curtin の 下で画像診断学を深められただけでなく,歯科放射線科医という 立場をグローバルな視野から眺めることができました。また,他 国への留学という体験を通して,1 人の人間としての生き方や可 能性についても熟考しました。 このセミナーでは,MEEI 留学の大先輩でいらっしゃる大会 長の金田 隆教授に,やはりお世話になりました酒井先生との対 談の御機会を与えていただきました。僭越ですが,私の留学中の 体験を交えながら,歯科放射線科医として,国際的にどのように 参加し,貢献できるかを,極めて私的な見解を述べさせていただ くことによりわずかながらでも後進のお役に立てればと思ってお ります。 Work in progress 1 コーンビーム CT 最前線 1. 歯科用 X 線コーンビーム CT PSR9000N, ALPHARD シリーズについて 岡田 光司 (朝日レントゲン工業株式会社 東京営業所) 弊 社 で は 歯 科 用 X 線 コーンビ ーム CT とし て 2004 年より PSR9000Nを発売し,さらにその 2 年後の 2006 年より ALPHARD
シリーズとして ALPHARD,ALPHARD VEGA の,2 機種を発 売させていただきました。 PSR9000N は CT モードとして,デンタル CT モード,ブロッ ク CT モード,パノラマ CT モードを有します。デンタル CT モードは直径 41mm,高さ 40mm の円柱状の撮影領域を持ち, パノラマ CT モードは歯列弓に沿った管状領域を撮影領域としま す。ブロック CT モードはパノラマ CT モードの領域を用途に応 じ分割して撮影を行います。さらにデジタルパノラマモードを有 し,所謂パノラマのデジタル画像を取得することが可能です。 ALPHARD シリーズは,ALPHARD,ALPHARD VEGA の 2 機種を擁し,ALPHARD は 3 モード,VEGA は 4 モードの撮影 領 域 を 持 ち ま す。VEGA の 最 大 撮 影 領 域 は 直 径 200mm, 179mmであり歯科用 CT としては最大級の撮影領域となります。 今回はこの 3 機種について各々の特徴について説明します。 2. 歯・顎顔面用コーンビーム X 線 CT(CB MercuRay・ CB Throne の活用性 上 野 完 (株式会社日立メディコ XR 営業本部) 【はじめに】歯科領域における画像診断法としてはデンタル X 線やパノラマ X 線,セファログラフィー等が日常診療において 利用されてきました。近年,特にインプラト治療や,矯正治療に おける高度な診断においては医科用 X 線 CT などが用いられて きましたが,しかし,解像度が粗いなど種々の問題点がありまし た。 これらの点を解決した日立歯・顎顔面領域の診査,診断に適し た歯科用 CT を紹介します。 【特徴】日立は,視野切り換えにより疾患や部位ごとに最適な 撮影範囲と解像度を選択できます。また,高い解像度と優れた寸 法再現性により,歯・顎顔面領域の微細な構造を再現でき,予知 性の高い診断,インフォームドコンセントに活用されています。 (1)1 スキャン約 10 秒と短時間で撮影できます。 (2)撮影範囲を広く撮ることができます。(撮影範囲の切換が 出来ます) (3)歯・顎顔面領域で必要とする体軸方向にも高い連続性を 得ることが可能です。 (4)画像表示機能により立体像,任意断面,透視像など多種 多様な画像の表示が可能です。 3. 3D(CT)・パノラマ複合型エックス線撮影装置 Veraviewepocs 3D について 三 浦 孝 (株式会社モリタ東京本社営業部営業推進部 2 グループ) 従来の CT 装置に代わる歯科診療に最適化された CT 装置の開 発は 1992 年より始まります。当時,日本大学放射線科に在籍し ておられた新井嘉則先生(現,松本歯科大学大学院客員教授)が 開発に着手され,1997 年 12 月より臨床応用が開始されました。 その後,モリタ製作所が日本大学より技術移転を受け,それまで 無かった「歯科・頭頸部用小型 X 線 CT 装置」として,薬事法 で始めて分類項目が新設され,国内初の医療用具製造許可を取得 し,2001 年に「3DX マルチイメージマイクロ CT」の名称で販 売を開始いたしました。 CT開発当初よりそのコンセプトとして ①複雑な形態をしている頭頸部の硬組織内に限局して発生した 病変を 3 次元的に観察できること ②非常に高い空間分解能(2 line pair/mm 以上)があること ③短時間に撮影が完了すること ④抵被曝線量であること ⑤装置が小型であること (新井嘉則先生:歯科用小型 X 線 CT による 3 次元画像診断と治 療 医歯薬出版) 以上の 5 つを掲げ,日常臨床の広い範囲で高精細な画像で安 全に活用できる CT 開発を目指してまいりました。技術面に起き ましても X 線光電子増倍管(I.I 管)からフラットパネルディテ クタ(FPD)の採用により撮像領域の拡大と高解像度を実現い たしました。 2007 年 3 月にドイツで開催されました IDS(国際デンタ ルショー)では,歯科用 CT 装置の開発全てに携わってきた ノウハウを基に,パノラマ X 線撮影装置に 3D(CT)画像を 撮影できる機能を付加した複合型の X 線撮影装置を開発し 「Veraviewepocs 3D」の名称で発表いたしました。 本装置は従来の歯科診療流れを変えることなく平面画像による 診断から 3 次元イメージによる診断を可能としました。また, 3DXで培われた技術が高解像度の画像を実現いたしました。今 回,この「Veraviewepocs 3D」の特徴についてご説明いたします。 4.CBCT ファインキューブのご紹介 我妻 孝則 ((株)ヨシダ・(株)吉田製作所 テクニカルセンター) 発売より 1 年近くが経ちましたファインキューブの概要につ きまして,ご紹介させて頂きます。既存空間の改造を最小限に留 めながら導入できるパノラマサイズとさほど変わらないコーン ビーム CT として,最小・最軽量・最良画質を目指し開発を進め てきました。本装置には標準撮影モードと高解像度撮影モードの 2つ の 撮 影 モ ー ド が あ り ま す。 