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免許返納者の生活と居住地域の関連性把握

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Academic year: 2022

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(1)

免許返納者の生活と居住地域の関連性把握

橋本 成仁 1 ・山本 和生 2

1

正会員 岡山大学大学院准教授 環境学研究科(〒

700-8530

岡山市北区津島中三丁目

1-1

E-mail:seiji@cc.okayama-u.ac.jp

2

学生会員 岡山大学大学院 環境学研究科(〒

700-8530

岡山市北区津島中三丁目

1-1

E-mail: ev19261@s.okayama-u.ac.jp

本研究では,岡山県において免許返納者へ行ったアンケート調査の結果をもとに,居住地域と免許返納 者の生活や意識との関連性について分析を行った.さらに,居住地域ごとに生活に困る要因分析を行った.

その結果,都市部に比べて郊外部,中山間地域では生活に困っている人が多いこと,また,生活に困る要 因は地域によって特徴が異なり,都市部では通院距離が遠いこと,郊外部と中山間地域では,買物に行け なくなったことや送迎を利用できる環境にないことが大きく影響していることを示した.

Key Words : relinquishment of the driver’s license, public transportation, residential area, transporta- tion

1.

はじめに

自動車は便利な道具であるが,その取り扱いを誤れば 人の命を奪いかねない凶器としての側面を合わせ持って いる.人間は加齢に伴って自動車を運転する能力が低下 することが示されており1),高齢ドライバーが引き起こ す交通事故の増加が社会問題となっていることからも,

運転を諦めることは誰もが直面する問題であると言える.

このような中,我が国では運転に不安を抱える高齢ド ライバーがすみやかに運転をやめられるように平成

10

年から運転免許返納制度が行われている.また近年では,

免許返納者に対してバスやタクシーの運賃を割り引くサ ービスなど,高齢ドライバーが運転免許を返納しやすい ように支援も広がっている.このような成果もあって,

運転免許返納者数は年々増加している.

しかし,施設までの距離が近く公共交通の充実する都 市部と,自動車に依存しなければ生活していくことの難 しい郊外部や中山間地域では,免許返納のしやすさ,免 許返納が生活に与える影響には違いが生じるはずである.

今後,免許返納を行いやすい環境を整備していくために も,また免許返納者の生活を支援していいくためにも,

居住する地域ごとの生活の問題点やその要因を明らかに し,地域に求められる支援策を考えていくことが求めら れている.

これまでに行われた免許返納に関する研究は,ドライ バーに対する将来の免許返納意向に関する研究2)3)がある

程度であり,十分に研究が行われているとは言えず,居 住地域と免許返納後の生活の関連性について明らかにし た研究は行われていない.一方で,自動車利用削減に関 する研究は数多く行われており,居住地域と絡めた研究

4)も行われているが,これらは自動車利用削減可能性を 対象としており,実際に自動車の利用を削減・中止した 人についての研究は十分に行われているとは言えない.

そこで本研究では,都市部,郊外部,中山間地域を有 する岡山県を対象に,免許返納者の生活の実態,特に高 齢者の主な外出目的である買物,通院行動に着目してそ の変化について居住地域による違いを明らかにする.そ の上で,返納後の生活で困っている要因を明らかにする ことを目的とする.

2.

調査の概要と居住地域分類

(1)

アンケート調査の概要

本研究では,岡山県を対象に分析を行った.岡山県で は,運転免許証自主返納促進事業として,

2009

11

25

日より,運転免許証を自主返納した高齢者の方からの申 請により「おかやま愛カード」を無料で発行している5). 愛カード取得者には協賛店での割引サービスや県内すべ ての路線バスの運賃が半額になるサービスなどが受けら れる.

調査の概要を

-1

に示す.これらのアンケート調査は

(2)

愛カード取得者を対象に行い,調査は岡山県警察と共同 で実施した.第

1

回調査では,愛カード取得者の中から 警察署ごとに

30

サンプル程度,性別や年齢,居住地域に 偏りが生じないように抽出し,聞き取り調査が行われた.

2

回調査は第

1

回調査対象者に行っており,両調査のデ ータは比較可能なパネルデータとなっている.

