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獣 医 麻 酔 第11号81 86(1980) Jap.J.Vet.Anesth.No (1980) 技 術 講 座 動物 実験 を 目的 とした ウ サギ の麻 酔 鈴 木 政 美*,鈴 田 1.は 中 木 正 彦*,高 橋 友 子* 求* う もの で は な く他 の動 物 同様

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獣 医 麻 酔 第11号81―86(1980) Jap.J.Vet.Anesth.No.1181―86(1980)

技 術 講 座

動物 実験 を 目的 とした ウ サギ の麻 酔

鈴 木 政 美*,鈴

木 正 彦*,高

橋 友 子*

求*

1.は じ め に 麻 酔 は種 々の 実 験 お よび 治 療 を 目的 と した 外 科 的 処置 の 際 の重 要 な要 素 で あ る。 特 に 動 物 実 験 を 目的 とす る麻 酔 で は,(a)自 発 性 お よび 反 射 性 の体 動 を 少 な く させ て外 科 的 及 び 実 験 的 操 作 を容 易 に させ,ま た(b)実験 的 操 作 に 伴 う刺 激 に よ る不 必 要 な生 体 反 応 を で き る限 り最 小 に 抑 え,よ り正 確 な実 験 成 績 を得 る こ とに あ る。 浅 麻 酔 下 で は 呼 吸,血 圧 に変 動 が 大 きい こ と,動 物 を 固 定 す るだ け で 著 明 な体 温 下 降 が起 き る こ と は よ く知 られ てい る こ と で あ る1)。 ウサ ギに おけ る 麻酔 管 理 は,麻 酔 深 度 の 調 節 や 呼 吸 管 理 な どに多 くの 問題 が あ り,そ れ らの原 因 と して次 の様 な事 が指 摘 され る 。 1)ウ サ ギ の 呼 吸 中枢 が麻 酔 薬 の麻 痺 作 用 に と て も敏 感 で あ る 。 2)麻 酔 量 と致 死量 と の間 隔 が 極 め て狭 い 。 3)一 般 の麻 酔 薬 の も っ て い る麻 酔 作 用 に対 して ウサ ギ の個 体 間 にお け るバ ラツ キが 非 常 に大 き く,外 科 的 麻 酔 の 用 量 を 個 々の ウサ ギ ご とに 決 め なけ れば な らな い 。 この様 な こ とか らウサ ギの 麻 酔 は 実 験 動 物 の 中で も難 し く,し か もそ の 麻 酔 作 用 が 予 測 しに くい 動 物 で あ る と 言 われ る ゆえ ん で あ る2)。 2.取 扱 い と 保 安(固 定) 1)取 扱 い:ど の様 な動 物 で も 同 じよ うに,正 しい 取 扱 い と保 定(固 定)は よ り適 切 な処 置 が 可 能 と な り又 安 定 した実 験 成績 も 期待 で き る 。 イ ヌや ネ コで 時 々 み られ る攻 撃 的 な タ イ プ の動 物 では 専 用 の取 扱 い器 具 を用 い なけ れ ば な らない こ と が あ る が,ウ サ ギ は概 して 性質 が温 順 で あ り素 手 で取 扱 い が可 能 な 動 物 で あ る 。 だ か らとい っ て粗 末 に扱 っ て よい とい う もの で は な く他 の動 物 同様 し っか りと しか もや さ し く 取 扱 うべき で あ る。 い い か げ ん に素 手 で扱 っ た りす る と 思 わ ぬ 怪 我 を す る こ とが あ る。 特 に ウサ ギ は後 肢 の け り が 強 く,し か も同 時 に長 い 爪 を もっ て い る の で 思 わ ぬ か き傷 を こ うむ る こ とが あ る。 基 本 的 な 取扱 い と して は,ウ サ ギ を 持 ち上 げ る際 に頸 部 の 比 較 的 皮 膚 の た るみ が あ る部 分 を 片方 の 手 で し っか りと握 り,他 方 の 手 は 臀 部 を 支 え る よ うに して後 肢 の運 動 を お さえ る(図1)。 2)保 定(固 定):保 定 箱 に は 種 々の も の が あ り,主 に 採 血 や 注 射,点 眼 な どの 目的 に 使 われ る(図2)。 保 定 図1ウ サ ギ の保 定 法 図2ウ サ ギ の 保定 箱