標 準 撮 影 モ ー ド は FOV が Φ 81.0mm×H75.2mm,最小スライスが 147μm,このモード ではほぼ上下顎全貌を捕らえることができます。また,高解像度 モ ー ド は FOV が Φ 55.7mm×H51.7mm, 最 小 ス ラ イ ス が 101μm,標準撮影モードからの単純な FOV サイズの変更によ る拡大ではなく,細かい部分の描出に特化した撮影モードとなっ ています。それぞれの撮影モードについて標準モードと高精細 モードを備え,標準モードでは画像再構成のための 512 枚のフ レーム画像を 19 秒で取得します。CT スキャンに要する時間を 短くし,患者ブレの影響を抑えることを目的としています。高精 細モードでは標準モードの 2 倍のフレーム画像,1024 枚を 37 秒で取得します。多くのフレーム画像を利用して画像再構成を行 うことにより,再構成画像のノイズを低減させることを目的とし ています。また,撮影領域の位置付けでは CCD カメラによるビ デオ画像を利用することで位置確認のためのスカウトショットを 最小限に抑えることができ,CT スキャン後の画像再構成に要す
る時間は約 3 分の短時間を実現しました。ビューアでは診断の ための任意断層の表示や移動,患者さんとのコミュニケーション ツールとしても有用な 3D 像の表示や加工もスムーズに行えます。 撮影したデータやビューアで表示したシーンを DICOM 形式の ファイルに出力して,他の治療計画ソフトと連携することが可能 です。このビューアの機能すべてをネットワークを介して別のコ ンピュータで利用可能とするネットワークオプションの中でも, サーバ機と変わらずスムーズな操作感となることにもこだわりま した。
Work in progress 2 最先端の MRI
1. 3テスラMR装置MAGNETOM Trio, A Tim System の紹介
諸 井 貴
(シーメンス旭メディテック株式会社 マーケティング本部 MR グループ) 当社 3 テスラ MR 装置 MAGNETOM Trio,A Tim System で 実現されている様々な技術を紹介する。 SPACE 法は,スピンエコー系のコントラストを持ちながら 1 mm以下の等方形ボクセルデータを短時間に収集可能な,シー メンス独自の三次元撮像法である。1 回の撮像で得た 1 mm 程度 の等方ボクセルデータを任意断面に再構成できるため,多方向 での検査が必要な場合は検査時間の短縮が見込める。この SPACE法は T1 強調,T2 強調,FLAIR,プロトン密度強調画 像と全てのコントラストで使用できるため様々な検査部位に使用 できる。 この撮像法ではリフォーカスパルスのフリップ角を 180°以下 に可変させているため 3 テスラ MR 装置で問題視される人体へ の電磁波照射を抑制(即ち SAR の抑制)することが可能である。 SPACE法は SAR の低減をはかりながら,かつ磁化率の影響に 強い SE 系シーケンスで撮像できるという 3T での課題を解決す るシーケンスである。また非常に高分解能な 3D のデータを短時 間に撮像できるということから S/N の高い 3T においてその有 用性を十二分に活かす事ができる。 3 テスラ MR 装置では 1.5 テスラ MR 装置と比較してモーショ ンアーチファクトが顕著に現れるという問題がある。この動きの 問題を軽減するために開発されたのが BLADE 法である。 新しく開発された BLADE 法ではマルチショットに撮影され た各エコートレインの束(blade)を k-space の中心に円状に収 集することで k-space 中心部分のデータを重点的に収集し,加算 効果を得ることができる。また,各 BLADE から計算される低 分解能の画像をもとに被検者の動きを補正し,不定期な動きによ るモーションアーチファクトを抑制することができる。 救急,小児,高齢者など動きの抑制が困難な被検者に有効で, Tl強調,T2 強調,FLAIR,プロトン密度強調画像などのコント ラストをアキシャル,サジタル,コロナル全ての撮像方向に使用 できる。適応部位も頭部から脊椎,四肢関節,体幹部と全身へ応 用が可能となっている。
2.Work in progress「最新の MRI」 青木 郁男 (東芝メディカルシステムズ株式会社 MRI 事業部) 国内に臨床用 MRI 装置が導入されてから 25 年が経ちます。 当初は腫瘍と正常組織の鑑別を目的に関心領域の T1 値の測定に 注力される場面もありましたが,その優れた組織間コントラスト を活かした臨床応用研究や装置開発が続けられ,イメージング装 置として重要な役割を果たす存在へと発展を遂げています。また その進歩に貢献した様々のソフトウェア,ハードウェア開発は, 画質の向上とともに撮像時間の高速化,検査環境の改善をもたら しました。 なかでも撮像時間の大幅な短縮を可能としたパラレルイメージ ング技術の登場は,MRI 検査に大きな恩恵をもたらした技術革 新といえましょう。 東芝は昨年の北米放射線学会において,次世代のパラレルイ メージングともいえる Atlas SPEEDER を発表しました。例え ばこれまでは同じ頭頸部領域検査でも,広い撮像領域と局所の関 心領域を撮像する場面においては,その都度専用の受信コイルを 装着し直さなければ良好な画質が得られなかったものが,予め広 範囲用と狭い関心部位を撮像する受信コイルを複数装着し,それ ぞれの撮像を継続して行うことが可能となります。パラレルイ メージングによる撮像自体の高速化のみならず,患者さんにとっ ての負荷の軽減にも繋がり,検査全体のさらなる効率化が期待さ れます。 もう一つのトピックスとしましては,昨今注目が高まる非造影 MRA技術の進歩です。FBI 法の登場で動脈・静脈分離描出を実 現し約 10 年となります。近年は血管形態描出のみならず流れの 情報を引出そうという研究も行われており,スピンラベリング法 を応用した Time-SLIP 法の登場は,血液や脳脊髄液の流れの様 子を可視化することを実現しています。また高い時間分解能を実 現した流れの描出の試みが進むなど,新しい機能情報と安全性の 高い検査に期待が寄せられています。 3.オープン MRI の有用性 増田 智徳 (株式会社日立メディコ MRI マーケティング本部) 【はじめに】MRI 装置は放射線被曝がないという特徴を持ち, 高い有用性を有している。しかし,近年では MRI の高磁場化が 進み,3.0T など超高磁場 MRI も登場して MRI の安全性にも注 意が要求される状況にある。これに対し,安全性・快適性を追求 することで発展してきたオープン MRI を紹介する。
