博士(経営学) 中川 充 学位論文題名
薄 型 テ レ ビ 企 業 の 国 際 経 営 戦 略
―日本企業を中心とした実証研究―
学 位 論 文 内 容 の 要 旨
本研究の目的は,薄型テレピ企業を対象として,日本企業が展開する国際経営戦略を解明 し,本国において展開してきた戦略的行動ならびに蓄積してきた経営資源が,中国などの海 外 市 場 に お い て 展 開 す る 戦 略 的 行 動 に 与 え る 影 響 を 解 明 す る こ と に あ る 。 国際経営に関する既存研究では,拠点間をまたいだ立地的な視点にもとづぃて分析が試み られてき た。し かしなが ら,複 数の国や地域で活動を行う多国籍企業の戦略的行動につい て,経時的な視点から拠点間での相互作用を分析した研究は相対的に少ない。そこで本研究 では,本国親会社と海外子会社との関係を中心とした分析にとどまらず,経時的な視点も取 り入れた分析を試みている。分析を通じて,経時的な視点を取り入れた場合には,多国籍企 業が本国で過去に展開した戦略的行動ならびにその結果として蓄積された資源が,企業特殊 的な優位性の源泉となる一方で,他の国や地域においては柔軟に戦略的行動を展開すること を抑制する要因となり得ることが明らかとなづた。
本研究は,全6章で構成されている。
第1章 では,研究の目的を明らかにし,研究の構成を説明した。そのうえで,本研究の研 究 対 象 に つ い て 説 明 し , 分 析 に 関 す る 方 法 論 に つ い て も 記 述 を 行 っ た 。 第2章 では,◎競争カの源泉としての経営資源,@企業間の競争と資源蓄積,◎企業の国 際化における優位性の所在,という3つ視点から先行研究の批判的な検討を行い,先行研究 の課題を明らかにした。さらに,既存研究から得られた知見にもとづぃて,本研究における 分析枠組を提示した。
第3章 では,日本の薄型テレビ市場に関する概要とテレビ市場の歴史的な変遷を概観した うえで,日本市場における日本企業の戦略的行動とその結果として蓄積される経営資源につ いて分析を行った。分析の結果,・「液晶」と「プラズマ」という異なる技術にもとづいた製 品が存在することで,競争に参加する企業にとって自社が依拠する技術の優位点や劣位点が 相対化され,明確になることが明らかとなった。それぞれの企業が,異なる技術にもとづく 競争を通じて,技術的な劣位点を解消し,優位点にもとづいて差別化を行うために技術を改 善し て い くと , 結 果と し て 各 社の 技 術 蓄積 は 促 進され ること となるこ とを指摘 した。
第4章 では,中国の薄型テレビ市場に関する概要とテレビ市場の歴史的な変遷を概観した うえで,中国市場における日本企業の戦略的行動とその結果として蓄積される経営資源につ いて分析 を行っ た。分析 の結果 ,液晶テレピに関しては,日本企業と韓国企業は,ともに
「中大型・高画素・中高価格」製品展開戦略を展開していること,他方で中国企業は日本企 業や韓国企業とは異なり,「小中型・中高画素・低価格」製品展開戦略を展開していること を明らかにした。また,プラズマテレピに関しては,日本企業は液晶テレピと同様に高所得 者層に向けた製品展開戦略を展開しており,韓国企業は高所得者層から中間層以下の層まで 広く対応した製品展開戦略を展開していること,中国企業は中間層を中心とした製品展開戦 略を展開していることを明らかにした。日本企業は,本国である日本市場向けに開発された 製品を生産し,中国市場に投入しており,現地国である中国市場において,現地市場向けの 製品開発は十分には行われていなかった。そのため,中国市場で独自の経営資源を蓄積して いるとはいえない状況であることを指摘した。
