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学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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博 士 ( 医 学 ) 高 橋 行 広

     学位論文題名

Cholesterol efflux to apolipoproteinA 工 involves     endocytosis and resecretion

    lnacalcium‑dependent pathway

     ( ア ポ 蛋 白 AI へ の コ レ ス テ ロ ー ル の 排 出 は ,    カルシウム依存性のエンドサイトーシスと再分泌を伴う)

学位論文内容の要旨

    コレステ □ールを 過剰に貪 食して泡 沫化した単 球由来マ ク口ファ ージは動脈硬化初期 の脂肪線 条の形成 において 中心的役 割を果たしている。マク口ファージからのcholesterol

effluxによる泡沫化防止,脱泡沫化は動脈硬化病変の予防,退縮に重要な意義を持っが、長年の

取り組み にも関わ らずその 機序の解 明に至って いない。 これまで のところ高比重リポ蛋白 (High Density Lipoprotein; HDL)粒子や脂質を含まない遊離のアポ蛋白AI,E等が細胞からコ レステ口ールを弓Iき抜くことが知られている。この際の経路に、1)物理化学的な拡散作用に よる経路(passive diffusion pathway)と2)細胞膜表面に存在が予想される受容体、特にアポ 蛋白受容体を介しての経路(active apolipoprotem・mediatedpathway)の2っが存在すると考え られてい る。共著 者SmithJDはマウ スのマクロファージ系細胞である凡刪264とアポ蛋白E, および心 を用い,cAMPによってapolipoprotein‐mediatedpathwayのアポ蛋白受容体がRNAレ ベルで誘導されることを示した(JBioChem,1996)。

    本 研 究 で は 、 非 特 異 的 結 合 が ア ポ 蛋 自Eよ りも 少 な いア ポ 蛋白AIを主 に 用 いて 、 apolipoprotein‐mediatedpathwayについてさらに検討した。具体的には、Raw264細胞をアセ チ ル 化LDLで 泡 沫 化 さ せ ,cAMPを 添 加 後 , ア ポ 蛋 白AIあ る い はEを 加 え る こと に よ り apolipoprotein‐mediatedefnuxを誘導し、その際のアポ蛋白心あるいはEの細胞への結合,培地 中 へ の 再 分 泌、 そ れ に伴 うcholesterolefnux及び そ のemuxの 性 格 につ い て観 察 し た。

    その結果 、電子顕 微鏡下の 観察では 、金コ口イド標識アポ蛋白心はa圸佃で前処置した 場合にの みクラスリン被覆小包あるいは小顆とみなされる部位に認められた。またクラスリ ン被覆小 胞を介した経路を選択的に阻害すると報告されているChlorpromaZineや高張性培地 の使用によりcholesterolefnuxは抑制された。以上から、アポ蛋白へのcholcsterolefnuxはク ラスリン被覆小胞を介して行われることが確認された。

再分泌試 験では、cAMP前処置細胞において、90分のインキュベーション後に1251‐標識アポ 蛋白AIの約60%がアポ 蛋白触と して再分 泌され、約30%が分解 され、約10%が細胞内にと どまって いた。またChascstudyでは、アポ蛋白心の再分泌に伴ってcholesterolefnuxが起こ

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る こ と が 示 さ れ た 。 こ れ ら の 現 象 は ア ポ 蛋 白Eを 用 い た 場 合 に も 観 察 さ れ た 。 これらによルアクセプターである遊離のアポ蛋白が細胞に一度取り込まれた後,再分泌され ることによりCholesterol effluxが起こることが確認された。また、カルシウムを含まない培 地 ではcWPに より 誘導されるcholesterolefnuxが強く抑制されることから、このefnuxのカ ル シウ ム依 存性が 示された。どの段階にカルシウムが必要か検討したところ、cAMPによる アポ蛋自受容体の導入,アポ蛋白の細胞への結合,及びアポ蛋白の細胞外への再分泌はカル シウム非依存性であることが示され、残る可能性としてアポ蛋白の細胞内への取り込みある い は 脂 質 の ア ポ 蛋 白 へ の 受 け 渡 し に カ ル シ ウ ム が 必 要 な こ と が 示 唆 さ れ た 。     こ れま でにも 、低比重リポ蛋白(LowDensityLipoprotein;LDりやHDLがクラスリン被 覆小胞に取り込まれることは複数の研究室から報告されていたが、脂質を伴わない遊離アポ 蛋白が、細胞内に取り込まれ脂質とともに再分泌されるという報告は初めてのものである。

HDLをアクセプターとして用いた我々の実験や他の研究者からの報告が示すように、この経 路 は遊 離ア ポ蛋白 によるemuxだけでなく、HDL粒子によるefnuxにも働いていると考えられ る。さらに遊離アポ蛋白魁による脂質排出経路は幼若HDL(nascentHDL,あるいはprebHDり を 生 成 す る の で 、HDLの生 成と 成熟 に関 与す ると も考え られ る。 これ を支 持す るよ うに apolipoprotem‐mediatedpathwayに欠陥があるTangier病患者において、アポ蛋白魁産生が正常 であるにもかかわらず血中ではアポ蛋白心やHDLが欠損し、組織ではコレステ口ールが蓄積 する。この重要なapolipoproteinーmediatedpathwayのアポ蛋自受容体の分離同定作業は多くの 施設で試みられているところである。今回の研究は、この経路がカルシウム依存性のクラス リン小胞を介したアクセプターの取り込みと再分泌を伴う点を明らかにしたもので、今後の この方面の研究に貢献しうるものと思われる。