*埼 玉 医科大学

薬理学教室

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82 鈴 木政 美,鈴 木 正彦,高 橋 友 子,田 中 求 図3ウ サ ギ の固 定 板 箱 内 で の ウサ ギ は動 く隙 間 の ない 様 に 中の 仕 切 り板 で 調 節 す る 。 ウサ ギ の処 置 に 際 して注 意 しなけ れば な らな い 事 は過 度 に刺 激 して 興奮 させ ない 事 で あ る。 興 奮 した ウ サ ギ は,も し保定 箱 内に 動 く隙 間 が 少 しで もあ った りす る と け りの強 い後 肢 で激 し く蹴 る為 に 俗 に 言 う “腰 を 抜 か す ” こ とが 起 りか ね な い か らで あ る 。 固定 板 は(図3)主 と して麻 酔 処 置 後 の 実 験 及 び 治 療 の 処 置 の 目的 と して 使 われ る。

3.麻

酔 にお け る基 本 的 事 項

実験}こ必要 とす る 目的 の 麻 酔 深 度 を一 定 範 囲 内 に 保 ち,実 験 成 績 の バ ラ ツキ を 最 少 に す る 為 に も 正確 な麻 酔 深 度 の 判 定 が 必要 と なっ て くる 。 そ の為 に は ウサ ギ の生 理2,3)や 麻 酔 作 用 に よ る麻 酔 の段 階 を 良 く理 解 す る こ と が 重 要 で あ る。 麻 酔 の段 階 の 基 礎 的 な 知 識 に つ い て は 成 書 を 参 照 され たい4,5,6,7)。 ウサ ギに お け る麻 酔 の 程 度 を 評 価 す る一方 法 と し て GARDNER(1964)8)に よ る,5つ の チ ェ ッ ク項 目に よ る 臨 床 症 状 の有 無の 観 察 は 手 軽 な方 法 と して 役 立 つ 。 (1)呼 吸 数 とそ の 深 度:報 告 者 に よ って か な り異 な る が,通 常32∼53回/分9)で あ る 。 (2)口 腔 粘 膜 の 色:通 常 淡 桃 色 ∼淡 赤 色 。 (3)角 膜 反 射:目 を閉 じて しま う事 が 時 々み られ るの で,こ の時 は眼 瞼 反 射 を 用 い る。 (4)肢 の反 射:疼 痛 刺 激 を与 え る こ とに よ る反 応 。 (5)後 背 部 の伸 展 反 射:後 背 部 の 皮 膚 を引 き延 し,も と に 戻 る程 度 や 緊張 度 。 しか しな が ら現 在 の と ころ動 物 にお い て最 も信 頼 度 の 高 い 判 定 法 はMagnus-Grind方 法 と言 わ れ て い る1)。