第5章 で は , 第3章 な ら び に 第4章 の 事 例 分 析 の 分 析 結 果 を ま と め , 議 論 を 行 っ た 。 分 析 結 果 を ま と め る と , 日 本 企 業 は , 日 本 市 場 に お い て 異 な る 技 術 に も と づ く 製 品 間 で の 競 争 を 通 じ て , 「 高 性 能 ・ 高 付 加 価 値 な 製 品 を 開 発 ・ 生 産 す る た め に 必 要 な 経 営 資 源 」 を 蓄 積 し て お り , 中 国 市 場 で は 主 に 日 本 市 場 で 蓄 積 さ れ た 経 営 資 源 を 移 転 す る か た ち で 戦 略 的 行 動 を 展 開 し て い る こ と が 明 ら か に な っ た 。
ま た , 日 本 か ら 移 転 さ れ た 経 営 資 源 に も と づ く 日 本 企 業 の 戦 略 的 行 動 は , 中 国 市 場 の ボ リ ュ ー ム ゾ ー ン が 高 所 得 者 層 で あ っ た 薄 型 テ レ ビ 市 場 生 成 期 の 市 場 環 境 と は 適 合 的 で あ っ た た め , 高 い 経 営 成 果 を あ げ る こ と が で き て い た が , 中 国 市 場 が 急 速 に 成 長 し , ボ リ ュ ー ム ゾ ー ン が 中 間 層 へ と 移 行 し た 現 在 で は , 市 場 環 境 と 不 適 合 が 生 じ , 高 い 経 営 成 果 を あ げ る こ と が で き て い な い こ と を 指 摘 し た 。
さ ら に , 分 析 結 果 に 対 し て , @ 国 際 経 営 戦 略 の 展 開 に お け る 経 営 資 源 , ◎ 国 際 経 営 戦 略 の 展 開 に お け る 競 争 行 動 , ◎ 国 際 経 営 戦 略 の 展 開 に お け る 資 源 蓄 積 の3点 に 注 目 し て , 既 存 研 究 を ふ ま え た 議 論 を 行 っ た 。
第6章 で は , 本 研 究 の 結 諭 を ま と め , 研 究 の 含 意 と 課 題 に つ い て 述 べ て い る 。 本 研 究 の 含 意 と し て は , 次 の よ う な こ と を あ げ る こ と が で き る 。 第1に , 既 存 研 究 で は , 新 興 国 市 場 に 関 す る 分 析 で は , 先 進 園 と は 異 な る 分 析 視 角 が 必 要 と さ れ る こ と が 指 摘 さ れ て き た 。 し か し な が ら , 実 際 に 市 場 に 投 入 さ れ て い る 製 品 の 特 徴 を 整 理 し , 先 進 国 と 新 興 国 の そ れ ぞ れ で ど の よ う な 戦 略 的 行 動 が 展 開 さ れ て い る の か を 解 明 す る 試 み は , 十 分 に は 行 わ れ て こ な か っ た 。 そ の 意 味 で , 本 研 究 に お い て , 実 際 に 市 場 に 投 入 さ れ て い る 製 品 の 分 析 を 通 じ て , 中 国 市 場 に お け る 日 本 企 業 の 国 際 経 営 戦 略 を 解 明 し た 点 に は , 一 定 の 貢 献 が あ る と 考 え ら れ る 。
第2に , 日 本 企 業 が 日 本 市 場 に お い て 蓄 積 し て き た 経 営 資 源 は , 中 国 に お い て 戦 略 的 行 動 を 転 換 し よ う と す る 際 の 抑 制 要 因 と な る こ と を 明 ら か に し た 点 で あ る 。 多 国 籍 企 業 は 複 数 の 活 動 拠 点 に お い て 同 時 に 行 動 を 展 開 し て い か な け れ ば な ら ず , 本 研 究 の よ う な 事 例 の 場 合 に は , 少 な く と も 日 本 市 場 と 中 国 市 場 と い う2つ の 重 要 な 市 場 に お い て , 同 時 に 効 果 的 な 戦 略 的 行 動 を 展 開 し て い く 必 要 が あ る 。 そ の た め , 日 本 市 場 で 競 争 カ を 獲 得 も し く は 維 持 す る た め に , 従 来 か ら の 経 営 資 源 の 蓄 積 は 一 貫 し て 行 っ て い く 必 要 が あ り , そ の 経 営 資 源 の 多 く を そ の ま ま 中 国 市 場 で 展 開 し た こ と に よ っ て , 結 果 と し て 中 国 市 場 に お け る
