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避 難 した

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Academic year: 2022

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(1)新聞記事分析に基づく 2011 年東北地方太平洋沖地震津波リスクに対する避難 行動調査 愛媛大学. 学生会員. ○鵜久森 潤. 愛媛大学. フェロー. 森 伸一郎. 1.はじめに 2011 年 3 月 11 日に東北地方太平洋沖地震が発生した.それに伴い日本の沿岸部に津波が押し寄せ,多大な 被害が出た.特に,岩手県,宮城県と福島県の 3 県の沿岸部では 2 月 16 日現在で死者・行方不明者を合わせ 19,137 人に及び,この地震による人的被害の 99.6 %を占めた 1).その内,死者の 92.4 %の死因が溺死であった 2). .このような多大な人的被害に強く関係する津波避難行動に関する現地調査は容易ではない.そこで,本研究. の目的は,津波避難行動に関する新聞記事のドキュメント分析をおこない,今回の津波に対する住民の避難行 動の実態と行動選択の理由を検討することである.本論文では,ドキュメント分析の結果に関して統計的な分 析をおこない避難行動の実態について県別の特徴を明らかにする. 2.調査方法および解析方法 地方紙 2 紙(岩手日報および河北新報)と全国紙 2 紙(読売新聞および朝日新聞)の合計 4 紙の記事を対象 とした.岩手日報(3 月 12 日~11 月 19 日,内,途中 4 週間未分析)については購読し,河北新報,読売新聞 および朝日新聞については特別縮刷版(3 月 11 日から 1 ヵ月)を利用した.それぞれの新聞から,地震当日に 津波の浸水地域およびその周辺にいて地震後の行動が記載されている記事を探し,該当する部分を入力してデ ータベースとし,その記事の内容から読み取れる避難行動を集計した. 新聞記事のドキュメント分析の方法を述べる.津波リスクに対する避難行動では,個人としての行動のほか, 家族単位などの集団での行動が考えられるので,人または同じ行動をとった集団を避難行動主体と定義し,そ の主体別に分析した.分析項目は,インタビュイー(被面接者)を含む主体の構成人数,性別などを含む属性 に関する 12 項目,避難の有無,避難場所,津波に遭遇した場所などを含む行動に関する 16 項目である. 避難を,災害リスクに対して事前に安全な場所に逃れることと定義し,避難の有無では,津波が到達するよ り前に逃げた主体を「避難した」に分類した.避難した場所については,「自宅内」,「避難所」,「高い建物」, 「高台」, 「一時避難場所」, 「校庭」に分類できた. 「高い建物」とは 2 階以上の建物または屋上である.津波に 遭遇した場所については,上述の場所に加えて「車内」, 「屋外」に分類できた. 「屋外」は「高台」, 「一時避難 場所」,「校庭」以外の屋外の場所である.ただし,どの項目についても記事に記載されていない場合は読み取 れていない. 結果を県別に集計し,標本数が十分でない福島県を除き,岩手県と宮城県の差違の有意性を検定するため, サンプル数大の場合の比率の差の検定 3)を行った.検定は,両側検定で,有意水準を 5 %とする.そのため, 確率変数 Z が Z>1.96 の場合,有意差があることになる.以下の考察では,Z の値を付記する. 3.調査結果と考察 4 紙により得られた避難行動に関する記事総数は 429 件であり,その記事から読み取れた避難行動主体数は 600 主体である.その内訳は,岩手日報 238 主体,河北新報 123 主体,読売新聞 89 主体,朝日新聞 150 主体で ある.図-1 に朝日新聞記事における避難の有無の割合を示す(図中の数字はサンプル数).読み取れたのは 145 主体(全数の 97 %).岩手県(71 %)よりも宮城県(88 %)の方が避難 した割合が有意に高い(Z=2.28). 避難した場所については,4 紙共通して岩手県と宮城県では「高 台」と「避難所」の割合が高く,宮城県ではそれに加えて「高い 建物」の割合が高い.新聞によりその割合にばらつきはあるが, 共通して有意に割合が高いため 4 紙合計を対象に考察する.図-2 219. 3県合 計 N=145 岩手 県 N=62 宮城 県 N=56 福島 県 N=27. 109. 36. 44. 18 49. 16 0%. 避 難 した. 7 11. 50%. 避 難 して いない. 100%. 図-1 避難の有無の割合(朝日新聞).