4.麻

酔 前 投 薬

麻 酔 前 投 薬(Preanesthetic Medication)の 目的 は 麻 酔 を 円 滑 に 遂 行 す る た め の も の で あ る 。 具 体 的 に は 次 の 様 な 事 が 挙 げ ら れ る 。(a)鎮 静 ・催 眠,(b)代 謝 の 低 下,(C) 気 道 分 泌 の 抑 制,(d)反 射 の 緩 和,(e)鎮 痛 。 しか し な が ら 実 験 者 の 中 に は こ の 麻 酔 前 投 薬 を 省 略 し て 初 め か ら麻 酔 薬 を 適 用 す る 人 も 少 な く な い 。 1)フ ェ ノ チ ア ジ ン 誘 導 体(Phenothiazine derivatives) ク ロ ル プロ マ ジ ン(Chlorpromazine)を 代 表 とす る こ の 誘 導 体に は 自 律 神 経 遮 断,鎮 静,静 隠 作 用 の ほ か に 抗 ヒ ス タ ミ ン 作 用,制 吐 作 用 等 を 有 す る こ と に よ り麻 酔 ・ 前 投 薬 と して の 目的 を も つ 薬 剤 で あ る が,又 逆 に 抗 ア ド レ ナ リ ン 作 用 に よ る 血 圧 下 降 を 起 こ し 易 い と い う 欠 点 も あ る 。 薬 用 量 は 筋 肉 内 注 射(I.M.)で251ng/kg(25∼ 100mg/kg)で,麻 酔 前 投 薬 後,麻 酔 薬 と し て ペ ン ドバ ル ビ タ ー ル(Pentobarbital)を 用 い る 場 合 に は,ペ ン ト バル ビ タ ー ル の 単 独 使 用 時 に 比 較 し,(a)外 科 的 麻 酔 の 持 続 時 間 が 倍 に 延 長 さ れ る こ と 及 び(b)ペ ン トバ ル ビ タ ー ル の 用 量 を1/2に 減 らす こ と を 知 る こ と が 重 要 で あ る10)。 ク ロ ル プ ロ マ ジ ン は ペ ン トバ ル ビ タ ー ル に よ る 呼 吸 抑 制 を 部 分 的 に 抑 え る と も 言 わ れ て い る10)。 2)プ チ ロフェ ノ ン 誘 導 体(Butyrophenone deriva-tives) ハ ロ ペ リ ド ー ル(Haloperidol),ド ロ ペ リ ド ー ル (Droperidol)の2つ が 挙 げ られ る 。 こ れ ら の 薬 剤 と フ ェ ン タ ニ ー ル(Fentanyl)や ペ チ ジ ン(Pethidine)等 の 鎮 痛 剤 を 組 合 わ せ た 。 い わ ゆ るニュー ロ レ プ トア ナ ル ジ ェ シア(Neuroleptanalgesia,NLA)6)は,呼 吸 抑 制 は あ る が,循 環 系 に 対 す る 抑 制 の 少 な い こ と や,覚 醒 遅 延 の な い こ と か ら 新 しい 麻 酔 方 法 と し て 使 用 され て い る 7) 。 ウ サ ギ で は 主 と し て 鎮 静 作 用 を 目 的 と し て 使 わ れ て い る 。 3)ベ ン ゾ ジ ア ゼ ピ ン 誘 導 体(Benzodiazepine deriva-tives) ジ ア ゼ パ ム を 代 表 と す る こ の 誘 導 体 の 薬 剤 は 鎮 静 ・静 穏 作 用 ・抗 ヒス タ ミ ン作 用 等 に 関 して は フ ェ ノチ ア ジ ン 誘 導 体 と 同 じであ るが,循 環 系 に 及 ぼ す 影 響 が は る か に 少 ない 。麻 酔 前投 薬 と して単 独 で 又 は 他 の 薬 剤 と併 用 し て安 全 な前 麻 酔 作 用 を表 わ す 。 ジ アゼ パ ムの 通 常 の 薬 用 量 は5∼10mg/kg(I.M.)で あ る2)。 4)ベ ラ ドン ナ剤(Belladonna) ア トロ ピ ンを 代表 とす る ベ ラ ドンナ剤 は副 交 感 神 経 機 能 を遮 断 し,口 腔 内,気 道 内分 泌 の 抑 制 や 有 害 な副 交 感 神経 反 射(徐 脈,血 圧 下 降 等)の 予 防 を 目的 と して 人 体 で の応 用 に は 有意 義 な も の であ るが ウサ ギ では 血 中や 肝 臓 内 に 存在 す る ア トロ ピ ンを分 解 す る酵 素,ア トロ ピ ン エ ス テ ラー ゼ に よっ て速 や か に 分解 され る為 に その 効 果 は 余 り期待 で きな い11,12)。