「 新 興 国 市 場 の ジ レ ン マ 」 に 陥 っ て し ま っ て い る と 考 え ら れ る 。 本 研 究 で は , 多 国 籍 企 業 が 本 国 と 進 出 先 国 に お い て 展 開 す る 戦 略 的 行 動 に 関 し て , 過 去 に 蓄 積 さ れ て き た 経 営 資 源 が 現 在 の 戦 略 的 行 動 に 与 え る 影 響 を 明 ら か に し た と い う 点 に お い て , 一 定 の 貢 献 が あ る と 考 え ら れ る 。
本 研 究 の 課 題 と し て は , 次 の よ う な こ と を あ げ る こ と が で き る 。 第1に , 個 別 企 業 の 詳 細 な 事 例 分 析 が 必 要 な 点 で あ る 。 企 業 は , そ れ ぞ れ 独 自 の 経 路 に よ っ て 経 営 資 源 を 蓄 積 し て い る 。 そ の た め , 個 別 企 業 に 関 す る 詳 細 な 事 例 を 記 述 し , 分 析 す る こ と に よ り , ど の よ う に し て 既 存 の 経 営 資 源 が 海 外 子 会 社 の 戦 略 的 行 動 に 対 し て , 本 研 究 で 明 ら か に し た よ う な 影 響 を 与 え て い る の か を 分 析 す る こ と が 可 能 と な る 。 第2に , 企 業 の 戦 略 的 行 動 と 市 場 構 造 や 技 術 な ど と い っ た 企 業 の 外 部 環 境 と の 相 互 作 用 に つ い て 分 析 を 行 う 必 要 が あ る 。 本 研 究 で は , 企 業 が 市 場 環 境 を 創 造 し て い く 過 程 に 関 し て は 分 析 の 射 程 と し な か っ た 。 し か し な が ら , 企 業 が 戦 略 的 行 動 を 展 開 す る こ と に よ り , 市 場 を 創 造 し て い く と い っ た プ 口 セ ス に つ い て も 分 析 し て い く 必 要 が あ る 。
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第2に,日本企業が日本市場において蓄積してきた経営資源は,中国において戦略的行 動を転換しようとする際の抑制要因となることを明らかにした点である。多国籍企業は複 数の活動拠点において同時に行動を展開していかなければならず,本研究のような事例の 場合には,少なくとも日本市場と中国市場という2つの重要な市場において,同時に効果 的な戦略的行動を展開していく必要がある。そのため,日本市場で競争カを獲得もしくは 維持するために,従来からの経営資源の蓄積は一貫して行っていく必要があり,結果とし て中国市場における「新興国市場のジレンマ」に陥ってしまっていると考えられる。本研 究では,多国籍企業が本国と進出先匿において展開する戦略的行動に関して,過去に蓄積 されてきた経営資源が現在の戦略的行動に与える影響を明らかにしたという点において,
一定の価値があると考えられる。
本研究の課題は,次の2点である。第1に,個別企業の詳細な事例分析が必要な点であ る。企業は,それぞれ独自の経路によって経営資源を蓄積している。そのため,個別企業 に関する詳細な事例を記述し,分析することにより,どのようにして既存の経営資源が海 外子会社の戦略的行動に対して,本研究で明らかにしたような影響を与えているのかを分 析することが可能となる。
第2に,企業の戦略的行動と市場構造や技術などといった企業の外部環境との相互作用 について分析を行う必要がある。本研究では,企業が市場環境を創造していく過程に関し ては分析の射程としなかった。しかしながら,企業が戦略的行動を展開することにより,