(2) 自宅内. 3県合計 17 N=292 岩手県 10 N=177 宮城県 4 N=99 福島県 N=13 0%. 高台. 避難所. 165. 58. 高い建物. 10. 31. 1. 自宅内 高台. 112. 33. 42. 23. 3. 6. 4 80 23. 8 20%. 40%. 2 60%. 80%. 1. 避難所 一時避難場所. 0. 高い建物 校庭. 100%. 図-2 避難行動主体が避難した場所の県別割合(図中の横帯中の数字はサンプル数である) 自宅内. 52. 3県合計 N=212 岩手県 N=103 宮城県 N=96 福島県 N=12. 5 36. 11. 1 7. 24. 4 4. 4. 4 0%. 車内. 避難所. 44 17. 24 0. 13. 30. 40%. 自宅内 高台 避難所 一時避難場所 車内 高い建物 屋外. 59 6. 27. 18. 0 1 0 20%. 屋外. 高い建物. 25 7. 60%. 80%. 100%. 図-3 避難行動主体が津波に遭遇した場所の県別割合(図中の横帯中の数字はサンプル数である) に避難行動主体が避難した場所の県別の割合を示す(図中の数字はサンプル数).読み取れたのは 292 主体(全 数の 49 %)である. 「高台」への避難の割合は,両県に共通して一番高いが,岩手県(63 %)は宮城県(42 %)より 圧倒的に高い(Z=3.39)ことから,岩手県の特徴とも言える.「高い建物」への避難は,宮城県(23 %)では,岩手 県(5 %)よりもその割合が圧倒的に高く(Z=4.14),宮城県の特徴と言える.指定避難場所への避難は,岩手県(29 %), 宮城県(23 %)と有意な差はない(Z=0.89). 津波に遭遇した場所については,新聞によるばらつきが大きいが,4 紙中 3 紙において岩手県では「自宅内」 と「屋外」の割合が高い一方,宮城県では「車内」,「高い建物」,「屋外」が高い.順位傾向が似ているため合 計して考察する.図-3 に避難行動主体が津波に遭遇した場所の県別の割合を示す(図中の数字はサンプル数) . 読み取れたのは 212 主体(全数の 36 %)である. 「自宅内」での遭遇は,岩手県(35 %)が宮城県(11 %)よりも圧 倒的に高く(Z=4.11),岩手県の特徴と言える. 「車内」での遭遇は,宮城県(31 %)が岩手県(13 %)よりも圧倒的に 高く(Z=3.24),「高い建物」での遭遇も,宮城県(19 %)が岩手県(6 %)よりも高く(Z=2.81),宮城県の特徴と言え る.「屋外」での遭遇は岩手県(26 %),宮城県(26 %)と有意な差はない(Z=0.03).「車内」は車で,「屋外」では, 徒歩,自転車やバイクなどの避難手段での避難途中に津波に遭遇した主体が多く含まれている.宮城県では津 波に遭遇した 96 主体のうち「車内」と「屋外」を合せた 57 %の主体が避難途中であった可能性が高い. 4.結論 4 つの新聞の記事のドキュメント分析をおこない,統計的な分析により避難した場所と津波に遭遇した場所 の県別の特徴を明らかにした.避難した場所については,岩手県,宮城県ともに「高台」への避難が最も多い こと,「避難所」への避難が 1/4 程度であることが共通していた.岩手県では「高台」が圧倒的に多いこと,宮 城県では「高い建物」への避難が 1/4 程度と多いことが両県の特徴と言える.津波に遭遇した場所については, 「屋外」での遭遇が 1/4 程度であることが両県に共通していた.岩手県では「自宅内」が多いこと,宮城県で は「車内」および「高い建物」が多いことが両県の特徴と言える. 参考文献 1)警察庁:平成 23 年(2011 年)東北地方太平洋沖地震の被害状況と警察措置,平成 24 年 2 月 16 日 2)警察庁:特集Ⅰ東日本大震災と警察活動,平成23年6月 3)稲垣宣生,山根芳知,吉田光雄:統計学入門,第 22版,裳華房,185p.,2009 220.

(3)

参照

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