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(1)

地裁による自庁処理について

著者 齋藤 善人

雑誌名 鹿児島大学法学論集

巻 49

号 2

ページ 105‑120

発行年 2015‑03

URL http://hdl.handle.net/10232/00029774

(2)

齋 藤 善 人

1 問題提起

2 最決平成20. 7 .18の内容 3 設問の検討

4 結びに代えて

1 問題提起

(1)はじめに  訴えの提起という訴訟活動にあって、そのイニシアティブ は原告の手中にある。そもそも訴えを提起するか否かという行動選択自体が、

処分権主義のもと原告に委ねられているし、いざ訴えを提起するに際しても、

通常、法定管轄を有する複数の裁判所のうち、具体的にどこの裁判所に訴えを 起こすかは、原告次第である。

反面、管轄裁判所の選定に関して、被告の立場は受動的である。そこで、土 地管轄の規定は、被告の住所地を普通裁判籍にする( 4 1 項および 2 項)な ど、被告側に一定の配慮を示している。が、原告としては、普通は競合して管 轄が認定でき、なおかつ自分のテリトリーに至近の裁判所となる特別裁判籍( 5 条 1 ないし15号、 6 条ないし 7 条)を根拠に用いることになる。

かように、訴訟がどこの裁判所に係属するかは、当事者の訴訟追行の便宜や 当事者間の公平、裁判所間における裁判事務の公平な分担、裁判所の審理の充 実・促進といった観点から、軽んずることはできない。そして、管轄の存在は、

訴訟要件の 1 つだから、原告が管轄権を有さない裁判所に訴えを提起したとき には、本来その訴えは却下を免れない。ただ、そうなると、原告は改めて管轄 裁判所に訴えを提起し直さなければならなくなり、提訴手数料の再納付を余儀 なくされたり、当初の訴訟による時効中断や期間遵守の効果(147条)を得ら れなくなるなどの不利益を被る可能性がある1

1  高田昌宏「管轄と移送」青山善充=伊藤眞編・民事訴訟法の争点[第3版](有斐閣・平 成10年)46頁、花村良一「移送制度の問題」伊藤眞=山本和彦編・民事訴訟法の争点

(3)

そこで、原告が選択した裁判所に管轄権がない場合、かかる管轄違いの訴え を救済するべく「移送」の制度が設けられている。移送とは、訴訟が特定の受 訴裁判所に係属した後に、当該裁判所の裁判によって、その訴訟を他の管轄裁 判所に移転・送致することである2

(216条の規定内容  裁判所は、管轄権のない訴状が提出された場合でも、

その受理を拒むことはできず、その事件を受理したうえ、手続を開始するか、

管轄違いとして適切な管轄裁判所に移送するかのいずれかをしなければならな いとされる3。これに関し、16 1 項は、「裁判所は、訴訟の全部または一部が その管轄に属しないと認めるときは、申立てによりまたは職権で、これを管轄 裁判所に移送する」と規定する。そして、同条 2 項は、本文で「地方裁判所は、

訴訟がその管轄区域内の簡易裁判所の管轄に属する場合においても、相当と認 めるときは、前項の規定にかかわらず、申立てによりまたは職権で、訴訟の全 または一部について自ら審理および裁判をすることができる」と規定し、ただ し書で「訴訟がその簡易裁判所の専属管轄(当事者が第11条の規定により合意 で定めたものを除く)に属する場合は、この限りでない」と規定している。

すなわち、管轄違いの訴えは、移送されるのが原則(16 1 項)だが、本来、

簡裁の管轄に属する訴訟が、その区域の地裁に提起された場合、相当と認めら れれば、地裁が自ら審理・裁判できる(16条 2 項本文。これを「自庁処理」と いう)。この 2 項本文は、「前項の規定にかかわらず」とあることから、1 項の 例外を定めた趣旨に他ならない。ただし、当該訴訟についての管轄が簡裁に専 属するときは、1 項の原則に返る( 2 項ただし書)が、ここにいう専属管轄か ら専属的合意管轄は除かれている( 2 項ただし書括弧書)。

(3)考察の対象とする問題の設定  さて、そこで、ここでは次のような設 問を想定して、地裁と簡裁との間の移送と自庁処理について考察してみたい。

【設例】広島市在住のYは、X信販会社(本店所在地:長野市)との間で信 用購入斡旋契約(クレジット契約)を締結し、クレジットカードの交付を受け

  (有斐閣・平成21年)46頁など。

2 藤田広美・講義民事訴訟[第3版](東京大学出版会・平成25年)129頁。

3 藤田広美・解析民事訴訟[第2版](東京大学出版会・平成25年)166頁。

(4)

た。Yは、X発行のカードの加盟店である広島市内の画商Aから、レオナール 藤田の油絵1点を購入し、代金500万円の支払いをX発行のクレジットカードで 行った。ところが、Xとの契約で約定された口座引き落としの期日が到来した が、Y名義のB銀行広島支店の口座残高は 0 だった。そこで、Aに立替払いを していたXは、Yに対し、金500万円の求償を求めて訴えを提起したいと考え ている。