(2)

居住地域分類

本研究では岡山県全域を都市部,郊外部,中山間地域 の

3

地域に分類した.分類の定義については

-2

に示す 通りである.なお,

DID

地区は人口が集中し都市として の機能を有すると考えられることから,今回の居住地域 分類では,

DID

地区と岡山県の定義する中山間地域の両 方に属する場合には都市部に分類した.

居住地域分類の結果を

-1

に示す.免許返納者は,県 南部の人口集中地区に多いが,県北部の中山間地域を含 め県全域に存在することがわかる.

これ以降,この居住地域分類に基づいて分析をすすめ ていく.

3.

居住地域別の免許返納者の生活実態

居住地域の違いによって免許返納者の生活や免許返納 による生活の変化にどのような差が生じるのかを明らか にするため,本章では高齢者の主な外出目的である買 物・通院行動に着目してその違いを見ていく.

(1)

居住地域別に見る買物行動

まず,返納後の買物頻度を

-2

に示す.カイ二乗検定 を行った結果,

1%

水準で有意な差が見られ,残差分析 を行った結果,都市部ではほぼ毎日,中山間地域では月 数回程度買物に出かける人の割合が

1%

水準で多いこと が示された.次に免許返納前後での居住地域別の買物頻 度の変化を

-3

に示す.その結果,免許返納前後で買物 頻度が減少,もしくは行かなくなったという人の割合は,

-1

分析対象となる免許返納者の分布と居住地域分類

-1

アンケート調査の概要

調査名 第1回調査 第2回調査 対象者

調査方法 聞き取り調査 電話による聞き取り調査 調査実施期間

2010年5月 2010年12月~2011年1月

有効サンプル数

447

379

・健康状態

・返納前の運転頻度

・返納後の移動手段

・返納後の意識

・買物・通院について

・公共交通利用状況 愛カード取得者

・個人属性

・返納理由 主な調査項目

0% 20% 40% 60% 80% 100%

都市部

(137)

郊外部

(101)

中山間

(106)

増加

行くようになった 維持 行かないまま

減少

行かなくなった

-3

免許返納全後での買物頻度の変化

-2

居住地域分類の定義

居住地域分類 分類の定義

都市部

DID

地区

2005

年国勢調査)

郊外部 都市部・中山間地域 に属さない地域

中山間地域

  岡山県の定義する中山間地域

(次のいずれかに該当する地域)

・山村振興法に規定する山村

・特定農山村地域における農林業等の  活性化のための基盤整備の促進に関 する法律に規定する特定農山村地域

・過疎地域自立促進特別措置法に規定 する過疎地域

0% 20% 40% 60% 80% 100%

都市部

(145)

郊外部

(109)

中山間

(112)

ほぼ毎日 週数回 月数回 たまに 行かない

(++)

(--) (++)

(--)

カイ二乗検定

1%有意

残差分析 割合が高い

(++)1%有意 (+)5% 有意

割合が低い

(--)1%

有意

(-)5%

有意

-2

免許返納後の買物頻度

(3)

中山間地域へいくほど高くなる傾向にあるものの,統計 的に有意な差は見られなかった.従って,買物へ出かけ る頻度は都市部ほど高く,郊外部,中山間地域へいくほ ど頻度は減少する傾向にある.一方,返納によって買物 頻度が減少する人は少なくないものの,居住地域による 統計的に有意な差は見られなかった.

次に,返納後の買物距離を

-4

に示す.カイ二乗検定 の結果

1%

水準で有意な差が見られ,店舗までの距離が 都市では近く,中山間地域では遠いことが示された.特 に都市部では,利用する店舗までの距離が徒歩圏と考え られる

1km

圏内の人が

6

割超,自転車圏と考えられる

2km

圏内の人では約

9

割を占める一方で,中山間地域では

5km

を超える人が

3

割を超えている.

また,

-5

-6

に返納前後の買物交通手段を示す.

