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乳児内斜視 (Infantile esotropia)

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Academic year: 2021

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こどもの斜視 (Strabismus) 斜視とは何らかの原因で、眼の位置がまっすぐでない状態 をいいます。片眼が内側に変位している状態を内斜視 (esotropia)と言い,反対に外側に偏位している状態を外斜 視(exotropia)といいます。上下に偏位しいる場合は上斜視 (hypertropia)といいますが、内斜視、外斜視と比較して頻 度が少ないのでここでは省略いたします。 これから順に小児眼科外来で最も多く遭遇する型の内斜視 と間歇性外斜視について述べます。 I. 乳児内斜視 (Infantile esotropia) 乳児内斜視を最初に報告したのは米国の眼科医、 Costenbader です。Costenbader は初期は先天性内斜視 (Congenital esotropia)という名称を使用していましたが、、 実際に生直後に斜視が認められる事は稀であり、 その後、 乳児内斜視 (Infantile esotropia)という呼び方で分類さ れています。乳児内斜視の特徴としては一般的には斜視の発

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症は生後4ヶ月以後の事が多く,斜視の角度は大きく、40 度を超すものも多く認めらます。乳児内斜視には遠視が認め られる事が多いですが、遠視の程度は様々でほとんど遠視の 認められないものから、かなり遠視が強く、眼鏡による矯正 が必要となり、後で述べる調節性内斜視と混同するようなも のまであります。写真 1 は典型的な乳児内斜視の眼位を示し たものです。 斜視眼(内側によっている眼)がある一方に限定する 場合にはその眼の視力が低下しており、いわゆる斜視弱視が 認められる事があります。しかし一方斜視眼が左右ほぼ均等 の頻度の場合には、交代固視といって、弱視を生ずる事はあ まりありません。また乳児内斜視には下斜筋の過動症

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(DVD,Dissociated Vertical Deviation)および外転の抑制と 伴う事もしばしばです。

(下斜筋過動症)

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(左眼にカバーがあります) 乳児内斜視の治療は原則的には外科的治療法です。以前は生 後1歳未満で行う早期斜視手術法が多かったのですが、近年 では手術時期はもう少し遅く、だいたい2歳前後に行われる 傾向にあります。 斜視手術を行う場合には原則的には弱視は治療されている 事が望ましく、もし斜視弱視が残存する場合は遮蔽法(パッ チング)により弱視眼の視力を改善させておく必要がありま

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す。また遠視が認められる場合には、其の程度に関わらず, 遠視矯正眼鏡を装用して、其の上で残存する斜視角に対して 手術を行うべきであり、眼鏡で矯正出来る部分に対しては手 術を行うべきではありません。 手術法は斜視角が40プリズムヂオプター以内の場合には 両眼の内直筋を後ろにずらす、後転術 (recession) を行い、 斜視角がそれ以上の場合にはさらに片眼の外直筋の短縮術 (resection)を加える事があいます。下斜筋過動症, 交代性 上斜位を伴う場合には、下斜筋の後転術も,上直筋の好転術 も行われますが、傾向としては2度に分け手行う方が一般的 かと思われます。 II.調節性内斜視(accommodative esotropia) 遠視が存在する為に、調節が眼位の異常に大きな影響 を及ぼす場合に調節性内斜視といいます。 通常の場合には (正視とよびます)遠方から発した平行光線は網膜上に像を

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結びますが、 遠視を有する場合には遠方から発した平行光 線は網膜の後方に像を結びます。 この場合には調節(水晶体 の厚さを増やして、屈折力を増す)することにより網膜上に 焦点を結びます。 遠視の人が近く対象物をみる時はさらに 調節力が必要となります。視覚中枢にて調節の要求が増加す ると、輻湊量(つまり内寄せ)も増加します。これを調節性輻 湊(accommodative convergence)といっています。もし調 節性輻湊による眼位の変化(内斜視の眼位ですが)が遠視の 矯正により完全に矯正された場合、これを完全調整性内斜視 (fully accommodative esotropia)といいます。

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写真は調節性内斜視の眼位を示したもので、上の写真 は眼鏡非装用時そして下の写真は眼鏡装用時のものです。内 斜視は遠視の眼鏡を装用する事により完全に消失していま す。

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III. 部 分 調 節 性 内 斜 視 (Partially accommodative estropia) 内斜視患者が有している遠視を完全に眼鏡により矯 正しても明らかな斜視が残存していれば、これは完全調整性 内視ではなく部分調節性内斜視 (partially accommodative esotropia)といわれ、眼鏡にて矯正できない部分はプリズム 装用あるいは手術により眼位を矯正いたします。このような 症例を眼鏡のみにて治療し、残った斜視を放置していると、 微小角斜視(microtropia)を引き起こす事がしばしばであり、 注意しなければならない点であります。 IV.微小角内斜視(Microtropia) 微小角斜視 (microtropia)とくに微小角内斜視はその病態 そのものがはっきりと確立しておらず、また診断が比較的難 しいため、多くの場合は見逃されている事がほとんどです。

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微小角内斜視はその名の示すように、斜視角が 5 度以下であ るので、角膜反射法では見つける事は困難です。微小角斜視 は不同視を伴う事がほとんどであり、それに伴う弱視が認め られることが多く、不同視弱視として治療されている事がほ とんどです。両眼視の検査では調和性異常対応 (harmonious abnormal retinal correspondence)がみとめられます。固視 検査を詳しく行ってみると、中心窩のやや鼻側で比較的安定 した偏心固視をしている事が多く認められます。 確定診断法としては 4 プリズム基底外方試験がありますが、 ここでは詳しく述べない事とします。 重要な事は微小角斜視は多くの場合は不同視弱視として治 療されており、視力が改善しないため積極的に遮蔽法がおこ なわれています。このような症例に遮蔽法を行うと、斜視眼 に存在するといわれている、機能性暗点を排除して、複視が 出現することがあり、これは intractable diplopia として 非常に対処しにくいものであり、ぜひともさけなくてはなり