【問】仮に、Yが既に決済済みである等と主張し、Xに対して債務不存在確 認の訴えを広島地裁に提起したところ、Xは、XY間のクレジット契約約款に おいて、「本契約に関する紛争については、東京簡易裁判所を専属的な第一審 管轄裁判所とする」旨の約定があることを理由に、東京簡裁を専属的管轄とす る合意が成立していると主張して、16 1 項に基づき、この訴えを東京簡裁に 移送することを求めた場合、このXの申立ては認められるか。

以下、この問いを考察することによって、16条 2 項に係る議論に 1 つの可能 性を提言したい。

2 最決平成20. 7 .18の内容

設問を考えるにあたって、1 つの先例を参考にしよう。最決平成20. 7 .18 集62 7 2013頁である4

(1)事案の概要  顧客であるXは、貸金業者であるYに対し、Yとの間の 貸付取引で生じた過払金約660万円余とその法定利息(民704条前段)の支払を 求める不当利得返還請求の訴え(以下「本件訴訟」という)をXの住所地であ る大阪地裁に提起した。Yは、XY間の金銭消費貸借契約の契約証書中に「本 契約に係る訴訟行為については、大阪簡易裁判所を以て専属的合意管轄裁判所 とする」との条項があり、大阪簡裁を専属的管轄裁判所とする合意があるとし

4 評釈として、片田信宏・別冊判例タイムズ29号196頁、川嶋四郎・法学セミナー648 号120頁、河村好彦・法学研究(慶應義塾大学)82巻8号181頁、齋藤哲・私法判例リマー クス39号98頁、田中秀幸・法曹時報63巻4号177頁、濵田陽子・ジュリスト1376号141 頁、藤本利一・民事訴訟法判例百選[第4版](有斐閣・平成22年)10頁、宮永文雄・

法政研究(九州大学)75巻4号129頁、柳沢雄二・早稲田法学85巻2号205頁など。

(5)

て、民訴法16 1 項に基づき、大阪簡裁への移送を申し立てた。これに対して、

Xは、16条 2 項本文を適用し、地裁が自ら審理および裁判することを相当とし、

簡裁への移送申立てを却下するにつき、地裁の裁量が認められるとし、本件訴 訟では期限の利益喪失の有無や悪意を否定する特段の事情の有無などが争点と して予想され、地裁で審理、裁判をするのが相当であるとして移送申立てを却 下すべきであると主張した5

第一審の大阪地裁は、Y主張の専属的合意管轄が成立し、過払金の返還等を 求める本件訴訟にもその効力が及ぶことを前提に、「簡裁は簡易迅速な処理に 適する事件を取り扱う裁判所であるから、そのような処理に適さない事件につ いては、専属的管轄の合意が認められる場合であっても、地裁の自庁処理が相 当である。本件訴訟の訴額は簡裁の事物管轄に属する金額をはるかに超え、過 払金の充当処理も複雑であって、その判断には相当の困難が伴う。専属的管轄 の合意が認められる場合に当事者の意思を尊重する必要があるとしても、大阪 簡裁と大阪地裁の場所的近接性に照らせば、当事者の出頭の便宜に差はない。

争点の審理判断が困難な事件にあっては、許可代理の制度(54 1 項ただし書)

を利用できないというYの不利益に配慮する必要もない」として、本件訴訟の 訴額や予想される争点に照らせば、本件訴訟は自庁処理が相当であると判断し、

Yの移送申立てを却下する決定をした。

原審の大阪高裁は、「専属的管轄の合意に基づき専属的管轄裁判所とされた 簡裁ではなく、その管轄区域内にある地裁に提起された訴訟について、同簡裁 への移送が申し立てられた場合、地裁において自庁処理をするのが相当と認め られるのは、上記合意に基づく専属的管轄裁判所への移送を認めることにより 訴訟の著しい遅滞を招いたり、当事者の衡平を害することになると認められる 事情があるときに限られる。本件訴訟において、期限の利益の喪失の有無、民 704条の悪意を否定する特段の事情の有無、弁済の充当方法等が争点となるこ とが予想されるとしても、過払金返還訴訟については、多くの最高裁判例が存 在し、簡裁における同種事案の審理も定着してきた現状に照らせば、本件訴訟 が簡裁での審理に適さないほど複雑で困難な事案であるとも、その審理が長期

5 その他、Xは、そもそも管轄の合意は成立していないとか、仮に管轄の合意が成立し ているにしても、その合意は付加的な合意管轄と解すべきといった点も主張していた。

(6)