カイ二乗検定を行った結果,どちらも

1%

水準で有意な 差が見られた.まず,返納前の交通手段について見てい くと,どの地域でも自動車・バイクを自ら運転して買物 へ出かけていた人が

7

割前後を占めており,居住地域に よらず自動車・バイクを使用していたことがわかる.返 納前の交通手段で地域差が見られるものとしては,都市 部で自転車,中山間地域で送迎を利用する人が多くなっ ている.次に返納後の交通手段については,残差分析の 結果から,返納前と同様に都市部では自転車,中山間地 域では送迎を利用する人の割合が高いことが示された.

一方で,公共交通を利用する人の割合はどの地域も低く,

また居住地域による差も見られなかった.

(2)

居住地域別に見る通院行動

まず,返納後の通院頻度を

-7

に示す.買物とは異な り,居住地域による通院頻度の差は見られなかった.次 に返納前後での通院頻度の変化を

-8

に示すが,こちら も居住地域による違いは見られず,また免許返納による 通院頻度の変化もあまり見られなかった.

返納後の通院距離を

-9

に示す.カイ二乗検定を行っ た結果,

1%

水準で有意な差が示され,買物と同様に都 市部では通院距離が近い人が多く,中山間地域では遠い 人が多いことが示された.また買物距離と比較した場合,

すべての地域で通院距離の方が遠い人の割合が高いこと がわかる.

返納前後での通院交通手段を

-10

-11

に示す.カ イ二乗検定を行った結果,どちらも

1%

水準で有意な差 が見られた.残差分析の結果から返納前の交通手段とし て,郊外部では自動車・バイクを自ら運転する人の割合

0% 20% 40% 60% 80% 100%

都市部

(121)

郊外部

(93)

中山間

(80)

0-1km 1-2km 2-5km 5km-

(++)

(++) (--)(--)

(++) (--)

(--)

カイ二乗検定

1%

有意

残差分析 割合が高い

(++)1%

有意

(+)5%

有意 割合が低い

(--)1%

有意

(-)5%

有意

-4

免許返納後の買物利用店舗までの距離

0% 20% 40% 60% 80% 100%

都市部

(131)

郊外部

(100)

中山間

(103)

車・バイク 送迎 徒歩 自転車 公共交通

(+)

(++) (-)

(-)

カイ二乗検定

1%

有意

残差分析 割合が高い

(++)1%

有意

(+)5%

有意 割合が低い

(--)1%

有意

(-)5%

有意

-5

免許返納前の買物交通手段

0% 20% 40% 60% 80% 100%

都市部

(125)

郊外部

(95)

中山間

(89)

送迎 徒歩 自転車 公共交通

(++)

(++) (--)

(--)

カイ二乗検定

1%

有意

残差分析 割合が高い

(++)1%

有意

(+)5%

有意 割合が低い

(--)1%

有意

(-)5%

有意

-6

免許返納後の買物交通手段

0% 20% 40% 60% 80% 100%

都市部

(126)

郊外部

(96)

中山間

(100)

増加

行くようになった 維持 行かないまま

減少

行かなくなった

-8

免許返納前後での通院頻度の変化

0% 20% 40% 60% 80% 100%

都市部

(144)

郊外部

(108)

中山間

(114)

ほぼ毎日 週数回 月数回 たまに 行かない

-7

免許返納後の通院頻度

(4)

が,中山間地域では送迎してもらう人の割合が,都市部 では徒歩,自転車の割合が高くなっている.返納後につ いては,買物の際の交通手段と同様に,都市部では自転 車,中山間地域では送迎の割合が高くなっている.また,

買物との違いとして,通院時には公共交通を利用する人 の割合がどの地域でも高くなっていることがあげられる.

(3)

免許返納者の生活実態のまとめ

以上の分析から,免許返納者の生活実態について,居 住地域による差を見ると,人口が集中し生活利便性の高 い都市部と比較して,中心部から離れ生活利便性の低い 郊外部や中山間地域では,免許返納後も家族などからの 送迎による自動車に依存した生活を送っている人が多い ことが確認できた.この点については,主に移動距離の 違いが影響していることが考えられ,店舗や病院までの

距離が近い都市部に居住する人では自転車がよく利用さ れており,郊外部,中山間地域と距離が遠くなるに従っ て自転車の割合が減少し,送迎の割合が増加している.