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動物実験を 目的 とした ウサギの麻酔

表1ウ サ ギ の薬 物 適 用 経 路 に 於 け る注 射 針 の 選 択 と最 大 適 用 量 [McLeod,L.J.(1970).]13) in.=inch1/1=25.4mm,1/2=12.7mm 21G(外 径0.81mm),25G(外 径0.51mm)は 日 本 の 規 格 のV8(太),H5(1/3)に そ れ ぞ れ ほ ぼ 相 当 す る 図4ウ サ ギ の 耳 の 静 脈: A=V.auricularis rostralis(前 耳 介 静 脈), B=V.auricularis caudalis(後 耳 介 静 脈) 5.静 脈 麻 酔(Intravenous Anesthesia) 静 脈 注 射 に よ っ て麻 酔 剤 を 中枢 神 経 に 到 達 させ る方 法 で あ る 。呼 吸に 関 連 す る要 因が 全 く除 か れ るの で,直 ち に 薬 剤 の所 定 の血 中濃 度 が 得 られ,麻 酔 効 果 が迅 速 に現 わ れ る 。 しか し一 旦 注 射 され た 量 は 後 か ら調 節 す る方 法 が な く,急 速 に 解 毒 ・排 泄 させ る こ とが で きな い の で 麻 酔 薬 の投 与 に 当 っ て は,正 確 な適 用 量 の 計 算 と注 入 速 度 に 十 分 な配 慮 が 必 要 で あ る。 静 脈 注 射 部 位 の 血 管 は 目に 見 え やす く しか も触 れ る こ との で き る ウサ ギ の 耳 の 静脈 (前,後 耳 介静 脈V.auricularis rostralis,caudalis) が 主 と して用 い られ る(図4)。 使 用 す る注 射 針 の 規 格 は,主 と して ゲ ー ジNo.22(22G)も し くは それ 以下 の もの で 一 般 的 に25Gが 使 い 易 く,針 の長 さは0.5∼ 1イ ンチ が 適 当 と思 わ れ る。 ウサ ギ に か ぎ らず,一 般 に 動 物 実 験 で は 静 脈 麻 酔 薬 で あ って もそ の 他 の 適 用 経 路 (筋肉 内,皮 下,腹 腔 内 注 射)を 介 して投 与 す る こ とが しば しば あ る。 各 適 用 経 路 別 に 於 る注 射 針 の選 択 と最 大 適 用 量 を 参 考 まで に 表 に 示 す(表1)。 1)バ ル ビ ツー ル 酸 誘 導 体(Barbiturates) バ ル ビ ツ ール 酸 誘 導 体 は 主 と して 作 用 時 間 に よ り分類 され る。 い わ ゆ る静 脈 麻 酔 に は 比較 的 作 用 時 間 の短 い型 (超短 時 間,短 時 間 作 用 型)の バ ル ビツー ル酸 誘 導 体 が 使 わ れ る。 本 薬 物 の 静 脈 内注 射 に よ る麻酔 の 欠 点 は主 と して 呼 吸 抑 制 を きた す こ とに あ るの で 特 に注 意 が必 要 で あ る。 麻 酔 の 経 過 は 速 く,発 揚 期 な しに直 ちに 眠 り適 度 の 筋 弛 緩 が 得 られ る。 揮 発 性 麻 酔薬 と比較 し,気 道 ・胃 の 粘 膜 へ の 局所 刺 激 は な く,引 火,爆 発 等 の危 険 性 も な く,麻 酔 実 施 が 比較 的 容 易 で あ り,か つ又 麻 酔 回復 後 の 障 害 も少 な い 点 が 優 れ て い る。 (1)長 時 間 作 用(long-acting) フ ェ ノバ ル ビ タ ール(Phenobarbital)を 代表 とす る この 型 の薬 剤 は 主 と して抗 痙 攣,催 眠薬 と して使 わ れ る が ペン トバル ビ ター ル(Pentobarbital)と の併 用 は時 と して 満 足 な 麻 酔 効 果 が 得 られ る。適 用法 は普 通 フ ェ ノバ ル ビ タ ール を100mg/kg腹 腔 内 注 射(I.P.),30∼60分 後 に ペ ン トバ ル ビ タ ール0.25mg/kgを 静 脈 内 注 射 (I.V.)で 追 加 適 用 す る14)。 (2)短 時 間 作 用 型(short-acting) ペ ン トバ ル ビター ル は適 当 な 麻酔 時 間(30∼45)分 程 度)が 得 られ る こ と及 び 麻酔 の導 入 が 速や か な事 な どか ら静 脈 麻 酔薬 と してバ ル ビツ ー ル酸 誘 導 体 の 中 に あ っ て,最 も使用 頻 度 の 高 い薬 剤 で あ る 。適 用 量 は通 常25∼ 40mg/kg(I.V.)で,静 脈 内 へ の 注 射 は 適 用 量 の1/2∼ 3/4を2分 以 上 か け て ゆ っ く りと注 入 し,麻 酔 が か か り