化するともいえない。このことは本件訴訟の訴額が多額であっても変わらない」

として、大阪地裁のした移送申立て却下決定を取り消し、16条 1 項により本件 訴訟を大阪簡裁へ移送すると決定した。要するに、専属的管轄の合意がある場 合、地裁の自庁処理が相当であると認められるのは、この合意に基づく専属的 管轄裁判所への移送を認めることにより訴訟の著しい遅滞を招いたり、当事者 間の衡平を害する事情があるとき[これらの事由は、17条移送の要件に該当す る]に限られ、本件訴訟においてそのような事情はないというものであった。

これに対して、Xは、最高裁の判例がない場合における抗告裁判所である福 岡高決昭和45.10.27下民集21 9 =101416頁や大阪高決平成18. 6 .27(判例集 未搭載)によれば、16条 2 項の「(自庁処理を)相当と認めるとき」に当たる か否かの判断に際しては、地裁の裁量が認められ、裁量権を逸脱した違法がな い限り、地裁の判断が尊重されるとされているのであり、本件訴訟においては、

①期限の利益の喪失の有無、②悪意の受益者の該当性といった重要な争点があ るから、地裁でこれを審理するのが相当であり、少なくとも地裁がかかる判断 をしたとしても、裁量権を逸脱した違法はない。ゆえに、地裁の裁量を否定し、

Yの移送申立てを是認した原判決には、上記各高裁決定に反するとして、許可 抗告を申し立てた。

(2)決定要旨  「民訴法16条 2 項の規定は、簡易裁判所が少額軽微な民事 訴訟について簡易な手続により迅速に紛争を解決することを特色とする裁判所 であり(裁判所法33条、民訴法270条参照)、簡易裁判所判事の任命資格が判事 のそれよりも緩やかである(裁判所法42条、44条、45条)ことなどを考慮して、

地方裁判所において審理及び裁判を受けるという当事者の利益を重視し、地方 裁判所に提起された訴訟がその管轄区域内の簡易裁判所の管轄に属するもので あっても、地方裁判所が当該事件の事案の内容に照らして地方裁判所における 審理及び裁判が相当と判断したときはその判断を尊重する趣旨に基づくもの で、自庁処理の相当性の判断は地方裁判所の合理的な裁量にゆだねられている ものと解される。そうすると、地方裁判所にその管轄区域内の簡易裁判所の管 轄に属する訴訟が提起され、Yから同簡易裁判所への移送の申立てがあった場 合においても、当該訴訟を簡易裁判所に移送すべきか否かは、訴訟の著しい遅 滞を避けるためや、当事者間の衡平を図るという観点(民訴法17条参照)から

(7)

のみではなく、同法16 2 項の規定の趣旨に鑑み、広く当該事件の事案の内容 に照らして、地方裁判所における審理および裁判が相当であるかどうかという 観点から判断されるべきものであり、簡易裁判所への移送の申立てを却下する 旨の判断は、自庁処理をする旨の判断と同じく、地方裁判所の合理的な裁量に 委ねられており、裁量の逸脱、濫用と認められる特段の事情がある場合を除き、

違法ということはできないというべきである。このことは、簡易裁判所の管轄 が専属的管轄の合意によって生じた場合であっても異なるところはない(同法 16 2 項ただし書)

以上によれば、原審の前記判断には裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令 違反がある。論旨は理由があり、原決定は破棄を免れない。そして、以上説示 したところによれば、原々審が本件訴訟の事案の内容に照らして自庁処理を相 当と認め、Yの移送申立てを却下したのは正当であるから、原々決定に対する 抗告を棄却することとする。」

(3)決定内容の評価  16条 2 項は、簡易裁判所における事件処理の特色や 緩和された裁判官の任命資格と対比すれば、原則的な第一審裁判所ともいうべ き地方裁判所において審理、裁判を受ける当事者の利益を重視し、地方裁判所 の自庁処理を相当とする判断を尊重する趣旨に基づくものと評し得る。

そうすると、簡易裁判所への移送申立てを却下する旨の判断も、自庁処理を する旨の判断と同じく、地方裁判所の裁量的判断に委ねられているものと考え られる。そして、地方裁判所の裁量的判断を認める以上、その観点としても、

原決定のように17条所定の訴訟の著しい遅滞を避けるためや、当事者間の衡平 を図るために限られるとする理由はなく、16条 2 項の規定の趣旨に鑑み、広く 当該事件の事案の内容に照らして地方裁判所における審理、裁判が相当である かという観点から判断されることになる。

また、専属的管轄の合意との関係については、現行民訴法は、20条と平仄を 合わせ、16条 2 項ただし書において「当事者が第11条の規定により合意で定め たものを除く」と定める。したがって、本決定でも「簡易裁判所の管轄が専属 的管轄の合意によって生じた場合であっても異なるところはない」と判示され ている。

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3 設問の検討

(1)管轄違いの移送(16 1 項)の適用について  1.専属的合意によって 指定された裁判所以外の裁判所に訴えが提起された6ところ、被告側が管轄違 いを理由に、合意された裁判所への移送を求める申立て(16 1 項)をした場 合、この移送は認められるだろうか。すなわち、専属的合意管轄裁判所以外の 裁判所への提訴は、管轄違いとなるのか。