一方で,居住地域の違いによって公共交通を利用する割 合に違いは見られず,公共交通のサービス水準が高いか らといって利用する人の割合が高くなるというわけでは ないと言える.

4.

居住地域が免許返納者の生活に与える影響要 因

3

章においては,居住地域別の免許返納者の生活実態 について分析を行い,居住地域別の買物・通院行動につ いて明らかにした.また,郊外部,中山間地域では,免 許返納後も自動車に依存した生活を送っている人が多い ことも確認した.

ここからは,免許返納後の生活で,免許返納者はどの ようなことに困っているのかについて,居住地域による 違いを明らかにしていく.

(1)

免許返納後の生活で困ること

まず,それぞれの地域でどの程度の人が免許返納後の 生活で困っているのかについて見ていく.

-12

に免許 返納後の生活を総合的に見た際の困り具合を示している.

カイ二乗検定の結果

5%

水準で統計的に有意な差が見ら れ,都市部に比べて郊外部,中山間地域で免許返納後の 生活で困っている人が多い傾向が示された.

次に,免許返納後の生活で具体的にどのようなことに 困っているのかについて見ていく(

-13

).各項目に ついてとても当てはまる,まあ当てはまると回答した人 の割合を示しており,地域全体で当てはまると回答した 人の割合が高い順に並べている.また,居住地域による 差が見られるものには印をつけている.

多くの人が困ったと感じている項目としては,運転で きなくなり,自由に外出できないことや,タクシー運賃

0% 20% 40% 60% 80% 100%

都市部

(126)

郊外部

(97)

中山間

(102)

送迎 徒歩 自転車 公共交通

(++)

(++) (--)

(--)

カイ二乗検定

1%

有意

残差分析 割合が高い

(++)1%

有意

(+)5%

有意 割合が低い

(--)1%

有意

(-)5%

有意

-11

免許返納後の通院交通手段

0% 20% 40% 60% 80% 100%

都市部

(121)

郊外部

(93)

中山間

(101)

0-1km 1-2km 2-5km 5km-

(++)

(++) (--)

(-)

(+)

カイ二乗検定

1%

有意

残差分析 割合が高い

(++)1%

有意

(+)5%

有意 割合が低い

(--)1%

有意

(-)5%

有意

-9

免許返納後の通院距離

0% 20% 40% 60% 80% 100%

都市部

(145)

郊外部

(107)

中山間

(116)

大変困っている 少し困っている どちらでもない あまり困っていない 全く困っていない

(--) (+)

(-)

カイ二乗検定

5%

有意

残差分析 割合が高い

(++)1%

有意

(+)5%

有意 割合が低い

(--)1%

有意

(-)5%

有意

-12

総合的な生活の困り具合

0% 20% 40% 60% 80% 100%

都市部

(112)

郊外部

(85)

中山間

(92)

車・バイク 送迎 徒歩 自転車 公共交通

(++)

(++) (--)

(--) (+)

(-) (++)

(-)

カイ二乗検定

1%

有意

残差分析 割合が高い

(++)1%

有意

(+)5%

有意 割合が低い

(--)1%

有意

(-)5%

有意

-10

免許返納前の通院交通手段

(5)

などの金銭的負担があげられる.

居住地域による違いについては,公共交通が充実して おらず外出がしにくい,近くにスーパーや病院がなく生 活に困るといった項目で差が生じており,都市部に比べ て郊外部や中山間地域で困っている人が多い.また,送 迎やおつかいの頼みづらさに関しても違いが示された.

(2)

免許返納後の生活に困る要因分析

次にどういった要因がどの程度,免許返納後の生活に 影響を与え,居住地域によってどのような違いが見られ るのかを明らかにするため,数量化Ⅱ類による要因分析 を行った.被説明変数には,

-12

に示す総合的な生活

の困り具合を困っている,困っていないの

2

分類にし て用いた.どちらでもないという回答については,分析 に耐えうるサンプル数に満たなかったため分析対象から 除外した.説明変数には性別,年齢の個人属性に加え,

これまでの分析結果を踏まえ,返納前の運転頻度,返納 後の買物距離と通院距離,タクシー利用頻度,居住地域 の公共交通の充実度,送迎の利用可能性を用いた.なお,

送迎の同居家族とは,世帯に同居する家族に送迎をして もらえる環境がある人,同居家族以外とは,世帯に同居 していないが近くに住む家族・知人などに送迎をしても らえる環境にある人のことを指す.都市部,郊外部,中

山間地域の要因分析の結果をそれぞれ

-14

-16

示す.