市場を創造していくといったプロセスについても分析していく必要があると考えている。
以上が,本研究の要約である。
学 位 論 文 審 査の 要 旨
主 査 教 授 岩 田 智 副 査 教 授 平 本 健 太 副 査 准 教 授 坂 川裕 司
学 位 論 文 題 名
薄 型 テ レ ビ 企 業 の 国 際 経 営 戦 略 一日本企業を中心とした実証研究―
1論文の概要
本論文の目的は,日本の薄型テレピ企業の国際経営戦略について,本国において蓄 積してきた経営資源が,中国などの海外市場において戦略展開する際に与える影響を 解明することにある。
国際経営に関する既存研究では,異なる国における立地的な視点に基づいて分析が 試みられてきた。しかし,複数の国や地域で活動を行う多国籍企業の国際経営戦略に ついて,拠点間の経営資源の移転に注目して,経時的な視点から分析した研究は相対 的に少ない。そこで本論文では,本国親会社と海外子会社との関係を経営資源の移転 に 注 目 し な が ら , 経 時 的 な 視 点 も 取 り 入 れ た 分 析 を 行 っ て い る 。 本論文は,全6章で構成されている。
第1章では,研究の目的を明らかにし,研究の構成を説明している。また,研究の 対象について説明し,分析の方法について記述している。
第2章では,@競争カの源泉としての経営資源,◎企業間の競争と資源蓄積,◎企 業の国際化における優位性の所在,という3つの視点から先行研究の批判的な検討を 行い,先行研究の課題を明らかにしている。さらに,先行研究から得られた知見に基 づいて,本論文における分析枠組を提示している。
第3章では,日本の薄型テレピ市場とテレビ市場全体の歴史的な変遷を概観したう えで,日本市場における日本企業の戦略的行動と,その結果として蓄積される経営資 源について分析している。
分析の結果,「液晶」と「プラズマ」という異なる技術に基づいた製品が存在するこ とで,競争に参加する企業にとって自社が依拠する技術の優位点や劣位点が相対化さ れ,明確になることを明らかにしている。それぞれの企業が,異なる技術に基づく競 争を通じて,技術的な劣位点を解消し,優位点に基づき差別化を行うために技術を改 善 して いく と, 結果 とし て各 社の 技術 蓄積が促進される ことを指摘している。
第4章では,中国の薄型テレピ市場とテレピ市場全体の歴史的な変遷を概観したう えで,中国市場における日本企業の戦略的行動と,その結果として蓄積される経営資 源について分析している。
分析の結果,液晶テレビに関しては,日本企業と韓国企業はともに「中大型・高画 素・中高価格」の製品展開戦略を展開していること,一方で中国企業は日本企業や韓 国企業とは異なり,「小中型・中高画素・低価格」の製品展開戦略を展開していること を明らかにしている。また,プラズマテレビに関しては,日本企業は液晶テレピと同 様に高所得者層向けの製品展開戦略を展開しており,韓国企業は高所得者層から中間 層以下向けの製品展開戦略を展開していること,中国企業は中間層以下向けの製品展 開戦略を展開していることを明らかにしている。
日本企業は,日本市場向けに開発した製品を生産し,中国市場に投入しており,現 地市場向けの製品開発は十分には行われていない。そのため,中国市場で独自の経営 資 源 を 蓄 積 し て い る と は い え な い 状 況 で あ る こ と を 指 摘 し て い る 。 第5章では,第3章な らびに第4章の事例分析の分析結果をまとめ,議論を行って いる。分析結果のまとめでは,日本企業は,日本市場において異なる技術に基づく製