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84 鈴 木政 美,鈴 木 正 彦,高 橋 友 子,田 中 求 始 め た な ら更 に ゆ っ く り と 目 的 の 麻 酔 状 態 に な る ま で 注 入 す る 。 し か し な が らペ ン トバ ル ビ タ ー ル は 麻 酔 に 必 要 な 量 が ウ サ ギ の 個 体 間 に 大 き な 差 が あ る こ と,又 一 度 麻 酔 に よ り呼 吸 が 止 ま る と 容 易 に 回 復 し な い こ と か ら,過 剰 適 用 に は 十 分 な 注 意 を 払 う必 要 が あ る14)。 (3)超 短 時 間 作 用 型(ultra short-acting) ヘ キ ソ バ ル ビ タ ー ル(hexobarbital)40mg/kg ,チオ ペ ン タ ー ル(thiopental)50mg/kg,サ イ ア ミ ラ ー ル (thiamylal)30mg/kgで お よ そ5∼10分 程 度 の 麻 酔 時 間 が 得 られ,通 常15分 で ほ ぼ 完 全 に 回 復 す る14)。 2)ウ レ タ ン(Urethane) ウ レ タ ン は バ ル ビ ツ ー ル 酸 誘 導 体 よ り も は る か に 広 い 安 全 域 を も っ て お り,し か も5∼6時 間 程 度 の 長 い 時 間 安 定 した 麻 酔 が 得 ら れ る す ぐ れ た 麻 酔 薬 で あ る 為,ペ ン トバ ル ビ タ ー ル と 共 に よ く 使 わ れ る 。 静 脈 内 注 射(I.V.) で は1.5g/kgで あ る が,一 般 に ウ レ タ ン は ウサ ギ の 血 液 と 血 管 に 好 ま し く な い 影 響 を 及 ぼ す こ と が 知 られ て い る の16)で,腹 腔 内 注 射(I.P.)1.6g/kg,皮 下 注 射(S.C.) 1.75g/kgが 多 く 用 い られ て い る 。 ま た こ の 薬 剤 は 作 用 時 間 が 比 較 的 長 い こ と か ら,麻 酔 か ら の 回 復 前 に 肺 気 腫 が 起 り 易 い の で1$),1回 き り の 急 性 実 験 時 に 使 用 す べ き で あ る 。 3)ケ タ ミ ン(Ketamine) 化 学 構 造 上,精 神 異 常 発 現 薬 の フ ェン サ イ ク リ ジン と 同 属 の ケ タ ミ ン は,バ ル ビ ツ ー ル 酸 誘 導 体 と は 異 な り鎮 痛 作 用 が 強 く,大 量 に 用 い て も 呼 吸,循 環 の 抑 制 が 少 な い 静 脈 麻 酔 薬 と し て 理 想 に 近 い 薬 剤 で あ る 。 ケ タ ミ ソ は 通 常20mg/kg(5∼150mg/kg)を 用 い,静 脈 内,筋 肉 内 注 射 で も ほ ぼ 同 様 の 麻 酔 効 果 が 得 られ る 。 麻 酔 作 用 の 発 現 は 速 や か(I.V.=30秒 ∼1分,I.M.=3∼4分)で あ る が 作 用 の 持 続 は 短 か く静 注 で5∼10分,筋 注 で12 ∼25分 で あ る。 持 続 が 短 い 点 は 長 所 か つ 短 所 と も な り, 簡 単 な 治 療 を 目的 と し た 処 置 に は よ い が,長 時 間 の 安 定 を 必 要 と す る 実 験 の 目的 に は 不 向 き で,む し ろ 麻 酔 前 投 薬 や 吸 入 麻 酔 の 導 入 と し て の 利 用 価 値 が 高 い 。 6.吸 入 麻 酔(Inhalation anesthesia) ガ ス及 び 揮 発 性 麻 酔 薬 は 適 用 経 路 か ら吸 入 麻 酔薬 とも 言 わ れ,そ の 吸 収 ・排 泄 が 殆 ん ど肺 ・気 道 か ら速 や かに 行 われ る 為,投 与 量 の 調 節 が 容 易 で は あ る が,適 用 法 が や や 複 雑 で 操 作 に 熟練 を要 し,中 に は 引 火 性 の も の も あ り,又 一般 的 に 低酸 素症 を 生 じや す い。 ガ ス 麻 酔 剤(gaseous anesthetics)は 常 温 で は ガ ス体 と な っ て居 り,高 圧 下 に液 体 と して ボン ベ 中 に 貯 蔵 され て い る 。 笑 気(N2O),サ イ ク ロプ ロペ イ ン等 が あ る。 揮 発 性 麻 酔 剤(Volatile anesthetics)は 常 温 で は 液, で,空 気,O2又 は 笑 気+O2で 揮 発 させ 蒸 気 と して与 え る 。 エ ー テ ル,ク ロ ロホ ル ム,ハ ロセ ン,メ トキ シ フル レ ン,ト リク ロル エチ レン等 が あ る。 静 脈 麻 酔 は 麻 酔 の 深 度 や 維 持 に難 点 が あ るの に 対 して,吸 入 麻 酔 で は この よ うな心 配 が 極 め て少 な い 。 吸 入 麻 酔 の 方 法 吸 入 麻 酔 は 外 気 と気 道 との 関 係 に よっ て分 類 され る。 a)開 放 式:最 も簡 単 な 方法 で,エ ー テ ル,ハ ロセ ン, メ トキ シ フル レ ン等 の揮 発 性 麻 酔 剤 を 鼻孔 に お お った ガ ー ゼ や綿 の 上 に滴 下 し,蒸 発 した蒸 気 を吸 入 させ る方 法 で あ る。 この方 法 を用 い る に は,ま ず ウサ ギ に麻 酔 前 処 置 薬 や作 用 時 間 の 短 い静 脈 麻 酔 薬 を前 処 置 して動 か ない よ うに して お か な けれ ば な らな い事 で あ る。 そ こ で動 物 実 験 を 目的 と した際 の 吸 入 麻 酔 で多 く用 い られ る方 法 は こ の 開放 式 に よる簡 易麻 酔 箱(図5)に よ り麻 酔 を か け そ の後 は気 管 カ ニ ュー レを挿 管 し,麻 酔 の 維 持 を 半 開 放 式 に よる簡 易 気 化 器(図5)を 気 管 カ ニ ュ ー レに 接 続 し て行 な う方 法 で あ る。 欠 点 と して は 呼 吸 の 補 助,調 節 が で き ない こ と,一 定 の 麻 酔 深 度 の 維 持 が 難 しい こ と,使 用 す る麻 酔 剤 が 大 変 不 経 済 で あ る こ と,部 屋 が 麻 酔 剤 に よ って 汚 染 され る こ と等 が あ げ られ る。 b)閉 鎖 式:吸 入 麻 酔 薬 を 外 気 か ら完 全 に 遮 断 して 動 物 の 気 道 に 送 る方 法 で あ るが,器 械 設 備 が 高 価 で あ る こ と や 操 作 が 一 見 複 雑 で あ る こ とか ら従 来 敬 遠 され が ち で あ った 。 しか しな が らこの 方 式 を 用 いれば 呼 吸 の補 助,調 節 が 容 易 で 目的 とす る 麻 酔段 階 の 維持 が確 実 で 麻酔 剤, O2の 消 費 も少 な くて 済 み,極 め て満 足 の ゆ く麻酔 が得 られ る 。 こ の 装 置 は い ろ い ろ な ものが 市 販 され てお り, 研 究 者 に よっ て は 更 に 自分 の研 究 目的 に 合 う様 な装 置 の 加 工 を試 み て い る(図6)。 図5著者 らが常 用 して い る簡 易 麻 酔 箱(300×450 ×300h,東 洋 理 工 製)と 簡 易 気 化 器

