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津波に対する防潮林の保全と水理実験による検討 前橋工科大学

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Academic year: 2022

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(1)Ⅱ− 25. 第39回土木学会関東支部技術研究発表会. 津波に対する防潮林の保全と水理実験による検討 前橋工科大学. 学生会員. ○吉江悟. 前橋工科大学 フェロー会員 土屋十圀 1.研究の背景と目的 平成 23 年 3 月 11 日に発生した東北地方太平洋沖. 3.実験方法および条件. 地震とそれに伴う巨大津波は,想像をはるかに超え. 図-1 平面図に示すように幅 56cm の水平のコンク. る破壊力であり多くの犠牲者と被害をもたらした.. リート水路に,フルードの相似則により 1/50 で作成. 特に東北地方沿岸部での津波の被害は甚大で,防潮. した防潮林模型を設置した.模型は対象海岸を想定. 堤や防波堤,水門などの港湾防災施設が根こそぎ破. し,直径 6mm 樹高 200mm の木製円柱を幅 1000mm. 壊されており,強度や設計の更なる見直しが必要と. になるように千鳥状に配置した.. なっている.これらの土木構造物と共に減災として 期待されているのが「防潮林」である.. 津波は防潮林内部で浸水深が 100mm(プロトタイ プでは 5m)となるように水槽の堰水位を調整し,孤. 津波に対する防潮林の効果は過去の津波の事例か. 立波の段波を再現した.また,水路の粗度調整は行. ら研究され,首藤(1985)1),飯村・田中ら (2010)2). っておらず,防潮林への入射流速は 1.67m/s(プロ. によって明らかにされている.これら既往の研究に. トタイプで 11.85m/s)である.. より防潮林の幅や樹林密度などの条件が減災効果に. 測定は樹林前面から背後まで等間隔に,水圧,水. どの程度影響を与えているのかについても理解され. 平波圧を4箇所(測点No.1.2.3.4)で計測した.計測器. ている.しかし,津波対策として幅数百メートルの. は圧力計(株)SSK社製,ひずみ測定器(株)東京測. 防潮林を植樹するためには,広大な土地と時間を費. 器研究所を使用した.. やすこととなる.そこで,これから必要となってく. 図-1 側面図に示すように,消波工は樹林前面から. るのは,防潮林と土木構造物の組み合わせによる効. 沖側の距離 L を変化させ, プロトタイプで 15m, 30m,. 率的な対策である.. 50m,70m,100m の 5 ケースを検討した.また,. そこで,本研究の目的として,宮城県の一部の海. 消波工は透過型,不透過型の 2 ケースとした.. 岸をモデルとした水理実験を行い,防潮林と消波工 の組み合わせによる樹林帯内・外の流体の挙動を検 討する. 2.対象海岸 本研究で対象とする海岸は,宮城県仙台市若林区 荒浜付近である.仙台平野の海岸であるため平坦な 地形で,標高は約 3m である.樹林帯幅は 50m,植 生の種類はクロマツである.この防潮林の後背地は 農地となっており津波で浸水した形跡が見られる. この地点で現地調査を行った結果,植生は平均目通 し高さ直径30.4cm,平均樹高10.1m,植生密度700 本/haであることがわかった.また,植生帯の厚みを 表すパラメータ1)であるdnは105本・cmとなる. 図-1 津波実験水路 平面図・側面図 キーワード 東日本大震災,津波,防潮林,水理実験 連絡先 〒371-0816 群馬県前橋市上佐鳥町 460-1. 前橋工科大学 TEL:027-265-0111.

(2) Ⅱ− 25. 第39回土木学会関東支部技術研究発表会. 図-2 より透過・不透過 2 種類の消波工を設置した 場合の L の違いによる水圧(プロトタイプ)を比較 すると,測点 1,2 では不透過型の水圧が減衰し,測 点 3,4 では透過型の水圧が減衰していることがわか る.測点 1 での水圧が透過型よりも不透過型の方が 小さくなっている要因は,不透過型の方が波を遮断 する力が大きく津波を反射させ,防潮林に流れ込む. 60. 30. 70m. 20. 100m. 10 1. 2. 60. 3. 4. 測点. 不透過型. 15m. 50 水圧(kPa). 図-3 は消波工と樹林との距離 L と測点 1 の水平波. 30m 50m. 透過型の測点 4 では約 27kPa となった.これは,消 匹敵することがわかった.. 15m. 40. 流量を減らしているためであると考えられる.また, 波工を設置しない場合の波高 2.5m の津波の水圧に. 透過型. 50 水圧(kPa). 4.実験結果と考察. 30m. 40. 50m. 30. 70m. る浸水深 50mm の場所に圧力計を設置し,モデルタ. 20. 100m. イプの数値で図に示した.透過型では水平波力は. 10. 圧の関係をプロットした図である.波圧が最大とな. 1. 50m 地点で 1195 Pa,不透過型は 30m 地点で 1050 Pa となり,それぞれ最小値を示した.一方,15m や 図となった.つまり樹林と消波工の距離は近すぎて. 2000. 越えた津波が直接圧力計に当たったためであると考. 水平波圧(Pa). 2500. L=15m の波圧が大きくなった要因として,消波工を えられる.また,L=100m の場合,消波工を越えた. 透過型消波工の場合,防潮林の背面において減衰. 1500 1000 500 30m. 50m. 70m. 100m. 70m. 100m. 2500 水平波圧(Pa). 6.まとめ. 測点. 透過型. 15m. 次々と来る流体の慣性力により再び勢いを強めたた 水平波力は減衰させることがわかった.. 4. 0. 波が林床面に当たり一旦は勢いを弱めたが,後から めであると考えられる.透過型より不透過型の方が. 3. 図-2 消波工設置 水圧. 100m の場合は水平波圧が大きくなり,放物線状の も遠すぎても効果を発揮しないことがわかる.. 2. 不透過型. 2000 1500 1000 500 0. 効果を持ち,L=50m の位置に設置した時に水平波圧. 15m. を最小にできる.不透過消波工の場合,防潮林の前. 30m. 50m. 図-3 消波工設置 水平波力. 面において減衰効果を持ち,L=30m 位置に設置した. 参考文献. 時に水平波圧を最小にできることがわかった.. 1) 首藤伸夫(1985):防潮林の津波に対する効果と限界,. 今回の実験は,波高を 5m として水圧,波圧の減衰. 海岸工学論文集,pp.465-469.. 効果を検討したが,波高 8m 以上の巨大津波に対し. 2) 飯村耕介・田中則夫・谷本勝利・田中茂信(2010):. てどの程度効果を発揮するのか,更なる研究や実験. 樹林密度の異なる植生帯を組み合わせたときの津波軽. が必要である.. 減効果に関する研究,土木学会論文集,pp.281-285 3) 港湾空港技術研究所資料(2006):グリーンベルト による津波力の軽減に関する水理的検討. pp.6.

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