この点について、専属的合意がされても、20 1 項括弧書により、17条によ る法定管轄裁判所への移送が可能な旨規定されている以上、かかる合意には法 定管轄裁判所を排除するまでの効力はないと解され(この意味で、専属的合意 管轄の概念は、もはやその意味を消失していると理解する7)、したがって、合 意裁判所以外の他の法定管轄裁判所に訴えが提起されたとしても、基本的に管 轄違いは生じないとの考え方8もある。

これに対して、専属的管轄の合意がある以上、合意された裁判所に管轄権が 認められるから、それ以外の裁判所は、この合意によって排斥されたものと評 価され、したがって他の裁判所に提起された訴えは、管轄違いになると解する9 ことも考えられる。

2.最高裁の立場  平成20年決定の事案は、大阪簡裁に専属的合意管轄があ るときに、大阪地裁に提訴されたため、大阪地裁には管轄がないはずだからと

6 なお、設問のY提起に係る債務不存在確認の訴えについては、広島地裁に法定管轄が 認められる(5条1号・民484条(広島支店での口座引き落としの約定があるので、民

484条所定の「別段の意思表示」があることになる))。もちろん、そもそも付加的な

合意というのであれば、管轄違いは生じない。

7 中山幸二「管轄の争点」伊藤眞=山本和彦編・民事訴訟法の争点(有斐閣・平成21年)

43頁、柳沢雄二・前注(4)215頁。ただ、20条1項括弧書により17条移送が可能なこ とを明文化したことで、17条に関しては、専属的合意管轄の「専属性」は否定され たと解し得るにしても、16条2項の場合も同様の議論になるかは、検討を要しよう。

8 中山幸二・前注(7)43頁。

9 専属的管轄についても、20条1項括弧書で17条移送が認められているが、この移送 は、「他の管轄裁判所に移送することができる」というのだから、あくまでも裁量に よって移送が可能であること、つまり、裁量による移送の余地を認めた趣旨と解す る。したがって、17条移送が可能であるからといって、専属的な管轄の合意にもは や意味がないというわけではない(河村好彦・前注(4)184頁、濵田陽子・前注(4)

142頁、藤本利一・前注(4)11頁)

   また、16条 2 項の自庁処理も、「自ら審理及び裁判をすることができる」という規 定であり、やはり裁量的な趣旨である。対して、同条1項は、「これを管轄裁判所に 移送する」と規定している。

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いう理由で、16 1 項の管轄違いの場合の移送が申し立てられたものである。

最高裁は、自庁処理が認められるのは、合意に基づく専属的管轄裁判所へ移送 することで、17条所定の事情が生じる場合に限られ、したがって、かような事 情がないときには、合意された専属的管轄裁判所に移送するのが相当であると した原決定を破棄した。管轄違いの移送の申立ての是非が問われたのであるが、

「簡裁への移送の申立てを却下する旨の判断は、自庁処理をする旨の判断と同 じく」とされていることから、自庁処理を是とする判断は、移送申立てを非と する判断と同じ事柄であるとの見立てである10

最高裁の決定要旨の「自庁処理の相当性の判断は地裁の合理的な裁量に委ねら れているものと解される。そうすると、…被告から簡裁への移送の申立てがあった 場合においても、…16 2 項の規定の趣旨に鑑み、広く当該事件の事案の内容に照 らして地裁における審理及び裁判が相当であるかどうかという観点から判断され るべきものであり、簡裁への移送の申立てを却下する旨の判断は、自庁処理をす る旨の判断と同じく地裁の合理的な裁量に委ねられ…」との判示は、移送の申立 ての却下を判断することは、あたかも 2 項の地裁による自庁処理の適否を論ずる ということに他ならないとの認識を明らかにしている。条文の構造からみると、2 項は、「前項の規定にかかわらず」とあることから、1 項の例外の定めであり、そ の意味で、1 項の管轄違い移送の成立を当然の前提としているとも評価できよう11

3.設問ではどうなるか  この点、設問でも、東京簡裁に専属的管轄がある 旨の合意があるから、管轄権を有するのは東京簡裁であり、平成20年決定の理 解を前提にすれば、広島地裁など他の裁判所には管轄がないことになる。した がって、広島地裁への提訴は、管轄違いに該当し、ゆえに、16条 1 項移送の対 象となろう12

10 柳沢雄二・前注(4)218頁は、簡裁への移送の申立てを却下する旨の判断は、地裁 による自庁処理が相当であるとの判断と同義であり、他方で、簡裁への移送の申立 てを認容する旨の判断は、地裁による自庁処理が不相当であるとの判断と同義であ るから、結局のところ、「当該訴訟を簡裁に移送すべきか否か」と「地裁の自庁処理 が相当か否か」とは表裏の関係をなすという。