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動物実験 を 目的 と した ウサ ギの麻酔

表2気 管 内 チュー ブ基 本 寸 法(mm) *チ ュー ブサイズは今までは フレンチサイズ等で示されていたが次第に内径で表 示す るよ うにな ってきている。 c)半 閉鎖 式:回 路 は 閉鎖 式 と 同 じも の が用 い ら れ る が,一 部 の麻 酔 ガ ス は 回路 か ら外 気 へ又 一 部 は 回路 内に 留 ま り,再 吸 収 され る。 そ の為 に閉 鎖 式 で行 った 時 と同 様 の効 果 を得 る為 に は 麻 酔 剤 を追 加 適 用 す る必 要 性 が 生 じて くる。 半 閉鎖 ・ 閉 鎖 式 麻 酔 を 効 果 的 に 実 施 す るに は,ウ サ ギ に気 管 内挿 管 法 を用 い る こ とが 必 要 と な る。 こ の方 法 は ウサ ギ の 解 剖 学 的 構 造 に よ りヒ トや 他 の 動 物 に 比 べ 難 しい と され て い る。 一 般 的 な方 法2,17)として, 長 さ約10cmの 喉 頭鏡 を 使 用 し,舌 を な め らか な 鉗子 で 外 に つ ま み 出 し,先 端 か ら14∼15cmの 所 に 印 をつ け た16∼18Fr.(表2)の 気管 チュー ブ を 用 い て 挿管 す る と よい 。 1)エ ー テ ル(Ether) エ ー テル は 麻 酔 作 用 が 強 く,し か も鎮 痛 作 用 と併 行 し 呼 吸 停 止 と循 環 停 止 に要 す る濃 度 の 差 が 大 き く安 価 で あ る為 に 揮 発 性 麻 酔 薬 と して 使 用 され る頻 度 が 最 も高 い。 ウサ ギは エ ーテ ル を か ぐと必 らず で き るだ け 長 く呼 吸 を 停 止 し,そ れ か らこ らえ きれ な くな った 様 に 深 く呼 吸 す るた め に 心 臓 停 止 を きた す ほ どの 思 わ ぬ 麻 酔 状 態 に な る こ とが あ るの で そ の適 用 に は十 分 な注 意 が必 要 で あ る 。 エ ーテ ル は 気道 刺 激 に よ り分 泌 物 を多 くす る とい う欠 点 図6著 者 らが 常 用 して い る閉鎖 式 麻酔 器.(内 藤 型,小 動 物 全 身 麻 酔 装 置;新 鋭 工 業 製).循 環 回 路 は 実験 目的 の 為 パ イ ピ ング して若 干 の改 良を 加 えて あ る。