    当 研究 の誌上 発表 とほ ぽ時 期を 同じ くし てTangier病の原因が、ATPbindingcassette transponer_10噛C‐1)の異常であるという報告が出された。このABC‐1は、これまでイオン,

アミノ酸,ペプチド,糖類等の膜上の転送蛋自として知られていたが、新たにコレステロール の輸送にも関与することが最近明らかにされたものであり、このABC‐1がapolipoprotein‐me‐ diatedpathwayのアポ蛋白受容体そのものであるか、それに密接に関係するものである可能 性が高まっている。

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学位論文審査の要旨

    学位 論 文題 名

Cholesterol efflux to apolipoprotein AIinvolves     endocytosis and resecretion

    lnacalcium‑dependent pathway

    ( ア ポ 蛋 白 AIへ の コ レ ス テ ロ ー ル の 排 出 は ,   カ ル シウ ム 依存 性 のエ ン ドサ イト ーシスと再 分泌を伴う )

  コレステ口ールを過剰に貪食して泡沫化した単球由来マク口ファージは動脈硬化 初 期の脂肪線 条の形成に おいて中心的役割を果たしている。泡沫化細胞からの cholesterol effluxによる泡沫化防止、脱泡沫化は動脈硬化病変の予防、退縮に重要 な意義を持っが、その機序の解明に至っていない。これまで高比重リポ蛋白(High Density Lipoprotein;HDL)粒子や脂質を含まない遊離のアポ蛋白AI、E等が細胞 からコレステ口ールを引き抜くことが知られているが、この際の経路に、1)物理化 学的な拡散作用による経路(passive diffusion pathway)と2)細胞膜表面に存在が 予想される受容体、特にアポ蛋白受容体を介しての経路(active apolipoprotein― mediated pathway)の2っが 存在すると考えられている。本研究は、アポ蛋白AI を介するapolipoprotein―mediated pathwayについて主に検討した。Raw2 64細胞 をアセチル化LDLで泡沫化させ,cAMPを添加後、アポ蛋白AIあるいはEを加えるこ とによりapolipoprotein一mediated effluxを誘導し、その際のアポ蛋白AIあるいはE の細胞への結合、培地中への再分泌、それに伴うcholesterol efflux及びそのefflux の性格について観察した。電子顕微鏡下の観察では、金コ口イド標識アポ蛋白AIは c气MPで前処置した場合にのみクラスリン被覆小包あるいは小顆とみなされる部位 に 認 め ら れた 。 ま たク ラ スリ ン 被覆 小 胞を 介 した 経 路を 選 択的 に 阻害 す る ChlorpromaZmeや高張性培地の使用でcholesteroleffluxは抑制された。以上から

、アポ蛋白へのcholesterolefnuxはクラスリン被覆小胞を介して行われることが確 認された。再分泌試験では、出WP前処置細胞において90分のインキュベーション 後、I125標識アポ蛋白AIの約10%が、なおも細胞内にとどまっており、約6Q%がアポ 蛋白AIとして約30%が分解を受けて、培地中に再分泌されていた。またchasestudy

彦 雄

邦 輝

林 橋

小 石

授 授

教 教

査 査

主 副

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では、アポ蛋白AIの再分泌に伴ってcholesterol effluxが起っていた。これらの現象 はアポ蛋白Eを用いた場合にも観察された。以上からアクセプターである遊離のアポ 蛋白が細胞に一度取り込まれた後,再分泌されることによりcholesterol efflux:が起 こることが確認された。また、カルシウムを含まない培地ではc气MPにより誘導され るcholesterolefnuxが強 く抑 制さ れる こと から 、こ のefnuxのカルシウム依存性が 示さ れた 。な お、cAMPに よる アポ蛋白受容体活性の誘導、アポ蛋白の細胞への結合

、アポ蛋白の細胞外への再分泌|まカルシウム非依存性であったことから、カルシウ ムは アポ 蛋白 の細 胞内へ の取 り込みに関与することが示唆された。これまで、低比 重 リ ポ 蛋 白(LowDensityLipoprotem;LDL) やHDLが ク ラ ス リ ン 被覆 小胞 に取 り 込ま れる こと は報 告され てい たが、脂質を伴わない遊離アポ蛋白が細胞内に取り込 まれ 脂質 とと もに 再分泌 され ると いう 報告 は初 めて のも のである。HDLをアクセプ ター とし て用 いた 実験か ら、 この 経路 は遊 離ア ポ蛋 白の みではなく、HDL粒子によ るemuXにも働いていると考えられる。

  公開 発表 に際 して 、副査 の石 橋輝 雄教 授か らassociationとbindingの違い、HDL と アポAIの 関係 、resecretionされたアポ蛋白の再利用の可能性、LDL泡沫の有無と こ の系 の関 係に つい て、副 査の 宮崎勝巳教授からeffluxの実体、内因性物質の関与

、 Tangier病に 同定 されたABCー1蛋白との関係、ク口ールプ口マジンの作用機序に つ いて 、ま た主 査の 小林邦 彦教 授から想定される受容体の同定に関する今後の展望 に つい て質 問が あっ たが、 申請 者は自らの実験と文献を引用して適切に回答した。

  この論文は、動脈硬化発症機構の主体であるマクロファージのcholesterol排出に お ける アポ 蛋白 関連 経路を 解明 した点で高く評価され、今後の動脈硬化の研究に大 い に貢 献す るこ とが 期待さ れる 。

  審 査員 一同 は、 これ らの 成果を高く評価し、大学院課程における研鑽や取得単位 など も併 せ申 請者 が博 士( 医学)の学位を受けるのに充分な資格を有する鸛のと判 定し た。

参照

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