11 齋藤哲・前注(4)100頁は、1項が、管轄違いが認められる場合に、「申立てにより

…管轄裁判所に移送する」と定め、2項が「前項の規定にかかわらず…自ら審理及び 裁判をすることができる」としていることから、後者の自庁処理に関する規定は、

前者の管轄違いの申立てを却下できると解釈して問題なく、おそらくそれ自体、異 論はないものと思われるという。

12 仮に専属的管轄の合意に意義を認めない立場によれば、設問における訴訟の目的の価

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(2)自庁処理(16 2 項)について  1.最高裁の立場  16 2 項の自庁 処理は、規定上、「訴訟がその管轄区域内の簡裁の管轄に属する場合においても」

とされているから、地裁の管轄区域内にある簡裁に管轄がある場合を想定して いる。そうすると、平成20年決定の事案は、合意された裁判所は大阪簡裁であ り、実際に提訴された裁判所は大阪地裁だから、訴訟が大阪地裁の管轄区域内 の簡裁の管轄に属する場合に該当する。したがって、16条 2 項の自庁処理の可 能性は、規定の想定範囲内といえるだろう。

2.設問ではどうなるか  これに対して、設問では、東京簡裁に専属的合意 管轄がある。つまり、東京簡裁の管轄に属する訴訟なので、これは実際にYに よって提訴された広島地裁の管轄区域内の訴訟とはいえない。とすると、広島 地裁が自庁処理するというのは、同項の「訴訟がその管轄区域内の簡裁の管轄 に属する場合」という要件を満たさないことになるのではないかが問われる。

(3)検討─設問の場合、Xによる管轄違いを理由とする東京簡裁への移送申 立ては認められるか。それとも、広島地裁が自庁処理することは可能か─

1.最高裁決定の読み方  決定要旨は、「…簡易裁判所への移送の申立てが あった場合においても、当該訴訟を簡易裁判所に移送すべきか否かは、訴訟の 著しい遅滞を避けるためや、当事者間の衡平を図るという観点(民訴法17条参 照)からのみではなく、同法16条 2 項の規定の趣旨に鑑み、広く当該事件の事 案の内容に照らして地方裁判所における審理及び裁判が相当であるかどうかと いう観点から判断されるべきものであり、…地方裁判所の合理的な裁量に委ね られて…」と述べる。これは、16 2 項の自庁処理の是非を判断する要素とし て、17条所定の他の管轄裁判所への裁量移送の要件を考慮することは“もちろ ん”であり、それに加えて、さらに広く地裁の裁量的判断も加味して考えるこ とを含むものと読めるのではないか。

決定要旨は、地裁に提起された訴訟につき、それを簡裁に移送すべきか否か は、17条にいう訴訟の著しい遅滞を避けるためや、当事者間の衡平を図るとい

額は140万円を超えており、本来は地裁の事物管轄である。そして、Yは債務不存在確 認の訴えを義務履行地(5条1号・民484条)を管轄する地裁としての広島地裁に提起した。

とすると、少なくとも特別裁判籍として法定管轄を有する広島地裁と、合意管轄裁判 所としての東京簡裁とが競合する形になるから、管轄違いの移送(16条2項)ではなく、

17条移送の問題となる(宮永文雄・前注(4)136頁、柳沢雄二・前注(4)212頁)

(11)

う点から「のみではなく」、16 2 項の趣旨に鑑みて、広く事案の内容に照ら して地裁が審理・裁判することが相当かどうかという観点から判断され、地裁 の合理的な裁量に委ねられているという。普通、「のみではなく」という語で 繋いだ場合、著しい遅滞の回避や当事者間の衡平の確保という17条所定の判断 要素“だけではなく、それに加えて”といったニュアンスをそこに読み取って も無理はないだろう。つまり、17条所定の裁量移送の要件が、地裁の自庁処理 の是非の判断の基準となることは当然の前提であり、ただ、自庁処理の判断は、

それだけによるのではではなく、それに加えて、より広い観点からされるべき ものであって、地裁の合理的な裁量の範囲内にあると理解する13

だとすれば、16条 1 項の例外として機能する同条 2 項の解釈にあたって、17 条の裁量移送の要件を含めて考えることは当然に承認されている。その結果、

地裁が自庁処理することで、訴訟の著しい遅滞を招来したり、当事者間の衡平 を阻害したりするような場合には、移送が認められることになることはもちろ ん、他の管轄裁判所への移送により訴訟の著しい遅滞を招いたり、当事者間の 衡平を害することになると認められる事情がある場合には、地裁の自庁処理が 許されると考えられる(かような事情がないときには、16 1 項の管轄違いに よる移送が認められることになろう。もとより、これらの要素以外の具体的な 事情に鑑みて、地裁がその裁量によって、自庁処理を是認する余地も認めるの が平成20年決定である)