【オープン MRI の特徴】オープン MRI は普及型 MRI として の永久磁石 MRI の登場からはじまった。日立は 1987 年の永久 磁石 MRI 装置の市場投入以来,主に垂直磁場方式の MRI を開 発してきた。垂直磁場方式の MRI は,その構造上,横方向の開 放性を容易に実現することが可能で,この特微は閉所恐怖症の被 検者が多い米国などでより開放性の高い装置への要求と一致した。 開発当初より垂直磁場方式永久磁石 MRI は, (1)高感度:受信用のソレノイドコイルは水平磁場方式で使 用されるサドルコイルの約 1.4 倍高感度
(2)設置性が高い:水平磁場方式に比べ漏洩磁場範囲が狭く, コンパクト (3)低ランニングコスト:高額な液体ヘリウムを使用せず, 電力消費もわずか という利点を有ていたが,これに加えてガントリのオープン性と いう特徴を備えることとなった。 【検査の安全性】MRI 装置の安全性についてはいくつかの規格 がある。MRI による主な生体への影響は,静磁場,傾斜磁場, RF(高周波磁場)パルスが与える影響と考えられる。 特に,RF による影響は吸収されるエネルギー量で表さるが, そのエネルギー量は静磁場強度に依存し,磁場強度の 2 乗に比 例して増大する。従って,高磁場装置での検査にはより注意を払 う必要がある。 日立はこうした点から,臨床に必要な画質と,低い磁場強度で の検査を両立するシステムを提供することが MRI に望まれてい ると考えている。特に,歯科領域では,インプラント金属の MRI撮像に与える影響が問題となっており,この点においても 中・低磁場のオープン MRI には優位性があると期待されている。 日立は,今後もさらに高性能化とワイドオープン化に取り組み, より快適な検査環境を提供していきたいと考えている。
4. PHILIPS 最 新 MRI の ご 紹 介 ―So advanced, it’s
simple― 廣瀬加世子 ((株)フィリップスエレクトロニクスジャパン メディカルシステムズ 営業本部 T&C 部 MR 営業技術) 1.5TMRI が登場して約 20 年が経ち,装置ハードウェアやアプ リケーションの開発が急激に進んでいます。今では MRI 登場初 期には考えられなかった,急性期医療や循環器領域まで MRI が 多岐に渡り活用されるようになりました。そして近年,更なる MR1検査の可能性を広げるため,国内で 3.0TMRI が市場に投 入されました。 今まで 3.0TMI は,頭部領域における有用性は広く知られてい ましたが,1.5TMRI 同等にコンパク卜化されたマグネットや, 「RF-SMART」と呼ばれる RF 送信コントロール技術などのハー ドウェアの目覚しい進歩により,整形,骨盤,乳腺,さらには上 腹部,心臓に至るまで臨床応用が進み,少しずつ有用性が見えて きています。例えば,1.5T では撮像視野を絞りマイクロスコピー コイル(径 47mm,23mm)で実現した空間分解能(最小ピク セルサイズ 100μm2)が,3.0TMRI の高 SMR を活かすことで 撮像視野を確保しつつ可能になります。またボリュームイメージ が臨床的な時間内で可能になることで,一度の撮像で多断面の観 察が可能になり,腫瘍疾患の浸潤の有無や範囲を確認できます。 今回は 3.0TMRI の臨床画像や,1.5TMRI にも共通する弊社の最 新アプリケーションをご紹介します。 また「SmartExam」シリーズという,高い専門性を必要とする MRI操作をシンプルにする技術が開発されました。これは装置 自身が検査の履歴からプランを学習し,実行する全く新しいコン セプトを持った技術です。頭部用は既に製品化され評価を得てい ますが,新たに膝関節,肩関節,脊椎用が開発中で製品化が決定 しています。またさらに循環器(心臓)領城への開発にも着手し ております。フイリップスの提案する新しい検査ワークフローと, 誰が行っても同じ画像の取得ができるという検査の標準化の可能 性をご紹介します。 一般口演 1. 下顎骨舌側孔の形態学的検討:臨床歯科用 CT 画像上での 評価 ○片上かおり,三 島 章1,下田 信治2,濱田 良樹3 小 林 馨 (鶴見大・歯・歯放,1同・病院画像検査部, 2同・解剖一,3同・口外一) 【目的】臨床における歯科用 CT 画像上で,下顎骨舌側孔の部 位別頻度と解剖学的特徴を評価する。 【方法】190 検査(180 名)から得られた下顎骨歯科用 CT 画 像を対象に,舌側孔の有無と特徴を調べた。下顎骨を,隣在歯を 指標とした 16 部位に正中線を加えた 17 部位に区分し,舌側孔 の部位別頻度を明らかにした。オトガイ孔,下顎管との上下関係, 下顎下縁から舌側孔までの距離,大きさを評価した。さらに舌側 孔から続く管と下顎管との吻合を,連続する歯列横断像で確認し, 舌側孔の位置と下顎管での吻合部との関係を検討した。 【結果】合計 154 の舌側孔が観察され,部位別頻度は,正中線 100%(21/21)>第二小臼歯部 36%(54/150)>犬歯部 19% (12/62)であった。正中線では 21 部位中,18 部位で上下に複 数の舌側孔を認めたが,その他の部位で複数検出されたものはな かった。観察された舌側孔はすべてオトガイ孔,下顎管の下方に 存在し,下顎下縁からの距離は 7.06mm(SD:1.15),水平的径 は 1.17mm(SD:0.28),垂直的径は 0.88mm(SD:0.20)で あった。下顎管との吻合は 31 例で確認された。第二小臼歯部の 54例中 24 例,第一大臼歯部の 7 例中 5 例の舌側孔では,続く 管の下顎管への吻合を認め,吻合部は下顎管のオトガイ孔近辺か ら前方分枝に集中していた。犬歯部から近心の舌側孔からの吻合 は認めなかった。 【考察】正中線以外の側方領域で認めた最も高い部位別頻度は, 右側第二小臼歯部の約 40%であった。舌側孔は,正中部以外で は第二小臼歯の舌側下方領域に存在する傾向があり,オトガイ孔 間だけではなく,下顎骨の遠心領域にも出現することが明らかに なった。第二小臼歯部から第一大臼歯部の舌側孔には,続く管が 下顎管に合流するケースが多くみられた。 【結論】舌側孔とそれに続く管は,下顎管,オトガイ孔の下方 に存在することから,これらの解剖構造は,下顎管を損傷しない レベルでの抜歯やインプラント埋入においては問題とはならない ことが考えられる。しかし下顎骨の舌側領域の脈管系の走行には 多様性があり,舌側孔と続く管の存在と解剖学的特徴を理解して おくことは臨床的に有意義である。
