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含リン脱離基を基盤とする生物活性オリゴ糖鎖の

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Academic year: 2021

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博 士 ( 薬 学 ) 坂 本 博 輝

学 位 論 文 題 名

含リン脱離基を基盤とする生物活性オリゴ糖鎖の

1. は じ め に

効率的構築法の開発に関する研究 学位論文内容の要旨

  細 胞 表 層 に 分 布 す る 複 合 糖 質 糖 鎖 部 が 細 胞 認 識 な ど の 生 理 現 象 に 重 要 な 役 割 を 果 た す こ と が 解 明 さ れ る に っ れ , 有 機 合 成 化 学 の 分 野 で も オ リ ゴ 糖 鎖 の 効 率 的 な 構 築 法 の 開 発 が 急 が れ て い る .

    当 研 究 室 で は 以 前 か ら , 含 リ ン 脱 離 基 を 組 み 込 ん だ 糖 供 与 体 を 基 盤 と す る 高 立 体 選 択 的 グ リ コ シ ル 化 反 応 を 開 発 し て き た . 各 糖 供 与 体 は 反 応 性 の 違 い を 反 映 し て そ れ ぞ れ に 特 徴 あ る 反 応 条 件 の 設 定 を 可 能 に す る こ と か ら , 保 護 基 に よ る 反 応 性 の 違 い の み な ら ず , 脱 離 基 に よ る 反 応 性 の 違 い を 利 用 した オ リゴ 糖合 成へ の展 開 が期 待で きる . 筆 者 は , 含 ル ン 脱 離 基 を 組 み 込 ん だ 糖 供 与 体 の 特 徴 を 生 か し た , 効 率 的 な オ リ ゴ 糖 鎖 構 築 法 を 開 発 す べ く 検 討 を 行 い , さ ら に ズ フ イ ン ゴ 糖 脂 質 合 成 へ と 研 究 を 展 開 し た .

2.含リ ン脱 離基 を基 盤 とす る効 率的 オ リゴ 糖鎖 構築 法の 開 発

  ま ず , 優 れ た 反 応 性 と 安 定 性 を 合 わ せ 持 つ テ ト ラ メ チ ル ホ ス ホ 口 ジ ア ミ ダ ー ト を 脱 離 基と して ,¨armed‑disarmed¨糖 供 与体 概念 に基 づく 糖 鎖合 成を行った.¨armed¨糖供 与 体 で あ る べ ン ジ ル 保 護 糖 はTMSOTf存 在 下 , ー78Cに て 活 性 化 を 受 け る の に 対 し , 対 応 す る べ ン ゾ イ ル 保 護 糖 はOC以 下 で は 活 性 化 を 受 け な い . そ こ で 部 分 ベ ン ゾ イ ル 保 護 糖 を ¨disarmed¨ 糖 受 容 体 と し て ,EtCN中 ,‑78Cに て反 応 を行 った とこ ろ, 予 想 通 ル ベ ン ジ ル 保 護 糖 の み が 選 択 的 に 活 性 化 さ れ ,a:p5:95の 比 で 二 糖 を 得 た . 続 い て 保 護 基 の 変 換 を 行 い , も う 一 分 子 の ¨disarmed¨糖 受容 体と 反 応さ せる こと で三 糖 を 得 た . こ の こ と は , テ ト ラ メ チ ル ホ ス ホ ロ ジ ア ミ ダー トが ¨armed‑disarmed¨ 概念 に 基 づ く糖 鎖合 成に 適し た 糖供 与体 であ る こと を示 して いる .

  次 に 脱 離 基 の 反 応 性 の 差 を 利 用 し た オ リ ゴ 糖 鎖 合 成 を 検 討 し た . 当 研 究 室 で 開 発 さ れ た 含 リ ン 脱 離 基 を 組 み 込 ん だ 糖 供 与 体 は , リ ン 原 子 上 の 修 飾 の 違 い に よ り 各 々 が 特 徴 あ る 反 応 性 を 示 す . こ の 違 い を 利 用 し , 共 通 の 保 護 基 を 用 い た 上 で , 糖 供 与 体 と 受 容 体 双 方 に 反 応 性 の 異 な る 脱 離 基 を 組 み 込 み , 化 学 選 択 的 な 活 性 化 に よ る グ リ コ シ ル 化 反応 を利 用し たオ リ ゴ糖 鎖構 築を 目 指し た.

