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水災害時の地下空間における車いす利用者の安全避難に関する研究

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Academic year: 2022

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水災害時の地下空間における車いす利用者の安全避難に関する研究

関西大学先端科学技術推進機構 正会員 ○川中 龍児 西宮市 豊田 育布 関西大学環境都市工学部 正会員 石垣 泰輔

1 . は じ め に

短時間でかつ局所的な豪雨の発生の増加に伴い,都市部では浸水被害が深刻な問題となっている.この豪雨 の特徴として短時間に局所的に大量の降雨をもたらすことから予測が困難である.このような都市部での浸水 被害は地上部のみでなく地下にも拡大することが危惧されている.2013 年 8 月には大規模な地下街が存在す る大阪の梅田で,局所的な集中豪雨により地下空間浸水が発生している.地下空間への浸水の問題点として,

「地上の様子が把握できない」,「階段や通路等の狭い場所を大勢の人が避難する」,ことである.前者の問題 点は避難開始の遅れにつながり,後者の問題点は混雑による避難の遅れにつながる.地下空間から地上などへ 避難する際には,電源施設などの問題から原則として通路や階段を用いた避難が行われる.しかし,車いす利 用者等の階段を利用できない人にとっては避難経路が寸断されることになる.また,車いすでは急なスロープ や狭い通路の通行も困難であることから,通常の避難経路と比べて大幅な制限が課せられる.

本研究では,水災害時の地下空間における車いす利用者の安全避難を目的に,現地調査による避難経路の検 討及びその結果を基に車いす利用者特性を考慮した安全避難マップの作成を行った.

2 . 現 地 調 査 に よ る 車 い す 利 用 者 の 避 難 マ ッ プ

避難行動や店舗や通路を移動して上層階への接続階段等へ 向かう「水平移動」と,階段やエレベータなどを用いて上層 階へ向かう「垂直移動」の2つがある.通常,避難者はこの 水平移動と垂直移動の組み合わせで上層へ向かう.一方,車 いす利用者は,水平移動では勾配の小さい幅の広い通路,垂 直移動ではエレベータもしくは車いす用の昇降機やリフトを 用いなければならない.このことから,通路の幅や勾配など の平面形状とエレベータなどの垂直移動を行える場所の把握 は車いす利用者の避難を考える上で重要な情報となる.そこ で,大阪府梅田地区の大規模地下街を対象に現地調査を行っ た.調査項目として,通路幅,通路勾配,階段の有無,エレ ベータ,車いす用のリフト等の設置個所である.図-1は調査 結果を地図上に示したものである.オレンジ色のエレベータ が地上まで,青色のエレベータが3階以上に接続しているこ とを示している.この地図を用いることで,車いす利用者の 避難経路や通行不可能な場所を把握することが可能となる.

3 . 車 い す 利 用 者 特 性 を 考 慮 し た 安 全 避 難 時 間 マ ッ プ 前章では浸水していない場合の避難について検討を行った が,浸水がある場合に関しては考慮していない.そこで,地 下空間への浸水が発生した場合の安全に避難可能な時間につ

いて検討を行う.対象とした降雨は図-2に示す2008年8月に発生した愛知県岡崎市で発生した降雨を用いた.

キーワード 車いす利用者,地下空間浸水,局所的集中豪雨,避難

連絡先 〒564-8680 大阪府吹田市山手町 3-3-35 関西大学 06-6368-1121 内線(6383)

200 40 60 80 100 120 140160 180 200

0h00min 0H10min 0h20min 0h30min 0h40min 0h50min 1h00min 1h10min 1h20min 1h30min 1h40min 1h50min 2h00min 2h10min 2h20min 2h30min 2h40min 2h50min 3h00min

Rainfall (mm/hr)

図-2 岡崎豪雨のハイエトグラフ -

土木学会第71回年次学術講演会(平成28年9月)

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(2)

地上部の浸水計算には,InfoWorksCSを用いて下水道網と地下空間入口を考慮した計算を行い,地下空間の各 入口からの流入量と流入時間を算出した.浸水時の車いす利用者の避難において最も問題となるのが垂直避難 である.垂直避難にはエレベータや専用のリフトを用いるが,大阪市の地下空間浸水対策ガイドライン1)によ ると,地下空間への浸水が確認された場合にはエレベータ等を停止する措置が取られる.そのため,車いす利 用者は浸水開始よりも前に避難しなければ垂直避難ができなくなる.また,地下では地上の様子を知る手段が ないため大雨に気づくことが難しい.そこで,大雨警報発令時間を最も早い避難開始時間とすると安全に避難 可能な時間は以下のようになる.

安全避難時間 = 降雨開始から地下空間浸水開始までの時間 - 大雨警報発令時間(R1=40mm)

- 避難行動開始時間

- 水平及び垂直移動に要する時間

(1)

垂直避難の時間に関しては,現地調査を基に待ち時間 を含めて5分と仮定した.水平移動に関しては,実際 に車いすの走行実験を行った結果と混雑を考慮して

0.5m/sとした.図-3は対象領域を2mの格子で分割し,

その格子ごとに式(1)を用いて安全避難時間がマイ ナス値つまり安全に避難ができない格子に色を付け た図である.図より,大雨警報発令後 21分後までは ほぼすべての場所から避難が可能である.ただし,付 近にエレベータなどがない場所も存在することから 避難ができない箇所が存在している.一方,大雨警報 発令から27分後に避難を開始した場合,どの位置か らも避難ができなくなることがわかる.図-5 は大雨 警報発令から避難困難な場所がどのように変化する かを示した図である.この図より,大雨警報発令から 23 分後から急激に避難困難となる箇所が増加する.

これは,対象地の北側にエレベータが少ないことが起 因している.

4 . ま と め

本研究では,水災害時の地下空間における車いす利 用者の安全避難に関して検討を行った.車いす利用者 の避難において,垂直避難の経路がエレベータや専用 のリフトに限定される.そのため,現地調査によって 車いす利用者の避難困難箇所を把握し,これと地下空 間浸水を考慮した避難困難箇所表示マップの構築を 行った.

参 考 文 献

1) 大阪府地下空間浸水対策協議会:大阪市地下空間浸水対策ガイドライン,2015.

2) 大阪地下街株式会社HP:梅田地下空間避難確保・浸水防止計画・東梅田地区,

http://whity.osaka-chikagai.jp/common/images/whity_escape_plan2013.pdf,2013.

3) 井上知美,川中龍児,石垣泰輔,尾崎平,戸田圭一:内水氾濫による大規模地下街の浸水過程と避難の安 全性に関する検討,水工学論文集,第55巻,pp973-978,2011.

0 20 40 60 80 100

18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29

避難困難箇所の割(%)

警報発令から避難開始までの時間 (min)

図-4 避難開始時間ごとの避難困難箇所の割合 27

21 23

25 27

21 23

25

27

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25 27

21 23

25

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参照

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