2.上顎犬歯根尖部の CT 解剖 ○林 孝 文,五十木裕子,佐久間久美子,新 国 農 斎藤美紀子,田 中 礼,平 周 三,小山 純市 勝良 剛詞,西山 秀昌 (新大・院・顎顔面放射線) 【目的】これまで我々は,上顎前歯・犬歯部の唇側皮質骨に断 裂が存在すれば,超音波検査(US)による皮膚面からの走査で 根尖病変が評価可能であること,また犬歯窩部の慢性痛と犬歯根 尖部唇側に認められる病的軟組織との間に何らかの関係が示唆さ れることを報告した。そこで,犬歯根尖部の炎症像についてさら に詳細に画像診断を行なう上での基礎的検討として,同部の唇側 皮質骨や軟組織の断面解剖について,CT により評価した。 【方法】顎変形症の評価のために撮影されたシングルヘリカル CT画像から無作為に 100 症例を抽出し,以下の検討を行なった。 犬歯に根管治療が行なわれている症例は除外した。 (1)上顎犬歯根尖の位置について,唇側皮質骨との関係から 以下の分類を行った。 ① 根尖が唇側皮質骨よりも内側に位置しているタイプ(骨内 型) ②根尖が唇側皮質骨の位置に一致しているタイプ(骨面型) ③ 根尖が唇側皮質骨よりも外側に位置しているタイプ(骨外 型) (2)上顎犬歯根尖部唇側に接する周囲軟組織の所見を評価した。 【結果】(1)対象 100 症例 200 側の上顎犬歯根尖の位置は以下 の通り。 ①骨内型:86(右側 41・左側 45) 43% ②骨面型:105(右側 54・左側 51) 52.5% ③骨外型:9(右側 5・左側 4) 4.5% なお,解剖学的に犬歯部に多いとされる骨壁の穿孔や欠損は明 確に特定はできなかった。 (2)唇側に接する軟組織については,すべての症例で上顎犬 歯根尖部は表情筋と脂肪組織との境界部に位置していた。 【考察】骨面型・骨外型を合わせると 6 割弱程度あり,犬歯根 尖部の炎症性変化が唇側皮質骨を覆う骨膜に影響を与える可能性 があることが示唆された。また,犬歯は唇側に脂肪組織が近接し ており,CT や US で病的軟組織の検出が比較的容易と考えられ た。 【結論】上顎犬歯根尖部については,高精細な CT と US で唇 側の解剖構造を詳細に評価する臨床的意義がある。 3.CBCT を利用した歯槽骨からの歯根露出の観察 ○四井 資隆,蒲生 祥子,林 靖 久,板垣 恵輔 古跡 孝和,清水谷公成 (大歯大・歯放) 【目的】臨床現場では難治性疼痛を伴った根尖病巣や根管充填 終了症例に遭遇することがある。このような症例にコーンビーム CT(CBCT)を撮影すると唇頬舌的に根尖や歯根が歯槽骨外に 露出している場合がある。そこで今回,CBCT を用いて個々の 歯を唇頬舌的に観察し,主に歯根露出頻度を検討したので報告す る。 【方法】大阪歯科大学附属病院中央画像検査室設置の CBCT 3D Accuitomo(モリタ製作所,京都)で撮影した症例のうち全 顎撮影を行った 30 例(965 歯)を試料とした。 付属の MPR 画像 i-View 上で①個歯が生活歯か失活歯か,② 歯根尖や歯根の露出・突出の有無を観察し,③画像上の根尖孔か ら歯槽骨表面までの最短距離を計測した。なお,計測は個歯につ いて 5 回行い,上限下限の 2 回を除いた 3 回の平均値を個歯計 測値とした。 【結果】①試料に含まれる歯は生活歯 798 歯,失活歯 167 歯 (計 965 歯)。 ②歯根露出は上顎で多く,486 歯中 125 歯(26%)が根尖の 穿孔ないしは根の露出を伴っていた。特に犬歯で最も露出頻度が 高く,55 歯中 31 歯(56%)確認できた。下顎では 479 歯中 30 歯 (6%)に見られた。 ③上顎犬歯根尖と歯槽骨表面の距離が最も近く 1.0mm であっ た。上顎中・側切歯や上顎第一小臼歯,下顎中切歯では概ね 2 mm以下であった。 【考察】一般歯科治療ではデンタルエックス線写真やパノラマ エックス線写真が主に活用されている。特に歯内治療ではデンタ ルエックス線撮影が多用されてきた。この撮影法では歯根の穿 孔・露出症例に対しては観察が困難であった。そのため,根管治 療終了後の疼痛は不定愁訴として処理されてきたと推測される。 一方,CBCT の出現によって唇頬舌方向の断層像が従来の医科 用 CT よりも詳細に観察できるようになったことの意味は大きい。 【結論】今回の知見は CBCT が根管治療の最適化に貢献し,歯 科における不定愁訴的な疼痛の原因を探る上で有効であろうこと を証明している。 4.コーンビーム CT(CBCT)を用いた下顎枝部下顎管の観察 ○内藤 宗孝1,2,平岩裕一郎1,相宮 秀俊1,後藤 真一1 有地 淑子1,泉 雅 浩1,2,有地榮一郎1 (1愛知学院大歯・歯放射,2同病院・口腔インプラント外来) 【目的】歯科インプラント治療や抜歯手術において,下顎管の 位置や走行を把握することは重要であり,従来から種々な X 線 画像を用いて観察されてきた。近年,詳細な 3 次元的観察が行 えるコーンビーム CT が開発され,X 線に対する寛容度が広いフ ラットパネルディテクタの採用や撮影範囲の広域化などの改良が なされ,歯科臨床に急速に普及している。 そこで今回,コーンビーム CT 画像を用いて,下顎枝部での下 顎管の走行を観察した。 【方法】対象は,インプラント画像診断のためにコーンビーム CT撮影が行われた 64 患者とした。コーンビーム CT 装置とし て Alphard VEGA(朝日レントゲン工業)を用いた。撮影領域 は 直 径 102mm, 高 さ 102mm, ボ ク セ ル サ イ ズ は 0.2mm× 0.2mm×0.2mmとした。得られた DICOM 形式のデータをパー ソナルコンピュータに取り込み,OsiriX ソフトウェアを用いて 種々な断面の 2 次元画像を構築した。そして,下顎枝部の下顎 管の走行を観察するとともに,分岐管の長さを計測した。 【結果】下顎枝部での下顎管の分岐は,28 患者(44%),39 側 (31%)に認めた。また,その分岐は大きく 3 タイプ,つまり臼
