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世界の税制改革から学ぶ 国名政権と税制改革概要 米国 レーガン2 期の税制 課税ベースを拡大して税率を引き下げる ( 税 収中立 ) という哲学の下での税制改革が経済 活性化をもたらした ドイツ メルケル連立政権の税制 消費税や所得税を増税して法人税を引下げ るという税制改革をパッケージで行い 経済

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全文

(1)

税で日本はよみがえるー成長力を高め

る改革とは?

関東財務局講演(2016年5月19日)

中央大学法科大学院教授・東京財団上席研究員

森信茂樹

(2)

国名

政権と税制改革

概要

米国

レーガン

2期の税制

課税ベースを拡大して税率を引き下げる(税

収中立)という哲学の下での税制改革が経済

活性化をもたらした。

ドイツ

メルケル連立政権の税制

消費税や所得税を増税して法人税を引下げ

るという税制改革をパッケージで行い、経済

成長と財政再建の両立を果たした。

英国

ブレア一期の税制

「セフティーネット」から「トランポリン」へという

社会保障と税制の一体的改革は、財政再建

と経済活性化の両立をもたらした。

オランダ

ワークライフバランスと

税制

専業主婦の社会進出を支援するための社会

保障と税の一体改革はオランダ型のワークラ

イフバランスを作り上げた。

スウェーデ

二元的所得税

金融所得を勤労所得課から分離して一定率

で課税する税制は、グローバル時代のもとで

の高福祉社会の建設に必要な改革であった。

世界の税制改革から学ぶ

1

(3)

わが国が抱える課題と税制

1、少子高齢化の下での経済停滞からの脱却

→効果的な少子化対策、女性労働力の活用、社会保障不安の解消(と

消費の回復)、

→拡大する非正規雇用層や勤労世代の負担軽減(世代間格差の是正)、

共働きに不利な税制の抜本的改組

→所得控除から税額控除へ、さらに給付を組み合わせる

その際、税負担だけでなく社会保険料負担も併せて考える

2、所得・資産格差拡大への対応

→所得・資産への負担の在り方

3、企業の空洞化や租税回避への対応

→法人税負担の在り方、租税回避とは

4、財政赤字拡大による経済リスク、負担の先送りへの対応

→消費税率の問題

2

(4)

課題1-所得税改革

1、英国ブレアの「第3の道」ー「セフティーネットからトランポリンへ」

・非正規・ワーキングプア層へ勤労を条件とした税額控除(勤労税額控除)を。

生活保護、失業保険に次ぐ「第3の社会保障」の創設。

2、オランダの1.5型経済

経済危機対策としてワッセナー合意(政労使)。専業主婦も勤労、ワークシェア

リング、その際逆転現象が起きないように、勤労税額控除を導入。今日までワー

クシェアリングのモデル国。

3、学ぶべき点

・わが国にない第3の社会保障ー職業訓練とセットの勤労税額控除の導入

・女性労働力を阻害する103万円の壁を作る配偶者控除の抜本的改組。まずは

所得控除を税額控除に、その後児童税額控除に。すでに民間(トヨタなど)では

実例。

・130万円の壁は勤労税額控除で

3

(5)
(6)

6

キャメロン政権のユニバーサルクレディット

英国政府資料

(7)

7

(8)
(9)

配偶者控除の見直し案

(政府税制調査会・11月7日)

内容

廃止・一部廃止

(A)

廃止して子育て支援の拡充

所得制限をつけ子育て支援の拡充

移転的基礎控除に変更

B)

移転的基礎控除(B-1)

税額控除化して移転的控除(

B-2)

抜本改組(C)

夫婦世帯を対象とした新たな控除

8

(10)

課題2 格差・貧困問題への対処

• アベノミクスの下で、わが国でも「資産を持つ者」と「持たざる

者」の格差が発生。

• わが国の格差は、「税引き後の格差が拡大」「若年層の格差

も拡大」「高齢者になるほど格差が拡大」という問題がある。

• 所得税はオーバーホール(骨太2015)

• 金融所得(利子・配当・株式譲渡益)の20%の分離課税が

累進機能を弱めている。5%程度の引き上げは、アベノミク

スの株高で受益した富裕高齢者への課税強化で、正当性は

ある。

• 相続税強化論があるが、増税(15年)されたばかりで、効果

を見極める必要あり。

9

(11)

先進諸国の格差比較(ジニ係数)

(12)
(13)

0.1 2.8 4.1 2.8 -0.2 -4.3 -3.9 -1.4 0.0 0.0 0.8 -0.9 -1.1 1.0 0.1 0.2 -5 -4 -3 -2 -1 0 1 2 3 4 5 6 -200 200-300 300-400 400-500 500-700 700-1000 1000-1500 1500-アベノミクス期(2013-15年) アベノミクス期以前(2002-12年) %ポイント 年間収入階級(万円)

所得分布の変化

(出所)総務省統計局「家計調査」より小塩教授作成

12

(14)

0.0 0.1 -0.1 -0.1 -0.5 -0.7 -0.8 -0.4 2.4 0.0 -0.1 -0.3 -0.3 -1.0 -0.9 -0.6 -0.2 3.3 -2 -1 0 1 2 3 4 5 6 7 -100 100-300 300-500 500-700 700-1000 1000-1400 1400-2000 2000-3000 3000-アベノミクス期(2013-14年) アベノミクス期以前(2002-12年) 貯蓄残高階級(万円) %ポイント

貯蓄分布の変化

(出所)総務省統計局「家計調査」より小塩教授作成

13

(15)

申告納税者の所得税負担率(平成26年)

(16)

課題3 法人税改革

29%台は達成、先進諸国の引き下げ競争は続いてお

り、25%を目指すべきか?

