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2.5-25%であり,そのリスク因子として性別,加齢,

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授 与 し た 学 位 専攻分野の名称 学 位 授 与 番 号 学位授与の日付 学位授与の要件

学位論文の題目 論 文 審 査 委 員

小林 幸生

博甲第6145号 令和2年3月25日

医歯薬学総合研究科機能再生・再建科学専攻

(学位規則第4条第1項該当)

高齢者の肺切除術後の肺炎と嚥下障害のリスク因子に関する研究 吉田 竜介 教授 鳥井 康弘 教授 山本 直史 准教授

学位論文内容の要旨

肺切除術後に肺炎が発症すると術後の回復を送らせるだけでなく,その後の生存率が 低くなる。よって,肺切除術の肺炎を予防することは重要な課題のひとつといえる。過 去の報告では,術後肺炎の発生率は

2.5-25%であり,そのリスク因子として性別,加齢,

BMI,喫煙の既往,肺炎の既往,アルコール依存,心房細動,糖尿病,COPD

の合併,low

FEV1%,術中輸血,肺の広範囲の切除,がんの組織型,がんの病期,術式の違いなどが指

摘されてきた。しかし,肺移植手術では,術後の嚥下障害が術後合併症のリスク因子と してあげられており,その対策の重要性が示唆されている。また,肺切除後の患者の約

2

割の患者に嚥下障害がみられることも報告されている。よって,肺切除術後の肺炎にお いても,嚥下障害に伴う誤嚥肺炎が関与していると考えられる。しかし,これまで肺切 除術後の肺炎と嚥下障害との関連については明らかにされていない。そこで,本研究で は,術後肺炎のリスク因子として嚥下障害が関与していること,さらに嚥下障害のリス ク因子を明らかにすることを目的におこなった。本研究によって,術後肺炎のリスク予 知することができ,防止策をたてることができると期待できる。

当院では,2009年から,肺切除術を受けた患者を対象として,我々の歯科チームが中 心となって,術後早期に嚥下内視鏡検査を実施し,術後の嚥下障害の有無を評価してき た。そこで,本研究では

2011

8

月から

2015

7

月までの

4

年間に,岡山大学病院で 肺切除術を受けた

65

歳以上の肺がん患者で,術後に嚥下内視鏡にて嚥下機能検査を受け た患者を対象に,対象者の診療録から後向きに調査をおこなった。本研究は,岡山大学 研究倫理審査専門委員会の承認(研

1604-508)を得て実施した。

術後の肺炎の有無については,術後おおむね6週間の経過で,胸部X線や臨床症状で内科 医が肺炎と診断し,抗菌薬の追加投与などを行った患者を術後肺炎として,抽出した。術 後の嚥下障害の有無については,術翌日に水分およびゼリーを経口摂取させ嚥下内視鏡観 察下で,咽頭部の喉頭蓋谷又は梨状窩に水分またはゼリー残留の有無を評価し,咽頭に残 留があった場合に「嚥下障害あり」と判定した。さらに嚥下障害以外に,術後肺炎の交絡 因子として考えられる,術前因子,術中因子,および術後因子についても抽出し分析をお こなった。

術 前 因 子 と し て は , 性 別 , 年 齢 ,

BMI, 喫 煙 の 有 無 ( 既 往 も 含 む ) , 既 往 歴

COPD, 肺 炎 , 心 房 細 動 , 糖 尿 病 , 脳 血 管 障 害 , 頭 頸 部 腫 瘍 の 手 術 , 心 臓 手

術 , 胸 部 放 射 線 療 法 ) の 有 無 , 栄 養 状 態 , 呼 吸 機 能 検 査 , 肺 が ん の ス テ ー ジ ,

(2)

お よ び 術 前 化 学 療 法 の 有 無 を リ ス ト し た 。術 中 因 子 と し て は ,術 式 ,切 除 範 囲 , 縦 隔 リ ン パ 郭 清 の 有 無 , 術 中 輸 血 , 手 術 時 間 , 手 術 時 の 出 血 量 を リ ス ト し た 。 術 後 因 子 と し て ,術 後 の 嚥 下 内 視 鏡 で の 観 察 時 に 声 門 の 閉 鎖 障 害 の 有 無 を 記 録 し た 。 術 後 肺 炎 発 症 の 有 無 を 目 的 変 数 と し , 術 後 嚥 下 障 害 の 有 無 , 術 前 因 子 , お よ び 術 中 因 子 を 説 明 変 数 と し て 関 連 性 を 解 析 し た 。 目 的 変 数 と 説 明 変 数 と 各 々 の