後管タイプ,歯管タイプ,前方走行管タイプに分類することがで きた。歯管タイプは第 2 あるいは第 3 大臼歯と関係し,その頻 度では 7.8%の患者にみられ,また,その分岐管の長さは平均 0.86cmであった。 【考察】下顎枝部での下顎管の分岐は,パノラマ画像を用いた 報告(0.08∼0.95%)と比較して,コーンビーム CT 画像による 観察でははるかに高率で確認できた。 【結論】コーンビーム CT 画像を用いることにより,歯科イン プラント治療や抜歯手術において下顎管についての詳細な術前画 像診断を提供し得ることが解った。 5. CT-arthorography の造影剤濃度の最適化とファントムに よる各種 CT の関節腔癒着像の検出能の比較 ○大林 尚人,M.A. モミン,坂本潤一郎,渡 邊 裕 倉 林 亨 (東医歯大院・口腔放射線) 【目的】造影剤を顎関節腔に注入して CT 撮影を行う CT-arthrographyに使用する造影剤の濃度の最適化を行うとともに, multi detector CT(MDCT) お よ び 2 種 類 の cone beam CT (CBCT)の関節癒着像の検出能を比較する。 【方法】癒着像を模した直径 0.128mm から 0.5mm の 8 本のナ イロン糸からなるファントムをゴム風船の中に入れ,オムニパー ク 350(Iohexol:350mgI/ml)を原液および 5 から 50%に希釈 した造影剤で満たした。ファントムの入ったゴム風船は乾燥頭蓋 骨の顎関節部に固定し,散乱体として含水ゼリー保冷剤で周囲を 囲み撮影を行った。撮影には,MDCT として Sensation64(シー メンス)を用い,CBCT として 3DX(モリタ),FineCube(ヨ シ ダ ) を 用 い た。MDCT は, ボ リ ュ ー ム ス キ ャ ン 後 FOV: 50mm×50mm, ス ラ イ ス 厚:0.6mm の 再 構 成 画 像 を 得 た。 3DXは FOV が直径 4 cm 高さ 3 cm の円柱状で,0.5mm のスラ イ ス 厚 で 再 構 成 し た。FineCube は,FOV: 直 径 56.5mm× 51.7mm,0.5mm のスライス厚での再構成画像を得た。さらに すべての画像はナイロン糸に対して垂直な断面になるように再構 成し,4 人の評価者がその断面上で充洩欠損像の有無を評価した。 評価には,糸の中央部 12 枚の連続スライスを用い,ランダムに 評価者に提示した。 【結果】もっとも太い直径 0.5mm の糸による充曵欠損像は 40∼50%の濃度で MDCT および 2 種類の CBCT で完全に検出 できた。0.405mm の糸は 30∼50%の造影剤像度で各 CT ともに 80%以上の検出能を示した。MDCT で検出可能な糸の直径は 0.33mmが限界と考えられ,3DX では 0.235mm が限界であった。 いっぽう,FineCube では 0.205mm の糸でも最適な造影剤濃度 では 50%程度検出が可能で,さらに細いものも一部で観察可能 であった。 【考察】顎関節癒着像を模したファントムの検出能については, ボクセルサイズの小さい順位検出能が高かったが,3DX と Fine-Cubeの間はボクセルサイズ以上に大きいと考えられた。これは, ダイナミックレンジの大きさや 3DX の被曝低減のためのメカニ ズムが両者の差を大きなものにする可能性が考えられれた。 【結論】造影剤の濃度は 30%から 50%程度が適切と考えられ これは 100∼180mgI/ml にあたる。検出能は,FineCube がもっ とも優れており,これに 3DX が続き,MDCT は直径 0.4mm 程 度の癒着像は検出できるが 3 者の中では検出能が低かった。 6.上顎に発生した節外性悪性リンパ腫の CT 所見 ○岡村 和俊,中山 英二1,筑 井 徹2,河津 俊幸2, 吉浦 一紀,中村 誠司3 (九大・学歯・画像,1北医療大・歯・歯放, 2九大・学病院・画像,3九大・歯・腫瘍制御) 【目的】上顎に発生した節外性悪性リンパ腫を診断する際に有 用な臨床所見および画像所見の特徴を明らかにすること。 【方法】対象は九州大学病院口腔画像診断科において CT 検査 を行い,病理学的に確定した上顎部節外性悪性リンパ腫 15 例で ある。CT に加え,パノラマ X 線写真や口内法 X 線写真等他画 像所見を分析し,臨床所見・他検査所見を併せて上顎部節外性悪 性リンパ腫の特徴的所見がないかを検討した。 【結果・考察】皮質骨を超えて外向性に膨隆する悪性リンパ腫 では,腫瘍内部に一部皮質骨が残存する傾向にあり,骨破壊も繊 細な印象の症例が多かった。特に上顎洞に進展するものに関して は,洞壁硬化・上顎洞根治術後所見など炎症性変化との関連が示 唆された。ただし,サイズが小さいものや炎症による歯槽骨吸収 を伴っているものは,これらの所見の判断が困難であった。 【結論】上顎周囲に発生した悪性腫瘍において,上記の所見が みられれば節外性悪性リンパ腫を鑑別診断に加えるべきであると 考えられた。 7. 頭頸部領域における節性・節外性悪性リンパ腫の MR イメー ジング ○角 美 佐,木村 泰男,角 忠 輝,中 村 卓 (長崎大院・頭頸部放射線) 【目的】私たちはこれまで,1)頭頸部領域における節性悪性 リンパ腫のみかけの拡散係数(ADC)は,炎症性腫大リンパ節 や扁平上皮癌転移リンパ節の ADC に比べて有意に低いこと,ま た 2)咽頭部に発症した節外性悪性リンパ腫の ADC も,同部位 扁平上皮癌の ADC より有意に低いことを報告したが,悪性リン パ腫については,未だ明らかにされていない点が多い。そこで本 研究では,頭頸部領域に発症した悪性リンパ腫を節性と節外性に 分けて,MRI 上の特徴について,特に,1)拡散強調イメージン グにて得られた ADC,2)造影ダイナミックイメージングで得 られた Time-signal intensity curve(TIC)について検討した。