すなわち、移送することで、移送先の裁判所において、17条の要件に抵触す るような事態が想定される場合に、自庁処理を否定することは許されないと解 せるのではないか。「地裁において審理および裁判を受けるという当事者の利 益を重視し…」、「広く当該事件の事案の内容に照らして地裁における審理およ び裁判が相当であるかどうかという観点から判断されるべきもの…」であれば、

地裁の自庁処理が認められる以上、簡裁への移送によって17条の要件となって いる不都合が生じるような場合には、“もちろん”自庁処理が許されると考え るものである。

13 宮永文雄・前注(4)140頁の注(13)には、平成20年決定につき、移送一般の可否 を判断するうえで、17条の要件は一定の共通項を示すものと解釈したと考えること ができようとの見方が示唆されている。

(12)

2.設問の場合  ただ、この判断は、あくまでも16 1 項の例外としての 2 項の自庁処理の基準として示されたものに他ならない。たとえば、この趣旨を 設問のような、2 項の要件に直ちに当てはまらない場合に援用することは可能 なのか。

1 つの考え方として、16 2 項の文言どおりに、広島地裁の管轄区域内の簡 裁の管轄に属する場合でない以上、東京簡裁が専属的合意管轄裁判所である事 件を広島地裁に提訴することは管轄違いであり、そしてこの場合、広島地裁が 自庁処理することはできない。ゆえに、専属的に合意された東京簡裁に移送さ れる(16 1 項)と解することもあり得よう。この点、平成20年決定は、地裁 の自庁処理を判断する基準として、当該訴訟を簡裁に移送すべきか否かは、訴 訟の著しい遅滞を避けるためや、当事者間の衡平を図るという17条所定の観点 からのみではなく、2 項の趣旨に鑑み、広く事案の内容に照らして地裁での審 理や裁判が相当であるかという観点から判断されるべきとされ、地裁の合理的 な裁量の余地を認めたものと解し得るが、ただ、それはあくまでも、「地方裁 判所に提起された訴訟がその管轄区域内の簡易裁判所の管轄に属するもので あって」とか、あるいは「地方裁判所にその管轄区域内の簡易裁判所の管轄に 属する訴訟が提起され、被告から同簡易裁判所への移送の申立てがあった場合」

についてであるとの限定が付されている上での話である。そして、このように 解することが、簡裁での簡易迅速な処理を選択した結果、その旨の合意をして いた当事者の意思を尊重することになる14ともいえよう15

これに対して、そもそも専属的合意管轄であっても、17条移送を許容した(20 条 1 項括弧書)趣旨に照らせば、合意された簡裁ではない地裁に訴えが提起さ れたことをもって、管轄違い移送の申立てがあっても、移送先の裁判所で裁判 することが、17条所定の要素に抵触するような場合には、そのような移送は認 めるべきではないといえないだろうか。たとえば、16 1 項の例外として、17 条の趣旨を類推するものとする、つまり、17条は本来、管轄の競合する他の裁 判所への移送を認めるための要件を定めたものだが、これを移送先で裁判する

14 河村好彦・前注(4)188頁、藤本利一・前注(4)11頁。

15 この場合、Yとしては、東京簡裁への移送後、17条を使って、広島地裁への移送を 申し立てることが考えられる。

(13)

ことがこの要件に該当する場合に、移送を否定して自庁処理するというように 解し、管轄違いを理由に移送しない(=自庁処理)と判断することは、たとえ 2 項の「訴訟がその管轄区域内の簡裁の管轄に属する場合」に形式的には該当 しないとしても、可能と解する余地はないだろうか。

16 2 項の前身である旧民訴30 2 項は、昭和23年の民事訴訟法の一部を改 正する法律(昭和23年法律第149号)により新設されたものであり、この規定が、

事件が地裁の管轄区域内にある簡裁の管轄に属する場合に限って、地裁の自庁 処理を認めたのは、地裁がその管轄区域外の簡裁の事件を取り扱うことは、「土 地管轄を紊る弊を生ずることを慮」ってのことと解されていた16。その趣旨が、

土地管轄の濫用などのおそれを避けることにあるとすれば、簡裁への専属的管 轄の合意がなければ、本来、地裁に法定管轄が認められたような場合には、土 地管轄をないがしろにするものとまでは言い難いと評することもできよう。

そして、かように解し得るとすれば、「訴額が少額ではなく、請求権の存否 をめぐり実質的な争いが存在しているはずの事件では、裁判所の人的構成の違 いから、やはり原則的には地裁での審判を優先させるべきであり、合意管轄が なければ地裁に提起されたはずの事案においては、とくに濫用的な処理と認め られない限り、地裁で審判するという裁量的判断をできる限り尊重すべきであ るように思われる」17との趣旨に合致することにもなるだろう。