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品問 での競争を通じて,「高性能・高付加価値な製品を開発・生産するために必要な経 営資 源」を蓄積しており,中国市場では主に日本市場で蓄積 された経営資源を移転す る か た ち で 戦 略 的 行 動 を 展 開 し て い る こ と を 明 ら か に し て い る 。 こ のような日本から移転された経営資源に基づく日本企業 の戦略的行動は,中国市 場の ポリュームゾーンが高所得者層であった薄型テレピ市場 生成期の市場環境とは適 合的 であったため,高い経営成果をあげることができていた 。しかし,中国市場が急 速に 成長し,ボリュームゾーンが中間層へと移行した現在で は,市場環境と不適合が 生 じ , 高 い 経 営 成 果 を あ げ る こ と が で き て い な い こ と を 指 摘 し て い る 。 さ らに,分析結果について,国際経営戦略の展開における 経営資源,競争行動,資 源蓄 積に注目して,先行研究を踏まえた議論を行っている。
第6章 で は , 本 論 文 の 結 論 を ま と め ,研 究 の含 意と 課題 につ いて 述べ てい る。
日 本の薄型テレピ企業の国際経営戦略に関して,新興国に おける他国企業も含めた 分析 によって,日本企業の国際経営戦略の特徴を解明し,国 際経営論に新たな知見を 加え たこと,経時的な視点を取り入れた分析によって,多国 籍企業が本国と進出先国 にお いて展開する戦略的行動に関して,過去に蓄積してきた 経営資源が現在の戦略的 行動 にマイナスの影響を及ぼし得ることなどが述べられてい る。最後に,本論文の課 題に ついて言及している。
2論文の評価
本 論 文 の 学 術 的 な 貢 献 と し て は , 次 の よ う な 点 を あ げ る こ と が で き る 。 まず,先行 研究では,新興国市場に関する分析に対しては,先進国 とは異なる分析 視角が必要と されることが指摘されてきた。しかし,実際に市場に投 入されている製 品の特徴を整 理し,先進国と新興国のそれぞれでどのような戦略的行 動が展開されて いるのかを解 明する研究は,十分には行われてこなかった。その意味 で,本論文が,
実際に市場に 投入している製品の分析を通じて,中国市場における日 本企業の国際経 営戦略を解明 している点は,国際経営論に対して一定の貢献をしていると考えられる。
次に,日本 企業が日本市場において蓄積してきた経営資源は,中国 において戦略的 行動を展開し ようとする際の抑制要因となることを明らかにしている 点である。多国 籍企業は複数 の拠点において同時に行動を展開していく必要がある。 少なくとも本論 文 のよ うな 事例 の場合には,日本市場と中国市場という2つの重要な市場において,
同時に効果的 な戦略的行動を展開していく必要がある。そのため,日 本市場で競争カ を獲得もしく は維持するためには,従来からの経営資源の蓄積も一貫 して行っていく ことが必要に なっている。しかし,日本企業は,その経営資源の多く をそのまま中国 市場で展開し たことによって,結果的に中国市場において「新興国市 場のジレンマ」
に陥ってしま っていることを指摘している。このような指摘は,国際 経営に対して新 たな示唆を与 えるものであり,一定の理論的,実践的貢献をしている と考えられる。
このように 本論文では,多国籍企業が実際に市場に投入している製 品の特徴を整理 し,先進国と 新興国のそれぞれでどのような戦略的行動が展開されて いるのかについ て解明し,国 際経営諭に新たな知見を加えている。また本論文では, 多国籍企業が本 国で展開した 戦略的行動によって蓄積した資源は,企業特殊的な優位 性の源泉となる 一方で,他の 国や地域では柔軟な戦略的行動を抑制する要因となり得 ることを明らか に して いる 。以 上の 点は , 学術 的に も, 実践的にも高く評価できると考えられる。
もちろん, 本論文に課題がないわけではない。今後は,インタビュ ー調査や収益性 に関する情報 を含めた個別企業の詳細な事例分析,拠点聞や企業と外 部環境との相互 作用について の詳細な分析,事例の多様化などによる普遍的な研究結 果の導出などが 必要である。 しかし,これらの課題は,今後さらに研究を発展させる ための課題であ り,本論文の 価値を損なうものではない。
3結論
以上の評価に基づき,審査委員全員一致して,本論 文が博士(経営学)の学位を授 与するに値する内容であると判断した。