【対象および方法】2003 年以降,当教室にて MR 検査を行い, 病理で悪性リンパ腫と確定した症例を対象に,発症部位,病型, ADC,TIC について解析を行った。さらに頭頸部扁平上皮癌症 例の ADC,TIC と比較した。 【結果および結論】悪性リンパ腫を節性と節外性に分けて検討 を行った結果,扁平上皮癌に比べて ADC が有意に低いことが共 通の特徴であり,病型による違いは認めなかった。TIC につい ては,節性,節外性のどちらにおいても多様なパターンを呈する ため,TIC のみでは扁平上皮癌との鑑別が難しい場合があると 考えられた。
8.CT と MRI による舌癌の立体評価 ○富田 世紀,柿本 直也,片岡 精観 ジラー・ヂンダソムバッザロエン,中谷 温紀 内山 百夏,村上 秀明,古川 惣平 (阪大院・歯・歯放) 【目的】CT および MRI を用いた頭頸部腫瘍に関する画像診断 は非常に重要であり,特に腫瘍の大きさは予後因子として用いら れる。今回我々は,CT および MRI 検査が施行された舌癌にお いて腫瘍体積の評価を行い,各画像の特徴を把握することを目的 とした。 【方法】2005 年から 2007 年に大阪大学歯学部附属病院放射線 科にて舌癌の診断のもと CT および MRI 検査を施行された患者 は 70 名であった。そのうち,CT および MRI の両方の検査にて 確実に腫瘍が描出された 7 名を対象とした。CT 検査は Light Speed QX / iを用い,造影後の画像を検討対象とした。MRI 検査 は Signa LX を用い,T1 強調画像,脂肪抑制法併用 T2 強調画像, 造影後の脂肪抑制法併用 T1 強調画像を検討対象とした。画像解 析ソフト AnalyzeⓇを用い,各画像データをトレースし,腫瘍体 積を算出し各画像の相違を検討した。統計学的解析としてはウィ ルコクソン符号付順位和検定を用いた。 【 結 果 】7 名 の 腫 瘍 体 積 の 中 央 値 は 造 影 CT 画 像 で は 4027.85mm3,T1 強調画像では 3033.56mm3,脂肪抑制法併用 T2強調画像では,5148.49mm3,造影後の脂肪抑制法併用 T1 強 調画像で 3923.1mm3であり,T1 強調画像と脂肪抑制法併用 T2 強調画像との間に統計学的有意差が認められた。 【考察】MRI の T2 強調画像では浮腫や出血のため腫瘍範囲は 過大評価されることが報告されている。我々の結果でも 7 例中 4 例において脂肪抑制法併用 T2 強調画像での腫瘍体積が各画像の 中で最大となった。しかしながら最小となる症例も見られ,必ず しも過大評価されないことがわかった。また,T1 強調画像では 腫瘍と正常組織の境界を分けることは困難とされている。今回の 結果,他の撮影条件より T1 強調画像で比較的小さく評価される ことが示された。 【結論】CT および MRI を用いた舌癌の腫瘍体積の評価を行っ た結果,腫瘍体積は T1 強調画像で小さく,脂肪抑制法併用 T2 強調画像で大きく評価される傾向が示された。 9.耳下腺導管内に発現した扁平上皮癌の CT,MR 画像所見 ○井本 研一,和 光 衛,原田 卓哉,大久保真衣 音成(山本)実佳,田辺 耕士,矢島 あや,柴原 孝彦1 井 上 孝2,佐 野 司 (東歯大・歯放,1同・口外, 2同・臨床検査学研究室) 耳下腺導管内に発現した扁平上皮癌を経験したのでその CT, MR画像所見を報告する。 【症例】62 歳の男性。初診時の主訴は右側頬部の腫脹であった。 初診の 2 ヶ月程前から同部の腫脹を自覚したが,腫脹と消退を 繰り返していたため放置した。1 週間前より同部に硬結および自 発痛を自覚したため内科を受診,本学千葉病院口腔外科を紹介さ れ来院となった。初診時,右側頬部のび漫性の腫脹,耳下腺部に 疼痛を伴う硬結を認めた。唾液の排出障害を認めたため涙管ブ ジーによるステノン管の拡大と洗浄を 2 週間ほど繰り返したが, 排出障害がさらに増悪したため導管内にカテーテルを留置したと ころ排膿を顕著に認めた。腫瘍切除術術前の穿刺吸引細胞診にお いて class Ⅴ,術中の迅速組織検査において扁平上皮癌と診断さ れた。 【画像所見】初診時の MRI 検査において,右側耳下腺および ステノン管走行部が左側と比較して T1W 像で低信号,T2W 像 および STIR 像で高信号を示し,また造影 T1W 像で耳下腺全体 に及ぶ造影効果を認めた。また,腺体から導管移行部付近に腫瘤 様所見を認めた。初診時より 5 週後に施行した CT 検査の造影像 でステノン管相当部に比較的境界明瞭,内部 low density,周囲 に一層の強い造影効果を伴った病変を認め,同病変による咬筋の 圧迫所見を認めた。以上の所見から,ステノン管内に生じた腫瘍 性病変と診断した。 10.術後性上顎嚢胞の画像所見:MRI と CT との比較 ○ジラー・ヂンダソムバッザロエン,内山 百夏 片岡 観精,富田 世紀,中谷 温紀,柿本 直也 村上 秀明,古川 惣平 (阪大院・歯・歯放) 【目的】術後性上顎嚢胞は,上顎洞根治術後に,数年から十数 年経過して出現する疾患であり,これまで,パノラマ X 線検査 および CT 検査などによる研究が行われてきたが,CT と MRI の画像を評価した検討はほとんど行われていない。そこで本研究 では,術後性上顎嚢胞の CT と MRI での画像所見を比較するこ とを目的とした。 【方法】1997 年 4 月から 2007 年 3 月までに大阪大学歯学部附 属病院を受診し,上顎洞または上顎洞相当部の嚢胞性または腫瘍 性疾患と臨床診断され,CT と MRI の双方の検査を受け,術後 性上顎嚢胞と画像診断された患者 6 名(男性 2 名,女性 4 名, 中央値 59.5 歳)を対象とした。 造影検査は CT では 3 名に,MRI では 5 名に行った。病巣と 周囲骨の関係,CT 値,T1 強調画像と T2 強調画像での信号強度, 造影性について検討した。 【結果】6 名の患者で,MRI では 15 個の嚢胞を確認し,CT で は 12 個の嚢胞を確認した。T1 強調画像では,15 個の嚢胞に高 信号を呈するものは存在せず,嚢胞周囲にのみ造影性を示した。 T2強調画像では,高信号を呈するものが 13 個存在した。CT 値 は 22.9∼51.5HU(中央値 38.2HU)であり,CT では 5 個の嚢 胞で,周囲骨の膨隆や骨壁の消失を認めた。ただし MRI ではこ れらの所見が確認できない症例が多かった。 【結論】嚢胞の存在を診断するには,MRI が有効と考えられた。 上顎洞もしくは上顎洞相当部に発生する術後性上顎嚢胞以外の多 発性疾患の頻度は極めて低いので,MRI 検査で多発性が確認さ れれば造影検査の必要性は低いと考えられた。 骨の吸収や菲薄化は嚢胞摘出術の手術方法を変えうるので, CT検査は必要と考えられた。
