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DrvIBA 誘発ラット顎下腺癌における 組織像に及ぼす性ホルモンの影響

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Academic year: 2021

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博 士 ( 歯 学 ) 阿 部 貴 洋

学 位 論 文 題 名

DrvIBA 誘発ラット顎下腺癌における 組織像に及ぼす性ホルモンの影響

学位論文内容の要旨

【 緒 言 】 唾 液 腺 腫 瘍 は 、 組 織 型 が 多 彩 で そ の 病 態 も 多 様 で あ り 、 臨 床 的 あ る い は 組 織 学 的 に 診 断 に 苦 慮 す る 場 合 が 少 な く な い 。 腫 瘍 の 各 種 組 織 型 の 発 生 や 臨 床 像 と の 相 互 関 係 に つ い て 必 ず し も 一 致 し た 見 解 が 得 ら れ て お ら ず 、 WHO分 類 (1991) に よ る 命 名 ・ 定 義 に 該 当 し な い 腫 瘍 の 型 も 存 在 し て い る の が 現 状 で あ る 。 一 般 に 腺 癌 で は そ の 発 生 や 増 殖 、 進 行 に 性 ス テ 口 イ ド ホ ル モ ン が 強 く 影 響 し て お り 、 そ の た め の 研 究 も 乳 癌 や 前 立 腺 癌 で は 多 く 行 わ れ て お り 、 治 療 法 の ー つ と し て ホ ル モ ン 療 法 に 応 用 さ れ て い る が 唾 液 腺 腫 瘍 に 関 し て は ほ と ん ど 行 わ れ て い な い 。

  今 回 は 、DMBA(9,10―dime thyl−1,2−benzanthracene) 誘 発 ラ ッ ト 顎 下 腺癌 を作 製し た。

そ の 際 、 精 巣 あ る い は 卵 巣 摘 出 処 置 お よ び 合 成 エ ス ト 口 ゲ ン で あ る

Diethylstilbestrol(DES) を 用 い て 、 唾 液 腺 腫 瘍 の 発 生 . . 進 展 お よ び 組 織 多 彩 性 に お け る 性 ホ ル モ ン 、 主 に エ ス ト 口 ゲ ン の と の 関 連 性 を 明 ら か に す る た め に 病 理 組 織 学 的 お よ び 免 疫 組 織 学 的 に 検 索 を 行 っ た 。

【 材 料 と 方 法 】 生 後 約7週 齢 、 体 重180〜200gの 雄 性 60匹 お よ び 雌 性 60匹 のWistar 系 ラ ッ ト 計120匹 を 用 し ゝ 、 実 験 群 を 精 巣 摘 出 後DMBA投 与 (Al群 ) 、 精 巣 摘 出 後DMBA投 与 十DES投 与 (A2群 ) 、DMBA投 与 完 了 後 精 巣 摘 出 (B群 ) 、 卵 巣 摘 出 後DMBA投 与 (Cl群 ) 、 卵 巣 摘 出 後DMBA投 与 十DES投 与 (C2群 ) 、DMBA投 与 完 了 後 卵 巣 摘 出 ( D群 ) の6群 と し た 。 す べ て の 群 に つ い て ェ ー テ ル 麻 酔 下 に て 顎 下 腺 に 1%DMBAア セ ト ン 溶 液0.Iml を 隔 週 ご と に 計6回 、 注 入 し た 。6回 目 のDMBA投 与2週 間 後 に 生 検 を 行 し ゝ 、A2・C2群 に つ い て は 実 験 群 の 発 癌 を 確 認 し た 後DESをO.3ロg/kgで2日 お き に 、2週 間 投 与 し た 。B‑D群 に つ い て はDMBA投 与 完 了 後4週 に 卵 巣 お よ び 精 巣 の 摘 出 を 行 っ た 。 各 群 は     ―851ー

(2)

性腫瘍における役割については不明な点も多い。今回は、ER ロに関して明らかにして おらず、分子生物学的なアプローチも行っていないが、今後、ERa とER ロの関係およ び組織像の変 異の発症機序 について遺伝 子学的な検索も 必要であると 思われる。

854

(3)

学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

DIVIBA 誘発ラット顎下腺癌における 組織像に及ぼす性ホルモンの影響

審査 は、 審査 員全 員出 席の 下に 、申 請者に 対し て提 出論 文と それに関連した学科目 に つ い て 口 頭 試 問 に よ り 行 わ れ た . 審 査 論 文 の 概 要 は 、 以 下 の 通 り で あ る .

  一般に腺癌ではその発生や増殖、進行に性ホルモンが関与しているとされているが、

唾 液 腺 腫 瘍 に 関 し て は ほ と ん ど 明 らか にさ れてい なし ヽ. 本研 究は 、DMBA(9,10‑

dim ethyl‑1,2‐benzanthracene)を用いてラットの顎下腺に癌を誘発させ、唾液腺腫 瘍 の発 生や 進展 なら ぴに 組織 多彩性における性ホルモン、特にェストロゲンの関連を 検討したものである.