  ベ ン ゾ イ ル 保 護 し た ジ フ ェ ニ ル ホ ス フ イ ン イ ミ ダ ー ト はBF3‑OEt2存 在 下 ,‑23C て グ リ コ シ ル 化 が 進 行 す る の に 対 し , 対 応 す る テ ト ラ メ チ ル ホ ス ホ ロ ジ ア ミ ダ ー ト は 15 0C以 下 で は 活 性 化 を 受 け な い . そ こ で , ジ フ ェ ニ ル ホ ス フ イ ン イ ミ ダ ート .を 糖 供 与 体 , テ ト ラ メ チ ル ホ ス ホ ロ ジ ア ミ ダ ー ト を 糖 受 容体 とし て設 定 し,BF3‑OEt2存在 下 ,

‑23°Cに て 反 応 を 行 っ た と こ ろ ,B結 合 を も つ 二 糖 が860/0の収 率 で得 られ た. さら に , 部 分 ベ ン ゾ イ ル 保 護 し た チ オ グ リ コ シ ド を 糖 受 容 体 と し て 機 能 さ せ る こ と に よ り 三 糖

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を得 ,さらに このもの を活性 化して四 糖を効率よく構築した.また,同様の脱離基の 反 応性 の 違い を利用し たオリ ゴ糖合成 はべンジ ル保護 糖を用い ても可 能であっ た.

3.グロ ボトリア オシル セラミド(Gb3)空 全盛

  続い て ス フイ ン ゴ 糖脂質Gb3の合 成を行っ た.こ れまでに4つの グルー プにより 合 成が 達成され ている が,Gal‑a(l→4)‑Galの立体選択的構築,およびセラミド部分導入 のた めの脱離 基の導 入に多工 程を要す る点等 に問題を残していた.筆者は調製容易な 単糖 を合成ブ 口ック として用 いる収束 型合成 を計画した.まず,ベンジル保護したガ ラク トーステ トラメ チルホスホ口ジアミダートを¨armed¨糖供与体,部分ベンゾイル 保護したテトラメチルホスホロジアミダートを¨disarmed¨糖受容体としてカップリン グを 行い,a:(3=97:3と高い 立体選 択性で目 的とするガラクトース二糖ユニットを得 た. 続いてグ ルコシ ルセラミ ド誘導体 を糖受 容体とし,二糖ユニットとのカップリン グ を 行い80%の 収 率 でGb3骨格を 得た.最 後に,ベ ンジル 基および べンゾ イル基の 除 去をone‑potで行 い,単 離を容易にするため一旦アセチル化した後,メタ丿リシスによ りGb3の合成 を達成 しだ.本 経路が類 縁体合 成を念頭 におい たスフイ ンゴ糖 脂質の新 たな 合成経路 となる ことが期 待される ,

4.ガング リオシドGM3の 合成

  次に, シアル酸 糖供与 体とガラ クトー ス糖受容 体間での化学選択的なグリコシル化 反応を 機軸とす る収束 型経路にてガングリオシドGM3の合成を行った.筆者は,Wong, Schmidtら によっ て開発さ れたシア リルホ スフんイ トを糖 供与体と し,テ トラメチル ホスホ ロジアミ ダート を組み込 んだガ ラクトー ス誘導体のグリコシル化を試みた.そ の結果 ,TfOHを反 応剤とす ることで 化学選 択的な活 性化に 成功し,a:B=84:16の選 択性で 目的とす る二糖 を得た. 続いて ,ガラク トー又4位水 酸基の保 護も兼 ねてシア ル酸1位とラ クトン 環を形成 し,ガラ クトー ス側の保 護基を べンジル 基から 隣接基関 与が利 用できる べンゾ イル基に 変換し た.この ものとGb3合成 の際に用 いたグルコシ ルセラ ミド誘導 体との カップリングを行い74ワ。の収率にてGM3骨格を得た.最後に,

Gb3合 成 の 際 に 用 い た 手 法 に 準 じ て 脱 保 護 を 行 いGM3の 合 成 を 達 成 し た .

5.シアリ ルルイ丕X(sLex):tf三グ リオシド の合成研 究

  さらにsLexガング リオシド の合成 研究を行 った.過去の合成では各糖ブロックのカ ップリ ング後, 保護基 の変換や 脱離基 の導入に 多工程を要する点が問題であった,筆 者はグ リコシル 化反応 後の変換 操作を 極力抑え た効率的な合成を目指した.まず,テ トラメ チルホス ホロジ アミダー トを脱 離基とし ,グルコサミン,ガラクトース両ユニ ット間で¨armed‑disarmed¨概念に基づくグリコシル化反応を行った.続いて得られた ニ糖ユ ニットに グルコ シルセラ ミド誘 導体を76%の収率 にて導 入し,グ ルコサミン部 分 の保 護 基 を除 去 して ジオール 体とし た.この ものの4位に ,GM3合 成の際 に用いた シアリ ル‐ガラ クトー スユニッ トを位 置及び立 体選択的に導入した.さらに,縮合効 率を高 めること を狙い ,p.ク口ロベンジル基で保護した糖供与体を用いて,フコ―ス をグル コサミン3位 に高収率 かつ完全 な立体 選択性に て導入 し,sLexガン グリオシド 骨格の 構築に成 功した .現在脱 保護を 検討中で ある.