11.MRI にて側頭筋炎と診断した顎関節症の一例 ○新 国 農,西山 秀昌,林 孝 文 (新大・院・顎顔面放射線) 【目的】顎関節症の診断のためには,顎関節およびその周囲組 織の精査が重要であり,MRI の有用性は論を待たない。今回我々 は,顎関節症に伴って生じたと考えられる側頭筋炎が MRI 上で 著明な信号強度の異常所見として描出された症例を経験したので 報告する。 【症例】患者は 43 歳の女性で,2007 年 4 月 27 日開口障害と 開口時痛を主訴として紹介され来院した。 現病歴:3 月 14 日に某歯科にて左側上顎智歯の抜歯を受け, 当日から切歯切端間距離 10mm という開口障害出現したため,4 月 3 日に同歯科にてマニピュレーションが試みられ,雑音と共 に関節の可動性が得られた。4 月 10 日に再度開口障害(24mm) が出現し,再度,同歯科にてマニピュレーション施行(開口量 39mm)。その後開口障害持続し,4 月 16 日に,同歯科にて再度 マニピュレーション施行しようとするも,不可能となり,本院を 紹介された。 現症:左側下顔面部を中心に開口時痛および咬合時痛があり, 開口量は 14mm(強制開口量は 18mm)で,顎関節部には雑音 は認められなかった。 検査:5 月 10 日に MRI の撮影を行った。右側顎関節は非復位 性円板前外方転位であり,左側顎関節には円板の位置異常は認め られなかった。左側側頭筋は腫大し,T2wI にて,側頭筋内側部 で著明に高信号を呈しており,筋炎と診断した。 経過:スプリント療法と筋弛緩剤を主体とした治療が施行され, 疼痛および開口量は徐々に増大し,7 月 10 日には,右側顎関節 のクレピタス音以外,症状は消失し,開口量 42mm となった。 【考察】本院にて経験されている I 型を含む顎関節症例では, 今回の症例のような T2wI での著明な高信号は認められず,抜歯 操作ないし過度のマニピュレーションによる筋肉の外傷性変化を 描出した可能性も考えられた。 12.左側口蓋に発生した Neuroendocrine tumor の一例 ○井田 瑞枝,大河内 清,坂本潤一郎,吉野 教夫 倉 林 亨,天笠 光雄1,岡田 憲彦2 (東医歯大院・口腔放射線,1同・顎顔面外, 2同・口腔病態診断) Neuroendocrine tumor は神経内分泌の機能を持つ細胞に由来 する腫瘍で,細胞質に乏しく chromatin に富んだ小さな細胞か らなる腫瘍である。 口腔内の Neuroendocrine tumor の報告例は非常にまれである。 今回我々は,口蓋に発生した Neuroendocrine tumor の 1 例を 経験したので報告する。 【症例】患者は 39 歳の男性である。平成 17 年 3 月下旬に左上 顎に腫瘤を自覚した。他院耳鼻科を受診し,細胞診を 3 回行なっ たが確定診がつかなかった。7 月 4 日セカンドオピニオンを求め て本院顎顔面外科外来を受診した。初診時,左上顎臼歯部口蓋側 にドーム状の腫瘤があった。痛みはなく,硬さは弾性軟で,被覆 粘膜に異常は見られなかった。口腔外に異常所見はなかった。腫 瘍の中心部から生検を行なったが,確定診断はつかず,sarcoma の疑い診断名で治療を開始した。 【画像所見】CT 所見:左上顎骨歯槽突起部から左口蓋部を中 心として,30×28×40mmの軽度に分葉状を呈する腫瘤が認め られる。造影剤により,不均質に造影される。腫瘤は口蓋骨に接 し,歯槽突起内に境界不明瞭に進展,上顎洞方向では洞底の骨を 上方に丸く挙上している。 【MRI 所見】腫瘤は境界不明瞭で,一部上顎洞内に進展してい る様に見える。腫瘤内部は不均質で T1WI でやや高信号,T2WI (FS)で高信号,ガドリニウム造影で不均一に増強される。 7 月 28 日 5FU の動注開始(Total 4100mg),8 月 1 日放射線 外照射開始(Total 30Gy),8 月 25 日全麻下にて左上顎亜全摘出 術を行なった。手術標本の病理組織学的検索及び生検材料の免疫 染色の結果 Neuroendocrine tumor,carcinoid tumor の診断を えた。 術後の経過は良好で,術後約 2 年経過しているが再発や転移 の兆候は見られない。 13.口蓋に発生した悪性リンパ腫の 1 例 ○亀田 綾子,織田 隆昭,諏江美樹子,佐々木善彦 外山三智雄,羽山 和秀,土 持 眞 (日歯大・新潟生命歯・歯放) 【目的】頭頸部領域に発生する悪性リンパ腫の多くは非 Hodg-kinリンパ腫で,Waldeyer 輪や頸部リンパ節に発生するものが 多い。今回私たちは口蓋に発生し,診断に苦慮した悪性リンパ腫 の 1 例を経験したので報告する。 【症例】78 歳,男性。 初診日:2005 年 4 月 5 日。 主訴:口蓋部の腫瘤。 既往歴:1997 年左側頸部悪性リンパ腫で加療。高血圧。リウ マチ。 家族歴:特記事項なし。 現病歴:2004 年末,上顎義歯不適合があり,紹介医受診。鉤 歯の抜歯を受ける。その後左側口蓋部の腫瘤自覚。紹介医にて吸 引試験行うも内容物は確認できず,日本歯科大学新潟病院口腔外 科に紹介来院となる。 現症:左側口蓋部に大きさ 40×35mmの境界明瞭,楕円形で 弾性軟の腫瘤を認めた。粘膜色はほぼ正常であった。 【検査所見】単純 X 線写真では上顎左側臼歯部歯槽骨の吸収を 認めた。CT では内部比較的均一な造影性を有する腫瘍性病変を 認めたが,病変部の明らかな骨破壊は認めなかった。また病変内 部に明らかな石灰化物の存在は認めなかった。MRI では,病変 は T1 強調像にて筋肉と同程度の信号強度を呈し,T2 強調像に て脂肪よりやや低信号,STIR にてやや不均一な高信号を呈した。 造影 T1 強調像では比較的均一な造影性を認めた。病変周囲には 被膜様の構造を認めた。以上の所見から腺系良性腫瘍が疑われた。 生検の結果,非 Hodgkin リンパ腫(diffuse large B cell type) と診断された。1997 年に左側頸部に発生したものと同じ組織型 であった。その後の67Gaシンチグラフィでは上顎左側病変部に