  生 後 約7週 齢 の 雄 性60匹 お よ ぴ 雌 性60匹 のWistar系 ラ ッ ト を、 精 巣 摘 出 後DMBA 投 与 群 、 精 巣 摘 出 後DMBA投 与 十DES投 与 群 、DMBA投 与 完 了 後 精 巣 摘 出 群 、 卵 巣 摘 出 後DMBA投 与 群 、 卵 巣 摘 出 後DMBA投 与 十DES投 与 群 、DMBA投 与 完 了 後 卵 巣 摘 出 群 の6群 、 各 群20匹 に 分 け た. すべ ての 実験 動物 の顎 下腺 に、 エーテ ル麻 酔 下 で1%DMBAア セ ト ン 溶 液O.lmlを 隔 週 ご と に 計6回 、 注 入 し た .6回 目 のDMBA 投 与2週 間 後 に 生 検 を 行 い 、 精 巣 摘 出 後DMBA投 与 十DES投 与 群 と 卵 巣 摘 出 後 DMBA投 与 十DES投 与 群 に つ い て は 、 実 験 群 の 発 癌 を 確 認 し た 後DESを0.3ルg/kg で2日 お き に 、2週 間 投 与 し た .DMBA投 与 完 了 後 精 巣 摘 出 群 とDMBA投 与 完 了 後 卵 巣 摘 出 群 に つ い て はDMBA投 与 完了 後4週 に 、 卵 巣 お よ ぴ 精 巣の 摘 出 を 行 っ た . す べ て の 実 験 動 物 を 処 置 終 了2週 間 後 に 安 楽 死 さ せ 、 通 法 に 従 って4umパラフ イン 薄 切 切 片 を 作 製 し た . 次 い で 、HE染 色 、 な ら ぴ に サ イ ト ケ ラ チ ン 、PCNA、S‑100 蛋 白、 エス トロ ゲン レセ プタ ーの染色を行い、病理組織学的およぴ免疫組織化学的に 検 索し た. なお 、腫 瘍の 組織 像を形態学的特徴から、便宜上、角化型・小導管型・嚢 胞 型 ・ 腺 様 型 ・ 充 実 型 ・ 索 状 型 ・ 混 在 型 の7つ の 組 織 型 に 分 け た .   精 巣 摘 出 後 DMBA投 与 群 、 精 巣 摘 出 後DMBA投 与 十DES投 与 群 、DMBA投 与 完 了後 精巣 摘出 群に おい ては 、扁平上皮癌を主とした組織像がみられた.さらに精巣

則 男

   

   

靖 隆

塚 後

戸 向

授 授

教 教

査 査

主 副

(4)

摘出およびDES を投与することによりその組織型に変化がみられ、扁平上皮癌のみ 認 め られ た

DMBA

投 与 完了 後 精 巣摘 出 群と は 異な り 、精 巣 摘出 後

DMBA

投与 群 お よぴ精 巣摘出後

DMBA

投与 十

DES

投与 群では腺癌 様の像を示 す部分がわずかではあ る が 増加 す る傾 向 がみ ら れた . 卵巣 摘 出後

DMBA

投 与群 、 卵巣 摘 出後

DMBA

投 与 十

DES

投与群、

DMBA

投与 完了後卵巣 摘出群にお いては、種 々の形態の組織像がみ られ、卵巣摘出により角化を示す組織像がわずかながら増加する傾向が見られた.こ れらの結果は、唾液腺における腺癌の発生ならぴに組織像の多彩性に性ホルモン関わ っていることを示唆している・

  

また、形態学的に同様の組織像を示す腫瘍においても、

DES

の投与や精巣摘出あ るいは 卵巣摘出に より、サイ トケラチン や

PCNA

、S‑100 蛋白 の発現に違いが生じ ていた.エストロゲンレセプターの陽性反応は、腫瘍細胞の核に限局して認められ、

腺癌の導管様構造や索状構造、充実性の部分に多く発現していたが、同じ腺癌でも嚢 胞状を呈する部分や扁平上皮癌様組織への移行部では

ER

陽性細胞数は減少しており、

扁平上皮癌の像を示す部分ではほとんど発現していなかった.これらの結果は、唾液 腺における腺癌の発生ならぴに組織像の多彩性に性ホルモン、特にエストロゲンが深 く関係していることを示唆している.

  

論文の審査にあたって、論文申請者による研究の要旨の説明後、本研究ならびに関 連する研究について質問が行われた.主な質問事項は、卵巣摘出により血清のエスト ロゲンはどの程度低下するのか、性ホルモンは発癌過程と増殖過程のどちらにより強 く影響するのか、従来の唾液腺癌に関する発癌実験の報告について、扁平上皮癌が腺 癌に移行することはあるのか、多彩な組織像を示す腫瘍において腺癌様組織像と扁平 上皮癌様組織像とをどのように識別するのか、ラヅトの週齢と発癌との関係について、

等であった.いずれの質問についても、論文申請者から明快な回答が得られ、また将

来の研究の方向性についても具体的に示された.本研究は、唾液腺における腺癌の発

生ならぴに組織像の多彩性に性ホルモン、特にエストロゲンが深く関係していること

を、実験動物において明らかにした点が高く評価された.本研究の業績は、口腔外科

の分野はもとより、関連領域にも寄与するところ大であり、博士(歯学)の学位授与

に値するものと認められた.

参照

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