まず,すべての地域で共通する点として,運転頻度が 高い人の方が生活に困っている傾向が見てとれる.また,

送迎を利用できる環境にない人も生活に困る傾向にあり,

地域によらず自動車に依存しない生活をおくることは負 担となっているものと考えられる.

次に買物・通院については,都市部と郊外部,中山間 地域で傾向が異なっており,都市部では通院の距離が遠 いこと,郊外部,中山間地域では買物に行けなくなった 人が返納後の生活に困る傾向が強い.

交通実態に関しては,都市部,郊外部では公共交通が 充実していない地域に住む人が生活に困る傾向となって いるが,タクシー利用頻度による影響は少ない.逆に中 山間地域では,タクシーを利用する人ほど生活に困る傾 向にあるが,公共交通の影響はあまり見られなかった.

6.

おわりに

本研究では,岡山県内の免許返納者に対するアンケー ト調査から,免許返納後の生活実態や生活の問題点と地 域特性の関係を分析し,さらに生活に困る要因分析を行 った.

生活実態については,居住地域によって施設までの距 離が異なり,返納後の交通手段では,都市部で自転車,

-1.5 -1 -0.5 0 0.5 1

65-74歳(48) 75歳以上(61) 男性(60) 女性(49) 毎日(29) 週数回(14) 月数回(19) ほとんどなし(47) 0-1km(64) 1-2km(25) 2km-(12) 行かなくなった(8) 0-1km(31) 1-5km(46) 5km-(19) 通院していない(13) 利用しない(44) 年数回(30) 月数回(35) 充実(47) やや充実(39) 非充実(23) 同居家族(62) 同居家族以外(29) 送迎なし(18)

タクシー 利用頻度 年齢 性別

運転頻度

買物距離

通院距離

公共交通

送迎

困っている 困っていない

0.36 0.31 0.95

0.66

1.45

0.33

0.83

0.99

困っている 困っていない -1.0794 0.3381 軸の重心

N=109 相関比:0.3684 的中率:79.8%

-14

生活に困る要因分析(都市部)

37%

66%

53%

33%

38%

35%

32%

33%

30%

18%

41%

35%

21%

37%

31%

24%

33%

29%

10%

38%

36%

20%

29%

27%

22%

26%

20%

9%

15%

16%

0% 20% 40% 60% 80%

都市部(146) 郊外部(111) 中山間(116) 都市部(147) 郊外部(110) 中山間(113) 都市部(143) 郊外部(108) 中山間(110) 都市部(145) 郊外部(108) 中山間(111) 都市部(144) 郊外部(110) 中山間(111) 都市部(144) 郊外部(109) 中山間(112) 都市部(145) 郊外部(108) 中山間(112) 都市部(144) 郊外部(108) 中山間(112) 都市部(144) 郊外部(109) 中山間(111) 都市部(145) 郊外部(107) 中山間(110) 車・バイクを運転で

きないので、自由に 外出できず困る タクシーに頼らなけ ればならないなど、

お金がかかる 雨、暑い日、寒い日 など天候・季節によ る負担

公共交通が充実して おらず思うように外 出できない 相手に迷惑をかけてい ると思うと、送迎やお つかいを頼みづらい

荷物を運ぶ、駅やバ ス停まで歩くなど体 力的につらい 近くにスーパーや病 院がなく生活に困る バスや送迎に時間を 合わせなければなら ず困る

身分証として使える ものがなくなったた め困る

車・バイクの運転が 出来なくなり誇りを 失った

**

**

**

カイ二乗検定 **1%有意 *5%有意

-13

免許返納後の生活で困ること

(6)

中山間地域で送迎を利用する人が多いという違いが見ら れた.一方で,公共交通の利用割合については差は見ら れなかった.また,返納後の生活に困っている人は,都 市部に比べ郊外部や中山間地域で多くなっている.生活 に困る要因分析の結果から,すべての地域で送迎を利用 できない人が困る傾向あり,郊外部,中山間地域では買 物に行けなくなった人が困っている.また公共交通の充 実度は郊外部では大きな影響を与えているが,中山間地 域では影響は小さく,タクシーを利用する人ほど生活に 困る傾向にある.