【まとめ】今回私たちは口蓋に発生し,良性腫瘍が疑われ診断 に苦慮した悪性リンパ腫の 1 例を経験したのでその画像所見を 中心に報告した。 14.上顎骨に発生した神経鞘腫の一例 ○斎藤美紀子,勝良 剛詞,田 中 礼,小山 純市 平 周 三,西山 秀昌,新 国 農,林 孝 文 五十木裕子 (新大・院・顎顔面放射線) 神経鞘腫は頭頸部に多く発生するが,中心性神経鞘腫はまれで あり,中でも上顎での報告は極めて少ない。今回,我々は上顎骨 内から発生したと思われる神経鞘腫を経験したので報告する。 【症例】9 歳,女性。 現病歴:平成 16 年 11 月頃より,口蓋右側の腫脹を自覚した。 平成 17 年 1 月にかかりつけ歯科より,近医耳鼻咽喉科および口 腔外科を紹介され,顎骨中心性血管腫の臨床診断のもと,画像検 査を行ない,顎骨の成長の終了まで経過観察の方針となった。し かし,腫脹が増大し,右上 6 が動揺してきたことから,平成 18 年 8 月 24 日に本学初診となった。 現症:上顎右側臼歯部の口蓋側に,31×25×20mm,表面正 常粘膜色,境界明瞭,弾性軟の腫瘤を認めた。自発痛,圧痛はな く,右上 6 には動揺がみられた。 画像所見:上顎右側歯槽突起から口蓋突起にかけて境界明瞭, 辺縁整の軟組織病変が認められた。同部の皮質は口蓋側下方へ大 きく膨隆していた。大口蓋管の明らかな拡大はみられなかった。 内部は,CT では,造影前はやや不均一で筋より低濃度,造影後 は筋より強く不均一に増強された。MRI では,T1 強調像で,筋 とほぼ同等の不均一な信号,T2 強調像では中心部では高信号, 辺縁部ではやや低信号,造影 T1 強調像では概ね均質に造影され た。口腔内 US では,ほぼ均質な低エコーで,動脈性の血流が検 出された。 経過:平成 19 年 1 月に生検を施行し,同年 3 月に腫瘍切除術 を施行した。病理診断は神経鞘腫であった。 【まとめ】本症例の画像所見は,臨床診断で挙げられた血管腫 に特徴的なものではなく,部位・頻度からは,唾液腺腫瘍を考え たが,口蓋部の皮質の膨隆所見からは骨内から発生した病変を否 定しきれなかった。神経鞘腫としては,T2 強調像でやや低信号 を呈した領域が多かったことが,典型像と異なっていた。 15.上顎歯肉に発生した口腔トリコモナス症の画像所見 ○山 満,和 光 衛,佐 野 司,柿 澤 卓** 松 井 隆* (東歯大・口健臨・歯放,*同放, **同・口健臨・口外科) 【緒言】口腔トリコモナスは歯周疾患の進展に伴い,その検出 率が高くなることが経験的に知られているが,純培養化が成功し ていないため正確な検出頻度や分布,病原性についてはほとんど 知られていない。 我々は,以前より臨床的に悪性腫瘍を疑わせるような歯肉の潰 瘍や肉芽様腫瘤を形成し,通常の局所洗浄や抗菌剤投与でも症状 の改善がみられなかった症例の中で,細胞診検査でトリコモナス が観察されたものを何例か経験している。 今回,インプラント術前の CT 検査において異常な骨吸収像を 認め,MRI 検査を行なった後に細胞診検査を行ったところトリ コモナスが観察された炎症性病変の一例を経験したので,画像所 見を報告する。 【症例】47 歳,女性。左側上顎第 1 大臼歯の疼痛,排膿を繰り 返していたため抜歯後,インプラント治療を行う予定で,画像診 断のために本学水道橋病院を受診した。歯との関連を当院で精査 することとなり,口内法 X 線写真,パノラマ X 線撮影を行った ところ,歯周病に類似した骨吸収像が確認された。また,CT 画 像においては口蓋根を中心に辺縁不整な骨吸収が口蓋部に拡大し, 広範囲の骨吸収像が確認され,一部,上顎洞底の挙上も認められ た。以上の所見より悪性腫瘍の可能性も考えた。MRI 検査を施 行したところ T1 強調像で中等度信号,T2 強調像で不均一な 低∼高信号を呈する境界不明瞭な領域が認められたことより炎症 性変化を疑った。盲嚢から検体採取して細胞診検査を行ったとこ ろ,トリコモナス原虫が観察された。 処置としては,通常の抜歯で口蓋部に拡大している炎症性肉芽 組織を徹底的に掻爬し,抗生剤投与を行った。抗原虫薬を投与し ないと感染が制御できない症例の報告もあったが,今回の症例で は通常の抗生剤投与で治癒した。 【考察】画像所見の身から口腔トリコモナス症を疑うのは困難 であるが,著しい骨吸収を伴う歯周病類似の所見を呈する難治性 の症例についてはトリコモナス感染の可能性があることが示唆さ れた。 16.閉口末期の閉口障害の MRI 所見 ○西山 秀昌,新 国 農,田 中 礼,小山 純市 五十木裕子,林 孝 文 (新大・院・顎顔面放射線) 【目的】MRI 検査にて,閉口末期における閉口障害の原因の特 定がどこまで可能かについて,明らかにする。 【方法】2002 年 4 月から 2007 年 7 月まで,新潟大学附属病院 歯科を受診した閉口末期の閉口障害患者のうち,MRI を撮影し た患者 7 名を対象とした。 【結果】典型的な open lock の所見を呈するものはなかった。 滑膜炎ないし関節炎が原因と考えられた症例が 2 例,円板転位 と続発する骨変化の後,円板が復位した状態に遷移することで, 閉口障害を来したと考えられた症例が 1 例,非復位性円板内側 転位に関連すると思われた症例が 1 例,関節包部の肥厚ないし 腫瘤性病変が原因と考えられた症例が 1 例,円板と関節窩との 間に後部結合織が挟み込まれることで生じたと思われる症例が 1 例で,原因不明の症例が 1 例であった。 【考察】MRI 検査にて閉口末期の閉口障害の原因をある程度絞 り込むことが可能であり,治療法の選択に役立つと考えられた。 特に,今回,1 症例ではあるが後部結合織を挟み込む所見を呈す る症例を経験したが,本病態は,滑膜部の移動と円板の移動との 間の協調不良にて生じるものと推察された。 【結論】MRI 検査を行うことで,閉口末期の閉口障害の原因と