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鈴 木政 美,鈴 木正 彦,高 橋友 子,田 中 求 が み られ るが,濃 度3%で は 循 環 器 系 へ の影 響 が一 番 少 な い と され て い る17)。又エー テ ル は 引 火 性 が あ り光 や 熱 に よ って 容 易 にaldehyde peroxideと に分 解 し,前 者 は 気 道 の刺 激 性 を 増 し,後 者 は 爆発 性 を助 長 す る の で注 意 が 必要 で あ る。 特 に ウサ ギ は エ ー テ ル に感 受 性が 強 く 気 道 分泌 が 多 い の で この様 に分 解 され た エ ー テ ルを 用 い る こ とは 更 に 分泌 物 を多 くす る結 果 と な る。 2)ク ロ ロホ ル ム(Chloroform) ク ロ ロホ ル ム は非 引火 性 の利 点 は あ るが 安 全 域 が エ ー テ ル よ り小 さ い こと,特 に肝 臓 を 中心 と した 障 害 が 大 き い 為に 現 在 で は殆 ん ど使 わ れ ない 。 3)メ トキ シ フ ル レ ン(Methoxyflurane) メ トキ シ フ ル レ ンは エ ー テル に比 べ 気 道 刺 激 が 少 な く,幼 若,成 熟 ウサ ギの 両 方 に 安 全 性 の 高 い 外 科 的 麻 酔 が 可 能 と言 わ れ る2)。 そ れ は 沸 点 が 高 く飽 和 蒸 気 圧 が 低 い こ とに よ る。 吸 入 濃 度 は0.5%で は 循 環 系 へ の 影響 が 大 きい の で 長 時 間 の 麻 酔 に は0.25%以 下 に下 げ る必 要 が あ る17)。エ ーテ ル と異 な り非 引 火 性 で あ る 。又 ア ドレ ナ リン との 併 用 は 不 整 脈 を 起 こす こ とに注 意 が必 要 で あ る 。 4)ハ ロセ ン(Halothane) ハ ロセ ンは 強 力 な 麻 酔 作 用 を 持 ち,気 道 刺 激 は な く分 泌を抑 制 し,麻 酔 の導 入 ・覚醒 が早 く,非 引 火 性 で あ る 為 多 くの利 点 を 持 つ が高 価(エ ー テ ル の20倍 以 上)で あ る事,呼 吸,循 環 抑 制 が強 い事,ア ドレナ リ ンと の併 用 で不 整 脈 を生 じ易 い 欠 点 が あ る。特 に ウサ ギ で は気 道 刺 激 が な く,分 泌 はむ しろ抑 制 され る とい う点 が利 用 価 値 の高 い も の と思わ れ る 。麻 酔 時 の 吸 入 濃 度 は0.8∼ 1.0%17,18)が 比 較 的 多 く用 い られ るが,1%前 後 の 高 濃 度 に な る と経 時 的 な血 圧 の 下 降 が 認 め られ る。

1) 福 原 武 彦:呼 吸 に 影 響 を 与 え る薬 物,医 薬 品 開 発 講 座V.(7)薬 効 の 評 価(1)・ 薬 理試 験 法(中), 691∼692,地 人 書 館,東 京(1971).

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参照

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