・その場合、財源は2兆5千億円以上かかり、法人税の課

税ベース拡大では対処できず。

・今年のような外形標準課税の拡大は法人税制のガラパ

ゴス化をすすめるので反対。

・抜本改革は地方税改革で「地方法人税(法人事業税)を

(地方)消費税で置き換える」こと。

・地方法人2税は、税収が不安定で、地方間格差の要因

となっているので、これを改善するチャンス。

・ドイツ、英国、スウェーデンなどは実行

・タックスヘイブンを活用した租税回避への対応は進める

必要あり

15

(17)

税額

(体積)

100

30

60

(%)

課税ベースと税率のイメージ図

課税ベース×税率=税額(負担)

(底面積) (高さ) (体積)

課税ベース(課税所得)

(出典:「日本の税制」 PHP新書)

税額(体積)

200

16

(18)

これまでの引下げ経緯と国際水準

○安倍政権は、法人実効税率の

7%超の引下げ

を実現。30年度にはドイツ並みの水準へ。

シンガポール

法人実効税率の国際水準(2014年度)

(出所)KPMG Corporate tax rates table等より経産産業省作成

※アジアとは、中国、香港、インドネシア、韓国、マレ-シア、フィリピン、シンガポール、 台湾、タイ、ベトナムの 10 か国・地域 10% 15% 20% 25% 30% 35% 40% ドイツ イギリス 中国 韓国 2014年度 現行 (2015年度) 34.62% 29.66% 25.00% 24.20% 17.00 % 32.11% 2016年度 29.97% 37.00% 2013年度 アベノミクス以降、 7%超の引下げ 20.00 % 日本(標準税率) 2018年度 29.74%

OECD平均

24.98%

アジア

(※)

平均

22.17%

13.83% :地方税 :国税 2.20% 10.83% 10.83% 9.56% 7.38% 26.17% 23.79% 22.55% 22.59% 7.35% 22.39% 15.83% 22.00%

17

(19)
(20)
(21)

明治11年 営業税の創設(地方税)

明治29年 営業税の国税移管

昭和15年 新営業税

昭和22年 営業税の国税移管、課税ベースは純益

昭和23年 営業税の廃止、事業税の創設(地方税、

課税ベースは所得)

昭和25年 シャウプ勧告による付加価値税の創設

(延期)

昭和29年 付加価値税の廃止、事業税の恒久化

(課税ベースは所得)

平成16年 外形標準課税の導入

平成20年 地方法人特別税の創設

法人事業税の経緯

20

(22)

消費税率の引き上げ

法人税率の引き下げ

スウェーデン 1990年に23.5%から25% 1991年に53%から30%へ

1994年に30%から28%へ

2009年に28%から26.3%へ

2013年に26.3%から22%へ

ドイツ

2007年に16%から19%

2008年に実効税率38.36%から

29.51%へ引下げ(その後、小幅

な変動が毎年あり、2014年では、

29.58%)

英国

2010年に15%から17.5%

2011年に17.5%から20%

2009年に30%から28%へ

2011年に28%から26%へ

2012年に26%から24%へ

2013年に24%から23%へ

2014年に23%から21%へ

消費税率と法人税率

21

(23)

我が国の対外・対内直接投資の上位国・地域

対外直接投資 対内直接投資 (単位:億円) (単位:億円) 国・地域 直接投資残高 (2013年末) 直接投資(フロー) 国・地域 直接投資残高 (2013年末) 直接投資(フロー) 2012年 2013年 2012年 2013年 1 アメリカ 349,237 25,609 42,964 1 アメリカ 55,216 △ 106 1,323 2 中国 103,402 10,759 8,870 2 オランダ 29,150 △ 358 514 3 オランダ 101,631 6,822 8,468 3 フランス 15,014 △ 369 △ 636 4 英国 71,379 9,481 13,085 4 シンガポール 14,077 765 334 5 オーストラリア 57,018 8,689 5,640 5 英国 13,819 970 589 6 ケイマン諸島 50,948 1,797 401 6 スイス 10,715 4,065 △ 350 7 タイ 46,975 464 10,132 7 ケイマン諸島 9,912 △ 1,572 △ 1,050 8 シンガポール 38,512 1,283 3,550 8 ドイツ 6,783 357 12 9 ブラジル 35,195 3,284 3,932 9 香港 5,742 693 171 10 大韓民国 31,453 3,197 3,220 10 ルクセンブルク 3,548 △ 3,548 1,240 11 香港 20,884 1,880 1,752 11 台湾 2,395 292 183 12 インドネシア 20,850 3,039 3,821 12 大韓民国 2,190 445 41 13 ベルギー 20,539 392 2,643 13 カナダ 1,564 40 36 14 フランス 18,936 1,853 △ 258 14 スウェーデン 1,356 △ 47 465 15 ドイツ 17,988 1,445 2,612 15 オーストラリア 1,301 99 360 16 カナダ 17,684 3,019 2,766 16 イタリア 897 △ 14 88 17 インド 14,476 2,228 2,102 17 中国 607 57 138 18 マレーシア 13,913 1,052 1,233 18 マレーシア 507 △ 12 73 19 台湾 12,442 90 319 19 ニュージーランド 373 △ 1 10 20 ベトナム 11,369 2,049 3,177 20 タイ 116 30 3 (備考)直接投資(フロー)のマイナスの数値は、その年の投資の回収額が投資額を上回っ たことを示す。(出所)日本銀行「国際収支統計」

