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Academic year: 2021

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論文の内容の要旨及び論文審査の結果の要旨の公表

学位規則第 8 条に基づき、論文の内容の要旨及び論文審査の結果の要旨を公表する。

○氏名 HOSSAIN Md. Saddam(ほっさいん まっど さだむ)

○学位の種類 博士(工学)

○授与番号 甲 第 1278 号

○授与年月日 2018 年 9 月 25 日

○学位授与の要件 本学学位規程第 18 条第 1 項 学位規則第 4 条第 1 項

○学位論文の題名 Studies on Bacterial L-Amino Acid Ester Hydrolase for Di-Peptide

Synthesis(微生物由来 L-アミノ酸エステラーゼによるジペプチ

ドの酵素合成に関する研究)

○審査委員 (主査) 若山 守 (立命館大学生命科学部教授) 松村 浩由(立命館大学生命科学部教授) 髙木 一好(立命館大学生命科学部教授)

<論文の内容の要旨>

ジペプチドは様々な生理的調節機能を有し、食品添加剤として幅広い用途も有すること から、その合成法や新たな用途に関心が高まっている。様々なジペプチド合成法が考案さ れ、それらの最適化やスケールアップに関しても個別の合成法については検討されている が、標準的なプロトコールは確立されていない。本研究は、抗高血圧作用を示すイソロイ シル–トリプトファン(Ile-Trp)ならびに“こく味”化合物の合成原料であるバリル–グリシン

(Val-Gly)に着目し、L-アミノ酸エステルヒドロラーゼを利用した酵素合成法を確立するため

に、対象とする酵素の検索、大量調製法の確立、酵素の諸性質の評価ならびに酵素の高機 能化について検討したものである。第1章では、土壌から広範囲にわたるスクリーニング を実施し、アミノ酸エステル(Ile-OMeとVal-OMe)およびアミノ酸(TrpとGly)からIle-Trpと

Val-Gly を合成する高い L-アミノ酸エステルヒドロラーゼ(AEH)活性を有する微生物を探索

した。その結果、Stenotrophomonas maltophilia (S. maltophilia)とElizabethkingia sp.の2種類の AEH生産菌を見出した。これら2菌株からAEHを均一に精製し、酵素化学的諸性質を明ら かにした。第2章では、S. maltophiliaのAEH (SmAEH)の遺伝子をクローニングし、大腸菌 での高発現系を構築した。組換えSmAEHの簡易精製法を確立し、諸性質を検討した。特に、

SmAEH を利用するうえで重要なファクターとなる安定性を評価するため、SmAEH の温度

安定性について様々な解析モデルを用いて厳密な評価を行い、SmAEHの温度による失活様 式を明らかにした。第3章では、ジペプチド合成能力の向上を目的として、SmAEHの立体

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構造モデリングを行い、その結果に基づき変異酵素を作製し、それらの諸性質の検討なら びに速度論的解析を行った。その結果、野生型酵素と比較してIle-Trp合成活性が約30%向 上した変異酵素の取得に成功した。

<論文審査の結果の要旨>

本論文は、抗高血圧作用を示すIle-Trpならびに“こく味”化合物の合成原料であるVal-Gly の合成法について、L-アミノ酸エステルヒドロラーゼを利用した酵素合成法の確立を目指し、

研究を行った。以下の諸項目を評価することができる。

(1) アミノ酸エステル(Ile-OMeとVal-OMe)およびアミノ酸(TrpとGly)からIle-TrpとVal -Glyをそれぞれ合成するL-アミノ酸エステルヒドロラーゼ(AEH)の生産菌を土壌から見 出し、Stenotrophomonas maltophilia (S. maltophilia)とElizabethkingia sp.と同定した。Ile-Trp

とVal-Glyの酵素合成として初めての報告である。

(2) S. maltophiliaから約70 kDaおよびElizabethkingia sp.から約78 kDaの分子質量を有する

AEH (それぞれSmAEHおよびEsAEH)を均一に精製し、諸性質を明らかにした。

(3) SmAEH の遺伝子をクローニングし、大腸菌での高発現系を構築した。アフィニティー

クロマトグラフィーを用いない二段階の陰イオン交換カラムクロマトグラフィーによ り、組換えSmAEHを迅速に精製する方法を確立した。

(4) SmAEH の温度安定性について様々な解析モデルを用いて厳密な評価を行った。

35 °C–50 °Cの温度範囲における不活性化の速度論的解析について検討したところ、1

次速度式に従い酵素の不活性化が進行することが明らかとなった。

(5) 酵素の立体構造モデリングの結果に基づき、K184E と Q350G2種類の変異酵素を作製 した。野生型酵素と比較して、Ile-Trp合成活性が約30%向上したQ350G変異酵素の取 得に成功した。

以上、本論文で示された内容は今後の展開の礎となる重要な成果であり、本酵素が食品 および医薬品等へ応用面で寄与できる可能性を示した点において評価できる。

本論文の審査に関して、2018年8月7日(火)15時00分から16時00分まで、リンク スクエア演習室2Eにおいて公聴会を開催し、申請者による論文要旨の説明の後、審査委員 は学位申請者HOSSAIN Md. Saddamに対する口頭試問を行った。各審査委員および公聴会 参加者より、野生型酵素と組換え酵素の諸性質の相違点の解釈、モデル構造から推定され る酵素の活性中心の構造の特徴、その特徴と変異酵素の変異対象アミノ酸残基の関係など の質問がなされたが、いずれの質問に対しても申請者の回答は適切なものであった。また、

本論文提出後、主査および副査はそれぞれの立場から論文の内容について評価を行った。

以上により、審査委員会は一致して、本論文は本研究科の博士学位論文審査基準を満た しており、博士学位を授与するに相応しいものと判断した。

<試験または学力確認の結果の要旨>

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本論文の公聴会は、2018年8月7日(火)15時00分から16時00分まで、リンクスク エア演習室2Eで行われた。

本論文の主査は、本論文提出者が本学大学院生命科学研究科博士課程後期課程の在学期 間中に、研究指導を通じ、日常的に研究討論を行ってきた。

本論文提出者は本学学位規程第18条第1項該当者であり、論文内容および公聴会での質 疑応答を通して、本論文提出者が十分な学識を有し、博士学位に相応しい学力を有してい ることが確認された。

以上の諸点を総合し、本論文提出者に対し、「博士(工学 立命館大学)」の学位を授与 することが適当であると判断する。

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