2

変 量 の 関 連 に つ い て は , カ イ

2

乗 検 定 を 用 い て 評 価 し , 続 い て

2

変 量 解 析 で P 値 が 5 % 未 満 で あ っ た 因 子 を 抽 出 し ,ロ ジ ス テ ィ ッ ク 多 変 量 解 析 を 行 っ た 。 さ ら に , 嚥 下 障 害 の 有 無 を 目 的 変 数 と し ,術 前 因 子 , お よ び 術 中 因 子 を 説 明 変 数 と し て 関 連 性 を 解 析 し た 。ロ ジ ス テ ィ ッ ク 多 変 量 解 析 で の 有 意 水 準 は P 値 が

5% 未 満 と し た 。

ロ ジ ス テ ィ ッ ク 多 変 量 解 析 の 結 果 , 術 後 肺 炎 は

%1秒 量 (OR: 13.22), 咽 頭 残

(OR: 5.26),血 清 ア ル ブ ミ ン 値 (OR: 3.92)

と の 間 に 有 意 な 関 連 が 見 ら れ た 。

% 1

秒 量 お よ び 血 清 ア ル ブ ミ ン 値 は 他 の 報 告 で も 述 べ ら れ て い る が , 肺 切 除 術 後 の 嚥 下 障 害 と 術 後 肺 炎 の 関 連 を 統 計 学 的 に 評 価 し た の は 初 め て の 報 告 で は な い か と 考 え ら れ る 。 嚥 下 機 能 低 下 は 性 別

(OR: 13.75)

BMI<18.5(OR: 5.79)

, 喫 煙 の 既 往

(OR: 5.79), 心 臓 手 術 の 既 往 (OR: 2.72)

と の 間 に 有 意 な 関 連 が み ら れ た 。

本 研 究 か ら ,術 後 肺 炎 は ,%1秒 量 ,血 清 ア ル ブ ミ ン 値 ,嚥 下 機 能 の 低 下 が リ ス ク 因 子 で あ り ,術 後 の 嚥 下 機 能 低 下 は ,男 性 ,BMI<18.5,喫 煙 の 既 往 ,心 臓 手 術 の 既 往 が リ ス ク 因 子 で あ る こ と が わ か っ た 。従 っ て ,今 後 こ の よ う な 因 子 を も っ た 患 者 に 対 し て は ,術 前 か ら 積 極 的 に 嚥 下 機 能 低 下 を 予 防 す る よ う な 嚥 下 リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン な ど が 必 要 で な い か と 考 え ら れ た 。

(3)

論文審査結果の要旨

肺切除手術後の肺炎発症のリスク因子を事前に予測できるなら,術後の合併症予防につなが り有益である。これまで術後肺炎のリスク因子として,性別,年齢,Body Mass Index(BMI)な どが報告されていたが,嚥下障害との関連性については明らかにされていない。

申請者は,肺切除手術を受けた 65歳以上の肺がん患者 457人を対象に,術後の肺炎および 嚥下障害が,術前・術中・術後のいかなる因子に影響を受けているかについて,嚥下内視鏡検 査結果を用い後ろ向きに調査し,術後肺炎と嚥下障害の関連について統計学的に研究した。術 前因子は,性別,年齢,BMI,喫煙の有無,既往歴,栄養状態,呼吸機能検査,肺がんのステー ジ,術前化学療法の有無を,術中因子は,術式,切除範囲,縦隔リンパ郭清の有無,術中輸血,

手術時間,手術時の出血量を,術後因子は,声門の閉鎖障害の有無を用いた。統計学的方法と しては,術後肺炎を目的変数とし,術後嚥下障害の有無,術前・術中・術後因子を説明変数と して関連性を解析した。さらに,嚥下障害を目的変数とし,同様に解析した。2変量はカイ2 検定を用いて評価し,続いて2 変量解析でP値が5%未満であった因子を,ロジスティック回 帰分析を行いて分析した。

術後肺炎は20例(4.4%),嚥下障害は65例(14.2%)あり,術前・術中・術後因子でロジスティ ック回帰分析をした結果,術後肺炎は,%1 秒量(%FEV1)(OR:13.22),血清アルブミン値

<3.5g/dL(OR:3.92),咽頭残留(OR:5.26)との間に有意な関連が見られた。嚥下障害は男性 (OR:13.75),BMI<18.5 kg/m2 (OR:5.79),喫煙あり(OR:2.59),心臓手術あり(OR:2.72)との間 に有意な関連がみられた。これらの結果から,男性,BMI 低値,喫煙あり,心臓手術の既往が 嚥下障害を介した術後肺炎のリスク因子と解されるため,今後このような因子をもった患者に 対しては,術後合併症予防のための術前の嚥下リハビリ等の処置が有効である可能性が示唆さ れる。今後,術前の嚥下機能を評価したうえでの,介入研究が期待される。

本研究は,肺切除術後肺炎のリスク因子として嚥下障害が関与する可能性を示した重要な報 告であると認められる。よって,審査委員会は本論文に博士(歯学)の学位論文としての価値 を認める。

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