6.ま と め

  以 上,筆者 は含リ ン脱離基 を組み 込んだ糖 供与体の特徴を積極的に活用し,脱離基 の 反応性の 差をも 利用した ,新たな オリゴ 糖鎖構築法の可能性を示した.また,これ ら の 知 見を も と に,新 規収束 型合成経 路を経る スフイ ンゴ糖脂 質Gb3,GM3な らびに sLexガ ングリオ シドの 合成研究 を行っ た.

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学位論文審査の要旨

主 査   教 授   橋 本 俊 一

学 位 論 文 題 名

彰 智 誠

含リン脱離基を基盤とする生物活性オリゴ糖鎖の 効率的構築法の開発に関する研究

  本論文は 含リン 脱離基を 基盤と するグリ コシル 化反応を利用した,効率的なオリゴ 糖鎖法の 開発な らびにス フイン ゴ糖脂質 類の合成 研究に 関する論文である.著者の所 属する研 究室で は以前か ら,含 リン脱離 基を組み 込んだ 糖供与体を基盤とする高立体 選択的グ リコシ ル化反応 を開発 してきた .各糖供 与体は 反応性の違いを反映してそれ ぞれに特 徴ある 反応条件 の設定 を可能に すること から, 保護基による反応性の違いの みならず,脱離基による反応性の違いを利用したオリゴ糖合成への展開が期待できる.

著者は, 含リン 脱離基を 組み込 んだ糖供 与体の特 徴を生 かした,効率的なオリゴ糖鎖 構築法を 開発す べく検討 を行い ,さらに スフイン ゴ糖脂 質合成へと研究を展開した.

  著者はま ず,優 れた反応 性と安 定性を合 わせ持 つテトラメチルホスホロジアミダー トを脱離基として¨armed‑disarmed¨糖供与体概念に基づく糖鎖合成を行った.¨armed¨ 糖供 与 体 であ る べ ンジ ル 保護 糖はTMSOTf存在 下,‑78゜Cにて活 性化を受 けるのに 対 し,対応 するべ ンゾイル 保護糖 はO°C以下 では活 性化を受けない.そこで部分ベンゾ イル保護糖を¨disarmed¨糖受容体として,EtCN中,‑78°Cにて反応を行ったところ,

予想通ル ベンジ ル保護糖 のみが 選択的に活性化され,a:[3=5‑:95の比で二糖を得た.

続いて保護基の変換を行い,もう一分子の disarmed¨糖受容体と反応させることで三 糖を得た.このことは,テトラメチルホスホロジアミダートが¨armed−disarmed¨概念 に基づく糖鎖合成に適した糖供与体であることを示している.

  次に著者 は脱離 基の反応 性の差 を利用し たオリ ゴ糖鎖合成を検討した.含リン脱離 基を組み 込んだ 糖供与体 は,リ ン原子上 の修飾の 違いに より各々が特徴ある反応性を 示す.こ の違い を利用し ,共通 の保護基 を用いた 上で, 糖供与体と受容体双方に反応 性の異な る脱離 基を組み 込み, 化学選択 的な活性 化によ るグリコシル化反応を利用し たオリゴ糖鎖構築法の開発を目指した.

  ベンゾイ ル保護 したジフ ェニル ホスフイ ンイミ ダートはBF3‑OEt2存在下,‑23°Cに てグリコ シル化 が進行す るのに 対し,対 応するテ トラメ チルホスホロジアミダートは 15 0C以下 では活 性化を受 けない .そこで ,ジフ ェニルホ スブイン イミダ ートを糖 供 与体,テトラメチルホスホ口ジアミダ―トを糖受容体として設定し,BF3.OEh存在下,

‑23°Cにて 反応を行 ったとこ ろ,D結合を もつ二 糖が86%の収率で得られた,さらに,

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田 東

松 周

授 授

   

   

教 教

教 助

査 査

副 副

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部分ベ ンゾイル 保護し たチオグ リコシ ドを糖受 容体とし て機能させることにより三糖 を得, さらにこ のもの を活性化 して四 糖を効率 よく構築 した.また,同様の脱離基の 反 応性 の 違 いを 利 用 した オ リ ゴ糖合成 はべン ジル保護 糖を用 いても可 能であ った.