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なりません。不同視弱視と思って治療している症例で視力の 改善が思わしくない場合は、この微小角斜視を疑う必要があ ります。ではこの微小角斜視についてはどのように治療する かということですが、弱視が存在し、不同視がある場合には 不同視を光学的に矯正して、注意深く弱視治療を施し、弱視 眼の視力が 0.7〜0.8 に改善したら、それ以上の弱視治療を しないで経過観察する方が良いと思われます。斜視に関して はその角度は安定している事が多く、多くの場合は手術を必 要としません。この疾患はまず医師あるいは視能訓練士が常 にこのような疾患があるということを念頭に入れておくと こが重要なのです。

V. 急性内斜視(suddenonset esotropia, acute esotropia) 急性内斜視とはそれまで全く正位であった症例が,何らかの 原因で急に内斜眼位をとる型の斜視である。この型の斜視は 決して稀ではない。急性内斜視の原因についてはまだはっき りとした定説はない。ただ筆者の経験では、このような症例

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においては、斜視の発症する前に何らかの精神的、身体的ス トレス(stressor)が存在するように感じている。例えば、非 常に怖い経験、親に激しく怒られたような場合、殴られるな どの身体的なもの,またインフルエンザ等による高熱などを 経験している。また患者自身の問題としては、性格的に神経 質な、興奮しやすいなどの特徴があるような印象を持ってい る。この急性内斜視はまだ不明な点が多く今後の検討が必要 である。 治療法については原則的に斜視手術が必要となる。筆者は急 性内斜視が発症した時期(多くの場合に、親は発症の日時を) 記憶している事が多い)から少なくとも 6 ヶ月は経過を観察 し、斜視が存続する場合には、斜視手術を行うようにしてい る。治療結果は良好な事がほとんどである。 IV.隔日制内斜視(Cyclic Esotropia) 隔日制内斜視は比較的稀な型の内斜視であり、その発症メカ

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ニムについてはまだ不明な点が多い。臨床症状は、発症時期 は筆者の経験では4−10 歳くらいと発症年齢についてはひ ろい範囲である。最初は時々内斜視が起こり、時間の経過と ともに隔日性のパターンをとる事が多い。斜視–非斜視の パターンは 48 時間パターンが最も多く認められる。これは 斜視の認められる日(bad day)と斜視の認められない日 (good day)が 48 時間おきに交代するものである。このパタ ーンはかなり正確に繰り返されるが、筆者に経験では次第に 恒常性内斜視に移行する事が多く、最終的には斜視手術が必 要となるが、斜視手術の結果は良好な事が多い。また精神的、 環境的要因も関与しているのではないかと考えています。

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V.間歇性外斜視 (intermittent exotropia) 間歇性外斜視はその名のごとく、ある時は正位で、あ る時は眼位ずれを示す型の外斜視であり、斜視の中で最も頻 度の高いものです。一般に間歇性外斜視の発症は1歳をすぎ てからがほとんどでありますが、1歳以前に親が眼位の異常 に気づく事もしばしば経験されます。眼位ずれを起こすのは 主として遠見時であり、眠いとき、疲れたとき、注意力が低 下したときに認められることが多い様です。また明るいとこ ろに出ると、まぶしそうに片目をつむる現象もよく知られて います。眼が外斜する頻度は様々で、瞬きなどですぐに正位 に戻るものもあれば、しばらくは外斜の眼位をとるものも多 く様々です。一般にその形によって3つのタイプに分類され ています。遠見時と近見時の眼位ずれの大きさがほとんど同 じような場合には、これを基本型 (basic type)といい、遠 見時の眼位ずれが近見時の眼位ずれに比べて大きい場合に は開散過多型 (divergence excess type)といいます。その

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逆に遠見時の眼位ずれが近見時の眼位ずれに比べて小さい 場合には内よせ不全型 (convergence insufficiency type) といわれています。 下に示す写真は典型的な間歇性外斜視の眼位を示し たもので、下右は眼位が正位の時のもの、そして下左は眼位 が外斜位のものを示します。 治 療 法 と し て は 非 手 術 療 法 と し て は 内 寄 せ 訓 練 法 (convergence training)があります。これは児の眼前約 50cm から固視目標を徐々に近づけていく方法であり、なかなか定 期的に行うのは根気がいります。多くの場合には手術が必要 となりますが、手術をするかどうかという判定は、眼位ずれ の大きさが最も重要な要素です。眼位ずれが 30 プリズムヂ

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オプター以上の場合には手術の適応といってよいでしょう。 間歇性外斜視の場合には眼位ずれのない時間もあるため、弱 視を起こす事はまれであり、そのため両眼視機能も良好な事 がほとんどです。このように間歇性外斜視の場合には乳児内 斜視の場合と比較してより整容的な要素も強いため、その手 術の決定については患者の両親の理解も得ておく事が重要 な事です。 手術法は斜視角が 40 プリズムヂオプター以内の場合には 両眼の外直筋の後転術 (recession) を行い、斜視角がそれ 以上の場合にはさらに片眼の内直筋の前転(advancement)を 加えるのが標準的な手術法です。まれに下斜筋過動症を伴う 場合には、下斜筋の後転術も同時に行います。

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