22

(24)

• 15年4月、米製薬会社ファイザーが英国製薬会社アストラゼネガ

に買収提案(撤回)。合併により本社を英国に移転(インバージョ

ン)して税負担の軽減。米国法人税率が40%、英国は21%。

• インバージョンにより、企業が保有する特許権や商標権などの無

形資産が、課税繰り延べで低税率国の親会社に移転。合併後の

利益は米国の課税権の及ばない外国企業に(「金の卵」を失う)。

前世界課税方式をとる米国には痛手。

• インバージョン時に外国親会社から多額の負債を負い利払いに

より米国企業から外国親会社に利益を移転させる(税収減)。

• ブッシュ(子)政権時に防止措置導入。しかし第3国に親会社を設

立するコンビネーションインバージョンなど抜穴。米国アプライドマ

テリアルズと東京エレクトロン社の経営統合の親会社はオランダ

。このM&Aに対して、米上院ボーカス財政委員長は警告を発し

ている。

• わが国でも、インバージョンによりタックスヘイブンに親会社を作

る取引は、法律で規制が行われたが上述の例は対象外。

• 対抗するには企業(あるいはタックスアプロモーター)のモラルに

期待するか新たな立法かしかない。

コーポレート・インバージョン

23

(25)

米国親会社

研究開発 米国から見れば B社はA社の支店

米国以外の

世界市場

B社 コンテンツの製造・ 販売など実体あり アイルランド でわずかな 法人税支払い

オランダ法人

バミューダ

法人

法人の管理 支配地

Double Irish with a Dutch Sandwich

アイルランド法人

IP所有・ 利益留保法人 アイルランド には実態はなく バミューダ法人 ロイヤルティー の支払い

IP

譲渡

A社

コスト シェア リング 契約

24

(26)

消費税率の引き上げ

法人税率の引き下げ

スウェーデン 1990年に23.5%から25% 1991年に53%から30%へ

1994年に30%から28%へ

2009年に28%から26.3%へ

2013年に26.3%から22%へ

ドイツ

2007年に16%から19%

2008年に実効税率38.36%から

29.51%へ引下げ(その後、小幅

な変動が毎年あり、2014年では、

29.58%)

英国

2010年に15%から17.5%

2011年に17.5%から20%

2009年に30%から28%へ

2011年に28%から26%へ

2012年に26%から24%へ

2013年に24%から23%へ

2014年に23%から21%へ

消費税率と法人税率

25

(27)

課題4 財政再建と税制

• わが国税制の財源調達機能は落ちている。

• 内閣府の1月試算では、2020年度一般会計歳入

が69.1兆円と見込んでいる(それでも2020年PB

黒字には6.5兆円不足)。

• 景気が不安定な状況で、消費税率10%への引き

上げや財政目標の先送り・改定があれば、経済に

大きなリスクを与える可能性あり。

• まずは徹底した歳出削減。政治家が正直に歳出削

減を発言できるような雰囲気が必要。あとは「受益」

と「負担」の国民的議論を。

26

(28)

(財務省資料)

(29)

わが国の一般会計の状況(財務省資料)

(30)

先進諸国の歳出水準(国・地方)比較 GDP比 %

2009(A)

2016(B)

改善度(B)-(A)

米国

43.1

37.5

5.6

ドイツ

47.5

44.1

3.4

イギリス

48.6

41.1

7.5

フランス

56.8

56.3

0.5

日本

41.9

39.4

1.5

OECD

44.3

40.3

4.0

OECD統計

29

(31)
(32)

合計 消費税 社会保険料 所得税 合計 所得税 ↓ 社会保険料 ↓ 消費税 ↓ 2 2 6 0 6 5 9 0 ( 年 齢 ) 収入に対する比率 (%) 30 20 10

ライフサイクルと税・社会保険料負担(モデル)のイメージ図

31

(33)

最後に

「みんな、アカデミー賞の主演女優賞が誰に与

えられるかは、大きな興味を持っている。しかし

われわれに、その投票権があるわけではない。

税制がどうなるか、どうすべきか、みんなの関

心は必ずしも高くはない。しかし税制をどうすべ

きかについて、われわれは投票権が与えられ

ている。」

(米国経済学者の言葉)

32

参照

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