したがって、確かに管轄違いの移送の16 1 項は、「これを管轄裁判所に移 送する」との文言であるから、専属的合意管轄の簡裁以外の裁判所たる地裁へ の提訴は、管轄違いと解する以上、合意裁判所への移送が必要的とも考えられ る。しかしながら、平成20年決定は、16条 1 項の例外を定める 2 項の地裁によ る自庁処理(162項ただし書括弧書)の判断基準の 1 つとして、17条移送の 要件を提示するものであって、なおかつその趣旨を 2 項の文言所定の場合に 限らず( 2 項の要件に合致しない場合にも)類推して18、訴訟が地裁の管轄区

16 奥野健一=三宅正雄・改正民事訴訟法の解説(海口書店・昭和23年)29頁。

17 藤本利一・前注(4)11頁。同じく、原則的な第一審裁判所としての地裁の役割に言 及するものとして、川嶋四郎・前注(4)120頁、河村好彦・前注(4)187頁、田中秀幸・

前注(4)191・192頁。

18 本来、17条は管轄のある裁判所から他の管轄裁判所への移送を定めた規定であり、専属 的合意管轄の有効性が認定された平成20年決定の事案では、大阪地裁に管轄はないこ

(14)

域内の簡裁の管轄に属する場合でなくても、移送しない旨の判断(すなわち、

地裁が自庁処理)をすることができると考える。ゆえに、設問のごとく、被告 以外の関係者はすべて広島にいるという事情に鑑みれば、これを東京簡裁に移 送することは、当事者および尋問を受けるべき証人の住所、使用すべき検証物 の所在地その他の事情を考慮したとき、訴訟の著しい遅滞を招く可能性がある し、また、当事者間の衡平の点からも問題が生じると考えられる19。すなわち、

本人尋問等の対象であるYとB銀行の支店担当者らは、広島に居住しているた め、審理の便宜という点からすれば、広島地裁の方がベターだろうし、また、

銀行取引では、通常、取引店舗を履行場所と考えるのが一般的20ともいわれる。

したがって、広島地裁による自庁処理が許されると解するとの結論に至る。

4 結びに代えて

(1)自庁処理の手続  地裁による自庁処理の判断は、当事者の申立てによ りまたは職権でなされる(16 2 項本文)が、管轄違いの抗弁が提出されるこ となく応訴がされたときは、応訴管轄(12条)が生じてしまうため、その場合 には、地裁が自庁処理を判断する余地はなくなる。ただ、移送に関する裁判、

つまり、管轄違いによる移送の申立てを認める裁判や、その移送申立てを却下 する(すなわち、自庁処理を認める)裁判は、決定でされる(21条参照)から、

任意的口頭弁論(87 1 項ただし書)に基づいて行われる。ということは、そ の限りでは、必ずしも当事者が意見を表明する機会が保障されるとは限らない。

この点に関連して、「簡裁は、訴訟がその管轄に属する場合においても、相当 と認めるときは、申立てによりまたは職権で、訴訟の全部又は一部をその所在 地を管轄する地裁に移送することができる」と規定する18条は、16 2 項と「表

  となるから、17条に言及するということは、17条の趣旨を類推適用するという意味 に解せられる(藤本利一・前注(4)11頁参照)。

19 これに対して、柳沢雄二・前注(4)219頁は、地裁による自庁処理の判断は「訴訟 がその管轄区域内の簡裁の管轄に属する場合」に限定されるのであるから、地裁と 簡裁との場所的遠隔性はそれほど問題にならず、判断要素としても副次的なものに とどまる。したがって、「当事者及び尋問を受けるべき証人の住所」を考慮するにし ても、その重要度は17条移送に比してかなり低いことは否定できないとする。

20 藤本利一・前注(4)11頁。

(15)

裏の関係に立つ」ものと評されている21ところ、同条の移送の決定をするに際 して、裁判所は、当事者からの申立てによるときには、相手方当事者の意見を 聴くものとされ、また、職権によるときには、当事者の意見を聴くことができ るものとされている(規則 8 1 および 2 項)。つまり、当事者がその意思を 表明する機会を付与されているものと評価でき、かような取扱いは、16 2 においても、同様にすべきとの考え22もある。

(2)地裁と簡裁の関係  さて、結局のところ、考察の究極には、地裁と簡 裁の役割をどう捉えるかという哲学的課題がある。簡裁は、少額軽微な民事訴 訟について、簡易な手続により迅速に紛争を処理することを旨に制度設計され た裁判所であり(270条は、簡裁においては、簡易な手続により迅速に紛争を解 決すると規定し、また、裁判所法33 1 項柱書は、簡裁は次の事項につき第一 審の裁判権を有するとし、その 1 号では、訴額が140万円を超えない請求と定め ている)、たとえば、その訴訟手続は、口頭での訴えの提起が許され(271条)23 訴えの提起にあっては請求の原因に代え、紛争の要点を明らかにすることで足 り(272条)24、口頭弁論の準備を書面でする必要はなく(276 1 項)25、相当 と認めるときには、証人や当事者本人の尋問、鑑定人の意見の陳述に代えて、