  上記の 結果をふ まえて ,著者は スフイ ンゴ糖脂 質類の 合成へと研究を展開し,まず Gb3の合 成 を 行っ た . これ ま で に4つ の グル ー プ によ り 合 成 が達 成 さ れて い る が,

Gal‑a(l→4)‑Galの立体 選択的構 築,およびセラミド部分導入のための脱離基の導入に 多工程 を要する 点等に 問題を残 してい た.著者 は調製容 易な単糖を合成ブロックとし て用い る収束型 合成を 計画した .まず ,ベンジ ル保護し たガラクト―ステトラメチル ホスホ 口ジアミ ダート を¨armed¨糖供与体,部分ベンゾイル保護したテトラメチルホ スホロジアミダートを¨disarmed¨糖受容体としてカップリングを行い,ocニp=97:3と高 い立体 選択性で 目的と するガラ クトー ス二糖ユ ニットを 得た.続いてグルコシルセラ ミド誘 導体を糖 受容体 とし,二 糖ユニ ットとの カップリ ングを行い80a/oの収率でGb3 骨格を得た;最後に,ベンジル基およびべ.ンゾイル基の除去をoneーpo【で行い,単離を 容 易にす るためー 旦アセ チル化し た後, メタノリ シスによ りGb3の合成を 達成し た.

本経路 は類縁体 合成を 念頭にお いたス フインゴ 糖脂質の 新たな合成経路となることが 期待される.

  次に著 者はシア ル酸糖 供与体と ガラク トース糖 受容体 間での化学選択的なグリコシ ル 化反応 を機軸と する収 束型経路 にてガ ングリオ シドGM3の合成 を行った .著者 は,

Wong,Schmidtら によっ て開発さ れたシ アリルホ スフん イトを糖 供与体と し,テ トラ メチル ホスホロ ジアミ ダートを 組み込 んだガラ クトース 誘導体のグリコシル化を試み た.そ の結果,TfOHを反応 剤とする ことで化学選択的な活性化に成功し,a:[3=84:16 と 良好な 選択性で 目的と する二糖 を得た .続いて ,ガラク トース4位水 酸基の 保護も 兼 ねてシ アル酸1位と ラクトン 環を形成 し,ガ ラクトー ス側の 保護基を べンジ ル基か ら 隣接基 関与が利 用でき るべンゾ イル基 に変換し た.この ものとGb3合成 の際に 用い たグル コシルセ ラミド 誘導体と のカッ プリング を行い74%の収率にてGM3骨格を得た.

最 後 に ,Gb3合成 の 際 に用 い た 手法 に 準 じて 脱 保 護を 行 いGM3の 合 成を 達 成 した .   著者は さらにsLexガングリ オシド の合成研 究を行っ た.過 去の合成では各糖ブロッ クのカ ップリン グ後, 保護基の 変換や 脱離基の 導入に多 工程を要する点が問題であっ た.著 者はグリ コシル 化反応後 の変換 操作を極 力抑えた 効率的な合成を目指した.ま ず,テ トラメチ ルホス ホロジア ミダー トを脱離 基とし, グルコサミン,ガラクトース 両ユニ ット間で¨armed‑disarmed¨概念に基づくグリコシ少化反応を行った.続いて得 ら れた二 糖ユニッ トにグ ルコシル セラミ ド誘導体 を76%の 収率に て導入し ,グル コサ ミ ン部 分 の 保護 基 を 除去 し て ジオール 体とし た.この ものの4位に ,GM3合 成の際 に 用いた シアリル ‐ガラ クトース ユニッ トを位置 及び立体 選択的に導入した,さらに,

縮合効 率を高め ること を狙い,p‐ク ロロベンジル基で保護した糖供与体を用いて,フ コ ースを グルコサ ミン3位に高 収率かつ 完全な 立体選択 性にて 導入し,sLexガング リ オシド骨格の構築に成功した.

  以上, 著者の研 究は含 リン脱離 基を組 み込んだ 糖供与 体の特徴を積極的に活用した 効率的 なオリゴ 糖鎖構 築法の可 能性を 提示した ばかりで なく,その知見を生かして,

新規収 束型合成 経路に てスフイ ンゴ糖 脂質の合 成研究を 行った.これらはオリゴ糖鎖 合成において新たな方法論を提供するものと考えられる.

  従って 審査委員 会は坂 本博輝氏 の論文 が博士( 薬学) の学位を受けるのに十分値す るものと認めた.

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参照

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