中山間地域の公共交通サービスレベルは生活を支える 水準に達しておらず,送迎を利用できない免許返納者は タクシーに頼らざるを得ない人が多いと考えられる.ま た,郊外部や中山間地域では買物に行けない人が生活に 困っており,移動販売や宅配サービス等による買物支援 を充実させていく必要があると考えられる.

免許返納者は年々増加傾向にあるものの,免許保有者 の割合は,免許返納が進む地域でも

65

歳以上の免許保有 者のうちの数

%

にすぎない.今後は免許返納者と免許保 有者の違いから,免許返納を可能にする要因について明 らかにしていくことが求められる.

謝辞:本研究は(社)交通工学研究会・地域交通安全委 員会(損保協会助成研究)において有用なご意見を頂い た.また岡山県警察本部には調査に関する多大なご協力 を頂いた.記して謝意を申し上げる.

参考文献

1)

鈴木春男:高齢ドライバー事故の実態と対策,予防 時報第

228

号,

pp.14-19

2007

2)

小住剛太郎,青島縮次郎,杉木直,古澤浩司:地方 都市における交通手段使い分け行動の実態と免許返 納意識の関連分析,土木計画学研究・講演集,

Vol.26

CD-ROM

2002

3)

内田元喜,橋本成仁:中山間地域における免許返納 意 向に 関す る研 究, 都市 計画 論文 集,

Vol.45(3)

pp.691-696

2010

4)

金井昌信,青島縮次郎,杉木直:自動車運転の代替 交通手段から見た自動車利用削減可能性分析,環境 情報科学論文集,

Vol.14

pp.201-206

2000

5)

松村誠:おかやま愛カード事業について~高齢者運

転免許証自主返納支援事業~,月刊交通,

No.41(3)

pp.87-98

2010

( 2011. ?. ? 受付 )

A study on the effect of relinquishment of the driver’s licence by residential area Seiji HASHIMOTO, Kazuo YAMAMOTO

-1.5 -1 -0.5 0 0.5 1

65-74(30) 75歳以上(42) 男性(34) 女性(38) 毎日(23) 週数回(11) 月数回(12) ほとんどなし(26) 0-1km(15) 1-2km(10) 2km-(34) 行かなくなった(13) 0-1km(8) 1-5km(25) 5km-(28) 通院していない(11) 利用しない(35) 年数回(20) 月数回(17) 充実(9) やや充実(18) 非充実(45) 同居家族(47) 同居家族以外(17) 送迎なし(8)

タクシー 利用頻度 年齢 性別

運転頻度

買物距離

通院距離

公共交通

送迎

困っている 困っていない

0.04 0.16

1.31 1.71

0.17

1.27

0.50

1.75

困っている 困っていない -0.8379 0.5985 軸の重心

N=72 相関比:0.5085 的中率:83.3%

-16

生活に困る要因分析(中山間地域)

-1 -0.5 0 0.5 1

65-74歳(30) 75歳以上(44) 男性(33) 女性(41) 毎日(26) 週数回(10) 月数回(12) ほとんどなし(26) 0-1km(20) 1-2km(21) 2km-(26) 行かなくなった(7) 0-1km(11) 1-5km(36) 5km-(18) 通院していない(9) 利用しない(43) 年数回(11) 月数回(20) 充実(17) やや充実(23) 非充実(34) 同居家族(48) 同居家族以外(18) 送迎なし(8)

タクシー 利用頻度 年齢 性別

運転頻度

買物距離

通院距離

公共交通

送迎

困っている 困っていない

0.07 0.24 1.33

1.02

0.32

0.60

1.33

0.86

困っている 困っていない -0.7793 0.5022 N=74 相関比:0.3967 的中率:79.7%

軸の重心

-15

生活に困る要因分析(郊外部)

参照

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