書面を提出することができ(278条)26、判決書の記載事項として事実や理由を 記載するには、請求の趣旨および原因の要旨や請求を排斥する抗弁の要旨を表 示すれば足りるものとされる(280条)27など、簡略化されている。そして、そ の審判を担当する簡裁判事は、一人制(裁判所法35条)で合議制は予定されて

21 齋藤哲・前注(4)101頁、田中秀幸・前注(4)194頁、柳沢雄二・前注(4)209頁。

22 河村好彦・前注(4)188頁、齋藤哲・前注(4)101頁、高田昌宏・前注(1)47頁、

濵田陽子・前注(4)141頁、藤本利一・前注(4)11頁、柳沢雄二・前注(4)209頁。

ただ、規則 8 条 1 項は、「相手方の意見を聴いて決定するものとする」とし、2 項は、

「移送の決定をするときは、当事者の意見を聴くことができる」というものであって、

仮に裁判所が、当事者の意見を聴かなかったとしても、それによって裁判所の移送 に係る決定が違法なものになるとまではいえないだろう。

23 本来、訴えの提起は、訴状を裁判所に提出してしなければならない(133条 1 項)。

24 請求の趣旨と請求の原因は、訴状の必要的記載事項である(133条 2 項 2 号、規則53 条 1 項)。

25 口頭弁論は、書面で準備しなければならない(161条 1 項)。

26 普通は、裁判所が相当と認める場合で、当事者に異議がないときに、証人の尋問に 代えて、書面を提出させることができる(205条)。

27 判決書の必要的記載事項は、主文、事実、理由等であり(253条 1 項)、事実の記載にあっ ては、請求を明らかにし、かつ、主文が正当であることを示すのに必要な主張を適 示しなければならない(同条 2 項)。

(16)

おらず、任用の資格についても、通常の判事のそれより緩和されている(裁判 所法44・45条)。かかる違いに着目すると、地裁におけるより慎重で周到な審理・

判断を受ける機会が保障されるべきとの考慮28、とりわけ、「簡裁よりも訴額 の大きな事件について事物管轄を有する地裁で、簡裁の事物管轄に属する訴額 の小さな事件を審理および裁判をすることとしても、当事者には慎重な審理お よび裁判が受けられるという利益があり、また、地裁で裁判がされれば、最高 裁への上告および上告受理申立てまで可能となるという審級上の利益もある一 方で、当事者に看過することができないような不利益が生ずることはない」と いう指摘29も頷ける。

これに対しては、簡裁での事件処理を望むという当事者の要望が管轄の合意 という形で現れているときには、これを尊重すべきであるとの考え方もある30。 というのは、簡裁の民事訴訟事件は金銭請求事件が90%を超し、その大部分 は貸金、立替金、求償金といった定型的な事件で占められているとの実態に鑑 み、そういった定型的な事件の処理であれば、簡易な手続で迅速に行うことに 利便性があり31、かような定型的な事件について地裁に移送するとの処理をす ることに疑問を呈する立場もある32

しかし、訴額が少額とはいえず、請求権の存否に関して実質的に争っている ような事案にあっては、裁判所の人的構成の違い等も加味して考えれば、原則 的には地裁での審理・判断を優先させるべきであり、とくに、管轄の合意がな かったならば地裁に訴えが提起されたであろう事案の場合、地裁での審判をで きる限り保障すべきではないか。その意味で、16 2 項の法意は、第一審の事 物管轄について地裁を主とすることにあると解してよいだろう33

近年の民事訴訟の傾向として、争点整理手続の拡充や集中証拠調べの推進 など、審理の迅速化が図られ、とりわけ、第一審の段階における審理の充実

28 川嶋四郎・前注(4)120頁。

29 田中秀幸・前注(4)182頁。

30 齋藤哲・前注(4)101頁。

31 加藤新太郎編・簡裁民事事件の考え方と実務[第 3 版](民事法研究会・平成17年)5 頁。

32 岡久幸冶「簡易裁判所の理念と現状」岡久幸冶ほか編・新裁判実務体系26巻(青林書院・

平成17年)13頁。

33 藤本利一・前注(4)11頁。

(17)

に伴い34、控訴審における新たな攻撃防御方法の提出は、従前に比して控えら れるようになりつつあると考えられ、その分、上訴で争う余地は狭まることに なる35。つまり、第一審裁判所の役割が益々その重要性を増しており、したがっ て、その管轄選択に際しては、一層慎重な考慮が必要といえるだろう36

34 川嶋四郎・前注(4)120頁は、現行民訴法の理念は、一審集中を企画することにあ ると指摘する。

35 控訴審の現状に関しては、日本民訴学会シンポジウム「上訴の理論的再検討」民事 訴訟雑誌53号(平成19年)111頁。

36 宮永文雄・前注(4)137頁。

参照

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